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医薬品等適正広告基準を実務で読む|承認範囲・ビフォーアフター・医師推薦の判断軸

「医薬品等適正広告基準を実務で読む」のタイトル図。サブタイトルは「承認範囲・ビフォーアフター・医師推薦の判断軸」。中央にWebページのレイアウト図があり、そこから「商品区分・承認範囲」「画像・体験談」「推薦・CTA」の3項目へ吹き出しが伸びています。「NGワードではなく、広告全体の意味を確認」というメインメッセージが強調されています。

「この言葉は使えますか」「ビフォーアフターを掲載してもよいですか」と聞かれ、すぐに答えられず困った経験はないでしょうか。

結論からいうと、医薬品等適正広告基準は、個別のNGワードを探すための一覧ではありません。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等について、商品区分と承認・認証・届出範囲を確認し、コピー、画像、体験談、注釈、権威表示、CTAを含む広告全体が、どのような効能効果や安全性を約束しているように見えるかを判断するための基準です。

たとえば、使用前後写真は一律に禁止されるわけでも、承認効能の範囲内ならすべて使えるわけでもありません。治癒、緩和、予防、洗浄、染毛など、効能の性質と写真が伝える結果が一致しているかを確認する必要があります。

この記事では、医薬品等適正広告基準の位置づけから、承認範囲の照合方法、ビフォーアフター、体験談、医師・大学等の権威表示、広告公開前のチェック手順までを実務目線で解説します。

この記事の要点(まとめ)
  • 医薬品等適正広告基準はNGワード集ではない:単語だけで可否を決めるのではなく、商品区分と承認範囲を出発点に、画像、体験談、注釈、CTA(行動の指示)を含む完成広告が何を約束しているように見えるかを確認します。
  • 承認範囲は6つの意味に分解して照合する:主体、対象、作用、程度、条件、時間のいずれかに、承認されていない意味が追加されていないかを見ると、言い換えによる意味の増幅を発見しやすくなります。
  • NG表現を削るだけでは広告は完成しない:効能を弱い言葉へ置き換えるのではなく、使用感、剤形、操作性、容器、使用場面など、確認可能な商品事実へ訴求軸を移すことが実務上のポイントです。
目次

医薬品等適正広告基準とは

「広告確認で使う7つの資料」の図解。法令・基準・個別資料を組み合わせて確認するための階層図です。頂点に「1. 薬機法」を配置し、そこから「2. 医薬品等適正広告基準」「3. 解説及び留意事項」へ分岐。さらに「4. 監視指導Q&A」「5. 個別承認・認証資料」「6. 業界ガイドライン」「7. 媒体基準」へと続いています。下部には「掲載可否は、法令・商品資料・媒体条件を横断して確認」というメインメッセージが記載されています。

医薬品等適正広告基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の広告が虚偽・誇大なものにならないよう、薬機法上の広告規制を具体化した行政基準です。

実務では、基準本文だけを読むのではなく、解説及び留意事項、監視指導に関するQ&A、個別商品の承認・認証・届出資料、商材別の業界ガイドラインを組み合わせて確認します。

薬機法第66条から第68条との関係

薬機法の広告規制を確認するときは、主に次の条文が出発点になります。

  • 第66条:虚偽・誇大広告等の禁止
  • 第67条:特定疾病用医薬品等の広告制限
  • 第68条:承認前の医薬品、医療機器等の広告禁止

第66条では、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示的な表現だけでなく、暗示的な表現も問題となり得ます。

ここでいう「暗示」は、直接「治る」と書く場合だけを指すものではありません。画像、図解、体験談、医師の写真、商品名、前後の文章などを組み合わせた結果、承認範囲外の治療効果や安全性が伝わる場合も確認対象になります。

第68条との関係では、未承認の商品について医薬品的な効能効果をうたうと、単なる誇大表示ではなく、未承認医薬品等の広告として別の問題が生じる可能性があります。

第66条・第68条の詳細については「薬機法の基礎」でもお伝えしています。

基準本文・解説通知・Q&Aの違い

広告を確認する資料には、それぞれ異なる役割があります。

資料主な役割実務で確認する内容
薬機法広告規制の法的根拠虚偽・誇大広告、未承認品広告等
医薬品等適正広告基準医薬品等広告の共通ルール名称、効能、保証、推薦、体験談等
解説及び留意事項基準の解釈と例示各項目の考え方、表示方法
監視指導Q&A個別論点の具体的整理写真、共同研究、効能の性質等
個別承認・認証資料商品ごとの表示可能範囲効能効果、用法、対象者、条件
業界ガイドライン商材別の実務補足化粧品広告、一般用医薬品広告等
媒体基準掲載媒体独自の審査条件表示位置、表現、必要注記等

法律に違反するかという判断と、媒体審査を通過するかという判断は、必ずしも同じではありません。

法令上の問題が明確でなくても、業界自主基準や媒体基準によって掲載が認められない場合があります。反対に、媒体審査を通過したことだけで、法令上の適正性が確認されたとは限りません。

