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医療機器該当性で迷ったら|薬機法上の定義・販売規制・広告表現チェックの実務ガイド

医療機器該当性判断ガイド:薬機法の定義・販売規制・広告表現チェックを解説する実務資料のイメージ

「この美容機器は、医療機器なのでしょうか?」
「健康機器として販売する予定ですが、『血流を改善』『痛みをケア』と書いても問題ないでしょうか?」
「医療機器ではありません、と注釈を入れれば大丈夫ですか?」

美容機器、健康機器、測定機器、リラクゼーション機器、アプリ、AIサービスなどを扱う現場では、このような疑問がよく出てきます。

薬機法上、医療機器とは、人や動物の疾病の診断・治療・予防に使用されること、または身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具等のうち、政令で定められるものです。

ただし、実務では製品名や外観だけを見て、「これは医療機器」「これは雑品」と判断することはできません。製品の使用目的、構造・作用、一般的名称・JMDN(医療機器の「一般的名称」を分類し、8桁の数字で表したコード )との関係に加えて、どのような効果を標ぼうしているのか、広告や販売ページで何を約束しているように見えるのかを確認する必要があります。

また、「承認・認証を取っていないから非医療機器」という考え方も適切ではありません。製品が薬機法上の医療機器に該当するのであれば、必要な承認・認証等を受けていないこと自体が別の問題につながる可能性があります。

この記事では、薬機法上の医療機器の定義から、該当性判断の実務ポイント、非医療機器との違い、JMDNの確認方法、販売・承認制度、アプリ・AIサービスの扱いまで、広告・販促・制作担当者が実務で確認しやすい形で整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • 医療機器該当性は、商品名や外観だけでは判断できない:製品の使用目的、構造・作用、標ぼうする効能効果、一般的名称・JMDNとの関係などを確認します。広告やLPが、製品について診断・治療・予防や身体機能への影響を約束しているように見えないかも重要な確認ポイントです。
  • 「承認されていない=非医療機器」ではない:非医療機器とは、薬機法上の医療機器に該当しない機器等を意味します。医療機器に該当する製品について必要な承認・認証を受けていない場合は、未承認・未認証医療機器として販売や広告上の問題が生じる可能性があります。
  • 該当性判断と広告表現チェックはセットで考える:医療機器に該当する場合は承認・認証等の範囲との整合性を確認し、非医療機器として扱う場合は医療機器的な効能効果を標ぼうしていないかを確認します。単なるNGワードチェックではなく、広告全体が消費者に何を約束しているように見えるかが実務上の判断軸です。
目次

医療機器に該当するかを判断する前に押さえるべきこと

医療機器該当性判断のチェックポイント:製品名や外観だけでなく、使用目的・構造・作用・標ぼう効能・JMDN・広告表示など、多角的な視点から検討が必要であることを示す概念図

医療機器に該当するかどうかは、製品名や形状だけを見て判断するものではありません。まず製品の使用目的、構造・作用、標ぼうする効能効果、一般的名称・JMDNとの関係などを整理し、広告や販売ページでどのように見せているかも含めて確認することが実務上の出発点です。

「見た目は普通の美容家電だから、医療機器ではありません」
「医療機関ではなく一般消費者向けなので、医療機器ではないと思います」

このような説明だけでは、医療機器の該当性を十分に判断できません。

薬機法は、医療機器を、疾病の診断・治療・予防に使用されること、または身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具等のうち、政令で定められるものと定義しています。

つまり、確認するのは「医療機器のような製品名や形状」ではありません。

その製品は、何のために使うのか。どのような作用・機能を持つのか。何を目的とし、どのような構造・原理で機能するのかを確認します。 

製品名や形状だけでは判断できない

たとえば、「美容機器」「ウェルネス機器」「リラクゼーションデバイス」という商品名を付けたとしても、それだけで非医療機器になるわけではありません。

反対に、病院で使われているような外観を持つ製品だからといって、名称や外観だけで医療機器になるとも限りません。

最初に整理したいのは、次のような情報です。

確認項目実務で確認する内容
製品概要何をする製品なのか
使用目的誰が、何のために使うのか
構造・原理電気、光、熱、圧力、振動、測定、解析等をどう利用するか
出力結果数値、判定、画像、推奨、警告等を出すか
標ぼう内容診断、治療、予防、身体機能への影響をうたっていないか
対象者一般消費者、患者、医療従事者等の誰を想定しているか
JMDN類似する一般的名称が存在するか
広告LP、EC、SNS、動画等で何を約束しているように見えるか

この時点では、チェック項目に一つ当てはまったからといって、直ちに「医療機器である」「違法である」と判断するものではありません。

まずは、どの点について詳しい確認が必要かを整理するためにこうしたチェック項目を活用してください。 

使用目的・作用・広告表示を確認する

たとえば、同じようなセンサーを搭載していても、

  • 日常生活の参考として一般的な活動量を表示する
  • 疾病の診断を補助するために測定・解析する

では、目的が異なります。

また、製品自体の仕様書では一般的な健康管理用とされていても、広告で、

「病気の兆候を早期発見」
「痛みの原因を診断」
「血流を正常化」

などと大きく表示すれば、製品の見え方は変わります。

ここで注意したいのは、「診断」「治療」「改善」「予防」「測定」という単語を一律のNGワードとして扱わないことです。

何を診断するのか。
何を改善するのか。
何を測定するのか。
どのような目的・機能の製品が、どのような文脈で表示しているのか。

この順番で確認します。

医療機器に該当した場合に変わること

医療機器に該当する可能性がある場合、広告コピーだけ直して終わりではありません。

製品に応じて、

  • 一般的名称・JMDN
  • クラス分類
  • 届出・認証・承認
  • 製造販売に関する手続き
  • 販売業・貸与業
  • 営業所管理者
  • 添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)等
  • 広告規制

