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医療機器広告で口コミ・体験談は使える?LP・ECレビュー掲載時の薬機法上の注意点

医療機器広告における口コミ・体験談掲載の判断基準を示す図解。口コミの内容を『効果・性能・安全性』『効果を暗示する変化』『商品事実』の3段階に分類し、それぞれの訴求可否と確認事項を提示しています。下部には、レビュー本文だけでなく、見出し・画像・掲載方法を含めて広告全体で判断すべきという注意書きが記載されています。

「利用者の声や口コミなら、広告制作側が書いたものではないので掲載できるのでは?」。医療機器のLPやECページを制作していると、よく出る質問です。

結論から言えば、医療機器の効能・効果・性能や安全性を語る口コミ・体験談は、広告に使えません。 承認・認証された使用目的または効果の範囲内であっても同じです。

一方、配送、梱包、操作方法、装着感など、効能効果や安全性と切り離せる商品事実まで一律に禁止されるわけではありません。本記事では、家庭用医療機器を一般消費者向けに販売するLP・自社EC・モールの商品ページを前提に、掲載できないレビューと残せる情報を整理します。

目次

効果を語る口コミは承認範囲内でもNG

医療機器広告では、次のような口コミ・体験談は使えません。

「使った翌日から腰痛が楽になった」
「毎日測るようになって血圧が安定した」
「病院に通わなくても症状を管理できています」
「痛みも副作用もなく安心して使えました」

これらは、利用者の個人的な感想という形式で、製品の効能効果、性能または安全性を伝えています。メーカーが作成した文章でなくても、LPへ転載したり、ECページで目立たせたりすれば広告表現として判断されます。

「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈を付けても使えるようにはなりません。 注釈は、本文で示した効果や保証、安全性の印象を取り消すためのものではないのです。

医療機器の使用体験談が薬機法上NGになる理由

薬機法上での直接的な理由は、医薬品等適正広告基準における「効能効果等または安全性を保証する表現の禁止」です。

厚生労働省の解説では、愛用者の感謝の言葉や「私も使っています」といった使用経験・体験談的広告は、客観的な裏付けにならず、消費者に効能効果または安全性について誤解を与えるおそれがあるため、原則として行ってはならないとされています。

例外として挙げられているのは、目薬、外皮用剤、化粧品等の使用感の説明と、タレントが単に製品を説明する場合です。医療機器の効果に関する利用者体験は、この例外には入りません。

薬機法66条1項は、医療機器の効能、効果または性能について、明示・暗示を問わず虚偽または誇大な記事を広告、記述、流布することを禁止しています。同条2項では、医師その他の者が効能効果または性能を保証したと誤解される広告も、誇大広告に該当するとしています。

規制の対象となるのは、製造販売業者だけではなく「何人も」です。広告代理店、制作会社、販売店、アフィリエイターも無関係ではありません。

また承認・認証範囲を超える口コミなら、保証表現に加えて、承認等された使用目的または効果を逸脱する問題も生じます。

未承認の医療機器について効能、効果または性能を広告すれば、薬機法68条の承認前広告にも関係します。

薬機法の概要については「医薬品広告と薬機法|66条・68条、薬事法との違いを実務目線で解説 」もご覧ください。

事例1|家庭用電気治療器LPの「肩が軽くなり、ぐっすり眠れました」

医療機器広告における不適切な表現例を示すLPのイメージ図。家庭用電気治療器の広告として、『使ったその日から肩が軽くなり、夜もぐっすり眠れました。』という、効能効果を保証・暗示する不適切な体験談が記載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

家庭用電気治療器のLPに、購入者の声として次の文章を掲載するケースです。

使ったその日から肩が軽くなり、夜もぐっすり眠れました。

この口コミはNGです。

「肩が軽くなった」は治療効果の体験談です。「ぐっすり眠れた」が当該製品の承認された使用目的または効果に含まれていなければ、範囲外の二次的効果まで暗示します。「使用者の実感をそのまま載せただけ」という説明は通りません。

修正時は、「肩が軽くなった」を「気持ちよく使えた」に置き換えるだけでは不十分です。前後に肩を押さえる画像、睡眠中の人物、治療後の笑顔があれば、同じ効果を広告全体で暗示します。

訴求軸は、タイマーの有無、操作手順、電極パッドの装着方法、収納性、電源方式、使用可能な部位など、確認できる商品事実へ移します。効果は口コミに語らせず、承認書、認証書、添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)等で確認した範囲をメーカーの説明として正確に記載します。

承認範囲の確認方法は、医療機器広告でJMDN・一般的名称を確認する手順も参照してください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
口コミを削除すると、制作側は「LPの説得力がなくなる」と考えがちです。しかし、説得力を体験談だけに依存した企画は、審査段階でストーリー全体を作り直すことになります。先に医療機器の使用目的または効果を確認し、商品事実、使用場面、導入しやすさを組み合わせて構成した方が、結果として手戻りを減らせます。NGワードの置換ではなく、企画段階で訴求の根拠を設計することが重要です。制作後に主訴求を変更すると、LP全体の再構築につながります。

事例2|血圧計のECレビュー「測定値が下がり、薬を減らせた」

家庭用血圧計の広告における不適切な口コミ表現例を示すイメージ図。血圧計を使用している男性の横に、『毎朝測るようになって血圧が下がりました。薬も減らせました。』という、治療効果や治療内容への影響を誤認させる不適切な体験談が記載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

