「初回500円」「初回90%OFF」など、初回価格を大きく見せる定期購入LP(ランディングページ)は珍しくありません。初回価格を強調すること自体は禁止されていませんが、2回目以降の価格、契約期間、解約条件などを小さな文字や離れた場所へ置けば、特定商取引法上の問題になります。
重要なのは、消費者が「いくら支払う契約なのか」「何回受け取るのか」「いつ、どのように解約できるのか」を、申込み前に明確に確認できることです。LP広告では特商法上の広告表示や誇大広告等を確認し、契約申込みを確定する最終確認画面では、表示義務や誤認表示禁止を別に確認します。
回数や期間が決まっている定期購入では、契約条件を広告で明確に示すとともに、最終確認画面では各回の代金や契約全体で負担する金額を明確に認識できるよう表示する必要があります。一方、無期限の定期購入では、無期限である旨や一定期間の支払額の目安を分かりやすく提示することが望ましいとされています。
本記事では、定期購入LPで確認すべき初回価格、2回目以降価格、総額、解約条件の注意点を、特定商取引法と景品表示法の観点から解説します。
初回価格だけを大きく見せ、定期条件を埋もれさせる表示はNG
「初回500円」という価格が事実であっても、それだけで広告表示が適法になるわけではありません。
特定商取引法では、通信販売の広告について販売価格、送料、支払時期・方法、引渡時期、申込みの撤回・解除に関する事項などの表示が求められます。定期購入で解約期限や違約金等がある場合は、その内容も表示対象です。
さらに、インターネット通販の最終確認画面では、定期購入について各回の代金と支払総額を明確に表示する必要があります。初回と2回目以降で価格が違う場合は、初回価格と対比して2回目以降の価格も明確に表示します。
回数が決まっている契約なら、契約全体の総額まで確認する必要があります。たとえば「3回の受取りが必要、初回500円、2回目・3回目は各4,980円」であれば、支払総額は10,460円です。初回500円だけを大きく表示し、残りの条件を小さく表示する設計では足りません。
一方、解約の申出があるまで継続する無期限の定期購入では、契約が無期限であることを明確に表示します。消費者庁の通信販売広告Q&Aでは、半年分や1年分など一定期間の購入価格を、あくまで目安であることを明確にしたうえで表示することも望ましいとされています。
定期購入を含む通販LP全体の確認項目は、通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法でも整理しています。
景品表示法では「安く買える」という印象と実際の条件を確認する
景品表示法では、商品の価格その他の取引条件について、実際より著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示が規制されます。
たとえば、「通常価格9,980円→初回500円」「95%OFF」などと表示する場合は、比較対照価格の根拠だけでなく、比較している商品・契約条件が対応しているかも確認します。
通常価格が単品購入価格で、500円が定期購入の初回限定価格である場合には、単純に価格だけを比較できるとは限りません。定期購入であること、2回目以降の価格、契約期間、解約条件などを含めて、一般消費者に誤認を与えない表示になっているかを見る必要があります。
消費者庁の価格表示ガイドラインでも、販売価格だけでなく、その価格が適用される商品の範囲や顧客の条件を正確に表示することが必要とされています。比較対象とする「通常価格」自体に根拠がなければ、二重価格表示として別の問題も生じます。
初回価格の見せ方は、「初回500円」「初回無料」は特商法上どう表示すべき?で詳しく解説します。
事例1:初回500円、2回目以降4,980円を小さく表示するLP

たとえば、3回の受取りが条件となる定期購入LPで、ファーストビューに「初回限定500円」と大きく表示し、ページ下部に小さく「2回目以降4,980円、3回の継続が必要」と表示するケースです。
初回価格が500円という事実だけでは足りません。
最終確認画面では、初回500円、2回目4,980円、3回目4,980円という各回の代金に加え、契約全体で支払う金額を明確に認識できるように表示します。送料・手数料等の追加負担がない場合、商品代金の支払総額は10,460円です。
送料や手数料が別途必要な場合は、それらも含めて、消費者が実際に負担する金額を確認できる表示にします。特に、初回価格だけを強調し、その他の定期条件を小さい文字や離れた場所に表示して、1回だけの購入と誤認させる表示は、特定商取引法第12条の6第2項との関係で注意が必要です。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
定期購入LPは、コピー完成後に特商法の注意書きを追加する進め方にすると、価格訴求やCTA(行動の指示)周辺を大きく直すことがあります。初回価格、2回目以降価格、最低受取回数、総額、解約条件を企画時点で確定し、その条件を前提にLPを作る方が手戻りを減らせます。広告チェックを制作の最後だけに置かない考え方です。
事例2:2026年の行政処分でも「初回500円」と解約条件が問題に


