MENU

医薬品広告で「副作用なし」「安全」は使える?安全性保証表現の薬機法上の注意点

医薬品広告の「安全」表現を見直す考え方を示した図解。「副作用なし」「副作用が少ない」「比較的安心」「刺激が少ない」など、安全性を保証する印象につながる表現は単なる言い換えで解決せず、商品事実から訴求軸を再設計すると説明している。中央では、①商品区分、②広告対象者、③承認内容、④根拠資料、⑤広告全体の順に確認する流れを整理。右側では、承認範囲内の効能効果、剤形・容器、携帯性・使用場面などを新たな訴求材料として例示している。下部に「『安全』を弱めるより、伝える事実を変える」とまとめている。

医薬品の広告で「副作用なし」「安全です」と言い切る表現は使えません。一般用医薬品(OTC)では、効能効果だけでなく安全性を保証する表現もNGです。「副作用が少ない」「安心して使える」へ弱めても解決しません。厚生労働省の現行の解説では、「副作用が少ない」「比較的安心して…」「刺激が少ない」等は、安全性について誤認させるおそれがあるため使用しないとされています。また、「天然成分を使用しているので副作用がない」「いくら飲んでも副作用がない」「使用法を問わず安全である」といった安全性を保証する表現も認められていません。本稿ではOTC広告と医療用医薬品を分け、修正方法まで整理します。 

目次

「副作用なし」がNGになる直接的な理由

一番直接的な理由は、安全性の保証です。承認された医薬品でも、「誰にでも副作用が起こらない」「どのように使っても安全」という保証まで認められているわけではありません。

厚生労働省の解説では、「副作用が少ない」「比較的安心して…」「刺激が少ない」等は、安全性について誤認させるおそれがあるため使用しないとされています。また、副作用がないことや、使用方法を問わず安全であることを保証するような表現も認められていません。 「なし」を「少ない」に変える修正は成立しません。 

一方、低刺激性等が立証され安全性を強調しない場合や、「眠くなりにくい」がその製剤について科学的根拠を有し、安全性保証につながらない場合には認められる余地が示されています。これは「副作用が少ない」の言い換えではなく、限定された製剤特性を根拠付きで表現できるかという別の判断です。 

なお、「副作用なし」を削除しても、画像、体験談、専門家コメントなどを組み合わせて「安全な薬」という印象を与えれば修正になりません。広告全体で効能・安全性を判断する考え方は「広告全体の印象で薬機法を判断する考え方」で整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作現場で起こりやすいのは、「副作用なし」を「安心」「やさしい」へ置き換えることです。しかし、人物の笑顔、専門家風コメント、「毎日使える」といった周辺要素まで含めて“安全な薬”を保証する印象が残れば修正になりません。NGワードではなく、広告全体で何を伝えているかを見る必要があります。

事例1|OTCかぜ薬LPの「副作用なし」

一般用かぜ薬「ワーククリアEX」の広告。オフィスで書類を持つスーツ姿の男性と商品パッケージを配置し、「副作用なしだから仕事中も安心」と大きく訴求している。補足として「眠気や副作用を気にせず、いつもの仕事へ。」と記載し、商品横には「仕事中にも」の表示がある。全体を青と白でまとめ、仕事中でも安心して使用できる印象を強く打ち出した構成。

たとえば、一般用かぜ薬のLPで「副作用なしだから仕事中も安心」と表示した場合、結論はNGです。「副作用なし」が安全性保証であり、「仕事中も安心」という文脈も保証印象を強めます。

修正時は「安心」に言い換えません。特定成分を配合していないことを伝えたいなら、その成分名と配合事実を確認する。「眠くなりにくい」を訴求したいなら、その製剤として科学的根拠があり、安全性保証につながらないかを確認する。この順番です。承認内容の確認には、添付文書と医薬品広告表現の読み方 が関連します。

事例2|「安全性試験済み。だから安心」

一般用医薬品(OTC外用薬)の広告で、「安全性試験実施済み。だから毎日安心」と表示した薬機法上のNG広告事例。安全性試験や臨床データが存在していても、その事実を根拠に医薬品の安全性を保証するような「安心」「安全」といった表現へ広げることはできず、試験データの広告利用と安全性保証表現を分けて判断する必要があることを示したバナー画像。

仮にOTC外用薬のバナーで「安全性試験実施済み。だから毎日安心」と表示してもNGです。試験を実施した事実があっても、「だから安全」という結論を広告側で保証することはできません。一般向け広告では、臨床データや実験例の例示も、消費者に誤解を与えるおそれがあるため原則行わないとされています。 

修正は、安全性から剤形、容器、携帯性、使用場面、承認範囲内の効能効果など、確認できる商品事実へ訴求軸を移します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「根拠がある=広告で言える」ではありません。資料や試験データが正しくても、見せ方によって保証表現になります。また、法律上説明できても媒体考査で止まることがあります。企画後半でコピーだけ直すより、最初に商品区分、媒体、根拠、訴求軸を決めた方が手戻りを減らせます。

