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健康食品広告に関わる人のための健康増進法|概要・規制内容・具体例を実務目線で解説

健康食品広告と健康増進法の関係を示す図解。LP、ECサイト、SNS、動画広告、記事広告、体験談を対象に、商品画像・広告見出し・成分説明・体験談・注釈まで広告全体を確認し、健康増進法、薬機法、景品表示法を横断して確認する必要性を整理している。

健康食品やサプリメントの広告を制作するとき、「薬機法に触れなければ大丈夫」と考えていないでしょうか。

結論からいうと、健康食品広告では、薬機法だけでなく、健康増進法や景品表示法もあわせて確認する必要があります。健康増進法第65条第1項では、食品として販売される物について、健康保持増進効果等を著しく事実と異なる形で表示したり、著しく人を誤認させたりすることが禁止されています。

対象は商品パッケージだけではありません。LP(ランディングページ)、EC商品ページ、記事広告、SNS、動画、画像、体験談なども広告その他の表示に含まれ得ます。

たとえば、「飲むだけで痩せる」「免疫力アップ」「血糖値を下げる」といった表現は、文言そのものだけでなく、根拠資料、画像、体験談、注釈、商材区分を含めて検討しなければなりません。

この記事では、健康増進法の概要、虚偽誇大表示の判断軸、薬機法・景品表示法との違い、健康食品広告で問題になりやすい表現、実務上のチェック手順を整理します。個別案件では、最新の公的資料や、弁護士・薬事専門家・社内法務等による確認も行ってください。

この記事の要点(まとめ)
  • 健康増進法は健康効果の誇大な見せ方を規制する:食品として販売される物の健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示が禁止されています。
  • 単語ではなく広告全体で判断する:「痩せる」と書かなければよいわけではありません。画像、体験談、成分説明、ランキング、専門家コメント、注釈を組み合わせた結果、何を約束しているように見えるかを確認します。
  • 薬機法・景品表示法と横断して確認する:健康食品の商材区分、表示したい機能、届出内容、根拠資料を整理し、薬機法、健康増進法、景品表示法、食品表示法の順に確認することが実務上有効です。
目次

健康増進法とは|健康食品広告で確認すべき基本

健康増進法の基本と、健康食品広告で確認する4つのポイントを整理した図解。対象、表示媒体、表示内容、禁止される表示を4カードで示し、根拠から導ける表現範囲の確認と、薬機法・健康増進法・景品表示法を横断して確認する必要性を表している。

健康増進法は、国民の健康増進を総合的に推進するための法律です。健康食品広告の実務では、特に第65条第1項に定められた虚偽誇大表示の禁止が重要になります。

健康増進法第65条第1項では、何人も、食品として販売に供する物について広告その他の表示をするときは、健康保持増進効果等に関して、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示をしてはならないとされています。

健康増進法の目的

健康増進法は、国民の栄養改善その他の健康増進を図り、国民保健を向上させることを目的としています。

広告規制との関係では、実際には表示どおりの効果がない食品を、消費者が表示を信じて摂取し続けることによって、適切な診療機会を逃すような事態を防ぐ趣旨があります。

ここで大事なのは、健康増進法が単に「嘘を書いてはいけない」という法律ではないことです。研究結果や成分データが存在していても、そのデータから導ける範囲を超えて商品効果を表現すれば、消費者に過度な期待を持たせる可能性があります。

広告実務で重要なのは虚偽誇大表示の禁止

健康増進法で確認する中心的なポイントは、次の4つです。

確認項目実務上の意味
対象食品として販売される物
表示媒体パッケージ、LP、EC、SNS、記事広告、動画、チラシなど
表示内容健康の維持・改善、疾病予防、身体機能、美容効果、成分量など
禁止される表示著しく事実と異なる表示、著しく人を誤認させる表示

健康保持増進効果等には、疾病の治療・予防だけでなく、「疲労回復」「免疫力を高める」「脂肪燃焼を促進する」「美肌効果」といった身体機能や美容に関する表示も含まれます。また、商品名、キャッチフレーズ、成分説明、悩みの提示、体験談による間接的な暗示も対象になり得ます。