ECモールの商品レビュー欄に、次のような投稿が表示されていたとします。

毎朝測るようになって血圧が下がりました。薬も減らせました。

このレビューを、メーカーや販売店が広告素材として転載したり、好意的なレビューだけを選んで目立つ位置に掲載したりすることはできません。

「血圧が下がった」という表現は、血圧計そのものに血圧を改善する効果があるように受け取られるおそれがあります。また、「薬も減らせました」は、治療内容にまで影響を与えることを示唆する表現です。

一方で、購入者が事業者の依頼や指示を受けず、自発的に投稿したレビューは、その投稿だけで直ちに事業者が作成した広告になるとは限りません。

ただし、事業者がレビューを選別・編集・固定表示したり、見出しを付けて強調したり、自社LPへ転載したりすれば、事業者の広告として評価される可能性があります。モールの機能、表示管理への関与、掲載方法を個別に確認する必要があります。 

第三者の投稿であっても、事業者が好意的なレビューを選び、「利用者も効果を実感」といった見出しを付けて掲載すれば、事業者による広告表示として判断されます。

このような場合、「血圧が下がった」「薬も減らせた」といった部分だけを伏字にして転載すればよい、というものでもありません。

レビューを販売促進に利用するのではなく、公式な商品説明では、測定方式、測定可能範囲、記録機能、カフの適用腕周、表示画面、データ連携など、血圧計の性能や機能を説明することが重要です。

また、レビュー投稿者に商品やポイントなどの利益を提供し、好意的な投稿を依頼していた場合は、景品表示法上のステルスマーケティング規制にも注意が必要です。

事業者が関与した表示であるにもかかわらず、一般消費者が広告であると判別しにくい表示は、規制の対象となります。

事例3|パルスオキシメータの「誰でも正確に測れる」

家庭用パルスオキシメータの広告における不適切な表現例を示すイメージ図。製品を使用している女性の横に、『誰でも正確に測れる』『これがあれば受診の必要はない』『数値が正常なら安心』という、医療行為の代替や過度な安心感を招く誤解されやすい不適切な表現が記載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば「画面の数字が大きく、ボタンが一つなので操作しやすかった」という口コミがあったとします。

「画面の数字が見やすかった」「ボタンが一つで操作手順が分かりやすかった」など、具体的な仕様に対応した感想は、効能・性能・安全性の保証につながらない範囲で掲載を検討できる場合があります。

ただし、「誰でも正確に測れる」「誤操作の心配がない」などへ広げることはできません。 

パルスオキシメータについては、厚生労働省が公表した適正広告・表示ガイドラインでも、一般市民向け広告における感謝の言葉や使用体験談は、効能効果または安全性の誤解を与えるおそれがあるため行ってはならないと整理されています。

媒体別の確認箇所は、医療機器広告チェック・制作実務ガイドで詳しく解説しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
ECレビュー欄は「システムが自動表示しているから制作会社の担当外」とされやすい部分です。しかし、広告はコピーだけでなく、画像、レビューの並び順、見出し、星評価、返信内容まで含めて受け取られます。
法律上説明できる表現でも媒体独自の審査で止まることがあります。反対に、媒体へ掲載できたことが薬機法上の適法性を保証するわけでもありません。「正しいこと」と「通ること」を分け、両方の確認工程を持つ必要があります。

LP・ECレビューを掲載する前に確認すること

最初に確認する資料は、販売名、医療機器の一般的名称、承認・認証・届出の別、使用目的または効果、使用方法、警告・禁忌、添付文書です。医療機器広告の薬機法完全ガイドもあわせて確認すると、広告規制の全体像を把握できます。

次に、レビューを次の三つへ分けます。

  1. 効能効果、性能、安全性を語るもの
  2. 効果を暗示する生活変化を語るもの
  3. 配送、外観、操作、収納等の商品事実を語るもの

1と2は広告利用しません。3は、事実確認を行い、画像や見出しを含む掲載文脈によって効果保証にならないかを確認します。

レビューを残せない場合は、効能を弱く言い換えるのではなく、製品選択に必要な情報へ軸を移します。たとえば、サイズ、重量、電源、連続使用時間、表示方式、記録件数、付属品、手入れ方法、利用場所です。こうした事実は、医療機器としての訴求を失わせるものではありません。

LP全体の確認方法は、医療機器LPの薬機法チェックをご覧ください。

まとめ

医療機器の広告では、効果や性能、安全性を伝える口コミ・体験談の使用について薬機法の規制があります。 たとえ承認・認証された範囲内の内容であっても、「使ったら効果があった」といった利用者の体験を広告に掲載し、効果を保証するような表現は認められません。「※個人の感想です」といった注釈を付けても問題は解消されないため、注意が必要です。

一方で、配送の速さ、商品の見た目、操作のしやすさ、収納性など、効能効果や安全性とは関係のない内容であれば、口コミを掲載できる可能性があります。ただし、レビュー本文だけでなく、見出し、画像、星評価、掲載位置、事業者のコメントなども含めて、広告全体として判断されます。

広告を公開する前には、対象製品の承認・認証・届出資料や添付文書を確認し、効果に関する表現は正式に認められた範囲内で作成しましょう。また、口コミは広告の説得力を高めるために使うのではなく、広告全体のリスクを高める要素になっていないかを必ず確認することが重要です。

なお、医療機器広告についてより体系的に理解したい方は「医療機器広告チェック・制作実務ガイド|LP・バナー・SNS・YouTube・チラシの媒体別注意点 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医療機器広告における口コミ・体験談掲載の判断基準を示す図解。口コミの内容を『効果・性能・安全性』『効果を暗示する変化』『商品事実』の3段階に分類し、それぞれの訴求可否と確認事項を提示しています。下部には、レビュー本文だけでなく、見出し・画像・掲載方法を含めて広告全体で判断すべきという注意書きが記載されています。

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