健康食品LP(ランディングページ)は、キャッチコピーだけ直しても広告チェックは終わりません。ファーストビューで効能効果を印象づけ、本文の体験談やグラフでその効果を補強し、CTA(行動の指示)でも同じ訴求を続けていれば、LP全体として広告表現が判断されます。一般的な健康食品では、疾病の治療・予防や身体機能への作用をうたう医薬品的な効能効果は使えません。
一方で、体験談やグラフ、CTAそのものが一律に禁止されているわけではありません。何を訴求しているのか、どのような根拠があるのか、広告全体として消費者にどのような印象を与えるのかを確認する必要があります。
本記事では、健康食品LPで確認すべきファーストビュー、CTA、体験談、グラフの注意点を、薬機法、健康増進法、景品表示法、定期購入に関係する特定商取引法の観点から解説します。
健康食品LPは4つのパーツを一つの広告として確認する
一般的な健康食品で「血糖値を下げる」「便秘が改善する」「脂肪を燃焼する」「免疫力を高める」といった医薬品的効能効果を商品に結び付ける表現は使えません。ファーストビューだけでなく、画像、体験談、グラフ、CTAが同じ効果を暗示していればNGです。行政の留意事項でも、特定の単語だけではなく、写真やイラスト、周辺の表現を含む表示全体で判断する考え方が示されています。
薬機法上、食品と医薬品の区分は、成分本質、形状、表示された使用目的・効能効果、用法用量、販売方法、販売時の説明等を総合して判断されます。そのため、一般的なサプリメントで医薬品的効能効果を標ぼうしているかは、重要な確認項目です。特に、錠剤・カプセル等のいわゆる健康食品で、疾病の治療・予防や身体機能への作用をうたう場合は、無承認医薬品の広告規制が問題になる可能性があります。
健康増進法は、健康効果を書いた時点で直ちに違反になる法律ではありません。健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示を禁止しています。景品表示法では、効果や品質を実際より著しく優良に見せていないか、表示を裏付ける合理的根拠があるかが問われます。
健康食品広告の法令ごとの違いは、健康食品広告のルール完全ガイドで詳しくまとめています。
以下はいずれも仮想事例です。
事例1:ファーストビューの「飲むだけで血糖値対策」は使えない

たとえば一般的なサプリメントのLPで、「飲むだけで血糖値を下げる」「薬に頼らない毎日へ」と掲載し、商品による血糖値低下や疾病治療からの離脱を標ぼう・暗示するケースです。このような表示は、一般健康食品の広告では避ける必要があります。
最も直接的な理由は薬機法です。血糖値を下げる、疾病治療から離脱できると受け取られる訴求は、一般的な健康食品では使えません。「健康をサポート」などの注釈を添えても、メインコピーとビジュアルが作る印象は消えません。
修正するなら表現を薄めるのではなく、配合成分、含有量、形状、味、続けやすさなどの商品事実へ軸を移します。機能性表示食品なら、届出表示と届出根拠を確認し、その範囲で設計します。届出表示を省略・変形し、届出内容を超える商品効果に見せる表示も問題になります。
機能性表示食品を扱う場合は、届出表示をLPでどこまで言い換えられるかもご覧ください。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
完成後にファーストビューからストーリー全体を作り直すのは大きな手戻りです。先に「この商品区分で何を言えるか」を決め、その範囲でキャッチ、根拠パート、体験談、CTAを組み立てる。広告審査は最後の校正ではなく、企画設計の一部として入れる方が実務は回りやすくなります。
事例2:CTAの「今すぐ脂肪燃焼を始める」も広告表現になる


一方、一般的な健康食品で「今すぐ脂肪燃焼を始める」のように身体作用を直接訴求する場合は、医薬品的効能効果の問題が生じます。「便秘を解消したい方はこちら」のような表現も、前後のコピーや商品画像、購入導線と組み合わさり、商品による便秘改善を認識させる場合には問題となります。
定期購入では、CTA付近で初回価格だけを強調し、2回目以降の価格や解約条件などを誤認させないかを確認します。
これとは別に、インターネット通販で契約申込みを確定する最終確認画面では、特商法第12条の6に基づき、分量、販売価格、支払時期・方法、引渡時期、申込みの撤回・解除に関する事項、申込期間を定めている場合はその内容等を表示する必要があります。CTA付近の表示と最終確認画面は役割が異なるため、購入導線全体で確認します。
申込ボタン周辺の契約条件については、通販LP・定期購入LPのCTA設計と特商法の注意点で詳しくまとめています。
事例3:「個人の感想です」を付けても効果体験談は消えない


