「薬事担当からNGと言われました。でも、どこをどう直せばよいのか分かりません」
「LPは確認済みですが、バナーやSNS投稿も同じ基準で見ればよいのでしょうか?」
「クライアントから支給された原稿なので、そのまま使って大丈夫ですよね?」
医療機器広告の制作現場では、このような悩みがよく起きます。
結論からいうと、医療機器広告の判断軸は、原稿内の表現がOKかNGかではありません。まず個別製品の一般的名称、承認・認証情報、使用目的または効果、性能、添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)等を確認し、その上で、LPのファーストビュー、バナーの短文、SNSの動画、リスティング広告の見出し、YouTube広告のナレーション、チラシの体験談、カタログの比較表まで、それぞれの媒体が何を約束しているように見えるかを確認します。
薬機法第66条は、医療機器の名称、製造方法、効能、効果または性能について、明示的・暗示的を問わず虚偽・誇大な広告等を禁止しています。また、承認または認証が必要な医療機器の承認前広告には、第68条との関係があります。
さらに、No.1や比較表示では景品表示法、インフルエンサー投稿ではステルスマーケティング規制、医療機関のLPや症例動画では医療広告ガイドライン、Web広告では各プラットフォーム独自の掲載基準も確認対象になり得ます。
この記事では、医療機器広告を制作する前に集めるべき資料と、LP・バナー・SNS・リスティング広告・YouTube・チラシ・カタログごとのチェックポイント、広告審査でよくある修正とリライトの考え方を実務者向けに整理します。
- 医療機器広告は、媒体を見る前に個別製品の資料を確認する:まず一般的名称、承認・認証情報、使用目的または効果、性能、添付文書等を確認します。広告原稿だけを見て「使える・使えない」を判断すると、製品について認められた範囲とのズレを見落とす可能性があります。
- 媒体ごとに、リスクが表れる場所が違う:LPではファーストビューや口コミ、バナーでは短い断定表現、SNSでは動画・体験談・PR表示、検索広告では見出しとリンク先、動画ではナレーション・演出、紙媒体では仕様表や営業説明まで確認します。
- 広告審査の修正は、NG表現を削るだけで終わらせない:なぜ差し戻されたのかを整理し、使用シーン、操作性、管理のしやすさ、対象者、サポート体制など、製品の実態に即した別の訴求軸へ再設計することが重要です。
医療機器広告チェックで最初に確認すべき基本項目
医療機器広告を制作する前には、広告コピーより先に、広告対象となる個別製品を特定します。製品分類、一般的名称、承認・認証情報、使用目的または効果、性能、添付文書等を確認し、その後に広告表現を照合するのが基本です。
広告代理店や制作会社では、クライアントから、
「このコピーでLPをお願いします」
「競合サイトと同じような表現で作ってください」
と原稿だけが送られてくることがあります。
しかし、医療機器広告では、原稿だけを見ても判断できないことがあります。
同じ「肩こり」「測定」「治療」「改善」という言葉でも、何の医療機器が、何について認められているのかによって確認結果が変わるからです。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医療機器広告の相談で、最初に広告原稿だけが送られてくることがあります。でも、本当は原稿を見る前に確認したいことがあります。
何という製品なのか。
一般的名称は何か。
何について承認・認証されているのか。
使用目的または効果は何か。
添付文書等にはどう書かれているのか。
この土台がないまま、「改善は言えますか」「治療はNGですか」と単語だけで見ても、判断しにくいのです。
広告チェックは、原稿への赤入れから始まる仕事ではありません。製品資料と広告を並べ、どこにズレがあるのかを確認するところから始まります。
製品分類・承認情報・添付文書等を確認する
まず確認したいのは、次の資料です。
| 確認資料 | 実務で見る内容 |
|---|---|
| 正式な販売名 | 広告対象製品を特定する |
| 一般的名称 | どの医療機器に該当するか |
| JMDNコード | 一般的名称との対応を確認する |
| 承認・認証情報 | 承認または認証を受けた個別製品の内容を確認する |
| 届出関連情報 | 一般医療機器等の個別製品情報を確認する |
| 使用目的または効果 | 広告したい効果との整合性を見る |
| 性能 | 数値や性能訴求の根拠を確認する |
| 添付文書等 | 使用目的または効果、警告、禁忌・禁止、使用上の注意等を見る |
| 取扱説明書 | 実際の使用方法や条件を見る |
| 根拠資料 | 比較、数値、No.1、臨床データ等の裏付けを見る |
PMDAの医療機器情報検索では、公開されている医療機器について、一般的名称・販売名や「使用目的または効果」等から添付文書等を検索できます。
広告表現を確認する際は、すべての医療機器を一律に「承認・認証・届出された効能効果の範囲」で判断しないことが重要です。
承認または認証が必要な医療機器は、承認・認証を受けた「使用目的または効果」や性能の範囲を超えて広告することはできません。
一方、届出品など、承認・認証を要しない医療機器については、承認・認証された効能効果の範囲という基準はありません。この場合でも自由に表現できるわけではなく、医学・薬学上認められている範囲を超えた効能効果や性能を広告することは認められません。
そのため、医療機器の広告を確認するときは、まず承認品・認証品・届出品のいずれに該当するかを確認し、その区分に応じた根拠資料と表現範囲を確認する必要があります。
一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の違いや、承認・認証・届出の関係は、「医療機器の薬機法分類ガイド」で詳しく解説しています。
効能効果・性能・安全性表現を確認する
製品資料を確認したら、次に広告を見ます。
主な確認ポイントは、
- 認められた使用目的または効果等を超えていないか
- 性能数値に根拠があるか
- 「必ず」「確実」「完全」等で結果を保証していないか
- 「副作用なし」「100%安全」等で安全性を保証していないか
- 医師や専門家が効能効果・性能を保証したように見えないか
です。
薬機法第66条は、明示的・暗示的を問わず医療機器の効能、効果、性能等に関する虚偽・誇大な広告等を禁止し、医師その他の者がこれらを保証したと誤解されるおそれのある広告も規制しています。
そのため、たとえば「本文には『必ず治る』とは書いていない」という事実だけでは十分ではありません。画像、レビュー、ランキング、医師の写真、動画、注釈を全部合わせた結果、
「誰でも確実に治療効果が得られる」
と見えるのであれば、広告全体を確認する必要があります。
確認内容については「薬機法対応広告で重要な「広告全体の印象」とは?」で詳しく解説しています。また、「改善」「治療できる」「安全」「副作用なし」など、制作時に迷いやすい表現は、「医療機器広告で使える・使えない表現集」で具体例を整理しています。
薬機法・景品表示法・医療広告規制・媒体審査を分けて見る
広告制作では、複数のルールを一つにまとめないほうが分かりやすくなります。
| 確認領域 | 主な対象 |
|---|---|
| 薬機法 | 医療機器等の効能、効果、性能、承認前広告等 |
| 景品表示法 | 優良誤認、No.1、ランキング、比較、口コミ、ステマ等 |
| 医療広告規制 | 病院・診療所等の広告、治療内容、症例写真等 |
| 媒体審査 | Google、LINEヤフー、Meta等の独自掲載ポリシー |
