「この表現は薬機法上使えないので、別の言葉に直してください」
広告制作の現場で本当に困るのは、NGと指摘された瞬間より、その後ではないでしょうか。
結論からいうと、薬機法対応は、問題のある言葉を無難な表現へ1対1で置き換える作業ではありません。まず商品が一般健康食品、機能性表示食品、化粧品、医薬部外品などのどれに当たるのかを確認し、その商材で伝えられる範囲を整理します。そのうえで、元のコピーが「誰に、どんな価値を、どのような変化として伝えようとしていたのか」を分解し、残せる商品特徴、使用感、生活シーン、選択理由などから訴求を組み直します。
さらに、広告は文章だけで判断できるとは限りません。画像、見出し、体験談、グラフ、注釈、CTAを組み合わせた結果、広告全体が何を約束しているように見えるかまで確認する必要があります。
この記事では、B&H Promoter’sが「
薬機法ライティング®」で重視している、言い換えで終わらせない広告表現の再設計プロセスを8つのステップに分けて解説します。
本記事の例は「そのまま使えるOK表現集」ではなく、訴求を組み直すための考え方としてご覧ください。
- 言い換えではなく訴求を再設計する:NG表現を別の単語へ置き換えるだけでは、商品の個性や広告のストーリーが失われることがあります。元のコピーが伝えようとした価値を分解し、残せる要素から組み直します。
- 最初に商材分類と表示可能範囲を確認する:一般健康食品、機能性表示食品、化粧品、医薬部外品では広告表現の前提が異なります。「何と言い換えるか」より前に、「何の商品で、どこまで言えるか」を確認します。
- コピーだけでなく広告全体を見る:本文を穏当な表現へ直しても、画像、体験談、グラフ、CTAによって元の効能効果が伝われば十分な対応にならない可能性があります。完成クリエイティブ全体で確認することが必要です。
薬機法対応は「NG表現の言い換え」だけでは終わらない
薬機法対応で重要なのは、NGになった言葉の代替語を探すことではありません。
元の表現が読み手に何を約束しようとしていたのかを分解し、その商品で事実として伝えられる価値から広告の中心軸を作り直すことが重要です。
なぜ1対1の言い換えでは広告が弱くなるのか
広告制作では、次のような修正が行われることがあります。
「疲労回復」
↓
「元気な毎日をサポート」
「シワを改善」
↓
「年齢肌をケア」
「血糖値を下げる」
↓
「数値が気になる方へ」
言葉だけを見ると穏当になっています。
しかし、この方法には大きな問題があります。
もともとの広告が「疲労が回復する」「シワが改善する」「血糖値が下がる」という具体的な結果を中心に設計されていた場合、その表現だけを削ると、広告全体から購入理由がなくなってしまうからです。
すると、
「すっきりした毎日へ」
「健やかな毎日に」
「自分らしく輝くために」
といった、どの商品にも使えそうなコピーが増えていきます。
薬機法に配慮した結果、広告が弱くなるというより、元の訴求を残したまま単語だけを弱くすることが、広告を弱くしているケースが少なくありません。
この内容の詳細は、「薬機法NGな表現の言い換えだけでは売れない理由|OK表現に直した後の落とし穴」でも語っています。
「NG語」ではなく元の訴求意図を見る
修正するときに見るべきなのは、その言葉の奥にある意図です。
たとえば「疲労回復」というコピーには、単なる身体作用以外にも、次のような情報が含まれているかもしれません。
- 仕事や家事で忙しい人がターゲット
- 一日の後半に負担を感じている
- 毎日を活動的に過ごしたい
- 継続して使いたい商品である
- 手軽に取り入れられることが価値
- 自分のペースを保ちたいという感情がある
このうち、すべてが「疲労回復」という医薬品的な効能そのものではありません。
法令上扱いにくい「身体が回復する」という約束と、広告として残せる可能性があるターゲット、使用場面、商品特徴、選択理由を分けることが、リライトの出発点になります。
「この表現ならOK」という万能な言い換えはない
薬機法の言い換え一覧を探したくなる気持ちは分かります。
ただし、
「サポートならOK」