広告主・制作会社・媒体に求められる責務

広告規制は、メーカーや販売会社だけが知っていればよいものではありません。

広告代理店、制作会社、コピーライター、デザイナー、動画制作者、インフルエンサー施策の運用会社、媒体担当者も、広告の作成・掲載に関与します。

実務では、「クライアントから支給された文章だから、そのまま掲載した」という説明だけではリスク管理になりません。少なくとも、次の事項を確認できる体制が必要です。

  • 広告対象商品の正式な区分
  • 承認・認証・届出された効能効果
  • 表示に必要なしばりや条件
  • コピーと画像を組み合わせた全体の印象
  • 体験談や推薦表示の出所と選定経緯
  • 根拠資料と広告表現の対応関係
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医薬品等適正広告基準を読むとき、最も避けたいのは、通知に出てくる表現をそのまま「NGワード一覧」にすることです。同じ言葉でも、商品区分、承認内容、画像、媒体、前後の説明によって、消費者が受け取る意味は変わります。
反対に、通知に例示されていない言葉でも、広告全体から承認範囲外の効能や安全性保証が伝われば確認が必要です。
実務では、承認された意味を整理し、完成広告が何を約束しているかを通常の文章へ戻して比較します。言葉の一致よりも、意味の一致を見ることが大切です。

医薬品等適正広告基準は、すべての媒体に関係する

医薬品等の広告規制は、新聞、雑誌、テレビCMだけを対象にするものではありません。Webサイト、LP(ランディングページ)、ECモール、SNS、動画、メールマガジン、同梱物なども、広告該当性を満たせば確認対象になります。

Web・SNS・動画も広告になり得る

実務上、確認が必要になりやすい媒体には、次のようなものがあります。

  • 公式サイト
  • 商品LP
  • ECの商品詳細ページ
  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • 記事広告
  • アフィリエイト記事
  • SNS投稿
  • インフルエンサー投稿
  • 動画広告
  • ライブ配信
  • メールマガジン
  • 店頭POP
  • 商品同梱物
  • 営業用パンフレット

SNS上で個人名義のアカウントを使っていても、販売サイトへの導線、勤務先との関係、投稿内容、継続性等によっては、事業者による広告と評価される可能性があります。

「個人アカウントだから広告ではない」と一律に判断しないことが重要です。広告該当性は投稿形式だけでは決まらない

医薬品等の広告該当性は、一般に、顧客を誘引する意図、特定の商品名等が明らかであること、一般人が認知できる状態にあることなどを踏まえて判断されます。

ただし、実務では形式だけでなく、次のような事情も確認します。

  • 商品購入ページへのリンクがある
  • 商品名やブランド名が明示されている
  • 販売会社や関係者が投稿している
  • 投稿依頼や報酬提供がある
  • 商品の効能を繰り返し紹介している
  • 自社LPへ投稿内容を転載している

第三者が自発的に投稿した内容と、事業者が依頼・編集・転載した内容は、同じようには扱えません。

薬機法における広告該当性については、「薬機法が適用される広告の3要件とは」でも解説しています。

自発的な口コミも、LPへ転載すれば広告の一部になる

購入者が自発的にECモールやSNSへ投稿した口コミは、その投稿だけを見れば事業者の広告に該当しない場合があります。

しかし、その口コミを事業者が選び、自社LPや広告へ転載すれば、事業者が構成した広告の一部になります。

このとき、元の投稿が自発的だったかどうかだけでなく、転載後の広告がどのような効能や安全性を伝えるかを確認しなければなりません。

また、口コミの利用には、薬機法上の問題だけでなく、景品表示法上のステルスマーケティング規制、著作権、媒体規約等が関係することもあります。景品表示法のステルスマーケティング告示については、「ステルスマーケティング規制」もご覧ください。

広告チェックの出発点は商品区分と個別の承認範囲

「商品区分別・広告確認の出発点」の図解。8つの商品区分(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品、健康食品、機能性表示食品、栄養機能食品)を挙げ、それぞれの広告確認において個別の承認・認証資料を確認する重要性を示しています。下部に「一般論ではなく、商品区分と個別資料を起点に確認」というメインメッセージが記載されています。

広告で使える表現は、「一般的に医薬品ならここまで」「化粧品ならこの言葉は使える」という大まかな分類だけでは決まりません。商品区分と、広告対象となる個別商品の承認・認証・届出内容を確認する必要があります。

商品区分を最初に確定する

同じような見た目の商品でも、区分によって表示できる内容は異なります。

商品区分広告確認の主な出発点
医薬品承認された効能効果、用法用量、承認条件
医薬部外品個別に承認された効能効果、有効成分、用法
化粧品化粧品の効能の範囲、商品実態、業界基準
医療機器承認・認証・届出された使用目的、効能効果、性能
再生医療等製品個別承認内容、対象、使用方法
健康食品※医薬品的効能効果を表示しないことが基本
機能性表示食品※届出表示、届出資料、機能性関与成分との整合
栄養機能食品※規格基準に基づく栄養機能表示

※医薬品等適正広告基準の範囲外の商品区分

一般化粧品と薬用化粧品は、外観が似ていても表示可能範囲が異なります。また、医療機器では、同じカテゴリー名であっても、製品ごとに認証・承認された使用目的や性能が異なる場合があります。

シリーズ名ではなく正式な販売名を確認する

広告審査では、ブランド名やシリーズ名だけで商品を特定しないことが重要です。

同じシリーズ内に、一般化粧品と医薬部外品が混在していることがあります。医療機器では、型式やモデルによって承認内容が異なる場合もあります。

次の資料をそろえてから広告を確認すると、取り違えを防ぎやすくなります。

  • 正式販売名
  • 商品区分
  • 承認・認証・届出番号
  • 最新の添付文書や表示資料
  • 効能効果、使用目的、性能
  • 用法用量、使用方法
  • しばり表現
  • 対象者、対象部位
  • 商品規格書