医療広告ガイドラインは、医療機器メーカーの商品広告すべてに一律適用されるルールではありません。病院・診療所等の広告に該当する場合に、別途確認します。厚生労働省は医療法上の広告規制について専用ページとガイドラインを公開しています。
また、広告媒体には独自の掲載基準があります。たとえばLINEヤフー広告には医薬品・医療機器の個別掲載基準があり、国内未承認の医療機器は掲載できない広告として案内されています。
したがって、
薬機法上問題がない=媒体審査に必ず通る
ではありません。
反対に、
媒体審査を通過した=薬機法・景品表示法上問題がない
とも限りません。
医療機器LP制作のポイント


医療機器のLPでは、ファーストビュー、効果・性能の説明、使用前後の変化、利用者の声、比較表、CTA、注釈までを、一つの流れとして設計することが重要です。
一つひとつの表現が穏やかでも、複数の訴求が積み重なることで、必要以上に強い効果を期待させたり、承認された使用目的や効果の範囲を超えた印象を与えたりする可能性があります。
また、制作会社さまからよくいただくのは「広告チェックを依頼したら無難な言い換えになり製品の魅力が消えてしまった」という相談です。もちろん、効能効果・性能の範囲で表現を検討していく必要はありますが、それは必ずしも表現を弱めたり一般的な言い換えに直したりするだけではありません。
大事なのは「言えないから終わり」ではない、ということです。
この考え方については「![]()
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薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
LPをチェックしていると、一つひとつの文章はそれほど強くないのに、ページ全体ではかなり強い効果を約束していることがあります。
ファーストビューに大きな数字。
ビフォーアフター。
「人生が変わった」という口コミ。
医師の写真とNo.1表示。
「今すぐ悩みを解決」というCTA。
一つずつ見るのではなく、全部つなげたときに何が伝わるかを見る必要があります。広告全体の印象は、コピーだけで作られるものではありません。
構成、画像、数字、レビュー、CTAまで含めて確認する。LPでは、この視点が特に重要です。
ファーストビューで確認すべき表現
ファーストビューは、LPの中でも特に強い印象を与える部分です。
たとえば、
- たった10分で、長年の痛みから完全解放
- 医師も認めた、次世代治療
- 使用者の98%が劇的改善
といった表示では、単に表現を削るのではなく、確認できる事実の範囲内で、どこまで訴求を広げられるかを検討します。
| 表現 | 確認すること | 広げられる方向 |
|---|---|---|
| たった10分で | 効果発現時間か、1回の使用時間か | 使用時間であれば「1回10分のケア習慣」等 |
| 長年の痛みから完全解放 | 完全な効果や持続性を保証していないか | 承認範囲内の効能表現や生活イメージへ |
| 医師も認めた | 推薦・保証に見えないか | 「医師が開発に協力」等、実際の関与内容へ |
| 使用者の98%が劇的改善 | 対象者、調査方法、評価項目、分母は何か | 調査結果に対応する具体的な表現へ |
判断軸は、その表示が確認できる事実を伝えているのか、それとも事実を超えて効果を保証しているのかです。
たとえば「10分」が医療機器の1回の使用時間であれば、「10分」という数字自体を削除する必要はありません。
- 1回10分のケア習慣
- 頑張った一日の終わりに、10分のセルフケア
など、使用方法上の事実を起点に表現を広げられます。
一方で、「10分で改善」「10分で完全解放」とすると、効果発現時間や結果の保証に見えるため、別の根拠が必要です。
薬機法第66条は、文言だけでなく、見出し、画像、数字、医師の写真等を組み合わせた広告全体の印象も対象とします。
単に表現を弱めることではなく、使える事実と使えない効果保証の境界を見極め、その範囲内で訴求を最大化する方向性を探ることも可能です。
効果訴求・CTA・ボタン周辺の注意点
LP本文は薬機法等に対応していても、CTAだけが強い効果保証になっているケースがあります。
たとえば、
- 今すぐ治療を始める
- 長年の悩みを完全解決
- 病院に通う生活を終わらせる
といった表現です。
CTAも広告の一部であり、ページ全体の結論として受け取られやすいため、効果や将来の結果を約束していないか確認します。
| CTA表現 | 注意点 | 広げられる方向 |
|---|---|---|
| 今すぐ治療を始める | 商品購入と治療開始を同一視していないか | 相談、申込み、詳細確認など、実際の行動へ |
| 長年の悩みを完全解決 | 完全な効果や結果を保証していないか | ケアの開始、選択肢の提案、生活イメージへ |
| 病院に通う生活を終わらせる | 通院不要や治療の代替を暗示していないか | 自宅で使える、毎日のケアに取り入れる方向へ |
表現を広げる例
相談・確認につなげる
- まずは詳しく見る
- 自分に合うか確認する
- 使用方法を確認する
- 専門スタッフに相談する
行動を後押しする
- 今日からケア習慣を始める
- 毎日のセルフケアに取り入れる
- 1回10分のケアを始める
- 自宅ケアの選択肢を見る
生活イメージを伝える
- もっと心地よい毎日のために
- 動きやすい毎日を目指して
- 頑張った一日の終わりに
- 自分のペースで続けるケア
判断軸は、CTAが効果の達成を約束しているのか、ユーザーが実際に取れる行動を案内しているのかです。
CTAの目的は表現を弱めることではなく、確認できる製品特性や使用方法を起点に、相談、確認、体験、習慣化などの方向を示してユーザーの実際の行動につなげることです。
口コミ・ビフォーアフター・比較表の見せ方
LPでは、口コミ、ビフォーアフター、症例写真、No.1表示、比較表、臨床データなどが一つのページに並ぶことがあります。
これらは、表現の強弱だけで判断するのではなく、それぞれが何を事実として示し、その内容が個別製品について認められた範囲と一致しているかを確認します。
たとえば、「従来品の2倍」という表示の場合。
出力、測定時間、電池の持続時間、測定精度、治療効果のどれが2倍なのかを明確にします。比較広告では、客観的な実証、数値・事実の正確な引用、公正な比較方法に加え、医療機器について認められた性能・効果の範囲内かも確認が必要です。また、自社従来品との比較は可能ですが、他社との比較は医薬品等適正広告基準によって制限されている点は注意が必要です。
口コミについては、効能効果の範囲や効果保証との関係を確認します。事業者が選択してLPに掲載する場合は広告の一部となるため、「個人の感想です」という注釈だけで、効能効果の範囲や効果保証となる表現が認められるわけではない点に注意します。
ビフォーアフターや症例写真も一律に判断せず、写真が示す内容、撮影条件、使用期間、併用治療、結果の代表性を確認します。医療機関による治療広告の場合は、薬機法とは別に医療広告ガイドライン上の症例写真・体験談の規制も確認が必要です。
判断の基本は、口コミ、写真、数値、比較表が、それぞれ確認できる事実を正確に伝えているかです。各素材を個別に確認したうえで、組み合わせによって個別製品について認められた内容とは異なる効果を示していないか、LP全体を通して確認します。
具体的な広告制作での扱いは「医療機器広告で口コミ・体験談は使える?」「医療機器広告でビフォーアフター画像は使える?」で詳しく解説しています。
注釈・根拠表示の設計
注釈は、強いメイン表示を打ち消すための免責文ではありません。対象者、使用条件、調査方法、評価項目など、表示の意味を正確に伝えるための補足です。
たとえば、
たった1回で痛みゼロ!
