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薬機法違反になる広告表現とは?健康食品・化粧品・医薬部外品で注意すべき判断基準

「薬機法違反になる広告表現」を解説するインフォグラフィック。単なるNGワードチェックではなく、「商材区分」「承認・届出・根拠」「広告全体の印象」という3つの視点から総合的に広告を確認する必要性を図解している。また、広告実務で重要な薬機法第66条、第67条、第68条との関連も示されている。

薬機法違反になる広告表現は、特定のNGワードだけでは決まりません。商材区分、承認・届出範囲、画像、体験談、注釈を含む広告全体から、未承認の効能効果や効果保証を伝えていないかで判断されます。 

「この表現は薬機法違反になりますか?」

健康食品や化粧品、医薬部外品、医療機器などの広告制作では、頻繁に出てくる質問です。しかし、薬機法違反は「治る」「改善する」といった特定の言葉だけで決まるものではありません。商材の区分、承認・認証・届出の内容、表現の根拠、画像や体験談、広告全体が消費者に与える印象によって判断が変わります。

広告実務で特に確認したいのが、虚偽・誇大広告を規制する薬機法第66条、特定疾病用医薬品等の広告を制限する第67条、承認前広告を禁止する第68条です。違反内容によっては、広告の中止や再発防止を求める措置命令、課徴金納付命令、刑事罰が問題になることもあります。

この記事では、薬機法違反の基本から、違反リスクの高い広告表現、代表的な事例、罰則、商材別の判断基準、LP(ランディングページ)・SNS・ECを確認する手順、リライトの考え方までを実務者向けに整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • 薬機法違反はNGワードだけでは判断できない:薬機法上の評価は、使われている単語だけでなく、商材区分、承認範囲、画像、体験談、注釈、媒体、広告全体の文脈を総合して行います。
  • 第66条・第67条・第68条を分けて理解する:虚偽・誇大広告、特定疾病用医薬品等の広告制限、承認前広告は、それぞれ対象と規制内容が異なります。健康食品や雑貨でも、医薬品的な効能効果を標ぼうすると第68条などの問題につながり得ます。
  • 公開前の商材確認とチェック体制が再発防止の中心になる:表現を完成後に直すのではなく、企画段階で商材区分、承認・届出内容、根拠資料、訴求軸を確認し、判断履歴を残すことが重要です。
目次

薬機法違反とは?広告実務で問題になる代表的なケース

『薬機法違反の基本』と題した図解。広告制作時に注意すべき3つのポイント(1.効能効果の誇大表示、2.性能の誇大表示、3.未承認製品の広告)と、広告規制の概要が中央に配置されている。下部には、広告表現に関わる主体(広告主、販売者、制作会社、広告代理店、アフィリエイター)が並び、『立場にかかわらず、自ら行う表示内容を確認』という注意書きが添えられている。

薬機法違反とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などについて、薬機法が定める規制に反する行為を指します。広告実務では、第66条、第67条、第68条の違いを理解することが出発点です。

厚生労働省の「医薬品等の広告規制について」では、第66条が虚偽・誇大広告、第67条が特定疾病用医薬品等の広告制限、第68条が承認前の医薬品・医療機器等の広告禁止として整理されています。

薬機法違反の基本

薬機法は、医薬品等の品質、有効性、安全性を確保し、保健衛生上の危害を防止するための法律です。広告についても、効能効果や性能を事実以上に見せたり、承認されていない製品を医薬品・医療機器として広告したりする行為を規制しています。

広告担当者が押さえておきたいのは、規制対象が製造販売業者だけに限られない点です。第66条や第68条は「何人も」と規定されているため、広告主、販売者、制作会社、広告代理店、アフィリエイターなども、自ら行った表示の内容によっては無関係とはいえません。

ただし、誰がどこまで責任を負うかは、契約関係、表示への関与、広告主体、具体的な行為によって異なります。個別案件では、広告主側の薬事・法務担当者や専門家との確認が必要です。

広告実務で特に重要な第66条・第67条・第68条

条文主な規制内容広告実務での確認ポイント
第66条医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能に関する虚偽・誇大広告等の禁止承認範囲を超えていないか、効果や安全性を保証していないか
第67条がん、肉腫、白血病などの特定疾病用医薬品等に関する一般向け広告の制限一般消費者向け媒体で対象医薬品を訴求していないか
第68条法令上、承認または認証が必要な医薬品、医療機器、再生医療等製品について、必要な承認・認証を受ける前に名称、効能、効果、性能等を広告することは禁止未承認製品や医薬品とみなされる商品を広告していないか
第72条の5第66条第1項・第68条違反に対する措置命令等広告中止、公示、再発防止措置などの可能性
第75条の5の2第66条第1項違反に対する課徴金制度対象商品の売上額を基礎とした金銭的リスク