などの確認が必要になります。

PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 )は、一般医療機器をクラスⅠ、管理医療機器をクラスⅡ、高度管理医療機器をクラスⅢ・Ⅳとして整理し、患者へのリスクの高さに応じて製造販売手続きが異なると説明しています。

したがって、「LPだけ先に作って、薬事は最後に確認する」という進め方では、制作のやり直しにつながることがあります。

まず製品の位置づけを確認する。
次に言える範囲を整理する。
その上で広告を設計する。

この順番のほうが、実務では手戻りなく進めやすくなります。

一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の違いや、承認・認証・届出との関係は、「医療機器の薬機法分類ガイド」で詳しく解説しています。 

医療機器該当性の初期チェック

次の項目は、医療機器該当性を確定するための判定表ではありません。制作前に「個別確認が必要な可能性があるか」を見つけるための初期チェックです。

  • 製品は機械器具、装着機器、測定機器、プログラム等に当たるか
  • 疾病の診断・治療・予防を目的としていないか
  • 身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的としていないか
  • 症状、疾患、身体機能に対する具体的な効果を標ぼうしていないか
  • 測定結果を疾病の診断や治療判断に利用する設計になっていないか
  • 医療機器を制御するプログラムではないか
  • 類似する一般的名称・JMDNが存在しないか
  • LP、EC、SNS、レビュー、動画を含めると医療的な効果を約束しているように見えないか
  • 海外で医療機器として販売されている製品ではないか
  • 承認・認証等が必要となる可能性について確認済みか

一つでも迷う項目がある場合は、広告制作だけで解決しようとせず、製品資料と表示内容をあらかじめセットで確認することが重要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医療機器該当性の相談では、「この製品の構造なら医療機器ではないですよね?」と聞かれることがあります。
でも、実務では製品仕様だけを見て終わりにはできません。
使用目的、対象者、作用、出力結果などを確認した上で、LPや営業資料で何をうたっているのかを見る必要があります。非医療機器として販売するつもりでも、広告全体から「治療できる」「診断できる」「身体機能を改善できる」と受け取られるのであれば、別途確認が必要です。
ここで大事なのは、該当性判断と広告表現チェックを別々の作業にしないことです。製品の位置づけを整理して、その結果を広告へ落とし込む。この順番で考えると、制作途中で大きく作り直すリスクも減らしやすくなります。

薬機法上の医療機器の定義

薬機法上の医療機器とは、人や動物の疾病の診断・治療・予防に使用されること、または人や動物の身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具等のうち、政令で定められるものです。

この定義は短いですが、実務上は非常に大切です。なぜなら、医療機器の定義は「病気を治す機械」だけではないからです。

「疾病の診断・治療・予防」と「身体の構造・機能への影響」の両方が含まれます。

医療機器の法的定義

薬機法第2条第4項では、医療機器を次の要素によって定義しています。

定義の要素広告・制作実務で確認すること
疾病の診断測定・解析・判定結果を病気の診断に使用する目的になっていないか
疾病の治療病気や症状を治す、除去する、治療する等の目的を標ぼうしていないか
疾病の予防発症や再発を防止する目的を標ぼうしていないか
身体の構造への影響身体組織や形態等への具体的な作用を目的としていないか
身体の機能への影響血流、神経、筋肉その他の身体機能への具体的作用を目的としていないか
政令で定めるもの医療機器として定められた類別、一般的名称等との関係を確認する

ここで大事なのは、「病名を書いていないから問題ない」とは限らないことです。

たとえば、疾病名がなくても、身体の機能への具体的な影響を強く標ぼうしている場合は、別の確認が必要になります。

反対に、「改善」という単語があるだけで、自動的に医療機器になるわけでもありません。

何を、どのような製品が、どのような目的で改善すると伝えているのか。個別の文脈を確認します。

医療機器の診断・治療・予防を示す表現とは

医療機器の広告で診断・治療・予防を直接示す表現として分かりやすいのは、たとえば、次のような表示です。

「○○病を診断する」
「腰痛を治療する」
「病気の発症を予防する」

これらは、医療機器としての目的や効果を示す可能性が高い表現です。「診断を補助する」を「診断する」、「痛みを緩和する」を「腰痛を治療する」と表現するなど、認められた範囲を広げていないかを確認しながら表現する必要があります。 

一方、実際の広告では、診断・治療・予防という言葉を使わず、間接的に同様の目的を印象付ける表現もあります。

たとえば、次のような表現です。

「病気のサインを見逃さない」
「不調の原因を見える化する」
「将来の疾患リスクを判定する」
「症状の根本原因にアプローチする」

これらの表現は、文言だけを取り出して一律に判断するものではありません。

製品がどのような機能を持ち、どのような結果を表示するのか、誰が何の目的で使用するのかを確認したうえで、画像、動画、説明文、商品名、販売ページ全体から受ける印象を含めて総合的に検討する必要があります。

広告表現の確認法は「薬機法対応広告で重要な『広告全体の印象』とは?」で解説しています。

身体の構造・機能に影響を及ぼす表示に注意する

医療機器の定義で見落とされやすいのが、「疾病の診断・治療・予防」以外に、身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とするものも含まれている点です。

たとえば、

「血流を改善する」
「神経機能を正常化する」
「脂肪を分解する」
「筋肉機能を回復させる」

といった表現は、対象製品や文脈によっては身体機能等への具体的な作用を示すため、慎重な確認が必要です。

もちろん、これらの言葉を見つけた瞬間に「医療機器該当」「薬機法違反」と決めるわけではありません。

確認すべきなのは、その製品が、実際に何をするものとして設計され、何を目的として使用され、広告全体で何を約束しているのかです。

医療機器該当性の判断ポイント

医療機器該当性判断の概念図:製品名や外観だけではなく、使用目的・構造・作用・広告表示など、多角的な視点から総合的に検討が必要であることを示す図

医療機器に該当するかどうかが明らかでない製品については、製品の形状だけで判断するのではなく、使用目的、構造・原理、作用、標ぼう内容、対象者などを整理する必要があります。類似する医療機器の一般的名称やJMDNコードが存在するかどうかも、確認材料の一つになります。

