「この表現は薬機法でNGですか?」「使ってはいけないワードを一覧で確認したい」
健康食品や化粧品の広告制作では、このような疑問が頻繁に出てきます。たしかに、「治る」「予防する」「改善する」「若返る」「疲労回復」など、薬機法上のリスクが高くなりやすい表現はあります。
しかし、結論からいうと、薬機法は特定の単語だけを機械的に禁止する仕組みではありません。
問題になるかどうかは、健康食品、化粧品、医薬部外品、医薬品などの商材区分、承認・届出内容、表現の文脈、画像、体験談、注釈を含む広告全体の印象によって変わります。医薬品・医薬部外品・医療機器・化粧品等に関係する厚生労働省の広告基準の解説でも、文面だけを形式的に見るのではなく、媒体の性質や広告全体の構成、説明の文脈などを総合的に考慮する必要があると示されています。
この記事では、薬機法でNGになりやすいワード・表現を一覧で整理したうえで、健康食品と化粧品の違い、景品表示法・健康増進法との関係、LPやSNSにおける確認ポイント、広告の価値を失わせないリライトの考え方まで解説します。
- NGワード一覧だけでは判断できない:薬機法では、「治る」「改善する」などの単語だけでなく、画像、口コミ、ビフォーアフター、見出し、CTA(行動の指示)を含む広告全体が何を約束しているように見えるかを確認します。
- 商材区分によって表現できる範囲が異なる:健康食品、機能性表示食品、一般化粧品、医薬部外品、医薬品では、表示できる効能効果の範囲が異なります。同じ言葉でも商品によって判断が変わります。
- 言い換えではなく訴求軸を再設計する:NG表現を無難な言葉に置き換えるだけでは、広告の輪郭が失われます。商品特徴、ターゲット、生活場面、使用感、感情から伝え方を組み直すことが実務上のポイントです。
薬機法のNGワードとは?単語だけで判断できない理由

薬機法でNGになりやすいワードはありますが、特定の単語を避ければ広告上の問題が解消されるわけではありません。実務では、商材区分、承認・届出範囲、表示の文脈、画像や体験談との組み合わせを確認します。
なお、「薬事法」は旧称です。2014年の法改正後は、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」となり、一般に「薬機法」または「医薬品医療機器等法」と呼ばれています。
薬機法NGワード一覧だけでは判断できない
広告制作の現場では、次のような確認方法がよく見られます。
- 「改善」という言葉が入っていないか検索する
- 「治る」を「サポートする」に置き換える
- 「効果には個人差があります」と注釈を追加する
- 競合広告で使われている表現を参考にする
一次チェックとして単語を洗い出すこと自体は有効です。ただし、これだけでは十分ではありません。
厚生労働省の「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」では、違反広告に当たるかどうかは、事例や文面だけから形式的に判断するのではなく、媒体、広告全体の構成、説明の文脈などを総合的に考慮する必要があるとされています。また、同基準はウェブサイトやSNSを含むすべての媒体を対象としています。
つまり、原稿内のNGワードを削除しても、次のような構成であればリスクは残ります。
「もう年齢のせいにしない」という見出し
+ 深いシワを強調した顔写真
+ 使用前後の比較画像
+ 「1週間で鏡を見るのが楽しみに」という体験談
+ 化粧品の購入ボタン
本文に「シワ改善」と書いていなくても、広告全体としてシワが改善する効果を約束しているように受け取られる可能性があります。
参考までに、薬機法の一次チェックには登録不要・無料で使える「薬事ディフェンダー」が便利なので、ぜひご活用ください。
問題になるのは「効能効果を約束している印象」
広告チェックで見るべきなのは、「この単語があるか」ではなく、消費者が広告を見たときに何を期待するかです。
たとえば、健康食品広告で「血糖値を下げる」という表現を削除し、「食後の数値が気になる方へ」と変更したとします。
この一文だけなら直接的な作用を断定していないように見えるかもしれません。しかし、周囲に次の表示がある場合は印象が変わります。
- 血糖値の下降を示すグラフ
- 「医師も注目」とする見出し
- 使用前後の検査数値
- 「薬を減らせた」という体験談
- 血管内の糖が減少するアニメーション
文言を弱くしても、他の要素が具体的な身体作用を示していれば、広告全体では強い効能効果を標ぼうしているように見えます。
健康食品・化粧品・医薬部外品・医薬品で判断基準は異なる
同じ「改善」という言葉でも、商品区分によって確認内容が異なります。
| 商材区分 | 基本的な確認軸 | 「改善」表現の考え方 |
|---|---|---|
| 一般的な健康食品 | 医薬品的な治療・予防・身体機能への作用を示していないか | 症状や身体機能の改善を示すとリスクが高い |
| 機能性表示食品 | 届出表示と科学的根拠の範囲内か | 届出内容に「改善」がないのに独自に追加しない |
| 一般化粧品 | 化粧品として認められた効能範囲内か | 肌組織やシワ、シミ等の改善を断定しない |
| 医薬部外品 | 個別商品の承認効能の範囲内か | 承認された「シワ改善」等であれば表現できる場合がある |
| 医薬品 | 承認された効能効果・用法用量の範囲内か | 承認範囲内でも効果保証や最大級表現は避ける |
医薬品、医薬部外品など承認を要する製品については、明示的か暗示的かを問わず、承認された効能効果の範囲を超えて表現してはならないとされています。実際に一定の作用があるとしても、未承認の効能効果を広告できるわけではありません。また、機能性表示食品では届出表示は一字一句同一でなければならないとは限りませんが、要約・言い換え・画像等によって、届出された機能、対象者、作用の程度、根拠の主体を拡張してはいけません。
「単語チェック」と「広告全体チェック」の違い
| 確認方法 | 主な確認対象 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 単語チェック | 治る、改善、予防、回復など | 画像、グラフ、体験談、構成による暗示 |
