「医薬品の広告を出す際、注意すべき点に迷う」
「医薬品と医薬部外品の違いが分からない」
と感じたことはありませんか?
実際に上記のような場合であれば、薬機法(薬事法)に抵触し、罰則を受ける可能性があるため、注意が必要です。
そこで今回は、薬機法(薬事法)における医薬品の分類から注意点まで徹底的に解説します。
※薬機法( 薬事法 )とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。
本記事では、略称の薬機法( 薬事法 )と記載します。
- 法的定義: 薬機法第2条に基づく医薬品・医薬部外品の厳格な定義と、第1類〜第3類までの分類ごとの販売・情報提供ルールと、医薬品広告で共通して確認すべき規制を整理します。
- 広告規制: 医薬品等適正広告基準に則り、「専門薬」表記の禁止や臨床データ・体験談掲載の違法リスクを具体例とともに解説します。
- 実務上の利益: 薬剤師・特許保持者の視点から、売上の4.5%を課される課徴金制度や行政処分を回避し、安全に成果を出す運用法が身につきます。
薬機法( 薬事法 )における医薬品の定義や分類

医薬品の定義や分類について解説します。
医薬品の定義について
医薬品の定義については、薬機法(薬事法)の第2条1項で以下のように定められています。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
例えば、薬局で処方される薬や市販の風邪薬などが当てはまります。
医薬品の分類
医薬品の分類は、大きく分けて以下の3つに区分されます。
- 医療用医薬品
- 市販薬(要指導医薬品、一般用医薬品(第1類~第3類医薬品))
- 体外診断用医薬品
参考:厚生労働省|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の概要 PDF1ページ
まず医療用医薬品とは、医師若しくは歯科医師によって使用・もしくは処方箋を基に薬剤師が調剤して渡す薬のことです。
風邪をひいて医師に診察してもらった後、薬局でもらう薬をイメージすると分かりやすいでしょう。
次に市販薬には、要指導医薬品と一般用医薬品があります。
要指導医薬品は、薬剤師による必要な情報提供・薬学的な指導の下で販売される医薬品です。2026年5月1日の制度改正により、薬剤師の判断でオンライン服薬指導による必要な情報提供等を行ったうえで、インターネット販売できるようになりました。ただし、適正使用のため対面販売が適切な「特定要指導医薬品」は、引き続き対面販売が必要です。
一般医薬品は、第1類~第3類医薬品があり、いずれもインターネット販売が可能です。ただし、販売時の情報提供ルールは区分によって異なり、第1類は薬剤師による情報提供が義務、第2類は薬剤師または登録販売者による情報提供が努力義務とされています。
それぞれの特徴は以下の通りです。
第1類医薬品:
副作用によって日常生活に支障が出る程度の健康被害が生じる可能性のある医薬品です。
薬剤師が対応する必要があり、消費者からの質問がなくても情報提供を行う義務があります。
第2類医薬品:
第1類医薬品を除くもので、副作用による日常生活への支障が懸念される薬品です。
対応する専門家は、薬剤師または登録販売者。情報提供については、努力義務と定められています。
第3類医薬品:
第1類・第2類医薬品以外の医薬品。
副作用による支障が比較的軽いものの、体の不調や変調が起こる可能性があります。
医薬品と医薬部外品との違い
医薬部外品は、薬機法上、人体に対する作用が緩和なものとして定義されています。口臭・体臭やあせも等の防止、育毛、除毛など、認められた目的・効能効果の範囲で使用されます。医薬品と医薬部外品では法律上の定義や承認された効能効果の範囲が異なるため、それぞれの区分に応じた広告表現が必要です。
医薬品が、病気の治療や予防に使用される一方で、医薬部外品は予防するために使用されます。
例えば、あせも・ただれの防止や口臭・体臭の予防などです。
そのため、医薬部外品では、医薬品のように「治す」といった表現は使えないため、注意しましょう。
医薬品等適正広告基準における注意点

