一般用医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品に区分され、第2類医薬品の中には、特に注意を要する指定第2類医薬品があります。
広告制作やEC商品ページの運用では、この区分を確認しているでしょうか。
ここで大事なのは、リスク区分が「広告でどこまで強く訴求できるか」を示す分類ではないという点です。第1類だから効き目の強さを前面に出せるわけではなく、第3類だから「安全」「副作用の心配がない」と表現できるわけでもありません。
一般用医薬品の広告では、商品ごとの承認効能効果、用法用量、使用上の注意、相談事項を確認したうえで、タイトル、画像、説明文、レビューの引用、ランキング表示を含む広告全体の印象を見る必要があります。
また、要指導医薬品は一般用医薬品とは別の区分です。2026年5月1日以降は、一部を除き薬剤師によるオンライン服薬指導を通じた販売も可能となっているため、従来の「要指導医薬品はすべて対面販売」という説明だけでは不正確になっています。
この記事では、第1類・第2類・指定第2類・第3類医薬品の違いと、広告・EC商品ページで確認すべきポイントを実務者向けに整理します。
- 区分は広告表現の自由度を示すものではない:第1類・第2類・第3類は、使用上のリスクや販売時の情報提供方法を整理する区分です。どの区分でも、承認された効能効果や用法用量を超えた広告はできません。
- 区分ごとに広告審査の重点が変わる:第1類では効き目の強さや医療用同等の印象、指定第2類では禁忌・相談事項を弱く見せる構成、第3類では安全性を保証する表現に特に注意します。
- ECでは商品ページ全体を確認する:商品名や説明文だけでなく、画像、検索広告、レビューの引用、ランキング、比較表、区分表示、添付文書への導線、相談窓口まで含めて確認することが実務上の基本です。
一般用医薬品のリスク区分とは|第1類・第2類・第3類の全体像

一般用医薬品は、使用上のリスクなどに応じて第1類、第2類、第3類に区分されています。指定第2類医薬品は、第2類医薬品の中でも、禁忌の確認や専門家への相談を促す必要性が高いものとして扱われます。
ただし、この分類は広告表現の強弱を決めるものではありません。
広告実務では、リスク区分を確認したうえで、商品ごとの承認内容と安全性情報を広告設計に反映する必要があります。
一般用医薬品はリスクに応じて分類される
一般用医薬品のリスク区分は、副作用だけを基準に決まるものではありません。相互作用、使用者の年齢や妊娠などの背景、誤使用の可能性、漫然使用によって受診が遅れるおそれなど、複数の要素を踏まえて分類されます。
そのため、「第1類は効き目が強い薬」「第3類は弱い薬」とだけ説明するのは適切ではありません。
広告担当者が見るべきなのは、効き目の強弱ではなく、次の点です。
- 誰が販売できる区分か
- どのような情報提供が求められるか
- 添付文書にどのような禁忌・相談事項があるか
- 広告が安易な使用や漫然使用を促していないか
第1類・第2類・第3類の大まかな違い
| 区分 | 販売できる専門家 | 情報提供の基本 | 広告実務で特に見る点 |
|---|---|---|---|
| 第1類医薬品 | 薬剤師 | 原則として義務 | 効き目の強さ、医療用同等、安全性の過度な訴求 |
| 第2類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 情報提供は努力義務 | 対象者、使用場面、併用、相談事項との整合性 |
| 指定第2類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 第2類のルールに加え、禁忌確認・相談喚起を重視 | 注意喚起が訴求に埋もれていないか |
| 第3類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 法令上の情報提供義務・努力義務はない | 「安全」「誰でも安心」「副作用なし」などの保証表現 |
第1類・第2類・第3類はいずれも、所定のルールのもとでインターネット販売が可能です。購入者から相談があった場合の対応は、区分を問わず必要になります。
広告制作でリスク区分を確認すべき理由
広告基準は、第1類には適用されるが第3類には適用されない、という仕組みではありません。
医薬品等適正広告基準は、ウェブサイトやSNSを含むすべての媒体を対象とし、承認を要する医薬品の効能効果は、明示的・暗示的を問わず、承認範囲を超えてはならないとしています。広告の評価も、単語だけではなく、媒体、構成、説明の文脈などを含めて総合的に行うことが示されています。