| 商材区分チェック | 健康食品、化粧品、医薬部外品等 | 同じ成分を含む別商品との混同 |
| 根拠資料チェック | 試験結果、調査、届出資料 | 根拠より強い結論への飛躍 |
| 広告全体チェック | 見出し、画像、動画、CTA、注釈 | 各要素の組み合わせによる強い印象 |
| 媒体チェック | LP、SNS、EC、記事LP等 | 媒体独自の広告掲載基準 |
最初に危険度の高い単語を確認し、その後に広告全体を見る。この二段階で確認することが現実的です。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法の広告チェックでよくある誤解は、「NGワードを消せば問題がなくなる」という考え方です。
もちろん、「治る」「改善する」「予防する」といった表現は、優先的に確認すべき言葉です。しかし、現場でより大切なのは、広告全体が何を約束しているように見えるかです。
本文を弱い表現に直しても、画像、体験談、グラフ、ビフォーアフター、CTAの流れによって、医薬品的な効能効果を強く印象づけてしまうことがあります。
薬機法チェックは原稿の赤字修正ではなく、商材、媒体、ターゲット、訴求軸を含む広告設計の確認として行う必要があります。
薬機法でNGになりやすい表現一覧
薬機法上のリスクが高くなりやすいのは、疾病の治療・予防、身体機能の変化、承認範囲外の効能効果、効果や安全性の保証を示す表現です。
以下は、広告の初期チェックに使える代表例です。ただし、すべての商材について一律にNGとなる単語集ではありません。
| 表現の型 | リスクが高くなりやすい例 | 主な問題点 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 疾病の治療 | 治る、治療する、完治する | 医薬品的な効能効果 | 医薬品としての承認はあるか |
| 疾病の予防 | 予防する、再発を防ぐ、発症を防ぐ | 疾病予防の標ぼう | 承認・届出範囲内か |
| 症状の改善 | 便秘改善、肩こり改善、疲労回復 | 症状・身体機能への作用 | 商材区分は何か |
| 数値への作用 | 血糖値を下げる、血圧を下げる | 具体的な生理作用 | 届出表示や承認内容と一致するか |
| 美容上の構造変化 | シミが消える、肌が再生する | 治療・組織変化の印象 | 化粧品効能の範囲内か |
| 若返り | 若返る、老化を止める | 老化の改善・逆転 | 単なる印象表現を超えていないか |
| 体質変化 | 体質改善、太りにくい体になる | 身体機能の恒常的変化 | 一時的な使用感と混同していないか |
| 効果保証 | 必ず効く、即効、これだけで解決 | 効能効果の保証 | 根拠の有無にかかわらず保証的でないか |
| 安全性保証 | 絶対安全、副作用なし、誰でも安心 | 安全性の保証 | 使用条件や個人差を無視していないか |
| 最大級 | 最高、最強、究極、唯一 | 誇大・比較優位の印象 | 客観的根拠と比較条件があるか |
| 権威付け | 医師も認めた、厚生労働省推奨 | 推薦・公認の誤認 | 推薦表現の可否、事実関係 |
| 体験談 | 飲んだら治った、シワがなくなった | 体験談による効果保証 | 広告主の管理下にある表示か |
治療・予防を示す表現
「治る」「治療する」「予防する」は、医薬品的な効能効果を直接示しやすい言葉です。
一般的な健康食品や雑貨、一般化粧品について、病気や症状の治療・予防を目的とするように表示すると、未承認医薬品的な標ぼうとして問題になる可能性があります。厚生労働省は、食品と称して販売される物についても、表示、効能効果、用法用量、成分本質などから医薬品該当性を確認する考え方を示しています。
特に注意したい例は次のとおりです。
- がんを予防する
- 花粉症が治る
- うつ症状を改善する
- 認知症対策になる
- 糖尿病を防ぐ
- アトピーを治療する
病名を直接書いていなくても、「病院に行く前に」「薬に頼りたくない方へ」「検査結果が気になる方へ」といった表現と商品を強く結び付けると、治療や予防の代替手段であるような印象につながることがあります。
改善・回復・再生を示す表現
「改善」「回復」「再生」は、広告制作で特に使いたくなる言葉です。しかし、何がどのように変化するのかによってリスクが大きく変わります。
たとえば、次の表現は身体機能や症状への作用を示します。
- 疲労回復
- 便秘改善
- 血行改善
- 睡眠の質を改善
- 関節機能を回復
- 肌細胞を再生
一方、「使用性を改善しました」「パッケージを改良しました」のように、商品の仕様を説明する「改善」は、身体への効能効果を示すものではありません。
重要なのは、「改善」という単語の有無ではなく、改善の対象が身体、症状、疾病、肌組織などになっていないかです。
身体変化を断定する表現
以下のような表現も、具体的な身体作用を断定しやすいため注意が必要です。
- 脂肪を燃焼する
- 免疫力を上げる
- 筋肉がつく
- 代謝を高める
- 毒素を排出する
- 腸内環境を正常化する
- ホルモンバランスを整える
- 自律神経を整える
機能性表示食品など、一定の機能性を表示できる制度もあります。ただし、制度の対象商品であっても、届出内容を超えた表示ができるわけではありません。
安全性や効果を保証する表現
医薬品等適正広告基準では、効能効果や安全性を保証するような表現が問題になります。また、「最高の技術」「最先端の製造方法」など、製造方法の優秀性を最大級に示す表現についても、事実に反して誇大に誤認させるおそれがあるとして注意が示されています。
代表例は次のとおりです。
- 必ず効果が出る
- 1回で実感
- 誰でも変化する
- 失敗しない
- 副作用は一切ない
- 100%安全
- 妊娠中でも絶対安心
- 医薬品より安全
根拠資料がある場合でも、その資料が「すべての人に必ず同じ結果が出ること」まで証明しているとは限りません。調査結果や試験データを広告に使う場合は、対象者、条件、期間、評価方法と広告表現が対応しているかを確認します。
医薬品等適正広告基準については、「薬機法における医薬品等適正広告基準について解説」の記事で詳細に述べています。
医師・専門家・公的機関による推薦表現
