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医療機器の薬機法分類ガイド|一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の違いを解説

医療機器の薬機法上の分類と、広告確認の出発点を示す図解。中央に『分類は広告確認の出発点』というメッセージを掲げ、右側にはクラスⅠ(一般医療機器)、クラスⅡ(管理医療機器)、クラスⅢ・Ⅳ(高度管理医療機器)の対応表を記載。下部には、広告制作における確認手順を3段階(1.分類を確認、2.JMDNコードや使用目的などの個別資料を照合、3.キャッチコピー・画像・導線などの広告全体を確認)で示すフローチャートが描かれている。

「この製品は美容機器か医療機器なのか、それとも一般の健康機器なのか」「管理医療機器と特定管理医療機器は何が違うのか」「クラスⅠなら広告表現も自由なのか」。医療機器を扱う広告・販促の現場では、このような疑問がよく出てきます。

医療機器は、薬機法上、人体へのリスクなどに応じて一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器に分類されます。さらに、販売管理に関係する特定管理医療機器、保守管理に関係する特定保守管理医療機器、設置管理医療機器など、別の観点による区分もあります。分類によって、製造販売時の届出・認証・承認や、販売・貸与の管理体制が異なります。

ただし、広告実務で本当に大事なのは、分類名を覚えることではありません。一般的名称、JMDNコード、承認・認証・届出情報、使用目的、効能効果・性能と、実際のキャッチコピー、画像、動画、レビュー、販売導線を照合することです。

この記事では、医療機器の主要な分類を整理したうえで、広告代理店、Web制作会社、メーカーの販促・薬事・法務担当者が、制作前に何を確認すればよいのかまで実務目線で解説します。

この記事の要点(まとめ)
  • 医療機器の基本分類はリスクに応じて分かれる:一般医療機器はクラスⅠ、管理医療機器はクラスⅡ、高度管理医療機器はクラスⅢ・Ⅳに対応し、製造販売時の届出・認証・承認などの手続きが異なります。
  • 分類名だけでは広告表現の可否は判断できない:広告では、一般的名称、JMDN、承認・認証・届出情報、使用目的、効能効果・性能と、キャッチコピー、画像、レビュー、動画を含む広告全体の印象を照合する必要があります。
  • 非医療機器でも医療機器的な効果を標ぼうすれば問題になり得る:「医療機器ではありません」と記載するだけで判断は完結しません。疾病の診断・治療・予防や身体の構造・機能への影響を標ぼうしていないか、商品名や画像を含めて総合的に確認することが必要です。
目次

医療機器の薬機法分類とは

薬機法に基づく医療機器の3分類(一般・管理・高度管理)と、それぞれのリスクレベル(クラスⅠ〜Ⅳ)の関係を示す図

医療機器は、薬機法上、人体へのリスクなどに応じて、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器に分類されます。広告実務では、この分類を確認したうえで、個別製品の使用目的、効能効果・性能、承認・認証・届出情報と広告内容を照合することが基本です。

薬機法では、医療機器を「疾病の診断、治療若しくは予防に使用すること」または「身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすこと」を目的とする機械器具等のうち、政令で定めるものと定義しています。

そのため、身体に使用する製品のすべてが医療機器に該当するわけではありません。医療機器に該当するかは、製品の使用目的、構造・原理、一般的名称の定義等を踏まえて確認します。そのうえで、当該製品に必要な承認・認証・届出が適切に行われているかの確認が必要です。

医療機器分類はリスクに応じて決まる

PMDAは、医療機器の製造販売について、患者へのリスクの高さに応じて手続きが異なると説明しています。一般医療機器はクラスⅠ、管理医療機器はクラスⅡ、高度管理医療機器はクラスⅢ・Ⅳとして整理されています。

薬機法上の分類クラスリスクの考え方製造販売手続きの基本的な方向性
一般医療機器人の生命・健康へのリスクが極めて低いPMDAへ製造販売届出
管理医療機器人の生命・健康へのリスクが比較的低い認証基準がある指定品目は第三者認証。それ以外は承認対象となる場合がある
高度管理医療機器人の生命・健康へのリスクが比較的高い厚生労働省へ申請して大臣承認。一部の指定品目は第三者認証
高度管理医療機器高い侵襲性などにより生命の危険に直結するおそれがある厚生労働省へ申請して大臣承認

