通販LP(ランディングページ)の特商法チェックは、「特定商取引法に基づく表記」のページを用意すれば終わりではありません。LPに掲載する販売価格や送料、定期購入条件だけでなく、CTA(行動の指示)からカートへ進み、最終的に注文を確定するまでの表示も確認する必要があります。
特に、初回価格だけを強調する、定期購入であることを分かりにくくする、最終確認画面の申込ボタンを押すと有料契約の申込みが完了することが伝わらない、2回目以降の価格や解約条件を確認できない、といった設計には注意が必要です。通信販売では、広告段階と申込み段階にそれぞれ異なる表示規制があります。
本記事では、通販LPで確認すべき価格、定期条件、申込ボタン、最終確認画面の注意点を、特定商取引法と、価格訴求で関係する景品表示法の観点から解説します。
通販LPは「LPだけ」チェックしても足りない
結論からいうと、通販LPはLP、カート、最終確認画面まで一つの購入導線としてチェックします。
特定商取引法では、通信販売の広告について販売価格、送料、支払時期・方法、引渡時期、返品・解約条件、事業者情報などの表示が求められます。送料が販売価格に含まれない場合は別途表示が必要で、「送料実費」のように金額が分からない表示では足りません。
一方、最終確認画面には法第12条の6による別の表示義務があります。広告で法第11条に沿った表示をしていても、それだけで最終確認画面の表示義務を満たしたことにはなりません。
通販・EC全体の規制構造は、通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法で整理しています。
事例1:「初回500円」だけを強調し、定期条件を小さく表示する

たとえば、初回500円、2回目以降4,980円の定期購入商品について、ファーストビューに「初回500円!」と大きく表示し、2回目以降の価格や定期購入であることをページ下部に小さく記載するケースです。
「初回500円」という事実だけでは十分ではありません。
定期購入では、各回の数量、初回と2回目以降の価格、支払時期、発送時期などを確認できる表示にします。最低購入回数や契約期間が定められている場合は、その回数・期間と契約全体の支払総額も明確に示します。
一方、解約の申出があるまで継続する無期限の定期購入では、最終的な回数や契約総額は確定しません。そのため、無期限で継続する契約であることを明確にし、一定期間の支払額を目安として示すことが望ましいとされています。
また、「通常価格9,800円→初回500円」のような価格訴求では、景品表示法の確認も必要です。比較する通常価格に根拠がない場合や、定期コースの初回だけに適用される価格なのに商品全体が大幅値引きされたように見せる場合は、有利誤認表示の問題につながるおそれがあります。
初回価格の見せ方は、「初回500円」「初回無料」は特商法上どう表示すべき?で詳しく解説しています。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
価格表示は、LP完成後に法務チェックで注釈を足す進め方にすると崩れやすい部分です。初回価格、2回目以降価格、送料、最低購入回数、総額、解約条件を先に確定し、その条件を前提にファーストビューを設計します。制作前にチェック項目を固定しておく方が、大幅な手戻りを減らせます。
事例2:「送信する」「次へ」だけで申込み完了が分かりにくい


CTAや最終確認画面では、ボタンの文言だけでなく、そのボタンを押すと何が起きるのかを確認します。
LP途中の「購入する」「カートに入れる」などのCTAが、商品選択やカート画面への遷移を意味するだけであれば、最終確認画面の申込ボタンとは性質が異なります。
これに対し、押すことで契約の申込みが完了する最終確認画面のボタンでは、その操作によって有料契約の申込みが完了することを、消費者が明確に認識できるかが確認ポイントです。
消費者庁のガイドラインでは、「注文内容の確認」という画面で「申込みを確定する」と表示するなど、クリックによって申込みとなることが明らかな場合は、一般に誤認を生じさせるものではないとされています。
反対に、「送信する」「次へ」だけが表示され、画面のほかの場所にも申込みであることを明らかにする表示がない場合は、そのクリックで売買契約等の申込みが完了することを認識できず、誤認させるおそれがあります。
つまり、「ボタンの色や文言はCVR(成約率)の問題だから法務チェックの対象外」とは考えません。ボタン単体ではなく、画面全体として、何を申し込む操作なのかが明確になっているかを確認します。
CTAの詳しい確認方法は、申込ボタン周辺に表示すべき契約条件とは?で扱います。
事例3:LPは正しいが、最終確認画面に送料・解約条件が出ていない


