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健康食品広告のNG表現一覧|ダイエット・疾病・美容・疲労系の使えない表現とリライト例

健康食品広告のNG表現とリライト:3つのステップによる広告制作のフロー図。 STEP 1:注意訴求を整理(ダイエット、疾病、美容、疲労・睡眠)。 STEP 2:広告全体を確認(コピー、商品名、画像、グラフ、体験談、注釈、購入導線を含め、何が起きると受け取られるかを確認)。 STEP 3:訴求軸を再設計(栄養補給、食生活、利用場面、続けやすさ、原材料・品質、美容・休息習慣、制度上の表示範囲へ軸を移す)。 図の下部には『食品として説明できる商品事実へ軸を移す』というコンセプトが記載されている。

健康食品やサプリメントの広告を作っていると、「痩せる」「脂肪燃焼」「糖尿病改善」「シワ改善」「疲労回復」といった、消費者の悩みに直結する言葉を使いたくなる場面があります。

しかし、一般的な健康食品は医薬品ではありません。疾病が治る、症状が改善する、身体の機能や状態が変化すると受け取られる表現は、薬機法上の医薬品的効能効果に該当する可能性があります。さらに、健康効果を著しく誇張すれば健康増進法、合理的な根拠を示せない効果表示は景品表示法の問題にもつながります。

ここで大事なのは、単語だけを削ればよいわけではないという点です。本文、見出し、画像、体験談、グラフ、注釈を組み合わせた結果、広告全体として何を約束しているように見えるかを確認しなければなりません。

この記事では、健康食品広告でリスクが高くなりやすい表現を、ダイエット、疾病、美容、疲労・睡眠の訴求別に整理します。単なるNGワード集ではなく、社内やクライアントへ説明するための判断軸と、食品として伝えられる価値へのリライト方法まで解説します。

この記事の要点(まとめ)
  • 健康食品は医薬品のような効果を標ぼうできない:疾病の治療・予防、症状の改善、身体機能の増強などを期待させる表現は、一般的な健康食品では医薬品的効能効果と判断される可能性があります。
  • NG表現は広告全体で判断する:「改善」を「サポート」に置き換えても、画像、グラフ、体験談、商品名などによって同じ効果を暗示していれば、リスクを十分に下げられない場合があります。
  • 削除ではなく訴求軸を再設計する:栄養補給、食生活、休息習慣、続けやすさ、味、形状など、食品として説明できる価値へ広告のストーリーを組み替えることが重要です。
目次

健康食品広告で使ってはいけない表現とは

健康食品広告で注意すべき6つの訴求ポイントを示す図解。健康食品を医薬品のように見せないための広告チェック項目として、以下の6つが挙げられている。
疾病の治療(病気が治る印象)
疾病の予防(病気を防ぐ印象)
症状の改善(疲労・便通・睡眠等の改善標ぼう)
身体機能の変化(免疫・代謝等の増強)
身体状態の変化(体形・脂肪・肌状態)
効果の保証(飲むだけ・必ず・短期間の効果を謳う)

図の上部には、広告全体が何を約束しているかを虫眼鏡で確認するイメージがあり、下部には『商品区分・根拠・画像・体験談を含む広告全体で判断し、特定の言葉だけで一律に判断しない』という注意書きが記載されている。

健康食品広告で問題になりやすいのは、食品を摂取することで疾病が治る、症状が改善する、身体機能が変化する、または一定の健康効果が確実に得られるように見せる表現です。

厚生労働省の通知では、疾病の治療・予防を目的とする効能効果や、身体の組織機能の一般的な増強・増進を主な目的とする効能効果が、医薬品的効能効果の例として示されています。「糖尿病に」「高血圧の人に」「がんがよくなる」「便秘が治る」などが代表例です。