ここで注意したいのは、「クラスが低い=広告表現が自由」という意味ではないことです。医療機器のクラス分類は、主に不具合が生じた場合のリスクや製造販売に必要な手続きを区分するものであり、広告できる効果・性能の広さを示すものではありません。

一般医療機器であっても、医療機器としての効果・性能から離れた表現ができるわけではない点には注意しましょう。

広告制作者が確認すべき医療機器の分類

医療機器には、リスクや製造販売、販売管理、保守、設置などに応じて複数の分類があります。ただし、広告制作者がすべての制度を詳しく理解して、広告の可否を判断する必要があるわけではありません。

広告制作では、まず次の点を確認します。

  • 製品の販売名と一般的名称
  • 認められている使用目的、効果、性能
  • 一般消費者向けに広告できる製品か

特定保守管理医療機器や設置管理医療機器などの区分は、主に保守や設置の管理に関係します。広告で保守体制、設置方法、導入条件などを訴求する場合には確認が必要ですが、通常の効果・性能表現を検討する際は、まず個別製品の承認・認証・届出資料と添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)を確認することが重要です。

医療機器分類が広告実務に影響する理由

医療機器広告では、製品の分類や承認・認証・届出の状況によって、確認すべき資料や広告表現の根拠が異なります。そのため、広告制作を始める前に、製品がどの医療機器に該当するのかを確認することが重要です。

広告制作の現場では、クライアントから最初に渡される資料が商品パンフレットだけ、ということもあります。しかし、パンフレットは販売促進を目的とした資料であり、それだけでは広告表現の根拠を十分に確認できない場合があります。

少なくとも、次の情報を確認しておきましょう。

  • 販売名
  • 一般的名称
  • JMDNコード
  • クラス分類
  • 承認、認証、届出の区分と番号
  • 使用目的または効果
  • 性能
  • 添付文書や取扱説明書の記載

これらを確認することで、その製品について、広告でどこまで使用目的、効果、性能を表現できるのかを判断しやすくなります。

JMDNコードや一般的名称をどの資料で確認すればよいかは、「医療機器広告でJMDN・一般的名称をどう確認する?」で詳しく解説しています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医療機器の広告表現を確認するとき、まず分類を把握することは非常に大切です。ただし、「一般医療機器だから安全」「管理医療機器だから、この表現は使える」という単純な判断はできません。
実務では、一般的名称、JMDN、承認・認証・届出情報、使用目的、効能効果・性能を確認したうえで、キャッチコピー、画像、動画、レビュー、注釈、媒体、販売導線まで見ます。
ここで大事なのは、分類は広告判断の出発点であって、最終判断ではないということです。資料上の情報と、広告全体が消費者に与える印象。この2つを照合して初めて、実務上どこにリスクがあるのかが見えてきます。

一般医療機器とは

一般医療機器とは、不具合や機能の障害が生じた場合でも、人の生命や健康に影響を与えるおそれが極めて低い、クラスⅠ相当の医療機器です。

一般消費者にも身近な例として、絆創膏や液体包帯、家庭で鼻腔内を洗浄する家庭用鼻腔洗浄器などがあります。

ただし、一般医療機器だからといって、すべて一般消費者向けに広告できたり、効果を自由に表現できたりするわけではありません。広告制作では、製品の販売名、一般的名称、JMDNコード、届出情報、使用目的、添付文書(電子化された添付文書)などを確認して表現できる効果・性能を判断します。

特に、広告コピーや画像、使用シーンによって、本来の使用目的を超える治療・予防効果を印象づけていないかの確認が重要です。

一般医療機器はクラスⅠに該当

一般医療機器はクラスⅠに該当しますが、クラス分類は主に、医療機器に不具合が生じた場合の人体へのリスクの程度を示すものです。広告でどこまで効果や性能を表現できるかを示す区分ではありません。

そのため、「クラスⅠだから幅広い効果を広告できる」と判断することはできません。広告表現の範囲は、個別製品の一般的名称、使用目的、機能、添付文書などを確認して判断します。

重要なのは、クラスの低さではなく、その製品が何を目的とする医療機器なのかです。クラスⅠという表示だけで広告の可否を判断せず、個別製品の資料と広告内容を照合する必要があります。