第66条では、明示的な表現だけでなく、暗示的な表現も対象になります。また、医師や専門家などが効能効果や性能を保証したものと誤解されるおそれのある広告も、誇大広告に当たるものとして規定されています。

つまり、「必ず効く」と書いていなくても、医師の白衣写真、推薦コメント、グラフ、利用者の劇的な変化を組み合わせ、効果が保証されているように見せれば問題になる可能性があります。

健康食品や雑貨でも薬機法違反リスクが生じる理由

健康食品や雑貨は、通常、薬機法上の医薬品ではありません。しかし、疾病の治療・予防や身体機能への具体的な作用をうたうと、商品が医薬品として扱われる可能性があります。

たとえば、一般的なサプリメントについて「糖尿病を改善する」「不眠症を治す」「免疫機能を高めて感染症を予防する」と表示すれば、単に表現が誇張されているという問題だけでは終わりません。承認を受けていない医薬品の広告・販売として、第68条などの問題につながることがあります。

消費者庁の健康食品に関する留意事項でも、医薬品的な効能効果を標ぼうするものは、外観上明らかに食品と認識される一部のものを除き、薬機法上の医薬品とみなされ、承認を受けずに広告できないと整理されています。

「薬事法違反」と「薬機法違反」は同じ意味か

「薬事法」は薬機法の旧名称です。2014年の法改正・施行により、現在の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」となり、一般には「薬機法」「医薬品医療機器等法」と呼ばれています。

過去の事件や古い資料を検索すると「薬事法違反」と表記されていることがありますが、現在の広告審査や社内ルールでは、原則として「薬機法違反」と整理すると分かりやすいでしょう。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックで最初に見てほしいのは、「危ない言葉が入っているか」ではありません。この広告が、消費者に何を約束しているように見えるかです。
たとえば、「改善」という言葉を削除しても、悩みの症状写真、劇的な体験談、商品の申込みボタンが一直線につながっていれば、広告全体では改善効果を訴求しているように見えます。反対に、強く見える言葉でも、商材の承認内容や文脈によって扱いが変わることがあります。
制作現場では、単語のOK・NGを聞く前に、商材区分、根拠資料、見出し、画像、CTAを並べて確認してください。そこまで見て初めて、実務で使える判断になります。

薬機法違反になりやすい広告表現

薬機法違反になりやすいのは、疾病の治療・予防、身体機能の改善、承認範囲を超える効能効果、安全性や効果の保証を示す表現です。ただし、特定の単語を使っただけで一律に違反と決まるわけではありません。

厚生労働省の広告基準は、広告の評価について、表現や内容だけでなく、媒体の性質、広告全体の構成、説明の文脈などを総合的に考慮する必要があるとしています。

治療・予防を示す表現

健康食品や雑貨で特にリスクが高いのが、病気を治す、予防する、診断すると受け取られる表現です。

表現の例主なリスク
糖尿病を治す疾病治療を標ぼうする医薬品的表現
がんを予防する疾病予防を標ぼうする表現
うつ症状に効く精神疾患への効果を示す表現
アレルギーを抑える疾病・症状への具体的作用を示す表現
関節炎の痛みをなくす治療効果を示す表現

これらは、健康食品や一般雑貨では表現を少し弱めるだけで解決するとは限りません。「治す」を「サポートする」に変えても、見出し、症状写真、体験談、商品導線によって、結局は同じ治療効果を約束しているように見えることがあります。

改善・回復・再生を示す表現

「改善」「回復」「再生」は、使用できるかどうかが商材によって大きく変わります。

一般化粧品で「シワを改善する」「肌細胞を再生する」と表示する場合と、シワ改善の効能について承認を受けた医薬部外品で、承認範囲内の表現をする場合とでは判断が異なります。

したがって、広告担当者は「改善という単語が使えるか」ではなく、次の順序で考える必要があります。

  1. 何の商材か
  2. どの効能効果について承認・届出等があるか
  3. 表示がその範囲内か
  4. 画像や説明を含め、さらに強い効果を暗示していないか

承認範囲外の効能効果を示す表現

医薬品、医薬部外品、医療機器は、承認・認証等を受けていれば何でも表現できるわけではありません。

たとえば、特定の症状について効能効果が認められたOTC医薬品であっても、承認されていない別の疾病や、より強い治療結果まで表示することはできません。医療機器でも、承認・認証された使用目的や性能を超える訴求は避ける必要があります。