一般的に使える表現より、個別商品の範囲を優先する

医薬部外品では、同じ有効成分を含む商品であっても、承認された効能効果が同一とは限りません。

「この成分にはこの作用がある」という一般情報だけで、広告対象商品の効果として表示すると、成分の情報を商品全体の効能へ広げてしまうことがあります。

広告の主語が「成分」なのか「商品」なのかを確認してください。

たとえば、ある有効成分の作用機序について根拠があっても、その作用機序を商品広告で表示できるかは、承認内容、商品設計、表現方法、根拠資料との整合性を含めて確認する必要があります。

承認範囲を超える広告は「6つの意味の追加」で見つける

承認範囲を超える広告表現は、明らかなNGワードだけで作られるわけではありません。承認内容に含まれていない意味が、言い換えや画像によって少しずつ追加されることで生じます。

実務では、承認内容を次の6要素に分けて照合すると、意味の増幅を見つけやすくなります。

  1. 主体
  2. 対象
  3. 作用
  4. 程度
  5. 条件
  6. 時間
確認軸承認された意味の例広告で起こりやすい増幅
主体特定成分商品全体の効果
対象特定部位全身への効果
作用緩和治療・治癒
程度防止完全に防ぐ
条件対象者・用法あり条件の省略
時間特段の記載なし即効・長時間持続

主語・対象を広げていないか

成分の研究結果を紹介した直後に商品画像や購入ボタンを配置すると、消費者は成分一般の情報ではなく、広告対象商品の効果として受け取る可能性があります。

また、頭皮への作用を全身の健康効果へ広げる、局所的な使用目的を生活全般の改善へ広げるなど、対象範囲が変わっていないかも確認します。

主語が省略されたコピーは、短く読みやすい反面、何に対する効果なのかが広く受け取られやすくなります。

作用・程度を強めていないか

「緩和」を「治す」、「防ぐ」を「なくす」、「整える」を「改善する」と言い換えると、日常語としては似ていても、広告が約束する結果は変わります。

特に注意したいのは、承認効能の先にある生活変化まで広告で約束するケースです。

たとえば、症状の緩和から「仕事に集中できる」「毎日が変わる」と展開した場合、広告全体では二次的、三次的な結果まで保証しているように見えることがあります。

条件・しばりを省略していないか

効能効果に対象者、使用条件、用法等が付されている場合、その条件も表示可能範囲の一部です。

条件を小さな注釈へ追いやり、主表示だけを読むと対象が広がる構成では、正確な情報伝達にならない可能性があります。

「注釈を書いたから大丈夫」とは限りません。主表示と注釈が矛盾していないか、注釈を通常の閲覧環境で認識できるかを確認します。

速効性・持続性を追加していないか

「すぐに」「瞬時に」「一日中」「長時間」といった時間表現は、承認内容にない速効性や持続性を追加することがあります。

時間に関する直接的なコピーがなくても、時計の画像、朝から夜までの図解、使用直後の前後写真等から、速効性や持続性が伝わる場合があります。

二次的・三次的な効果を約束していないか

承認された効能を起点として、外見、感情、人間関係、仕事、将来等の変化までつなげる表現にも注意が必要です。

商品使用後の明るい生活場面を示すこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。しかし、コピーやナレーションとの組み合わせにより、効能の結果として特定の生活変化が必ず得られるような構成になっていないかを確認します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告制作では、承認文言をそのまま使うのではなく、読みやすいコピーへ変えたいという要望が出ます。ここで大事なのは、言い換えた言葉が似ているかではなく、追加された意味がないかを見ることです。
主語、対象、作用、程度、条件、時間へ分けると、どこが強くなったのかを説明しやすくなります。
「この言葉はNGです」で終わらず、「防止が改善へ変わっている」「条件が消えて対象者が広がっている」と説明できれば、クライアントや制作チームも修正理由を理解しやすくなります。

しばり表現・成分・製造方法は「短くするほど強くなる」ことがある

広告コピーは短いほど伝わりやすくなります。しかし、医薬品等広告では、条件や主語を削ることで、本来の意味より強い表示になることがあります。

名称、しばり表現、成分、製造方法を個別のルールとして覚えるだけでなく、「情報を省略した結果、意味が広がっていないか」という共通の視点で確認することが重要です。

名称・愛称が効能を暗示していないか

商品広告では、承認・認証・届出された正式な販売名を適切に表示することが基本です。

略称や愛称を使用する場合は、商品区分ごとのルールを確認するとともに、愛称自体が承認範囲外の効能を暗示していないかを見ます。

たとえば、治療、再生、完全予防等を想起させる名称は、本文に効能を書いていなくても、商品名と画像だけで強い効果を伝える可能性があります。

しばり部分も効能表示の一部

しばり表現とは、効能効果に付随する対象、条件、使用目的等の限定部分です。

たとえば、「日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」のうち、「日焼けによる」は単なる補足ではありません。この部分を省略して「しみを防ぐ」とだけ表示すると、すでにあるしみへの作用や、原因を問わない予防効果へ意味が広がる可能性があります。

しばり表現は、次の点を確認します。

  • 主表示の近くにあるか
  • 読める大きさか
  • 表示時間が十分か
  • 背景色とのコントラストがあるか
  • スクロールやクリックをしなくても認識できるか
  • 主表示と一体として認識でき、しばりを含めた意味が正確に伝わるか 
  • 本文と注釈が矛盾していないか

