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通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法|表示項目・最終確認画面・定期購入の確認ポイント

「通販・EC・LP運営で注意する特定商取引法」という見出しの横に、広告・LP、商品ページ、カート、最終確認画面を矢印でつないだ購入導線を示す図解。下部には、価格・送料・返品条件などの表示項目、総額・支払条件・訂正を確認する最終確認画面、継続価格・回数・解約方法を確認する定期購入の3つのポイントを配置し、特商法表記ページだけでなく購入導線全体を照合する重要性を示している。

通販・ECサイトやLPを制作するとき、「特定商取引法に基づく表記」のページを用意すれば、特商法対応は終わりだと思っていないでしょうか。

結論からいうと、特商法対応は表記ページだけでは完結しません。販売価格、送料、支払方法、返品条件などを記載するだけでなく、LP、商品ページ、申込フォーム、カート、最終確認画面を通じて、契約条件が一貫して分かりやすく表示されているかを確認する必要があります。

特に、初回価格を大きく表示する定期購入やサブスクリプションでは、2回目以降の価格、各回の数量、支払総額、契約期間、発送時期、解約方法などが問題になりやすいポイントです。消費者庁も、インターネット通販の最終確認画面では、注文確定直前に一定の契約事項を簡単に確認できるよう表示する必要があるとしています。

この記事では、通販・EC・LP運営で確認すべき特商法の基本から、特商法表記ページと最終確認画面の違い、定期購入の表示、薬機法・景品表示法との役割分担、制作会社や広告代理店が行うべき公開前チェックまで、実務者向けに整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • 特商法は購入導線全体で確認する:通販・ECサイト・通販LPでは、特商法表記ページだけでなく、広告、商品ページ、カート、申込フォーム、最終確認画面まで含めて販売条件を確認します。
  • 定期購入では初回価格以外の条件も明確にする:各回の数量と価格、2回目以降の代金、送料、支払時期、発送時期、継続条件、解約方法などを、消費者が申込み前に理解できる状態にすることが基本です。
  • LPだけで広告チェックを終わらせない:制作会社や広告代理店は、カートASPやモール側の画面も含め、LP、特商法表記、FAQ、最終確認画面の表示が一致しているかを確認する必要があります。
目次

通販・EC・LPは特定商取引法の対象になるのか

「通販・EC・LPは通信販売として確認」という見出しの図解。中央では「インターネットで広告」と「通信手段で申込み」の2条件から、「通信販売として確認」につながることを示している。下部には、SNS・検索広告、記事LP・通販LP、商品ページ、申込フォーム・カート、最終確認画面、注文完了・確認メールの6工程を矢印でつなぎ、広告から注文完了までを一つの購入導線として横断確認する構成になっている。最下部では、「何を売るか」と「どのように売るか」を分けて確認することが重要だとまとめている。

通販・ECサイト・通販LPは、インターネット上で商品やサービスを広告し、通信手段で申込みを受ける場合、特定商取引法上の通信販売として確認する必要があります。

特定商取引法は、訪問販売や通信販売など、消費者トラブルが生じやすい取引について、事業者が守るべきルールと消費者保護のための仕組みを定めた法律です。通信販売とは、事業者が新聞、雑誌、インターネットなどで広告し、郵便や電話などの通信手段によって申込みを受ける取引を指します。

通販・ECは通信販売として確認する

一般的な自社ECサイトで、消費者が商品を選び、カートに入れて注文する販売方法は、通常、通信販売として特商法の確認対象になります。

対象となり得る媒体は、いわゆるECサイトだけではありません。消費者庁は、通信販売広告の媒体として、インターネット上のWebサイト、オークションサイト、電子メールなども挙げています。広告を見た消費者が通信手段によって申込みをできる構成であれば、媒体の名称ではなく、実際の販売方法から判断することになります。

