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添付文書に書いてあれば広告で使える?医薬品広告で効能効果・用法用量・使用上の注意を読む方法

医薬品の添付文書に記載された内容を広告で使う際の確認ポイントを示す図解。「添付文書に書いてあれば広告で使える?」と問いかけ、①効能効果は承認範囲と条件を確認、②用法用量は広告で使い方を強めていないか確認、③使用上の注意は安全性の見せ方を確認、の3点を整理している。右側では添付文書の「効能効果」「用法用量」「使用上の注意」から広告画面へつながる流れを示し、最下部に「添付文書→確認→広告表現」の順で判断するとまとめている。

「添付文書に書いてある効能だから、このまま広告に使って大丈夫ですよね」。

医薬品案件ではよく出る確認です。結論から言うと、添付文書に記載があるだけでは、広告でそのまま使えるとは限りません。

一般用医薬品(OTC)では、承認された効能効果・用法用量の範囲を超えないことに加え、条件を削らない、効果や安全性を保証しない、広告全体で誤認させないことまで確認します。医療用医薬品はさらに別で、添付文書に正しく記載された効能効果であっても、一般人向け広告は行えません。

この記事では、制作会社が医薬品広告を審査するとき、添付文書のどこを、どのように読めばよいのかを整理します。

目次

添付文書に書いてあるだけでは「広告で使える」にならない

まず押さえたいのは、添付文書は広告コピー集ではないということです。

医薬品等適正広告基準では、承認を要する医薬品の効能効果について、明示・暗示を問わず承認範囲を超えてはならないとされています。用法用量についても、承認された範囲を超える表現や、不正確な表現によって効能効果や安全性を誤認させる広告はできません。

つまり、添付文書の「効能又は効果」「用法及び用量」は広告審査の重要な確認資料ですが、「書いてある文章を抜き出せば自動的にOK」という仕組みではありません。

さらに、承認された効能効果に一定の条件、いわゆる「しばり」が付いている場合、その条件を落として強く見せることはできません。複数の用法用量があるのに、特定の使い方だけを強調し、効能や安全性を誤認させる表現も認められません。

制作時は、まず医薬品広告のチェック体制の作り方で確認フローを決め、PMDAで対象品目の添付文書を確認します。PMDAでは医療用医薬品、一般用・要指導医薬品それぞれについて添付文書等を検索できます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
実務では「書いてあるか」だけではなく、「その一文を広告に移したとき、意味が変わらないか」を見ます。承認文言の一部だけを大きくし、条件を小さな注釈へ追いやれば、同じ単語が残っていても伝わり方は変わります。
さらに、法律上説明できる表現と、媒体考査まで含めて実際に通る表現は同じではありません。掲載先まで企画段階で確認しておけば、完成後の大幅な作り直しを減らせます。

事例1|OTCの「頭痛に」は使えても「必ず治る」は使えない

第2類医薬品の頭痛薬で効果を保証するような表現を用いた広告例。大きく「つらい頭痛を必ず治す!」「これで全快!」と表示し、服用すれば確実に治癒するかのように強く訴求している。左側に架空の頭痛薬「ClearAct EX」のパッケージと錠剤を配置し、「速く効く イブプロフェン200mg」「胃にやさしい」「眠くなる成分無配合」などの商品特徴を掲載。下部には「頭痛・生理痛・歯痛・発熱などに」と適応症を示し、右側に「累計出荷数800万箱突破」や購入ボタンを配置している。医薬品の効果を「必ず治す」「全快」と断定・保証する不適切な広告表現例である。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、一般用解熱鎮痛薬の承認された効能効果に「頭痛」が含まれているとします。この場合、承認範囲内で「頭痛に」と訴求することはできます。複数の効能効果を持つ医薬品について、広告媒体等の事情から承認効能の一部だけを広告できる場合もありますが、承認内容を正確に反映し、条件を落としたり別の効能に見える表現へ変えたりしないことが必要です。 

一方、「頭痛を必ず治す」「これで全快」のような保証表現はNGです。

承認された効能効果があることと、個々の使用者に確実な効果を保証できることは別です。医薬品等適正広告基準でも、効能効果や安全性が確実であるかのような保証表現は禁止されています。

「すぐ効く」も同じです。添付文書に「頭痛」と書かれているだけでは使えません。速効性の表現には、承認された効能効果・用法用量の範囲内であることに加え、医学・薬学上十分に証明されていることなど、別の判断が必要です。

