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化粧品で認められる56項目の効能効果とは?薬機法上の広告表現範囲を制作会社向けに解説

白から薄いアイボリーの背景に、化粧品広告の「56項目」を解説する横長のアイキャッチ画像。左側に「制作会社向け」のタグと、大きく「化粧品広告の『56項目』」という見出し、下に「使える表現は、商品・用途・根拠で確認」というサブコピーを配置。右側には「56項目」と書かれた書類を中心に、化粧品ボトル、Web広告画面、チェックマーク、ペンなどの線画アイコンを配置し、下部の3つの確認カード「商品類別」「使用目的・方法」「表示根拠」へオレンジ色の線でつないでいる。右下に「薬機法ライティング」のロゴあり。

化粧品広告を制作していると、「肌を整える」「うるおいを与える」は使えるのに、なぜ「シミが消える」「ニキビが治る」「シワを改善する」は難しいのか、と迷うことがあります。

一般化粧品で標ぼうできる効能効果は、厚生労働省通知で示された「化粧品の効能の範囲」を基準に確認します。平成23年の改正で「乾燥による小ジワを目立たなくする」が追加され、一般に「化粧品の56効能」「56項目」と呼ばれています。

ただし、56項目は、記載されている言葉をコピーに入れれば問題がなくなる「OKワード集」ではありません。対象商品に該当する効能かを、商品類別、使用目的、使用方法等から確認します。なお、「乾燥による小ジワを目立たなくする」と表示する場合は、対象製品について所定の方法による効能評価が必要です。数値、比較、満足度、販売実績、持続時間などを表示する場合も、表示の種類に応じて、試験結果、調査資料、販売記録、処方資料など、表示内容と適切に対応する根拠を確認する必要があります。 

この記事では、化粧品の56項目を部位・用途別に整理したうえで、一般化粧品と医薬部外品の違い、乾燥小ジワ表現の条件、注意したいコピー、LP(ランディングページ)やSNS広告のチェック方法を実務目線で解説します。

この記事の要点(まとめ)
  • 56項目は一般化粧品の効能表現の基本範囲:化粧品広告の効能効果は、厚生労働省通知に示された範囲を基準に確認します。ただし、対象商品に該当しない効能まで自由に使えるわけではありません。
  • 言葉だけでなく広告全体の印象を確認する:文言が56項目に近くても、画像、ビフォーアフター、口コミ、成分説明、注釈との組み合わせにより、治療や明確な改善を約束しているように見える場合があります。
  • 企画・構成段階から効能範囲を確認する:完成後の部分的な言い換えだけでは、LP全体の訴求軸が崩れることがあります。商品区分と使える効能を最初に確認し、その範囲でストーリーを設計することが大切です。
目次

化粧品で認められる56項目の効能効果とは

化粧品で認められる56項目とは、一般化粧品が広告で標ぼうできる効能効果の基本的な範囲を示したものです。厚生労働省通知の別表に1〜56の効能が示されています。

化粧品の効能効果は厚生労働省通知で範囲が示されている

一般化粧品は、医薬部外品のように製品ごとの効能効果について承認を受ける仕組みではありません。そのため、広告で表現できる効能効果は、厚生労働省通知で示された範囲を超えていないか、確認する必要があります。

医薬品等適正広告基準でも、承認を要しない化粧品の効能効果は、通知で定められた範囲を超えないこととされています。

また、効能効果や安全性が確実であるかのように保証する表現、最大級表現、本来認められない効能を誤認させる表現も制限されています。

ここで押さえたいのは、「56項目に近い言葉か」だけで判断するのではなく、広告から受ける意味が通知の範囲に収まっているかを確認するという点です。

56項目は広告制作の基本チェックリストになる

制作会社さまや広告代理店さまでは、まず次の5点を確認すると整理しやすくなります。

確認項目見るべきポイント
商品区分一般化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨のどれか
効能効果一般化粧品の場合、56項目の範囲に収まっているか
商品との対応その効能が対象商品、使用方法、使用部位に該当するか
広告全体文言、画像、口コミ、注釈を含め、治療・改善を約束していないか
根拠資料数値、比較、物理的効果、使用感などを支える資料があるか

たとえば、56項目には「肌をひきしめる」が含まれています。しかし、この表現から直ちに「フェイスラインを物理的に引き上げる」「たるみを改善する」とまで広げられるわけではありません。

「肌をひきしめる」という効能と、顔の形や皮膚組織が変化するような印象は分けて考える必要があります。

56項目にある言葉でも使い方には注意が必要

厚生労働省の取扱通知では、広告できる事項は別表の効能範囲内であり、かつ、その製品について該当する効能であることが求められています。

したがって、次のような考え方は避けるべきです。

  • 「56項目にあるので、どの化粧品にも使える」
  • 「通知と同じ単語を使えば、画像や見出しは自由に設計できる」
  • 「小さな注釈を付ければ、強いメインコピーを修正しなくてもよい」
  • 「成分に関する論文があれば、商品にも同じ効果を書ける」