健康食品広告では薬機法・景品表示法とあわせて確認する

健康食品広告は、健康増進法だけを確認しても判断できません。

健康食品が疾病の治療・予防や身体機能の増強を標ぼうすると、薬機法上、未承認の医薬品に当たる問題が生じる可能性があります。一方、商品性能や調査結果を実際より著しく優良に見せる場合は、景品表示法上の優良誤認表示が問題になります。消費者庁の留意事項も、健康増進法と景品表示法の双方から表示を確認する構成になっています。

したがって、健康食品広告では次のように考えます。

  • 薬機法:食品に医薬品のような効果を標ぼうしていないか
  • 健康増進法:健康効果を著しく事実と異なる形で見せていないか
  • 景品表示法:商品を実際より著しく優良に見せていないか

健康増進法で禁止される虚偽誇大表示とは

健康増進法における虚偽誇大表示の確認方法を示す図解。コピー、画像、体験談、成分説明、注釈などの表示全体から消費者が受ける印象・期待を整理し、根拠や実際の内容との差を確認する流れを示している。下部には、効果の断定、根拠との整合、体験談、画像、成分説明、注釈、広告全体の7つの確認項目を掲載し、コピーだけでなく完成形の広告で確認する重要性を伝えている。

健康増進法上の虚偽誇大表示は、食品の健康保持増進効果等について、実際より著しく優れているように示したり、消費者に過度な期待を抱かせたりする表示です。

特定の禁止ワードが決められているわけではありません。消費者庁も、虚偽誇大表示等に該当するかは、特定の用語だけでなく、表示全体から個別具体的に判断するとしています。

対象は「食品として販売に供する物」

健康増進法の対象は、錠剤やカプセル型のサプリメントだけではありません。野菜、果物、飲料、調理品など、一般的な食品も含まれます。

広告チェックでは、「サプリメントだから厳しい」「普通の食品だから問題ない」という分け方をしないことが大切です。一般食品であっても、「この食品を食べれば生活習慣病を予防できる」などと表示すれば、健康増進法や薬機法の確認が必要になります。

「健康保持増進効果等」とは何を指すか

健康保持増進効果等には、次のような内容が含まれます。

分類表現例
疾病の治療・予防高血圧を改善、花粉症に効果、糖尿病予防
身体機能の増強・改善疲労回復、免疫力向上、脂肪燃焼、代謝アップ
特定の保健用途血圧が高めの方に適する、体脂肪を減らすのを助ける
栄養成分の機能カルシウムは骨や歯の形成に必要
美容・容貌への効果美肌、美白、理想の体形、髪を健やかに保つ
成分や熱量○○成分配合、カロリー○%オフ

ただし、健康保持増進効果を表示しただけで直ちに健康増進法違反になるわけではありません。保健機能食品として認められた範囲の表示や、適切な栄養成分表示もあります。問題になるのは、表示内容が著しく事実に相違する場合や、著しく人を誤認させる場合です。

「著しく事実に相違」「著しく人を誤認」とは

「著しく事実に相違する表示」は、表示された効果と実際の効果に大きな差があるケースです。

「著しく人を誤認させる表示」は、完全な虚偽でなくても、表示方法によって消費者が実際以上の効果を期待するケースを含みます。

たとえば、次のような広告は注意が必要です。

  • 一部の都合のよい研究結果だけを掲載する
  • ごく少数の成功例を、誰にでも起こる結果のように見せる
  • 効果を得るために必要な食事管理や運動条件を目立たなくする
  • 動物・細胞試験の結果を、そのまま人が商品を摂取した効果として示す
  • 成分研究を、最終商品の効果であるかのように見せる

消費者庁の留意事項では、一般消費者が表示から受ける印象・期待感と実際の内容に相違があれば、実際に誤認した消費者が確認されていなくても問題になり得るとされています。

広告文だけでなく表示全体の印象を見る

健康増進法の広告チェックで陥りやすいのが、テキストだけを抜き出して判定することです。

たとえば、本文に「痩せる」と書かれていなくても、次の要素が組み合わされていれば、強いダイエット効果を暗示する可能性があります。

  • 大きくサイズが変化したビフォーアフター画像
  • 「もうリバウンドしない」といったキャッチコピー
  • 「3か月で9kg減」という体験談
  • 白衣を着た人物の推薦コメント
  • 「今まで何をしてもダメだった方へ」という導入
  • 小さな文字で書かれた「個人の感想です」という注釈