つまり、広告制作の出発点は次の順番です。
- 商品分類を確認する
- リスク区分を確認する
- 最新の添付文書を確認する
- 承認効能効果と用法用量を確認する
- 禁忌・相談事項を確認する
- 広告全体の印象を確認する
区分は、広告を攻められるかどうかではなく、どの情報を特に丁寧に扱うべきかを知るための入口です。
第1類医薬品とは|広告では効果訴求と情報提供のバランスに注意
第1類医薬品は、一般用医薬品の中でも、販売時に薬剤師による情報提供が原則として義務づけられている区分です。ただし、第1類であることは、「効果が強い」「医療用と同じ」「他の市販薬より優れている」と広告できる根拠にはなりません。
第1類医薬品の基本的な位置づけ
第1類医薬品は薬剤師が販売し、購入者の年齢、症状、他の医薬品の使用状況などを踏まえた情報提供が行われます。
EC販売でも、単にカートへ入れて決済させればよいわけではありません。購入者情報の確認、薬剤師による必要な情報提供、相談対応等を含む販売手続きの設計が必要です。
広告制作側が販売フローを直接管理していない場合でも、広告が販売時の適正使用設計と矛盾していないかを確認する必要があります。
第1類医薬品広告で注意すべき効き目訴求
実務で問題になりやすいのが、次のような表現です。
- 「市販薬で最強」
- 「第1類だからよく効く」
- 「医療用レベル」
- 「病院と同じ効果」
- 「一度で確実に効く」
- 「即効で治す」
これらは、承認範囲を超える問題だけでなく、効果保証、比較優良、医療用医薬品との同一視といった複数の論点につながります。
医療用医薬品から転用された成分を含む場合でも、医療用製品と一般用製品では、成分量、用法用量、対象者、効能効果などが異なることがあります。広告では「同じ成分だから同じ効果」と短絡せず、広告対象となる一般用医薬品そのものの承認内容を確認します。
これらの表現は「医薬品等適正広告基準」や『OTC医薬品等の適正広告ガイドライン』で規制されています。
EC商品ページで確認すべき表示
第1類医薬品の商品ページでは、少なくとも次の項目を確認します。
| 確認箇所 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|
| 商品タイトル | 「最強」「医療用と同じ」などの印象を与えていないか |
| メイン・サブ画像 | 効果を保証する図解、過度なビフォーアフターがないか |
| 商品説明 | 承認効能効果、用法用量との整合性があるか |
| 購入フロー | 薬剤師による確認・情報提供の工程があるか |
| 使用上の注意 | 添付文書や相談事項へ到達しやすいか |
| 相談窓口 | 薬剤師へ質問できる導線が明確か |
| レビュー利用 | 販売者が効果体験談を選別・転載していないか |
第1類医薬品の広告では、「効きそうに見せること」だけを優先すると、販売時に求められる慎重な情報提供とのバランスが崩れます。広告と購入手続きを別々に審査しないことがポイントです。
第2類医薬品とは|対象者と使用場面を広げすぎない
第2類医薬品は、薬剤師または登録販売者が販売でき、情報提供は努力義務とされています。第1類より販売手続が簡略化される場面があっても、広告表現まで緩くなるわけではありません。
第2類医薬品の基本的な位置づけ
第2類医薬品には、かぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬など、広告で身近に目にする製品が多く含まれます。
身近な商品であるほど、制作現場では「誰でも使える日常商品」のような見せ方になりがちです。しかし、実際には年齢制限、妊娠・授乳中の使用、持病、併用薬、使用期間など、商品ごとに異なる注意事項があります。
広告では、症状を抱えるすべての人に無条件で適するような印象を与えないことが大切です。
使用者を広げすぎる広告に注意する
例えば、次のような表現です。
- 「家族みんなで使える」
- 「どんな頭痛にも」
- 「誰でも気軽に飲める」
- 「毎日の不調に常備」
- 「迷ったらこれ一本」
商品によっては、年齢や症状、服用期間などの条件と合わない可能性があります。表現単体だけでなく、家族全員の写真、子どもや妊婦を含むイラスト、日常的な連用を連想させる構成にも注意が必要です。
添付文書の「してはいけないこと」と「相談すること」を見る
広告担当者は効能効果だけを確認しがちですが、第2類医薬品では使用上の注意が重要です。
特に確認したいのは、添付文書の次の部分です。
- 使用できない人