ここでは、医薬品等適正広告基準に照らし合わせて、特に注意すべき点を解説します。
~専門薬の表記
特定の性別や年齢などを対象にした「~専門薬」は、承認を受けていなければ使用できません。
医薬品等適正広告基準の第4の3(1)にある「承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」に抵触する可能性があるためです。
また医薬品の広告として「~専門薬」は好ましくないと判断されるため、表現には十分に注意しましょう。
しかし、承認された効能効果や用法用量から判断して年齢層や性別を特定することは問題ありません。
例えば、「専門」を使わずに「小児用」や「婦人用」などと表現することは可能です。
効能効果や安全性を示す表現
効能効果や安全性を保証する表現は、暗示的でも認められません。
「~な症状を完全に治す」や「副作用がない」などといった表現は、使用しないように注意しましょう。
「よく効きます」や「優れた効き目」などを、キャッチコピーに使用して強調することも認められません。
また企業・医薬品の歴史と医薬品の効能効果・安全性を保証するような表現もNGです。
例えば「〇〇(商品名)は、~年の実績があります。そのため、効果があります」という、安全性・優秀性を保証する内容は避けましょう。
医薬品等適正広告基準の第4の3(1)「承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」や第4の3(2)「承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲」に抵触する可能性があります。
単に会社の創業年数や医薬品が販売された年数を掲載する分には問題ありません。
長い歴史や実績があるから「効果がある」「安全である」という表現がNGとなります。
臨床データの掲載
一般向けの医薬品広告では、臨床データや実験例等を例示することは、消費者に説明不足となり、効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあるため、原則として行わないとされています。
一般人にとってこれらの情報だけでは、説明不足になる可能性が高く、効能効果や安全性について誤解する可能性が高いためです。
体験談の掲載
体験談によって、効能効果や安全性を保証するような内容はNGです。
消費者が、自分にも効果があると感じるような体験談は掲載しないようにしましょう。
使用感を掲載することは可能ですが、本来の使用目的を誤認させるような表現には注意が必要です。
医薬品は市販後に安全対策が必要
医薬品は、人体への影響が大きいため、市販後の安全対策が重要です。
ここでは、医薬品の市販後の安全対策について解説します。
情報収集が重要
医薬品の使用者が増える市販後は、承認時には分からなかった副作用が判明するケースもあります。
そのため、市販後には情報収集が欠かせません。
常にすべきこととしては、副作用の情報収集です。
すべての医薬品に関して、製薬会社や医師、薬剤師などから副作用と疑われる症例を集め、評価します。
特に新医薬品は、販売後6ヶ月、副作用の情報収集体制の強化が義務付けられているため、注意しましょう。
新医薬品については、品目の区分等に応じて再審査期間が設定され、市販後の使用成績等を踏まえて有効性・安全性が改めて確認されます。
使用歴の長い医薬品は、必要に応じて、有効性や安全性を見直す必要があります。
これらの情報を収集したら、その都度必要な注意喚起や承認事項の変更など、措置が必要です。
副作用症例の報告が必要
企業がおこなう副作用等症例の報告には、規定があります。
例えば、使用上の注意から予想のできない副作用が発生し、死亡や重篤な症状になった場合、15日以内に報告しなくてはなりません。
重篤な副作用等の情報を得た場合、製造販売業者は法令に基づく副作用報告を行い、収集した情報を評価したうえで、必要に応じて注意喚起、注意事項等情報の改訂、回収などの安全確保措置を講じます。
薬機法( 薬事法 )に違反した場合は罰則を受ける

薬機法(薬事法)に違反した場合、行政処分もしくは罰金の罰則を受けるため、注意が必要です。
ここでは、行政処分と新しく始まる課徴金制度について解説します。
行政処分
薬機法に違反した場合、行政が調査を実施。調査の結果、企業へ裏付けとなるような資料の提出を求める「弁明の機会」が与えられます。
しかし企業から出された資料が根拠のあるものと判断されなかった場合、行政処分になります。
行政処分が出された場合、業務改善命令や業務停止命令、措置命令が下される点は把握しておきましょう。
課徴金納付命令
薬機法第66条第1項の虚偽・誇大広告に違反した場合は、刑事罰の対象となることがあります。
これとは別に、同項違反を対象とする課徴金制度も設けられています。
課徴金は、原則として課徴金対象期間に取引した対象医薬品等の対価合計額に4.5%を乗じて算定されます。
ただし、課徴金が命じられない場合や金額に関する例外も定められています。
行政処分後、売上額の調査が実施され、納付命令の除外判断や弁明の機会が与えられます。
そして、最終的に課徴金の納付命令が行われるという流れです。
薬機法(薬事法)の課徴金については、こちらでも詳しく解説しております。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。
薬機法( 薬事法 )とは何か?
薬機法(薬事法)を遵守しよう
医薬品は、さまざまな種類があるため、きちんと把握していないと知らぬ間に法律違反をする可能性もあります。
違反者には、行政処分や課徴金納付命令といった厳しい罰則もある点に注意が必要です。
そのため医薬品を扱う際には、正しい知識が必要です。
薬機法(薬事法)の理解が浅いと感じている方は、毎日少しずつ学んでいくことがおすすめです。
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参考情報・引用元
本記事は、以下の薬機法、厚生労働省・PMDAの公式資料、医薬品等適正広告基準、市販後安全対策・課徴金制度に関する資料を参考に、医薬品・医薬部外品の定義、一般用医薬品等の販売区分、医薬品広告、市販後安全対策、違反時の措置について整理しています。
個別の広告表現や販売方法の適否は、医薬品の区分、承認内容、広告対象者、販売方法、効能効果・安全性の表現、使用する根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」厚生労働省法令等データベース. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81004000&dataType=0&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日、薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日、薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日、医薬監第148号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5413&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0180&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html(参照日:2026年10月06日)
- PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品について」独立行政法人医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/otc/0002.html(参照日:2026年10月06日)
- PMDA「市販直後調査に関する情報」独立行政法人医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0006.html(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「医薬品の市販後安全対策の概要(情報収集・評価)」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001189655.pdf(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「『再審査期間の取扱いについて』の一部改正について」(令和8年2月27日)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9770&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「『医療用医薬品の再審査期間について』の一部改正について」(令和8年3月9日)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9801&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「医薬品等の副作用等の報告について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0447&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
- 厚生労働省「『医薬品等の副作用等の報告について』の一部改正について」(令和8年2月10日)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9717&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年10月06日)
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