「LP(ランディングページ)では送料無料なのに、カートに入れたら送料550円が追加された」「LPでは初回500円と書いてあるのに、最終確認画面では別の価格になっている」。通販LPでは、広告ページそのものに問題がなくても、カートや最終確認画面との条件がずれることがあります。
LPとカートで表現が少し違っていても、それだけで直ちに問題になるわけではありません。しかし、同じ商品・同じ購入条件なのに価格、送料、定期購入条件などが食い違い、消費者が実際の契約内容を誤認する状態はNGです。通信販売では広告段階の表示義務に加え、申込み段階でも価格や送料などを明確に表示し、人を誤認させる表示をしてはいけません。
本記事では、LPとカートで価格、送料、定期購入条件などが違う場合の特定商取引法リスクと、ファーストビューから最終確認画面まで購入導線全体をチェックする実務ポイントを、特定商取引法と景品表示法の観点から解説します。
LPとカートの条件が違うなら、まず「どちらが契約条件なのか」を確認する
LPとカートで表示が違う場合、最初に確認するのは実際の販売条件です。
たとえばLPに「3,980円・送料無料」と書いてあるのに、同じ商品・同じ地域・同じ購入方法でカートでは送料550円が加算されるなら、どちらかの表示が実態とずれている可能性があります。
特定商取引法では、通信販売の広告について販売価格や送料などの表示が必要です。販売価格に送料が含まれない場合は、送料も金額で表示します。また、申込みの最終段階では、販売価格に送料が含まれていない場合は送料も明確に表示し、複数商品を購入する場合には、消費者が実際に支払う総額を確認できるようにする必要があります。
一方、地域によって送料が異なり、LPでその条件と送料額を適切に示したうえで、住所入力後のカートに該当地域の送料が反映されるのであれば、LPとカートの支払額が変わること自体で直ちに問題になるわけではありません。
たとえば、「本州送料無料/北海道550円/沖縄1,100円」のように、消費者が申込み前に送料負担を把握できる表示にします。送料体系が複雑な場合は、最低送料・最高送料、平均送料、代表的な送料の例などにより、消費者がおおよその送料を認識できるようにします。また、発送元地域や重量・サイズ等を明確にしたうえで、利用する運送会社の料金表へ直接リンクする方法が認められる場合もあります。
問題は、条件が違う理由を消費者が申込み前に認識できるかです。LP、カート、最終確認画面の表示が、実際の契約条件と一致しているかを通して確認しましょう。
通販全体の基本ルールは、通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法でも整理しています。
事例1:LPでは「送料無料」、カートでは送料550円が追加される

たとえば健康食品のLPで、
「今なら送料無料 3,980円」
と表示しているにもかかわらず、カートへ進むと、
商品代金3,980円
送料550円
合計4,530円
となるケースです。
LPの「送料無料」が、同じ商品・地域・購入条件についての表示であるにもかかわらず、実際には送料550円を負担させるのであれば、この不一致はNGです。
販売価格や送料は、消費者の契約判断に直接関係する条件です。LP広告では、特定商取引法上の販売価格・送料等の表示義務や、事実と異なる表示・実際より有利に見せる表示になっていないかを確認します。さらに、契約申込みを確定する最終確認画面では、販売価格や送料を含む支払額を明確に確認できる表示になっているかを別に見ます。
また、「送料無料」と表示しながら実際には送料が加算される場合は、景品表示法上も、価格その他の取引条件について実際より著しく有利であると誤認させていないかが確認ポイントです。
修正するなら、「カート側を送料無料に直す」か、「LP側に実際の送料条件を明確に表示する」必要があります。小さな注釈を追加して矛盾を残すのではなく、商品情報、送料設定、LPのコピーを同じ販売条件へ合わせます。
「送料無料」「手数料無料」などの無料表示では、何が無料で、どの条件で費用が発生するのかを明確にします。無料表示そのものの判断は「無料・実質無料」の景品表示法上の注意点で詳しく確認できます。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
LPだけを広告審査して、カートをEC担当者へ任せきりにすると条件差を見落とします。制作物としては別画面でも、消費者から見れば一つの購入体験です。価格、送料、商品数量、定期条件を先に確定し、LPとカートで共通のチェック項目を持つ方が手戻りを減らせます。チェックリスト化によって確認プロセスを共通化する考え方は、江良公宏の過去の実務見解とも一致します。
事例2:LPでは「初回500円」、カートでは定期購入の2回目以降価格が初めて出る


定期購入で特に問題になりやすいパターンです。
LPでは大きく、
「初回500円!」
とだけ表示し、カートへ進んで初めて、
「2回目以降4,980円」
「3回の購入が必要」
と分かるケースです。
初回500円自体が事実でも、それだけで十分ではありません。
購入申込みへ誘導するLPは、通信販売広告に該当する場合があります。そのため、LP広告の段階でも、定期購入であること、2回目以降の価格、送料、継続回数・契約期間など、適用される販売条件を消費者が認識できるように表示します。