広告実務では、製品本体の仕様だけでなく、LP、ECサイト、SNS、レビュー、動画、営業資料などを含め、製品が何をするものとして提示されているかを確認することが重要です。

ただし、特定の項目に該当するだけで、直ちに医療機器に該当すると判断するものではありません。製品の目的、構造・原理、表示内容などを踏まえ、総合的に検討します。

では、実際にどのような点を確認すればよいのでしょうか。項目ごとに見ていきます。

使用目的を確認する

最初に確認したいのは、「この製品は誰が何のために使うものか」です。

たとえば、

  • 一般消費者が一般的な生活記録を残す
  • 一般消費者が運動を楽しむ
  • 一般消費者がリラクゼーションの時間に使用する
  • 医療従事者が疾病を診断する
  • 医療従事者が痛みを治療する
  • 医療従事者が治療方針を決めるために検査結果を解析する

では、対象と目的が異なります。

特に、仕様書、取扱説明書、Webサイト、営業資料で説明が食い違っている場合は注意したいところです。

仕様書では「健康管理用」とされているのに、LPでは「病気を早期発見」と訴求している。

一般向けページでは「セルフケア」としながら、営業資料では「疾患の判定が可能」と説明している。

このようなケースでは、誰にどんな目的で行う情報提供なのかを、資料全体を通して確認する必要があります。

作用や仕組みを確認する

次に、製品がどのような仕組みで機能するかを整理します。

たとえば、

  • 電気刺激
  • 超音波
  • 圧力
  • 磁気
  • 振動
  • センサー測定
  • 画像解析
  • AI・アルゴリズムによる判定

などです。

ただし、「電気を使うから医療機器」「AIを使うから非医療機器」という話ではありません。

何のための作用なのか。
何をどんな情報を使って測定・解析するのか。
結果をどう利用するのか。
身体や疾病との関係はどうか。

この点を確認します。

広告表示・LP・レビューを確認する

広告実務では、製品仕様書だけを見るのでは不十分です。

少なくとも、

  • 商品名
  • メインコピー
  • LP本文
  • 図解
  • 使用前後の画像
  • 動画
  • ナレーション
  • 体験談
  • レビュー
  • 比較表
  • FAQ
  • SNS投稿
  • 営業資料
  • 展示会パネル

などまで、確認したいところです。

たとえば、商品説明には「リラクゼーション用」としか書かれていなくても、レビュー欄に、

「長年の腰痛が治りました」
「薬が必要なくなりました」

といったコメントが強く掲載されていれば、広告全体の印象は変わります。

厚生労働省は、薬機法第66条について、医療機器等の名称、製造方法、効能、効果または性能に関し、明示・暗示を問わず虚偽・誇大な広告等を禁止しています。

そのため、本文の単語だけでなく、画像やレビューを含めて何を伝えているかを見る必要があります。

JMDN・一般的名称を確認する

医療機器該当性を調べる際に重要な一次情報の一つが、PMDAの医療機器基準データベースです。

このデータベースでは、一般的名称・JMDN、定義、コード、クラス分類のほか、特定保守管理医療機器や設置管理医療機器への該当性なども検索できます。

ただし、ここで気をつけたいことがあります。

似た一般的名称を見つけたからといって、自社製品が自動的にその医療機器に該当するとは限りません。逆も同じです。

検索で同じ商品名が出てこないから、非医療機器だと決めることも適切ではありません。

JMDNは重要な確認材料ですが、個別製品の構造、目的、原理、仕様などを照合して確認する必要があります。

JMDNコードや一般的名称をどの資料から確認すればよいかは、「医療機器広告でJMDN・一般的名称をどう確認する?」で詳しく解説しています。 

医療機器該当性判断チェックリスト

確認項目見るべきポイント
製品仕様機械器具、装着機器、測定機器、プログラム等に該当するか
使用目的診断・治療・予防・身体の構造や機能への影響を目的としていないか
構造・作用電気、光、熱、圧力、磁気、測定、解析等をどのように利用するか
出力数値、画像、診断補助、リスク判定、治療提案等を出すか
標ぼう医療的な効果・性能をうたっていないか
対象者患者、特定の症状がある人、医療従事者、一般消費者の誰か
使用場面家庭、医療機関、サロン、スポーツ施設等のどこか
JMDN類似する一般的名称・定義が存在するか
製品情報承認・認証・届出や添付文書等を確認したか
広告全体コピー、画像、レビュー、動画を含めて何を約束しているように見えるか

専門家・行政確認を検討したいケース

特に次のような場合は、自社判断だけで広告制作を進めないほうがよいでしょう。

  • 新しい技術で類似製品が少ない
  • AI、アプリ、アルゴリズムを使用する
  • 疾病や症状に関連する測定・解析を行う
  • 医用画像や検査値を扱う
  • 医療機器を制御する
  • 海外では医療機器として販売されている
  • JMDNの候補が複数ある
  • 非医療機器として販売したいが、訴求したい効果が医療的である
  • クラウドファンディングや展示会を先行させる予定がある
  • すでにLPや営業資料に強い診断・治療・予防表現がある

「製品を完成させてから確認する」のではなく、可能であれば企画や広告制作の初期段階で確認する方が、後から大きく作り直すリスクを抑えやすくなります。

非医療機器とは|医療機器との違い

非医療機器とは、薬機法上の医療機器に該当しない機器等を指す実務上の表現です。「承認・認証・届出を受けていない製品=非医療機器」ではありません。医療機器に該当する製品が必要な承認・認証を受けていない場合は、未承認・未認証医療機器として別の問題が生じる可能性があります。