医薬品・医薬部外品・医療機器・化粧品等の広告では、医薬関係者、病院、診療所、薬局、学校、学会などが指定、公認、推薦、指導、選用しているとする広告は、原則として行わないこととされています。事実であっても、一般消費者に与える影響が大きいことが理由です。
注意したい表現には、次のようなものがあります。
- 医師も認めた
- 皮膚科医推奨
- 医療機関が選んだ
- 厚生労働省認可だから効果が高い
- 国が効果を認めた
- 学会公認
健康食品についても、医師の写真や白衣姿、病院風の背景、医学データを組み合わせることで、医薬品のような治療効果や国の審査済み商品であるとの印象を与えないか確認が必要です。健康食品の医師推薦は、医薬品等適正広告基準の推薦規定が直接適用されるという整理ではありません。疾病効果や専門家による保証、国の承認等を誤認させないかを別途確認します。
体験談・口コミで注意すべき表現
広告主が選定・編集・転載した体験談は、第三者が書いた言葉であっても、広告の一部として確認する必要があります。
たとえば、本文では「健やかな毎日をサポート」としていても、直後に次の口コミを掲載すれば、具体的な効果を強く印象づけます。
「3日で便秘が解消しました」
「飲み始めて血糖値が下がりました」
「シミが薄くなり、ファンデーションが不要になりました」
「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈を付けても、主表示によって形成された強い印象が当然に解消されるわけではありません。
健康食品・サプリメント広告でNGになりやすいワード


健康食品・サプリメント広告では、疾病の治療・予防、症状の改善、身体機能への具体的な作用を示す表現が特に問題になりやすくなります。
食品の表示であっても、疾病の治療・予防、身体組織や機能の増強などを暗示的・間接的に示す表示は、健康増進法や景品表示法の確認対象にもなります。消費者庁は、健康食品の広告について、健康保持増進効果等が実証されていないにもかかわらず期待させる表示を、景品表示法・健康増進法上の虚偽誇大表示等として整理しています。
健康食品で特に注意すべきNG表現
| 表現例 | リスクが高くなる理由 | 再設計時の確認軸 |
|---|---|---|
| 疲労回復 | 医薬品的な効能効果を示しやすい | 利用場面、生活リズム、商品形状 |
| 便秘改善 | 症状の改善を直接示す | 食生活、毎日の習慣、届出表示 |
| 血糖値を下げる | 生理機能への具体的な作用 | 機能性表示食品か、届出文言は何か |
| 血圧を正常化する | 治療・身体機能正常化の印象 | 対象者、届出表示、根拠資料 |
| 免疫力アップ | 身体機能の増強を示す | 届出された機能性の有無 |
| 脂肪を燃やす | 直接的な代謝作用を断定 | 食事・運動との関係、届出範囲 |
| 睡眠障害を改善 | 疾病・症状改善の印象 | 「睡眠」に関する届出表示の範囲 |
| 認知症を予防 | 疾病予防の標ぼう | 一般健康食品では避ける |
| デトックス | 排出作用や解毒効果の暗示 | 何を意味する表現か具体化する |
| 体質改善 | 恒常的な身体変化を示す | 生活価値や利用体験に組み替える |
「改善」「治る」「予防」が危ない理由
健康食品は、医薬品として疾病を治療するために承認された商品ではありません。
そのため、広告で「病気が治る」「症状が改善する」「発症を予防する」と表現すると、食品でありながら医薬品のような効能効果を持つ商品として訴求していると受け取られる可能性があります。
ここで注意したいのが、直接表現を避ければよいわけではないという点です。
たとえば、「便秘」という言葉を使わず、次のように構成した場合を考えます。
お腹を押さえて苦しそうにする人物
+「何日も出ない、そんな毎日に」
+ 腸内を掃除するようなアニメーション
+「朝からスッキリ」
+ サプリメント商品
「便秘改善」と明記していなくても、広告全体として便秘症状に作用する商品であると印象づける可能性があります。
機能性表示食品の場合は届出表示の範囲を確認する
機能性表示食品は、事業者が安全性・機能性の科学的根拠などを販売前に届け出ることで、一定の機能性を表示できる制度です。特定保健用食品とは異なり、国が個別商品について審査・許可する制度ではなく、事業者の責任で表示を行います。
広告制作では、最低限、次の内容を確認します。
- 商品名と届出番号
- 機能性関与成分
- 届出表示の全文
- 科学的根拠が最終製品の試験か研究レビューか
- 対象者や摂取条件
- 広告表現が届出内容を超えていないか
消費者庁の留意事項では、届出表示の一部を省略した結果、根拠よりも強く「商品自体に機能がある」と見せる表示なども、届出内容を超える表示として問題になるおそれがあると示されています。
たとえば、届出表示が次の内容だったとします。
「本品には○○が含まれます。○○には、食後の血糖値の上昇を緩やかにする機能があることが報告されています。」
この場合、広告で単純に「血糖値を下げる」「糖尿病対策」「薬に頼らず血糖値改善」と変更することはできません。
また、他の商品で機能性表示の届出実績がある成分を配合していても、自社商品についてその機能を届け出ていなければ、同じ表示が当然に使えるわけではありません。
健康食品広告の言い換えは生活文脈で設計する
健康食品の表現を組み直す際は、「身体に何が起きるか」から、「どのような場面で取り入れやすいか」へ視点を移します。
言い換え方に関しては、「![]()
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| リスクが高い表現 | 単純な言い換え | 再設計の方向性 |
| 疲労回復 | 元気な毎日に | 毎日夕方まで活動的でいたい方に |
| 便秘改善 | スッキリ習慣 | 朝の生活リズムを大切にする毎日に |
| 免疫力アップ | 健康維持に | 季節の変わり目も生活リズムを守りたい方へ |
| 睡眠改善 | 快適な眠りへ | 忙しい一日の終わりに取り入れやすい習慣 |
ここで示した表現も、すべての商品で使える万能なOK表現ではありません。「食後の数値が気になる方へ」などは、商品や周囲の表示によって具体的な機能性を暗示するため、特に慎重な確認が必要です。