製造方法の事実と、優秀性の保証を分ける

「独自製法」「先端技術」「理想的な製造方法」等の表現は、事実関係と、広告全体で伝わる優秀性を分けて確認します。

特定の製法を採用している事実があっても、その製法によって他の商品より優れている、効果が高い、安全性が高いと表示するには、それぞれに対応する根拠が必要です。

製法名の使用が可能でも、最大級表現や安全性保証と組み合わせることで問題が生じる場合があります。

成分数や原産地を効果保証へつなげない

「美容成分○種類」「植物由来成分を贅沢に配合」といった表示では、配合事実と、配合によって得られる効能を分けて考えます。

成分数が多いこと自体から、効果が高いとはいえません。

また、「国産原料」と「国内製造」、「原料の原産国」と「最終製品の製造国」は異なる概念です。広告表示では、何がどこで生産・製造されたのかを正確に確認します。

無配合表示を安全性保証や他社批判にしない

「○○不使用」「無添加」といった表示を行う場合、商品実態との一致だけでなく、その表示が安全性保証や他社商品の危険性を暗示していないかも確認します。

特定成分を配合していない事実から、「誰でも安心」「刺激ゼロ」「他の商品より安全」とは直ちにいえません。

「無添加」の対象が不明確な広告も、消費者に実際より広い無配合範囲を認識させる可能性があります。

ビフォーアフターは一律にOK・NGではない

「ビフォーアフターは一律にOK・NGではない」というタイトルの図解。左側に「効能の性質」「撮影・加工条件」の確認項目、中央に使用前後の比較イメージ図、右側に「効果の程度」「発現時間」「持続性」の確認軸を配置しています。下部には「洗浄・染毛・保湿」「治癒・緩和」「予防」のカテゴリーごとの注意点と、「写真を文章に戻し、広告が約束する結果を確認」というメインメッセージが記載されています。

医薬品等広告のビフォーアフターは、写真形式を使ったかどうかだけでは判断できません。

承認された効能の性質と、写真が伝える結果が一致しているか、効果の程度、発現時間、持続性等を保証していないかを確認します。構成案でも、治癒・緩和・予防等の性質によって判断が変わる点を中心に再設計する方針が示されています。

写真形式ではなく、写真が伝える効能を見る

同じ「使用前」「使用後」の写真でも、伝えている内容は異なります。

  • 洗浄によって汚れが落ちたことを示す
  • 染毛による色の変化を示す
  • 保湿による角層の状態を示す
  • 症状が治癒したことを示す
  • 症状が発生しなかったことを示す
  • 数分で効果が出たことを示す
  • 長期間効果が続いたことを示す

広告審査では、写真を通常の言葉へ置き換えてみると判断しやすくなります。

「この写真は、商品を使うと何が、どの程度、どの時間で変わると伝えているか」を文章に戻してください。

洗浄・染毛・保湿等の前後比較

洗浄前後や染毛前後など、商品の承認効能や使用目的と写真の変化が直接対応する場合は、前後比較を検討できるケースがあります。

写真表現基本的な確認方向主な確認点
染毛前後の色色の対比として検討実際の使用条件、過度な再現保証
洗浄前後洗浄効能との整合を確認汚れの付け方、演出、再現性
保湿前後保湿効能との整合を確認角層の範囲、時間、測定条件
治癒写真個別承認効能により判断症状変化の写真/承認効能との一致に加え、治癒・完治、効果の程度、発現時間、再現性を保証していないかを個別確認 
予防効能の前後慎重な確認が必要発生しなかった結果を効果として見せていないか

前後比較を掲載できる可能性がある場合でも、撮影条件、照明、角度、メイク、画像加工、使用期間等によって、実際以上の変化を見せていないかを確認する必要があります。また、効能と写真の変化が対応する場合でも、掲載可能と自動的に判断することはできません。写真が効果の程度、発現時間、持続性、再現性等を保証していないかを確認します。 

治癒と緩和では写真が伝えられる結果が異なる

承認効能が「症状の緩和」である商品について、症状が完全になくなった写真を示すと、広告全体では「治癒」や「完治」を約束しているように見える可能性があります。

承認された作用よりも、写真が示す結果の方が強くなっていないかを確認してください。

コピーに「緩和」と正確に書いていても、写真が「完全に消えた」状態を強調していれば、注釈だけで意味を修正することは難しくなります。

「防ぐ」という予防効能はビフォーアフター写真にできない

予防効能は、「使用したため症状が発生しなかった」という反事実的な結果を扱います。

実際の写真だけで、その商品を使わなければ症状が生じていたことを示すのは困難です。そのため、「しみ・そばかすを防ぐ」「ひび・あかぎれを防ぐ」等の予防効能を、症状がなかった前後写真として示す場合は慎重な確認が必要です。

予防効能だから承認範囲内であり、前後写真も自動的に使えるという考え方ではありません。

年齢印象・期間・持続性の保証に注意する

前後写真では、効能そのものだけでなく、次の意味が加わりやすくなります。

  • 一度の使用で変化した
  • 短期間で結果が出た
  • 誰でも同じ結果になる
  • 効果が長時間続く
  • 年齢そのものが若返った
  • 複数の悩みが同時に解決した

「使用期間には個人差があります」「効果を保証するものではありません」と注記しても、写真の主要な印象が強ければ十分な修正にならないことがあります。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
ビフォーアフターの相談を受けると、「写真を二枚並べたらNGですか」と聞かれることがあります。しかし、見るべきなのは写真の枚数ではありません。その写真が、どの効能を、どの程度、どれくらいの時間で実現すると伝えているかです。特に、緩和を完治に見せる写真や、予防効能を「発生しなかった結果」として見せる写真は、コピーが承認範囲内でも意味が強くなることがあります。
画像チェックでは、写真だけを見たときに何が伝わるかを必ず確認してください。