例えば、次のようなページや導線が確認対象になります。

  • 自社ECの商品ページ
  • 1商品型の通販LP
  • 記事LPから販売LPへ遷移する導線
  • SNS広告から申込フォームへ直接移動する導線
  • チャット型の購入フォーム
  • モール内の商品販売ページ
  • デジタル教材やオンラインサービスの申込ページ

「Webサイトだから対象になる」のではなく、そこで何を表示し、どのように契約の申込みを受けているかを見ることがポイントです。

LPも申込み導線があれば確認対象になり得る

LP内にカートボタンや申込フォームがある場合はもちろん、LPから別ドメインのカートへ移動する場合も、広告から申込みまでを一つの購入導線として確認する必要があります。

実務では、「LPは広告代理店が制作し、カートはクライアントや別会社が管理している」というケースが少なくありません。しかし、消費者は制作会社の担当範囲を意識して購入するわけではありません。

LPには「初回980円」と表示され、カートには「初回1,480円」と表示されている。LPでは送料無料と読めるのに、注文確認画面では送料が加算される。このような食い違いがあると、特商法上の表示だけでなく、景品表示法上の有利誤認表示も問題になり得ます。

商材ではなく販売方法で見る

特商法の通信販売規制は、健康食品や化粧品だけに適用されるものではありません。雑貨、食品、衣料品、教材、デジタルコンテンツ、一定のサービスなども、販売方法によって確認対象になります。

健康食品や化粧品では薬機法の広告表現に意識が向きやすいのですが、薬機法上の表現を修正しても、価格、送料、定期購入、返品、解約条件の表示が不十分であれば、通販広告として別の問題が残ります。

したがって、通販広告の審査では「何を売っているか」と「どのように売っているか」を分けて確認することが出発点です。

通販・EC・LPの特商法確認範囲

SNS広告・検索広告
        ↓
記事LP・通販LP
        ↓
商品ページ
        ↓
申込フォーム・カート
        ↓
最終確認画面
        ↓
注文完了画面・確認メール

特商法対応では、上記のうち一つのページだけを見るのではなく、消費者が実際にたどる順番で表示を確認します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
通販LPのチェックでよくあるのが、完成したLPのPDFだけが届くケースです。しかし、それでは特商法の確認としては足りません。定期購入の価格や解約条件は、LP上では問題がなくても、カートや最終確認画面で違う表示になっていることがあります。
ここで大事なのは、制作担当者の担当範囲ではなく、消費者がどの画面を通して注文するかです。LP、特商法表記、カート、最終確認画面を一つの広告・申込導線として確認する必要があります。

ECサイト・通販LPで表示すべき主な項目

ECサイト・通販LPで購入前に確認できるよう表示すべき主な項目を整理した図。商品・金額・支払いでは商品名・数量、販売価格、送料・手数料、支払方法・支払時期を確認し、申込み・提供条件では引渡し・発送時期、申込み期間、特別な販売条件を確認する。返品・継続契約では返品条件、解約条件、定期購入条件を整理し、事業者情報として販売事業者の情報を表示する。さらにデジタル商材では利用に必要な動作環境も確認し、LP・商品ページ、特定商取引法表記、カート、最終確認画面の4つの画面で表示内容を照合し、単に記載があるかだけでなく、消費者が購入判断時に価格・契約条件・事業者情報を認識できる状態かを確認することが重要であると示している。

ECサイトや通販LPでは、価格、送料、支払方法、引渡時期、返品・解除条件、事業者情報などを、消費者が申込み前に確認できるよう表示することが基本です。

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売広告の主な表示事項として、販売価格、送料、支払時期・方法、商品の引渡時期、申込期間、返品・解除に関する事項、販売業者の名称・住所・電話番号などを挙げています。契約を2回以上継続して締結する必要がある場合には、その旨と販売条件も表示事項になります。

