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機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?LP・バナー・SNSでの注意点

機能性表示食品の届出表示を、主語・対象者・指標・条件・作用・程度・根拠の種類という7つの判断軸で確認し、意味と範囲を維持したままLP・バナー・SNSへ媒体別に再設計する流れを示した図。

たとえば、届出表示が次の内容だったとします。 

本品にはGABAが含まれます。GABAには、睡眠の質を高める機能があることが報告されています。 

これをLP(ランディングページ)で「本品の臨床試験で睡眠改善を実証」と言い換えることは避ける必要があります。

機能性関与成分のシステマティックレビューが根拠である場合、最終製品そのものを用いた臨床試験で機能を実証したかのように表示することはできません。問題になるのは、文法上の主語だけではなく、研究対象、届出根拠、機能性関与成分と機能との関係が、広告上正確に伝わっているかです。

「報告されています」を「研究報告に基づく」「成分研究で報告」などへ言い換える場合も、機能性関与成分の研究報告に基づく機能であることが分かるように表示します。商品自体で直接効果を確認したように見せたり、届出された科学的根拠の種類を誤認させたりしないことが重要です。

業界自主基準でも、システマティックレビューを根拠とする場合は、機能性関与成分の機能であり、研究報告に基づくことが視認できる表示が求められています。

目次

意味を変えない言い換えはできるが、機能を広げる言い換えはNG

機能性表示食品の届出表示は、広告媒体に合わせて一定の省略や簡略化、言い換えを検討できます。ただし、次の内容を変えないよう確認が必要です。

  • 機能を有する主体
  • 対象者
  • 身体の部位や評価指標
  • 摂取後の場面や条件
  • 機能の方向と程度
  • 科学的根拠の種類
  • 効果の確実性

たとえば、届出表示が「食後の血糖値の上昇を抑える機能が報告されています」である場合、「食後」を削って「血糖値を下げる」と表示することは避ける必要があります。

「上昇を抑える」と「下げる」は同じ意味ではありません。また、「食後」に限定された機能を、空腹時を含む常時の血糖値低下へ広げることもできません。

消費者庁の事後チェック指針では、広告内容が、客観的根拠を裏付けとして届け出られた機能性の範囲内であれば問題となることはない一方、その範囲を逸脱すれば関係法令上の問題となり得るとされています。

そのため、届出表示を言い換える場合は、届出資料、科学的根拠の種類、キャッチコピー、画像、注釈、CTA(行動の指示)を含めて、広告全体で届出された機能性を超えていないかを確認します。

基本制度と科学的根拠の確認方法は、機能性表示食品の広告ルールでも整理しています。

届出表示の言い換えでは7要素に分解して確認する 

届出表示を言い換える場合は、実務上、次の7要素に分解して、意味が変わっていないかを確認します。これは、行政資料や業界自主基準に「7要素」として公式に列挙されているものではなく、広告チェックで意味のズレを確認するための実務上の整理です。

言い換えを判断するときは、単語が似ているかではなく、広告から消費者が受け取る意味を確認します。

たとえば、「記憶力を維持する」を「記憶力アップ」に変えると、維持から向上へ機能が広がります。「疲労感を軽減する」を「疲労回復」に変えると、疾病の治療や身体機能の回復を思わせる表現になる可能性があります。

また、「高めのBMIの改善に役立つ」から対象者を外して「体重を減らす」と表示することも避ける必要があります。対象者を広げるだけでなく、補助的な機能を確実な結果のように見せる表現になるためです。

2026年公表の業界自主基準でも、届出表示の一部だけを強調して対象者や条件を外す表示、作用機序だけを切り出して機能性のように見せる表示、限定された認知機能を「認知機能維持」全般へ広げる表示などが問題例として示されています。

景品表示法・健康増進法・薬機法では問題になる理由が違う

景品表示法では、言い換えによって商品を実際より著しく優良に見せていないかが問われます。届出資料が支える機能より強いコピー、広い対象者、確実な結果を表示すれば、優良誤認表示が問題になります。

健康増進法では、食品の健康保持増進効果等について、著しく事実と異なる表示や、著しく人を誤認させる表示が規制されます。健康効果を書いた時点で直ちに違反になるのではありません。届出表示の一部を省略し、根拠がないのに商品自体へ機能性があるように見せる表示は、虚偽誇大表示等に当たるおそれがあります。