大切なのは、NG表現の効果をぼかして残すことではありません。購入者がその商品を選ぶ理由を、商品形状、味、携帯性、摂取方法、原料情報、生活場面などから再構成することです。
一般化粧品広告でNGになりやすいワード


一般化粧品では、肌の治療、組織の再生、シミやシワの除去、老化の改善などを示す表現がリスクの高い表現となります。
化粧品には、厚生労働省通知により表現できる効能の範囲が示されています。現在の一覧には「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」などに加え、「乾燥による小ジワを目立たなくする」が含まれています。
ただし、一般化粧品と医薬部外品では、表現できる内容が異なります。医薬部外品は、個別商品が受けた承認内容の確認が必要です。
化粧品で使える効能効果の範囲
一般化粧品では、たとえば次の方向で表現を設計します。
- 肌を整える
- 肌のキメを整える
- 皮膚にうるおいを与える
- 皮膚をすこやかに保つ
- 肌荒れを防ぐ
- 肌を柔らげる
- 皮膚の乾燥を防ぐ
- 日やけによるシミ、そばかすを防ぐ
- 乾燥による小ジワを目立たなくする
ただし、一覧に似た言葉が含まれていれば自由に使用できるわけではありません。商品の使用目的、用法、根拠資料、広告全体の印象を確認します。
日本化粧品工業会も、化粧品等の広告表現に関する自主基準として「化粧品等の適正広告ガイドライン」を公表しています。実務では、薬機法や医薬品等適正広告基準とあわせて、この業界自主基準や媒体基準を確認することになります。
化粧品でNGになりやすい美容表現
| リスクが高い表現 | 主な注意点 | 表現設計の方向性 |
|---|---|---|
| シミが消える | 治療・除去効果を示す | メイクアップ効果、日やけによるシミ予防等を明確化 |
| シワを改善する | 一般化粧品の範囲超過 | 乾燥小ジワの範囲・評価条件を確認 |
| ほうれい線を解消 | 肌構造の変化を暗示 | うるおい、メイク後の印象、使用感 |
| 肌が再生する | 細胞・組織の再生を示す | 肌を整える、なめらかにする |
| 若返る | 老化の逆転を示す | 年齢に応じたお手入れ |
| 顔がリフトアップ | 物理的・構造的変化を暗示 | メイクアップ効果や使用直後の物理的効果を明確化 |
| 真皮まで届く | 一般化粧品の浸透範囲を超える | 角質層まで等、事実に即して表現 |
| 毛穴が消える | 恒常的・構造的変化を暗示 | メイクアップ効果で目立ちにくくする等 |
| 美白 | 一般化粧品では基本NG(メイクアップのみ) | 薬用化粧品の承認、メイク効果等を区別 |
「シミ」「シワ」「ほうれい線」「若返り」の注意点
「シミ」という言葉は、文脈によって意味が変わります。
一般化粧品で「シミが消える」「できたシミを薄くする」と表現すれば、既に生じた色素沈着を改善する印象につながります。
一方、医薬部外品で「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」という効能を承認されている商品は、その承認範囲内で美白表現を設計できる場合があります。ただし、「予防」と「既にできたシミの除去」を混同しないことが必要です。
「乾燥による小ジワを目立たなくする」についても、単純な「シワ改善」とは異なります。厚生労働省は、この効能の追加に際して、消費者に誤解を与えないよう十分な注意と自主管理が必要であるとしています。
広告では、次の点を確認します。
- 「乾燥による」という条件を省略していないか
- 小ジワ以外の深いシワまで改善する印象になっていないか
- 適切な評価試験等が行われているか
- ビフォーアフター画像が効果保証になっていないか
- 医薬部外品の「シワ改善」と混同させていないか
化粧品広告の言い換え方
化粧品広告では、「肌そのものを治療・変化させる表現」から、「使用感、うるおい、仕上がり、印象、日常場面」へ訴求軸を移します。
言い換え方に関しては、「![]()
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| リスクが高い表現 | 単純な言い換え | 再設計の方向性 |
|---|---|---|
| シミが消える | 透明感ある肌へ | メイクアップ効果で明るい印象の肌へ うるおいを与えて艶のある肌へ |
| シワ改善 | 乾燥による小じわを目立たなくする | しばり表現なのと、条件を確認 |
| ほうれい線解消 | 口元すっきり | うるおいで、なめらかな印象の口元へ |
| 肌再生 | 肌を整える | 乾燥でごわつきやすい肌を、うるおいで整える |
| 若返る | エイジングケア | 年齢に応じたうるおいのお手入れ |
| 毛穴を消す | 毛穴レス | メイクアップ効果で毛穴を目立ちにくくする 洗浄効果で汚れを落として毛穴を目立たなくする |
「明るい肌」「透明感」「ハリ感」「毛穴レス」なども、単独で安全なワードではありません。メラニンへの作用、肌構造の変化、恒常的な改善を暗示していないか、注釈が見やすいか、写真による印象が強すぎないかを確認します。
薬機法NG表現と景品表示法・健康増進法の違い


薬機法上の表現を調整しても、広告としての確認が完了するわけではありません。
薬機法は医薬品的な効能効果や承認範囲を主に確認し、景品表示法は商品を実際より著しく優良・有利に見せていないかを確認します。健康食品では健康増進法、ECやLP(ランディングページ)では特定商取引法も関係します。
| 法規制 | 主な対象・判断軸 | 問題になりやすい表示 |
|---|---|---|
| 薬機法 | 医薬品等の効能効果、未承認医薬品的な標ぼう | 治る、改善、予防、承認範囲外の効能 |
| 景品表示法 | 実際より著しく優良・有利に見せていないか | No.1、満足度、比較、価格、実績、試験結果 |
| 健康増進法 | 食品の健康保持増進効果等に関する虚偽誇大表示 | 病気予防、痩身、健康効果、身体機能への作用 |
| 特定商取引法 | 通信販売の表示義務、誇大広告、申込条件 | 定期購入、価格、解約条件、返品条件、最終確認画面 |
| 食品表示法 | 食品の容器包装、機能性表示等 | 栄養成分、注意事項、対象者 |
薬機法と景品表示法の違い