一般医療機器広告で起こりやすい表現上の注意点

一般医療機器はクラスⅠに分類される低リスクの医療機器です。ただし、低リスクであることと、広告で幅広い効果を表現できることは別です。

広告実務で起こりやすいのは、「一般医療機器だから、この程度の効果表現なら問題ないだろう」と考え、本来の使用目的を超えた訴求を加えてしまうケースです。

たとえば、傷を覆って保護することを目的とする製品について、「痛みを根本から治療する」「病気を予防する」「身体機能を正常化する」と表現すれば、その製品について認められる範囲を超えた効果をうたっていると判断される可能性があります。

また、「改善」「ケア」「サポート」などの言葉に置き換えれば問題を避けられるわけでもありません。何を改善・ケア・サポートすると伝えているのか、その内容が一般的名称の定義や使用目的と一致しているかを確認する必要があります。

さらに、本文が控えめでも、画像、使用前後写真、体験談、見出し、使用シーンを組み合わせることで、強い治療効果を印象づけることがあります。

一般医療機器の広告では、クラスⅠという分類だけで判断せず、その製品が何を目的とする医療機器なのかを確認し、広告全体が本来の使用目的を広げていないかを見ることが重要です。

管理医療機器とは

管理医療機器とは、不具合や機能の障害が生じた場合に、人の生命や健康へ影響を与えるおそれがあるもののそのリスクが比較的低い、クラスⅡ相当の医療機器です。

一般消費者にも身近な例として、電子体温計、自動電子血圧計、パルスオキシメータ、家庭用低周波治療器、家庭用電気マッサージ器、補聴器などがあります。

ただし、形状や性能が似ていても、すべてが管理医療機器に該当するわけではありません。たとえば、パルスオキシメータや低周波治療器のように見える製品でも、医療機器として承認・認証されていないものは、健康機器や雑貨として販売されています。

そのため広告制作では、商品名や外観だけで判断せず、販売名、一般的名称、JMDNコード、承認・認証番号、使用目的または効果などを確認することが重要です。

管理医療機器はクラスⅡに該当

管理医療機器はクラスⅡに該当しますが、クラス分類は主に、医療機器に不具合が生じた場合の人体へのリスクの程度を示すものです。広告でどこまで効果や性能を表現できるかを示す区分ではありません。

そのため、「クラスⅡだから、この程度の治療効果は表現できる」と判断することはできません。広告表現の範囲は、個別製品の販売名、一般的名称、JMDNコード、承認・認証内容、使用目的または効果、性能、添付文書などを確認して判断します。

広告制作で重要なのは、クラスⅡという共通点ではなく、その製品について何が認められているかです。同じクラスⅡでも、製品ごとに使用目的や効果・性能は異なるため、個別製品の資料と広告内容を照合する必要があります。

管理医療機器で起こりやすい表現上の注意点

管理医療機器には、電子体温計、血圧計、家庭用低周波治療器など、一般消費者向けに販売される製品もあります。ただし、一般向けのECサイトや量販店で購入できるからといって、一般家電と同じ感覚で効果を表現できるわけではありません。

たとえば、一定の症状緩和が認められている製品について、その内容を広げて「根本治療」「再発防止」「誰でも改善」などと表現すると、認められた範囲を超える効果や、効果を保証する印象を与える可能性があります。

また、広告コピーが控えめでも、画像、使用前後写真、体験談、グラフなどを組み合わせることで、実際より強い治療効果を印象づける場合があります。

管理医療機器の広告制作では、次の順番で確認しておくとスムーズです。

  • 医療機器か、雑貨や美容・健康機器か
  • 医療機器であれば、認証・承認された使用目的や効果・性能は何か
  • 広告のキャッチコピーや画像が、その範囲を広げていないか

「管理医療機器だから、この表現なら使える」と判断するのではなく、個別製品の認証・承認内容と広告全体を照合することが基本です。

高度管理医療機器とは

高度管理医療機器とは、副作用や機能の障害が生じた場合に、人の生命や健康へ重大な影響を与えるおそれがある医療機器です。代表例には、コンタクトレンズ、人工関節、植込み型心臓ペースメーカ、冠動脈ステントなどがあります。

広告制作者が最初に確認したいのは、製品の効果や性能ではなく、誰が使用する製品で、誰に向けて広告できるのかという点です。

高度管理医療機器には、一般消費者が使用するコンタクトレンズのような製品がある一方、医師などの医療関係者が使用することを前提とした製品も多く含まれます。医療関係者が使用する医療機器のうち、一般の人が使用した場合に危害が生じるおそれがあるものは、一般消費者向け広告が制限されます。