ここは、非常に重要です。

たとえば、

「この商品は医療機器の承認を取っていません。だから雑品です」

という説明だけでは判断できません。

まず確認すべきなのは、その製品自体が薬機法上の医療機器の定義や関連する指定に該当するのかという点です。

美容機器や家庭用医療機器について、商品区分ごとに広告できる範囲を確認したい方は、「美容機器・家庭用医療機器の広告ルール」もご確認ください。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
非医療機器の広告では、「医療機器ではないと書けば大丈夫ですか?」という相談があります。
しかし、消費者は注釈だけを見ているわけではありません。キャッチコピー、画像、レビュー、動画、比較表など、広告全体から商品の価値を判断します。
だからこそ、危ない言葉を削るだけでは十分ではありません。
「痛みを治す」が言えないから、「痛みにアプローチ」に置き換える。こうした単純な言葉の交換だけでは、元の広告ストーリーが医療的なまま残ることがあります。
では、何を伝えるのか。
使用シーン、使いやすさ、デザイン、携帯性、継続しやすさなど、商品の実態に合った別の価値を探す。非医療機器では、この訴求軸の再設計が大切です。

非医療機器でも薬機法リスクが生じる場合

たとえば、一般的な美容機器や健康機器として販売する予定の商品について、

「神経を修復」
「腰痛を治療」
「病気の発症を予防」
「疾患を診断」

などと表示した場合はどうでしょうか。

非医療機器として販売する予定の美容機器や健康機器であっても、製品の実際の使用目的や構造・原理、広告内容によっては、医療機器への該当性を確認する必要があります。 

特に、承認または認証を必要とする医療機器について、まだ承認・認証を受けていない段階で名称、製造方法、効能、効果または性能を広告することは、薬機法第68条で禁止されています。

したがって、

「薬機法が気になるので、『医療機器ではありません』と書いておこう」

という対応だけでは不十分となります。

「医療機器ではありません」と表示しても安全とは限らない

結論からいうと、その一文だけで該当性や広告リスクが自動的に解消するとは考えない方がよいでしょう。

たとえば、LPの下部に小さく、

本製品は医療機器ではありません。

と記載していても、ファーストビューで、

「つらい痛みを根本から治療」

と表示し、さらに人体図、症状名、劇的なビフォーアフター、治療効果を語るレビューを掲載していたらどうでしょうか。

少なくとも広告実務では、「医療機器ではありません」という一文だけを見るのではなく、製品の実態と広告全体を確認する必要があります。

ここでの判断軸は、

注釈に何を書いたかではなく、広告全体が最終的に何を約束しているように見えるか。

です。

美容機器・健康機器で注意すべき表現

次の表は、単純なOK・NG表ではありません。個別確認が必要になりやすい表現と、その確認ポイントを整理したものです。

表現例確認が必要な理由実務上の確認ポイント
痛みを改善症状への効果を示す製品分類、使用目的、承認・認証等の有無
血流を改善身体機能への具体的作用を示す可能性何をどのような作用で改善するか
病気を早期発見疾病診断を想起させる測定・解析機能、出力結果、使用目的
睡眠を改善文脈により身体機能や疾病との関係が変わる一般的な生活価値か、睡眠障害等への効果か
姿勢を矯正身体構造への作用を示す可能性製品仕様、対象、効果の程度
リラックスタイムに生活シーンの表現として設計しやすいただし広告全体で疾病効果を暗示していないか
操作が簡単利便性に関する訴求客観的事実との整合性
軽量・持ち運びやすい製品特性の訴求実際の重量や仕様との整合性

非医療機器であっても、製品の構造や動作を事実に即して説明できる場合があります。ただし、どこまで表現できるかは製品の仕様、使用目的、表示内容及び根拠資料によって異なります。 

美容機器で「たるみ改善」「脂肪分解」「小顔」などを訴求するときの医療機器該当性については、「美容機器広告で『たるみ改善』『脂肪分解』『小顔』は使える?」で具体的に解説しています。 

非医療機器として訴求する場合の表現設計

非医療機器の広告で大事なのは、「危ない言葉を全部消すこと」ではありません。

言葉だけ削った結果、

「何の商品か分からない」
「買う理由が伝わらない」

という広告になれば、制作物として機能しにくくなります。
そこで考えたいのが、訴求軸の再設計です。

たとえば、

  • 使用シーン
  • 操作性
  • 持ち運びやすさ
  • デザイン
  • サイズ
  • 継続のしやすさ
  • お手入れ方法
  • 一般的な生活上の快適さ
  • リラクゼーションシーン
  • サポート体制

など、製品の実態に即した価値を探します。

ただし、薬機法上の問題を避ければそれで終わりではありません。

実際よりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示は、景品表示法上の優良誤認表示として問題になる可能性があります。消費者庁は、商品の品質・規格その他の内容について、実際より著しく優良と示す表示等を禁止しています。

つまり、

薬機法上言えるか。

そして、

その表示を裏付ける根拠があるか。

この二つを分けずに確認することが重要です。

医療機器の広告表現で再設計するなら「薬機法ライティングの“評価軸をずらす”とは?」もご覧ください。 

医療機器対象製品の確認方法

医療機器に該当するかを調べるときは、商品名だけで検索するのではなく、製品の使用目的、構造・原理を整理し、一般的名称、JMDNコード、定義、クラス分類などを確認します。PMDAの医療機器基準データベースは、そのための重要な情報のひとつです。