注釈を付ければ主要表示が自動的に許容されるわけではありません。注釈の内容、大きさ、位置、認識しやすさを含め、広告全体から消費者が何を受け取るかを確認します。

虚偽誇大表示チェック表

チェック項目確認する内容
効果の断定「必ず」「飲むだけで」など結果を保証していないか
根拠との整合対象者、摂取量、期間、成分量が広告商品と一致するか
体験談例外的な成果を一般化していないか
画像身体の具体的変化を強く暗示していないか
成分説明成分研究を商品効果へ飛躍させていないか
注釈主要表示と矛盾していないか、認識できる大きさか
広告全体最終的に何を約束しているように見えるか
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
健康食品広告のチェックでは、「この単語が入っているからNG」「この単語を避ければ大丈夫」という見方だけでは足りません。
実務で確認すべきなのは、広告全体を見た消費者が、その食品にどのような効果を期待するかです。本文に「痩せる」と書いていなくても、ビフォーアフター画像、強い体験談、白衣の人物、ランキングが重なれば、商品が大幅な減量効果を約束しているように見えることがあります。
だからこそ、コピーだけを法務や薬事担当者へ渡すのではなく、ファーストビュー、画像、注釈、購入導線まで含めた完成形で確認することが大切です。

健康増進法の対象者|メーカーだけでなく広告代理店・制作会社も注意

健康増進法第65条第1項は「何人も」と規定しており、健康食品のメーカーや販売会社だけでなく、広告表示に関わる事業者も対象になり得ます。

ただし、広告代理店や媒体社が、すべての案件で直ちに法的措置の対象になるという意味ではありません。消費者庁の留意事項では、第一義的な規制対象は健康食品の製造業者・販売業者としつつ、広告内容が明らかに虚偽誇大であると予見できた場合などには、表示内容の決定に関与した広告媒体事業者等も対象になり得ると整理されています。

関係者別の確認ポイント

関係者主な確認事項
メーカー・販売会社商材区分、根拠資料、届出内容、広告方針
広告代理店訴求軸、コピー、画像、媒体審査、根拠との整合
Web制作会社LP構成、ファーストビュー、体験談、注釈
記事制作会社記事と販売ページの一体性、成分説明、誘導表現
アフィリエイターランキング、比較、体験談、広告主との関係
媒体社掲載基準、考査、明らかな虚偽誇大表示の確認

アフィリエイト広告については、広告主が具体的な表示を把握していなかったとしても、表示内容の決定をアフィリエイターへ委ねていると評価されれば、広告主が表示内容の決定に関与したと判断される場合があります。

制作会社や代理店にとって大切なのは、「売主ではないから自社には関係ない」と考えないことです。法的責任の所在だけでなく、納品後の修正、媒体掲載の停止、クライアントからの説明要求といった実務リスクにも備える必要があります。

健康増進法・薬機法・景品表示法の違い

健康食品広告では、薬機法、健康増進法、景品表示法のどれか一つを選んで確認するのではなく、同じ広告を異なる観点から横断的にチェックします。

3法の違い

法律主な確認対象健康食品広告での確認例
薬機法医薬品的効能効果、未承認医薬品の広告疾病の治療・予防、身体機能の増強を標ぼうしていないか
健康増進法健康保持増進効果等の虚偽誇大表示健康効果を実際より著しく優れているように見せていないか
景品表示法優良誤認、有利誤認、表示の合理的根拠No.1、満足度、医師推奨、比較、価格、研究結果に根拠があるか

薬機法で確認すること

一般的な健康食品は医薬品ではないため、疾病の治療・予防や、身体の組織機能を積極的に改善・増強する効果を標ぼうすることはできません。

消費者庁の留意事項でも、疾病の治療・予防や身体機能の一般的増強に当たる表示は、内容が著しく虚偽かどうかにかかわらず、医薬品としての承認を受けない限り表示できない場合があると整理されています。

つまり、「本当に効果がある研究があるから書ける」という考え方は適切ではありません。薬機法では、根拠の有無より前に、その食品について標ぼうできる効能効果なのかを確認します。