体験談は、承認範囲内の効能でも保証表現になり得る

使用者本人の感想であっても、広告へ掲載すれば、事業者が構成した広告の一部として確認されます。

「本当に使った人の感想だから使える」「承認された効能の範囲内だから、体験談に書いてもよい」とは一律に判断できません。

効能を事業者が説明することと、体験者に保証させることは異なる

承認された効能効果を、適切な条件のもとで事業者が説明することと、「私はこれで改善しました」と利用者の経験として示すことは、広告上の意味が異なります。

体験談は、読み手に「実際に使えば同じ結果が得られる」という期待を持たせやすいためです。

たとえば、化粧品の効能の範囲内に見える表現であっても、「一晩で肌のきめが整いました」「使うたびに小じわがなくなる実感があります」と体験談として示せば、効能の保証、速効性、程度の強調等が問題になる可能性があります。

使用感と効能効果を分ける

体験談として検討しやすいのは、効能効果ではなく、商品実態に即した使用感や使用性に関する内容です。

体験談の内容確認方向
香りが好みだった香りの実態と一致するか
クリームが伸ばしやすい使用感として検討
容器が持ち運びやすい商品仕様として検討
錠剤が小さく飲みやすい形状・使用感として検討
しみが消えた効能保証となる可能性
一晩で肌が変わった速効性・効能保証の可能性
副作用がなく安心だった安全性保証の可能性

「べたつかない」「香りが穏やか」等も、商品の実態と一致していることが前提です。

選ばれた一部の利用者にしか当てはまらない感想を、一般的な使用感のように表示すると、景品表示法上の問題も生じ得ます。

「個人の感想です」だけでは意味は変わらない

「個人の感想です。効果には個人差があります」という注記を付ければ、すべての体験談が使えるわけではありません。

主表示が「しみが消えました」「一週間で治りました」と強く示している場合、注記はその効能保証を十分に修正できない可能性があります。

注記の有無より、体験談本文がどのような結果を約束しているかを先に確認してください。

選別した口コミやSNS投稿にも注意する

ECモールやSNSに投稿された内容を、事業者が選んで広告へ転載した場合、その選択行為を含めて広告が構成されます。

特に、効果を強く感じた投稿だけを集めて掲載すると、一般的に同様の結果が得られるような印象につながる可能性があります。

インフルエンサーへの商品提供、投稿依頼、報酬提供等がある場合は、薬機法上の体験談・効能保証だけでなく、景品表示法上のステルスマーケティング規制も確認してください。

体験談を削った後に何を置くか

体験談を削除するだけでは、広告内の信頼材料が不足することがあります。

代替案として、次のような確認可能な情報を検討します。

  • 商品の形状、香り、テクスチャー
  • 容器の使いやすさ
  • 一回当たりの使用量
  • 使用方法
  • 保管や携帯のしやすさ
  • 商品開発時の使用性評価
  • 適切な方法で実施した顧客調査
  • 問い合わせ体制
  • 品質管理に関する事実

体験談を「別の効能表現」に置き換えるのではなく、商品の選択価値を示す事実へ移すことがポイントです。

医師・医療機関・大学等の権威表示は原則として使わない

「権威表示は‘事実’だけで判断しない」という図解。医師、医療機関、大学、学会などが広告に関与する場合、広告構成(写真、推薦コメント、CTA等)が消費者に効能・安全性・公認の保証として伝わらないかをチェックする手順を示しています。下部には、医師監修、共同研究、特許取得などの「事実」と、完成広告が伝える「意味」を分けて確認すべきというメインメッセージが記載されています。

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の広告では、医師、歯科医師、薬剤師、医療機関、学会等が商品を推薦、公認、選用している旨は、事実であっても原則として広告に使用することはできません。

権威者の推薦は、一般消費者の商品選択へ強く影響し、効能効果や安全性が保証されたような印象を与えやすいためです。

医師・病院・学会等の推薦表示

確認が必要な表示には、次のようなものがあります。

  • 医師推奨
  • 薬剤師がおすすめ
  • 病院採用
  • クリニックで選ばれている
  • 学会公認
  • 医療関係者が認めた
  • 専門家が選用
  • 歯科医師の指導のもと開発
  • 美容師が推奨
  • 薬局で採用

推薦という言葉を使っていなくても、白衣姿の専門家、医療機関名、肩書、コメント、購入ボタンの配置等から、実質的に推薦や保証が伝わる場合があります。

採用・選用の事実も保証材料にしない

「実際に病院で採用されている」「医師が使用している」という事実があっても、その事実を一般消費者向けの商品広告で強調できるとは限りません。

採用の事実は、消費者に「医療機関が効能や安全性を認めた」という印象を与えやすいためです。

社内資料、医療従事者向け資料、一般消費者向け広告では、対象者や使用目的が異なることも踏まえて整理します。

「厚生労働省認可」「FDAが認めた」等の表示

行政機関名や海外規制当局名を使った表示にも注意が必要です。

承認や認証を受けている事実があっても、行政機関が商品を推薦している、効果を保証している、安全性を認めているという意味へ広げないことが重要です。

「承認された効能効果がある」という事実と、「行政がこの商品をおすすめしている」という印象は異なります。

参考:FDAとは

大学との共同研究は商品区分で扱いが異なる

大学との共同研究表示は、すべての商品で同じように扱われるわけではありません。

監視指導Q&Aでは、化粧品等の広告における大学との共同研究表示について、医薬関係者等の推薦規定との関係が整理されています。一方、健康食品では、共同研究という事実だけで直ちに未承認医薬品の広告になるとは限りません。