事例3|医療用医薬品を一般消費者へ「副作用が少ない」と訴求

医療用のアレルギー治療薬「アレルビア錠10mg」の広告。女性の写真と商品パッケージ・錠剤を配置し、「つらい症状に、やさしい選択を。」「しっかり効くのに副作用が少ない」と訴求している。第2世代抗ヒスタミン成分配合で、「眠くなりにくい」「胃にやさしい処方」「長期服用にも安心」の3つの特徴を紹介。花粉・ハウスダストによる鼻みずやくしゃみ、じんましん・皮膚のかゆみ、アレルギー性鼻炎などの症状を挙げ、医師の処方が必要な医療用医薬品であること、オンライン診療で相談できることを案内している。

医療用医薬品では、表現以前に広告対象者を確認します。医薬品等適正広告基準では、医師等の処方や指示で使用される医薬品について、一般人を対象とする広告を行わないものとしています。したがって、一般消費者向けサイトやSNSで特定の処方薬を「副作用が少ない薬」と販促する企画は、コピーを弱めれば済む話ではありません。 

医療関係者向けの販売情報提供でも、有効性だけでなく副作用を含む必要な安全性情報を提供し、情報を恣意的に選ばず、科学的・客観的根拠に基づく正確な内容とすることが求められています。 

実務では安全性訴求をどう修正するか

安全性保証表現を見つけたら、単語を置換する前に、商品区分、広告対象者、承認内容、根拠資料を確認します。そのうえで、安全性ではなく承認範囲内の効能効果、剤形、容器、携帯性、利用場面などの事実へ訴求を移します。最後に、画像、体験談、専門家コメント、注釈、CTAまで含めて「この薬なら安全」という印象が残っていないかを見ます。

確認フローを社内で揃えるなら、医薬品広告のチェック体制の作り方 もご覧ください。

薬機法とは別に、「最も安全」「他社より安全」など安全性を実際より著しく優良に見せる表示は、景品表示法の優良誤認表示も問題になります。薬機法の安全性保証規制と分けて確認してください。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
安全性を強く言えないときは、「安全」の弱い言い換えを探すのではなく、ユーザーが評価する別の事実を探します。剤形、使いやすさ、携帯性、承認された効能効果の伝え方へ軸を移せれば、規制を避けるだけでなく訴求も残せます。

まとめ

医薬品広告で「副作用なし」は使えません。「安全性確認済み」「副作用の心配はない」「副作用が少ない」「比較的安心」もNGです。修正は「安心」「やさしい」への置換ではなく、商品区分、対象者、承認内容、根拠資料を確認し、安全性以外の事実へ訴求を組み直します。特に医療用医薬品は、一般人向け広告の可否から確認してください。

薬機法上の表現について体系的に理解したい方は「薬機法違反になる広告表現とは?健康食品・化粧品・医薬部外品で注意すべき判断基準 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」

広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。

【無料】「使える・使えない」を覚えるだけでなく、自分で判断できるようになる(薬機法かけこみ寺®メールマガジン)

薬機法・景品表示法・医療広告について、実際の相談事例から「なぜそう考えるのか」「訴求を残すにはどう考えるか」をお届けする無料メルマガです。
目指すのは、表現を直すだけでなく、その理由を社内やクライアントにも説明できるようになること。
ご登録者には、初回限定の無料メールコンサルティングもご用意しています。
今、判断に迷っていることがあれば、登録後のご案内メールに返信してご相談ください。

形態 必須
業種 必須

登録後、配信されるメールからいつでも解除できます。

薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につけ、売れる表現に落とし込む講座

クリエイティブの幅が広がる。 ギリギリを攻めても、手戻りしない。 300件以上の事例で判断力を鍛え、 もう実務で迷わない薬機法・景品表示法講座のイメージ画像

「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料を参考に、一般用医薬品(OTC)プロモーションにおける「副作用がない」「安全・安心」といった安全性保証の文句、低刺激や眠気防止などの限定的特徴、臨床試験データ・実験成果の提示、医療用医薬品に対する一般消費者向けプロモーションの取り決め、医療機関向け情報の提供形態、景品表示法が禁じる優良誤認および不実証広告に関する規律の観点から整理を試みています。
各々のプロモーション表現の妥当性は、該当品目の分類、承認内容、添付文書の記載、製剤ごとの科学的エビデンス、訴求対象者、コピー・画像・ユーザー体験談・有識者コメントを含めた広告全体の受け取られ方、媒体特有の審査基準等に応じて判断が分かれるため、必要に応じて最新の行政公表資料や専門的見解をご確認ください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医薬品広告の「安全」表現を見直す考え方を示した図解。「副作用なし」「副作用が少ない」「比較的安心」「刺激が少ない」など、安全性を保証する印象につながる表現は単なる言い換えで解決せず、商品事実から訴求軸を再設計すると説明している。中央では、①商品区分、②広告対象者、③承認内容、④根拠資料、⑤広告全体の順に確認する流れを整理。右側では、承認範囲内の効能効果、剤形・容器、携帯性・使用場面などを新たな訴求材料として例示している。下部に「『安全』を弱めるより、伝える事実を変える」とまとめている。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次