価格・送料・支払方法

まず確認するのは、消費者がいくら支払うのかです。

商品本体の価格だけではなく、送料、決済手数料、代引手数料など、購入者が負担する金銭がある場合は、その内容と金額を確認します。

「商品価格1,980円」と大きく表示し、実際には別途送料880円が必要であれば、価格表示だけを見た消費者が支払額を正確に把握できるかを検討しなければなりません。

支払方法についても、「クレジットカード」「後払い」「代金引換」と記載するだけでなく、支払時期や手数料の有無が別ページと食い違っていないかを確認します。

引渡し時期・返品・解約条件

商品の引渡時期は、「ご注文後順次発送」だけでは、消費者が具体的な時期を判断しにくい場合があります。

在庫商品であれば「注文確定後3営業日以内に発送」、予約商品であれば「2026年9月上旬から順次発送」など、実際の運用と対応した表示を検討します。

購入者都合による返品については、少なくとも次の内容を確認します。 

  • 返品できるか
  • 返品できる期間
  • 未開封・未使用などの条件 
  • 返品送料を誰が負担するか
  • 返品の連絡先と方法

「返品不可」と表示すること自体が直ちに不十分というわけではありません。重要なのは、対象商品との関係、表示場所、文字の大きさ、購入ボタンや価格表示との位置関係などから、消費者が購入前に返品条件を明確に認識できることです。返品特約では、返品の可否、返品期間・条件、返品に係る費用負担などを明示する必要があります。 

一方で、商品不良や誤配送など、契約内容に適合しない商品への対応は、購入者都合の返品とは分けて整理します。契約不適合品への対応について特約を設ける場合は、その内容を別途表示します。 

また、定期購入では、受領済み商品の「返品」と、次回以降の配送を止める「解約」を分けて記載します。注文確定後・発送前の「キャンセル」についても、必要に応じて別の手続きとして整理しておくと実務上分かりやすくなります。

解約条件等の注意点は「「いつでも解約OK」は使える?」「定期購入LPの特商法チェック」をご覧ください。

事業者情報・連絡先

通信販売広告では、事業者の名称、住所、電話番号なども確認します。法人がインターネット広告を行う場合には、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名も表示事項になります。

実務では、次のような記載ミスが起きやすくなります。

  • 古い本店住所のままになっている
  • ブランド名だけで法人名が表示されていない
  • 電話番号が現在使われていない
  • 問い合わせフォームしかなく、電話番号が確認できない
  • 販売業者と運営代行会社が混同されている
  • 責任者が退職している

バーチャルオフィス等を使用する場合も、形式的に住所や電話番号を掲載すればよいわけではありません。法人を含む一般論としては、現に活動している住所と、確実に連絡を取れる電話番号を正確に表示することが原則です。

個人事業者がバーチャルオフィス等を表示する場合は、消費者との連絡機能や、運営事業者との連絡体制など、消費者庁Q&Aに示された条件も確認します。消費者から連絡が取れない状態であれば、表示義務を果たしたことにはなりません。

ソフトウェア・デジタル商材等の追加項目

プログラム等のソフトウェアに係る取引では、利用に必要な動作環境を表示する必要があります。対応OS、CPU、メモリ、ストレージの空き容量、対応ブラウザ、通信環境など、利用可否に関わる条件は購入前に確認できる位置へ表示します。

その他のデジタルコンテンツでも、対応端末や閲覧環境が利用条件となる場合は、トラブル防止のため、必要な条件を分かりやすく示しておきます。

EC・LP公開前の表示チェックリスト

表示項目LP・商品ページ特商法表記カート最終確認画面
商品名・数量○(要確認)必要に応じて
販売価格
送料・手数料
支払方法・時期必要に応じて
引渡・発送時期必要に応じて
返品条件
解約条件定期購入では要確認
事業者情報リンク確認必要に応じて必要に応じて
定期購入条件
申込みの期間 設定時は要確認必要に応じて
特別な販売条件 設定時は要確認 必要に応じて 必要に応じて ○ 