健康食品は医薬品のような効能効果を言えない

一般的な健康食品は、医薬品のように疾病を治療・予防することを目的とした商品ではありません。

そのため、次のような表現は特に慎重な確認が必要です。

訴求の種類リスクが高い表現例主な確認事項
疾病の治療糖尿病を改善する、がんが治る医薬品的効能効果
疾病の予防がん予防、動脈硬化を防ぐ医薬品的効能効果
症状の改善疲労回復、便秘改善、不眠解消医薬品的効能効果
身体機能の変化免疫力を高める、代謝を上げる身体機能の増強・増進
身体状態の変化痩せる、脂肪を燃やす、シワ改善商品区分、根拠、全体印象
効果の保証飲むだけ、必ず、短期間で変わる景品表示法、健康増進法

ただし、表にある単語を機械的に禁止語として処理するだけでは不十分です。

たとえば、「血圧」という言葉を使った時点で直ちに問題になるとは限りません。機能性表示食品など、一定の制度に基づいて表示できる場合があります。一方で、一般的な健康食品に「血圧が気になる方へ」と書き、数値が下がるグラフや体験談を続ければ、血圧改善を期待させる広告になる可能性があります。

「改善」「予防」など、健康食品以外も含めた薬機法上のNG表現については「薬機法のNGワード一覧」「薬機法で「免疫力」は使える?」「 薬機法で「デトックス」「毒素排出」は使える?」でも整理しています。 

健康増進法では健康効果の虚偽誇大表示に注意する

健康増進法では、食品として販売される物について、健康保持増進効果等を著しく事実と異なる形で表示したり、著しく誤認させたりする広告が問題になります。

対象となるのは、商品パッケージやLPだけではありません。パンフレット、記事広告、SNS投稿、動画、販売員による説明なども含め、消費者の商品選択に影響する表示を広く確認する必要があります。消費者庁は、健康食品に関する景品表示法・健康増進法上の留意事項や関連ガイドラインを公表しています。

健康増進法の詳細については、「健康食品広告に関わる人のための健康増進法」「健康増進法で禁止される広告表現とは」もご覧ください。

景品表示法では根拠と表示の対応関係を確認する

効果・性能を具体的に表示する場合、「研究データがある」というだけで十分とは限りません。

景品表示法の不実証広告規制では、提出資料が客観的に実証された内容であることに加え、資料で実証された内容と広告表示が適切に対応していることが求められます。

たとえば、特定の条件下で一部の対象者に確認された結果を、すべての人が日常的に得られる効果のように表現すれば、研究自体が存在していても表示との対応が取れていない可能性があります。

原料の研究結果を、配合量や摂取条件が異なる最終商品へそのまま転用する場合も同様です。

景品表示法の詳細については、「景品表示法の広告実務ガイド」もご確認ください。

広告全体が何を約束しているかを見る

本文に「治る」「改善する」と書かれていなくても、次の要素を組み合わせることで、同じ効果を暗示することがあります。

  • 悩みを抱えた人物の写真
  • 数値が下がるグラフ
  • 使用前後を並べた写真
  • 「もう薬に頼らない」などの見出し
  • 医師や専門家を想起させる白衣の画像
  • 「個人の感想です」という小さな注釈
  • 疾病名や症状名を含む体験談

厚生労働省の監視指導上も、名称、成分、製法、起源などの説明を通じて医薬品的効能効果を暗示する場合があるとされています。直接的な断定を避けても、広告全体から医薬品的な効果が伝われば確認対象になります。

実務上は、「禁止語があるか」ではなく、「消費者がこの商品を摂取すると何が起きると理解するか」を確認することが基本です。

文言だけではなく画像、体験談、グラフ、CTAまで含めて判断する考え方は、「薬機法対応広告で重要な『広告全体の印象』とは?」でも詳しく解説しています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
健康食品広告のチェックで大切なのは、「この言葉があるからNG」「この言葉を削れば大丈夫」と判断しないことです。
実務では、広告を最初から最後まで見たときに、消費者が商品へどのような効果を期待するかを確認します。本文で「治る」と書いていなくても、体験談で数値改善を示し、画像で身体変化を見せ、最後に小さく「個人差があります」と入れれば、効果を約束する印象は残ります。
文言、画像、グラフ、体験談、注釈、購入導線を一つの広告として見ることが、健康食品広告の基本です。