ただし、健康食品でも、大学名、研究結果、図表、商品画像を組み合わせた結果、疾病の治療・予防等の医薬品的効能が伝われば別の問題が生じます。

商品区分・表示主な確認点
化粧品等の大学共同研究推薦規定、承認範囲外の効能暗示
健康食品の大学共同研究医薬品的効能の暗示、景品表示法上の根拠
医師監修推薦・保証に見えないか、監修範囲
共同開発誰と何を開発したのか、効果保証への接続
特許取得特許の対象と商品効果を混同していないか

医師監修・共同開発も広告全体で確認する

「医師監修」は、「医師推奨」より弱い表現に見えます。

しかし、監修者の白衣写真、肩書、効果コメント、商品画像、購入CTAが一体となれば、消費者には医師が商品の効果を保証しているように見える可能性があります。

監修表示を検討する場合は、少なくとも次の点を整理します。

  • 何を監修したのか
  • 商品開発か、記事内容か
  • 効能効果への評価を行ったのか
  • コメントが推薦になっていないか
  • 肩書や写真が過度に強調されていないか
  • 広告対象商品との関係が明確か
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
権威表示の相談では、「本当に医師が使っています」「実際に大学と研究しました」と説明されることが少なくありません。しかし、事実であることと、一般消費者向け広告で訴求できることは別です。
医師、病院、大学等の名称が入ると、広告全体の説得力は大きく上がります。その分、効能や安全性の保証として受け取られやすくるため、医薬品等適正広告基準では規制がされています。
実務では、関係性が事実かどうかだけでなく、その事実を広告へ出したときに何を保証しているように見えるかまで確認します。

広告全体の印象はコピー・画像・体験談・CTAを一体で見る

医薬品等広告は、文言だけを切り取って確認しても十分ではありません。

コピー、画像、動画、ナレーション、体験談、注釈、権威表示、購入導線が一体となって、どのような意味を作っているかを確認します。

コピー単体では穏当でも、画像で意味が強くなる

たとえば、「毎日のケアに」という穏当なコピーでも、症状が完全に消えた写真、医師の白衣写真、治療を想起させる図解が付けば、広告全体では医薬品的な効果を暗示する可能性があります。

反対に、承認効能を正確に書いていても、画像やCTAによって即効性、完全性、安全性等が追加されることがあります。

完成広告を3段階で確認する

実務では、次の3段階で広告を見ると判断しやすくなります。

  1. コピーだけを読む
  2. 画像・映像だけを見る
  3. 完成広告全体を見る

それぞれについて、「この広告は商品を使うと何が起きると伝えているか」を一文で書き出します。

3つの答えが異なる場合は、画像や構成によって意味が追加されている可能性があります。

注釈だけで主表示を修正しない

主表示で「完全に防ぐ」「すぐに治る」と伝え、下部に小さく「効果には個人差があります」と書いても、広告全体の主要な印象は変わらないことがあります。

注釈は、主表示を正確に理解するための補足として使うものです。主表示と反対の意味を書き、強い表示を打ち消すためのものではありません。

CTAも広告表現の一部

「今すぐ治す」「悩みを終わらせる」といったボタン文言は、短い表示であっても効能や結果を約束する可能性があります。

CTA、ボタン周辺のコピー、価格表示、緊急性の演出等も含めて確認してください。

また、定期購入や解約条件がある場合は、薬機法だけでなく、景品表示法、特定商取引法等の確認も必要になります。特定商取引法については「特定商取引法の広告実務ガイド」も参照してください。

適正広告基準へ対応しながら訴求力を残す方法

問題のある表現を、弱い言葉へ一対一で置き換えるだけでは、広告全体の魅力が失われやすくなります。

適正広告基準へ対応しながら訴求を残すには、効能を弱く言い換えるのではなく、確認可能な別の商品事実へ評価軸を移します。これは薬機法ライティング®の考え方です。薬機法ライティング®の詳細については「薬機法ライティングとは」をご覧ください。

一対一の言い換えでは広告が弱くなる

「シワを改善する」が使えないから「肌を整える」へ置き換える、といった対応では、元のストーリーと修正後の表現がかみ合わなくなることがあります。

LP全体が「シワ改善」を中心に作られている場合、単語だけを置き換えても、写真、図解、体験談、CTAに元の意味が残ります。

この場合は、コピー修正ではなく、訴求設計そのものを見直す必要があります。

承認効能と選択価値を二層に分ける

広告では、次の二つを分けて設計します。

  1. 表示可能な効能・使用目的
  2. 商品を選ぶ理由となる事実

選択価値には、次のようなものがあります。

  • 使用感
  • 香り
  • 剤形
  • 容器
  • 携帯性
  • 使用方法
  • 使用頻度
  • 手入れのしやすさ
  • 問い合わせ体制
  • 品質管理
  • 商品設計上の特徴

効能を過度に強めなくても、選択価値を具体的に示すことで商品の違いを伝えられます。

使用感・操作性・使用場面へ評価軸を移す

削除・修正する訴求代替候補となる商品事実
医師推奨承認効能、用法、商品仕様
すぐ効く剤形、携帯性、使用方法
絶対安心使用上の情報、問い合わせ体制
多くの人が効果を実感使用感、香り、操作性
最先端製法実際の製造工程、品質管理
劇的な前後写真使用場面、商品の物性
完全に防ぐ承認効能と条件の正確な表示

代替表現を作るときは、商品規格書、開発資料、使用性評価、顧客調査等から、広告に使える事実を掘り起こします。

権威ではなく確認可能な事実を示す

医師や大学等の権威を使わずに信頼性を示すには、確認可能な情報へ置き換えます。

  • 承認された効能効果
  • 正確な使用方法
  • 商品の仕様
  • 製造・品質管理に関する事実
  • 問い合わせ窓口
  • 適切な方法で取得した調査結果
  • 使用時の注意事項
  • 開発目的や設計思想