※個人の感想です。効果を保証するものではありません。
と記載しても、「1回で痛みがなくなる」という主表示自体の問題は解消されません。
| 確認項目 | 判断軸 |
|---|---|
| 主表示 | 根拠や承認範囲と対応しているか |
| 注釈 | 主表示と矛盾せず、条件を具体的に補足しているか |
| 根拠表示 | 対象者、人数、方法、期間、評価項目が分かるか |
| 見せ方 | 読める大きさ、近い位置、十分な表示時間か |
実務では、まず根拠から直接いえる内容で主表示を作り、必要な条件や調査内容を注釈で補足します。
注釈の目的は、問題を打ち消すことではなく、何が、誰に、どの条件で確認されたのかを正確に伝えることです。
詳しくは「医療機器LPの薬機法チェック|ファーストビュー・CTA・画像・口コミ・効果訴求の注意点」でも具体例を用いて解説しています。
バナー制作のチェックポイント
医療機器バナーは、短いからこそ慎重な表現設計が必要です。限られた文字数で「すぐ効く」「痛みゼロ」「必ず改善」と断定すると、効果保証や安全性保証の印象が強くなりやすいため、バナー単体で何を約束しているかを確認します。
「リンク先のLPに詳しい説明があるから、バナーは強くても大丈夫」とは限りません。
広告として表示されるバナー自体が、どのような意味を持つかを確認します。
短いコピーで確認すること
短いコピーは、対象者、使用条件、効果の程度、発現時期などが省略されやすく、結果として効果保証に見えることがあります。
たとえば、
- すぐ効く
- 痛みゼロ
- 必ず改善
- 100%安全
といった表現では、「誰にでも、必ず同じ結果が得られる」という印象になっていないかを確認します。
判断軸は、短いかどうかではなく、個別製品について認められた範囲や根拠を超えて、結果を断定していないかです。
短いコピーを使う場合は、効果の断定ではなく、確認できる事実や使用場面に置き換える方向が考えられます。
- 1回10分のケア習慣
- 痛みの緩和を目的とした医療機器
- 毎日のセルフケアに
- 自宅で使えるケアの選択肢
画像・数字・アイコンも含めて広告全体で判断する
広告メッセージは、言葉だけで構成されるものではありません。
たとえば、
- 痛みを示す赤い部分が完全に消える画像
- 使用後に病変が消失するCG
- 大きく表示された「98%」
- 医師の白衣写真
- 「No.1」の王冠アイコン
も、効能効果や優位性を伝える広告表現の一部です。
文言を控えめにしていても、画像や数字によって「治る」「医師が認めている」「他社より優れている」と暗示していれば、表示全体が与える印象を踏まえて判断する必要があります。
No.1表示や比較表示については、景品表示法上の根拠も確認します。比較内容が客観的に実証されているか、数値や事実を正確に引用しているか、比較方法が公正かが主な判断軸です。
なお、医療機関・治療サービスの広告では、調査条件を示せば患者満足度を自由に広告できるとは限りません。医療広告ガイドライン等を別途確認します。
バナー単体とLPまでの一連の表示を確認する
バナーとLPは、文言が一致しているかだけでなく、それぞれの表示が個別に根拠の範囲内かを確認します。
たとえば、LPでは血圧計について「毎日の血圧管理に」と説明していても、バナーで、
高血圧を予防!
と表示していれば、LPの穏やかな説明だけでバナーの問題が解消されるわけではありません。「高血圧の予防」という効果が、その製品について認められた範囲に含まれるかを、バナー自体について確認する必要があります。
主な判断軸は次のとおりです。
| 確認対象 | 判断軸 |
|---|---|
| バナー単体 | 効果、対象者、数字等が承認範囲や根拠と対応しているか |
| LP単体 | 本文、画像、口コミ、注釈等を含めて誤認を生じさせないか |
| バナーからLPへの流れ | 入口と遷移先を組み合わせることで、別の効果や保証を暗示していないか |
| 商品・キャンペーン情報 | 商品、価格、条件、対象期間等に食い違いがないか |
確認する項目は、商品、対象者、効能効果・性能、数値、使用条件、価格、キャンペーン内容などです。
重要なのは、LPに正確な説明があればよいのではなく、バナーも広告表現として独立して確認し、さらに遷移先を含む一連のメッセージとしても判断することです。
修正されやすいバナー表現
| 表現例 | 主な確認リスク | 見直し方向 |
|---|---|---|
| すぐ効く | 即効性・効果保証 | 個別製品の範囲、使用条件等を確認 |
| 痛みゼロ | 効果保証 | 認められた効果と表現の強さを照合 |
| 改善率98% | 根拠・一般化 | 対象者、評価基準、調査条件を確認 |
| 医師推奨No.1 | 医師保証・景表法 | 調査内容と表示の対応を確認 |
| もう悩まない | 永続的な解決保証 | 使用シーン・管理価値等への再設計 |
SNS広告・インフルエンサー投稿のチェックポイント


医療機器のSNS広告では、投稿本文だけでなく、画像、動画、字幕、ハッシュタグ、投稿者の発言、事業者や投稿者が固定したコメントなど、投稿全体を確認します。
重要なのは、公式アカウントに同じ表現があるかではありません。
| 確認項目 | 主な判断軸 |
|---|---|
| 投稿の依頼 | 事業者が投稿を依頼・指示したか |
| 利益提供 | 報酬、商品提供、割引等があるか |
| 内容への関与 | 表現、評価、画像、ハッシュタグ、投稿時期を指定・確認したか |
| 投稿後の利用 | 事業者が公式アカウントやLPへ転載・引用したか |
| PR表示 | 広告であることが明確に分かるか |
事業者が投稿内容の決定に関与していれば、インフルエンサーの発言も事業者の表示として確認対象になり得ます。公式アカウントに同じ表現がなくても、事業者の責任が当然になくなるわけではありません。
一方、事業者の依頼や関与がなく、インフルエンサーが自主的に投稿した場合は、直ちに事業者の表示になるわけではありません。ただし、事業者がその投稿を選んで転載・広告利用した場合や、投稿自体が薬機法上の広告に該当する場合は、別途確認が必要です。
また、「PR」と明示すれば、ステルスマーケティングの問題がすべて解消するわけではありません。広告であることが明確でも、効能効果・性能の範囲を超える表現や効果保証は、薬機法等の観点から確認が必要です。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
SNSでは、一度広告をチェックして終わりにはしにくいところがあります。
新しい投稿が増える。
担当者が変わる。
インフルエンサーが自分の言葉で話す。
コメント欄に強い体験談が書かれる。
だからこそ、毎回その場で判断するより、
「この製品で言える範囲」
「避けるべき表現」
「口コミを引用するときのルール」
「インフルエンサーへ渡す投稿ガイド」
をあらかじめ作っておく方が実務的です。SNSの薬事対応は、投稿を直す仕事だけではありません。運用ルールを作るところまで考えると、継続的なリスク管理につながります。
SNS広告で修正されやすい表現
SNS広告では、投稿本文だけでなく、画像、動画、音声、字幕、ハッシュタグなどを一体で確認します。
| SNS特有の確認箇所 | 実務上のポイント |
|---|---|
| サムネイル・冒頭 | 本文を読まなくても、承認範囲を超える効果に見えないか |
| 字幕・ハッシュタグ | 「#絶対治る」など、短い表現で効果を断定していないか |
| 動画・演出 | 発言、CG、ビフォーアフター、表情等が効果を保証していないか |
| 注釈・PR表示 | 小画面でも読め、広告であることや表示条件が明確か |
| コメント・転載 | 事業者が固定・引用・再投稿した内容に問題がないか |
SNSでは、画像だけの転載、動画の切り抜き、音声なしの視聴などが起こります。そのため、LPや投稿本文を読めば分かるという設計ではなく、各表示面だけを見ても誤解されないかを確認します。
また、インフルエンサー投稿では、事業者の依頼、商品提供、内容への関与、PR表示を確認します。「PR」と表示しても、承認範囲を超える効能効果や効果保証まで許容されるわけではありません。
修正時は本文だけでなく、サムネイル、字幕、ハッシュタグ、固定コメント、過去の転載素材まで含めて差し替えることが重要です。SNSやデジタルコンテンツも医療機器広告の確認対象に含まれます。
口コミ・体験談・レビューの注意点