「気になる方へならOK」
「生活シーンならOK」
「感情表現ならOK」
というような万能なホワイトリストはありません。
たとえば「夕方まで自分のペースを崩したくない方へ」という表現だけを見れば、身体作用を直接断定していないように見えます。
しかし、
疲れた人物の写真
+ 商品摂取
+ 活動的になった人物
+ 「夕方まで自分のペースを崩さない」
+ 購入CTA
という構成であれば、元の「疲労回復」と近い効果を広告全体で伝えているように受け取られる可能性があります。
だからこそ、薬機法対応では、単語ではなく広告全体の意味を見る必要があります。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法対応で最初に考えるべきなのは、「この言葉を何に置き換えるか」ではありません。
実務でまず確認するのは、元のコピーが読み手に何を約束しようとしていたのかです。
たとえば「疲労回復」であれば、忙しい人を対象にしているのか、仕事終わりの状態を想定しているのか、身体変化そのものを訴求したいのかを分解します。その中から商材として扱いにくい部分と、商品特徴や生活シーンとして残せる部分を切り分けます。
そうすると、「NGを削った広告」ではなく、「別の価値を中心にした広告」へ組み直しやすくなります。
STEP1:最初に商材分類と「どこまで言えるか」を確認する
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商品が何に分類され、その商品についてどの範囲まで表示できるのかを確認することです。
健康食品と機能性表示食品を同じ基準で考えない
一般的な健康食品と機能性表示食品では、広告の出発点が異なります。
一般健康食品では、食品について疾病の治療・予防や身体機能への具体的な作用を医薬品のように表示しないことが基本になります。
一方、機能性表示食品では、当該商品の届出表示や届出資料を確認し、その範囲との整合性を見ながら広告を設計します。
同じ成分を使っている商品であっても、
「この成分について研究がある」
「別の商品で機能性が届け出られている」
という理由だけで、自社商品に同じ効果を表示できるわけではありません。
まず確認するのは、広告対象となる「その商品」の情報です。
健康食品・機能性表示食品についての広告ルールについては、「健康食品広告のルール完全ガイド|薬機法・健康増進法・景品表示法と商材別注意点を解説」、「機能性表示食品の広告ルール|健康増進法・届出表示・SR・ヘルスクレーム・エビデンスの実務ポイント」も確認することをおすすめします。
化粧品は効能の範囲を確認する
一般化粧品では、化粧品として認められている効能の範囲を出発点にします。
たとえば、
- 肌を整える
- 肌をすこやかに保つ
- 皮膚にうるおいを与える
- 肌にはりを与える
など、化粧品として表示できる範囲があります。化粧品の効能効果については、「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?薬機法上の広告表現範囲を制作会社向けに解説」の記事で詳しく解説しています。
一方で、肌組織そのものを治療する、細胞を再生する、一般化粧品なのにシワそのものを改善する、といった意味へ広がれば別の問題になります。
一般化粧品と医薬部外品を同じように考えないことも重要です。
医薬部外品は個別商品の承認内容を確認する
医薬部外品では、一般的な「薬用化粧品ならここまで言える」という理解だけでは不十分です。
個別商品の承認された効能効果を確認します。
同じ有効成分を配合していても、承認内容が同一とは限りません。
「他社の商品がシワ改善を訴求しているから、自社商品でも使える」
という判断はできません。
承認された効能、対象、条件、使用方法等を確認し、広告対象商品との対応を見ます。
広告を直す前に確認したい商品資料
少なくとも次の情報を準備してからリライトを始めます。
| 商材 | 最初に確認したい資料 |
|---|---|
| 一般健康食品 | 商品規格、原材料、商品特徴、食品としての表示内容 |