- 併用してはいけない医薬品
- 服用後にしてはいけない行為
- 妊娠・授乳中の取扱い
- 持病がある場合の相談事項
- 症状が改善しない場合の受診・相談目安
- 連用できる期間
広告で使用場面を提案するときは、この情報と矛盾していないかを確認します。
指定第2類医薬品とは|第2類の中でも特別の注意を要する区分
指定第2類医薬品は、第2類医薬品のうち、特に注意を要するものです。第2類とは別の第4のリスク区分ではありませんが、禁忌の確認や薬剤師・登録販売者への相談を促す表示が重視されます。
指定第2類医薬品と第2類医薬品の違い
販売できる専門家や情報提供の法的な位置づけは、基本的に第2類医薬品と共通します。
一方で、指定第2類医薬品は、店頭で情報提供設備から一定範囲内に陳列することや、禁忌を確認し、専門家へ相談するよう促す表示が求められます。そのため、店舗の売り場で什器などを使ってプロモーションを行おうとする場合は注意が必要です。
ECでは店頭と同じ陳列ルールをそのまま当てはめるのではなく、購入者が注意情報を見落とさない画面設計になっているかを確認することが実務上の課題になります。
注意喚起を「ページ下部に置けばよい」と考えない
指定第2類医薬品の商品ページで起きやすいのが、効能効果や割引情報は大きく表示されている一方、禁忌・相談事項はページ最下部や別画面にまとめられているケースです。
形式上、使用上の注意を掲載していても、広告全体として次のように見える場合があります。
- ほとんどの人が問題なく使用できる
- 症状があれば自己判断で購入すればよい
- 注意事項は読まなくても支障がない
- 専門家への相談は例外的な場合だけでよい
広告審査では、注意書きの有無だけでなく、訴求との視認性の差、文字サイズ、色、掲載位置、購入ボタンとの関係まで確認します。
安易な使用促進につながる表現
次のような表現は、商品ごとの添付文書と照らして慎重に検討します。
- 「いつでも気軽に」
- 「とりあえず飲んでおこう」
- 「一家に一箱」
- 「症状を感じる前から」
- 「まとめ買いがお得」
- 「迷わずセルフケア」
医薬品広告では、購入促進だけでなく、適正使用を損なう印象がないかを見る必要があります。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
指定第2類医薬品の商品ページでは、「使用上の注意を載せているから問題ない」と考えない方がよいでしょう。
ファーストビューでは「今すぐ」「まとめ買い」「誰でも簡単」と強く訴求し、注意事項はページ最下部に小さく掲載する。この構成では、注意書きが存在していても、消費者が受ける全体印象とのバランスが取れていません。
制作現場では、文言の有無だけでなく、文字サイズ、色、掲載位置、購入ボタンまでの距離を確認します。注意喚起も広告設計の一部です。
補足:指定第2類医薬品と指定濫用防止医薬品は別の制度です。
2026年5月1日から施行された「指定濫用防止医薬品」は、濫用のおそれを踏まえた販売数量、購入者確認、情報提供などに関する区分です。「指定」という言葉が共通していても、指定第2類医薬品とは意味が異なります。
第3類医薬品とは|「安全」「副作用なし」と断定しない


第3類医薬品は、一般用医薬品の中では相対的にリスクが低い区分として位置づけられます。ただし、医薬品である以上、「安全性が保証されている」「副作用がない」と広告できるわけではありません。
第3類でも医薬品広告のルールは共通する
第3類医薬品にも、承認された効能効果、用法用量、使用上の注意があります。
医薬品等適正広告基準では、承認された効能効果を明示的・暗示的に超えることは認められていません。また、広告は単語だけではなく、画像や文脈を含む全体で評価されます。
したがって、第3類だから次のような表現が許容されるとは限りません。
| 注意したい表現 | 問題になり得る印象 | 表現設計の方向性 |
|---|---|---|
| 副作用なし | 安全性が保証されている | 使用上の注意を確認するよう促す |
| 誰でも安心 | 対象者の制限がない | 対象年齢や相談事項と整合させる |
| 毎日気軽に | 漫然使用を促す | 用法用量、使用期間を明確にする |
| 体にやさしい薬 | 他の医薬品より安全 | 何が「やさしい」のかを明確にする |
| 常用しても大丈夫 | 長期使用を保証する | 添付文書の使用期間と整合させる |
「相対的にリスクが低い」と「安全」は違う
ここは、社内やクライアントへの説明で押さえておきたいポイントです。