薬機法上、直接的な効能効果を避けていても、景品表示法上の問題が残る場合があります。
たとえば、化粧品広告で「シミが消える」とは書いていなくても、次の表示があれば、実際より著しく優れた商品であるとの印象を与える可能性があります。
- 使用者満足度99%
- 美容家が選ぶ化粧水No.1
- 他社製品の10倍浸透
- 7日で驚きの変化
- 販売数日本一
- 今だけ半額としながら常時同じ価格で販売
景品表示法では、商品・サービスの品質や価格などについて、実際より著しく優良または有利であると一般消費者に示す不当表示が規制されています。
薬機法上使える効能効果であっても、試験結果や満足度を事実以上に強く見せれば、景品表示法上の合理的根拠や表示方法の問題が生じます。
景品表示法の詳細については「景品表示法の広告実務ガイド」で詳細に解説しています。
健康食品広告では健康増進法も確認する
健康増進法は、食品として販売される物について、健康保持増進効果等に関する著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示を禁止しています。
対象は、サプリメント形状の商品だけではありません。一般の飲料、野菜、果物、調理品なども含まれます。消費者庁は、健康食品について景品表示法と健康増進法を横断した留意事項を公表しています。
健康食品広告では、次の三つを分けずに確認する必要があります。
- 医薬品的な効能効果を示していないか
- 健康効果の根拠が表示内容を支えているか
- 機能性表示食品等の届出内容を超えていないか
健康増進法の詳細については「健康食品広告に関わる人のための健康増進法」「健康増進法で禁止される広告表現とは」もご確認ください。
EC・LPでは特定商取引法も確認する
通信販売では、販売価格、送料、支払方法、引渡時期、返品・解約条件などの表示義務があります。また、著しく事実と異なる表示や、実際より著しく優良・有利であると誤認させる誇大広告も禁止されています。
特に定期購入型の健康食品・化粧品では、薬機法表現だけでなく、次の表示も確認します。
- 初回価格と2回目以降の価格
- 契約期間や購入回数の条件
- 解約方法と受付期限
- 返品・キャンセル条件
- 申込ボタン付近の表示
- 最終確認画面の総額表示
- 「いつでも解約可能」の条件
広告審査を薬機法担当、価格表示をEC担当というように完全に分断すると、表示全体での見落としが生じやすくなります。
特定商取引法の詳細については「特定商取引法の広告実務ガイド」もご参照ください。
広告チェックは複数法規で見る必要がある
実務では、「薬機法上使えるか」だけを確認するのではなく、次の順番で見ると整理しやすくなります。
- 商材区分と承認・届出内容
- 薬機法上の効能効果表現
- 表示を支える合理的根拠
- 景品表示法上の優良・有利誤認
- 健康増進法上の虚偽誇大表示
- 通販条件と特定商取引法
- 媒体独自の広告掲載基準
「薬機法でNGではない」と「そのまま広告に掲載できる」は、同じ意味ではありません。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
健康食品や化粧品の広告では、薬機法だけを見て「この表現は大丈夫」と判断するのは危険です。
直接的な効能効果を避けていても、No.1表示、満足度、比較表現、体験談、ランキングによって、実際より著しく優れている印象を与えれば、景品表示法の確認が必要になります。健康食品であれば、健康増進法上の虚偽誇大表示も確認します。
広告チェックで見るべきなのは、単語の置き換えではありません。消費者が広告全体からどのような期待を持つかを基準に、複数の法規制を横断して確認することが実務上のポイントです。
薬機法NG表現の言い換えはどう考えるべきか
薬機法NG表現の言い換えでは、危険な単語を安全そうな単語へ置き換えるだけでは不十分です。
商品特徴、ターゲット、使用場面、購買動機を整理し、何をどの順番で見せるかまで再設計する必要があります。
これこそがまさに![]()
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NG表現をOK表現に置き換えるだけでは不十分
「疲労回復」が使いにくいから「元気な毎日へ」にする。「シワ改善」が使えないから「年齢肌ケア」にする。
このような単純な置き換えは、原稿を修正しやすい反面、広告を抽象的にします。
たとえば、次のコピーを考えてみます。
毎日の健康をサポートします。
元気でイキイキとした生活を送りたい方へ。
この文章には、健康食品の種類、特徴、対象者、利用場面、選ぶ理由がほとんどありません。競合商品にも当てはまるため、広告としての輪郭が失われています。
言い換えを始める前に、次の内容を整理します。
- 商品はどのような形状か
- 原料や製法に客観的な特徴はあるか
- 味、香り、使用感はどうか
- どのような生活場面で使うか
- 続けやすさの理由は何か
- ターゲットが避けたい不便は何か
- 購入前にどのような不安を持つか
- 競合商品と何が異なるか
薬機法対応は、言えることを減らす作業ではありません。商品について直接言える事実を見つけ直す作業でもあります。
生活シーン・感情・使用体験に置き換える
効能効果を直接約束できない場合、生活場面や使用体験から価値を説明します。
| リスクが高い表現 | 弱い言い換え | 再設計例 |
|---|---|---|
| 疲労回復 | 元気な毎日に | 忙しい日の夕方も、アクティブでいたい方へ |
| 便秘改善 | スッキリ習慣 | 朝の生活リズムを見直したい方の毎日に |
| シミが消える | 明るい肌へ | メイクアップ効果で、ファンデーションが映える明るい印象へうるおいのある、なめらかで透明感のある肌へ |
| 若返る | 年齢ケア | 年齢に応じたうるおいのお手入れを、毎日の楽しみに |
| 睡眠改善 | おやすみサポート | 慌ただしい一日の終わりに、続けやすい習慣を |
| 毛穴が消える | 毛穴レス肌 | メイクアップ効果で、なめらかな印象の仕上がりへ洗浄効果で汚れを落として毛穴を目立たなくする |
ただし、生活シーンに変えれば必ず使用できるわけではありません。