「最終確認画面で正しく表示すれば、LPでは初回価格だけでよい」という関係ではありません。LP広告では特定商取引法第11条の広告表示事項を確認し、契約申込みを確定する最終確認画面では、第12条の6に基づく表示義務・誤認表示禁止の確認が必要です。
なお、広告表示事項には一部省略が認められる場合がありますが、所定の条件を満たす必要があります。「後でカートに表示すれば足りる」という制度ではありません。
定期購入では、2回目以降の代金、各回の数量、請求時期、発送時期なども確認対象です。最低購入回数や契約期間が定められている場合は、2回以上継続する旨や契約全体の支払総額も明確に表示します。
また、LPで500円だけを突出して見せ、実際より安く契約できると認識させる設計は、景品表示法上も取引条件を実際より著しく有利に見せていないかを確認します。
定期購入の価格表示については、「初回500円」「初回無料」は特商法上どう表示すべき?も併せて確認してください。
事例3:LPでは「いつでも解約OK」、カートでは解約期限が追加される


LPには、
「回数縛りなし」
「いつでも解約OK」
と表示されている一方、最終確認画面には、
「次回発送日の10日前までに電話で手続き」
と表示されるケースです。
解約期限があること自体で、定期購入が直ちに問題になるわけではありません。注意すべきなのは、「いつでも」という広告上の印象と、実際の解約条件がずれていないかです。
通信販売では、申込みの撤回・解除に関する条件を明確に示します。最終確認画面では、第12条の6に基づく契約条件の表示に加え、申込内容を容易に確認でき、誤りがあれば訂正できる設計になっているかも確認します。
修正する場合は、LPの段階から「回数縛りなし。次回発送日の10日前までのお手続きで解約できます」のように、解約できるメリットと手続き条件を同じ流れで伝えます。
解約表示については、「いつでも解約OK」は使える?定期購入LPの解約条件・解約期限・解約方法の注意点で詳しく解説しています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「LPの記載は正しい」「カートの記載も正しい」と画面単位で見るだけでは足りません。実務では、どこで売るのか、どの導線を通るのかまで含めて全体を設計する必要があります。広告やコンテンツは、内容だけでなく販売場所や導線まで確認するという考え方です。
景品表示法ではLPから受ける「価格・条件の印象」と実態を確認する
特定商取引法とは別に、景品表示法も確認します。
LPで「送料無料」「初回500円」「追加費用なし」と強く訴求し、実際のカートでは送料や追加費用が発生するのであれば、取引条件を実際より著しく有利に見せる有利誤認表示の問題につながります。
ここで見るのは「カートに最終的な正しい金額が出たから問題ないか」ではありません。
LPで消費者を誘引するときに、どのような価格・条件で購入できると認識させたか。その印象と実際の契約条件が対応しているかを確認します。
特定商取引法では広告・申込み段階それぞれの表示義務と誤認表示を、景品表示法では広告全体が実際より有利な取引条件を示していないかを分けて確認します。
LP・カート・最終確認画面を同じチェックシートで確認する
購入導線の不一致は、法令知識の不足だけでなく、運用上の分断から生まれることがあります。
LPは制作会社、EC側の商品情報はEC担当、送料は物流担当、定期条件は事業部、最終確認画面はカートシステム側で管理している、といったケースです。
そのため実務では、少なくとも次の項目をLPから最終確認画面まで横断して確認します。
- 商品名・数量
- 商品価格
- 初回価格と2回目以降価格
- 送料・手数料
- 割引条件・クーポン条件
- 定期購入か通常購入か
- 最低購入回数がある場合の回数・支払総額
- 無期限の定期購入であること
- あわせて、半年分・1年分など一定期間の支払額を、目安であることを明確にしたうえで示すことも望ましいとされています
- 発送間隔
- 解約期限・方法・追加負担
- CTA(行動の指示)で選択したコースとカートの商品
最終確認画面では、分量、販売価格、支払時期・方法、引渡時期、申込みの撤回・解除、申込期間がある場合の期限などを確認できるようにする必要があります。
最低購入回数や契約期間が定められている定期購入では、契約全体の支払総額も確認対象です。一方、無期限の定期購入では、最終的な支払総額が確定しないため、無期限であることと、半年・1年など一定期間の支払額を目安として示すことが望ましいとされています。
詳しい表示項目は、最終確認画面に表示すべき項目とは?で整理しています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
LP公開前のチェックを「文章の校正」にすると、カート設定の不一致は拾えません。商品条件を一つのマスターにまとめ、LP、カート、最終確認画面を実際に操作して確認する。変更時にも同じチェックリストを回す。この運用にすれば、担当部署が違っても「どこかだけ古い条件が残る」という事故を減らせます。
まとめ
