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医薬品広告で使える表現・使えない表現|効果効能・口コミ・比較・医師推薦の注意点

医薬品広告における表現可否の判断ポイントをまとめた図解。左側に検討すべき主要項目(ビフォーアフター、口コミ・レビュー、ランキング、比較広告、医師・専門家表現)を列挙し、中央に広告構成のイメージ、右側に確認すべき3つの視点(1. 承認範囲、2. 全体の印象、3. 関連ルール)を配置している。下部には「単語だけでなく、広告全体が何を約束しているように見えるかを確認する」という重要なメッセージが記載されている。

医薬品広告を制作していると、「承認された効果なら、そのまま強く書いてよいのか」「口コミやビフォーアフターを載せられないか」「売上No.1や医師推薦は使えるか」といった相談が出てきます。

結論からいうと、医薬品広告の表現可否は、単語だけでは判断できません。基本となるのは、承認された効能効果・用法用量・使用上の注意との整合性です。そのうえで、画像、口コミ、ランキング、比較表、専門家コメント、注釈、CTA(行動の指示)を含む広告全体が、効き目や安全性を過度に保証していないかを確認します。

また、薬機法だけでなく、景品表示法、特定商取引法、Amazonなどの媒体独自の審査基準が重なります。

この記事では、医薬品広告で迷いやすい表現をテーマ別に整理し、広告代理店、制作会社、メーカーの販促・薬事・法務担当者が、社内やクライアントへ説明しやすい判断軸に落とし込みます。

この記事の要点(まとめ)
  • 判断の起点は承認範囲: 医薬品広告では、承認された効能効果、用法用量、使用上の注意との整合性が基本です。承認範囲内でも、確実な効果や安全性を保証する見せ方は別途確認が必要です。
  • 文言ではなく広告全体を見る: ビフォーアフター、口コミ、白衣画像、ランキング、比較表、CTAが組み合わさると、各要素を単独で見た場合より強い効果保証の印象が生まれます。
  • 法令と媒体審査を分けて確認する: 薬機法上の確認を終えても、景品表示法、特定商取引法、Amazonなどの媒体ポリシーにより掲載できない場合があります。
目次

医薬品広告で「使える表現・使えない表現」はどう判断するか

医薬品広告の表現可否は、「この単語が入っているからNG」「この言い換えならOK」という方法では判断できません。商品ごとの承認内容と、広告全体が一般消費者に何を約束しているように見えるかを確認します。

薬機法66条は、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示・暗示を問わず虚偽・誇大な広告等を禁止しています。同条2項では、医師その他の者が効能等を保証したと誤解されるおそれのある広告も対象になります。薬機法68条は、承認前の医薬品等について、その名称や効能効果等を広告することを禁止しています。

参考:医薬品広告と薬機法66条・68条の詳細

判断の基本は承認範囲と添付文書

最初に確認するのは、広告原稿ではなく商品情報です。

一般用医薬品・要指導医薬品については、PMDAの添付文書等情報検索から、商品ごとの効能効果、用法用量、使用上の注意などを確認できます。広告に記載したい効能だけでなく、対象年齢、症状に関する条件、使用できない人、相談が必要なケースまで確認することが大切です。

例えば、承認効能が「頭痛・歯痛・生理痛の鎮痛」である製品について、「慢性的な頭痛を根本から治療する」と表現すれば、承認された効能を超える印象につながります。

「鎮痛」を「痛みの原因を解消する」と言い換える場合も同様です。言葉が柔らかくても、意味が広がっていればリスクは残ります。

薬機法66条・68条と広告表現

実務では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

確認段階主な確認内容起きやすい問題
1. 商品分類医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等のどれか化粧品や健康食品のルールとの混同
2. 承認内容効能効果、用法用量、対象者効果や対象症状を広げる
3. 商品情報添付文書、使用上の注意禁忌や注意事項と矛盾する
4. 表現方法保証、最大級、即効性、安全性「必ず」「完全」「副作用なし」等
5. 表示全体画像、口コミ、注釈、CTA文言以上の強い効果を暗示する
6. 他法令景品表示法、特定商取引法根拠のない比較や価格表示
7. 媒体規約Amazon等の独自基準法令上可能でも審査で否認される