薬機法について体系的に知りたい方は「薬機法の基礎ガイド」をご覧ください。

健康増進法で確認すること

健康増進法では、健康保持増進効果等の見せ方と実態の差を確認します。

たとえば、機能性表示食品として一定の機能を表示できる商品でも、届出表示を超えて「治る」「必ず改善する」と見せれば、健康増進法や景品表示法の問題が生じ得ます。

景品表示法で確認すること

景品表示法では、商品内容を実際より著しく優良に見せていないかを確認します。

健康効果だけでなく、次の表示も対象になります。

  • 売上No.1
  • 顧客満足度98%
  • 医師の90%が推奨
  • 他社製品より○倍優れている
  • 通常価格から50%OFF
  • モニター全員が効果を実感

景品表示法では、商品・サービスを供給する事業者が主な規制対象です。一方、健康増進法は「何人も」と規定されているため、広告代理店や媒体事業者等も対象になり得る点が異なります。

景品表示法については「景品表示法の広告実務ガイド」で体系的に解説しています。

実務では「3法のどれか」ではなく「3法の重なり」を見る

たとえば、「医師推奨のサプリで免疫力アップ」という表示には、次の論点が重なります。

  • 「免疫力アップ」が医薬品的効能効果に当たらないか
  • 免疫への効果が実際より誇張されていないか
  • 医師推奨調査の対象者・方法・質問内容が適切か
  • 白衣やコメントを含め、効果が保証されているように見えないか

法令ごとのチェックリストは必要ですが、最後は一枚の広告として総合的に確認することが欠かせません。

健康増進法と薬機法や景品表示法の関わりについては「健康食品広告のルール完全ガイド|薬機法・健康増進法・景品表示法と商材別注意点を解説 」や「健康増進法と薬機法の違い|景品表示法・医薬品・医薬部外品・化粧品との違いも広告実務向けに解説 」で詳しく解説しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
健康食品広告では、「薬機法だけ確認すればよい」という考え方は危険です。
薬機法上の医薬品的効能効果を避けていても、健康増進法上の虚偽誇大表示や、景品表示法上の優良誤認表示が問題になることがあります。特にダイエット、血糖値、睡眠、免疫、美容、腸活は、消費者の期待が大きくなりやすい分野です。
実務では、法律ごとのチェック表で終わらせず、「この広告は何を約束しているように見えるのか」「その約束を根拠資料で説明できるのか」という二つの質問に戻ると、判断を整理しやすくなります。

健康食品広告で問題になりやすい具体例

健康食品広告では、摂取によって身体の具体的な変化や疾病の改善が起こると強く期待させる表示が、複数法令の問題になりやすい傾向があります。

消費者庁が2026年5月14日に公表した令和8年1月から3月の監視結果では、156事業者・176商品について、健康増進法第65条第1項に違反するおそれのある表示が確認され、改善指導が行われました。

指導対象となった表示には、ダイエット、脂肪燃焼、免疫力向上、疲労回復、睡眠、血糖値対策、美肌、花粉対策などが含まれています。

ダイエット・痩身訴求

注意が必要な例は次のとおりです。

  • 飲むだけで痩せる
  • 食事制限なしで-10kg
  • 脂肪を燃やして体重を落とす
  • 寝てる間にスリム体質へ
  • 余分な脂肪を排出する

ダイエット訴求では、食品以外の条件が省略されやすい点が問題です。

研究では食事管理や運動を行っていたにもかかわらず、広告では商品を摂取しただけで結果が出たように見せれば、研究条件と広告の受け取られ方に差が生じます。

次の点を確認してください。

  • 対象者の年齢、BMI、健康状態
  • 摂取期間、摂取量
  • 食事制限や運動の有無
  • 統計的な差と、広告で示す変化の大きさ
  • 使用した製品と広告商品の同一性