第3類という区分は、第1類・第2類と比較した制度上の分類です。個々の購入者にとって副作用や相互作用が起きないことを保証するものではありません。
「第3類だから安全性を訴求できる」のではなく、「第3類であっても、安全性を保証しない広告設計が必要」と説明すると、修正理由が伝わりやすくなります。
要指導医薬品の違い|一般用医薬品と同じ扱いにしない
要指導医薬品は、第1類・第2類・第3類からなる一般用医薬品とは別の区分です。
従来は「要指導医薬品は薬剤師による対面販売」と説明されてきましたが、2026年5月1日施行の制度改正後は、特定要指導医薬品を除き、薬剤師の判断に基づくオンライン服薬指導による販売が可能になっています。
要指導医薬品は一般用医薬品とは別区分
要指導医薬品は、医療用から転用されて間もない品目など、一般消費者による使用実績が限られ、薬剤師による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品です。
一般用医薬品の第1類も薬剤師が販売しますが、両者は同じ区分ではありません。
2026年5月1日以降の販売方法
| 区分 | 販売・情報提供の基本 |
|---|---|
| 要指導医薬品 | 薬剤師による情報提供・薬学的指導。一定の条件のもと、オンライン服薬指導による販売も可能 |
| 特定要指導医薬品 | 適正使用のため対面販売が特に必要と指定された品目。対面販売 |
| 第1類医薬品 | 一般用医薬品。薬剤師が販売し、情報提供は原則として義務 |
| 第2類・第3類医薬品 | 一般用医薬品。薬剤師または登録販売者が販売 |
オンライン販売が制度上可能になったとしても、通常の一般用医薬品と同じ購入フローで販売できるという意味ではありません。薬剤師が映像・音声を通じて購入者の状態を確認し、オンラインでの指導が適切か判断する工程が必要です。
広告・ECで混同しないための確認ポイント
広告担当者は、次のような一括りの表現を避けます。
- 「すべてネットですぐ購入できます」
- 「薬局に行かず簡単に買えます」
- 「市販薬なので自己判断で使えます」
- 「処方箋なしで誰でも購入できます」
広告対象が要指導医薬品なのか、特定要指導医薬品なのか、第1類医薬品なのかによって、販売方法と情報提供設計が異なります。
販売開始前には、厚生労働省の最新の品目区分、製造販売業者の情報、PMDAの添付文書を確認してください。
区分別に広告で気を付けること|第1類・第2類・指定第2類・第3類の比較





薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
一般用医薬品の区分は、広告でどこまで攻められるかを示すものではありません。第1類だから効き目を強く訴求できる、第3類だから安全性を大きく打ち出せる、という考え方では、広告全体のバランスを崩します。
実務で見るべきなのは、その商品を適正に使ってもらうために、どの情報を目立たせる必要があるかです。第1類では効き目の強さを過度に印象づけていないか、指定第2類では禁忌や相談事項が購入訴求に埋もれていないか、第3類では安全性保証になっていないか。
区分は広告を弱くするためではなく、正しく伝えるための設計条件として扱うべきです。
第1類・第2類・指定第2類・第3類では、広告審査で重点的に確認するポイントが異なります。ただし、どの区分でも承認効能効果、用法用量、使用上の注意を超えないことが共通の大前提です。
全区分に共通する広告表現の基本
医薬品等適正広告基準では、広告主や広告媒体など、広告業務に従事する者に対して、使用者が適正に使用できるよう正確な情報を伝えることが求められています。ウェブサイトやSNSも対象です。
区分を問わず、次の表現を確認します。
- 承認されていない効能効果を示していないか
- 効果発現の確実性を保証していないか
- 安全性や副作用のなさを保証していないか
- 用法用量を超える使用方法を促していないか
- 連用・過量使用・安易な使用を促していないか
- 医療用医薬品と同等であるように見せていないか
- 医師、薬剤師、学会などの推薦を訴求していないか
- 画像、動画、体験談を合わせると表現が強くなっていないか
区分別に注意したい表現
| 区分 | 特に注意する訴求 | 審査時の判断軸 |
|---|---|---|
| 第1類 | 「強い」「最強」「医療用と同じ」「確実に効く」 | 第1類であることを優良性や効果の強さに転換していないか |
| 第2類 | 「誰でも」「家族全員」「どんな症状にも」 | 対象者、併用、使用期間を広げすぎていないか |