「特商法表記に書いてあるか」だけでなく、「購入を判断する段階で消費者が認識できるか」を見ることがポイントです。

なお、記載項目と実務上の注意点については「通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法|表示項目・最終確認画面・定期購入の確認ポイント」もご覧ください。

特商法表記ページを作れば十分なのか

特定商取引法に基づく表記のページを設置しても、それだけで通販・ECサイト全体の特商法対応が完了するわけではありません。

特商法表記ページは重要ですが、広告画面や最終確認画面には、それぞれの段階で求められる表示があります。特商法表記ページへリンクを置き、重要な契約条件をすべてリンク先にまとめればよいとは限りません。

特商法表記ページと広告表示は役割が違う

特商法表記ページは、販売業者、所在地、連絡先、支払方法、引渡時期、返品条件などをまとめて確認できるページです。

一方、LPや商品ページは、消費者が商品や販売条件を比較し、購入を判断する広告画面です。そこで「初回980円」「送料無料」「いつでも解約可能」などと表示するなら、その表示だけで誤解が生じないようにしなければなりません。

ページ下部の特商法表記に正しい条件が書かれていても、LP上部の強調表示から受ける印象を十分に修正できない場合があります。

例えば、次のような表示です。

初回980円
今すぐお試し

ページ下部に小さく「5回の継続が条件です」と書かれている場合、消費者が「980円だけで試せる」と受け取る可能性があります。重要な条件を遠い位置の注釈や別ページに委ねるのではなく、初回価格に近接した位置で分かりやすく表示する設計が必要です。

広告表示については「「初回500円」「初回無料」は特商法上どう表示すべき?定期購入LPの価格表示と申込導線の注意点」でも詳しく解説しています。

特商法表記とLPの不一致を防ぐ

よくある不一致には、次のようなものがあります。

LPの表示特商法表記・カートの表示実務上の問題
送料無料一部地域は追加送料対象地域が不明確
いつでも解約可能次回発送10日前まで期限がLPで分からない
初回980円2回目以降6,980円継続後の負担が分かりにくい
30日間返金保証未開封商品のみ対象保証条件の印象が異なる
最短翌日発送通常7営業日以内発送時期が一致しない

公開前には、各ページを個別に読むだけでなく、同じ条件を横方向に照合する作業が欠かせません。

オンライン販売の最終確認画面で確認すべきこと

「最終確認画面で表示する6項目」を整理した図解。左側に、分量・数量、価格・送料・総額、支払時期・方法、引渡・提供時期、申込期間、返品・撤回・解約の6項目をカードで配置している。右側には最終確認画面のイメージとともに、「確認・訂正できるか」として数量変更、配送先修正、支払方法変更、前の画面へ戻ること、「ボタン文言」として注文確定と分かる表示にすることや「次へ」だけにしないことを示している。下部では、最終確認画面は契約内容を確認し、必要に応じて訂正できる設計にすることが重要だとまとめている。

最終確認画面では、注文確定の直前に、数量、価格、支払時期・方法、引渡時期、申込みの期間、返品・解約条件を簡単に確認できるよう表示する必要があります。

消費者庁は、インターネット通販で申込ボタン等をクリックすることにより申込みが完了する画面を、一般に最終確認画面として整理しています。SNSやチャット型のECサイトも含まれます。

最終確認画面で表示する6項目

最終確認画面では、主に次の事項を確認します。

  1. 商品の分量・数量、サービスの提供回数
  2. 販売価格・対価、送料、支払総額
  3. 支払時期・支払方法
  4. 引渡時期・サービスの提供時期
  5. 申込期間がある場合の期限
  6. 返品、申込みの撤回、解約に関する条件