疾病予防・改善を思わせる表現

次のような表示は、薬機法上の医薬品的効能効果にもつながるため、特に慎重な確認が必要です。

  • 血糖値を下げる
  • 高血圧を改善
  • 花粉症に効く
  • 糖尿病を予防
  • 薬をやめられる
  • がん細胞の増殖を抑える

直接的な疾病名を出していなくても、検査数値、診察室、薬の画像、医師風の人物を組み合わせることで、疾病改善を暗示する場合があります。

「健康診断の数値が気になる方へ」という悩み訴求も、その直後に商品を示すことで、商品が数値を改善するように受け取られないかを確認します。

免疫・疲労・睡眠に関する訴求

「免疫」「疲労」「睡眠」は、健康食品広告で頻繁に使われる一方、表現の幅が広いため判断が難しいテーマです。

注意が必要な例として、次のようなものがあります。

  • 免疫力を上げて感染症を予防
  • ウイルスに負けない体へ
  • 疲労を根本から回復
  • 自律神経を整えてぐっすり眠れる
  • 不眠を改善する

単に「休息時間をサポート」「毎日のコンディション管理に」と書く場合でも、周囲の画像や記事内容によっては、疾病や身体機能の改善を暗示することがあります。

なお、機能性表示食品として睡眠や一時的な疲労感に関する機能を届け出ている場合は、届出表示の範囲、対象者、機能性関与成分、研究条件との整合性を確認します。

口コミ・体験談・ビフォーアフター

体験談は、広告主が自ら効果を断定する文章よりも、生活者に信頼されやすい表現です。そのため、例外的な結果が一般化していないかを慎重に見る必要があります。

注意が必要な例は次のとおりです。

  • 3か月で9kg痩せました
  • 飲み始めて薬が不要になりました
  • 翌朝から疲れがなくなりました
  • 健康診断の数値が正常になりました
  • 使用前後で身体の大きさが大幅に変わった画像

消費者庁の留意事項でも、体験談を掲載して健康効果を間接的に表現するケースが示されています。また、一部の都合のよい体験談だけを使用し、誰でも同じ結果を得られるように見せる表示は、誤認を招く例として挙げられています。

第三者が自発的に投稿した口コミであっても、事業者が自社LPへ選んで転載すれば、そのLPを構成する広告表示として確認する必要があります。

「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」という注釈だけで、本文や画像から生じる強い効果の印象を解消できるとは限りません。

専門家推薦・ランキング・No.1表示

「医師推奨」「専門家も認めた」「売上No.1」などは、商品の信頼性や優位性を強く印象づけます。

確認項目は次のとおりです。

  • 推薦者の専門分野は商品と関係しているか
  • 実際に商品を確認して評価しているか
  • 推薦理由は明確か
  • 調査対象者は実際の利用者か
  • 比較対象となる競合商品は適切か
  • 調査時期・方法・実施主体が示されているか
  • 表示内容と調査結果が一致しているか

健康増進法との関係では、専門家のコメントや調査結果が、健康効果の保証として機能していないかも確認します。消費者庁の留意事項でも、医師や管理栄養士の推薦を用いた間接的な健康効果表示が例示されています。

表現テーマ別チェック表

訴求テーマ注意が必要な表現例主な確認事項
ダイエット飲むだけで痩せる運動・食事条件、対象者、根拠
疾病血糖値を下げる医薬品的効能効果、届出範囲
免疫免疫力アップ効果の意味、対象者、研究条件
睡眠不眠を改善疾病改善暗示、届出表示
体験談3か月で9kg減結果の一般化、表示の選択性
専門家推薦医師も認めた専門性、調査方法、保証的印象
No.1満足度No.1比較対象、調査対象、表示との対応

健康食品の広告表現については「健康食品広告のNG表現一覧|ダイエット・疾病・美容・疲労系の使えない表現とリライト例」もご覧ください。 

機能性表示食品でも健康増進法の確認は必要

機能性表示食品は一定の機能を表示できますが、健康増進法や景品表示法の対象外になるわけではありません。

機能性表示食品は、事業者が安全性・機能性に関する科学的根拠等を販売前に届け出る制度です。特定保健用食品と異なり、国が個別商品を審査して許可する制度ではなく、事業者の責任で適正な表示を行います。

届出をしていれば自由に表現できるわけではない

機能性表示食品の広告では、少なくとも次の点を確認します。

  • 届出表示と広告コピーが対応しているか
  • 機能性関与成分が広告商品に所定量含まれているか
  • 対象者が届出内容と一致しているか
  • 疾病の治療・予防へ表現が広がっていないか
  • 研究結果の条件を省略していないか
  • 国が効果を認めた商品であるように見せていないか