外部サイトに利用者が自発的に投稿したレビューと、事業者が選択・編集してLP等に転載する口コミは、分けて考えます。
事業者が広告素材として掲載する場合は、本人の実体験であっても、その口コミが広告上どのような効能効果・性能を示すことになるかを確認します。
| 確認項目 | 判断軸 |
|---|---|
| 内容 | 個別製品について認められた範囲を超えていないか |
| 結果の見せ方 | 誰にでも同じ結果が得られる印象になっていないか |
| 選択・編集 | 都合のよい部分だけを抜き出し、意味を変えていないか |
| 投稿の背景 | 投稿の依頼、報酬、商品提供等があるか |
| 注釈 | 「個人の感想です」だけで主表示を打ち消そうとしていないか |
たとえば、「長年の病気が治りました」という口コミを掲載すると、広告として疾病治療や効果保証を標ぼうする可能性があります。「個人の感想です」という注釈を付けても、その印象が当然に解消されるわけではありません。
また、事業者が投稿を依頼したり、内容の決定に関与したりしている場合は、広告であることが明確に分かる表示になっているか、ステルスマーケティング規制の確認も必要です。
口コミを活用する場合は、効能効果だけでなく、操作性、装着感、手入れのしやすさ、使用習慣など、確認できる製品事実に対応する内容へ広げる方法もあります。
判断するのは口コミの真実性だけではなく、事業者がその口コミを使って、商品について何を伝えているかです。
インフルエンサー投稿と広告表示
消費者庁は、2023年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すステルスマーケティングを景品表示法上の不当表示として規制しています。
インフルエンサー投稿では、公開後に「PR」を追加するだけでなく、企画・依頼・確認・二次利用までの流れを管理します。
広告実務担当者が確認したいのは、主に次の点です。
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 依頼前 | 投稿の目的、商品提供・報酬、投稿条件を整理する |
| 制作時 | 効能効果、NG表現、画像・動画・ハッシュタグの範囲を共有する |
| 公開前 | 投稿内容と、広告であることが明確に分かる表示を確認する |
| 公開後 | 修正、固定コメント、公式転載、広告配信への二次利用を管理する |
| 記録 | 依頼内容、修正履歴、確認結果を残す |
ステルスマーケティング規制では、商品提供や報酬の有無だけで一律に決まるのではなく、事業者が投稿内容の決定にどの程度関与したかを総合的に確認します。
また、事業者の表示に当たる場合は、「広告」「PR」等が投稿全体から明確に認識できる必要があります。プロフィールや別ページだけの表示、ハッシュタグに埋もれた表示では不十分となる可能性があります。
実務では、誰が何を決め、どこまで確認し、投稿をその後どう利用するのかを、施策開始前に決めておくことが重要です。
ステルスマーケティングについては「ステルスマーケティング規制」の記事で詳しく解説しています。
リスティング広告のチェックポイント
医療機器のリスティング広告では、見出しや説明文だけでなく、検索語、広告表示アセット、リンク先LPまでを一連の広告として確認します。
文字数が限られるため、条件や対象者が省略され、個別製品について認められた範囲よりも強い効果に見えやすい点に注意が必要です。
| 確認箇所 | 主な判断軸 |
|---|---|
| 検索語 | 疾患名や症状名との組み合わせで、治療・予防効果を暗示していないか |
| 見出し・説明文 | 個別製品の効能効果、使用目的または性能と対応しているか |
| 広告表示アセット | 補足文、画像、リンク名等を含めると、別の効果を示していないか |
| リンク先LP | 広告入口と商品、対象者、効果、数値、条件が一致しているか |
法律上表示できる内容でも、各広告媒体の独自審査で掲載不可や修正を求められることがあります。詳しくは「媒体別・薬機法ライティング実務ガイド」をご覧ください。
見出し・説明文で注意すべき表現
たとえば、
- 腰痛を即効治療
- 高血圧を予防する家庭用機器
- 絶対安全な最新治療器
といった広告文では、特定の単語だけを確認するのではなく、見出しと説明文を合わせたときに、商品が何を約束しているように見えるかを確認します。
判断の起点は、個別製品について認められた効能効果、使用目的、性能、使用方法です。
「即効」「予防」「安全」等の表現を使う場合も、広告対象の製品について、その内容を直接裏付ける範囲があるかを確認する必要があります。
キーワードと広告文の組み合わせ
疾患名や症状名を検索キーワードとして設定したことだけで、直ちに広告表現の適否が決まるわけではありません。
ただし、
- 疾患名
- 症状名
- 治療
- 完治
- 即効
- 予防
などが広告文と組み合わさることで、個別製品について認められた範囲を超える効果を示す場合があります。
そのため、
検索語 → 広告見出し → 説明文・アセット → LP
上記の流れで、利用者にどのようなメッセージが伝わるかを確認します。
バナーと同様に、広告文も単体で確認する
たとえば、
広告文:膝痛を根本治療
LP:日々のセルフケアに
という場合、LPが穏やかな表現であっても、「根本治療」という広告文自体の問題が解消されるわけではありません。
反対に、広告文が承認範囲内でも、LPに「完全に治る」「通院不要」等の表示があれば、リンク先を含めて再確認が必要です。
広告文とLPは文言が同じかどうかではなく、商品、対象者、効能効果、数値、使用条件等について、同じ事実を伝えているかを確認します。
使える事実から広告文を設計する
表現を弱めるだけでなく、個別製品について確認できる事実を起点に広告文を設計します。
たとえば、
- 1回10分の家庭用ケア
- 自宅で使える医療機器
- 毎日の測定・管理に
- 製品の使用方法を確認
- 自分に合う機器か詳しく見る
など、使用方法、製品仕様、使用場面、情報確認の方向へ訴求を広げることが考えられます。
法令と媒体審査を分けて確認する
広告表現が法令上直ちに問題にならない場合でも、媒体独自の掲載基準によって、掲載不可、表現修正、認証申請等を求められることがあります。
LINEヤフー広告やGoogle Adsなどでは、医薬品、医療機器、医療・ヘルスケア関連広告について独自のポリシーが設けられています。対象商品、広告内容、配信地域、広告主の資格等によって取扱いが異なるため、出稿時点の最新ポリシーを確認します。
重要なのは、薬機法等への対応と媒体審査への対応を同じ判断にせず、それぞれの基準で確認することです。
YouTube広告・動画広告のチェックポイント
医療機器の動画広告では、台本の文言だけでなく、ナレーション、字幕、テロップ、CG、使用場面、インタビュー、ビフォーアフター、サムネイルなどを組み合わせたときに、何を伝えているかを確認します。
判断の起点になるのは、個別製品について確認できる使用目的又は効果、性能、使用方法です。薬機法上は、明示的な文言だけでなく、映像等によって効能効果・性能を暗示する表示も確認対象となります。
動画素材ごとの判断軸
| 確認箇所 | 広告実務上の判断軸 |
|---|---|
| ナレーション | 個別製品について認められた範囲を超えていないか |
| 字幕・テロップ | ナレーションより強い効果や安全性を表示していないか |
| CG・人体図 | 実際には確認されていない作用や病変の消失を描いていないか |
| デモ映像 | 使用方法、使用時間、効果発現までの時間を混同させていないか |
| 使用者インタビュー | 事業者が選択・編集した発言が、効果保証になっていないか |
| ビフォーアフター | 何の変化か、使用期間、撮影条件、併用治療等を確認できるか |
| サムネイル・冒頭 | その部分だけを見ても、承認範囲を超える効果に見えないか |
| 効果音・BGM・演出 | 映像や数字と組み合わさり、即効性や劇的効果を補強していないか |
BGMや効果音だけで直ちに適否が決まるわけではありません。ただし、病変が消えるCGに成功音を重ねる、使用直後に表情や動作を大きく変えるなど、他の要素と組み合わせて効果を印象付ける場合は、その意味まで確認します。
ナレーションと画面表示を別々に判断しない
たとえば、ナレーションで、
毎日の健康管理をサポートします。
と説明していても、画面上に、
病気を早期発見!