消費者が複数の商品を購入する場合には支払総額を表示し、定期購入では各回の数量や2回目以降の代金、各回の請求時期、次回発送時期なども確認対象になります。

注文内容を確認・訂正できるか

最終確認画面は、表示事項を並べるだけでは不十分です。消費者が申込内容を容易に確認し、誤りがあれば訂正できる構成になっているかも確認します。

例えば、次のような点です。

  • 商品数量を変更できるか
  • 不要なオプションを外せるか
  • 配送先を修正できるか
  • 支払方法を変更できるか
  • 定期購入か単品購入かを確認できるか
  • 注文を確定せず前の画面へ戻れるか

消費者が内容を容易に確認・訂正できるようにしていない場合は、「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」として行政処分の対象になり得ます。

ボタンの文言にも注意する

注文確定ボタンが「送信する」「次へ」「無料で試す」など、契約の申込みが完了することを認識しにくい表現になっていないかも確認します。

無料診断やアンケート回答の続きに見える画面で、実際には有料商品の注文が確定する設計であれば、消費者が申込みであることを誤認する可能性があります。

ボタンの文言だけで判断するのではなく、ボタン付近の表示、画面全体の流れ、直前までの説明を含めて、「押すと何が起きるか」が明確になっているかを見ます。

定期購入・サブスクLPで特商法上注意すべき表示

定期購入やサブスクリプションでは、初回価格だけでなく、各回の数量と価格、送料、支払総額、継続期間、発送時期、解約方法・期限などを一体として表示する必要があります。

定期購入広告では、初回の割引価格が強く目立つ一方で、2回目以降の負担や継続条件が見落とされやすくなります。

初回価格と2回目以降の価格

「初回500円」と表示する場合は、少なくとも次の条件を確認します。

  • 2回目以降はいくらか
  • 各回に送料や手数料がかかるか
  • 1回当たり何個届くか
  • 何日または何か月ごとに届くか
  • 最低購入回数があるか
  • 最低購入回数までの支払総額はいくらか

初回価格だけを大きく表示し、2回目以降の価格を小さな注釈にする構成は、広告全体の印象から検討する必要があります。

回数縛りがない契約も表示が必要

「回数縛りなし」であっても、定期購入であることには変わりありません。

消費者から解約の申出がない限り継続する契約であれば、その旨を分かりやすく表示します。期間の定めがなく総額を計算できない場合には、半年分や1年分など一定期間の支払額を目安として示しつつ、その期間で契約が終了するとの誤解を与えないようにする方法が、消費者庁のQ&Aで示されています。

「回数縛りなし」は、「自動的に1回で終了する」という意味ではありません。

解約方法・解約期限

解約方法を電話に限定する、次回発送の10日前までに連絡が必要、専用フォームからの手続きが必要といった条件がある場合は、その内容を確認します。

特に、消費者が想定しにくい解約手順や、申込時よりも複雑な手続きを求める場合は、リンク先だけに表示するのではなく、広告画面や最終確認画面でも明確に表示する必要があるとガイドラインで説明されています。

また、解約条件を表示すれば、どのような制限でも有効になるわけではありません。ガイドラインも、表示したことによって解約制限の民事上の有効性が認められるわけではなく、消費者契約法等によって無効となる場合があるとしています。

定期購入LPの表示例

確認項目分かりにくい表示例見直しの方向性
契約形態初回お試し500円定期購入であることを近接表示
2回目以降詳細は特商法表記へ2回目以降の価格を価格付近に表示
数量毎月お届け各回の商品数・内容量を表示
支払総額記載なし最低回数がある場合は総額を表示
解約期限いつでも解約可能次回発送日の何日前までかを表示
解約方法お問い合わせください電話・Web等の具体的方法を表示
自動更新記載なし解約しない限り継続する旨を表示