LPとカートで価格、送料、定期条件が違う場合、その違いだけで直ちに特定商取引法違反になるわけではありません。地域、数量、コース、クーポンなどによって条件が変わり、その理由を消費者が明確に認識できる設計なら、表示金額が変わることはあります。
一方、同じ商品・同じ購入条件なのに、LPでは「送料無料」、カートでは送料加算、LPでは「初回500円」だけ、カートで初めて定期条件が判明する、といった不一致はNGです。
通販広告ではLPだけを完成稿として見ないでください。ファーストビュー、CTA、商品選択、カート、最終確認画面までを一つの購入導線として確認し、価格、送料、数量、定期条件、解約条件を一致させることが実務上の基本です。
通販・EC・LPにおいて特定商取引法違反となりやすい表示・導線については、「特商法違反になるケースとは|広告表示・定期購入・最終確認画面で見落としやすいリスク」もあわせて確認してください。
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参考情報・引用元
本記事は、関連法令、消費者庁・特定商取引法ガイドの公的指針、申込み段階における表示ガイドライン、景品表示法関連資料等を踏まえ、EC・通販LPおよびカート・最終確認画面間における商品代金、配送費用、継続購入条件、解約手続き等の表示内容の整合性や、購入完了までの導線における留意事項を網羅的にまとめています。
なお、個別の表記の適法性は、実際の取引条件、配送地域や数量等による費用の変動、代金・送料、継続購入の取り決め、解約に関する規定、表示エリアや文字サイズ、LPから注文確認画面に至る導線全体の構成等によって個別に判断されるため、必要に応じて最新の行政発表や専門家による確認を実施してください。
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(参照日:2026年09月29日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行令(昭和51年政令第295号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295(参照日:2026年09月29日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000400089(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「特定商取引法の条文」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/law/(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売広告について」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/advertising.php(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売広告Q&A」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「インターネットで通信販売を行う場合のルール」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/rule.html(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「ガイドライン|通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/guidelines.html(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(令和6年11月19日)特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20241119la02_09.pdf(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「通信販売における“最終確認画面”について」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230628ac01.pdf(参照日:2026年09月29日)
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「有利誤認とは」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/advantageous_misidentification(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「表示規制の概要」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/(参照日:2026年09月29日)
- 消費者庁「表示に関するQ&A」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation(参照日:2026年09月29日)
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