| 指定第2類 | 「気軽に」「とりあえず」「まとめ買い」 | 禁忌・相談事項や専門家への相談を軽く見せていないか |
| 第3類 | 「安全」「副作用なし」「毎日使える」 | 相対的なリスクの低さを安全性保証に変えていないか |
この表は、いわゆるNGワード集ではありません。
例えば「強い」という一語が常に違反になるとは限りませんが、商品画像やランキング、医療用成分の説明と組み合わさり、「他の薬より強く、確実に効く」という印象になれば問題が大きくなります。
EC商品ページで確認すべき表示項目
ECでは、商品説明文だけを薬事チェックしても不十分です。
| 確認対象 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 商品タイトル | 未承認効能、最大級、医療用同等の表現 |
| メイン画像 | 効果保証、症状の過度な改善イメージ |
| サブ画像 | 成分説明、作用機序、使用者像 |
| 商品説明 | 承認効能効果、用法用量との整合性 |
| 検索広告 | 文字数制限で条件や注意事項が欠落していないか |
| ランキング・No.1 | 調査対象、期間、比較条件、根拠 |
| 価格表示 | 二重価格、期間限定、割引条件 |
| レビュー | 販売者が選別・編集・転載していないか |
| 添付文書 | 最新情報に到達できるか |
| 相談導線 | 薬剤師・登録販売者へ相談できるか |
| 購入フロー | 区分に応じた確認・情報提供が行われるか |
プラットフォーム上に消費者が自主的に投稿したレビューと、販売者がレビューを選び、自社LPや商品画像に転載する行為は分けて考える必要があります。販売者がレビューを選別・転載した場合は、自社広告の一部として薬機法・景品表示法上の内容を確認します。元の投稿に事業者が関与し、広告であることが分かりにくい場合は、別途ステルスマーケティング規制も確認します。
OTC医薬品広告チェック時の実務フロー


公開直前にコピーだけを直すと、LP(ランディングページ)全体のストーリーが崩れます。キャッチコピーだけを差し替えても、画像や成分説明、体験談、購入理由がすべて元の訴求につながっているため、結局は構成から作り直すことになり、修正コストが大幅に膨らんでしまいます。
実務では、次の順番で各工程に薬事視点を組み込むことで、手戻りを防ぎ進行を安定させることができます。
- 企画段階(商材分類・リスク区分の確認):該当する商品の分類(健康食品、機能性表示食品、化粧品、医薬部外品、医薬品など)や、最新の適正なリスク区分、承認された効能効果をあらかじめ確認し、訴求可能な範囲の土台を固めます。
- 構成段階(訴求軸・ストーリーの設計):誰に、どの症状を、どの範囲で訴求するかを決定します。無理に強い表現を狙うのではなく、ターゲットの悩みや使用シーンに合わせ、生活者価値に転換した広告のストーリーを組み立てます。
- 初稿段階(薬事チェックと表現の照合):作成された原稿と最新の添付文書を照合し、認められた範囲を超えた表現や、身体機能の改善を保証するような標ぼうリスクがないかを徹底的に洗い出します。
- デザイン段階(画像・注釈の視認性確認):文言単体だけでなく、画像、イラスト、グラフ、ビフォーアフター、注釈の文字サイズや配置位置を確認します。ビジュアルが文字以上に過度な期待を与える印象になっていないかを総合的に評価します。
- 入稿前(関連法令・媒体規約の横断確認):薬機法、景品表示法などの法令確認に加え、Amazonや楽天市場、各種広告媒体の最新の独自ポリシーや考査基準に照らし、差し戻しリスクがないか最終審査を行います。
- 公開後(運用・差し替えの監視):公開後に消費者が投稿するレビューの扱い、ランキング表示の有効期限、価格表示の二重価格や割引条件などを継続的に監視し、適正な運用が維持されているかを確認します。
制作の最終盤になってから検品として薬事確認を入れるのではなく、初期の企画・構成段階からルールを共有しておくことで、完成後の大幅な書き直しを未然に防ぎやすくなります。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックで最もコストがかかるのは、完成したLPの中心訴求が承認範囲と合っていなかったケースです。キャッチコピーだけを差し替えても、画像、成分説明、体験談、購入理由がすべて元の訴求につながっているため、結局は構成から作り直すことになります。
40,000件以上の広告表現支援を通じても、薬事確認は最後の検品ではなく、企画条件として先に置く方が進行は安定します。商品分類、承認効能効果、使用上の注意を共有してから構成を作る。これだけでも、公開直前の大幅修正を減らしやすくなります。