56項目は、一般化粧品の効能効果を標ぼうする際の基本範囲です。これとは別に、事実に基づくメーキャップ効果、物理的効果、使用感を表示できる場合があります。

56項目から外れる「シミが消える」「ニキビが治る」「シワ改善」などの表現をどう修正するかは、「薬機法対応の化粧品表現言い換え集」も参考になります。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
56項目は、暗記してそのままコピーに貼り付けるための一覧ではありません。実務では、「この商品で、広告全体としてどこまで約束できるのか」を確認するために使います。
よくあるのが、LPをほぼ完成させた後で「一般化粧品なのでシワ改善は難しい」と判明するケースです。この段階で「シワ改善」を「ハリ」に置き換えても、悩みの提示、成分説明、写真や口コミを含むLP全体が、シワ改善を訴求するストーリーで構成されていれば、LP全体は成立しなくなります。
だからこそ、56項目は最終チェックだけでなく、企画書やワイヤーフレームを作る前に確認することが大切です。広告審査は、禁止表現を削る作業ではありません。使える範囲の中で、商品の価値が正しく伝わるストーリーを設計する作業だと考えています。

化粧品の56項目一覧|部位・用途別に整理

化粧品で表示できる効能効果56項目を、部位・用途別の6区分に整理した図解。頭皮・毛髪16項目、皮膚・肌22項目、爪3項目、口唇7項目、歯みがき類7項目、乾燥による小ジワ1項目を、線画アイコン付きのカードで紹介している。下部には「商品に関係する区分を絞る」「使用目的と商品の実態に合わせる」「条件と広告全体の印象を確認」の3ステップを掲載。一覧にある表現でも、使用条件・根拠・見せ方を含めて確認する必要があることを示している。

56項目は、頭皮・毛髪、皮膚・肌、爪、口唇、歯みがき類、乾燥による小ジワに関する効能として整理できます。実務では、まず自社商品に関係する区分を絞り込み、その中から使用目的と実態に合う表現を選びます。

頭皮・毛髪に関する効能効果

番号効能効果
1頭皮、毛髪を清浄にする
2香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
3頭皮、毛髪をすこやかに保つ
4毛髪にはり、こしを与える
5頭皮、毛髪にうるおいを与える
6頭皮、毛髪のうるおいを保つ
7毛髪をしなやかにする
8クシどおりをよくする
9毛髪のつやを保つ
10毛髪につやを与える
11フケ、カユミがとれる
12フケ、カユミを抑える
13毛髪の水分、油分を補い保つ
14裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
15髪型を整え、保持する
16毛髪の帯電を防止する

ヘアケア広告では、「ハリ・コシ」「つや」「うるおい」と、「育毛」「発毛」「脱毛予防」を混同しないことがポイントです。

一般化粧品であるシャンプーやトリートメントについて、「毛髪を太くする」「毛根を活性化する」「抜け毛を改善する」といった印象を与えると、56項目の範囲を超える可能性があります。

一般化粧品のヘアケア表現と、「育毛」「発毛促進」「脱毛予防」など医薬部外品の効能は分けて確認する必要があります。詳しくは「医薬部外品広告はカテゴリ別でどう違う?育毛の薬機法ポイント」をご覧ください。 

皮膚・肌に関する効能効果

番号効能効果
17汚れをおとすことにより皮膚を清浄にする
18洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
19肌を整える
20肌のキメを整える
21皮膚をすこやかに保つ
22肌荒れを防ぐ
23肌をひきしめる
24皮膚にうるおいを与える
25皮膚の水分、油分を補い保つ
26皮膚の柔軟性を保つ
27皮膚を保護する
28皮膚の乾燥を防ぐ
29肌を柔らげる
30肌にはりを与える
31肌にツヤを与える
32肌を滑らかにする
33ひげを剃りやすくする
34ひげそり後の肌を整える
35あせもを防ぐ(打粉)
36日やけを防ぐ
37日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ
38芳香を与える

特に注意したいのが、18番の「ニキビ、アセモを防ぐ」です。この効能には「洗浄により」「洗顔料」という条件があります。

「ニキビを防ぐ」という部分だけを取り出して、美容液やクリームがニキビそのものに作用するように見せることはできません。「ニキビが治る」「炎症を抑える」といった治療表現とも区別が必要です。

また、37番は「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」であり、すでに存在するシミを消す、薄くするという意味ではありません。