ダイエット系で使ってはいけない表現|痩せる・脂肪燃焼

一般的な健康食品で「痩せる」「脂肪燃焼」と断定すると、食品の摂取によって体重や体脂肪が減少する印象を強く与えます。特に、摂取するだけで変化が起きるように見せる広告は、リスクが高くなります。

「痩せる」はなぜリスクが高いのか

「このサプリで痩せる」「1か月で5kg減」のような表現は、商品摂取と体重減少の因果関係を示します。

さらに、次の要素が加わると、効果を保証する印象が強くなります。

  • 飲むだけで
  • 運動や食事制限なし
  • 好きなものを食べても
  • 寝ている間に
  • 短期間で
  • 誰でも簡単に
  • リバウンドしない

ダイエット広告では、強いキャッチコピーだけでなく、摂取条件、食事管理、運動の有無、試験対象者の属性などが明確に示されているかも確認しなければなりません。

ダイエット系の商材に関しては、過去にも景品表示法で違反事例(措置命令)が多数でているため注意が必要です。

「脂肪燃焼サポート」なら使えるとは限らない

「脂肪燃焼」を「脂肪燃焼をサポート」に弱めればよい、と考えるケースがあります。

しかし、「サポート」は万能な回避表現ではありません。

「飲むだけで脂肪燃焼をサポート」「寝ている間の脂肪燃焼をサポート」と書けば、結局は商品による脂肪の燃焼や減少を期待させます。周辺の画像や説明によっては、「脂肪燃焼」と断定した場合と実質的な印象が変わらないことがあります。

体験談・ビフォーアフター画像も確認対象になる

「私は3か月で10kg痩せました」という体験談を掲載すれば、事業者自身の説明ではなくても、広告の一部として痩身効果を示していると受け取られます。

ビフォーアフター画像も同様です。撮影条件、姿勢、照明、衣服などが異なれば、実際以上の変化を印象づける可能性があります。

「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈を付けても、広告の主要な印象が大きな体重減少を約束していれば、それだけで十分に修正されたとは限りません。

ダイエット系表現のリライト方向

ダイエット食品のリライトでは、体重減少の約束から離れ、商品の事実や利用場面へ軸を移します。

リスクが高い訴求リライトの方向
飲むだけで痩せる食生活を見直したい方の栄養補給
脂肪を燃やす商品区分と根拠を確認し、安易に使用しない
食べても太らないカロリー、糖質、内容量など客観的な商品情報
1か月で5kg減体重減少の保証を避け、利用方法や継続性を説明
楽してダイエット置き換えやすさ、味、調理の手軽さ
リバウンド防止健康的な食生活を続けるための商品設計

機能性表示食品などで体脂肪やBMIに関する表示を行う場合は、実際の届出表示、対象者、摂取量、摂取期間、作用機序などとの整合確認が必要です。機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠等を届け出る制度であり、一般的な健康食品と同じ扱いにはできません。

「痩せる」「脂肪燃焼」「飲むだけ」といったダイエット訴求の判断基準は、「健康食品広告で『痩せる』『脂肪燃焼』は使える?」で詳しく解説しています。 

疾病系で使ってはいけない表現|糖尿病改善・血圧改善・がん予防

「糖尿病改善」「血圧改善」「がん予防」のような疾病系表現は、健康食品広告の中でも特にリスクが高い領域です。

厚生労働省は、疾病の治療・予防を目的とする効能効果の例として、糖尿病、高血圧、動脈硬化、がん、肝障害、腎障害などに関する表現を示しています。

疾病名と「改善」「治る」を組み合わせない

次のような表現は、一般的な健康食品では避けるべきです。

  • 糖尿病を改善する
  • 高血圧を治す
  • がんを予防する
  • 動脈硬化を防ぐ
  • 肝機能障害を改善する
  • 腎臓病に効く
  • 薬を減らせる
  • 通院が不要になる