と大きく表示すれば、動画としては疾病の発見効果を訴求しているように受け取られる可能性があります。
実務では、ナレーション原稿とテロップ原稿を別々に承認するのではなく、同じ時間帯に表示・再生される映像、音声、文字を重ねて確認します。
デモ映像は「使用方法」と「効果」を混同させない
たとえば、
- 使用前は痛そうに歩く
- 製品を1回使用する
- 使用後は走り出す
- 「こんなに変わる!」と表示する
という構成では、「治る」と発言していなくても、1回の使用で直ちに大幅な改善が得られるように見える可能性があります。
確認するのは、次の点です。
- 1回使用後の変化を示す根拠があるか
- 個別製品について認められた効果と対応しているか
- 特定の好結果を一般的な結果として見せていないか
- 撮影条件、演技、編集によって変化を誇張していないか
- 使用時間と効果発現時間を混同させていないか
医療機器のビフォーアフターは、一律に使用できる・できないと判断するのではなく、写真や映像が示す変化と、個別製品について認められた範囲との対応を確認します。
短尺動画は、冒頭と切り出された場面を確認する
6秒、15秒、30秒といった短尺動画でも、表現できる効能効果の範囲が広がるわけではありません。
たとえば、
- たった1回で痛みから解放
- 医師も驚いた奇跡の変化
- もう通院は不要
といったコピーは、短いことではなく、効果の程度、発現時期、医師による保証、通院の代替まで示している点を確認します。
動画広告では、全編を通して問題がないかに加えて、次の状態でも意味が変わらないかを確認します。
- サムネイルだけが表示される
- 冒頭数秒だけ視聴される
- 音声なしで字幕だけが見られる
- 一場面が切り抜かれる
- 短縮版として再編集される
後半に説明や注釈があっても、冒頭だけで承認範囲を超える効果を断定している場合、その問題が当然に解消されるわけではありません。
台本・絵コンテ段階で確認する
動画広告の薬事確認は、完成版だけでなく、制作工程の途中に確認ポイントを設けるのが実務的です。
| 制作段階 | 確認する内容 |
|---|---|
| 企画・構成案 | 訴求する効果、対象者、使用場面が製品資料と合っているか |
| 台本 | ナレーション、出演者の発言、数字、医師コメント |
| 絵コンテ | CG、表情、動作、使用前後、画面構成 |
| 撮影前 | 演技指示、デモ方法、インタビュー質問 |
| 仮編集 | テロップ、音声、映像、効果音を重ねた全体の意味 |
| 完成版 | サムネイル、概要欄、CTA、リンク先を含む最終確認 |
| 短縮・再編集版 | 尺を変えたことで条件や説明が欠落していないか |
確認時には、承認・認証・届出情報、添付文書、取扱説明書等と照合できるよう、秒数入りの台本やテロップ一覧を用意すると判断しやすくなります。
動画広告では、「使えない言葉を探す」のではなく、各場面が何を事実として示し、映像・音声・文字を組み合わせると何を約束することになるのかを確認することが重要です。
チラシ・カタログ制作のチェックポイント
医療機器のチラシやカタログも、顧客の誘引、特定製品の明示、一般人が認知できる状態という広告該当性の3要件を満たす場合は、薬機法上の広告として確認します。ここでいう「一般人」には医療関係者も含まれるため、医家向けカタログや展示会資料だから広告に当たらないとは限りません。
医薬品等適正広告基準は、ウェブやSNSだけでなく、新聞・雑誌等を含むすべての媒体における広告を対象としています。紙媒体では印刷後の修正が難しいため、入稿前に承認・認証・届出内容、注意事項等情報、根拠資料と照合します。
チラシでは、効果表示と取引条件を分けて確認する
たとえば、
今だけ半額。1回で痛みを完全解消!
という表示には、異なる確認事項が含まれます。
「1回で痛みを完全解消」は、効果の程度や発現時間を保証していないか、個別製品について認められた範囲と照合します。
「今だけ半額」は、何と比較して半額なのか、その比較対照価格が実際に用いられていたか、対象期間や適用条件が正確かを確認します。実際には通常価格で販売していない場合や、終了時期のないキャンペーンを「今だけ」と表示する場合は、景品表示法上の有利誤認につながる可能性があります。
カタログの数値は、意味と条件まで示す
医療機器カタログでは、出力、測定精度、処理時間、臨床データ、導入実績などが掲載されます。数値が実在するだけでなく、広告上の主張と正確に対応していることが必要です。
たとえば「従来品の2倍」と表示する場合は、少なくとも次を特定します。
- 何が2倍なのか
- どの製品との比較か
- 測定方法と条件は何か
- 比較対象は現行品か
- 数値の出典と測定時点はいつか
消費者庁は、比較広告の基本として、客観的な実証、数値・事実の正確かつ適正な引用、公正な比較方法を示しています。
さらに、日本医療機器産業連合会の「医療機器適正広告ガイド」では、他社製品を特定できる比較や誹謗的な比較について、より具体的な自主基準が示されています。法令上の判断と業界自主基準上の判断を分けて確認します。
なおNo.1、ランキング、比較表示などは、薬機法とは別に景品表示法上の根拠と表示内容の対応も確認する必要があります。
医家向け資料も、承認範囲を超えてよいわけではない
医療従事者向け資料では、臨床データ、疾患名、医学的評価項目、作用機序等を扱うことがあります。ただし、医家向けであっても、承認・認証された使用目的、効果、性能等を超える広告が認められるわけではありません。
一般消費者向けに転用する場合は、さらに次を確認します。
- 一般消費者向けに広告できる製品か
- 専門家の管理下で使用する前提が抜けていないか
- 研究上の評価項目を、治療効果として言い換えていないか
- 対象者や使用条件が省略されていないか
- 一般消費者が自己判断で治療できる印象にならないか
医薬品等適正広告基準は、医療関係者が使用する医療機器のうち、一般人の使用により保健衛生上の危害が生じるおそれがあるものについて、一般人向け広告を制限しています。
展示会・営業資料・代理店資料は、名称ではなく実態で判断する
「展示資料」「説明資料」「営業資料」と名付ければ広告規制の対象外になるわけではありません。一方で、展示会資料や技術資料がすべて一律に広告に当たるわけでもありません。
次の点から広告該当性を確認します。
- 購入や導入を促す目的があるか
- 特定の製品を識別できるか
- 医療関係者を含む一般人が認知できる状態か
- 価格、問い合わせ、商談等の導線があるか
- 効能効果・性能を具体的に訴求しているか
営業担当者や代理店による説明については、口頭説明が直ちに薬機法上の広告に当たると一律には判断できません。ただし、承認済み資料を超えて効能効果・性能を説明したり、未審査の独自資料を使用したりしないよう、プロモーション活動として管理する必要があります。
実務では、説明可能な範囲、使用できる資料、体験談や論文への回答方法、想定Q&A、資料の承認・改訂・回収手順を定めます。日本医療機器産業連合会の自主基準も、広告資材の社内審査体制を設け、営業担当者が独自に作成した未審査資料を使用しないよう求めています
制作会社が医療機器広告で注意すべきポイント
医療機器広告では、原稿を書き始める前に、どの製品について、何を根拠に、誰に向けて広告するのかを整理します。
クライアント支給の原稿や素材であっても、それだけで広告に使用できるとは限りません。制作会社がすべての法的判断を行う必要はありませんが、判断に必要な資料がそろっているか、表現と根拠が対応しているかを確認できる制作フローが必要です。
薬機法第66条は医薬品等の虚偽・誇大広告について「何人も」を対象としているため、制作会社だから広告規制と無関係とはいえません。また、医療機器広告では、個別製品の使用目的又は効果、性能、使用方法等と広告内容の整合性が判断の基本になります。