「使ってはいけない単語」を探すより、広告全体が「1回だけ安く買える」と約束しているように見えないかを確認する方が実務的です。

特商法違反については「特商法違反になるケースとは|広告表示・定期購入・最終確認画面で見落としやすいリスク」をご覧ください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
定期購入広告では、「初回」という言葉が使えるか、「いつでも解約可能」と書けるかという質問をよく受けます。ただ、単語だけで判断すると本質を見失います。見るべきなのは、ファーストビューから申込ボタンまでを読んだ消費者が、どのような契約だと理解するかです。初回価格ばかりが強調され、継続条件が注釈に埋もれていれば、言葉自体に問題がなくても広告全体として誤解を招く可能性があります。文言チェックと画面設計は分けずに確認すべきです。

特商法と薬機法・景品表示法の違い

通販広告では、特商法、景品表示法、薬機法を別々に確認しつつ、最後は広告全体として横断的に見る必要があります。

それぞれの法律は重なる部分がありますが、主な確認対象は異なります。

法規制主な確認対象通販LPでの例
特定商取引法販売方法、契約条件、申込段階の表示価格、送料、定期購入、解約、返品、最終確認画面
景品表示法商品・サービスの内容や取引条件に関する誤認表示No.1、通常価格、割引率、効果の根拠、送料無料表示
薬機法医薬品等の広告、効能効果・安全性等の表現化粧品の効能範囲、医薬部外品の承認範囲、未承認医薬品的な表示

景品表示法では、商品・サービスの品質や内容を実際より著しく優良に見せる表示や、価格その他の取引条件を実際より著しく有利に見せる表示が規制されます。

薬機法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の広告について規制が設けられており、承認等を要する医薬品等では、承認された効能効果や性能の範囲を超えた表現をしないことなどが求められます。

一つの表示に複数の法律が関係する

例えば、健康食品の定期購入LPに次の表示があるとします。

通常価格9,800円
今だけ初回500円
飲むだけで血糖値が正常に

この場合、少なくとも次の観点が考えられます。

  • 通常価格に販売実態や根拠があるか:景品表示法
  • 初回価格と定期購入条件が分かりやすいか:特商法・景品表示法
  • 血糖値に対する効果を表示できる商材か:薬機法、健康増進法等
  • 最終確認画面で総額や解約条件が確認できるか:特商法

薬機法チェックで効能表現だけを修正しても、定期購入条件の問題は残ります。反対に、特商法表記が整っていても、通常価格に根拠がなければ景品表示法上の問題が生じ得ます。

詳しくは「特定商取引法と薬機法・景品表示法の違い|広告制作で確認すべき法令を比較解説」をご覧ください。

制作会社・広告代理店はどこまで確認すべきか

制作会社や広告代理店は、自社の制作範囲だけでなく、消費者が実際に通る購入導線を確認できる体制を整えることが重要です。

最終的な法的責任の所在は契約関係や個別事情によって異なりますが、「カートは制作範囲外なので見ていない」という進め方では、表示の不一致を発見できません。

最初に販売条件を確定する

LP制作に入る前に、少なくとも次の情報をクライアントから受け取ります。

  • 単品購入か定期購入か
  • 初回価格と2回目以降の価格
  • 各回の商品数
  • 送料、決済手数料
  • 配送周期
  • 最低購入回数
  • 支払総額
  • 解約方法と期限
  • 返品・返金保証の条件
  • 発送時期
  • 使用するカートASPやモール

条件が確定していない段階でファーストビューや価格訴求を作ると、後から大幅な修正が発生します。

カート画面をスクリーンショットで確認する

広告審査担当者がカート管理画面へ入れない場合は、テスト注文を行い、画面ごとのスクリーンショットを共有してもらいます。

最低限、次の画面を確認します。

  • 商品選択画面
  • 顧客情報入力画面
  • オプション選択画面
  • 最終確認画面
  • 注文完了画面
  • 注文確認メール
  • マイページの解約画面

PC表示だけでなく、スマートフォン表示も確認します。PCでは条件が横並びで見えていても、スマートフォンでは注釈が離れたり、アコーディオンの中に隠れたりすることがあるためです。