疾病名を直接書かなくても、「正常値に戻す」「薬に頼らない生活へ」「病院で驚かれました」など、治療や数値改善を想起させる表現には注意が必要です。

「糖が気になる方へ」も文脈次第で判断が変わる

「糖尿病改善」を「糖が気になる方へ」に変えるだけでは、十分でないことがあります。

その直後に血糖値のグラフを掲載し、「食後の数値が大幅に変化」と説明すれば、糖尿病や血糖値改善を期待させる広告になる可能性があります。

一方、特定保健用食品や機能性表示食品など、制度に基づく表示が認められている商品では、許可表示・届出表示の範囲で表現できる場合があります。ただし、届出済みの成分を配合しているだけで、別商品の届出表示を使用できるわけではありません。商品ごとの表示内容を確認する必要があります。

機能性表示食品については、「機能性表示食品の広告ルール」で詳しく解説しています。血糖値・血圧・中性脂肪など、数値に関する訴求については、「健康食品広告で血糖値・血圧・中性脂肪は訴求できる?」もご確認ください。 

成分研究を紹介する場合も商品との結び付きに注意する

「この成分にはがん細胞を抑える研究があります」と紹介し、すぐ近くに商品画像や購入ボタンを置けば、成分解説の形式であっても、商品に同様の効果があると受け取られる可能性があります。

研究紹介と商品広告を形式的に分けても、同じサイト内の導線、運営主体、商品名、購入リンクなどから一体の広告と判断されることがあります。広告の実質的な結び付きを確認することが必要です。

原料研究や論文を最終商品の効果の根拠として見せる際の注意点は、「健康食品広告で論文・研究データは使える?」で詳しく解説しています。 

疾病系表現のリライト方向

疾病改善を訴求の中心に置いたまま言葉だけを弱めるのではなく、食品として説明できる価値へ土台から変更します。

  • 毎日の栄養補給
  • バランスのよい食生活を意識する方へ
  • 健康的な生活習慣を心掛ける方へ
  • 不足しがちな栄養素を補う
  • 原材料、含有量、製法などの商品事実
  • 摂取方法や続けやすさ
  • 味、形状、携帯性

疾病を主役にした広告は、部分修正を重ねてもストーリー全体に疾病改善の印象が残りやすくなります。疾病系では、ファーストビューから構成を見直す判断が必要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
「糖尿病改善」「血圧改善」「がん予防」のような疾病系表現は、言葉を少し弱めればよいというものではありません。
「糖が気になる方をサポート」「血圧が気になる方へ」という表現でも、周辺に数値グラフ、医師を想起させる画像、疾病改善の体験談があれば、結局は同じ効果を期待させる可能性があります。
疾病系の原稿では、まず疾病改善を広告の中心から外すことが必要です。食生活、栄養補給、日々の健康管理など、食品として説明できる価値へ訴求の土台から組み替えます。

美容系で使ってはいけない表現|シワ改善・美白

美容サプリも法律上は食品です。摂取することでシワ、シミ、肌色などが具体的に変化するように見せる表現には注意が必要です。

「シワ改善」は健康食品ではリスクが高い

「飲むだけでシワ改善」「内側からシワを消す」といった表現は、食品によって肌状態が改善することを示します。

「シワ改善」は医薬部外品では承認された効能として使用できる場合がありますが、そのことは美容サプリで同じ表現を使える理由にはなりません。化粧品、医薬部外品、健康食品では、認められる表示の範囲が異なります。

「美白」は商品区分と意味を確認する

美容広告で使われる「美白」は、一般的に幅広い意味で受け取られがちです。

健康食品で次のように表現すれば、肌の色素やシミに作用する印象が強くなります。

  • 飲む美白
  • 内側から白い肌へ
  • シミを消す
  • メラニンを排出する
  • 肌の色を明るくする
  • 日焼けをなかったことにする

化粧品や医薬部外品で見かける表現を、美容サプリへそのまま流用しないことが大切です。

美容サプリで使いやすい表現設計の方向性

美容系では、肌の具体的変化から、美容を意識する生活者の習慣や栄養補給へ軸を移します。

リスクが高い訴求リライトの方向
シワを改善する年齢に応じた美容習慣
シミを消す美容を意識する方の栄養補給
肌が若返る年齢を重ねても前向きに過ごしたい方へ
内側から美白毎日の美容習慣に取り入れやすい
飲めば肌が潤う配合成分、味、形状、続けやすさを説明