| 機能性表示食品 | 届出表示、届出資料、機能性関与成分、対象者 |
| 化粧品 | 商品区分、全成分、配合目的、化粧品の効能範囲 |
| 医薬部外品 | 承認された効能効果、有効成分、承認内容 |
| 医薬品 | 承認効能、用法用量、添付文書等 |
| 医療機器 | 承認・認証・届出情報、使用目的、性能 |
ここを曖昧にしたままコピーを作ると、後で大幅な修正が必要になりやすくなります。
STEP2:元のNG表現が何を伝えたかったのか分解する
NG表現を見つけたら、すぐに削除するのではなく、元のコピーが含んでいた価値を分解します。
「疲労回復」を7つの要素に分解してみる
一般健康食品で「疲労回復」と訴求したいケースを例に考えてみましょう。
「疲労回復」という短い言葉にも、次のような意味が含まれている可能性があります。
| 分解項目 | 元コピーに含まれる可能性がある内容 |
|---|---|
| ターゲット | 忙しい会社員、家事・育児で忙しい人 |
| 悩み | 一日の後半に負担を感じる |
| 約束 | 疲労が回復する |
| 使用場面 | 朝、仕事中、夕方、帰宅後 |
| 時間軸 | 飲んだ後、毎日継続 |
| 感情 | 元気でいたい、自分のペースを保ちたい |
| 商品を買う理由 | 手軽さ、味、形状、続けやすさ |
このうち、「疲労が回復する」という具体的な身体作用は、一般健康食品では扱いに注意が必要です。
一方、
「忙しい人向け」
「夕方に取り入れやすい」
「持ち運びやすい」
「毎日続けやすい」
といった要素は、商品事実との整合性を確認したうえで、別の訴求軸を作る材料になる可能性があります。
削るべきなのは言葉ではなく「言えない約束」
ここで大切なのは、「疲労回復」という4文字を削ることではありません。
広告が約束していた内容のうち、商材として扱いにくい部分を外すことです。
たとえば、
「これを飲めば疲れが取れる」
という約束は外す。
その一方で、
「忙しい人が日常に取り入れやすい」
「仕事の合間にも使いやすい」
「持ち運びやすい個包装」
「毎日続けやすい味」
という価値を残せるのであれば、それを広告の中心へ移します。
元コピーの中に残せる価値を探す
NG表現の中には、効能以外の価値が埋まっています。
制作担当者は、元コピーを次の質問で分解すると整理しやすくなります。
- 誰に向けたコピーなのか
- どのような悩みを持つ人なのか
- 何が変わると約束しているのか
- いつ使う商品なのか
- なぜこの商品を選んでほしいのか
- どんな感情を持ってほしいのか
- 商品の具体的な特徴は何か
この中で、「効能の約束」と「商品選択の理由」を分けるのがポイントです。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
NG表現を丸ごと捨ててしまうと、その広告が本来伝えたかった価値まで消えてしまいます。
私がリライトするときは、「このコピーのどこが法令上扱いにくいのか」と「どの部分ならまだ広告に残せるのか」を切り分けます。
たとえば、身体変化そのものは言いにくくても、ターゲット、利用場面、商品の使いやすさまで捨てる必要はありません。
この切り分けができると、単なる弱い言い換えではなく、別の購買理由を作れるようになります。
STEP3 その商品に残せる価値を整理する
NG表現を分解したら、次は「その商品について何を事実として伝えられるのか」を棚卸しします。
健康食品で残せる価値の探し方
一般健康食品では、効能効果を直接訴求できない場合でも、食品としての商品特徴を確認できます。
たとえば、
- 味
- 香り
- 形状
- 内容量
- 包装
- 携帯性
- 食べ方・飲み方
- 原材料に関する事実
- 生活の中で取り入れやすい設計
- 商品コンセプト
などです。
ただし、「○○成分配合」と書けば自由にその成分の作用を説明できる、という意味ではありません。
成分の作用を説明した結果、広告対象商品そのものが医薬品的な効能を持つように見えないかを確認する必要があります。
化粧品で残せる価値の探し方
化粧品では、化粧品として認められる効能の範囲に加え、使用感や商品事実を確認します。