広告制作前に確認すべき資料は、商品紹介資料だけではありません。承認書、認証書、添付文書、届出表示、製造販売業者が定める広告表現ルールなど、表現の上限を確認できる資料が必要です。

医師・専門家が保証したように見える表現

次のような見せ方は、効果の保証と受け取られないかを確認します。

  • 医師が「必ず効果があります」と断定する
  • 白衣の人物と「医学的に証明済み」を組み合わせる
  • 専門家の推薦だけで安全性を保証する
  • 「医師の98%が認めた」と表示し、商品効果の評価と誤認させる
  • 権威者の写真と疾病名を近接させる

推薦者が実在するか、調査が実施されているかという根拠の問題は、景品表示法上も確認が必要です。薬機法上許容される効能範囲であっても、効果を確実なものとして保証する見せ方には別の問題が残ります。

また、医薬品・医薬部外品・医療機器・化粧品等は、医薬品等適正広告基準により医薬関係者の推薦が原則NGとなっているため、より注意が必要です。詳しくは「薬機法における医薬品等適正広告基準について解説」の記事もご確認ください。

画像・体験談で効能効果を暗示する表現

文言が穏当でも、画像や体験談を含めると広告全体の意味が変わることがあります。

たとえば、健康食品の広告で「毎日の健康をサポート」とだけ書きながら、病院の検査数値が大幅に下がったグラフや、「薬が不要になった」という体験談を掲載すれば、商品による治療効果を暗示しているように見えます。

化粧品でも、過度なビフォーアフター写真、加工画像、効果を保証する体験談には注意が必要です。「個人の感想です」と注釈を付けても、広告全体から生じる誤認が当然に解消されるわけではありません。

行政資料・監視事業の事例から見る広告リスク

『違反事例から学ぶ4つの視点』と題した図解。違反表現の修正だけでなく、根本的な発生原因を分析することの重要性を解説している。図は『1.商材を確認』『2.問題表示を特定』『3.発生工程を確認』『4.再発防止へ反映』という4つのステップで構成され、下部には単語の言い換えではなく、根本原因を見直し広告全体を再確認するプロセスが図示されている。

薬機法違反事例から学ぶべきことは、問題になった単語を記憶することではありません。どの資料、説明、媒体、社内プロセスによって誤った効能効果が伝わったのかを分析することが重要です。

販売促進資材や情報提供が問題になる事例

医療用医薬品の領域では、臨床研究データを不適切に利用した広告が社会的な問題となったことを背景に、厚生労働省が販売情報提供活動の監視・調査を行っています。

現在の調査事業では、MRやMSLなどによる説明、医療関係者向け専門誌、製薬企業のWebサイト、記事体広告なども確認対象とされています。

実務上のポイントは、パンフレットやバナーだけが広告ではないことです。営業資料、講演スライド、口頭説明、社内で作成した比較表なども、販売促進の文脈で用いられれば、内容の適正性が問題になります。

たとえば、研究結果の一部だけを抜き出す、主要評価項目と副次評価項目を混同する、対象患者の条件を省略する、競合品より優れているように見せるといった編集は避けなければなりません。

未承認医薬品の広告・販売が問題になる事例

健康食品、オイル、雑貨、海外製品などについて、病気の治療や身体機能への具体的作用を表示した結果、未承認医薬品として問題になるケースがあります。

この類型では、「商品は食品として販売している」「雑貨として輸入している」という事業者側の認識だけでは判断できません。名称、パッケージ、商品説明、SNS投稿、販売方法などから、医薬品的な目的を標ぼうしているかが確認されます。

特に、商品パッケージに強い効能効果を書いた場合は、Web広告よりも修正の負担が大きくなります。指摘後に、在庫の回収、表示の変更、取引先への説明が必要になる可能性があるためです。

インターネット広告で違反疑いが生じるケース

厚生労働省は、薬機法違反の疑いがあるインターネットサイトの例として、次のような類型を挙げています。

  • 未承認医薬品・未承認医療機器の広告
  • 無許可での医薬品販売
  • 処方箋なしでの処方箋医薬品販売
  • その他の薬機法違反が疑われる表示

海外のサーバーやSNSを利用していても、日本国内の消費者に向けて広告・販売している場合に、問題がなくなるわけではありません。

違反事例から広告実務者が学ぶべきこと

事例を社内研修で使うときは、次の4点に分解すると再発防止につながります。

確認項目社内で検討する内容
商材医薬品、医薬部外品、化粧品、食品、雑貨のどれか
問題表示文言、画像、体験談、グラフ、推薦、商品名のどこに問題があったか
発生工程企画、ライティング、デザイン、審査、入稿、運用のどこで見落としたか
再発防止資料受領、チェックリスト、承認ログ、研修をどう改善するか