「夕方まで元気」「朝からスッキリ」なども、画像や商品説明との組み合わせによっては、疲労回復や便秘改善を暗示します。表現をぼかして元の効果を伝えようとするのではなく、商品について適切に説明できる別の価値を探すことがポイントです。
画像・ファーストビューも薬機法リスクに影響する
LPのファーストビューでは、数秒で商品価値を伝える必要があるため、強いコピーと画像が使われます。
しかし、短時間で伝わる構成は、同時に効能効果を強く印象づけやすい構成でもあります。
次の組み合わせには注意が必要です。
- 深いシワの写真と「もう悩まない」
- 膝を押さえる人物と「階段が怖くない毎日へ」
- 大量の脂肪が燃えるCGと「内側から熱く」
- 血管内がきれいになるアニメーション
- 使用前後で体形が変化する画像
- 白衣姿の人物と研究データ
- 「薬を飲み続けますか?」という問題提起
文言だけを見ると断定していなくても、画像によって結論が補完されている場合があります。
原稿確認の際は、テキストをWordファイルだけで審査するのではなく、デザインに組まれた状態で再確認することが必要です。
広告審査に通すだけでなく、伝わる表現に再設計する
薬機法対応の目的を「NGを出さないこと」だけにすると、広告がどんどん抽象化します。
実務では、次の三つを同時に考えます。
- 法令や承認・届出内容との整合性
- 消費者に誤解を与えない情報伝達
- 商品を選ぶ理由が理解できる広告設計
具体的には、次の要素を組み合わせます。
- 商品の物理的な特徴
- 配合目的を逸脱しない成分説明
- 製造工程や品質管理
- 味、香り、テクスチャー
- 容器や使いやすさ
- 生活に取り入れる場面
- 使用方法
- ブランドの開発背景
- 対象者の価値観や感情
- よくある購入前の疑問
「何が言えないか」から始めるのではなく、「事実として何が言えるか」を洗い出すと、リライトの選択肢を増やせます。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法対応で失敗しやすいのは、NG表現を無難な言葉へ置き換えて終わらせることです。
健康食品で「疲労回復」が使いにくいからといって、すべてを「元気な毎日へ」にすると、どの商品にも使えるコピーになり、広告の輪郭がなくなります。
ここで見直すべきなのは、言葉だけではありません。商品の特徴、使用場面、ターゲットの感情、続けやすさ、購入後に得たい生活上の価値まで整理し直します。
法律への対応は前提ですが、それだけでは広告は機能しません。何を言わないかだけでなく、何を、どの順番で伝えるかまで![]()
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媒体別に見る薬機法NG表現のチェックポイント
薬機法NG表現の確認では、原稿本文だけでなく、媒体ごとの表示方法とユーザーが実際に見る順番を確認します。
医薬品等適正広告基準は、ウェブサイトやSNSを含むすべての媒体を対象としており、媒体の性質や広告全体の構成も判断要素になります。
| 媒体 | 注意する箇所 | 主なチェック観点 |
|---|---|---|
| LP | ファーストビュー、見出し、CTA、画像 | 効能効果を強く約束していないか |
| 記事LP | 体験談、比較、ランキング、監修 | 第三者記事を装っていないか |
| EC商品ページ | 商品名、サムネイル、説明、レビュー | ページ全体で医薬品的効果を示していないか |
| SNS広告 | 画像、動画、テロップ、投稿文 | 短いコピーが断定的になっていないか |
| バナー | キャッチコピー、人物写真、図解 | 注釈なしで強い効果を印象づけていないか |
| 動画 | ナレーション、字幕、演出、音声 | 映像によって効果が補完されていないか |
| メール | 件名、本文、遷移先 | メールとLPを一体で見た印象はどうか |
LP・記事LPのチェックポイント
LPでは、ファーストビューだけでなく、ページ全体のストーリーを確認します。
特に注意したいのは、次の流れです。
- 症状や悩みを強く提示する
- 原因を医学的に説明する
- 商品成分が原因へ作用すると説明する
- 体験談やデータで変化を示す
- 「今すぐ対策」と購入を促す
各文章に直接的なNGワードがなくても、この構成によって「商品が症状の原因へ作用し、改善する」というストーリーが完成します。
記事LPでは、一般の記事や第三者のレビューのように見せながら、実際には商品購入へ誘導しているケースがあります。体験談、専門家監修、ランキング、比較表、広告であることの明瞭性も含めて確認します。
EC商品ページのチェックポイント
ECでは、商品説明欄だけを確認しても不十分です。
- 商品名
- 商品画像内のコピー
- サムネイル
- カテゴリー名
- 検索用キーワード
- 商品仕様
- 販売者からの回答
- 店舗が編集・転載したレビュー
- セット商品の説明
- 関連商品の表示
モール上のレビューを自社LPや商品画像に転載すると、広告主が選定した広告素材として扱われる可能性があります。掲載場所が変わることで、表示の性質も変わる点に注意します。
また、薬機法・景品表示法に加えて、モール独自の広告掲載基準も確認します。
SNS広告・バナー広告のチェックポイント
SNS広告やバナーは表示面積が小さいため、短く強い表現になりがちです。
- 飲むだけ
- 塗るだけ
- たった3日
- 激変
- 即効
- 一発ケア
- 老け顔卒業
- 病院に行く前に
短いコピーは条件や前提が省略されるため、断定的に受け取られやすくなります。
また、投稿本文には注釈があっても、画像内の強い表示だけが切り取られて配信・共有される場合があります。主表示と注釈の距離、文字サイズ、表示時間も確認してください。
画像・動画・口コミも広告表現として確認する
広告における「表現」は、文章だけではありません。
次の要素も確認対象に含めます。
- 人物の表情
- 身体部位の拡大画像
- 医療機関を連想させる背景
- 白衣、聴診器、カルテ
- 炎症や脂肪が消えるCG
- 数値が上下するグラフ
- 使用前後の写真
- 効果音やナレーション
- コメント欄に固定した投稿
- インフルエンサーの発言
画像と文言を別々に確認するのではなく、消費者が画面上で同時に見る状態で確認することが必要です。
薬機法NGワードに関するよくある誤解