参考:景品表示法の二重価格表示

広告全体の印象で確認する理由

医薬品等適正広告基準の解説は、違反広告かどうかを、個別の文面や事例だけから形式的に判断すべきではないとしています。媒体の性質、広告表現全体の構成、説明の文脈などを総合的に考慮する必要があるためです。

例えば、本文に「個人差があります」と書いてあっても、ファーストビューで次の要素が並んでいれば、効果保証の印象が強くなることがあります。

  • 大きな文字の「もう痛みに悩まない」
  • 痛みに苦しむ人物と、笑顔で活動する人物の対比
  • 「使用者の98%が満足」
  • 「今すぐ始める」というCTA

各要素を別々に確認するだけでは十分ではありません。最終的には、「この広告は、誰に、どのような結果を約束しているように見えるか」を一枚の画面または導線全体で確認します。

医薬品等適正広告基準については「薬機法における医薬品等適正広告基準について解説」の記事で詳細に述べています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「この言葉を別の言葉に変えれば使えますか?」という相談は多いのですが、実務では、単語を置き換えるだけでは解決しないケースが少なくありません。
キャッチコピーを弱めても、画像、口コミ、医師の写真、CTAが同じ方向を向いていれば、広告全体としては強い効果を約束したままだからです。まず確認したいのは、この広告が消費者に何を約束しているように見えるか。その約束が承認範囲や根拠資料と合っているかです。

効果効能はどこまで言える?|承認範囲を超えないことが基本

医薬品広告で効果効能を表現する場合は、承認された効能効果の範囲内であることが基本です。ただし、承認文言をそのまま記載すれば、どのような強調方法でも問題ないわけではありません。

医薬品等適正広告基準では、明示・暗示を問わず、承認を受けた効能効果等の範囲を超えてはならないとされています。追加申請をすれば承認され得る内容であっても、現時点で未承認の効能を広告することはできません。

承認された効能効果の範囲を確認する

承認効能を確認するときは、効能の名称だけでなく、条件や対象を含めて読みます。

例えば、漢方薬などでは、効能効果に体力や症状に関する条件が付いていることがあります。この条件を省略すると、実際より幅広い人が使用できるような印象を与える可能性があります。

また、複数の商品を一つの広告で紹介する場合、全商品に共通しない効能を、シリーズ全体の効能のように見せないことも必要です。

効能効果の言い換えで意味を広げない

次の表は、一律のOK・NG判定ではなく、確認時の考え方を示したものです。

表現例主な確認ポイント
「頭痛・歯痛の鎮痛」当該商品に承認された効能か
「つらい頭痛に」文脈全体で承認効能を超えていないか
「痛みの原因を根本から解決」根本治療や原因除去まで承認されているか
「飲めば必ず治る」効果保証になっていないか
「すぐ効く」速効性が医学・薬学上証明され、許容条件を満たすか
「副作用の心配なし」安全性保証になっていないか

「根治」「全快」「安全性確認済み」「副作用の心配はない」など、効能や安全性が確実であることを保証する表現は認められないと整理されています。

効果保証・即効性・安全性保証に注意する

「すぐ効く」「即効」といった速効性表現も、単純に承認効能の範囲内だから使えるわけではありません。

医薬品等適正広告基準では、「すぐ効く」は原則として認められず、一部の薬効群について、医学・薬学上十分に証明され、強調表現などの除外条件に該当しない場合に限って検討できるとされています。

したがって、制作担当者だけで「液体だから早く効く」「有効成分が多いから強力」とロジックを組み立てるのは避けるべきです。承認資料、製剤データ、広告基準上の条件を、薬事担当者と確認します。

ビフォーアフターは使える?|効果保証・誇大な暗示に注意

医薬品広告におけるビフォーアフター表現のチェックポイントをまとめた図解。使用前後のイメージと、中央に配置された「主表示の印象を確認」という注視ポイント、および確認すべき7つの項目(撮影条件、加工・演出、効果の範囲、時間表現、結果の一般化、CTAとの関係、根拠資料)が記載されている。また、注釈だけに頼らず、主表示そのものを調整することの重要性を示している。