違反事例は「この言葉は使わない」というルールだけに落とし込まないことが大切です。別の言葉に置き換えて同じ印象を与えれば、同様の問題が再発するからです。

薬機法違反の罰則・行政処分・課徴金

薬機法違反では、違反広告の中止や公示等を求める措置命令、課徴金納付命令、刑事罰などが問題になり得ます。単なる原稿修正で終わるとは限りません。

違反広告に対する措置命令等

第72条の5では、第66条第1項または第68条に違反した者に対し、厚生労働大臣または都道府県知事が、次のような措置を命じることができるとされています。

  • 違反行為の中止
  • 再発防止のために必要な事項
  • 措置の実施に関連する公示
  • 公衆衛生上の危険発生を防止するための措置

厚生労働省の資料では、違反した事実を医薬関係者や消費者に周知すること、再発防止策を講じること、将来同じ行為を繰り返さないことなどが具体例として示されています。

広告を止めれば終わりではなく、社内体制の見直しや外部への公表が求められる可能性がある点を、経営層や事業責任者にも共有しておく必要があります。

課徴金制度の対象と計算方法

第66条第1項の虚偽・誇大広告には、課徴金制度があります。

原則的な課徴金額は、違反を行っていた期間における対象商品の売上額に4.5%を乗じた金額です。算定された課徴金額が225万円未満、すなわち対象商品の売上額が5,000万円未満となる場合は、課徴金納付命令を行わないとされています。

また、事案発覚前に所定の方法で自主報告した場合の減額や、同一事案について景品表示法上の課徴金納付命令がある場合の調整規定も設けられています。

ただし、「小規模な売上だから問題にならない」という意味ではありません。課徴金の対象外となる場合でも、措置命令、行政指導、刑事上の問題、取引停止、媒体アカウントへの影響などは別途検討されます。

課徴金制度の詳細については、「薬機法( 薬事法 )における課徴金制度とはなにか」で解説しています。

薬機法違反の刑事罰

第66条第1項・第3項または第68条に違反した場合には、刑事罰の規定があります。第67条に基づく広告制限への違反にも、別の罰則が定められています。

なお、厚生労働省の広告規制ページには、刑法改正前の「懲役」という表記が残っている箇所があります。2025年6月以降は刑名が「拘禁刑」に整理されているため、詳しくはe-Gov法令検索で現行条文を確認してください。

法人・広告主・制作関係者が注意すべき点

広告主はもちろん、制作会社や広告代理店も、次の問題を想定しておく必要があります。

  • クライアントからの修正・損害対応
  • 広告媒体の掲載停止やアカウント制限
  • ECモールの商品削除
  • パッケージや販促物の回収
  • 取引先・株主・消費者への説明
  • 再発防止研修や社内規程の整備
  • 制作範囲・確認責任を巡る契約上の問題

そのため、契約書や見積書では、「薬機法確認を誰が行うか」「支給資料の正確性を誰が担保するか」「最終承認者は誰か」を明確にしておくことが望まれます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
罰則の重さを知ることは大切です。ただ、現場で本当に変えたいのは、「違反したらどうなるか」よりも「違反リスクをどう制作工程で止めるか」です。
完成したLPを最後に薬事担当者へ渡し、全体を直す進め方では、スケジュールもデザインも崩れます。メイン訴求そのものが使えない場合、一部の言い換えでは済まず、ストーリーを作り直すことになるからです。
企画段階で商材区分と表現可能な範囲を共有し、構成、初稿、デザイン、入稿前の各段階で確認する。この流れを決めるだけでも、差し戻しは減らしやすくなります。罰則対応より、まずプロジェクト設計を見直すことが実務上の再発防止です。

健康食品・化粧品・医薬部外品で違反リスクはどう違うか

『商材別・広告表現の判断軸』と題した図解。健康食品、機能性表示食品、化粧品、医薬部外品、OTC医薬品、医療機器の6つのカテゴリー別に、広告表現の判断基準と注意点を整理している。図の下部には『商材区分を起点に、根拠・届出・承認内容との整合性を確認』というメッセージが記載されている。各項目では、認められる効能範囲の確認と、疾病治療や効果保証といったNG表現(誇大表示)への注意が示されている。