ただし、品質管理や調査結果を表示するときも、それらが効果や安全性の保証へ広がらないようにします。

コピー・画像・CTAを一体で再設計する

広告の主要訴求を変える場合は、コピーだけでなく、画像、セクション構成、体験談、CTAも同時に見直します。

元の効能訴求をコピーから削除しても、画像やCTAに意味が残っていれば、広告全体の印象は変わりません。

制作初期に商品区分と表示可能範囲を共有し、企画、構成、デザイン、コピーの各段階で確認する方が、完成後に全面修正するより負担を抑えやすくなります。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法チェック後に広告が弱くなる原因の多くは、NG表現を一つずつ弱い言葉へ置き換えていることです。
元のLPが承認範囲外の効能を中心に組み立てられていれば、単語を直すだけではストーリーが崩れます。
こうした場合は、効能以外の商品事実へ評価軸を移し、コピー、画像、構成、CTAをまとめて作り直す必要があります。
適正広告基準は、表現を削るためだけの基準ではありません。何を事実として伝えるかを選び直すための基準として使うと、広告制作にも生かしやすくなります。

医薬品等広告を確認する10の手順

「医薬品等広告を確認する10の手順」の図解。10のステップを順に解説しています。STEP1:商品区分を確定、STEP2:対象商品を特定、STEP3:最新資料を取得、STEP4:効能表現を抽出、STEP5:6つの意味(主体・対象・作用・程度・条件・時間)で照合、STEP6:名称・成分等を確認、STEP7:保証表現を確認、STEP8:画像・体験談を確認、STEP9:広告全体を確認、STEP10:判断履歴を記録。下部には「確認手順を共有し、判断差と見落としを減らす」というメッセージが記載されています。

医薬品等広告のチェックは、担当者の経験だけに依存させず、一定の順番で行うことが重要です。

以下の10手順を社内チェックリストへ落とし込むと、確認漏れや担当者ごとの判断差を減らしやすくなります。

手順1|商品区分を確定する

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品のどれに該当するかを確認します。

健康食品、機能性表示食品、雑貨等の場合は、医薬品的な効能を標榜していないかという別の視点が必要です。

手順2|正式な販売名と広告対象商品を特定する

シリーズ名、旧商品名、別容量、別型式等を混同しないようにします。

広告に掲載する商品画像と、確認資料に記載された商品が同一かも確認してください。

手順3|最新の承認・認証・届出情報を取得する

効能効果、使用目的、性能、用法、対象者、しばり表現を確認します。

古いパンフレットや過去の社内資料ではなく、現在の商品に対応する資料を使用します。

手順4|広告内の効能表現をすべて抽出する

本文だけでなく、次の箇所も対象にします。

  • 見出し
  • 画像内文字
  • 図解
  • 動画音声
  • 字幕
  • 商品名・愛称
  • 体験談
  • 注釈
  • CTA
  • メタ広告の見出し
  • SNS投稿文

手順5|承認内容を6つの意味へ分解する

主体、対象、作用、程度、条件、時間へ分け、広告に新しい意味が加わっていないかを確認します。

承認文言と広告文言を横に並べるだけでなく、それぞれが消費者へ何を約束するかを通常の文章に戻して比較します。

手順6|名称・製法・成分表示を確認する

正式販売名、略称、愛称、成分数、原産地、製造国、無配合表示等を確認します。

事実と一致していても、最大級、安全性保証、他社誹謗へつながっていないかを見ます。

手順7|保証・最大級・速効性を確認する

次のような意味が含まれていないかを確認します。

  • 必ず
  • 完全
  • 絶対
  • 最高
  • 最強
  • 瞬時
  • すぐ
  • 長時間
  • 誰でも
  • 副作用なし

単語がなくても、画像や構成から同じ意味が伝わる場合があります。

手順8|画像・体験談・権威表示を確認する

使用前後写真、口コミ、インフルエンサー投稿、医師、病院、大学、学会等の表示を確認します。

事実であることだけでなく、効能、安全性、優秀性の保証として受け取られないかを見ます。

手順9|広告全体の主要な印象を確認する

コピーだけ、画像だけ、完成広告の3段階で確認します。

ファーストビュー、動画冒頭、購入ボタン周辺等、閲覧者の意思決定に強く影響する場所は特に注意します。

手順10|修正理由と根拠資料を記録する

初稿、指摘内容、修正理由、確認資料、最終版、確認日を記録します。

「以前は使えた」「他社が使っている」という判断ではなく、どの資料のどの考え方に基づいて修正したかを残します。

通知やガイドラインが更新された際に、過去の広告を再確認できる状態にしておくことも大切です。

広告公開前の10項目チェック

  • 商品区分を特定したか
  • 正式販売名と広告対象商品が一致しているか
  • 最新の承認・認証・届出資料を確認したか
  • 広告内の効能表現をすべて抽出したか
  • 主体・対象・作用・程度・条件・時間を照合したか
  • 名称・成分・製法表示が事実と一致しているか
  • 保証・最大級・速効性・持続性を追加していないか
  • 画像・体験談・権威表示を確認したか
  • 完成広告が約束する主要な意味を確認したか
  • 根拠資料、修正理由、確認日を記録したか
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックを属人的にすると、「前の担当者はOKと言った」「媒体では通った」といった判断が増えます。そこで役立つのが、商品区分、承認範囲、6つの意味、画像、体験談、権威表示までを含めたチェックリストです。
40,000件以上の広告表現支援の経験でも、制作初期から確認手順を共有した案件ほど、完成後の大幅修正を抑えやすいと感じます。最終チェックだけを薬事担当者へ渡すのではなく、企画、構成、初稿、デザインの各段階へ確認工程を入れることが実務上のポイントです。

よくあるご相談(FAQ)

医薬品等適正広告基準とは何ですか?