「美容をサポート」という表現も、常に使えるわけではありません。周辺にシワ、シミ、美白、若返りなどの説明や画像があれば、具体的な肌変化を暗示する可能性があります。

疲労・睡眠系で使ってはいけない表現|疲労回復・睡眠改善

「疲労回復」「不眠改善」「ぐっすり眠れる」などは、症状の改善や身体機能への作用を示す表現になりやすいため、一般的な健康食品では慎重な確認が必要です。

「疲労回復」は症状改善を示しやすい

次のような表現は、商品摂取によって疲労という症状が改善・回復する印象を与えます。

  • 疲労回復
  • 慢性疲労を解消
  • 疲れが取れる
  • だるさがなくなる
  • 翌朝の疲れを残さない
  • 体力が回復する

厚生労働省が公表する健康食品の表示事例でも、「疲れにくくなった」「血圧が下がった」「肝炎がよくなった」などの体験談によって治療効果等を暗示する例が示されています。

「疲労回復」「疲れが取れる」「元気」「活力」などの具体的な判断については、「健康食品広告で『疲労回復』は使える?」で詳しく解説しています。 

「睡眠改善」も商品区分を確認する

一般的なサプリメントで「不眠を改善する」「睡眠障害を治す」と表現することは、疾病・症状の改善を標ぼうする方向になります。

一方、機能性表示食品では、届出内容に基づき、睡眠の質、起床時の疲労感、眠りの深さなどに関する機能を表示できる商品があります。ただし、届出表示を超えて「不眠症が治る」「睡眠薬が不要になる」などと拡張できるわけではありません。

広告制作では、次の順序で確認します。

  1. 一般食品か、保健機能食品か
  2. 届出・許可された表示は何か
  3. 広告表現が届出・許可表示を超えていないか
  4. 対象者や摂取条件を省略していないか
  5. 医薬品による治療の代替と受け取られないか

睡眠改善だけでなく、休息・眠り・リラックスまで含めた表現範囲は、「健康食品広告で睡眠改善は訴求できる?」で整理しています。 

疲労・睡眠系のリライト方向

一般的な健康食品では、症状改善ではなく、休息を意識する生活や商品の使用場面へ軸を移します。

  • 忙しい毎日の栄養補給に
  • 一日の終わりの習慣に
  • 夜のリラックスタイムに
  • 休息を大切にしたい方へ
  • 水なしでも摂取しやすい
  • 持ち運びやすい個包装
  • 毎日続けやすい味や形状

ただし、「夜のリラックスタイムに」という表現の直後に「不眠を解消」「朝まで一度も起きない」と続ければ、睡眠改善の暗示が残ります。リライトは広告全体で行う必要があります。

体験談・口コミなら効果表現を使えるのか

事業者の広告に掲載する体験談や口コミは、第三者の言葉であっても、広告の構成要素として確認されます。

「お客様が実際に言ったことだから掲載できる」「個人の感想と書けば問題ない」という考え方は避けるべきです。

LPへ転載した口コミは広告の一部になる

販売者が編集できない外部レビュー欄に、消費者が自発的に投稿した内容と、事業者が選定してLPや記事広告へ掲載した内容とでは、実務上の位置付けが異なります。

自社LPへ転載すれば、事業者がその口コミを選び、広告に利用したことになります。「10kg痩せた」「血圧が下がった」「不眠が治った」といった内容を掲載すれば、商品効果を示す表示として確認が必要です。

広告実務上も、外部レビューを自社LPへ引用した場合は広告の一部として扱い、効果を保証する体験談を避けるという整理が重要です。

使用感と効能効果を分ける

健康食品の体験談では、次のような商品の使用感・利用体験は比較的設計しやすい内容です。

  • 小粒で飲みやすい
  • 味が好みだった
  • 個包装で持ち運びやすい
  • 毎日の習慣に取り入れやすい
  • 水に溶かしやすい
  • パッケージが開けやすい