そのため、広告制作に入る前に、一般的名称、使用目的、想定される使用者、承認・認証内容、広告対象者、掲載媒体などを確認する必要があります。

高度管理医療機器はクラスⅢ・Ⅳに該当

高度管理医療機器は、人体へのリスクに応じてクラスⅢまたはクラスⅣに分類されます。ただし、クラス分類は、広告できる範囲や一般向け広告の可否を直接示すものではありません。

そのため、「高度管理医療機器だから一般消費者向けには広告できない」「クラスⅢだからこの表現まで使える」と一律に判断することはできません。

広告制作では、クラス分類だけでなく、次の点を個別に確認します。

  • 一般消費者向けに広告できる製品か
  • 誰が使用することを想定した製品か
  • 承認または認証された使用目的、効果、性能は何か
  • 対象患者や使用条件は限定されているか
  • 広告媒体や広告対象者が適切か

重要なのは、クラスの高さではなく、その製品について誰に、何を、どこまで伝えられるのかです。個別製品の承認・認証資料や添付文書と、広告内容を照合して判断します。

高度管理医療機器広告で注意すべき表現

高度管理医療機器そのものを広告するときは、まず、その製品を一般消費者向けに広告できるかを確認します。

高度管理医療機器には、コンタクトレンズのように一般消費者向けに広告できる製品がある一方、医師などの医療関係者が使用することを前提とした製品も多くあります。医療関係者が使用する医療機器のうち、一般の人が使用した場合に保健衛生上の危害が生じるおそれがあるものは、一般消費者向け広告が制限されます。

そのため、医療機関への導入を目的とする製品については、一般消費者向けのLPやSNSではなく、主として医療関係者を対象とする専門媒体、製品カタログ、学会展示、営業資料などで広告することを検討します。

広告表現では、個別製品について承認または認証された使用目的、効果、性能を超えないことが基本です。たとえば、特定の医療行為を補助する製品を「治療結果を向上させる」「合併症を防ぐ」などと表現する場合は、その内容が承認された範囲と一致しているかを確認する必要があります。

医療機器と非医療機器の違い

医療機器のクラス分類(一般・管理・高度管理)と人体へのリスクレベルの関係性を示す図解

医療機器と非医療機器は、商品名や外観だけでは判断できません。見た目や使い方が似ていても、医療機器として承認・認証・届出されている製品と、健康機器や美容機器、雑貨として販売されている製品があります。 

そのため広告制作では、製品名や見た目ではなく、一般的名称、JMDNコード、承認・認証・届出の有無、使用目的、構造・作用などを確認します。非医療機器について、「痛みを治療する」「病気を予防する」「身体機能を改善する」などと表現すると、広告全体から医療機器としての効果を標ぼうしていると判断される可能性があるため注意が必要です。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
美容機器や健康機器の広告では、「医療機器ではありませんと書いているので大丈夫ですよね?」という相談があります。
でも、その一文だけで薬機法上の判断が決まるわけではありません。
例えば、商品名、メインコピー、症状のイラスト、ビフォーアフター、レビューを通じて、「この機器を使えば治療できる」「身体機能を改善できる」「病気を診断できる」と受け取られる広告になっていれば、小さな免責文だけで全体の印象を打ち消せるとは限りません。
広告審査では、NGワードを探すよりも、「この広告は最終的に何を約束しているように見えるか」を確認する。この視点を持つと、クライアントへの説明もしやすくなります。

医療機器と非医療機器の見分け方

「美容機器」「健康機器」「ウェルネスデバイス」「リラクゼーション機器」と名付けても、それだけで非医療機器になるわけではありません。反対に、医療現場で使われる機器に似た外観をしているだけで、直ちに医療機器になるとも限りません。

実務では、主に次の点を確認します。

  • 承認、認証、届出が行われているか
  • 必要な承認・認証・届出が確認できるか 
  • どのような目的で使用する製品か
  • どのような構造や作用を持つか
  • 広告でどのような効果を標ぼうしているか