一般用医薬品広告を作る前に確認すべき一次情報
広告表現を具体的に考える前に、必ず該当商品の公式な一次情報を確認します。競合他社のランディングページやECモール上の他社表現を参考にしても、それらが適法である保証はなく、一次情報の代わりには決してなりません。
PMDAの添付文書等情報検索
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトでは、一般用医薬品や要指導医薬品の最新の添付文書等を販売名から直接検索・確認することができます。
広告制作やEC商品ページの編集時には、効能効果をただコピーするだけでなく、条件や「しばり表現」が付いていないか、また安全性に関するリスク情報が含まれていないかを確認するため、以下の項目を必ず抜き出して精査します。
- 正確な販売名(承認されている名称)
- 現在の正しいリスク区分(第1類・第2類・指定第2類・第3類など)
- 承認された効能・効果(文言の省略や誇張がないか)
- 定められた用法・用量(タイミングや量の過度な強調を避ける)
- 使用できる年齢や対象者の制限
- してはいけないこと(禁忌事項・併用不可の医薬品など)
- 相談すること(持病や妊娠・授乳中の注意)
- 使用後に現れる可能性がある副作用や症状
- 使用できる期間、受診を勧める目安
厚生労働省の販売制度・広告規制資料
区分、販売方法、情報提供については、厚生労働省の医薬品販売制度ページを確認します。2026年には要指導医薬品や指定濫用防止医薬品に関する制度変更も行われているため、過去の記事や社内資料だけで判断しないことが重要です。
広告表現については、薬機法66条・68条、医薬品等適正広告基準、その解説・留意事項を確認します。厚生労働省は、医薬品広告が適正を欠く場合、保健衛生上の影響が大きいことから、広告規制の関係法令や通知をまとめて公開しています。
媒体規約は薬機法とは別に確認する
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどでは、法令に加えて、出品・広告・商品画像・レビューなどに関する独自ルールがあります。
薬機法上直ちに問題がない表現でも、媒体審査で掲載できない場合があります。反対に、他社が掲載できているからといって、法令上問題がないとは限りません。
社内やクライアントには、次の3層に分けて説明すると整理しやすくなります。
- 法令上の確認:薬機法、景品表示法、特定商取引法
- 行政通知・業界基準の確認:医薬品等適正広告基準、OTC広告関連ガイドライン
- 媒体上の確認:各ECモール、広告媒体の最新ポリシー
よくあるご相談(FAQ)
- 第1類医薬品とは何ですか?
-
第1類医薬品は、一般用医薬品のうち、販売時に薬剤師による情報提供が原則として義務づけられている区分です。インターネット販売も可能ですが、薬剤師による購入者情報の確認や情報提供を前提とします。
広告では、第1類であることを「効き目が強い」「他の市販薬より優れている」という意味に置き換えないことが重要です。商品ごとの効能効果、用法用量、使用上の注意を確認し、医療用医薬品と同等であるような印象や効果保証になっていないかを確認します。
- 第2類医薬品とは何ですか?
-
第2類医薬品は、薬剤師または登録販売者が販売できる一般用医薬品です。購入者への情報提供は努力義務とされています。
広告では、使用者を広げすぎないことがポイントです。「誰でも使える」「家族全員に」「どんな症状にも」といった表現は、対象年齢、妊娠・授乳、持病、併用薬などの条件と合わない可能性があります。添付文書の「してはいけないこと」「相談すること」まで確認して広告を設計します。
- 指定第2類医薬品とは何ですか?
-
指定第2類医薬品は、第2類医薬品の中でも、禁忌の確認や専門家への相談を特に促す必要がある医薬品です。
広告やEC商品ページでは、効能効果だけを強く見せ、注意事項を小さく扱わないことが重要です。購入前に禁忌や相談事項を確認できるか、薬剤師または登録販売者への相談導線が分かりやすいかを確認します。
- 第3類医薬品とは何ですか?
-
第3類医薬品は、一般用医薬品の中では相対的にリスクが低い区分です。薬剤師または登録販売者が販売できます。
ただし、「相対的にリスクが低い」ことは、「副作用がない」「誰でも安全に使える」という意味ではありません。第3類であっても添付文書には使用上の注意があり、承認効能効果や用法用量を超えた広告はできません。
- 要指導医薬品と第1類医薬品の違いは何ですか?