この論点は医薬品広告で「すぐ効く」「即効」は使える?でも詳しく整理しています。

事例2|用法用量は広告用の「飲み方提案」に変えてはいけない

第2類医薬品の頭痛薬で、効かない場合に追加服用や短い間隔での連続服用を勧めるNG広告事例。「効かない時はもう1錠!」「短い間隔で続けて服用するのがおすすめです!」と大きく表示し、つらい時は追加でもう1錠、効かない時は間隔をあけずに続けて服用するよう促している。左側に頭痛でつらそうな女性と架空の頭痛薬「Reliefon EX」のパッケージ、錠剤を配置し、「速く・強くWの有効成分が痛みに効く」と訴求。下部には頭痛・生理痛・歯痛・発熱などへの効能や注文ボタンを掲載し、用法・用量を逸脱する服用方法を推奨する不適切な広告例である。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に添付文書で「15歳以上、1回1錠、1日3回まで」とされている医薬品を、「つらい時は追加でもう1錠」「効かない時は短い間隔で続けて服用」と広告するのはNGです。

承認された用法用量を超える使用方法の推奨になるためです。医薬品等適正広告基準では、用法用量について承認範囲を超える表現を認めていません。また、服用・使用場面を広告する場合、乱用助長を避け、内服剤では定められた用法用量を明瞭に表現することが示されています。

ここで見落としやすいのがコピー以外です。

たとえば、動画で短時間に何度も服用しているように見せる。ECページで大量購入を過度に促す。文字では正しい用法用量を書いていても、クリエイティブ全体が誤った使用方法を印象づけていないかまで確認します。

一般用医薬品の広告全体を確認する場合は、OTC医薬品広告で注意すべき薬機法ルールも併せて確認してください。

事例3|「副作用なし」は使用上の注意を読んでも導けない

第2類医薬品の鼻炎薬で、副作用の心配がないかのように訴求した広告表現のNG事例。「副作用の心配なし」「毎日使うものだから、安心して続けられます」と大きく表示し、自然由来の生薬成分や「眠くなりにくい成分配合」を強調して安全性を印象づけている。左側に架空の鼻炎薬「ナチュラルフィット 鼻炎カプセルa」のパッケージ、右側に快適そうな女性を配置し、花粉・ハウスダストによる鼻みず・鼻づまりへの効果や定期購入を訴求。下部には「すべての方に副作用が起こらないということではありません」と注記しているものの、広告全体では副作用の不存在を保証するような不適切な表現例である。
※自社で作成したイメージ画像です

「添付文書を確認したけれど、大きな注意事項は見当たらない。だったら『副作用の心配なし』と書けるのでは?」

この表現はNGです。

医薬品等適正広告基準は、効能効果だけでなく、安全性を保証する表現も禁止しています。「副作用の心配はない」など、安全性が確実であると保証するような表現は認められていません。 

また、使用・取扱い上の注意を特に喚起する必要がある医薬品について広告する場合は、その事項そのもの、または使用・取扱い上の注意に留意すべき旨を広告に付記・付言することが求められています。

つまり、「使用上の注意」はNGワードを探す欄ではありません。

誰が使ってはいけないのか。どのような条件で使う必要があるのか。広告によって安全性を実際以上に強く見せていないか。ここを確認するために読みます

「副作用なし」「安全だから誰でも使える」といったコピーは使えません。安全性訴求は医薬品広告で「副作用なし」「安全」は使える?でも確認できます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックで効能効果だけを見ると、制作物は途中で止まりやすくなります。用法用量、禁忌や注意事項、画像、注釈、CTAまで確認して初めて「どう売るか」を設計できます。
薬事だけでも、マーケティングだけでも足りません。規制範囲を確認しながら、残せる訴求を探していく作業が必要です。
薬機法対応はNGワードを探すだけではなく、根拠を確認し、伝えたい内容を社会に出せる表現へ変換する仕事です。

医療用医薬品は添付文書に書いてあっても一般向け広告に使えない

ここはOTCと分けて考えます。

医療用医薬品は、添付文書に正式な効能効果が書かれていても、その効能を一般消費者向け広告に使うことはできません。

医薬品等適正広告基準では、医師・歯科医師が使用する、または処方せん等によって使用されることを目的とする医薬品について、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行わないものとしています。