そもそも製品が医療機器に該当するか不明な場合は、広告制作を進める前に「医療機器該当性で迷ったら」で確認方法を整理してください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作会社が医療機器案件を受けたとき、「薬機法の最終判断まで自分たちがしなければならないのか」と不安になることがあります。
制作会社が、個別案件の適法性を断定する必要はありません。
ただ、
「一般的名称が分かりません」
「承認・認証情報を確認できていません」
「このNo.1表示の調査資料はありますか」
「この口コミは使用目的または効果を超えていませんか」
と、確認すべき論点を見える化することはできます。
そして、必要な箇所を社内薬事、法務、行政、専門家確認につなぐ。この役割だけでも、制作途中の大きな手戻りを減らすことにつながります。
制作担当者が持つべき5つの判断軸
| 判断軸 | 確認すること |
|---|---|
| どの製品か | 正式な販売名、一般的名称、承認・認証・届出情報を確認できるか |
| 何が認められているか | 使用目的又は効果、性能、使用方法、対象者、注意事項を確認できるか |
| 何を根拠に訴求するか | コピー、数値、比較、口コミ、画像ごとに根拠資料があるか |
| 誰に・どこで見せるか | 一般消費者向けか医療関係者向けか、LP・SNS・動画等のどの媒体か |
| 誰が確認するか | クライアントの薬事・法務担当者や最終承認者が決まっているか |
重要なのは、分類名や承認番号を確認するだけではありません。個別製品について確認できる範囲と、キャッチコピー、画像、動画、レビュー、比較表等が実際に伝える内容を照合します。
受注時に確認したい資料
| 項目 | 受領・確認する内容 |
|---|---|
| 製品情報 | 正式な販売名、一般的名称、JMDNコード |
| 法的位置付け | 医療機器か非医療機器か、承認・認証・届出の別と番号 |
| 製品資料 | 承認書・認証書等、添付文書、取扱説明書 |
| 認められた範囲 | 使用目的又は効果、性能、使用方法、対象者、注意事項 |
| 広告条件 | 掲載媒体、広告対象者、販売・導入の方法 |
| 使用予定素材 | 写真、動画、口コミ、医師コメント、症例、比較表 |
| 根拠資料 | 臨床データ、アンケート、No.1、満足度、他社比較 |
| 確認体制 | 薬事・法務・広告審査担当者、最終承認者 |
| 外部審査 | 媒体審査、業界自主基準、必要な認証・申請 |
PMDA等の公開情報は個別製品を確認する手掛かりになりますが、公開情報だけで広告表現の可否が自動的に決まるわけではありません。クライアントから承認・認証・届出関係資料を受領し、広告で使う主張と対応付けることが大切です。
支給原稿・支給素材は「確認済みの範囲」を明確にする
次のような説明だけで制作を進めると、後工程で大きな修正が生じやすくなります。
- 原稿はクライアント支給です
- 以前から使っている素材です
- 他社も同じ表現を使っています
- 社内で確認済みと聞いています
- 媒体審査に通ったことがあります
確認すべきなのは、誰が、どの資料に基づいて、どの版の原稿・素材を確認したのかです。
特に、次の素材は根拠との対応を個別に確認します。
| 支給素材 | 確認すること |
|---|---|
| 「絶対安全」等の原稿 | 安全性を保証する表示になっていないか |
| 使用者レビュー | 認められた範囲を超える効果を示していないか |
| No.1ロゴ | 調査対象、方法、期間、比較対象が確認できるか |
| ビフォーアフター | 何の変化か、使用条件、撮影条件、結果の代表性を確認できるか |
| 臨床データ | 広告対象と同一製品か、評価項目とコピーが対応しているか |
資料が支給されたことと、広告上の表示が許容されることは別です。根拠資料が存在していても、その資料から広告コピーの結論まで直接導けるかを確認します。
制作前に確認工程を決める
医療機器広告では、完成後に原稿だけを確認しても十分ではありません。デザイン、画像、動画演出、口コミ、注釈等の組み合わせによって、広告の意味が変わるためです。
| 制作段階 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 企画・構成 | 訴求軸が個別製品の範囲と合っているか |
| 原稿 | コピー、効能効果、数値、比較、医師コメント |
| デザイン | 画像、グラフ、文字の強調、注釈、CTA |
| 動画制作 | 台本、絵コンテ、演技、CG、字幕、ナレーション |
| 初稿・仮編集 | 各要素を組み合わせた広告全体の意味 |
| 最終版 | 修正反映、リンク先、媒体条件、承認履歴 |
制作開始前に、各段階で誰が確認し、誰が最終承認するのかを決めておきます。制作会社側でも、確認済みの版、修正履歴、根拠資料との対応を管理すると、差し戻しや古い素材の再使用を防ぎやすくなります。
薬事チェック後は、言葉ではなく訴求軸を見直す
たとえば、
必ず症状が改善します
が修正対象になった場合に、
症状にアプローチします
と置き換えるだけでは、十分とは限りません。
周囲に、痛みが消えるCG、劇的なビフォーアフター、「1回で治った」という口コミ、医師の推薦が残っていれば、広告全体が伝える意味は変わっていない可能性があります。
修正時は、個別製品の実態と根拠に応じて、次のような別の価値へ訴求軸を移せないか検討します。
- 認められた使用目的又は効果
- 使用方法や使用時間
- 操作性
- サイズ・重量・携帯性
- 測定・記録・データ管理機能
- 導入方法
- 使用シーン
- 保守・サポート体制
- 継続して使用しやすい設計
ただし、これらも自動的に使用できる表現ではありません。製品仕様や根拠資料で確認できる事実に限って広告へ反映します。
制作会社に求められるのは、支給された表現をそのまま形にすることでも、すべてを一律に弱めることでもありません。
どの訴求が何の資料に基づいているのかを整理し、根拠の範囲内で広告として伝わる形に設計することが、医療機器広告における制作実務の基本です。
広告審査でよくある修正ポイント
医療機器広告では、次のような表示が確認対象になりやすくなります。
- 個別製品について認められた範囲を超える効能効果・性能
- 効果や安全性の保証
- 医師・医療関係者による推薦や保証
- 口コミ、ビフォーアフター、症例
- No.1表示、比較表示
- 臨床データ、グラフ、数値
- 主表示と対応していない注釈
- 承認・認証が必要な未承認・未認証医療機器の広告
ただし、重要なのは「この言葉は使えない」と暗記することではありません。
その表示が何を約束し、どの資料や製品情報と整合していないのかを確認します。言葉だけを置き換えても、画像、口コミ、数字等が同じ効果を伝えていれば、修正になっていないことがあります。
医薬品等適正広告基準では、承認範囲、効果・安全性の保証、最大級表現、医薬関係者等による推薦などが、それぞれ確認事項として示されています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告審査で、「必ず改善は削除してください」と言われたとします。そこで単純に削除すると、広告の一番大事な訴求がなくなってしまうことがあります。
私は、ここで一度立ち止まった方がよいと考えています。
なぜ修正されたのか。
結果を保証していたからなのか。
個別製品について認められた範囲を超えていたからなのか。
根拠が不足していたからなのか。
理由が分かれば、別の設計ができます。
使用シーンへ移す。
操作性を伝える。
記録機能を見せる。
サポート体制を訴求する。