2026年3月、消費者庁はサプリメントを通信販売していた株式会社ピュレアスに対し、通信販売に関する広告、申込受付、契約締結の一部について3か月の業務停止を命じました。
公表資料によると、広告では「500円」「定期縛りなし」「1回で解約OK」などと表示され、500円だけを支払って1袋を購入し、追加負担なく解約できるような表示になっていました。しかし実際には、2回目を受け取らずに解約する場合、9,480円の支払いが必要な契約でした。
さらに最終確認欄では、2回目以降の送料を含む販売価格が表示されておらず、「合計500円」など初回分だけを分離して強調する表示も問題とされました。消費者庁は、特定商取引法第12条の誇大広告、第12条の6第1項の表示義務違反、同条第2項の誤認表示を認定しています。
「初回価格は事実だから問題ない」ではなく、契約全体で消費者が何を負担するのかを見る必要があることが分かる事例です。
なお、サプリメントの定期購入LPでは、価格・解約条件の特商法だけでなく、商品の効能表現について薬機法・健康増進法・景品表示法も確認します。「健康食品広告のルール完全ガイド」もあわせてご確認ください。
事例3:「いつでも解約OK」に期限や方法の制限がある


「回数縛りなし・いつでも解約OK」というコピーも、実際の解約条件と合わせて確認します。
たとえば、「次回発送日の10日前まで」「電話受付のみ」「平日10時〜17時」といった条件があるにもかかわらず、「いつでも解約OK」だけを強く表示する場合は注意が必要です。消費者庁のガイドラインでも、「いつでも解約可能」と強調しながら実際には解約条件が付いている場合、人を誤認させる表示に該当するおそれがあるとされています。
解約期限、解約方法の制限、違約金その他の不利益がある場合は、その内容を明確に表示します。特に、電話受付のみ、受付時間が限定されている、次回発送日の一定日前までに連絡が必要といった条件は、広告画面や最終確認画面で分かりやすく示すことが重要です。
ただし、解約条件を表示していれば、その条件が当然に有効になるわけではありません。表示義務を満たしているかと、解約条件自体が民事上有効かは別に判断します。不当に消費者の権利を制限する内容になっていないか、消費者契約法等の観点からも確認が必要です。
「いつでも解約OK」の詳しい判断は、定期購入LPの解約条件・解約期限・解約方法の注意点で整理しています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上必要な文言をページ内のどこかに入れれば終わり、ではありません。初回価格を大きく見せ、その条件を離れた場所へ置けば、消費者が受ける印象は変わります。LP、申込フォーム、カート、最終確認画面を別々にチェックせず、一つの購入導線として確認する。制作時にはチェック項目を固定しておく方が抜けを減らせます。
定期購入LPはLPだけでなく最終確認画面までチェックする
制作・審査では、少なくとも次の項目をLPから最終確認画面まで通して確認します。
- 初回価格と2回目以降の価格
- 定期購入であること、受取回数・配送間隔
- 回数が決まっている場合の支払総額
- 送料、手数料など追加で負担する金額
- 解約申出の期限、解約方法
- 初回解約時の差額請求、違約金などの不利益
- 「いつでも解約」「縛りなし」「お試し」等の強調表示と実際の契約条件
最終確認画面の具体的な表示項目は、最終確認画面に表示すべき項目とは?も確認してください。申込ボタン周辺については、通販LP・定期購入LPのCTA設計と特商法の注意点で詳しく扱います。
まとめ
定期購入LPで「初回500円」「初回90%OFF」を使うこと自体は禁止されていません。ただし、初回価格だけを強調し、2回目以降価格、支払総額、受取回数、解約条件を認識しにくくする表示はNGです。
特に最終確認画面では、定期購入の各回の価格と支払総額を明確に示し、初回と2回目以降で価格が異なる場合は両方を明確に表示します。解約期限や追加負担がある場合も隠してはいけません。
広告チェックでは「特商法に基づく表記」のページだけを見るのではなく、ファーストビュー、価格表示、CTA、申込フォーム、最終確認画面まで一つの購入導線として確認してください。
通販・EC・LPで確認すべき特定商取引法の注意点については、「通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法|表示項目・最終確認画面・定期購入の確認ポイント」もあわせて確認してください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、以下の法令、消費者庁・特定商取引法ガイドの公式資料、行政処分事例、景品表示法上の価格表示資料等を参考に、定期購入LPにおける初回価格、2回目以降の価格、支払総額、受取回数、解約条件、最終確認画面、二重価格表示等の実務上の注意点を整理しています。
個別の表示・契約条件の適否は、契約期間、購入回数、各回の価格、送料・手数料、解約期限・方法、初回解約時の追加負担、比較対照価格の実態、LPから最終確認画面までの表示全体などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(参照日:2026年09月27日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089(参照日:2026年09月27日)
- 消費者庁「通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/(参照日:2026年09月27日)
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- 消費者庁「特定商取引法違反の通信販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示並びに当該業者の代表取締役に対する業務禁止命令(3か月)について」(令和8年3月19日)消費者庁. https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_260319_01.pdf(参照日:2026年09月27日)
- 消費者庁「執行事例の検索」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/search/result3.html(参照日:2026年09月27日)
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- 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/(参照日:2026年09月27日)
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免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
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実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