医薬品広告のビフォーアフター画像は、一律に画像形式だけで判断するのではなく、承認範囲を超える改善、治癒、速効性、効果持続を暗示していないかを確認します。

使用前後の写真は、文章より短時間で結果を伝えられるため、消費者に強い効果を印象づけます。その分、「個人の一例」と説明していても、商品を使えば同じ結果が得られると受け取られる可能性があります。

ビフォーアフターがリスクになりやすい理由

医薬品等適正広告基準では、使用前後を問わず、図面や写真によって次のような印象を与える表現は認められないと整理されています。

  • 承認外の効能効果を想起させる
  • 効果発現までの時間を保証する
  • 効果の持続時間を保証する
  • 安全性を保証する

また、炎症や患部が消える場面についても、効能効果の保証にならないよう留意が求められています。

例えば、「服用30分後」と書かれた画像で症状が完全に消えていれば、単なる効能紹介ではなく、効果発現時間と結果を保証する印象につながります。

画像が承認範囲を超える効果を暗示していないか

公開前には、少なくとも次の項目を確認します。

確認項目判断の視点
撮影条件照明、角度、姿勢、表情などが同一か
加工・演出症状や変化を誇張していないか
効果の範囲承認された効能を超える変化を示していないか
時間表現効果発現までの時間を保証していないか
結果の一般化一人の結果を一般的な結果として見せていないか
CTAとの関係「あなたも同じ結果に」などと結び付けていないか
根拠資料写真の来歴や撮影条件を確認できるか

注釈だけでは足りない場合がある

「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈があっても、主表示の印象が強ければ十分な修正にならないことがあります。

消費者庁は、強調表示と打消し表示が離れている場合や、打消し表示が小さく、両者を一体として認識できない場合には、景品表示法上問題となるおそれがあるとしています。

先に強い効果を約束し、ページ下部の小さな文字で打ち消す設計ではなく、主表示自体を承認範囲内に調整することが基本です。

景品表示法については「景品表示法の広告実務ガイド」で詳細に解説しています。

口コミ・レビューは掲載できる?|事業者の関与と効果の一般化を見る

医薬品広告における口コミ・レビューの掲載に関するチェックポイントをまとめた図解。「第三者レビュー」から「事業者の関与(選別、編集、強調、転載)」を経て「自社広告への転載」に至る流れを示し、さらに「広告該当性の3つの視点」を提示している。口コミそのものの実在性だけでなく、事業者が広告としてどう組み込んでいるかを確認する重要性を説いている。

医薬品広告に口コミやレビューを使う場合は、投稿が実在するかだけでは足りません。事業者がその投稿をどのように選び、編集し、強調し、広告へ組み込んだかを確認します。

医薬品等適正広告基準では、使用経験や体験談的な広告は、客観的な裏付けにならず、効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあるため、原則として行わないとされています。

例外として、目薬、外皮用剤等の使用感や、タレントが単に商品を説明・提示する場合などが示されています。その場合でも、対象製品・表示内容・広告全体の印象を個別に確認し、治療効果や安全性の体験談へ広げないことが必要です。 

第三者レビューと自社広告への転載は分けて考える

薬機法における医薬品広告の該当性は、一般に次の3要件をすべて満たすかで判断されます。3つの視点の詳細は「薬機法が適用される広告の3要件とは?」でも解説しています。

  1. 顧客を誘引する意図が明確である
  2. 特定の医薬品名が明らかである
  3. 一般人が認知できる状態にある

消費者が自発的に投稿し、事業者が編集・選別していないレビューと、事業者が「効果を感じた声」だけを選んでLP(ランディングページ)へ掲載するケースは、同じ扱いとは限りません。LPへ引用すれば、上記3要件を満たすとして、広告を構成するコンテンツとして確認すべきです。