「他社の似た商品が医療機器だから、自社製品も医療機器ですよね?」

といった相談も、起きやすい誤解です。似た製品が医療機器として承認・認証・届出されていても、自社製品が直ちに同じ医療機器に該当するとは限りません。反対に、自社製品に承認・認証・届出がないことだけで、非医療機器と判断することもできません。 

一般的名称・JMDNとは

医療機器には、一般的名称とJMDNコードがあります。販売名とは別の概念です。

たとえば、消費者向けの商品名が独自のブランド名であっても、医療機器としては特定の一般的名称に該当します。

広告代理店やWeb制作会社が案件を受ける場合も、商品名だけではなく、

  • 一般的名称
  • JMDNコード
  • クラス
  • 承認・認証・届出に関する情報

を確認できると、実務を進めやすくなります。

PMDAの医療機器基準データベースを確認する

PMDAの医療機器基準データベースでは、一般的名称、定義、JMDNコード、クラス分類、特定保守、設置管理等を検索できます。

実務では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 製品の使用目的を文章化する
  2. 製品の構造・作用・機能を整理する
  3. 関連しそうな一般的名称を検索する
  4. 一般的名称の定義を読む
  5. 自社製品の目的・構造・原理との共通点と相違点を整理する
  6. クラス等を確認する
  7. 必要に応じて既存製品の添付文書等を確認する

製品名と一般的名称を混同しない

たとえば、自社製品の名称が検索結果に出てこなくても、それだけで非医療機器とは判断できません。

逆に、似たブランド名の商品が医療機器として検索されたからといって、自社製品が当然に同じ分類になるとも限りません。

見るべきなのはブランド名ではなく、

  • 何を目的とする製品か
  • どのような構造・原理か
  • 医療機器の承認の有無

です。そのうえで、該当する一般的名称や必要な承認・認証・届出を確認し、実際の手続状況と照合します。 

PMDAの添付文書(電子化された添付文書)等情報を確認する

医療機器の添付文書等については、PMDAの検索システムで、使用目的または効果、警告、禁忌、使用方法、保守・点検に係る事項などを確認できます。

広告制作では、少なくとも次の内容を確認したいところです。

  • 使用目的または効果
  • 形状・構造及び原理等
  • 使用方法
  • 警告
  • 禁忌・禁止
  • 使用上の注意
  • 保守・点検に係る事項
  • 承認条件

ただし、類似他社製品の添付文書を見つけたからといって、その内容を自社製品の広告根拠としてそのまま使用できるわけではありません。

個別製品の情報との整合性が必要です。

新規性の高い製品で確認すべきこと

AI、アプリ、新しいセンサー、複合的なデバイスなどでは、既存の一般的名称だけを見ても判断しにくいことがあります。

その場合は、

  • 製品仕様書
  • 使用目的
  • 原理
  • 入力情報
  • 出力情報
  • 対象者
  • 想定使用者
  • 使用環境
  • リスク
  • 広告予定表現

を整理しておくと、行政や専門家へ確認するときにも説明しやすくなります。

医療機器承認とは|承認・認証・届出との関係

医療機器は、リスク分類や品目に応じて、届出、第三者認証、承認など製造販売に必要な手続きが異なります。「医療機器に該当する=すべて厚生労働大臣の承認が必要」というわけではありません。

PMDAは、一般医療機器をクラスⅠ、管理医療機器をクラスⅡ、高度管理医療機器をクラスⅢ・Ⅳとして整理し、リスクに応じて手続きが異なると説明しています。

医療機器承認・認証・届出の違い

大きな方向性は次のように整理できます。

分類クラス主な手続きの方向性広告制作で確認すること
一般医療機器届出一般的名称、使用目的、製品情報等
管理医療機器認証基準がある指定品目は第三者認証。それ以外は承認対象となる場合がある認証・承認内容、使用目的、効果・性能等
高度管理医療機器原則承認。一部の認証基準がある品目は第三者認証承認・認証内容、使用目的、効果・性能、安全性情報等
高度管理医療機器原則承認承認内容、対象者、使用条件、安全性情報等

PMDAによると、一般医療機器はPMDAへの届出、管理医療機器のうち認証基準があるものは第三者認証、高度管理医療機器は原則として厚生労働大臣の承認が必要で、クラスⅢの一部では第三者認証が可能です。

承認されたから広告表現が自由になるわけではない

ここも重要です。

「承認を取ったので、医療効果は何でも言えます」

とはなりません。

医療機器の広告では、承認・認証内容や使用目的・効果・性能等との整合性を確認します。

また、薬機法第66条は、医療機器の名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽・誇大な広告等を、明示・暗示を問わず禁止しています。

実務では、

  • 認められている効果より強くしていないか
  • 対象者を広げていないか
  • 「必ず」「完全」など保証的な印象を与えていないか
  • 画像や体験談でコピー以上の効果を暗示していないか
  • 安全性を保証していないか

を確認します。

未承認医療機器広告に注意する

薬機法第68条では、承認または認証が必要な医療機器で、まだ承認・認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果または性能の広告が禁止されています。

したがって、未承認医療機器については、

「効能効果を少し弱くする」
「医療機器ではないと注釈する」

というだけで解決しないためあらかじめ注意が必要です。

なお、医療機関が未承認医療機器を用いた治療を広告する場合は、薬機法上の製品広告規制とは別に、医療法及び医療広告等ガイドラインも確認する必要があります。 

薬機法第68条の詳細は「薬機法(薬事法)とは?薬事法との違い・規制対象・66条/68条を基礎から解説」をご覧ください。

医療機器プログラム・アプリ・AIサービスの該当性

アプリ、AI、プログラムであっても、疾病の診断・治療・予防等を目的とし、法令上の要件を満たす場合は、医療機器プログラムとして薬機法の規制対象になる可能性があります。