-
要指導医薬品は一般用医薬品とは別の区分であり、第1類医薬品は一般用医薬品の一部です。
2026年5月1日以降、要指導医薬品は、特定要指導医薬品を除き、薬剤師によるオンライン服薬指導で販売できる制度になりました。特定要指導医薬品は対面販売が必要です。一方、第1類医薬品はインターネット販売が可能で、薬剤師による情報提供が義務づけられています。
- 第3類医薬品なら広告で「安全」と言えますか?
-
第3類医薬品であっても、「安全」「副作用なし」「誰でも安心」と断定する表現は避けるべきです。
広告では、安全性を保証するのではなく、用法用量を守ること、添付文書を確認すること、必要に応じて専門家へ相談することを適切に伝えます。「体にやさしい」などの表現も、何を根拠にした表現なのか、他の医薬品より安全だと誤認させないかを確認してください。
- 一般用医薬品の区分によって広告表現は変わりますか?
-
承認効能効果を超えない、効果や安全性を保証しないという基本ルールは、すべての区分に共通します。
一方、審査で重点的に見るポイントは異なります。第1類では効き目の強さや医療用同等の印象、指定第2類では禁忌・相談事項と注意喚起、第3類では安全性保証や漫然使用の促進に特に注意します。
区分は「使えるワード」を決めるものではなく、広告でどのリスク情報を重視するかを判断する材料です。
- Amazonや楽天の商品レビューも広告チェックが必要ですか?
-
プラットフォーム上で消費者が自主的に投稿し、販売者が編集・削除・選別できないレビューと、販売者が広告へ引用するレビューは分けて考えます。
販売者が好意的なレビューを選び、自社LP、商品画像、A+コンテンツ、広告バナーなどに転載した場合は、そのレビューを自社の広告表現として確認する必要があります(景品表示法上のステルスマーケティング告示)。効果を保証する体験談や、承認範囲を超える内容をそのまま使わないよう注意してください。
まとめ
第1類・第2類・指定第2類・第3類医薬品の違いは、広告表現の自由度を示すものではありません。区分ごとに、販売できる専門家や情報提供の前提、特に注意すべき安全性情報が異なるということです。
広告実務では、次の5点を基本にします。
- 商品分類と最新のリスク区分を確認する
- PMDAの添付文書で承認効能効果・用法用量を確認する
- 禁忌・相談事項と広告の使用場面が矛盾していないか確認する
- タイトル、画像、レビュー、ランキングを含む全体印象を見る
- 法令、行政通知、媒体規約を分けて確認する
特に、第1類の「強い・医療用同等」、指定第2類の注意喚起不足、第3類の「安全・副作用なし」は、区分に対する誤解から生じやすい表現です。
また、要指導医薬品の販売制度は2026年に改正されています。古い社内マニュアルや過去記事をそのまま使わず、最新の区分、品目、販売方法を確認してください。
医薬品広告の薬機法ルールや、制作時に確認すべきポイントを体系的に整理したい方は、 「医薬品広告の薬機法ガイド」もあわせてご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局長「医薬品等適正広告基準の改正について」2017年9月29日. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」2017年9月29日. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58083.html(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「医薬品を安全に使うために―医薬品の販売制度に関する法改正をわかりやすく解説―」WEBマガジン・クローズアップ. https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「一般用医薬品のリスク区分」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050568.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「指定濫用防止医薬品の販売等について」2025年12月26日. https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001628299.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「指定濫用防止医薬品の指定について」2026年1月23日. https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001638681.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「一般用医薬品・要指導医薬品」PMDA. https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/otc/0002.html(参照日:2026年07月16日)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索」PMDA. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「表示規制の概要」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の指定及び『「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準』の公表について」2023年3月28日. https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/(参照日:2026年07月16日)
- 日本一般用医薬品連合会「OTC医薬品等の適正広告ガイドライン2019年版」日本一般用医薬品連合会. https://www.jfsmi.jp/ad_guideline/item/guideline_2019.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 日本一般用医薬品連合会「2021年広告表現・ガイドラインの変更点」日本一般用医薬品連合会. https://www.jfsmi.jp/ad_guideline/item/guideline_change_point.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 日本一般用医薬品連合会「OTC医薬品等の適正広告ガイドラインに係る自主申し合わせ事項等について」日本一般用医薬品連合会. https://www.jfsmi.jp/ad_guideline/(参照日:2026年07月16日)
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本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
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