掲載方法別の確認ポイント

掲載形態主な確認ポイント
プラットフォーム上の自発的レビュー事業者の依頼、謝礼、内容指定、削除・編集権限の有無
商品ページでレビューを強調特定レビューの固定表示や選別に事業者が関与していないか
LPへレビューを転載広告の一部として効能保証や安全性保証になっていないか
広告バナーへ抜粋文脈を省略して効果を強く見せていないか
インフルエンサー投稿依頼関係、報酬・商品提供、PR表示、投稿内容への関与
星評価・満足度との併用調査母数、抽出方法、評価対象が明確か

「治った」「飲んですぐ効いた」「副作用がなかった」といった体験談を事業者が選んで広告に使えば、個人の経験を一般的な効能・安全性として見せることにつながりやすくなります。

口コミは「実在するから掲載できる」のではなく、「広告に組み込んだとき、何を証明する材料として使っているか」で確認します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
口コミでは、「本当にお客様が書いた内容だから問題ない」と説明されることがあります。ただ、実在することと、広告に使えることは別の問題です。
事業者が多数のレビューから効果の強いものだけを選び、LPに置けば、その選択自体が広告メッセージになります。どのレビューを、なぜ選び、何を伝える材料として使っているのか。ここまで確認して、初めて広告実務としての判断ができます。

ランキング・No.1表示は可能?|医薬品では薬機法上の制限も確認する

医薬品広告のランキング・No.1表示は、客観的な調査結果があれば自由に使えるわけではありません。景品表示法上の根拠に加え、医薬品等適正広告基準が最大級表現をどのように扱っているかを確認する必要があります。

医薬品の「売上No.1」はNG表現

医薬品等適正広告基準の解説では、効能効果または安全性に関する最大級表現等として、「最高のききめ」「世界一」などとともに「売上げNo.1」が認められない表現例に挙げられています。

このため、医薬品については次のように考えます。

表現実務上の見方
「効き目No.1」効能の優越性・最大級表現となるため、使用を避けるべき
「治療効果No.1」承認範囲、保証、最大級表現の複数論点が重なる
「医師推奨No.1」No.1表示と医薬関係者推薦の両方を確認する必要がある
「売上No.1」根拠の有無だけでなく、最大級表現となるため、使用を避けるべき
「Amazonカテゴリー1位」客観的順位であっても、医薬品広告として再利用できるか個別確認が必要

したがって、「第三者調査だから使える」「Amazonに表示されている順位だから転載できる」とは断定できません。

景品表示法上の根拠確認

消費者庁のNo.1表示に関する実態調査報告書では、主観的評価によるNo.1表示について、少なくとも次の4点を満たす必要があると整理されています。

  1. 比較する商品等が適切に選定されている
  2. 調査対象者が適切に選定されている
  3. 調査が公平な方法で実施されている
  4. 表示内容と調査結果が適切に対応している

これは、薬機法上の使用可否とは別の確認です。景品表示法上の根拠が十分でも、医薬品広告として最大級表現が不適当となる可能性は残ります。

比較広告は可能?|一般的な比較広告と医薬品広告を分けて考える

医薬品広告における比較表現と一般的な比較広告の違いをまとめた図解。一般的な比較広告の要件と、医薬品広告で求められる基準(他社比較の禁止、暗示の確認、自社比較時の条件明示)を対比させている。下部には自社製品比較を行う際の7つのチェック項目(比較対象、比較条件、比較項目、根拠資料、表示範囲、注釈、広告全体)と、企画段階での確定の重要性が示されている。

景品表示法は、競争事業者の商品・サービスと比較すること自体を一律に禁止していません。比較内容が客観的に実証され、数値や事実を正確に引用し、比較方法が公正であることなどが求められます。

ただし、医薬品広告には、これとは別に医薬品等適正広告基準による制限があります。

他社医薬品との比較は行わない

医薬品等適正広告基準の解説では、製品同士を比較する場合は、自社製品の範囲で対照製品の名称を明示する場合に限定し、明示・暗示を問わず他社製品との比較広告は行わないとされています。

そのため、医薬品広告では次のような表現は避けるべきです。

  • 「他社の鎮痛薬より早く効く」
  • 「一般的な胃腸薬の2倍の効果」
  • 競合商品のパッケージをぼかして並べる
  • 競合商品を「旧来型」「効き目が弱い」と暗示する
  • 他社成分を否定し、自社成分だけが優れているように見せる