AIを使っているかではなく、何を目的とし、どのような機能・出力を持ち、結果がどのように利用されるかを確認します。

厚生労働省は、単体プログラムについても薬機法の規制対象となり得ることを示し、医療機器プログラムの該当性ガイドライン、判断事例、事例データベースを公表しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
アプリやAIサービスの場合、LPだけを薬事チェックして終わるのは不十分なことがあります。
なぜなら、実際にユーザーが見るのは広告だけではないからです。
たとえば、LPでは「健康管理をサポート」と穏やかに説明していても、アプリ内で「○○病の疑いがあります」「この治療を推奨します」と表示されるのであれば、そこも含めて確認が必要です。
特にアプリでは、機能説明と広告コピーの距離が非常に近くなります。
LP、ストア説明、UI文言、デモ動画、営業資料を一つの情報設計として見る。この視点を持っておくことをおすすめします。

プログラムも医療機器に該当する場合がある

たとえば、

  • 疾病の診断を補助する
  • 医用画像を解析する
  • 検査データから診断補助情報を出力する
  • 治療計画を支援する
  • 医療機器を制御する

といった機能を持つプログラムでは、医療機器該当性について慎重な確認が必要です。

ただし、健康関連のアプリがすべて医療機器になるわけではありません。

厚生労働省のガイドラインでは、医療機器としての目的性を有し、意図したとおりに機能しない場合に患者等の生命・健康へ影響を与えるおそれがあるプログラムを規制対象として整理し、一般医療機器、つまりクラスⅠ相当の低リスクプログラムは医療機器プログラムの範囲から除かれることが示されています。

アプリ・AIで注意すべき機能や表示

アプリやAIサービスが、疾病の診断、治療又は予防に関わる機能を持つ場合は、プログラム医療機器に該当しないかを確認する必要があります。

例えば、次のような機能や表示です。

「AIが病気の可能性を判定する」
「画像からがんの疑いを検出する」
「検査データから個人の疾患リスクを算出する」
「異常の兆候を検出して受診を促す」
「診断や治療方針の候補を提示する」
「病気の発症を予測する」

ただし、これらの言葉が使われているだけで、直ちにプログラム医療機器に該当すると判断するものではありません。

該当性を検討する際は、次の点を整理します。

  • どのようなデータを入力するのか
  • 入力データをどのように処理・解析するのか
  • どのような結果や助言を出力するのか
  • 個人の疾病候補、異常、発症リスク等を示すのか
  • 誰が使用し、何の判断に利用するのか
  • 診断、治療又は予防にどの程度関与するのか
  • 誤った結果が出た場合、生命や健康にどのような影響があるのか
  • 広告や説明資料で、どのような使用目的を標ぼうしているのか

同じデータを扱うプログラムでも、単に記録・保存・表示するものと、データを解析して個人の疾病リスクや異常の可能性を示すものとでは、医療機器該当性の判断が異なることがあります。

そのため、入力データだけでなく、処理方法、出力内容、使用目的、利用者、広告表示、不具合時のリスクを含めて総合的に確認する必要があります。

健康管理アプリと医療機器プログラムの境界

健康管理アプリと医療機器プログラムの違いを考えるうえで重要なのは、アプリが単に健康状態を記録・管理するものなのか、それとも疾病の診断や治療に使用することを目的としているのかという点です。

例えば、次のような機能は、一般的な健康管理の範囲として検討されます。

  • 歩数、体重、睡眠時間などを記録する
  • 食事や運動の履歴を管理する
  • 入力された情報をグラフで表示する
  • 一般的な健康情報や生活習慣に関する助言を提供する

一方、次のような機能は、医療機器プログラムに該当する可能性を確認する必要があります。

  • 個人のデータから特定の疾病や異常の可能性を示す
  • 医用画像や検査データを解析し、異常候補を提示する
  • 疾病の診断を支援する情報を出力する
  • 治療方法や治療方針の決定に使用する
  • 出力結果に基づいて受診や治療の必要性を判断する

境界は、使用するデータの種類だけで決まるものではありません。同じ心拍数、血圧、画像、検査値などを扱う場合でも、単に記録・表示するのか、個人の疾病や異常を評価するのかによって位置付けが異なる可能性があります。

そのため、入力データ、解析方法、出力内容、使用目的、利用者、医療上の判断への関与、不具合が生じた場合のリスク、広告や説明資料での表示を総合的に確認する必要があります。

なお、「健康管理用」「医療機器ではありません」と表示していても、実際の機能や広告内容が疾病の診断・治療・予防を目的としている場合は、その表示だけで非医療機器と判断することはできません。

厚生労働省は、医療機器プログラムの該当性についてガイドラインや判断事例等を公表するとともに、相談窓口も案内しています。

UI文言・LP・営業資料まで一体で見る

アプリでは、製品機能と広告コピーの距離が近くなりやすいという特徴があります。

たとえば、LPだけでなく、アプリ画面自体に、

「あなたは○○病です」
「治療が必要です」
「この方法で改善できます」

といった表示が出るのであれば、そのUI文言も含めて確認が必要です。

そのため、

  • アプリ内UI
  • App Store等の説明
  • LP
  • Web広告
  • 営業資料
  • デモ動画
  • プレスリリース

を分断せず、全体で何を標ぼうしているのかを確認することが大切です。

なおLP、SNS、レビュー、動画、営業資料、UI文言等は、製品の使用目的や表示全体を確認する資料になります。ただし、個々の表示が薬機法上の広告に該当するかは、表示主体、誘引意図、公開範囲等を踏まえて別途確認します。 

医療機器プログラムについては、製品の該当性だけでなく、LPやUI、動画、営業資料を含めて広告表現を確認する必要があります。医療機器広告全体の考え方は「医療機器広告の薬機法完全ガイド」でまとめています。 