たとえばLPには「商品価格3,980円、送料550円」と正しく記載しているものの、最終確認画面には商品価格だけが表示されているケースです。
これは「LPに書いてあるからOK」とはなりません。
最終確認画面では、原則として次の事項を確認できるようにします。
- 分量
- 販売価格・対価、送料
- 支払時期・方法
- 引渡・提供時期
- 申込期間がある場合はその期間
- 申込みの撤回・解除に関する事項
消費者庁のガイドラインでは、原則として、必要な契約事項を最終確認画面上で分かりやすく確認できるようにする考え方が示されています。
ただし、申込みの撤回・解除に関する詳細については、端的に表示することが難しく、すべてを画面上に表示するとかえって分かりにくくなる場合など、一定の条件の下でリンク先や別ウィンドウに詳細を表示する方法も示されています。販売価格や送料、分量、支払時期などを一律にリンク先へまとめればよい、という意味ではありません。
定期購入では、2回目以降の価格、各回の数量、発送時期、解約期限・方法なども確認対象です。最低購入回数や契約期間が定められている場合は、契約全体の支払総額も明確に示します。
詳しくは、最終確認画面に表示すべき項目とは?を確認してください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
LP、カート、決済画面を別々の担当者が管理している会社ほど、表示の不一致が起きやすくなります。LPだけを「広告」として完成させるのではなく、どこで売るのか、どの導線を通るのかまで設計しておく。内容が正しいことと、実際の販売導線まで問題なく通ることは別だという視点が必要です。
LPとカートで価格・送料・条件が違う場合もチェックする
通販LPでは、公開後の設定変更にも注意します。
LPには「送料無料」と書いてあるのに、カートでは送料550円が加算される。LPでは初回500円なのに、EC側の商品情報では980円になっている。LPでは「いつでも解約OK」と表示しているのに、最終確認画面には別の解約条件が掲載されている。
こうした不一致はNGです。
LPとカートの支払総額が、すべてのケースで同じでなければならないわけではありません。たとえば、地域によって送料が異なること自体は問題ではありません。
ただし、販売価格に送料が含まれない場合は、広告段階で送料も表示します。「北海道・沖縄は別途送料」だけでは、消費者が申込み前に負担額を把握できないため、不十分となるおそれがあります。
たとえば、「本州送料無料、北海道550円、沖縄1,100円」など、地域による送料条件と負担額を適切に表示し、住所入力後のカートに該当地域の送料が反映されるのであれば、LPとカートで支払総額が変わること自体で直ちに問題になるわけではありません。
重要なのは、同じ契約についてLP、カート、最終確認画面で条件が食い違わないことです。詳しくは、LPとカートで価格・送料・条件が違う場合の特商法リスクで解説しています。
実務では購入導線を実際に操作してチェックする
原稿やデザインデータだけでは、通販LPの特商法チェックは完了しません。
公開前に実際の購入操作を行い、商品価格、送料、手数料、通常購入・定期購入の選択、2回目以降価格、最低購入回数、支払総額、発送時期、解約条件、CTA、最終確認画面が一致しているかを確認します。
さらにPCだけでなくスマートフォンでも確認します。重要条件が画面下部へ追いやられていないか、文字が極端に小さくなっていないか、リンク先を容易に確認できるかまで見ます。
特商法対応を「特商法表記ページを作る作業」に限定せず、販売条件と購入導線をチェックリスト化する方が運用しやすくなります。
まとめ
通販LPの特商法チェックでは、価格や事業者情報を書いているかだけを確認しても足りません。
LPでは販売価格、送料、定期条件、解約・返品条件等を確認し、申込ボタンでは何を申し込む操作なのかを明確にします。さらに最終確認画面では、分量、販売価格、支払条件、引渡時期、解除条件などを注文確定前に確認できるようにします。
特に定期購入では、初回価格だけでなく2回目以降の価格、総額、解約条件まで確認してください。
LP、カート、最終確認画面を別々の制作物として見るのではなく、一つの購入導線としてチェックすることが通販LPの特商法対応の基本です。
通販・EC・LPで確認すべき特定商取引法の注意点については、「通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法|表示項目・最終確認画面・定期購入の確認ポイント」もあわせて確認してください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
![]()
【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」
広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。
【無料】「使える・使えない」を覚えるだけでなく、自分で判断できるようになる(薬機法かけこみ寺®メールマガジン)
薬機法・景品表示法・医療広告について、実際の相談事例から「なぜそう考えるのか」「訴求を残すにはどう考えるか」をお届けする無料メルマガです。
目指すのは、表現を直すだけでなく、その理由を社内やクライアントにも説明できるようになること。
ご登録者には、初回限定の無料メールコンサルティングもご用意しています。
今、判断に迷っていることがあれば、登録後のご案内メールに返信してご相談ください。
薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につけ、売れる表現に落とし込む講座


「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。
参考情報・引用元
本記事は、関連する関係法令、消費者庁・特定商取引法ガイドの公的指針、申込み段階の表記指針、景表法における価格表示やネット広告関連資料等を基礎とし、通販LPにおける商品価格、配送コスト、継続購入条件、注文ボタン、ショッピングカート、最終確認画面の実務的な点検事項を整理したものです。
なお、個別の表示や購入導線の妥当性は、販売スタイル、代金・送料、定期条件、最低利用回数、解約ルール、注文ボタンの表記、掲載位置・文字サイズ、画面遷移、LPから最終確認画面に至る導線全体などによって総合的に判断されるため、必要に応じて最新の公的発表や専門家による確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(参照日:2026年09月29日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行令(昭和51年政令第295号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295(参照日:2026年09月29日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「令和3年特定商取引法・預託法の改正について」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売広告について」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/advertising.php(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売広告Q&A」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「ガイドライン|通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/guidelines.html(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(令和6年11月19日改正)特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20241119la02_09.pdf(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売における“最終確認画面”について」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20240315ac01.pdf(参照日:2026年09月29日)
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「インターネット上の広告表示」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/internet(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(令和4年6月29日一部改定)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_220629_07.pdf(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日、最終改定平成28年4月1日)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/(参照日:2026年09月29日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