自社製品比較でも確認が必要

自社従来品との比較であれば、何でも表現できるわけではありません。

確認項目実務上の確認
比較対象自社のどの商品・旧製品と比較しているか
比較条件容量、用法、試験条件、測定期間が同じか
比較項目効能ではなく溶解時間などを比較する場合も誤認がないか
根拠資料商品化された製剤についてのデータか
表示範囲データが示す以上の優位性に広げていないか
注釈対象製品、試験条件、時点が読み取れるか
広告全体「従来品より必ず効く」という印象になっていないか

比較表は説得力が高い分、条件の違いが小さく記載されていると誤認につながりやすくなります。企画段階で比較対象と根拠資料を確定させることが重要です。

医師推薦・薬剤師推薦・専門家監修はOK?NG?

医薬品広告における「医師・薬剤師による商品推薦」と「専門家による情報監修」の違いを整理した図解。左側に原則避けるべき推薦表現の例、右側に適正な監修表示の条件を対比させている。中央には「広告全体の印象を確認」することの重要性が配置され、下部には監修表示の際に必須となる6つのチェック項目(監修対象、推薦との区別、実在性・肩書、コメント内容、写真・配置、関係性・透明性)が記載されている。推薦と監修を混同し、商品保証の印象を与えていないかを確認するための指標を示している。

医薬品広告における医師・薬剤師等の推薦は、単に「効能保証に見えなければ使える」とは整理できません。医薬品等適正広告基準では、医薬関係者等が指定、公認、推薦、指導、選用している旨の広告を、一定の特別な場合を除いて行ってはならないとされています。

この規定は、推薦が事実であっても、一般消費者の医薬品に対する認識へ大きな影響を与えることから、不適当とする趣旨です。

原則として避けるべき表現

  • 「医師がすすめる風邪薬」
  • 「薬剤師が選んだ鎮痛薬」
  • 「専門医も効果を認めた」
  • 「全国の医師が推奨」
  • 「医師推奨度98%」
  • 白衣を着た人物が商品を手に持ち「私も使っています」と話す

薬機法66条2項も、医師その他の者が効能等を保証したと誤解されるおそれのある記事を、虚偽・誇大広告に当たるものとして扱っています。

「監修」と「推薦」は同じではない

一方で、記事や情報コンテンツの正確性を医師・薬剤師が監修することと、特定商品を推薦することは意味が異なります。

監修表示を検討する場合は、次の点を明確にします。

  • 何を監修したのか
  • 商品を推薦しているのではないことが読み取れるか
  • 監修者が実在し、肩書が正確か
  • コメントが承認外効能の説明になっていないか
  • 白衣画像や配置によって、商品保証の印象を補強していないか
  • 報酬や事業者との関係により、表示の透明性が必要ではないか

「医師監修」と書きながら、その直後に「だからこの商品はよく効く」とつなげれば、実質的には推薦や効能保証として評価される可能性があります。

Amazon医薬品広告で確認すべきこと

Amazonで医薬品を訴求する場合は、薬機法上の確認とAmazon独自の広告・ストアポリシーを分けて確認します。

Amazonは、出品者や広告主に対して、適用される法律、規則、規制に準拠する責任があるとしたうえで、独自のクリエイティブ承認ポリシーへの適合も求めています。

法令上使えても、Amazon上で使えない場合がある

Amazonの現行ストアクリエイティブ承認ポリシーでは、医療製品、OTC医薬品、サプリメントに関して、疾病や依存症の診断、治療、緩和、手当て、予防を主張するコンテンツや、非現実的な効能主張などを禁止事項として掲げています。

そのため、日本法上の承認効能に沿っていても、Amazonストアのクリエイティブでは審査上使用できないことがあります。

また、スポンサーブランド広告等については、広告内容が商品詳細ページを正確に反映し、消費者に誤解を与えないことが求められます。Amazonはポリシーを定期的に更新しているため、出稿時点の規約を再確認する必要があります。