医療機器に該当するか迷ったときの確認フロー

医療機器に該当するか迷ったときは、製品仕様、使用目的、構造・作用、標ぼう内容、販売方法を整理し、一般的名称・JMDN、既存製品情報、公的資料と照合します。判断が難しい場合は、広告制作を先行させるのではなく、必要に応じて行政や薬事の専門家、法務などの確認を行うことが重要です。

最後に、実務で使える確認フローを整理します。

ステップ1:製品の基本情報を整理する

最初に、医療機器への該当性を検討するために必要な情報を整理します。

確認するのは、主に次の項目です。

  • 何をする製品なのか
  • 誰が使用するのか
  • 何の目的で使用するのか
  • どのような構造・原理で機能するのか
  • どのような情報や結果を出力するのか

例えば、次のように客観的に説明できる状態にします。

「センサーを腕に装着し、日常生活中の○○データを測定して、スマートフォンに数値とグラフを表示する機器」

この段階では広告コピーを考えるのではなく、製品の実態を正確に整理します。

ステップ2:医療機器への該当性を一次確認する

製品の基本情報を整理したら、広告制作に入る前に、医療機器に該当する可能性を確認します。

特に、次の点を確認します。

  • 疾病の診断、治療又は予防を目的としていないか
  • 身体の構造又は機能に具体的な影響を与えることを目的としていないか
  • 個人の疾病、異常、疾患リスク等を判定する機能がないか
  • 診断補助情報や治療方針を出力しないか
  • 類似する医療機器の一般的名称やJMDNコードがないか

ここでは、直ちに最終的な法的判断を確定するのではなく、少なくとも次のどちらの方向で進めるかを整理します。

  • 医療機器として承認、認証又は届出を前提に検討する
  • 非医療機器としての製品設計・表示を前提に検討する

該当性が不明なまま広告制作を進めると、後から商品名、機能説明、キャッチコピー、画面表示等を大きく修正する可能性があります。

ステップ3:構造・原理・出力内容を詳しく確認する

次に、製品がどのように機能するのかを詳しく整理します。

  • 電気、光、熱、圧力、振動等をどのように利用するか
  • センサーで何を測定するか
  • AIや計算式で何を解析するか
  • 数値やグラフを表示するだけか
  • 異常の可能性や疾患リスクを示すか
  • 受診や治療の必要性を判断するか
  • 治療方法や治療方針を提案するか

同じデータを扱う製品でも、単に記録・表示する場合と、疾病や異常を判定する場合では、医療機器該当性の評価が異なる可能性があります。

ステップ4:一般的名称・JMDNを確認する

PMDAの医療機器基準等情報提供ホームページを利用し、類似する医療機器の一般的名称、定義、JMDNコード、クラス分類等を確認します。

ただし、似た一般的名称が見つかっただけで、自社製品が直ちにその医療機器に該当するわけではありません。

反対に、商品名や完全に一致する一般的名称が見つからないことだけで、非医療機器と判断することも適切ではありません。

一般的名称の定義と、自社製品の使用目的、構造・原理、仕様、出力内容等を照合します。

ステップ5:既存医療機器の情報を確認する

必要に応じて、PMDAの添付文書等情報検索などを利用し、類似する既存医療機器の情報を確認します。

確認する項目には、次のようなものがあります。

  • 使用目的又は効果
  • 構造・原理
  • 使用方法
  • 対象者
  • 使用上の注意

ただし、他社製品の承認・認証内容は参考情報です。広告する製品にそのまま流用できる根拠ではありません。

ステップ6:医療機器として扱う場合の手続きを確認する

医療機器に該当する可能性がある場合は、広告制作を本格化する前に、必要な手続きを確認します。

品目やクラス分類に応じて、次の事項を整理します。

  • 製造販売届出
  • 登録認証機関による第三者認証
  • 厚生労働大臣による承認
  • 製造販売業等の許可
  • 販売業・貸与業の許可又は届出
  • 営業所管理者
  • 承認、認証又は届出された使用目的・効果
  • 一般消費者向け広告の可否
  • 広告で表現できる範囲

承認・認証品については、承認書・認証書に記載された使用目的又は効果、性能等を確認します。届出対象の一般医療機器については、一般的名称の定義、届出内容、添付文書等を確認し、医学・薬学上認められる範囲を超えていないかを検討します。 

ステップ7:非医療機器として扱う場合の機能と訴求を確認する

非医療機器として進める場合は、単に「診断」「治療」などの言葉を削除すればよいわけではありません。

製品の機能、画面表示、説明文、画像、動画等を含め、広告全体で次のような印象を与えていないかを確認します。

  • 疾病を発見又は診断できる
  • 症状を治療又は改善できる
  • 病気の発症を予防できる
  • 身体機能に具体的な作用を与える
  • 医療上の判断に利用できる

そのうえで、製品の実態に合った訴求軸を設計します。

例えば、次のような訴求です。

  • 日々の記録
  • 操作性
  • デザイン
  • 携帯性
  • 情報の見やすさ
  • 生活習慣を振り返るための利便性
  • 一般的な健康管理や生活上の価値

ステップ8:広告表現を制作する

製品の位置付けを整理した後で、広告表現を制作します。

確認対象には、次のものが含まれます。

  • 商品名
  • キャッチコピー
  • LP
  • ECページ
  • SNS
  • 動画
  • レビュー
  • 営業資料
  • アプリのUI文言
  • プッシュ通知
  • 展示会資料