一方、「筋肉が付いた」「免疫力が上がった」「数値が改善した」などは、効能効果を示す体験談になります。

健康食品広告に掲載する口コミ・体験談の具体的な扱いについては、「健康食品広告で口コミ・体験談は使える?」で詳しく解説しています。 

PR表記だけでは効能効果の問題は解消しない

商品提供、報酬、投稿内容への指示などによって事業者が表示内容の決定に関与した場合は、ステルスマーケティング規制の確認も必要です。消費者庁は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示を規制対象としています。

ただし、「PR」と明示すれば、薬機法・健康増進法・景品表示法上の効果表示まで自由になるわけではありません。

体験談を使用するときは、少なくとも次の論点を分けて確認します。

  • 効果効能の表現として問題がないか
  • 内容に合理的な根拠があるか
  • 典型的な結果のように誤認させないか
  • 事業者の関与が明瞭に示されているか
  • 投稿者の許諾や著作権処理ができているか

ステルスマーケティング告示については、「ステルスマーケティング規制」もご覧ください。

健康食品広告のNG表現をどう言い換えるか

『食品として伝えられる7つの価値』というタイトルの図解。左側には、『効果中心の訴求(悩む人物、数値が上がるグラフ、体験談、今すぐチェックボタン)』という広告構成が示されており、そこから矢印で『訴求軸を再設計』して右側の7つの価値へ移行する流れが描かれている。

7つの価値は以下の通り:
栄養補給(栄養素・含有量、不足を補う視点)
食生活・生活習慣(食生活への意識、毎日の健康管理)
利用場面(朝食・仕事・運動後、生活シーンの具体化)
続けやすさ(味・形状・個包装、摂取方法・携帯性)
原材料・製造管理(産地・含有量・製法、確認可能な商品事実)
美容・休息の習慣(生活者の意識に焦点、身体変化を約束しない)
制度上の表示範囲(基準・届出・許可表示、商品ごとの範囲を確認)
図の下部には『ファーストビューからCTAまで、同じ訴求軸で再設計』というコンセプトが記載されている。

健康食品広告のリライトでは、NG表現を別の単語へ置き換えるのではなく、商品が消費者に約束する価値そのものを組み替える必要があります。

言い換えの考え方については薬機法ライティング®が活用できるので、「薬機法ライティングとは」もぜひご確認ください。

NG表現を単語だけで置き換えない

次のような置き換えは、表面上の言葉が変わっても、広告の印象がほとんど変わらない可能性があります。

修正前不十分になりやすい修正
糖尿病を改善する糖の悩みをサポート
血圧を下げる血圧が気になる方を応援
痩せるスリムをサポート
シワを改善する若々しさをサポート
不眠を改善するぐっすりをサポート
疲労回復元気をチャージ

「サポート」「応援」「ケア」といった言葉を加えても、その対象が疾病、症状、身体変化であれば、同じ効果を暗示することがあります。

訴求軸を食品として説明できる価値へ移す

リライトで使いやすい軸は、主に次の7つです。

  1. 栄養補給
    不足しがちな栄養素や、含有量などの事実を説明する。
  2. 食生活・生活習慣
    バランスのよい食生活を心掛ける方など、生活者の姿勢に焦点を当てる。
  3. 利用場面
    朝食時、仕事中、運動後、夜の時間など、具体的な使用シーンを示す。
  4. 続けやすさ
    味、形状、個包装、摂取方法、携帯性などを説明する。
  5. 原材料・製造管理
    産地、含有量、製法、品質管理など、確認可能な商品事実を伝える。
  6. 美容・休息を意識する習慣
    身体変化ではなく、生活者が大切にしている習慣へ焦点を当てる。
  7. 保健機能食品として認められた表示
    栄養機能食品の基準、機能性表示食品の届出、特定保健用食品の許可表示を確認し、その範囲で設計する。