Amazon広告・商品ページの確認表

確認対象主な確認事項
商品区分Amazon上で販売・広告可能な医薬品か
商品名・区分表示承認名称、リスク区分等が適切か
商品説明最新の添付文書と矛盾していないか
広告コピー商品詳細ページやパッケージと整合しているか
効能表現法令だけでなくAmazonの禁止・制限表現に該当しないか
商品画像ビフォーアフター、症状画像、白衣人物等が審査対象にならないか
レビュー事業者が恣意的に抜粋・転載・強調していないか
ランキング医薬品広告として最大級表現にならないか
比較他社商品との比較や誹謗になっていないか
更新管理ポリシー変更、添付文書改訂、商品情報変更を反映できるか

Amazonで審査に通ったことは、薬機法上の適法性を保証するものではありません。反対に、薬事確認を終えた原稿でも、Amazon独自のポリシーにより差し戻されることがあります。

LP制作時のチェックポイント|キャッチコピー・画像・口コミ・CTAを一体で見る

医薬品LP(ランディングページ)公開前に確認すべき15項目をまとめたチェックリストの図解。項目は「商品情報」「表現・画像」「第三者要素」「表示・購入条件」「公開後の運用」の5つのカテゴリーに分類されている。文章だけでなく、画像、注釈、購入条件、公開後の管理体制まで含めて、LP公開前に多角的に確認することの重要性を示している。

医薬品LPの確認では、文章を上から順に校正するだけでは不十分です。ファーストビューから購入ボタンまでの流れを通して、商品がどのような効果や結果を約束しているように見えるかを確認します。

ファーストビューで確認すべきこと

ファーストビューは、本文を読む前に商品の印象を決める部分です。

特に次の組み合わせに注意します。

  • 強い効能キャッチコピー
  • 苦痛から解放された人物写真
  • 効果発現時間
  • 満足度・ランキング
  • 医師や薬剤師の写真(医薬関係者の推薦)
  • 「今すぐ解決」などのCTA

例えば、個々の文章が承認効能の範囲内でも、「最短で痛みから解放」「医師も認めた」「満足度98%」が並べば、確実かつ優れた効果を保証する印象が生じます。

成分説明・エビデンス表現も商品との関係を見る

成分単体の研究結果を紹介する場合は、そのデータが広告対象の商品について、その用法用量で得られた結果なのかを確認します。

医薬品等適正広告基準では、個々の成分や作用機序を説明する場合、医学・薬学上認められ、かつ当該商品の承認効能の範囲を超えないことが求められています。

原料や成分の研究データを、最終製品の効果を証明する資料としてそのまま使えるとは限りません。

注釈・CTA・販売条件も確認する

LPでは薬機法・景品表示法だけでなく、通信販売の表示も確認します。

特定商取引法上、通信販売広告では、販売価格、送料、支払時期・方法、引渡時期、返品・解除に関する事項、事業者情報、継続契約の条件など、所定の事項を表示する必要があります。

定期購入の場合は、CTA周辺や最終確認画面で、次の事項が容易に認識できるかを確認します。

  • 定期購入であること
  • 各回の価格と総額
  • 購入回数の条件
  • 解約・変更方法
  • 送料
  • 次回発送時期
  • 返品条件

特定商取引法の詳細については「特定商取引法の広告実務ガイド」で解説しています。

LP公開前チェックリスト

  • 商品分類と承認名称を確認した
  • 最新の添付文書を確認した
  • 効能効果の条件や対象を省略していない
  • 「必ず」「完全」「根治」などの保証表現がない
  • 速効性・持続性に根拠と許容条件がある
  • ビフォーアフターが効果を保証していない
  • 口コミを効能効果の根拠として使っていない
  • ランキング・最大級表現を使用していないか確認した
  • 他社医薬品との比較になっていない
  • 医師・薬剤師の推薦表現になっていない
  • 注釈が主表示と一体で認識できる
  • スマートフォン表示でも注釈が読める
  • 価格、定期購入、返品条件等を確認した
  • 媒体規約を最新版で確認した
  • 公開後の修正責任者と確認フローを決めた