個別の単語だけでなく、広告全体として製品が何ができるように見えるかを確認します。

ステップ9:製品資料と広告表現を照合する

広告制作後は、製品資料と広告原稿を並べて確認します。

  • 製品の実際の機能
  • 使用目的
  • 承認、認証又は届出内容
  • 根拠資料
  • 広告の表示内容

これらにずれがないかを確認します。

医療機器の場合は、承認・認証された使用目的又は効果等を超えていないかを確認します。

非医療機器の場合は、広告によって医療機器としての目的や効果を標ぼうしていないかを確認します。

ステップ10:公開前に広告全体を最終確認する

最後に、文章だけでなく、画像、動画、図表、レビュー、注釈、CTA、リンク先、アプリ画面等を含めて確認します。

広告コピーだけを単独で確認するのではなく、消費者が広告全体からどのような製品だと受け取るかを確認することが重要です。

LP、バナー、SNS、YouTube、チラシなど、媒体ごとの広告チェック項目については、「医療機器広告チェック・制作実務ガイド」で整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医療機器に該当するかを確認する目的は、単に「売れる・売れない」を決めることではありません。
実務では、その結果をもとに、
「どこまで表示できるのか」
「どの資料を根拠にするのか」
「どの媒体で、どう伝えるのか」
まで設計する必要があります。
医療機器に該当する場合は、承認・認証等との整合性を確認する。非医療機器として扱う場合は、医療的な効能効果に依存しない訴求軸を考える。
判断と表現設計を分断しないこと。これが、広告制作をスムーズに進める上でも大切なポイントだと考えています。

よくあるご相談(FAQ)

医療機器に該当するかどうかは、どのように判断しますか?

医療機器に該当するかどうかは、商品名や外観だけではなく、使用目的、構造・作用、標ぼうする効能効果、一般的名称・JMDNとの関係などを確認します。薬機法上、医療機器とは、疾病の診断・治療・予防、または身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具等のうち、政令で定められるものです。個別製品では、製品資料や広告表示を含めた確認が必要です。

薬機法上の医療機器の定義は何ですか?

薬機法第2条第4項では、医療機器を、人や動物の疾病の診断・治療・予防に使用されること、または人や動物の身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする機械器具等のうち、政令で定められるものと定義しています。実務では、定義文だけでなく、一般的名称、JMDN、使用目的、構造・原理などを確認します。

非医療機器とは何ですか?

非医療機器とは、薬機法上の医療機器に該当しない機器等を指す実務上の表現です。承認・認証・届出がない製品を一律に非医療機器と呼ぶのは適切ではありません。医療機器に該当し、承認または認証が必要な製品について必要な手続きを受けていない場合は、未承認医療機器として販売や広告上の問題が生じるため注意が必要です。

美容機器や健康機器は医療機器に該当しますか?

美容機器や健康機器が直ちに医療機器になるわけではありません。製品の使用目的、構造・作用、一般的名称との関係などによって判断が変わります。また、広告で疾病の診断・治療・予防や身体機能への具体的な影響を強く標ぼうする場合は、製品の医療機器該当性や必要な承認・認証等について慎重に確認する必要があります。

「医療機器ではありません」と表示すれば薬機法上問題ありませんか?

その表示だけで、医療機器該当性や広告上のリスクが自動的に解消するとは限りません。商品名、メインコピー、画像、レビュー、動画等を通じて、疾病を診断・治療・予防できる、または身体機能へ具体的な影響を与える製品であると強く標ぼうしている場合は、製品実態と広告全体を確認する必要があります。

医療機器に該当すると販売にはどのような影響がありますか?

医療機器に該当する場合、品目や分類等に応じて、届出、第三者認証、承認等の製造販売手続きが関係します。また、販売区分や販売形態によっては、販売業・貸与業の許可または届出、営業所管理者等の確認が必要になる場合があります。

医療機器承認とは何ですか?

医療機器はリスク分類や品目に応じて、届出、第三者認証、承認等の手続きが異なります。一般医療機器は原則として届出、管理医療機器では第三者認証または承認、高度管理医療機器では原則として承認が中心となり、クラスⅢの一部では第三者認証の対象となるものがあります。

アプリやAIサービスも医療機器に該当しますか?

該当する可能性があります。厚生労働省は、単体プログラムも一定の場合に薬機法の規制対象となることを示し、医療機器プログラムの該当性ガイドライン、判断事例、事例データベースを公表しています。疾病の診断や治療等を目的とする場合は、機能、出力結果、対象者、使用方法、リスク等を確認します。ただし、一般医療機器、つまりクラスⅠ相当の低リスクプログラムは医療機器プログラムの範囲から除かれることが示されています。

まとめ

「この商品は医療機器なのか?」
この問いに、商品名や見た目だけで答えることはできません。

まず確認するのは、

何のために使う製品なのか。
どのような構造・作用・機能があるのか。
どの一般的名称・JMDNとの関係が考えられるのか。

そして広告実務では、
その商品が広告全体で何を約束しているように見えるのかまで確認します。

また、「承認されていないから非医療機器」という考え方は避ける必要があります。非医療機器とは、薬機法上の医療機器に該当しない機器等です。医療機器に該当する製品が必要な承認・認証を受けていない場合には、未承認医療機器として別の問題が生じる可能性があります。

医療機器に該当するなら、クラス分類や届出・認証・承認、販売管理、広告規制を確認する。

非医療機器として扱うなら、医療機器的な効能効果を標ぼうしていないかを確認し、その製品の実態に合った訴求軸を設計する。

医療機器該当性の確認は「分類を決めるだけの作業」ではありません。該当性を確認し、その結果を広告表現、販売方法、社内確認フローへどう反映するか。

ここまでを一体で考えることが、広告・販促・制作実務では重要です。

医療機器広告について体系的に知りたい方は「医療機器広告の薬機法ガイド」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の医療機器該当性、必要な承認・認証・届出、販売規制、広告表現の適否は、製品の使用目的、構造・原理、一般的名称、表示内容、媒体、表示主体、根拠資料等によって異なるため、必要に応じて所管行政機関や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医療機器該当性判断ガイド:薬機法の定義・販売規制・広告表現チェックを解説する実務資料のイメージ

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