カテゴリ別のリライト方向

カテゴリ避けたい中心訴求再設計の方向
ダイエット摂取による体重減少食事管理、置き換えやすさ、栄養設計
疾病治療、予防、数値改善栄養補給、健康管理を意識する生活
美容シワ、シミ、肌色の変化美容習慣、年齢に応じた生活、続けやすさ
疲労疲労の回復・解消忙しい方の栄養補給、休息を意識する習慣
睡眠不眠・睡眠障害の改善夜の利用場面、リラックスタイム
免疫免疫機能の増強栄養素の事実、バランスのよい食生活

ファーストビューからCTAまで一体で見直す

健康食品広告の印象は、本文だけで決まりません。

ファーストビューで「飲むだけで別人級」と伝え、本文だけを無難な栄養補給表現に変えても、広告全体の約束は変わっていない可能性があります。

リライト時は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 商品区分と表示できる範囲を確定する
  2. 最も伝えたい価値を一つに絞る
  3. ファーストビューの約束を見直す
  4. 見出し、本文、画像、グラフを同じ方向にそろえる
  5. 体験談を使用感中心に見直す
  6. CTAに効果保証が残っていないか確認する
  7. 注釈で無理に補正しようとしていないか確認する

健康食品広告のリライトは、NGワードを消す作業ではなく、法令対応と適正な情報伝達を両立させる広告設計です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
NG表現を削るだけでは、何を伝えたいのか分からない広告になってしまいます。
大切なのは、商品が本来持っている価値を、法令に配慮した形で組み直すことです。ダイエット食品なら、体重減少ではなく置き換えやすさや栄養設計へ。美容サプリなら、肌が変化する約束ではなく、美容を意識する方の生活習慣へ。睡眠系なら、不眠改善ではなく、夜の利用場面や続けやすさへ移します。
40,000件以上の広告表現支援でも、部分的な言葉の修正より、企画やファーストビューの段階で表示できる価値を整理した方が、制作の手戻りを抑えやすいと感じます。

健康食品広告を公開する前の実務チェック

公開前には、薬機法、健康増進法、景品表示法を別々に確認したうえで、最後に広告全体を通して見ることが必要です。

健康食品広告NG表現チェックリスト

  • 疾病名と「治る」「改善」「予防」を組み合わせていないか
  • 症状がなくなる、軽くなると説明していないか
  • 身体機能を高める、強くする、正常化すると示していないか
  • 「痩せる」「脂肪燃焼」を断定していないか
  • 「シワ改善」「美白」「若返り」などを食品で標ぼうしていないか
  • 「疲労回復」「不眠改善」を一般食品で標ぼうしていないか
  • 「サポート」に変えただけで同じ効果を暗示していないか
  • 体験談で体重・数値・症状の変化を保証していないか
  • ビフォーアフター画像で過度な変化を印象づけていないか
  • グラフの対象者、人数、条件、期間が明確か
  • 原料データを最終商品の効果として見せていないか
  • 「個人の感想です」などの注釈に頼りすぎていないか
  • PR投稿であることが明瞭に分かるか
  • 機能性表示食品では届出表示と広告表現が一致しているか
  • LP、SNS、記事広告、動画、ECページで表現が食い違っていないか
  • 社内で根拠資料と最終クリエイティブをひも付けて保存しているか

よくあるご相談(FAQ)

健康食品広告で絶対に使ってはいけない単語はありますか?

単語だけで一律に判断することはできません。ただし、「治る」「予防する」「改善する」「効く」などを疾病名や症状名と組み合わせると、医薬品的効能効果に該当する可能性が高くなります。

反対に、「サポート」「ケア」と書けば常に問題がないわけでもありません。画像、体験談、グラフなどを含め、広告全体として何を期待させるかを確認してください。

 健康食品広告で「痩せる」と表現できますか?