薬機法対応では、NGワードの置き換え、注釈、体験談などによって問題を回避しようとするケースがあります。しかし、小手先の修正だけで広告全体の印象を変えられるとは限りません。
NGワードを避ければ安全という誤解
「改善」を「サポート」に変更したから問題ない、とは限りません。
たとえば、次の表現を見てください。
血糖値が気になる方をサポート
食後に1粒、新習慣
利用者の94%が変化を実感
低下するグラフを掲載
「下げる」「改善」という単語はありません。しかし、広告全体では血糖値を下げる効果を示しているように見えます。
「サポート」「ケア」「対策」「アプローチ」「働きかける」なども、対象や周囲の表示によって効能効果を暗示します。
注釈を入れれば大丈夫という誤解
次のような注釈は頻繁に使われます。
- 個人の感想です
- 効果には個人差があります
- 使用感には個人差があります
- イメージです
- 本品は医薬品ではありません
これらの注釈には情報を補足する役割がありますが、強調表示と矛盾する注釈を入れれば問題が解消されるわけではありません。
たとえば、「絶対にシミが消える」と大きく表示し、小さく「個人の感想です」と書いても、主表示によって形成された印象は残ります。
注釈を追加する前に、主表示そのものが適切かを確認します。実際、消費者庁は注釈があることで表現を必ず補足できるわけではないと明確にしています。
口コミ・体験談なら自由に書けるという誤解
広告主が体験談を選び、自社LPへ掲載している場合、その体験談は広告全体の一部です。
| よくある誤解 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|
| お客様が実際に言ったので掲載できる | 事実でも効能効果の保証表現にならないか |
| 個人の感想と書けば掲載できる | 注釈で全体印象が解消されるか |
| SNSの投稿をそのまま転載した | 広告主が選定・転載した表示として確認する |
| モニターの感想なので問題ない | 募集条件、依頼内容、PR表示も確認する |
| 医師の感想なので信頼できる | 医薬関係者の推薦表現に当たらないか |
| ビフォーアフターは事実だから使える | 効果保証や典型的効果の誤認を与えないか |
体験談を掲載するときは、効能効果だけでなく、広告主の関与、景品表示法上の表示主体、ステルスマーケティング規制、著作権、媒体規約も確認します。
薬機法NG表現で迷ったときのチェックリスト


薬機法NG表現で迷ったときは、単語検索から始めるのではなく、商材区分、承認・届出内容、根拠資料、表示全体の順番で確認します。
1.商材区分は何か
- 医薬品
- 医薬部外品(薬用化粧品含む)
- 一般化粧品
- 医療機器
- いわゆる健康食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
- 特定保健用食品
- 雑貨
商品の販売名や見た目だけで判断せず、製造販売上の正式な区分を確認します。
2.承認範囲・届出表示・効能範囲を確認したか
- 医薬品・医薬部外品の承認書
- 医療機器の承認・認証・届出内容
- 化粧品の効能範囲
- 機能性表示食品の届出表示
- 栄養機能食品の定型文
- 特定保健用食品の許可表示
同じ成分を含む別商品や競合商品の表示を、そのまま自社商品へ流用しないことが重要です。
3.疾病・身体機能・美容変化を示していないか
次の対象について、治療、改善、予防、増強、正常化、除去などを示していないか確認します。
- 病気
- 症状
- 検査数値
- 身体機能
- 体質
- 肌組織
- シミ、シワ
- 毛髪や発毛
- 脂肪や体重
- 睡眠や精神状態
4.根拠資料と表示内容が一致しているか
- 試験対象者は広告のターゲットと一致しているか
- 試験商品と販売商品は同一か
- 摂取量や使用量は同じか
- 試験期間を省略していないか
- 一部の結果だけを強調していないか
- 統計的有意差と実用上の効果を混同していないか
- 成分の研究を商品全体の効果に置き換えていないか
5.文言・画像・口コミをまとめて確認したか
- ファーストビュー
- キャッチコピー
- 商品画像
- グラフ
- ビフォーアフター
- 体験談
- 専門家コメント
- 注釈
- CTA
- 動画・音声
- 遷移元広告
広告を構成する要素を一画面ずつ見るだけでなく、ユーザーが閲覧する順番でも確認します。
6.薬機法以外の法規制を確認したか
- 景品表示法
- 健康増進法
- 食品表示法
- 特定商取引法
- ステルスマーケティング規制
- 著作権・肖像権
- 媒体独自の掲載基準
7.社内だけで判断しにくい要素はないか
次のケースでは、法務、薬事担当者、外部専門家などへの確認を検討します。
- 商品区分そのものが不明確
- 新しい作用機序を訴求したい
- 届出表示の要約が可能か判断しにくい
- 医学論文や試験結果を広告に使いたい
- 医師・専門家の推薦を掲載したい
- 大規模なLPや記事LPを公開する
- パッケージへ強い表現を掲載する
- 複数媒体で同じクリエイティブを展開する
よくあるご相談(FAQ)
- 薬機法のNGワードは一覧で決まっていますか?
-
薬機法には、「この単語を使ったら一律に違反になる」という完全なNGワード一覧が定められているわけではありません。「治る」「予防する」「改善する」などは医薬品的な効能効果を示しやすく、リスクが高い代表的な表現です。しかし、最終的には商材区分、承認・届出範囲、根拠資料、媒体、画像や体験談を含む広告全体の印象で確認します。反対に、「サポート」「ケア」など一見弱い言葉でも、周囲の表示によって具体的な効果を暗示する場合があります。
- 健康食品で「疲労回復」や「便秘改善」は使えますか?
-
一般的な健康食品・サプリメント広告で「疲労回復」「便秘改善」と表示すると、症状や身体機能への具体的な作用を示すため、薬機法上のリスクが高くなります。機能性表示食品は一定の機能性を表示できますが、届出された表示内容と根拠の範囲内で設計しなければなりません。「機能性表示食品だから改善表現を自由に使える」ということではないため、届出表示の全文、対象者、根拠の種類を確認してください。
- 化粧品で「シミが消える」「シワが改善する」はNGですか?