消費者庁の留意事項では、機能性表示食品を国が許可した商品であるように誤認させる表示や、表示できる機能の範囲を超える表示は、虚偽誇大表示等に該当するおそれがあるとされています。

また、消費者庁質疑応答集でも、科学的根拠情報の範囲を超える広告・宣伝は、景品表示法上の不当表示または健康増進法上の虚偽誇大表示に該当するおそれがあると整理されています。

配合成分全体の効果であるように見せない

機能性表示食品でよくあるのが、届出対象ではない配合成分まで強調するケースです。

たとえば、成分Aによる「食後血糖値の上昇を抑える機能」を届け出ている商品に、美容成分Bが配合されているとします。この商品広告で、成分Bの美容効果まで商品機能として強く訴求すれば、届出表示との関係が不明確になります。

広告制作前に、次の資料を一覧化しておくと確認しやすくなります。

  • 届出表示
  • 機能性関与成分
  • 一日摂取目安量
  • 対象者
  • 研究レビューまたは臨床試験
  • 作用機序
  • 広告で使用するグラフ・数値
  • 届出対象外の配合成分

機能性表示食品の広告ルールは「機能性表示食品の広告ルール|健康増進法・届出表示・SR・ヘルスクレーム・エビデンスの実務ポイント」で詳しく解説しています。

健康食品広告をチェックするときの実務フロー

健康食品広告は、商材区分、訴求テーマ、根拠資料、広告全体の印象を整理したうえで、複数法令を順番に確認すると判断しやすくなります。

ステップ1 商材区分を確認する

最初に確認するのは、広告文ではなく商品区分です。

  • 一般食品
  • いわゆる健康食品・サプリメント
  • 栄養機能食品
  • 機能性表示食品
  • 特定保健用食品
  • 特別用途食品

商品区分によって、表示できる機能と必要な表示が変わります。

商品区分を確認せずにコピーだけを判定すると、一般食品には使えない表現を、機能性表示食品の事例を根拠に採用するといった混乱が起こります。

ステップ2 訴求テーマと根拠資料を確認する

次に、「この広告は何を伝えたいのか」を一文にします。

例:

  • 体重を減らしたい人に選ばれる商品
  • 血糖値が気になる人向けの商品
  • 睡眠の質を高めたい人向けの商品
  • 美容と健康をサポートする商品

そのうえで、訴求を裏付ける資料を確認します。

  • 最終商品のヒト試験か
  • 配合成分だけの研究か
  • 動物・細胞試験か
  • 対象者、摂取量、期間が一致するか
  • 肯定的な結果だけでなく限界も確認したか
  • 研究結果と広告で使う言葉の強さが対応するか

「論文がある」だけでは確認として不十分です。広告表現を支える資料として使えるかを見ます。

ステップ3 複数法令で広告全体を見る

次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 薬機法:医薬品的効能効果になっていないか
  2. 健康増進法:健康効果を著しく誇張していないか
  3. 景品表示法:表示内容に合理的な根拠があるか
  4. 食品表示法等:商品区分に応じた表示になっているか
  5. 媒体基準:媒体独自の掲載ルールを満たしているか

ここでは、広告文だけでなく、次の要素をまとめて確認します。

  • ファーストビュー
  • 商品名
  • キャッチコピー
  • 写真・イラスト
  • グラフ・数値
  • 体験談
  • 専門家コメント
  • ランキング
  • 注釈
  • 購入ボタン周辺の表示
  • 遷移元広告と遷移先LPの関係

ステップ4 NG表現の削除ではなく訴求を再設計する

広告チェックで、問題になり得る表現をすべて削除すると、商品が何のためのものか分からなくなることがあります。

そこで必要になるのが、訴求の再設計です。

たとえば、「飲むだけで疲労回復」が使いにくい場合、単に「毎日をサポート」へ弱めるだけでは、広告として伝わりません。

次の要素へ分解します。

  • どのような生活者を想定しているか
  • どのような場面で摂取するか
  • 商品の味、形状、続けやすさは何か
  • 原材料や製造工程にどのような特徴があるか
  • 届出表示や栄養成分表示の範囲で何を説明できるか
  • 効果の断定以外に、どのような選択理由を提示できるか