一般的な健康食品で、摂取によって痩せると断定する表現はリスクが高いと考えられます。特に「飲むだけ」「食事制限なし」「短期間で〇kg減」などを組み合わせると、効果保証の印象が強くなります。

機能性表示食品など、制度に基づく表示がある場合は、届出表示、対象者、摂取条件、根拠資料との整合を確認する必要があります。

「脂肪燃焼をサポート」なら問題ありませんか?

「サポート」と付けるだけで問題が解消するとは限りません。一般的な健康食品で、摂取による脂肪燃焼を具体的に期待させれば、身体機能や身体状態の変化を示す表現になる可能性があります。

商品区分、根拠資料、周辺の画像、説明文を含めて判断してください。

「糖尿病改善」「血圧改善」「がん予防」は使えますか?

一般的な健康食品では、疾病の治療・予防を標ぼうする表現として、特に慎重な対応が必要です。

「数値が正常になった」「薬が不要になった」など、疾病名を直接書かずに改善を暗示する表現にも注意してください。機能性表示食品などでは、認められた範囲が異なるため、商品ごとの届出表示を確認します。

美容サプリで「シワ改善」「美白」は使えますか?

美容サプリは食品であるため、摂取によってシワやシミ、肌色が具体的に変化すると示す表現はリスクが高くなります。

医薬部外品で認められる「シワ改善」や美白に関する効能を、健康食品へそのまま流用することはできません。美容習慣や栄養補給、商品の続けやすさへ訴求を再設計します。

「疲労回復」「睡眠改善」はサプリ広告で使えますか?

一般的な健康食品で「疲労回復」「不眠改善」と表現すると、症状の改善や身体機能への作用を示す可能性があります。

機能性表示食品では睡眠や一時的な疲労感に関する届出表示を行っている商品もありますが、実際の届出内容を超えて疾病治療のように表現することは避けなければなりません。

 体験談なら「痩せた」「血圧が下がった」と書けますか?

自社LP、記事広告、SNS広告などへ掲載した体験談は、広告の一部として確認されます。実際のお客様の言葉であっても、商品効果を保証する内容を自由に使用できるわけではありません。

体験談では、味、飲みやすさ、携帯性などの使用感を中心に設計します。PR表記や「個人の感想です」という注釈だけで、効能効果の問題が解消するわけではありません。

NG表現はどのように言い換えればよいですか?

単語を弱めるのではなく、訴求軸を変更します。

疾病改善から栄養補給へ、体重減少から食生活や置き換えやすさへ、肌変化から美容習慣へ、睡眠改善から夜の利用場面へ移す方法が考えられます。最終的には、ファーストビュー、画像、本文、体験談、CTAを一体で見直してください。

まとめ

健康食品広告で使ってはいけない表現を判断するときは、NGワードを探すだけでは不十分です。

一般的な健康食品では、疾病の治療・予防、症状改善、身体機能の増強、具体的な身体変化を約束する表現に注意する必要があります。また、表示した効果に合理的な根拠があるか、根拠と広告内容が適切に対応しているかも確認しなければなりません。

実務では、次の3点を持ち帰ってください。

  1. 商品区分によって表示できる範囲を確認する
  2. 文言だけでなく、画像や体験談を含む広告全体の印象を見る
  3. NG表現を削るのではなく、食品として伝えられる価値へ訴求を再設計する

健康食品に関わる薬機法・健康増進法などの広告ルールや、制作時に確認すべきポイントを体系的に整理したい方は、 「健康食品・機能性表示食品広告のルールガイド」もあわせてご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」

広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。

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「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

健康食品広告のNG表現とリライト:3つのステップによる広告制作のフロー図。 STEP 1:注意訴求を整理(ダイエット、疾病、美容、疲労・睡眠)。 STEP 2:広告全体を確認(コピー、商品名、画像、グラフ、体験談、注釈、購入導線を含め、何が起きると受け取られるかを確認)。 STEP 3:訴求軸を再設計(栄養補給、食生活、利用場面、続けやすさ、原材料・品質、美容・休息習慣、制度上の表示範囲へ軸を移す)。 図の下部には『食品として説明できる商品事実へ軸を移す』というコンセプトが記載されている。

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