例としては、
- テクスチャー
- のび
- 香り
- 使用後の感触
- 容器
- 使用方法
- メイクアップ効果
- 使用場面
- 商品設計上の特徴
などがあります。
ただし、「使用感なら何でも自由」というわけではありません。
「塗った瞬間にシワが消えたように感じた」といった表現であれば、使用感を超えて具体的な効能効果を保証する意味になる可能性があります。
機能性表示食品・医薬部外品は届出・承認を起点にする
機能性表示食品や医薬部外品では、「効能を避ける」のではなく、まずその商品で認められている情報を正確に確認します。
機能性表示食品では届出表示、医薬部外品では承認された効能効果が出発点です。
その範囲を適切に伝えること自体が商品の大きな価値になる場合があります。
そのため、
「薬機法があるから効能は全部弱くする」
という考え方も正しくありません。
言えるものは正確に伝え、言えない意味を追加しないことが重要です。
「言える特徴」を購買理由へつなぐ
商品事実を並べるだけでは広告になりません。
たとえば、
「個包装です」
だけでは特徴の説明です。
しかし、
「外出先でも持ち運びやすい個包装」
とすれば、商品事実と利用場面がつながります。
「さらっとしたテクスチャー」
だけでなく、
「朝のメイク前にも使いやすい、さらっとしたテクスチャー」
とすれば、使用感と生活シーンがつながります。
効能効果に頼らなくても、「なぜこの商品を選ぶのか」を具体化する余地はあります。
STEP4:効能効果から生活シーン・使用感・選択理由へ訴求軸を組み直す
効能効果を直接訴求しにくい場合は、生活シーン、使用感、商品特徴、選択理由などへ訴求軸を移す方法があります。
ただし、表面的に言葉だけを変え、広告全体で元の効能を暗示していれば十分な対応にはなりません。
訴求軸を組み直す方法については、![]()
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生活シーンへ転換する
元の訴求が、
「疲労回復」
だったとします。
単純に、
「元気な毎日へ」
へ変えるのではなく、元コピーのターゲットや利用場面を使います。
訴求転換の考え方としては、
「忙しい毎日の中でも、取り入れやすい」
「仕事の合間にも使いやすい」
「外出先へ持ち運びやすい」
といった方向があります。
ここで大事なのは、これらを「薬機法上使えるOK表現」として扱わないことです。
前後のコピーや画像と組み合わせて、結局は疲労回復を暗示していないかを確認します。
商品の使用感へ転換する
化粧品では、身体構造への強い作用を訴求する代わりに、
- みずみずしい感触
- のびやすさ
- べたつきにくさ
- 香り
- 使用後の感触
などを選択理由として設計する方法があります。
ただし、使用感を効能の証明へ変えないようにします。
「塗った瞬間に肌が若返る感覚」
「シワがなくなる実感」
のようになれば、単なる使用感とはいえなくなります。
選択理由へ転換する
広告で強いのは、効能だけではありません。
次のような「選ぶ理由」も訴求軸になります。
- 使い方が分かりやすい
- 持ち運びやすい
- 毎日の生活へ取り入れやすい
- 容器が使いやすい
- 香りの好みで選べる
- 商品情報が分かりやすい
- 問い合わせ体制が整っている
ただし、品質管理や製法を表示する場合も、その事実から効果や安全性まで保証しないようにします。
感情的ベネフィットを使う際の注意点
感情表現も、使い方によっては元の効能を暗示します。
たとえば、
「毎日を前向きに」
「自信のある私へ」
といった表現は、一見すると感情表現です。
しかし、直前に疾病や症状を強調し、
商品使用
↓
症状が改善したような写真
↓
「自信のある私へ」
とつながれば、商品によって疾病や症状が改善し、その結果として感情が変化したと受け取られる可能性があります。
感情表現も、広告全体から切り離して判断しないことが重要です。
訴求転換の考え方
| 元の訴求 | 扱いにくい約束 | 残せる可能性がある要素 | 新しい訴求軸 |
|---|---|---|---|