薬機法違反リスクは、商材区分によって判断基準が異なります。別の商材で使われていた表現を、そのまま流用することはできません。

商材表現判断の基本特に注意すること
一般的な健康食品医薬品的な効能効果を標ぼうしない疾病治療・予防、身体機能の具体的改善
機能性表示食品届出表示と科学的根拠の範囲届出を超える機能、国が効果を認めたとの誤認
一般化粧品化粧品で認められる効能範囲シワ改善、細胞再生、真皮への作用など
医薬部外品承認された効能効果の範囲承認内容を超える効果や即効性
OTC医薬品承認された効能効果、用法用量との整合効果・安全性の保証、承認外の症状
医療機器承認・認証・届出された使用目的、性能未承認性能、過度な比較、治療結果の保証

健康食品・サプリメントの違反リスク

一般的な健康食品では、病気の治療・予防や、身体機能を具体的に変化させる表現を避けます。

「疲労回復」「便秘を解消」「血糖値を下げる」「免疫力を高める」などは、商品区分や表示制度を確認せずに使用するとリスクが高くなります。

さらに、健康食品広告は薬機法だけで完結しません。表示内容に合理的根拠があるか、著しく事実と異ならないかという点では、景品表示法や健康増進法も確認対象です。消費者庁も、健康食品の表示は特定の用語だけでなく、表示全体から個別具体的に判断するとしています。

健康増進法の詳細については「健康食品広告に関わる人のための健康増進法」「健康増進法で禁止される広告表現とは」を、景品表示法については「景品表示法の広告実務ガイド」をご覧ください。

化粧品広告の違反リスク

一般化粧品は、清潔にする、整える、うるおいを与える、すこやかに保つなど、認められた効能範囲で表現します。

広告現場で問題になりやすいのは、化粧品と薬用化粧品を混同することです。医薬部外品である薬用化粧品に認められた「シワ改善」や「美白」の効能を、一般化粧品へ流用することはできません。

また、「肌の奥深くまで浸透」のような表現は、到達部位がどこまでと受け取られるかを確認します。注釈に「角質層まで」と書けば常に問題が解消するとは限らず、見出しや図解の強調度も含めて判断します。

医薬部外品広告の違反リスク

医薬部外品は、一般化粧品より強い効能効果が認められている場合がありますが、表現できるのは承認範囲内です。

たとえば、美白の承認を受けている場合も、「できたシミが消える」とまで表示できるわけではありません。承認された文言、作用機序、成分説明の範囲を確認しなければなりません。

「医薬部外品だから効果を自由に説明できる」という理解は避け、製品ごとの承認内容を確認することが基本です。

OTC医薬品・医療機器広告の違反リスク

OTC医薬品では、添付文書や承認内容と広告表現を照合します。

広告に症状名が書かれていても、その症状が承認された効能効果に含まれているか、対象年齢や使用条件を誤認させないか、即効性や安全性を保証していないかを確認します。

医療機器は、同じように見える製品でも、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器などで規制や手続きが異なります。承認・認証・届出の有無と、その製品について認められた使用目的・性能を確認してください。

機能性表示食品は届出表示の範囲を確認する

機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性に関する科学的根拠などを消費者庁長官へ届け出、自らの責任で機能を表示する制度です。特定保健用食品と異なり、国が個別製品の機能性を審査・許可する制度ではありません。

そのため、広告では次の点を確認します。

  • 届出表示の対象者と一致しているか
  • 届出された機能を超えていないか
  • 疾病治療の効果に置き換えていないか
  • 届出成分以外の配合成分に機能を持たせていないか
  • 国が効果を認定した商品と誤認させていないか
  • 届出資料と広告上のグラフ・数値が整合しているか

インターネット広告・EC・SNSで薬機法違反リスクが高まる理由

WebサイトやSNSも、薬機法上の広告に該当すれば規制対象です。広告文だけでなく、投稿者、リンク先、商品名、画像、プロフィール、ECページまで一体として確認する必要があります。

医薬品等適正広告基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオだけでなく、WebサイトやSNSを含むすべての媒体における広告を対象としています。

