OTC医薬品のECページは、商品説明の効能効果だけを確認すればよいわけではありません。商品名、サムネイル画像、レビュー、使用上の注意、購入画面まで確認対象です。
特に注意したいのが、「広告のルール」と「医薬品をネット販売するためのルール」は別に存在することです。広告表現が承認範囲内でも、必要な表示や情報提供の仕組みが欠けていればECページとしては不十分です。
また、2026年5月1日の制度改正により、要指導医薬品は、薬剤師の判断でオンライン服薬指導による必要な情報提供等を行ったうえでインターネット販売できるようになりました。ただし、適正使用のため対面での確認が適切な品目は、引き続き対面販売が必要です。OTC医薬品には要指導医薬品と一般用医薬品があるため、まず商品区分を確認するところから始めます。
OTC医薬品ECは「広告表現」と「販売画面」を分けてチェックする
結論から言えば、OTC医薬品のECページでは、販売名を勝手に変える、承認範囲を超える効果を画像で見せる、効能効果に関する購入者レビューを掲載する、といった対応はNGです。
薬機法66条は、医薬品の名称、効能、効果などについて、明示だけでなく暗示による虚偽・誇大広告も禁止しています。さらに医薬品等適正広告基準では、承認を受けた効能効果の範囲を超える広告を認めていません。
一方、薬局・店舗販売業者がインターネットで販売する場合には、リスク区分や販売店舗、専門家に関する情報など、販売制度として確認すべき事項があります。
つまり、コピーだけ○×判定して終わるチェックでは足りません。
OTC医薬品広告そのものの基本ルールは、OTC医薬品広告で注意すべき薬機法ルールもあわせて確認してください。
事例1|商品名は「売れそうな呼び方」へ勝手に変えてはいけない

たとえば、第2類医薬品「○○錠」をECの商品タイトルで「一発スッキリ頭痛キラー」と表示するケースです。
これはNGです。
医薬品等適正広告基準では、承認を受けた名称等以外の名称を原則として使用できず、医薬品については愛称も認められていません。一定の場合に販売名の共通部分などを使うことはできますが、略称を使う場合も販売名を明示する必要があります。
さらに「一発」「頭痛キラー」という言葉によって、単なる名称変更を超えて速効性や確実な効果まで印象づければ、効能効果の広告としても問題になります。
ECでは商品詳細ページだけでなく、検索結果の商品名、パンくず、ランキング枠、広告フィードの商品タイトルも確認してください。
修正するなら、販売名とリスク区分を正しく表示した上で、効能効果は承認された範囲で説明します。確認元としては、PMDAの一般用医薬品・要指導医薬品の添付文書等情報検索が使えます。
商品名だけでなく、名称、効能効果、保証表現などの基本判断は医薬品等適正広告基準を基礎に確認します。広告基準全体の読み方は「医薬品等適正広告基準を実務で読む|承認範囲・ビフォーアフター・医師推薦の判断軸」もご覧ください。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作後に薬事チェックを入れると、「商品タイトルだけ直せば終わり」にならないことがあります。メインコピーを前提に画像や導線まで作っていれば、ページ全体の再設計が必要になるからです。私自身も、制作工程の後半でNGが判明することによる手戻りを避けるため、企画段階からチェック項目を組み込む考え方を示しています。
事例2|商品画像が承認外の効果や「必ず効く」を見せていないか


次は画像です。
仮に外用鎮痛消炎薬のページで、使用前は赤く腫れた膝、使用後は炎症が完全に消えた膝を並べ、「15分後」と表示したとします。
この画像は使えません。
医薬品等適正広告基準では、図や写真についても、承認外の効能効果を想起させるもの、効果発現までの時間や持続時間を保証するもの、安全性を保証するものは認めていません。体験前後を並べれば自動的に違反になるという話ではなく、その画像が何を効能として伝えているかが判断軸です。
「痛そうな表情→笑顔」「真っ赤な患部→正常な状態」「服用後○分で復活」といった演出も同じです。文字を削除しても、画像だけで確実な改善や速効性を伝えていれば修正になりません。
詳しくは医薬品広告でビフォーアフター画像は使える?で判断軸を整理しています。
事例3|「効いた」というECレビューは個人の感想でも掲載できない