| 疲労回復 | 疲労が回復する | 忙しい人、携帯性、味 | 利用場面・続けやすさ |
| シワ改善※一般化粧品 | シワそのものが改善する | テクスチャー、保湿、使用場面 | 使用感・化粧品効能 |
| 血糖値を下げる※一般健康食品 | 数値への具体的作用 | 食品としての特徴、摂取場面 | 商品特徴・食生活場面 |
| 即効で変わる | 速効性の保証 | 使用方法、手軽さ | 操作性・取り入れやすさ |
※個別商品の区分、承認・届出内容等によって判断は異なります。
STEP5:コピーだけでなく画像・見出し・体験談・CTAまで確認する
薬機法対応は本文コピーだけでは完結しません。
見出し、画像、体験談、グラフ、CTA等を組み合わせた結果、広告全体が何を約束しているように見えるかまで確認します。
本文を直しても画像で効能を暗示していないか
たとえば、一般化粧品のコピーから「シワ改善」という言葉を削除しても、
深いシワの写真
↓
商品使用
↓
シワが消えたように見える写真
という構成が残っていれば、広告全体では同じ効果を伝える可能性があります。
画像は文章より早く情報を伝えるため、コピー修正後も必ず確認します。
体験談だけが強く残っていないか
本文を穏当な表現に直しても、
「一週間で悩みがなくなりました」
「飲み始めて数値が下がりました」
「シワが目立たなくなりました」
といった体験談が残っていれば、利用者の言葉を通じて効能を伝えているように見えることがあります。
「個人の感想です」という注記だけで、主表示の意味が当然に修正されるわけではありません。
CTAが新たな効能の約束になっていないか
CTAは見落とされやすい箇所です。
本文を修正した後でも、
「今すぐ疲れを解消」
「シワ悩みを終わらせる」
「もう数値に悩まない」
といったボタン周辺の表現が残っていれば、元の効能訴求が維持されています。
CTAも広告表現の一部として確認します。
広告全体を最後に通して確認する
最終確認では、次の順番がおすすめです。
- 文章だけを読む
- 画像だけを見る
- 体験談だけを見る
- ファーストビューを見る
- CTAを見る
- 完成広告を最初から最後まで見る
最後に、
「この広告を見た消費者は、商品を使うと何が起きると思うか」
を一文で書き出します。
その答えが、商材として伝えられる範囲を超えていないかを確認します。
STEP6:商材別に「残せる価値」を変える
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共通の「言い換え一覧」をそのまま適用するのではなく、商品区分と個別商品情報から判断します。
| 商材 | 設計の出発点 |
|---|---|
| 一般健康食品 | 食品として説明できる事実、商品特徴 |
| 機能性表示食品 | 当該商品の届出表示・届出内容 |
| 化粧品 | 化粧品の効能範囲+商品事実 |
| 医薬部外品 | 当該商品の承認された効能効果等 |
一般健康食品
一般健康食品では、疾病治療や身体機能への具体的作用を商品効果として示さないことが基本です。
そのため、
- 味
- 原材料に関する事実
- 形状
- 利用場面
- 携帯性
- 食べやすさ・飲みやすさ
- 商品設計
などから購買理由を探します。
機能性表示食品
機能性表示食品では、対象商品の届出表示を確認します。
似たカテゴリーの商品を参考にするのではなく、当該商品の届出内容と広告表現を照合します。
また、届出内容を短く要約した結果、
- 対象者が広がる
- 作用が強くなる
- 科学的根拠の主体が変わる
- 疾病治療のように見える
といった意味の追加がないかを確認します。
化粧品
化粧品では、化粧品として認められる効能範囲と商品事実が出発点です。
効能だけに頼らず、
- 香り
- 使用感
- テクスチャー
- メイクアップ効果
- 使用場面
- 容器
などを組み合わせて訴求を設計できます。
医薬部外品
医薬部外品では、承認された効能効果が大きな訴求材料になる場合があります。
そのため、一般化粧品のように必要以上に弱い表現へ置き換えるのではなく、個別商品の承認範囲を確認して、正確に訴求します。
一方で、