広告審査の差し戻しは、単に弱い広告にする作業ではありません。商品の価値を、根拠を持って伝わる形に組み直す入口です。
修正時の基本的な判断軸
| 表示 | 確認すること | 再設計の方向 |
|---|---|---|
| 必ず改善 | 誰に、どの条件で、どの結果を保証しているか | 個別製品について認められた使用目的又は効果を正確に伝える |
| 副作用なし・100%安全 | 警告、禁忌・禁止、使用上の注意等と矛盾しないか | 適正使用に必要な情報や、安全に使用するための機能・設計を事実に即して伝える |
| 医師が認めた | 推薦、公認、効果・性能の保証に見えないか | 実際の関与内容と表示目的を確認し、役割の範囲を超えない説明を検討する |
| 劇的なビフォーアフター | 何の変化か、期間、条件、代表性、画像加工等を確認できるか | 承認範囲内の変化に限定し、撮影・使用条件が分かる設計を検討する |
| 「1回で治った」という口コミ | 口コミが広告として何の効果を示すか | 操作性、装着感、使用習慣等、確認できる製品事実に対応する内容を検討する |
| No.1 | 何についての1位か、調査対象・方法・期間・比較対象は何か | 調査結果と正確に対応する範囲に表示を限定する |
| 従来品の2倍 | 何が、どの製品より、どの条件で2倍か | 比較項目、対象製品、測定条件、時点を具体的にする |
| 根拠不明のグラフ | 対象製品、対象者、評価項目、試験条件が広告と一致するか | データから直接いえる内容だけを、差を誇張せずに示す |
| 小さな注釈 | 主表示と矛盾していないか、重要条件を認識できるか | まず主表示を根拠に合わせ、必要な条件を近くに分かりやすく示す |
| 未承認でも効果あり | 承認・認証が必要な製品か、広告に該当するか | 言い換えではなく、製品区分と広告可否を先に確認する |
効果・性能表現は、認められた範囲へ戻す
たとえば、
必ず改善
という表示では、「必ず」という単語だけが問題なのではありません。使用者や症状の状態にかかわらず、同じ結果が得られると保証している点を確認します。
修正時は、次の順に整理します。
- 個別製品の使用目的又は効果・性能を確認する
- 広告が対象者や症状を広げていないか確認する
- 効果の程度、発現時間、持続期間を追加していないか確認する
- 根拠の範囲内でいえる内容に戻す
- 必要に応じて別の製品価値へ訴求を移す
「改善」を「アプローチ」「サポート」等に置き換えるだけでは、何に作用し、どのような結果をもたらすと伝えているかが変わらない場合があります。
画像・口コミ・症例は、示している事実を確認する
コピーを修正しても、次の素材が残っていれば、広告の意味が変わっていない可能性があります。
- 症状が完全に消えるCG
- 1回使用した直後の劇的な変化
- 「治った」「通院が不要になった」という口コミ
- 医師の写真と効果コピーの組み合わせ
- 特定の好結果だけを示す症例
ビフォーアフターは一律に可否を決めるのではなく、広告主体、写真が示す変化、個別製品について認められた範囲、使用期間、撮影条件、併用治療、結果の代表性等を確認します。医療機関による治療広告の場合は、医療広告ガイドライン等を別途確認します。
口コミも、本人の実体験であることだけでは広告上の許容根拠になりません。事業者が選択して掲載した口コミが、商品についてどのような効能効果・性能を示すことになるかを確認します。
医師・専門家の表示は、実際の役割と広告上の意味を分ける
「医師が認めた」を「医師監修」に置き換えれば、直ちに掲載できるわけではありません。
確認するのは、次の点です。
- 医師が実際に何を行ったか
- 製品開発、広告監修、試験、一般的な情報提供のどれか
- どの範囲についてコメントしているか
- 商品の推薦、公認、効能効果・性能の保証に見えないか
- 写真、肩書き、コピーの組み合わせで意味が広がっていないか
医薬品等適正広告基準では、医薬関係者等による指定・公認・推薦等は、公衆衛生上必要な場合等を除き、原則として不適当とされています。また、薬機法第66条第2項は、医師等が効能効果・性能を保証したと誤解されるおそれのある広告も対象としています。
実際の関与事実を表示する場合も、その事実だけで広告上の許容性が決まるわけではなく、商品推薦や効果保証に見えないかを個別に確認します。
No.1・比較表示は、調査資料と広告コピーを対応させる
No.1や比較表示は、一律に使用できないわけではありません。必要なのは、広告で主張する内容と根拠が正確に対応していることです。
確認する項目は、次のとおりです。
- 何についてのNo.1・比較か
- 調査対象者は誰か
- 実際の利用者か、一般モニターか
- 比較対象となった製品は何か
- 調査・測定の方法と条件
- 調査時期
- 母数、設問、評価方法
- 広告表示と調査結果が一致するか
- 効果・性能・安全性の保証に見えないか
消費者庁が示す比較広告の基本は、客観的な実証、数値・事実の正確かつ適正な引用、公正な比較方法です。医療機器では、比較する性能や効果が個別製品について認められた範囲内かも確認します。
たとえば、「従来品の2倍」では、出力、測定時間、電池持続時間、測定精度、治療効果のどれが2倍なのかによって、必要な根拠と広告上の意味が異なります。
注釈は、主表示を後から否定するために使わない
強い効果表示を残したまま、小さく、
※個人の感想です。効果を保証するものではありません。
と付けても、主表示が与える印象を十分に修正できるとは限りません。
注釈は、対象者、使用条件、調査方法、評価項目等を正確に伝えるための補足です。修正時は、次の順で考えます。
- 主表示を根拠から直接いえる内容にする
- 結論を左右する条件を主表示の近くに示す
- 調査方法や出典等の詳細を注釈で補足する
- 文字サイズ、位置、色、表示時間を確認する
注釈と主表示が矛盾している場合は、注釈を増やすのではなく、主表示から再設計します。
未承認・未認証品は、表現ではなく広告可否から確認する
薬機法第68条は、承認又は認証が必要な医療機器で、まだ承認・認証を受けていないものについて、名称、製造方法、効能、効果又は性能の広告を禁止しています。
この場合、
- 効果表現を弱める
- 「研究用」と注釈する
- 「医療機器ではありません」と記載する
だけで解決するとは限りません。
まず、製品区分、国内で必要な手続き、承認・認証・届出状況、表示の広告該当性を確認します。一般医療機器など承認・認証を要しない区分もあるため、「承認番号がない」という事実だけで一律に未承認広告と判断しないことも重要です。
未承認広告については「薬機法(薬事法)とは?66条/68条を基礎から解説」をご覧ください。
修正後に訴求力を残す考え方
審査対応は、強い言葉を弱い言葉に交換する作業ではありません。
たとえば、
確実に治る
から
治癒をサポート
へ変更しても、病変が消えるCGや「1回で治った」という口コミが残っていれば、広告全体のストーリーは変わっていない可能性があります。
そこで、個別製品について確認できる次の価値を整理します。
- 認められた使用目的又は効果
- 対象者・使用場面
- 使用方法・使用時間
- 操作性
- サイズ・重量・携帯性
- 測定・記録・データ管理機能
- 継続して使用しやすい設計
- 導入方法
- 保守・サポート体制
- 製品仕様に基づく利便性
これらも自動的に使用できる表現ではありません。取扱説明書、仕様書、試験資料、実際の提供体制等によって確認できる事実に限って広告へ反映します。
広告審査で必要なのは、問題表現を削ることだけではありません。
修正理由を、承認範囲・根拠資料・広告全体の意味に分解し、商品の実態に即して訴求軸を再設計することが、広告制作担当者の判断軸になります。
よくあるご質問(FAQ)
- 医療機器広告を制作する前に確認すべき資料は何ですか?