訴求力を落とさずに薬機法ライティング®を活用してリライトするには

訴求力を維持しながら薬機法に対応するための「薬機法ライティング」の手法を示した図解。NG表現を単に差し替える従来の手法と、承認内容に基づき価値を再整理・再設計する手法を対比している。下段には、制作の初期段階から薬事視点を組み込むための7つのステップ(承認内容共有から修正ルールの決定まで)が時系列で示されており、薬事対応を最後に表現を弱める工程にしないことの重要性を説いている。

医薬品広告のリライトは、強い言葉を一つずつ弱い言葉に置き換える作業ではありません。商品が適正に約束できる価値を整理し、広告のストーリーを組み直す作業です。薬機法ライティング®の考え方が応用できるので、詳しく知りたい方は「薬機法ライティングとは?|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」もご覧ください。

最初に「残せる訴求」を整理する

承認外効能や保証表現を削除した後に何も残らない場合、広告企画の起点が承認内容とずれていた可能性があります。

リライト時には、次の要素を整理します。

  • 承認された効能効果
  • 使用対象となる症状や場面
  • 剤形や使いやすさ
  • 用法用量
  • 携帯性や包装上の特徴
  • ブランド・製造に関する客観的事実
  • 適正使用のための情報
  • 消費者が商品を選ぶ際に必要な違い

例えば、「飲めばすぐ痛みが消える」を単に「痛みに効く」へ変更するだけでは、ページ全体のストーリーが崩れます。

「外出先で頭痛を感じたときに携帯しやすい包装」「承認効能として頭痛・歯痛の鎮痛」「用法用量を守って使用する」といった、事実に基づく選択情報へ再設計します。

制作初期から薬事確認を入れる

完成後のLPに対して一括でNGを出すと、コピーだけでなく、画像、構成、撮影素材、比較データまで作り直すことがあります。

私の実務経験上、薬事確認を制作後の赤入れに限定せず、企画段階からチェック項目を共有することで、修正回数を減らすことができています。

実務では、次の順番が有効です。

  1. 承認内容と根拠資料を共有する
  2. 使える訴求領域を決める
  3. ファーストビュー案を薬事確認する
  4. 画像・口コミ・比較素材の使用条件を決める
  5. 本文を制作する
  6. LP全体で最終確認する
  7. 媒体審査後の修正ルールを決める

薬機法対応を「最後に表現を弱める工程」にしないことが、適正な情報伝達と、伝わる広告表現を両立させるポイントです。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬事チェックを制作の最後に入れると、完成したストーリーの中心部分を削ることになり、「何も言えない広告」になりやすくなります。経験上、うまくいくのは、企画の段階で承認内容と使える根拠を共有し、その範囲でファーストビューを設計する進め方です。
40,000件以上の広告表現支援の経験からでも、修正案だけを出すより、訴求の組み立てから支援した方が、制作チームやクライアントにも説明しやすい結果につながっています。

医薬品広告の表現可否は広告全体で判断する

医薬品広告で使える表現・使えない表現は、特定の単語だけでは判断できません。

基本となるのは、承認された効能効果、用法用量、使用上の注意です。そのうえで、薬機法66条・68条、医薬品等適正広告基準、景品表示法、特定商取引法、媒体規約を確認します。

特に注意したいのは、次の表現です。

  • 効果や安全性を保証する表現
  • 承認範囲を超える言い換え
  • 即効性・持続性を強く印象づける表示
  • ビフォーアフターや症状変化の画像
  • 効能効果に関する体験談
  • 医薬品のNo.1・最大級表現
  • 他社医薬品との比較
  • 医師・薬剤師による推薦
  • 小さな注釈で強い主表示を打ち消す設計

広告制作では、「何という単語を使ったか」だけでなく、「広告全体が消費者にどのような結果を期待させるか」を確認することが重要です。

よくあるご相談(FAQ)

医薬品広告で承認された効能効果は、そのまま記載できますか?

承認された効能効果を正確に記載することが基本ですが、記載方法まで自由になるわけではありません。大きな文字や画像、口コミ、ランキングなどと組み合わせることで、確実な効果や承認範囲を超える結果を保証する印象が生じる場合があります。効能文言だけでなく、用法用量、対象条件、使用上の注意、広告全体の見せ方を確認します。

医薬品広告で「必ず効く」「完全に治る」は使えますか?