医薬品等適正広告基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の広告が虚偽・誇大にならないよう、薬機法上の広告規制を具体化した行政基準です。

実務では、基準本文だけで可否を判断するのではなく、解説及び留意事項、監視指導Q&A、個別商品の承認・認証・届出資料、業界ガイドライン等も併せて確認します。

広告表現はNGワードがあるかどうかだけで判断できますか?

単語だけでは判断できません。

同じ言葉でも、商品区分、承認範囲、画像、体験談、前後の文章、媒体等によって、消費者が受け取る意味は変わります。反対に、明確なNGワードがなくても、広告全体から治療効果、完全性、速効性、安全性等が伝われば確認が必要です。

完成広告が「商品を使うと何が起きる」と約束しているかを一文にして確認する方法が有効です。

化粧品広告でビフォーアフター写真は使えますか?

ビフォーアフターは、一律に使用できる、または一律に禁止されるとはいえません。

洗浄、染毛、保湿等のように、写真の変化と表示可能な効能が対応する場合は検討できるケースがあります。一方、予防効能を症状が発生しなかった写真で示す場合や、緩和を完治として見せる場合は慎重な判断が必要です。

撮影条件、加工、使用期間、効果の程度、広告全体の印象も確認してください。

「シミ・そばかすを防ぐ」という効能を前後写真で表現できますか?

「防ぐ」という効能が承認されていることだけを理由に、前後写真を使用できるとは限りません。

予防効能は、その商品を使わなければ症状が発生していたことを写真だけで示すのが難しいためです。写真によって、既にあるしみが消えた、改善したという別の効能が伝わる可能性もあります。

個別商品の承認内容と、写真が伝える結果を照合する必要があります。

利用者の体験談なら、承認範囲内の効能を書けますか?

承認範囲内の効能であっても、利用者の体験として示すことで、効果を保証する表現になる可能性があります。

「個人の感想です」と注記しても、体験談本文が「治った」「消えた」「一晩で変わった」と強い結果を示していれば、主要な印象は変わらないことがあります。

使用感、香り、伸び、容器の使いやすさ等についても、商品実態と一致する範囲で検討します。

医師推奨や病院採用は、事実なら掲載できますか?

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の一般消費者向け広告では、医師、医療機関、薬局、学会等が推薦、公認、選用している旨は、事実であっても原則として使用しない方向で確認します。

推薦という言葉がなくても、白衣姿、肩書、コメント、商品画像等を組み合わせた結果、専門家が効能や安全性を保証しているように見える場合があります。

大学との共同研究は広告に表示できますか?

商品区分と広告全体によって扱いが異なります。

化粧品等では、大学との共同研究表示が医薬関係者等の推薦規定との関係で問題になる場合があります。健康食品では、共同研究の事実だけで直ちに未承認医薬品広告になるとは限りませんが、疾病の治療・予防等を暗示すれば薬機法上の確認が必要です。

共同研究の対象、研究内容、広告対象商品との関係を明確にしてください。

薬機法に配慮すると広告の訴求が弱くなりませんか?

効能表現を弱い言葉へ一対一で置き換えるだけでは、広告が弱くなることがあります。

その場合は、使用感、剤形、容器、操作性、使用場面、品質管理、問い合わせ体制等の確認可能な商品事実へ評価軸を移します。コピーだけでなく、画像、構成、CTAを一体で見直すことが重要です。

法令対応は、表現を削る作業ではなく、伝える事実を選び直す作業と考えると再設計しやすくなります。

まとめ|単語ではなく、広告が約束する意味を確認する

医薬品等適正広告基準を実務で使う際は、個別の言葉だけでなく、商品区分、承認範囲、画像、体験談、権威表示、注釈を含む広告全体が、どのような効能効果や安全性を約束しているように見えるかを確認します。

最初に商品区分と正式な販売名を特定し、最新の承認・認証・届出資料を準備してください。そのうえで、承認内容を主体、対象、作用、程度、条件、時間へ分解し、広告によって新しい意味が追加されていないかを照合します。

ビフォーアフターは写真形式ではなく、写真が伝える効能の性質で判断します。体験談は、本人の感想や承認範囲内の効能であっても、結果を保証する表現になり得ます。医師、医療機関、学会、大学等の表示も、事実であることだけでなく、広告全体で推薦や保証に見えないかを確認しなければなりません。

また、問題表現を削除した後は、効能を弱い言葉へ置き換えるだけではなく、使用感、操作性、剤形、容器、使用場面等の確認可能な商品事実へ評価軸を移します。

薬機法、景品表示法、健康増進法、特定商取引法など、広告制作で確認すべき規制の全体像を整理したい方は、「薬機法・景品表示法など広告規制の総合ガイド」もあわせてご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

「医薬品等適正広告基準を実務で読む」のタイトル図。サブタイトルは「承認範囲・ビフォーアフター・医師推薦の判断軸」。中央にWebページのレイアウト図があり、そこから「商品区分・承認範囲」「画像・体験談」「推薦・CTA」の3項目へ吹き出しが伸びています。「NGワードではなく、広告全体の意味を確認」というメインメッセージが強調されています。

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