「改善」を「完全に解消」
「防ぐ」を「絶対に発生しない」
と強めたり、承認内容にない速効性や持続性を追加したりしないように確認します。
STEP7:景品表示法・健康増進法も別に確認する
薬機法上の問題を避けたからといって、広告チェックが終わるわけではありません。
特に健康食品や化粧品の広告では、景品表示法や健康増進法等も確認します。景品表示法と健康増進法については、「景品表示法違反とは?措置命令・課徴金・違反事例を広告実務者向けに解説」、「健康食品広告に関わる人のための健康増進法|概要・規制内容・具体例を実務目線で解説」もぜひご覧ください。
「薬機法で言える」と「根拠がある」は別の問題
たとえば、
「○%が満足」
「No.1」
「専門家の○%が評価」
「従来品より○倍」
「○日で変化」
といった表示は、薬機法とは別に、その表示を支える客観的根拠があるかを確認する必要があります。
つまり、
「薬機法上この表現なら使えそう」
という判断と、
「その表示内容を裏付ける根拠がある」
という判断は別です。
効果・性能を表示するなら根拠との対応を見る
試験結果や調査結果がある場合も、資料が存在するだけで十分ではありません。
確認したいのは、
- 誰を対象としたのか
- 何人で実施したのか
- どの条件だったのか
- 何を評価したのか
- どの期間だったのか
- 商品そのものの試験か
- 成分のみの試験か
- 広告コピーが結果より強くなっていないか
という点です。
「エビデンスあり」という一言で広告表示を正当化しないことが重要です。
STEP8:

薬機法ライティング®を広告制作工程へ組み込む
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商品分類の確認から、訴求分解、価値の棚卸し、クリエイティブへの反映、広告全体の確認までを一連の流れとして行います。


薬機法ライティング®の8ステップ
- 商材分類を確認する
- 承認・届出・商品資料を確認する
- 元の訴求を分解する
- 扱いにくい要素と残せる要素を切り分ける
- 残せる価値を棚卸しする
- 新しい訴求軸を作る
- 文言・画像・体験談・CTAへ反映する
- 広告全体を最終確認する
この順番で進めると、
「NGと言われたので、とりあえず弱い言葉に直す」
という対応から抜けやすくなります。
制作後ではなく企画段階から確認する
薬事チェックを最後に行うと、広告の中心訴求そのものが使えないと判明する場合があります。
そうなると、修正対象はコピーだけではありません。
- ファーストビュー
- ストーリー
- 画像
- 体験談
- グラフ
- CTA
まで作り直すことになります。
企画段階で、
「この商品は何を根拠に、どの範囲まで訴求するのか」
を決めておけば、その範囲の中から商品の強みを探せます。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
理想的なのは、広告が完成してから薬機法対応をするのではなく、企画段階で「この商品は何を根拠に、どの範囲まで訴求するのか」を決めておくことです。
最後に薬事チェックをして中心コピーが使えなくなると、文章だけでなく画像やストーリーまで崩れてしまいます。
逆に、最初から表現可能な領域を把握できていれば、その制約の中で商品の強みや選択理由を探せます。
薬機法対応を制作工程の最後に置くのではなく、訴求設計の前提条件として組み込むことが、コンプライアンスと広告としての伝わりやすさを両立するポイントです。
よくあるご相談(FAQ)
- 薬機法でNGになった言葉を別の言葉に変えれば問題ありませんか?
-
必ずしもそうとは限りません。
問題になるのは特定の単語だけではなく、広告全体がどのような効能効果を伝えているように見えるかです。「改善」を「サポート」に変えても、画像、体験談、グラフ、CTAから同じ身体変化を伝えていれば、十分な修正にならない可能性があります。
まず商品区分と表示可能範囲を確認し、元の訴求を分解して、別の価値から広告を再設計します。
- 健康食品で「疲労回復」が使いにくい場合、どのように考えればよいですか?