「強い言葉を弱い言葉に置き換える」のではなく、商品を選ぶ理由そのものを作り直すことがポイントです。

表現を再設計する考え方は「薬機法ライティングとは?」で解説しています。

健康食品広告チェックフロー

手順確認事項
1商品区分を確定する
2訴求したい健康・美容テーマを整理する
3届出内容・根拠資料を収集する
4薬機法上の医薬品的効能効果を確認する
5健康増進法上の虚偽誇大表示を確認する
6景品表示法上の根拠・比較・調査を確認する
7画像、体験談、注釈を含む全体印象を確認する
8法令に配慮しながら訴求を再設計する
9媒体審査・社内承認用の根拠資料を保存する
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
健康食品広告のリライトでよくある失敗は、リスクのある表現を削った結果、商品が何のためのものか分からなくなることです。
もちろん、法令に配慮することは大前提です。しかし、表現を弱めるだけでは、広告としての役割を果たせません。
重要なのは、訴求したい価値を分解し、効果の断定だけに頼らず、生活シーン、使用目的、続けやすさ、原材料、商品設計、選ばれる理由へ置き換えることです。40,000件以上の広告表現支援でも、単語の言い換えより、訴求の土台から整理した方が、社内確認や媒体審査を進めやすいケースは少なくありません。

健康増進法に関する公的資料の確認方法

健康食品広告における健康増進法の確認では、消費者庁の「健康増進法(誇大表示の禁止)」ページを起点に、留意事項、ガイドライン、 Q&A、直近の改善指導資料を確認するのが実務的です。

まず確認すべき消費者庁資料

消費者庁のページには、次の資料が掲載されています。

  • 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項
  • 虚偽誇大広告等の禁止に関するガイドライン
  • ガイドラインに係る留意事項
  • 健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A
  • 機能性表示食品の事後チェック指針
  • インターネット広告の改善指導公表資料

なお、消費者庁の同ページでは、「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について」として、一定期間ごとの監視結果・改善指導資料が公表されています。

実務で広告表現を確認する際は、留意事項やQ&Aだけでなく、直近の改善指導資料もあわせて確認し、実際にどのような表示が問題視されやすいかを把握しておくことが重要です。 

薬機法との切り分けで確認する厚生労働省資料

薬機法上の広告規制については、厚生労働省の「医薬品等の広告規制について」も確認します。

同ページでは、医薬品等に関する虚偽・誇大広告や、未承認医薬品等の広告禁止に関する条文・通知が整理されています。

健康食品広告を確認する際は、消費者庁資料で健康増進法・景品表示法を確認しながら、厚生労働省の薬機法関連資料を参照し、食品でありながら医薬品的な効能効果を標ぼうしていないかを確認することが重要です。

改善指導資料の使い方

インターネット監視結果は、消費者庁が直近でどのような広告表示を確認し、改善指導の対象としているかを把握するための資料として活用できます。

令和7年度のインターネット監視結果では、改善指導件数として、合計589事業者・641商品が掲載されています。 

ただし、改善指導資料に表現が掲載されていないから使える、という判断はできません。公表されるのは監視・指導例の一部であり、個別広告の適法性を保証する資料ではないためです。

公的資料は「表現集」としてではなく、行政がどのような表示を問題視しているのか、判断の傾向や枠組みを把握するために使用します。

よくあるご相談(FAQ)

健康増進法とは何ですか?

健康増進法は、国民の健康増進を総合的に推進するための法律です。

健康食品広告の実務では、特に第65条第1項の虚偽誇大表示の禁止が重要です。食品として販売される物について、健康保持増進効果等を著しく事実と異なる形で表示したり、著しく人を誤認させたりすることが禁止されています。

LPやEC商品ページ、SNS、記事広告、動画、体験談なども、顧客を誘引する広告その他の表示として対象になり得ます。

健康食品広告では、健康増進法と薬機法のどちらを見ればよいですか?

両方を確認します。実務上は景品表示法も含めた横断的なチェックが必要です。

薬機法では、健康食品が疾病の治療・予防や身体機能の改善など、医薬品のような効能効果を標ぼうしていないかを確認します。

健康増進法では、健康保持増進効果等を実際より著しく優れているように見せていないかを確認します。景品表示法では、商品性能や調査結果、比較表示等に合理的な根拠があるかを確認します。

「痩せる」「免疫力アップ」「疲労回復」は使えますか?