薬機法における広告の3要件

厚生労働省の通知では、次の3要件をすべて満たす場合、薬機法上の広告に該当すると整理されています。

  1. 顧客を誘引する意図が明確である
  2. 特定の医薬品等の商品名が明らかである
  3. 一般人が認知できる状態である

SNS投稿で商品名を直接書いていなくても、プロフィールの販売サイト、画像のパッケージ、ハッシュタグ、コメント欄を通じて商品を特定できる場合があります。

広告の3要件の詳細は「薬機法( 薬事法 )が適用される広告の3要件とは」で解説しています。

LP・記事LPで注意すべき表示

LPや記事LPでは、次の要素をまとめて確認します。

  • ファーストビューのキャッチコピー
  • 悩みを強調する症状写真
  • 原因説明と商品の接続
  • 成分の研究結果
  • ビフォーアフター
  • 利用者の声
  • 医師・専門家の推薦
  • ランキング・No.1表示
  • CTA付近の断定表現

記事部分だけを読むと一般情報に見えても、その直後に特定商品への申込み導線があれば、記事全体が商品の効能効果を訴求していると評価される可能性があります。

EC商品ページで注意すべき表示

ECでは、商品説明本文だけでなく、商品名、サムネイル、検索用キーワード、画像内文字、比較表、レビューの引用方法も確認します。

消費者が自発的に投稿し、販売者が編集できないレビューと、そのレビューを事業者が選んでLPや商品画像へ転載する場合とでは、広告への関与が異なります。転載した時点で、自社広告の構成要素として評価されることを前提に確認した方がよいでしょう。

SNS広告・アフィリエイト広告の注意点

SNSでは、短い投稿の中に商品、悩み、効果、購入リンクが凝縮されます。そのため、ひとつの表現が強く受け取られやすくなります。

広告主から依頼を受けたインフルエンサーやアフィリエイターが、健康食品について「これで不眠が治った」と投稿した場合、広告主が投稿内容の決定に関与していれば、薬機法だけでなく景品表示法上のステルスマーケティング規制も確認対象になります。

投稿文だけでなく、画像、動画内の発言、字幕、コメントへの返信、固定投稿、プロフィールリンクまで確認してください。

薬機法違反を防ぐ広告チェックフロー

薬機法違反を防ぐには、完成原稿からNGワードを探すのではなく、商材区分と根拠資料を確認したうえで企画・構成・デザインを進める必要があります。

ステップ1:商材区分を確認する

最初に、対象商品が次のどれに当たるかを確定します。

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 医療機器
  • 機能性表示食品
  • 栄養機能食品
  • 一般的な健康食品
  • 雑貨・美容機器等

商品名や見た目だけで判断せず、製造販売業者、承認・認証・届出状況、パッケージ表示を確認します。

ステップ2:承認範囲・届出表示・根拠資料を確認する

制作前に、必要な資料をクライアントから受領します。

  • 承認書・認証書
  • 添付文書
  • 化粧品の効能範囲
  • 医薬部外品の承認効能
  • 機能性表示食品の届出表示・届出資料
  • 試験報告書
  • 調査データ
  • 既存の社内広告表現ルール

根拠資料が提出されていない数値や比較表現は、「あとで確認する」ではなく、確認できるまで仮置きにする運用が安全です。

ステップ3:効能効果・性能・安全性表現を確認する

次の問いで確認します。

  • 病気を治す、予防すると読めないか
  • 身体機能が具体的に変化すると断定していないか
  • 承認・届出範囲を超えていないか
  • 効果の発現時期を保証していないか
  • 「副作用なし」「誰でも使える」など安全性を保証していないか
  • 医師や専門家が効果を保証しているように見えないか

ステップ4:広告全体の印象を確認する

文言だけでなく、次の要素を並べた状態で確認します。

  • 画像
  • イラスト
  • グラフ
  • ビフォーアフター
  • 口コミ
  • 注釈
  • 動画の音声・字幕
  • CTA
  • 遷移先ページ
  • SNSプロフィール

広告審査担当者には、原稿だけでなくデザインカンプや動画を共有します。コピー段階で問題がなくても、デザイン上の強調によって意味が変わるためです。

ステップ5:薬機法以外の規制も横断して確認する

薬機法上の効能範囲内でも、次の問題が残ることがあります。

  • 景品表示法上、表示を裏付ける合理的根拠があるか
  • 健康増進法上、食品の健康保持増進効果を著しく誤認させないか
  • 特定商取引法上、価格や定期購入条件を適切に表示しているか
  • ステマ規制上、広告であることが明瞭か
  • 食品表示法上、届出・許可・基準と整合しているか
  • 媒体独自の掲載基準を満たしているか

ステップ6:判断履歴を残す

修正後の原稿だけでなく、次の情報を保存します。

  • どの資料を確認したか
  • 誰が判断したか
  • どの表現を、なぜ修正したか
  • クライアントが最終承認した日時
  • 掲載後に変更された箇所
  • 使用した調査データの期間・対象・方法