一般的なサプリメントLPに「3か月で8kg減りました」「便秘知らずです」という購入者コメントを載せ、その下に「個人の感想です」と注記するケースです。
この注記だけでは修正になりません。消費者庁は、体験談の掲載自体を一律禁止していませんが、「個人の感想です」等の表示は虚偽誇大表示等に当たるかどうかの判断を左右しないと整理しています。都合の良い体験談だけを選び、誰でも同じ効果が得られるように見せる表示も問題です。
さらに体験談が疾病改善や身体機能への作用を商品に結び付けるなら、一般的な健康食品では薬機法上の効能効果の暗示にもなります。味、飲みやすさ、包装、利用場面など、効果ではない体験へ切り替えます。
体験談を広告へ転用するときの判断は、健康食品広告で口コミ・体験談は使える?で詳しくまとめています。
事例4:グラフは使える。ただし原料データを商品効果へ変換しない


グラフの掲載自体が、一律に禁止されているわけではありません。しかし、一般的な健康食品で、摂取後の血圧低下や体脂肪減少を示すグラフを掲載すれば、文字で断定していなくても商品効果を強く暗示する場合があります。薬機法上表現できない効能効果は、グラフに変えても使えるようになるわけではありません。
景品表示法・健康増進法では、対象者、人数、摂取方法などの重要な試験条件を明瞭に示さない、縦軸を極端に調整して差を大きく見せる、複数の試験結果のうち都合のよい結果だけを選択的に掲載するなどして、実際以上の効果があるように見せると、虚偽誇大表示等に当たるおそれがあります。
また、原料研究があるだけで、完成商品の効果を裏付けたことにはなりません。広告で示した効果と根拠資料が対応しているかを確認します。景品表示法の不実証広告規制でも、提出資料が客観的に実証された内容であることに加え、表示された効果・性能と資料の内容が対応することが求められています。
詳しくは、健康食品広告で論文・研究データは使える?もご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
根拠資料があることと、そのまま広告に出せることは別です。論文やグラフを載せることで、かえって効能効果の印象が強くなることもあります。また、法律上説明できても媒体独自の審査で止まる場合があります。広告は根拠、見せ方、出稿先までセットで設計します。
実務ではLPを「単語」ではなく訴求の流れで修正する
最初に商品区分を確定し、一般健康食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品のどれかを確認します。次に、許可・届出・表示基準で認められた範囲、商品そのものの根拠資料、価格・定期条件を集めます。
そのうえで、①ファーストビューで何を約束しているか、②体験談やグラフがその約束を増幅していないか、③CTAが効果訴求や取引条件の誤認を追加していないか、④画像・注釈を含めて消費者がどう受け取るか、という順で確認します。
NGが出たら、弱い類語に置き換えるのではなく「何を売りにしたかったか」まで戻ります。効果を言えない商品なら、原材料、配合量、味、形状、携帯性、利用シーン等の商品事実へ軸を移します。
購入導線全体の特商法チェックは「通販LPの特商法チェック|価格・定期条件・申込ボタン・最終確認画面の注意点」をご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
社内チェックは、商品区分、効能表現、根拠、体験談、グラフ、価格、CTA、最終確認画面をチェックリスト化すると運用しやすくなります。毎回ゼロから議論せず、判断資料と修正理由を残しておけば、制作会社と広告主のやり取りも短くできます。
まとめ
健康食品LPは、ファーストビュー、CTA、体験談、グラフのどこか一つだけを直しても足りません。一般的な健康食品で医薬品的効能効果を標ぼう・暗示する表現は使えません。体験談やグラフは一律禁止ではありませんが、広告全体として実際以上の健康効果が得られるとの著しい誤認を招く表示や、一般健康食品について医薬品的効能効果を標ぼう・暗示する使い方は問題となります。定期購入では、価格や解約条件を含む購入導線も特定商取引法の観点から確認します。
広告チェック前に、商品区分、許可・届出内容、根拠資料、販売条件の4点をそろえてください。ここからLP全体の訴求を設計すれば、NGワードを消しただけの弱い修正を避けやすくなります。
健康食品広告について体系的に理解したい方は「健康食品広告のルール完全ガイド|薬機法・健康増進法・景品表示法と商材別注意点を解説」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料・関連通知を参考に、健康食品LPにおけるファーストビュー(FV)、CTA、体験談、グラフ等の表示について、薬機法上の医薬品該当性や効能効果の暗示、健康増進法における虚偽・誇大表示、景品表示法上の優良誤認・不実証広告規制、機能性表示食品等の商品区分、ならびに定期購入に関する特定商取引法上の表示義務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商品区分、成分、形状、謳われる効能効果、根拠資料、体験談・グラフ・画像・CTAを含む広告全体の印象、価格・継続条件、申込画面の構成などを総合的に判断する必要があるため、実際の案件では最新の公的資料を確認し、必要に応じて行政窓口や専門家へ確認してください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月07日)
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