したがって、「添付文書に書いてある正式な効能だから」という理由で、医療用医薬品の商品名と効能を一般消費者向けLPやSNS広告へ掲載することはできません。

一方、医療関係者向けの販売情報提供活動では、効能・効果、用法・用量等を承認範囲内とすることに加え、有効性だけを恣意的に選ばず、副作用を含む必要な安全性情報も提供することが求められています。承認外の使用方法を推奨することも認められていません。

つまり、医療用医薬品で添付文書を読む目的は「使えるコピーを探す」ことではなく、承認範囲と適正使用の条件を把握することです。

なお、医療用医薬品の添付文書や臨床試験データが存在しても、その内容をOTC広告へそのまま転用できるとは限りません。資料の使い分けについては「医療用医薬品の論文・臨床試験データをOTC広告に使える? 」でまとめています。 

実務では添付文書を「商品区分→効能効果→用法用量→注意事項」の順で読む

制作会社が確認するなら、最初に商品区分を確定します。

一般用医薬品なのか、要指導医薬品なのか、医療用医薬品なのか。次にPMDAで対象品目を特定し、「効能又は効果」「用法及び用量」を確認します。その後、「してはいけないこと」「相談すること」などの使用上の注意を読み、広告案のコピー、画像、体験談、注釈、CTAと照合します。PMDAの検索では、添付文書だけでなく、医療用医薬品については審査報告書やRMPなどの関連資料も確認できます。

最後に確認するのは、単語の一致ではありません。

承認文言を広告用に短くした結果、意味を強めていないか。条件を落としていないか。効果や安全性を保証していないか。画像や見出しと組み合わせることで、添付文書以上の効果を暗示していないか。

医薬品等適正広告基準の解説自体も、広告の違反性は文面だけで形式的に判断するのではなく、媒体、広告表現全体の構成、説明の文脈などを考慮する考え方を示しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
根拠資料は、「ある・ない」で管理するより、「この資料で、このコピーのどこまで説明できるか」まで紐づけた方が実務では使いやすくなります。
効能効果、用法用量、注意事項、根拠資料とコピーを対応させておけば、クライアントにも「なぜここは残せて、ここは削るのか」を説明できます。
感覚で見つけた訴求を否定するのではなく、説明できる根拠を探し、通る表現へ変える。そのための確認資料として添付文書を使うイメージです。

まとめ

添付文書に書いてあるだけでは、広告でそのまま使えるとは限りません。

OTCでは、承認された効能効果・用法用量の範囲を確認したうえで、しばり条件、保証表現、速効性、安全性、使用上の注意まで確認します。医療用医薬品は、正しい承認効能であっても一般人向け広告には使えません。

制作実務では、「添付文書から使える言葉を探す」のではなく、商品区分を確定し、承認範囲と適正使用条件を広告全体へ落とし込むと考えると判断しやすくなります。

医薬品の広告上の表現について体系的に理解したい方は「医薬品広告のチェック体制の作り方|PMDA・インタビューフォームを活用した薬機法確認フロー 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、関係法令、厚生労働省発出の通知、PMDA提供の医薬品情報、業界自主基準等を参考に、医薬品プロモーションにおける添付文書や電子添文の解釈手法、承認を受けた効能効果・用法用量の適正範囲、限定的条件を伴う効能、使用上の注意の扱い、安全性保証に関する表現規制、医療用医薬品と一般用医薬品の広告対象範囲の違いの観点から整理を試みています。
それぞれの広告訴求の妥当性は、該当品目の分類、承認内容、効能効果や用法用量、添文上の制約事項、使用上の注意、掲載媒体、画像・体験談・補足注釈を合算したプロモーション全体が与える印象等に応じて判断が分かれるため、必要に応じて最新の電子添文、承認書、公的通知や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医薬品の添付文書に記載された内容を広告で使う際の確認ポイントを示す図解。「添付文書に書いてあれば広告で使える?」と問いかけ、①効能効果は承認範囲と条件を確認、②用法用量は広告で使い方を強めていないか確認、③使用上の注意は安全性の見せ方を確認、の3点を整理している。右側では添付文書の「効能効果」「用法用量」「使用上の注意」から広告画面へつながる流れを示し、最下部に「添付文書→確認→広告表現」の順で判断するとまとめている。

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