チェックリストを社内で共有すると、薬事知識が限られる担当者でも、初稿段階で見落としを減らしやすくなります。実際、私自身も、完成後の修正より、制作フローへのチェックリスト導入を推奨しています。

違反リスクのある表現をどうリライトするか

薬機法リライトでは、危ない言葉を一対一で置き換えるだけでは不十分です。商品の特徴、ターゲット、使用シーン、購買動機から訴求軸を組み直します。

この考え方で活用できるのが、薬機法ライティング®です。言い換え方法の詳細は「薬機法ライティング®を活用して、NG表現からOK表現へリライトする」をご覧ください。

違反表現を削除するだけでは広告が弱くなる

たとえば、健康食品の「疲労が回復する」を削除し、「健康をサポートする」に変えただけでは、広告の具体性が失われます。

その結果、制作側は別の場所で強い体験談や症状画像を追加し、広告全体として元の効能効果へ戻ってしまうことがあります。

リライトでは、まず「この広告で消費者に何を伝えたいのか」を分解します。

  • 商品の形状や飲みやすさ
  • 配合成分や製造上の特徴
  • 継続しやすさ
  • 使用する生活場面
  • ターゲットの悩み
  • 商品を選ぶ理由
  • 使用後に目指す生活上の状態

効能効果ではなく、生活シーン・感情で伝える

一般的なリライトの方向性は次のとおりです。

リスクのある原表現リライトの考え方
このサプリで血糖値が下がる一般食品なら数値変化を約束せず、食生活を意識する人の習慣として設計する
飲めば疲労回復飲みやすさ、続けやすさ、忙しい毎日の栄養補給という文脈へ移す
肌細胞を再生する一般化粧品の効能範囲で、うるおいを与える、肌を整える表現へ再設計する
シミを消す薬用化粧品承認内容を確認し、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」などの範囲で表現する
この薬ならすぐ治る即効性を保証せず、承認された効能効果に沿って対象症状を正確に伝える

これらは、そのまま使用できる万能なOK例ではありません。商品区分、承認内容、届出表示、根拠資料によって調整が必要です。

商材別にリライトの方向性を変える

健康食品では、生活習慣、栄養補給、味、形状、継続性などを中心に設計します。

化粧品では、使用感、テクスチャー、香り、容器、認められた効能範囲、使用後の肌印象などを整理します。

医薬部外品や医薬品では、表現を弱めるのではなく、承認された効能効果を正確かつ分かりやすく伝えることが中心です。

機能性表示食品では、届出表示を基準に、対象者、機能性関与成分、摂取目安量、機能の内容を誇張せずに構成します。

文言だけでなく画像・構成も見直す

リライトの対象はコピーだけではありません。

ファーストビューで病変画像を大きく見せ、本文で穏当な表現へ直しても、消費者が受ける印象は変わらない場合があります。見出し、画像、色、グラフ、CTAを含めて、広告全体が何を約束しているかを確認します。

では、どう考えればよいのでしょうか。

リライトの目的は、「法律に触れそうな言葉を隠すこと」ではありません。根拠があり、商材区分に合った情報を、消費者が誤解しない形で伝え直すことです。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法チェックをすると「何も言えなくなった」と感じる方がいます。しかし、多くの場合、言えないのではなく、最初から効能効果だけに訴求を依存していたことが原因です。
商品には、成分以外にも、形状、味、使用感、容器、製造方法、使う場面、続けやすさがあります。ターゲットにも、症状だけでなく、生活上の不便や商品選びへの不安があります。
40,000件以上の広告表現支援に関わる中でも、良いリライトは単語の置換ではなく、広告の設計を組み直しています。法令対応によって表現を弱めるのではなく、適正な情報伝達と伝わる表現を両立させることが、薬機法ライティング®の役割です。

よくあるご相談(FAQ)

薬機法違反とは何ですか?

薬機法違反とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などについて、薬機法が定める製造、販売、広告等の規制に反する行為です。広告分野では、虚偽・誇大広告、承認前広告、特定疾病用医薬品等の一般向け広告制限などが問題になります。

健康食品や雑貨であっても、疾病の治療・予防や身体機能への具体的な作用を標ぼうすると、未承認医薬品の広告・販売として扱われる可能性があります。

「改善」という言葉を使うと必ず薬機法違反になりますか?