OTC医薬品ECで特に事故が起きやすいのがレビュー欄です。
「頭痛が10分で消えました」「これだけは必ず効きます」「副作用もなく安心でした」
薬局・店舗販売業者が販売ページにこのような効能効果に関する購入者レビューを表示することは認められていません。厚生労働省のQ&Aでも、医薬品の効能・効果に関する「口コミ」は禁止されると明示されています。
「個人の感想です」と注記してもNGです。 注記を付けても、販売者が効能効果を語る口コミを広告として掲載している構造は変わりません。
一方、「発送が早かった」「梱包が丁寧だった」など、薬局等の接客・サービスに関する口コミは掲載できます。ただし、サービスレビューの名目でも医薬品の効能効果に触れていれば認められません。
レビューの詳しい扱いは医薬品広告で口コミ・レビューは使える?も確認してください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
ECモールでは、法律上の確認に加えてモール独自の広告審査があります。「薬機法上説明できる」と「媒体審査を通過する」は同じではありません。私が過去の事例で述べているように、掲載場所のルールまで企画段階で確認しておく方が手戻りを減らせます。
注意表示は商品説明の末尾に置くだけでは足りない
OTC医薬品ECでは、「使用上の注意をページ下部に転載したから完了」と考えない方がよいでしょう。
たとえば指定第2類医薬品では、禁忌を確認することや薬剤師・登録販売者への相談を勧める旨を購入者が確実に認識できるようにする措置が求められ、厚生労働省Q&Aではインターネット販売におけるポップアップ表示も具体例として示されています。
さらに第1類医薬品では薬剤師による情報提供が必要です。2026年5月1日以降は、多くの要指導医薬品についてオンラインで必要な情報提供等を行った上で販売できる制度となり、指定濫用防止医薬品については購入状況等の確認と情報提供も必要になりました。
したがって、商品詳細ページだけではなく、カート、購入確認画面、情報提供・確認フローまで確認対象です。
医薬品の販売制度上の確認に加え、価格・送料・契約条件など通販として必要な表示は特定商取引法を別に確認します。購入確定前の表示事項は「最終確認画面に表示すべき項目とは?通販LP・ECの実務ポイント」をご覧ください。
実務では「商品マスター」からEC画面まで順番に確認する
効率よく審査するなら、最初に販売名、商品区分、リスク区分、効能効果、用法用量、使用上の注意を現行の添付文書等と突き合わせます。その上で、検索結果・サムネイル、商品詳細、レビュー、カート・購入確認画面の順に見ます。
ここを飛ばしてコピーから読み始めると、「文章は直したのにサムネイルが旧表現のまま」「商品説明は正しいのにレビューで保証表現が復活している」といった抜けが生じます。
添付文書を広告へ落とし込む際の考え方は、添付文書に書いてあれば広告で使える?も参考になります。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
EC審査はNGワード探しより、チェック工程を固定した方が再現性が上がります。商品名、画像、効能効果、レビュー、注意表示、購入導線をチェックリスト化しておけば、担当者が変わっても確認漏れを減らせます。広告を完成させてから法務・薬事へ回すのではなく、商品登録の設計時点でこの確認を入れることがポイントです。
まとめ
OTC医薬品のECページでは、商品説明本文だけをチェックしても足りません。
商品名は承認された名称等を基準にする。画像で承認外の効果や効果保証を作らない。効能効果に関する購入者レビューを掲載しない。そして、リスク区分に応じた注意表示や情報提供、購入確認の仕組みまで確認する。
特に2026年5月以降は販売制度が変わっています。最初に、その商品が一般用医薬品なのか、要指導医薬品なのか、さらに指定濫用防止医薬品などの追加確認が必要な商品なのかを特定してからEC画面を設計することが、最も手戻りの少ない進め方です。
OTC医薬品の広告上の表現について体系的に理解したい方は「OTC医薬品広告で注意すべき薬機法ルール|スイッチOTC・要指導医薬品・一般用医薬品の違い 」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、関連法令、厚労省の各種通知や公表資料、PMDA提供情報、業界団体の自主基準、消費者庁資料などを参考に、市販薬(OTC医薬品・要指導医薬品)のECショップ・通販ページにおける品名・ビジュアル・口コミ評価・注意表示・リスク分類・ネット販売時の情報提供手続き・決済画面など、実務面のチェックポイントについて観点を整理したものです。
なお、個々の販促訴求や販売形態の適否は、医薬品の分類、リスク区分、承認された効能・用量、使用上の注意点、販売方式、出稿メディア、購入時の情報照会フロー、サイト全体から受ける総合的印象等によって判断が左右されるため、必要に応じて最新の法規、行政発表資料、添付文書、承認文書や専門機関への相談を行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年09月26日)
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000100001(参照日:2026年09月26日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年09月26日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年09月26日)
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- 厚生労働省「インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成26年5月22日薬食監麻発0522第9号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0180&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年09月26日)
- 厚生労働省「医薬品の販売制度」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082514.html(参照日:2026年09月26日)
- 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」WEBマガジン・クローズアップ. https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html(参照日:2026年09月26日)
- 厚生労働省「令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58083.html(参照日:2026年09月26日)
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- 日本一般用医薬品連合会「『OTC医薬品等の適正広告ガイドライン2026年版』発刊のお知らせと冊子のお申込み」日本一般用医薬品連合会. https://www.jfsmi.jp/ad_guideline/(参照日:2026年09月26日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(参照日:2026年09月26日)
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免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