モールやカートASP任せにしない

楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング等のモールや、カートASPに表示用テンプレートが用意されていても、自社の販売条件が正しく入力されているかは別問題です。

テンプレートがあることと、表示内容が適切であることは同じではありません。

価格改定、送料変更、配送周期の変更、解約窓口の変更などがあった場合に、LPだけが更新され、モールやカートの情報が古いまま残ることがあります。更新対象を一覧化し、変更時に同時更新する運用が必要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
公開直前になって特商法チェックを行うと、ファーストビュー、価格表、申込ボタン周辺、カート設定まで修正が広がることがあります。これは法律知識だけの問題ではなく、制作プロセスの問題です。企画開始時に販売条件を一覧化し、ワイヤーフレームの段階で定期購入条件と表示位置を決めておけば、大きな手戻りは減らせます。広告チェックを最後の検品にするのではなく、制作工程に組み込むことが現場では非常に大切です。

LP・ECサイトの特商法チェックを進める手順

特商法チェックでは、取引類型を確認し、販売条件を洗い出したうえで、広告、特商法表記、カート、最終確認画面を照合します。

1. 取引類型を確認する

最初に、通信販売に該当するのか、電話勧誘販売など別の取引類型が関係しないかを確認します。

広告を見た消費者が自ら電話をかけて注文する一般的なテレビ通販と、事業者側から電話で勧誘して申込みを受ける取引では、確認すべき規制が異なる可能性があります。

2. 契約条件を一つの表にまとめる

LPを読む前に、正しい販売条件を「マスター情報」として整理します。

項目確定条件
商品名
単品・定期
初回価格
2回目以降価格
送料・手数料
各回の数量
配送周期
最低購入回数
支払総額
解約期限
解約方法
返品条件
発送時期

この表を基準に、すべての画面を照合します。

3. LP・特商法表記・カートを横断確認する

ページごとに縦に読むだけでなく、一つの項目を横方向に確認します。

例えば「送料」であれば、LP、商品ページ、FAQ、特商法表記、カート、最終確認画面、注文メールのすべてを確認します。

条件が違っている場合は、どれが正しいのかをクライアントへ確認し、全ページを同時に修正します。

4. 最終確認画面を実機で確認する

最終確認画面は、デザインデータではなく、テスト環境または実際のカートで確認します。

商品数、クーポン、配送地域、支払方法によって表示内容が変わる場合は、複数パターンをテストします。

5. 薬機法・景品表示法と横断確認する

販売条件の確認後、効能効果、価格訴求、No.1表示、口コミ、比較表示などを確認します。

実務では、法律ごとに完全に担当を分けるより、最終的に一人または一つのチームが広告全体の整合性を見る方が、見落としを減らしやすくなります。

公開前チェックフロー

取引類型の確認
    ↓
販売条件・契約条件の確定
    ↓
LP・商品ページの確認
    ↓
特商法表記・FAQの確認
    ↓
カート・申込フォームの確認
    ↓
最終確認画面の実機確認
    ↓
注文完了画面・確認メールの確認
    ↓
薬機法・景品表示法との横断確認
    ↓
修正履歴・根拠資料の保存

よくあるご相談(FAQ)

通販やECサイトは特定商取引法の対象になりますか?

インターネット上で商品やサービスを広告し、Webサイト、申込フォームその他の通信手段で申込みを受ける場合は、原則として通信販売として特商法の確認が必要になります。自社ECだけでなく、通販LP、モール、チャット型ECなども、実際の申込方法によって対象になり得ます。商材名や媒体名だけで判断せず、広告から契約成立までの流れを確認します。

 LPにも「特定商取引法に基づく表記」が必要ですか?

