LPに「血糖値が142から108へ」「血圧が15mmHg低下」と入れれば、効果は一目で伝わります。しかし、「血糖値142→108」と商品摂取を因果的に結び付ければ、血糖値低下作用の標ぼうとして医薬品的効能効果が問題となります。
一方、特定保健用食品、機能性表示食品、承認・認証済み医療機器では、許可・届出・承認の範囲内で表現できる場合があります。血糖値・血圧・体脂肪・睡眠スコアを例に判断します。
数値改善がNGになる理由を法令ごとに分ける
薬機法上の直接的な問題は、未承認の商品に医薬品的な効能効果を持たせることです。血糖値や血圧を下げる、睡眠機能を改善する表示は、身体機能への作用を示します。
「改善」がなくても、前後の数値、下降矢印、白衣画像を組み合わせれば同じ効能を暗示します。承認済み医療機器も、承認・認証された範囲を超えて広告できません。
健康増進法は、健康効果を書いた時点で直ちに違反とする法律ではありません。健康保持増進効果について、著しく事実に相違し、または著しく人を誤認させる表示を規制します。
景品表示法では、効果を実際より著しく優良に見せていないか、合理的根拠があるかが問われます。文言、グラフ、写真、注釈、体験談を含む広告全体で判断されます。
事例1|一般サプリの「血糖値142→108」は使えない

一般サプリのLPにモニターの血糖値を「142→108」と掲載し、「飲み続けた結果」と説明する表現はNGです。商品に血糖値を下げる作用があると示し、糖尿病対策まで連想させるからです。
「個人の感想です」と注釈しても修正にはなりません。数値と摂取の因果関係を、広告の本文や構成で示しているためです。
一般食品として販売するなら、配合原料、含有量、形状、味、携帯性などの商品事実へ訴求軸を移します。健康食品広告で血糖値・血圧・中性脂肪は訴求できる?でも詳しく解説しています。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
数値はコピーより強く見えます。「下がる」と書かなくても、摂取前後の数字と下降矢印を並べれば、読者は商品による改善と受け取ります。
数字の正しさだけでなく、「誰の、何の試験で、どの商品を、どの条件で評価した数字か」を先に確認してください。原料データを最終商品に載せ替える設計は、注釈では救えません。
事例2|機能性表示食品でも「血圧15mmHg低下」と書けるとは限らない


届出表示が「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」であっても、「15mmHg低下」「正常値に戻る」と自由に拡張できません。
数値を使うなら、届出の根拠と広告主張が対応し、対象者、摂取量、期間、評価指標などの条件が誤認なく伝わる必要があります。
特定保健用食品も同じです。消費者庁資料では、「糖の吸収を穏やかにする」と許可された商品を「血糖値を下げる」と表示する例が問題とされています。許可・届出の範囲へ戻し、病者の治療や数値の正常化まで連想させないことが必要です。
詳しい言い換えの判断は、機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?もご覧ください。
事例3|機能性表示食品で「体脂肪率マイナス5%」はグラフも審査する


体脂肪に関する機能性表示食品でも、「飲むだけで体脂肪率-5%」と一律に表示できません。
届出が内臓脂肪を対象としているのに全身の体脂肪へ広げる、BMIが高めの人を対象にした試験を全員に当てはめる、論文グラフを最終製品の試験結果に見せる表現はNGです。
縦軸を途中から始めて差を大きく見せる、都合のよい時点だけを切り出す方法も問題になります。届出表示と根拠の対象範囲へ戻し、試験条件と、最終製品試験か研究レビューかを明確にします。
広告表現については、機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?でも詳しく解説しています。
薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
エビデンスがあることと、そのグラフを広告に載せられることは同じではありません。原料と最終製品、試験対象者と広告対象者、評価項目とコピーが一致しているかを見ます。
数字を大きく、条件を小さくするほど、根拠との対応は崩れます。企画段階で、使う数値と見せ方をセットで審査してください。
事例4|睡眠スコアの表示と「睡眠改善」は別
一般的な睡眠サプリで「睡眠スコア55→82」「深い睡眠が30%増加」はNGです。商品摂取による睡眠機能の改善を具体的に示すためです。
機能性表示食品でも、独自スコアの上昇が届出の科学的根拠と対応していなければ使えません。届出に使用した評価指標とは異なる独自スコアを、同じ効果として置き換えることはできません。
睡眠アプリやウェアラブル機器は、データを記録・表示する機能と、「不眠を診断する」「睡眠障害を治療する」「スコアを改善する」という機能を分けます。
疾病の診断・治療・予防を目的とする場合は、プログラム医療機器への該当性確認が必要です。承認医療機器であっても、広告は承認された使用目的や性能の範囲内に限られます。
健康食品の睡眠訴求は健康食品広告で睡眠改善は訴求できる?、機器・アプリの区分は医療機器該当性の判断基準につなげると判断しやすくなります。
実務では「数字を弱める」のではなく訴求軸を組み直す
最初に、商品区分、許可・届出・承認内容、最終製品の根拠、対象者、期間、評価指標を確認します。次に、伝えたい内容が「疾病対策」「身体機能の改善」「測定・可視化」「生活上の使いやすさ」のどれかを分けます。
一般食品で身体機能の改善を表現できないなら、「血糖値が下がる」を「健康をサポート」に変えて終わらせてはいけません。前後の数値や人物画像で改善を暗示したままでは、修正にならないからです。
一般食品では、原材料、配合量、味、形状、携帯性、利用場面などの商品事実へ移します。機能性表示食品・特保は届出・許可の範囲へ戻し、医療機器は承認された測定・表示機能と改善効果を切り分けます。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
LP完成後に数値を削ると、ページ全体のストーリーが崩れます。構成案の段階で、「この数字は使えるか」「使えない場合、何を価値として見せるか」を決めてください。
法律上説明できる表現でも、媒体独自の考査で止まることがあります。法令判断と媒体基準を混同せず、両方を公開前の工程に入れることが手戻りを減らします。
まとめ
一般的な健康食品で、血糖値・血圧・体脂肪・睡眠スコアの改善を数値で示す表現は使えません。特保・機能性表示食品・医療機器でも、許可・届出・承認範囲と根拠条件を超える数字はNGです。
確認すべきなのは、数字の真偽だけではありません。その数値が最終製品のものか、対象者や期間が広告と一致するか、グラフや画像を含む全体が治療・正常化・確実な減少を暗示していないかを確認してください。
数値訴求が使えないときは、曖昧な言い換えに逃げず、商品事実、利用価値、測定・記録機能など、商品区分上表現できる軸へ組み直します。
薬機法で利用できるワードについて体系的に理解したい方は「薬機法違反になる広告表現とは?健康食品・化粧品・医薬部外品で注意すべき判断基準 」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日、薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日、薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日、薬発第476号、後続改正あり)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年08月08日)
- e-Gov法令検索「健康増進法」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103(参照日:2026年08月08日)
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- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_241001_01.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A」2024年7月作成. 消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_240722_01.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/(参照日:2026年08月08日)
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- 消費者庁「表示に関するQ&A」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「機能性表示食品について」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「機能性表示食品の届出について」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「機能性表示食品に関する質疑応答集」(令和7年10月1日)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/notice/assets/food_labeling_cms205_251001_43.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医療機器プログラムについて」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00004.html(参照日:2026年08月08日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
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実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