効能効果が確実であることを保証する表現は避ける必要があります。医薬品等適正広告基準では、「根治」「全快する」など、患者の状態等を問わず効果が確実であるように見せる表現を認めていません。「絶対」「必ず」という単語がなくても、画像や体験談によって同じ印象を与える場合があります。

医薬品広告でビフォーアフター画像は使えますか?

使用前後の画像という形式だけで一律に判断するのではなく、承認外の効能、治癒、即効性、効果持続、安全性を保証していないかを確認します。特に患部が短時間で完全に消えるような画像は、効果発現時間と結果を保証する印象につながります。「個人差があります」という注釈だけでは、主表示の印象を修正できない場合があります。

Amazonや楽天のレビューをLPに転載できますか?

自発的に投稿されたレビューと、事業者が選別して自社LPへ転載したレビューは分けて考えます。LPへ掲載した時点で、事業者が構成した広告コンテンツとして確認される可能性が高まります。「治った」「すぐ効いた」などのレビューを抜粋すると、効能効果を保証する体験談になりやすいため、単に投稿者の許可を得ただけでは十分ではありません。

医薬品広告で売上No.1やランキング1位を使えますか?

医薬品では、根拠があれば一律に使えるとはいえません。医薬品等適正広告基準は「売上げNo.1」を最大級表現の例として挙げています。そのため、Amazonランキングなど客観的な順位であっても、医薬品広告として再利用できるかは個別確認が必要です。景品表示法上の調査根拠と、薬機法上の最大級表現の両方を確認します。

医薬品広告で他社製品との比較はできますか?

一般的な比較広告は景品表示法上、一律に禁止されていません。しかし、医薬品等適正広告基準では、製品同士の比較を自社製品の範囲に限定し、他社製品との比較広告を行わないよう示しています。自社従来品との比較であっても、対象製品、測定条件、数値の根拠を明確にし、効能の優越性を保証しないよう確認します。

医師や薬剤師の推薦コメントは使えますか?

医薬品等適正広告基準では、医薬関係者等が商品を推薦、公認、指導、選用している旨の広告は、特別な場合を除いて不適当とされています。事実であっても原則的な制限の対象です。「監修」は推薦と同じではありませんが、監修者の写真やコメントが商品効果の保証に見えないよう、監修範囲と表示方法を明確にする必要があります。

薬機法上問題がなければ、Amazon広告にも掲載できますか?

薬機法上の確認だけでは足りません。Amazonは独自の広告・ストアクリエイティブポリシーを定めており、法令上の承認効能に沿った表現でも、広告枠やストアでは使用できない場合があります。出稿する広告形式ごとに最新ポリシーを確認し、商品詳細ページ、広告コピー、画像、CTAの整合性を確認します。

まとめ

医薬品広告で使える表現・使えない表現を判断する際は、最初に商品ごとの承認内容と最新の添付文書を確認します。

そのうえで、次の順番で確認すると実務上の漏れを減らせます。

  1. 承認された効能効果・用法用量の範囲内か
  2. 効果、安全性、即効性を保証していないか
  3. 画像や口コミが承認範囲を広げていないか
  4. No.1、比較、医薬関係者推薦の制限を確認したか
  5. 注釈を含め、広告全体で誤認がないか
  6. 景品表示法・特定商取引法を確認したか
  7. Amazon等の最新媒体規約を確認したか

医薬品広告では、同じ表現でも、商品、承認内容、媒体、画像、配置、注釈、CTAによって評価が変わります。

医薬品広告の薬機法ルールや、制作時に確認すべきポイントを体系的に整理したい方は、 「医薬品広告の薬機法ガイド」もあわせてご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医薬品広告における表現可否の判断ポイントをまとめた図解。左側に検討すべき主要項目(ビフォーアフター、口コミ・レビュー、ランキング、比較広告、医師・専門家表現)を列挙し、中央に広告構成のイメージ、右側に確認すべき3つの視点(1. 承認範囲、2. 全体の印象、3. 関連ルール)を配置している。下部には「単語だけでなく、広告全体が何を約束しているように見えるかを確認する」という重要なメッセージが記載されている。

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