-
まず、正式な販売名、一般的名称、JMDN、承認・認証情報等、使用目的または効果、性能、添付文書等、取扱説明書を確認します。さらに、広告で使いたい数値、No.1、比較表示、口コミ、医師コメント、臨床データについては、それぞれの根拠資料も必要です。PMDAの医療機器情報検索では、公開されている個別製品の添付文書等を検索できます。
- 医療機器LP制作において最も注意すべきポイントは何ですか?
-
ファーストビュー、キャッチコピー、ビフォーアフター、口コミ、比較表、No.1、CTA、注釈を重点的に確認します。特に、一つひとつは穏やかでも、すべてを組み合わせることで「誰でも確実に治る」「安全性が保証されている」と見えないかが重要です。薬機法第66条は、明示的・暗示的を問わず虚偽・誇大な広告等を規制しています。
- 医療機器バナー広告では何に注意すべきですか?
-
「すぐ効く」「必ず改善」「痛みゼロ」「100%安全」等、短い断定表現が効果保証・安全性保証に見えないかを確認します。数字、医師写真、No.1ロゴ、人体CG等によって文言以上の効果を暗示する場合もあります。リンク先LPが適切でも、バナー自体が強い誇大な印象になっていないかを確認することが重要です。
- 医療機器のSNS広告やインフルエンサー投稿では何を確認すべきですか?
-
投稿本文、画像、動画、字幕、ハッシュタグ、インフルエンサーの発言、固定コメントまで確認します。また、事業者が投稿内容の決定に関与している場合は、広告であることが分かりにくい表示になっていないか、景品表示法上のステルスマーケティング規制も確認します。
- 医療機器のリスティング広告ではキーワードも問題になりますか?
-
キーワードだけを一律にNGとするのではなく、検索語、広告見出し、説明文、リンク先LPを組み合わせたときに何を標ぼうしているかを確認します。疾患名や症状名と「治療」「完治」「即効」等を組み合わせることで、個別製品について認められた範囲を超えた効果を約束していないか慎重に見ます。
- 医療機器のYouTube広告・動画広告では何をチェックすべきですか?
-
台本、ナレーション、字幕、テロップ、サムネイル、CG、ビフォーアフター、使用者インタビュー、医師コメントを一体で確認します。動画は完成後の修正コストが高いため、構成案、台本、絵コンテの段階で薬事確認を入れることが実務上有効です。医療機関による治療広告の場合は、医療広告ガイドライン等も別途確認します。
- 医療機器のチラシ・カタログも薬機法チェックが必要ですか?
-
広告としての性格を持つ場合は確認が必要です。医薬品等適正広告基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト、SNS等のすべての媒体の広告を対象としています。紙媒体でも、効能効果、性能、比較、体験談、症例、価格表示等を確認します。
- 医療機器広告の審査でよくある修正は何ですか?
-
個別製品について認められた範囲を超える効能効果、効果保証、安全性保証、医師による保証、ビフォーアフター、口コミ、No.1、ランキング、比較広告、根拠不十分なグラフ、注釈不足、未承認・未認証医療機器の広告等です。修正時は単に削除するのではなく、修正理由を確認し、使用シーン、操作性、記録、管理、サポート等の別の訴求軸へ再設計することが重要です。
まとめ
医療機器広告の制作では、「この言葉は使えるか」だけを確認しても、十分とはいえません。
最初に見るのは、広告原稿ではなく製品です。
- 正式な販売名
- 一般的名称
- JMDN
- 承認・認証情報等
- 使用目的または効果
- 性能
- 添付文書等
を確認します。
その上で、媒体ごとに見る場所を変えます。
LPなら、ファーストビュー、口コミ、ビフォーアフター、CTA。
バナーなら、短いコピー、数字、画像。
SNSなら、投稿本文、動画、ハッシュタグ、インフルエンサー発言、PR表示。
リスティング広告なら、検索語、見出し、説明文、リンク先。
YouTube・動画なら、台本、ナレーション、テロップ、CG、演出。
チラシ・カタログなら、見出し、体験談、性能比較、臨床データ、営業説明。
つまり、同じ法令を確認していても、媒体ごとにリスクの現れ方が違います。
また、薬機法だけで終わらない案件もあります。
No.1や比較広告では景品表示法。
インフルエンサー投稿ではステルスマーケティング規制。
病院・診療所等による広告では医療広告ガイドライン。
Web広告では、各プラットフォーム独自の媒体審査。
これらを分けて整理することが重要です。
そして広告審査で修正が入ったときも、「NGだから削除」だけで終わらせないことです。
なぜ修正されたのか。
何が過度だったのか。
個別製品について認められた範囲を超えていたのか。
根拠が足りなかったのか。
効果を保証していたのか。
理由を整理した上で、商品の実態に合った別の訴求軸へ再設計します。
結論として、医療機器広告チェックは、
製品資料を確認する。
媒体ごとの見え方を確認する。
広告全体が何を約束しているように見えるかを確認する。
この3段階で考えると、制作会社、広告代理店、メーカーの販促・薬事担当者の間でも、修正理由を説明しやすくなります。
なお、医療機器広告を体系的に知りたい方は「医療機器広告の薬機法ガイド」をご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、製品区分、承認・認証・届出状況、使用目的又は効果、性能、対象者、媒体、根拠資料、広告全体の表示内容等によって判断が異なります。必要に応じて、所管行政機関、社内薬事・法務担当者又は専門家へ確認してください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日、医薬監第148号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_d.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日、薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日、薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医療機器の広告について」(平成22年8月17日、薬食監麻発0817第1号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6325&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」(平成30年8月8日、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/001699174.pdf(参照日:2026年08月11日)
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- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医療機器 添付文書等情報検索」PMDA. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch/(参照日:2026年08月11日)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医療機器基準データベースシステム・一般的名称検索」PMDA. https://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/JMDN/stdDB_jmdn_search.cgi?mode=1(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「表示規制の概要」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「比較広告」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/comparative_advertising/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_37.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「不実証広告規制」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について」(令和8年3月30日、事務連絡)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/001683116.pdf(参照日:2026年08月11日)
- LINEヤフー株式会社「医薬品、医薬部外品、医療機器」LINEヤフー広告ヘルプ(2026年5月13日). https://ads-help.yahoo-net.jp/s/article/H000044777?language=ja(参照日:2026年08月11日)
- Google「ヘルスケア、医薬品」Google 広告ポリシー ヘルプ. https://support.google.com/adspolicy/answer/176031?hl=ja(参照日:2026年08月11日)
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