薬機法では、疾病の治療・予防や医薬品的な作用へ広げていないかを確認します。「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」を「高血圧を改善」、「睡眠の質を高める」を「不眠症を改善」とする言い換えは使えません。

機能性表示食品は、国が商品ごとの安全性や機能性を審査して許可する制度ではありません。「国が効果を認めた」「消費者庁お墨付き」という表示もNGです。

血糖値・血圧・中性脂肪などの数値改善表現を商品区分ごとに判断する方法は「健康食品広告で血糖値・血圧・中性脂肪は訴求できる?数値改善表現の注意点」で詳しく解説しています。 

事例1|成分の研究レビューを「この商品で実証」と変えるのはNG

機能性表示食品のNG広告事例。眠る女性とGABA配合サプリの商品画像を掲載し、「本品の臨床試験で睡眠改善を実証」と大きく表示して、4週間後に起床時のすっきり感が有意に改善したとするグラフや利用者の声を示している。初回980円の割引価格と申込ボタンも掲載され、GABAに関する研究レビューを最終製品そのものの臨床試験結果であるかのように訴求している。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、届出表示が次の内容だったとします。

「本品にはGABAが含まれます。GABAには、睡眠の質を高める機能があることが報告されています」

これをLPで「本品の臨床試験で睡眠改善を実証」と言い換えることはできません。

機能性関与成分のシステマティックレビューが根拠であれば、機能の主体は成分です。「報告されています」も、研究報告に基づく届出であることを伝えています。商品を用いた臨床試験が行われたように変えるのは、根拠の種類そのものを偽る表示です。

「報告されています」を「研究報告に基づく」「成分研究で報告」などへ変える場合も、システマティックレビューが根拠であることと、機能性関与成分の機能であることが分かる位置に表示します。2026年の自主基準も、この関係が視認できる表示を求めています。

研究データの広告利用は、健康食品広告で論文・研究データを使う際の注意点も参照してください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作現場では、「届出があるから言える」と考え、先に強いコピーを作ってしまうことがあります。しかし、同じ機能を扱っていても、主語や時間軸を変えれば別の表示になります。届出表示を文章として読むだけでなく、主語、対象者、条件、結果へ分解してからコピーを作ると、修正理由を社内やクライアントへ説明しやすくなります。

事例2|バナーで「高めの血圧を下げる」だけを強調するのはNG

機能性表示食品のNG広告事例。「血圧を下げる!」と大きく表示し、GABA配合サプリの商品画像、血圧が148から129mmHgへ低下したとするグラフ、初回1,480円の割引価格、申込ボタンを掲載している。「血圧が高めの方」や「下げることを助ける」という届出表示の対象者と作用の程度を省略し、商品が直接血圧を下げるかのように訴求している。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に届出表示が「血圧が高めの方の血圧を下げることを助ける機能があります」である場合、バナーで「血圧を下げる!」だけを大きく表示することは避ける必要があります。

「血圧が高めの方」という対象者を削り、「助ける」という補助的な範囲も削っているためです。治療中の高血圧患者を含め、商品が直接血圧を下げるように受け取られるおそれがあります。

バナーでは文字数が限られますが、短いことは届出範囲を外す理由にはなりません。バナーでも、「血圧が高めの方」という対象者や、「助ける」など届出表示に含まれる作用の程度を、広告全体として維持する必要があります。具体的な短縮文言は、当該商品の届出表示とレイアウトを照合して判断します。

業界自主基準では、スペースの限られた広告について、届出された機能性表示の文章を短縮・省略し、キャッチコピー等で代用する場合が想定されています。ただし、「機能性表示食品」という商品区分名を「機能性表示」と略してよいという意味ではありません。

スペースに余裕のあるインターネット広告等では、届出表示の内容を明瞭に掲載し、キャッチコピー、画像、注釈、CTAを含めて、広告全体が商品を実際以上に優良に見せていないかを確認します。

健康食品以外も含む数値表現の判断は「薬機法で『数値改善』は使える?血糖値・血圧・体脂肪・睡眠スコア表現の注意点」で解説しています。 

事例3|SNSの「記憶力アップ!」はリンク先に原文があってもNG

記憶力向上をうたう健康食品のSNS広告NG事例。左側に「記憶力アップ!」「物忘れを解消して毎日をもっと輝かせる!」という大きなコピー、脳が光る中高年女性の横顔、サプリメント商品「Memory Pro」が配置されている。右側はInstagram風の投稿画面で、「人の名前がスッと出てくる」「仕事や趣味に集中できる」など、届出表示の範囲を超える表現や関連ハッシュタグ、商品ページへのリンクが掲載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