-
一般化粧品で「シミが消える」「シワが改善する」「ほうれい線を解消する」「肌が再生する」と表現すると、化粧品の効能範囲を超え、治療や肌構造の変化を示す可能性があります。一方、医薬部外品(薬用化粧品)では、個別商品の承認内容に応じて「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」「シワを改善する」などを表現できる場合があります。一般化粧品と医薬部外品を区別し、条件や注釈を含めて確認する必要があります。
- 「個人の感想です」と入れれば体験談で効果を書けますか?
-
「個人の感想です」という注釈を入れても、体験談全体が効能効果を強く印象づける場合はリスクが残ります。健康食品で症状改善を示す体験談や、化粧品でシミ・シワの改善を断定する体験談は、広告主が選定して掲載することで広告の一部となります。注釈は主表示を補足するものであり、不適切な主表示を打ち消す万能な方法ではありません。本文、画像、体験談、ビフォーアフターを一体で確認します。
- 薬機法で問題なければ景品表示法は気にしなくてよいですか?
-
薬機法上のリスクが低くても、景品表示法上の問題が残ることがあります。合理的根拠が不十分なNo.1表示、満足度表示、他社比較、試験データ、販売実績、価格表示などは、優良誤認・有利誤認の観点で確認が必要です。健康食品では健康増進法、通信販売では特定商取引法も関係します。そのため、広告チェックは薬機法だけで完結させず、表示全体を複数法規で確認することが重要です。
- 薬機法NG表現はどう言い換えればよいですか?
-
危険な単語を安全そうな単語へ置き換えるだけでは、広告が抽象的になりやすくなります。実務では、商品形状、原料、製法、使用感、味、香り、使いやすさ、ターゲットの生活場面、購入前の不安などを整理し、事実として説明できる価値を探します。効能効果をぼかして伝えるのではなく、生活場面や使用体験、商品の具体的な特徴へ訴求軸を組み替えることがポイントです。
- 薬事法と薬機法のNG表現は違いますか?
-
「薬事法」は旧称で、現在は「医薬品医療機器等法」、通称「薬機法」と呼ばれています。検索では現在も「薬事法 NGワード」という言葉が使われていますが、実務では現行の薬機法、関連通知、行政資料に基づいて確認します。旧薬事法時代の記事や資料には、改正前の制度名や古い運用が含まれている可能性があります。公開日や改定日を確認し、厚生労働省、消費者庁、業界団体の現行資料を参照してください。
- 薬機法NGワードのチェックは社内だけでできますか?
-
基本的な危険表現の洗い出しは、社内チェックリストや一次確認ツールでも対応できます。ただし、承認・届出範囲の解釈、論文や試験結果の広告利用、作用機序、画像を含めた全体印象、媒体審査まで判断する場合は、専門的な確認が必要になることがあります。複数の担当者が広告を制作する企業では、商材別ルール、確認フロー、責任者、相談基準をあらかじめ決めておくと、公開直前の大幅修正を減らしやすくなります。
まとめ
薬機法のNGワード一覧は、広告原稿の初期チェックには役立ちます。しかし、一覧だけで広告の掲載可否を判断することはできません。
実務で確認すべきなのは、次の三点です。
第一に、商品が健康食品、機能性表示食品、一般化粧品、医薬部外品、医薬品のどれに該当するかを確認します。
第二に、承認・届出内容や化粧品の効能範囲と、広告表現が一致しているかを確認します。
第三に、文言だけでなく、画像、体験談、グラフ、注釈、CTA、遷移元広告を含めて、広告全体が何を約束しているように見えるかを確認します。
NG表現を削除するだけでは、広告の価値が伝わらなくなることがあります。その場合は、効果をぼかして残すのではなく、商品特徴、使用感、生活場面、ターゲットの感情、選びやすさなどから訴求軸を再設計することが必要です。
薬機法、景品表示法、健康増進法、特定商取引法など、広告制作で確認すべき規制の全体像を整理したい方は、「薬機法・景品表示法など広告規制の総合ガイド」もあわせてご覧ください。
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参考情報・引用元
本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局長「医薬品等適正広告基準の改正について」厚生労働省, 2017年9月29日(薬生発0929第4号). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」厚生労働省, 2017年9月29日(薬生監麻発0929第5号). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生省薬務局長「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」厚生労働省, 1971年6月1日(薬発第476号). https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品情報」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/diet/musyounin.html(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長「無承認無許可医薬品の監視指導について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/dl/kanshishidou.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬食品局長「化粧品の効能の範囲の改正について」厚生労働省, 2011年7月21日(薬食発0721第1号). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/kesyouhin_hanni_20111.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 厚生労働省医薬食品局審査管理課長・監視指導・麻薬対策課長「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」厚生労働省, 2011年7月21日(薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/kesyouhin_hanni_20112.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン」日本化粧品工業会. https://www.jcia.org/user/business/advertising/(参照日:2026年07月16日)
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- 消費者庁「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」消費者庁, 2020年4月1日一部改正. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項」消費者庁, 2020年4月1日一部改正. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「機能性表示食品について」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「機能性表示食品の広告等に関する主な留意点」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/150911premiums_1.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/about_foods_with_function_claims_200324_0003.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 関係業界団体「『機能性表示食品』適正広告自主基準(第4版)」消費者庁掲載資料, 2026年. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims/info_session/assets/food_labeling_cms205_260529_03.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180921_0001.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180607_0004.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180516_0003.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の指定及び運用基準の公表について」消費者庁, 2023年3月28日. https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁長官「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」消費者庁, 2023年3月28日. https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_230328_03.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「通信販売に関するガイドライン」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/guidelines.html(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」消費者庁, 2022年6月1日. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20220601la02_07.pdf(参照日:2026年07月16日)
- 消費者庁「通信販売における『最終確認画面』について」消費者庁. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230628ac01.pdf(参照日:2026年07月16日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