たとえば、低周波治療器に似た電気刺激機器でも、痛みの緩和を目的とする医療機器と、リラクゼーションや運動補助を目的とする非医療機器があります。

また、アプリやAIサービスが疾病の診断、治療、予防に関わる機能を持つ場合は、プログラム医療機器に該当しないかを確認する必要があります。

なお医療機器か、美容・健康機器などの非医療機器か判断に迷う場合は、「医療機器該当性で迷ったら」で確認方法をまとめています。 

非医療機器の主な種類

非医療機器には、一般家電、健康機器、美容機器、フィットネス機器、リラクゼーション用品、雑貨、健康管理用のアプリなどがあります。

具体例としては、次のような製品が考えられます。

  • リラクゼーションを目的とする電気刺激機器
  • 運動やトレーニングを補助するEMS機器
  • 美容を目的とするローラーや家庭用美容機器
  • 睡眠時間や運動量を記録するウェアラブル機器
  • 健康管理の参考情報を表示するアプリ
  • 身体を温めることを目的とする雑貨

ただし、同じカテゴリー名で販売されていても、使用目的や作用、広告表現によって法的な位置づけが異なる場合があります。

「健康機器として販売しているから薬機法は関係ない」と判断せず、広告全体が医療機器としての診断、治療、予防効果や、身体の構造・機能への作用を標ぼうしていないかを確認することが重要です。

美容機器や家庭用医療機器について、医療機器との違いと広告表現を詳しく確認したい方は、「美容機器・家庭用医療機器の広告ルール」もご確認ください。 

医療機器が広告で表現できる範囲

医療機器であっても、効果や性能を自由に広告できるわけではありません。

承認または認証を受けた医療機器は、その製品について認められた使用目的、効果、性能の範囲を超えないように広告します。届出対象の医療機器についても、届出があることだけを理由に自由な効果を表現できるわけではなく、一般的名称の定義、使用目的、添付文書などを確認する必要があります。

たとえば、「症状の緩和」が認められている製品について、広告で「根本治療」「再発防止」「必ず治る」と表現すると、認められた範囲を超える可能性があります。

また、文章が効果や性能の範囲内でも、画像、ビフォーアフター写真、体験談、グラフなどによって、効果や性能の安全性を印象づける場合があります。

医療機器広告では個別の言葉だけでなく、広告全体がどのような効果を約束しているように見えるかを確認します。

「改善」「治療できる」「安全」など、実際のコピーで使える・使えない表現については、「医療機器広告で使える・使えない表現集」で具体例を整理しています。 

非医療機器が広告で表現できる範囲

非医療機器では、商品の仕様や使用方法、使用感、利便性、一般的な美容・リラクゼーション目的など、その製品の分類に沿った表現を検討していきます。ポイントは、医療機器としての効果や性能を標ぼうしていないことです。

次のような表現は、医療機器としての効果を標ぼうしていると受け取られてNGとなる可能性があります。

  • 「肩こりを治療する」
  • 「痛みを治す」
  • 「病気を予防する」
  • 「睡眠障害を改善する」
  • 「AIが病気を診断する」
  • 「身体機能を正常化する」

また、広告に「医療機器ではありません」と記載しても、それだけで問題を避けられるわけではありません。キャッチコピーや画像、レビュー、動画などで「痛みを治療する」「病気を早期発見する」と強く印象づけていれば、広告全体の意味を打ち消すことは難しいと考えられます。

非医療機器の広告では、商品名、キャッチコピー、本文、図解、画像、レビュー、動画、注釈、販売導線を含め、消費者に医療機器としての効果を期待させていないかを確認することが重要です。

非医療機器で身体への作用を訴求したい場合の考え方は、「美容機器広告で「たるみ改善」「脂肪分解」「小顔」は使える?」もご覧ください。

医療機器分類を確認するための実務チェックリスト

医療機器分類を確認するときは、商品名だけでなく、一般的名称、クラス分類、承認・認証・届出情報などを確認します。広告制作では、さらに広告原稿、画像、動画、レビュー、販売導線との照合が必要です。

PMDAの医療機器基準データベースでは、一般的名称やクラス分類などの条件も検索できます。

医療機器分類確認チェックリスト

確認項目確認内容
製品名正式な販売名か
一般的名称どのJMDNに該当するか
クラス分類Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳのどれか
基本分類一般・管理・高度管理のどれか
承認・認証・届出情報番号・手続きの種類は何か
使用目的何のために使用する製品か
効能効果・性能どこまで認められているか
添付文書・製品情報警告、禁忌、使用方法等との整合性
広告表現キャッチコピーが範囲を超えていないか
画像・動画文言以上の効果を暗示していないか
レビュー・体験談効果を保証する印象になっていないか
販売導線LP、SNS、EC、記事広告を通じて意味が拡張されていないか