届出表示が「日常生活で見聞きした言葉を覚え、思い出す力を維持する機能」である商品について、SNS投稿で「記憶力アップ!」「物忘れを解消」と表示することは避ける必要があります。

「維持」を「向上」へ広げているだけでなく、限定された記憶機能を、認知機能全般や物忘れの改善へ広げているためです。

投稿画像では「記憶力アップ」と表示し、キャプションで「届出表示は商品ページへ」と案内する設計でも、その印象を打ち消せるとは限りません。投稿単体で強い機能を認識させる場合、リンク先に届出表示の原文があることだけで、届出範囲を超えた印象が解消されるとはいえません。

実務では、投稿画像、本文、ハッシュタグ、動画内の音声、プロフィール、リンク先まで含めて、広告全体を確認します。

また、事業者が広告として「飲み始めて物忘れがなくなった」といった体験談を掲載・引用・転載する場合も、届出範囲を超える商品効果を表示していると評価されるおそれがあります。体験談が事実であることと、事業者の広告に掲載できることは別に考える必要があります。

口コミ・体験談を広告へ利用した場合に、優良誤認やステマ規制をどう確認するかは「口コミ・体験談は景品表示法上使える?優良誤認・ステマ規制・広告利用の注意点」でまとめています。 

LP・バナー・SNSでは同じ短縮コピーを使い回さない

LPは情報量を確保できるため、届出表示の原文を掲載し、その近くでキャッチコピーとの関係が分かるようにします。グラフ、人物画像、体験談、CTAにより、原文以上の効果へ広がっていないかも確認します。健康食品LPの広告チェックも内部確認に利用できます。

バナーでは、対象者、条件、機能の方向を優先して残します。説明できないほど文字数が少ない場合は、機能訴求を詰め込まず、商品名や機能性関与成分を中心にしてLPへつなぐ設計へ変更します。

SNSでは、短い投稿ごとに意味が完結します。過去投稿やプロフィールに届出表示があることを前提にせず、各投稿で届出範囲を外していないかを確認します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上説明できる表現でも、媒体の文字数や独自考査によって通らないことがあります。だからといって、LP用コピーを削るだけでバナーやSNSへ流用すると、必要な条件だけが落ちます。媒体ごとに別の広告として設計し、法律上の判断と媒体審査の判断を分けて記録することが、手戻りを減らします。

まとめ

機能性表示食品の届出表示は、LP・バナー・SNSなどの媒体に合わせて、届出された機能性の範囲を変えないことを前提に、省略・簡略化や言い換えを検討できます。

機能性関与成分の研究レビューを根拠とする届出で、成分について報告された機能を最終製品そのもので実証した機能のように見せることや、対象者や「食後」などの条件を外す、「維持」を「向上」、「サポート」を「改善」へ広げるなど、届出表示の意味や科学的根拠の範囲を変える言い換えは避ける必要があります。 

公開前には、届出表示を「主語、対象者、条件、指標、作用、程度、根拠の種類」に分解し、広告案と一項目ずつ照合してください。機能性表示食品のコピー設計全体は、機能性表示食品の薬機法ライティングにもつなげられます。

健康食品広告について体系的に理解したい方は「機能性表示食品の広告ルール|健康増進法・届出表示・SR・ヘルスクレーム・エビデンスの実務ポイント」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的な指針・公式資料を参考に、機能性表示食品の届出表示の言い換えにおける食品表示基準、科学的根拠、システマティックレビュー、表示範囲、ならびに景品表示法・健康増進法・薬機法との関係や媒体別広告表現の考え方を整理しています。
個別の広告訴求の適否は、届出内容、機能性の評価、機能性関与成分、対象者、研究データ、科学的根拠、ならびにビジュアルや体験談を含む広告全体の印象等により判断が分かれるため、実務にあたっては最新の公的資料を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

機能性表示食品の届出表示を、主語・対象者・指標・条件・作用・程度・根拠の種類という7つの判断軸で確認し、意味と範囲を維持したままLP・バナー・SNSへ媒体別に再設計する流れを示した図。

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