一般的な健康食品で、商品を摂取することによって「痩せる」「免疫力が上がる」「疲労が回復する」と直接的に表示することは、薬機法上の医薬品的効能効果に当たる可能性があります。

また、合理的な根拠がない場合や、実際より著しい効果を期待させる場合は、健康増進法・景品表示法の問題も生じ得ます。

機能性表示食品等で一定の機能を表示できる場合でも、届出表示、対象者、摂取条件、根拠資料の範囲内であることを確認してください。

健康増進法は広告代理店や制作会社にも関係しますか?

関係し得ます。

健康増進法第65条第1項は「何人も」と定めているため、広告代理店、媒体社、サービスプロバイダー等も規制対象になり得ます。ただし、第一義的な規制対象は製造業者・販売業者であり、代理店等が直ちに措置の対象になるわけではありません。

明らかな虚偽誇大表示を予見できた場合や、表示内容の決定に関与した場合などは、広告に関わる事業者も注意が必要です。

口コミや体験談なら、健康効果を書いてもよいですか?

体験談形式であっても、広告主が自社LPや広告へ掲載すれば、広告を構成する表示として確認する必要があります。

「私はこれで10kg痩せた」「薬を飲まなくてもよくなった」といった体験談は、例外的な結果を一般的な効果として受け取らせる可能性があります。

「個人の感想です」という注釈を付けても、体験談や画像が与える強い効果印象を必ず解消できるわけではありません。本文、画像、見出し、注釈を一体として判断します。

機能性表示食品なら健康増進法のリスクはありませんか?

機能性表示食品も健康増進法や景品表示法の対象です。

機能性表示食品は、国が商品ごとの効果を審査して許可する制度ではありません。事業者が科学的根拠等を届け出て、自らの責任で表示する制度です。

届出表示の範囲を超える広告、疾病の治療・予防を思わせる表現、届出対象外の成分による効果の強調、国が効果を認めたかのような表示には注意が必要です。

健康食品広告を修正するときは、NG表現を削れば十分ですか?

NG表現を削るだけでは、商品の魅力や用途が伝わらなくなることがあります。

健康食品広告の修正では、商品区分、対象者、使用シーン、原材料、味、形状、継続しやすさ、届出表示、根拠資料を整理し、伝える価値を再設計することが大切です。

コピーだけを言い換えるのではなく、ファーストビュー、画像、体験談、専門家コメント、注釈、購入導線まで含めて見直すと、法令対応と適正な情報伝達を両立しやすくなります。

まとめ

健康食品広告では、薬機法だけを確認しても、広告リスクを十分に把握できません。

健康増進法第65条第1項では、食品として販売される物の健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示が禁止されています。

実務で持ち帰るべき判断軸は、次の3点です。

  1. 商材区分と表示できる機能の前提を確認する
  2. 広告表現と根拠資料の距離を確認する
  3. 文言だけでなく、画像・体験談・注釈を含む全体印象を見る

「痩せる」「免疫力アップ」といった特定の単語を避けても、広告全体が強い効果を約束しているように見えれば、問題が解消されたとは限りません。

一方で、リスクのある表現を削除するだけでは、商品価値が伝わらなくなることがあります。健康食品広告では、薬機法、健康増進法、景品表示法、食品表示法を横断して確認しながら、商品特性と根拠に沿った訴求へ再設計することが重要です。

個別案件の判断は、商材区分、届出表示、根拠資料、媒体、広告全体の文脈によって変わります。公開前には、公的資料、社内薬事・法務、弁護士や広告規制の専門家等による確認を行ってください。

健康食品に関わる薬機法・健康増進法などの広告ルールや、制作時に確認すべきポイントを体系的に整理したい方は、 「健康食品・機能性表示食品広告のルールガイド」もあわせてご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

健康食品広告と健康増進法の関係を示す図解。LP、ECサイト、SNS、動画広告、記事広告、体験談を対象に、商品画像・広告見出し・成分説明・体験談・注釈まで広告全体を確認し、健康増進法、薬機法、景品表示法を横断して確認する必要性を整理している。

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