LPから商品を購入できる構成であれば、消費者が必要な販売条件や事業者情報を確認できる導線が必要です。ただし、必ずLP本文にすべての項目を長文で掲載しなければならない、という単純な整理ではありません。別ページへのリンクで表示する場合も、初回価格、定期購入条件、返品・解約条件など、購入判断に重要な事項をLP上で分かりやすく表示する必要があります。

特商法表記ページを設置すれば十分ですか?

十分とは限りません。広告画面、申込フォーム、最終確認画面には、それぞれの段階で求められる表示があります。特商法表記に正しい情報があっても、LPの価格表示が誤解を招く場合や、最終確認画面で必要事項が確認できない場合は、別途見直しが必要です。表記ページの有無ではなく、購入導線全体で条件が一貫しているかを確認します。

通信販売にはクーリング・オフがありますか?

一般的な通信販売には、訪問販売などと同じクーリング・オフ制度はありません。一方、事業者が返品特約を表示していない場合には、商品を受け取った日から8日以内であれば、消費者の送料負担で返品できるという特商法上のルールがあります。返品特約を設ける場合は、返品の可否、期間、費用負担等を分かりやすく表示する必要があります。

「いつでも解約可能」と表示すれば問題ありませんか?

解約回数の制限がなくても、連絡期限、受付方法、受付時間、次回発送との関係などに条件があれば、その内容を表示する必要があります。電話連絡後に別のアプリ操作が必要など、消費者が想定しにくい条件がある場合は、特に分かりやすい表示が求められます。「いつでも」という言葉だけでなく、実際の解約手続きとの整合性を確認してください。

モール出店でも特商法の確認は必要ですか?

必要です。モール側が特商法表記やカートのテンプレートを用意していても、販売価格、送料、返品条件、事業者情報などの入力内容が正しいかは出店者側で確認しなければなりません。商品ページと店舗情報、カート、注文確認画面に不一致がないかを確認します。モールの仕様変更や価格改定時には、更新漏れにも注意が必要です。

 制作会社は最終確認画面まで確認すべきですか?

LPの法令チェックや公開前確認を業務として受託する場合は、最終確認画面も確認範囲に含めることが望ましいと考えられます。管理画面へ入れない場合は、テスト注文のスクリーンショットや動画を共有してもらう方法があります。確認範囲外とする場合でも、誰がカートや最終確認画面を確認するのかを事前に決め、確認漏れが生じないようにします。

まとめ

特定商取引法は、通販・ECサイトやLPにおいて、販売条件や契約条件を消費者へ分かりやすく伝えるための基本ルールです。

実務で押さえるべきなのは、「特定商取引法に基づく表記」のページが存在するかどうかだけではありません。

販売価格、送料、支払方法、引渡時期、返品条件、定期購入条件、解約方法などが、LP、商品ページ、FAQ、カート、最終確認画面で一致しているかを確認する必要があります。特に定期購入では、初回価格だけでなく、2回目以降の価格、各回の数量、支払総額、配送周期、継続条件まで含めて確認します。

また、通販広告では、特商法だけでなく、価格や効果の見せ方を景品表示法、商材ごとの効能効果表現を薬機法等の観点から横断的に見ることも欠かせません。

個別案件の判断は、販売方法、契約内容、画面構成、表示位置などによって変わります。公開前には消費者庁の特定商取引法ガイドや最新のガイドラインを確認し、必要に応じて社内法務、弁護士、広告規制の専門家等へ確認してください。

なお、特定商取引法について体系的に知りたい方は「特定商取引法の広告実務ガイド」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につける

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「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

添付原稿に記載された参照候補URLを、重複を除いて整理しています。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

「通販・EC・LP運営で注意する特定商取引法」という見出しの横に、広告・LP、商品ページ、カート、最終確認画面を矢印でつないだ購入導線を示す図解。下部には、価格・送料・返品条件などの表示項目、総額・支払条件・訂正を確認する最終確認画面、継続価格・回数・解約方法を確認する定期購入の3つのポイントを配置し、特商法表記ページだけでなく購入導線全体を照合する重要性を示している。

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