-
一般健康食品では、「疲労回復」という身体への具体的な効能を前提に代替語を探すのではなく、元の訴求を分解します。
たとえば、忙しい人向けの商品なのか、外出先で使いやすいのか、味や形状、携帯性に特徴があるのかを整理します。
そのうえで、食品として事実に基づいて伝えられる商品特徴や使用場面から、新しい購買理由を作ります。生活シーンへ変えただけで自動的に問題がなくなるわけではないため、広告全体での確認が必要です。
- 機能性表示食品なら健康効果を自由に広告できますか?
-
自由に表現できるわけではありません。
機能性表示食品では、まず広告対象商品の届出表示や届出情報を確認します。
そのうえで、広告表現によって対象者、機能、作用の程度、科学的根拠の主体等が広がっていないかを確認します。
同じ成分を使った別の商品や一般的な研究結果だけを理由に、自社商品の機能として表示しないことが重要です。
- 化粧品なら使用感や感情表現は自由に使えますか?
-
使用感や感情を訴求軸にする方法はありますが、自由に使えるという意味ではありません。
たとえば「気分まで前向きに」というコピーでも、その前にシワやシミが改善したような画像を置けば、商品による身体変化の結果として感情が変わったと受け取られる可能性があります。
化粧品の効能範囲、商品事実、画像、前後の文脈を含めて確認します。
- 薬機法チェックは広告完成後に行えばよいですか?
-
完成後の最終確認は必要ですが、制作初期から組み込む方が効率的です。
完成後に主要な訴求が使えないと分かると、見出しだけでなく、画像、LPのストーリー、体験談、CTAまで修正することがあります。
企画段階で商材分類、承認・届出内容、根拠資料、訴求可能な商品特徴を確認し、その範囲から広告設計を行う方法が実務上有効です。
- 薬事担当から大幅に修正された原稿でも、訴求を作り直せますか?
-
可能性はあります。
ただし、削除された表現を別の強い表現へ戻すのではありません。
元コピーが何を伝えようとしていたかを再度分解し、ターゲット、利用場面、使用感、商品特徴、選択理由等のうち残せる要素を探します。
そのうえで、新しい訴求軸からコピー、画像、構成、CTAを組み直します。
まとめ
薬機法対応は「削る作業」ではなく「残せる価値を設計する作業」です。
薬機法対応で広告の伝わりやすさを残すために重要なのは、NG表現を別の単語へ置き換えることではありません。
まず商品区分を確認し、その商品でどこまで表示できるのかを整理します。
次に、元のコピーが含んでいた、
- ターゲット
- 悩み
- 身体変化の約束
- 利用場面
- 感情
- 商品特徴
- 購入理由
を分解します。
その中から、商材上扱いにくい効能の約束と、残せる価値を切り分け、新しい訴求軸へ組み直します。
さらに、本文だけを直して終わりではありません。
画像、見出し、体験談、グラフ、注釈、CTAを含め、広告全体として元の効能効果を暗示していないかを確認します。
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何を伝えられないかを理解したうえで、何を商品価値として伝えるのかを設計し直すためのプロセスです。
「薬事チェック後にコピーが弱くなった」「NG箇所は分かったが、代わりに何を訴求すればよいか分からない」という場合は、元の訴求意図から整理する方法があります。商品区分、根拠資料、ターゲット、商品特徴を確認し、残せる価値から広告全体を再設計します。お気軽にご相談ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日、医薬監第148号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_d.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日、薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日、薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日、薬食発0721第1号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7518&dataType=1&pageNo=(参照日:2026年08月08日)
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「表示規制の概要」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「優良誤認とは」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「不実証広告規制」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad(参照日:2026年08月08日)
- e-Gov法令検索「健康増進法(平成14年法律第103号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「機能性表示食品について」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」消費者庁. https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/(参照日:2026年08月08日)
- 一般社団法人健康食品産業協議会ほか「『機能性表示食品』適正広告自主基準 第4版」(2026年5月28日、業界自主基準・消費者庁掲載). https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims/info_session/assets/food_labeling_cms205_260529_03.pdf(参照日:2026年08月08日)
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