「改善」という単語だけで一律に違反と決まるわけではありません。

一般化粧品、医薬部外品、医薬品、機能性表示食品では、認められる表現範囲が異なります。また、何を改善するのか、承認・届出内容があるか、画像や体験談を含めてどのような印象を与えるかによって判断が変わります。

単語を切り出すのではなく、商材区分と広告全体を確認してください。

健康食品で「疲労回復」は使えますか?

一般的な健康食品で「疲労回復」と表示すると、身体機能への医薬品的な作用を標ぼうしていると判断されるリスクがあります。

「疲労」を「元気」や「コンディション」に置き換えれば常に使えるわけでもありません。症状写真、利用者の声、成分説明、商品導線を含め、結局は疲労回復効果を約束していないかを確認します。

機能性表示食品の場合も、届出表示の範囲内かを個別に確認する必要があります。

化粧品で「シワ改善」と表示できますか?

一般化粧品と、シワ改善について承認を受けた医薬部外品では判断が異なります。

一般化粧品で医薬部外品と同様の「シワ改善」を訴求することはできません。一般化粧品では、認められた効能範囲や、乾燥による小ジワを目立たなくする旨の表示条件などを確認します。

薬用化粧品であっても、すべての商品がシワ改善を表示できるわけではなく、製品ごとの承認内容が必要です。

AmazonやECモールのレビューは薬機法違反になりますか?

消費者が自発的に投稿し、販売者が内容を編集・選定していないレビューと、事業者がレビューを選んで自社LPや商品画像へ掲載する場合とでは扱いが異なります。

自社広告へ転載すれば、そのレビューは事業者が構成した広告の一部として評価されます。効能効果を保証する体験談を掲載していないか、著作権上の利用許諾があるか、依頼投稿であれば広告であることを明示しているかも確認してください。

「個人の感想です」と注釈を入れれば体験談を掲載できますか?

「個人の感想です」という注釈は、効果を保証する広告全体の印象を当然に解消するものではありません。

本文で「症状が治った」「数値が下がった」と表示し、注釈だけで打ち消そうとしても、消費者が受ける主要な印象は変わらない場合があります。体験談の内容、見せ方、文字の大きさ、画像、商品との接続を含めて確認します。

薬機法違反になると、すぐに逮捕されますか?

すべての違反が直ちに逮捕や刑事処分へ進むわけではありません。事案によって、調査、行政指導、広告の中止、措置命令、課徴金、刑事手続など対応は異なります。

一方で、「最初は必ず注意だけ」「何度も警告された後でなければ刑事事件にならない」と決めつけることもできません。表示内容、販売方法、被害の可能性、行為の継続性などによって判断されます。

制作会社は、クライアントから支給された原稿をそのまま使えば責任を負いませんか?

クライアント支給原稿であっても、制作会社が表示内容へ関与した事実がなくなるわけではありません。具体的な責任は契約や関与の程度によって異なりますが、「支給されたから確認不要」という運用は避けた方がよいでしょう。

見積もり段階で、薬機法確認の範囲、資料提供者、最終承認者、専門家確認の有無を明確にします。少なくとも、明らかに疾病治療をうたう表現などを発見した場合のエスカレーションルールは必要です。

まとめ

薬機法違反を判断するときは、特定のNGワードだけを見るのではなく、まず商材区分を確定し、承認・認証・届出内容と広告表現が一致しているかを確認します。

広告実務で特に押さえたいのは、第66条の虚偽・誇大広告、第67条の特定疾病用医薬品等の広告制限、第68条の承認前広告です。健康食品や雑貨も、医薬品的な効能効果を標ぼうすれば薬機法と無関係ではありません。

公開前には、次の順序で確認してください。

  1. 商材区分
  2. 承認・届出内容
  3. 効能効果・安全性表現
  4. 画像・口コミ・注釈を含む全体印象
  5. 景品表示法・健康増進法・特商法等
  6. 判断履歴と最終承認

違反リスクのある表現が見つかった場合も、単に削除して広告を弱くする必要はありません。商品特徴、使用場面、ターゲットの購買動機を整理し、商材に合った訴求へ再設計します。

薬機法、景品表示法、健康増進法、特定商取引法など、広告制作で確認すべき規制の全体像を整理したい方は、「薬機法・景品表示法など広告規制の総合ガイド」もあわせてご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

「薬機法違反になる広告表現」を解説するインフォグラフィック。単なるNGワードチェックではなく、「商材区分」「承認・届出・根拠」「広告全体の印象」という3つの視点から総合的に広告を確認する必要性を図解している。また、広告実務で重要な薬機法第66条、第67条、第68条との関連も示されている。

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