専門家確認を検討したいケース

特に次のようなケースでは、薬事担当者、法務、行政窓口、広告規制の専門家などへの個別確認を検討します。

  • 医療機器か非医療機器か判断が難しい
  • 新しい技術やAI・アプリを使っている
  • 一般的名称への該当性が不明
  • 承認・認証範囲と広告訴求の距離が大きい
  • 海外製品を日本で販売する
  • 医療従事者向けと一般向けの広告を併用する
  • EC、SNS、インフルエンサー施策を組み合わせる
  • クライアントから強い治療・改善表現を求められている

必要なのは、「NGを探すこと」だけではありません。

どの資料を根拠に、どこまで伝えられるのかを整理し、法令対応と適正な情報伝達を両立する表現へ組み直すことが実務では重要です。

よくあるご相談(FAQ)

一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器の違いは何ですか?

一般医療機器はクラスⅠ、管理医療機器はクラスⅡ、高度管理医療機器はクラスⅢ・Ⅳに相当し、機能障害等が起きた場合の人体へのリスクなどに応じて分類されます。分類によって、製造販売時の届出・認証・承認等の手続きが異なります。ただし、広告で何を表現できるかはクラスだけでは決まらず、個別製品の一般的名称や承認・認証情報等を確認する必要があります。

一般医療機器なら広告表現は自由ですか?

自由ではありません。一般医療機器は低リスクのクラスⅠですが、医薬品等適正広告基準では、承認等を要しない医薬品等についても、効能効果・性能を医学・薬学上認められる範囲を超えて表現しないことが求められています。一般的名称の定義、使用目的、添付文書等の情報と広告内容を照合することが必要です。

管理医療機器と高度管理医療機器の違いは何ですか?

管理医療機器はクラスⅡで、人の生命・健康に影響を与えるおそれがあることから適切な管理が必要な医療機器です。高度管理医療機器はクラスⅢ・Ⅳで、より重大な影響を与えるおそれがある医療機器です。製造販売手続きや販売管理の要件も異なるため、個別のJMDNや承認・認証情報を確認します。

「医療機器ではありません」と書けば薬機法上問題ありませんか?

その一文だけでは判断できません。広告全体で、疾病の診断・治療・予防や身体の構造・機能への影響を標ぼうしている場合は、商品名、キャッチコピー、画像、レビュー、動画、導線などを含めて確認する必要があります。免責的な一文だけで、広告全体の強い医療的印象が当然に解消されるとは限りません。

医療機器のクラス分類は広告表現に影響しますか?

影響しますが、クラス分類だけで広告表現の可否が決まるわけではありません。クラスは主としてリスクの程度や製造販売手続きに関係します。広告ではさらに、一般的名称、JMDN、承認・認証・届出情報、使用目的、効能効果・性能、媒体、画像、レビューを確認し、広告全体が個別製品について認められた範囲を過度に拡張していないかを見ます。

まとめ

医療機器は、薬機法上のリスクに応じて、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器に分類されます。しかし、広告・販売実務では、この3分類だけを覚えても十分ではありません。広告担当者にとって重要なのは、分類だけで広告表現を判断しないことです。

一般的名称、JMDNコード、承認・認証・届出情報、使用目的、効能効果・性能、添付文書等の資料を確認し、その内容とキャッチコピー、画像、動画、レビュー、販売導線を照合します。

また、非医療機器であっても、「医療機器ではありません」という一文だけで判断が完結するわけではありません。広告全体が疾病の治療や診断、身体機能への具体的な影響を約束しているように見える場合は、個別確認が必要です。

結論として、医療機器分類は広告チェックのゴールではなく、出発点です。

「この製品は何に分類されるか」から始めて、「個別製品について何が認められているか」、そして「広告全体は消費者に何を約束しているように見えるか」まで確認する。

この3段階を意識すると、社内、クライアント、制作会社、薬事・法務担当者との認識を合わせやすくなります。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医療機器の薬機法上の分類と、広告確認の出発点を示す図解。中央に『分類は広告確認の出発点』というメッセージを掲げ、右側にはクラスⅠ(一般医療機器)、クラスⅡ(管理医療機器)、クラスⅢ・Ⅳ(高度管理医療機器)の対応表を記載。下部には、広告制作における確認手順を3段階(1.分類を確認、2.JMDNコードや使用目的などの個別資料を照合、3.キャッチコピー・画像・導線などの広告全体を確認)で示すフローチャートが描かれている。

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