シミ訴求の具体的な線引きは、「化粧品広告で『シミが消える』は使える?」をご覧ください。洗顔料で認められる予防表現と薬用化粧品との違いは、「化粧品広告で『ニキビを治す』は使える?」で詳しく解説しています。  

爪に関する効能効果

番号効能効果
39爪を保護する
40爪をすこやかに保つ
41爪にうるおいを与える

ネイルケア商品では、乾燥や外的刺激から爪を保護する表現と、爪の病気や変形を治す表現を分けて考えます。

「割れにくい爪へ」という表現も、塗膜による物理的保護なのか、爪自体の構造を改善するという意味なのかで受け取られ方が変わります。

口唇に関する効能効果

番号効能効果
42口唇の荒れを防ぐ
43口唇のキメを整える
44口唇にうるおいを与える
45口唇をすこやかにする
46口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ
47口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ
48口唇を滑らかにする

リップ商品では、「荒れを防ぐ」と「ひび割れを治療する」を分けます。

使用前後の写真や体験談によって、炎症や傷が治ったように見せると、文章自体が穏当でも広告全体では治療効果を示していると受け取られる可能性があります。

歯みがき類に関する効能効果

番号効能効果
49ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
50歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
51歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
52口中を浄化する(歯みがき類)
53口臭を防ぐ(歯みがき類)
54歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
55歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

歯みがき類の効能には、「使用時にブラッシングを行う」といった使用条件が付いているものがあります。

たとえば「歯を白くする」は、ブラッシングによる汚れの除去にとどめます。歯そのものの色調を大きく変える、医療機関で行う漂白処置と同等の効果が得られるような印象にならないよう、注意が必要です。

乾燥による小ジワに関する効能効果

番号効能効果
56乾燥による小ジワを目立たなくする

平成23年の通知で追加された効能です。厚生労働省通知の注記では、「補い保つ」を「補う」「保つ」と表現することや、「皮膚」と「肌」を使い分けることも可能とされています。

ただし、56番については、一覧に載っているからどの商品でも使用できるわけではありません。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」と「シワ改善」は区別が必要です。一般化粧品、薬用化粧品、ハリ表現の違いは、「化粧品広告で『シワ改善』は使える?」で具体的に整理しています。 

56項目にある表現なら、そのまま広告で使えるのか

56項目にある表現でも、すべての商品、すべての見せ方で使用できるとは限りません。商品との対応、根拠、強調方法、広告全体の印象を確認する必要があります。

対象商品に該当する効能かを確認する

通知では、別表の範囲内であることに加えて、その製品について該当する効能であることが求められています。

たとえば、次のような使い方には注意が必要です。

  • 洗顔料以外の商品で「洗浄によりニキビを防ぐ」と標ぼうする
  • ブラッシングを前提としない商品で「歯を白くする」と標ぼうする
  • 使用部位が異なる商品に、別の部位の効能を転用する
  • 商品の実態を確認せず、競合広告にある効能をそのまま採用する

制作会社さまが依頼主から支給された情報だけで判断するのが難しい場合は、製造販売業者に、対象商品の効能として標ぼうできる範囲や、その根拠資料を確認することが出発点になります。

広告全体が何を約束しているように見えるか

薬機法の広告確認は、特定の単語だけを抜き出して行うものではありません。

たとえば、本文で「肌にハリを与える」と表現していても、次の要素が組み合わさると、別の意味に受け取られる可能性があります。

  • 下がったフェイスラインが持ち上がるアニメーション
  • 皮膚の深部構造が変化するような断面図
  • 「10歳若返る」といった見出し
  • 深いシワが消失したように見える使用前後写真
  • 「他社にはないハリ」などの比較

この場合、問題になるのは「ハリ」という単語ではなく、広告全体として若返り、組織変化、シワ治療などを約束しているように見える点です。

効能効果を保証する表現にも注意する

医薬品等適正広告基準は、効能効果や安全性について、確実であることを保証するような表現を制限しています。

次のような言い回しは、56項目内の効能を扱っていても慎重な確認が必要です。

  • 「必ずうるおう」
  • 「誰でもハリを実感」
  • 「一晩でキメが整う」
  • 「使えば使うほど確実に美肌へ」
  • 「絶対に肌荒れしない」

「肌にうるおいを与える」と「必ずうるおいを実感できる」では、広告が消費者に約束している内容が異なります。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」はどこまで表現できるか

「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、乾燥に起因する小ジワを目立ちにくくする効能です。シワ全般の改善、予防、若返りまで表現できるものではありません。

表現するには製品ごとの試験・評価が必要

厚生労働省の取扱通知では、この効能を標ぼうする場合、製造販売業者の責任で、日本香粧品学会のガイドラインに基づく試験、または同等以上の適切な試験により効果を確認することとされています。試験結果や評価資料も製造販売業者が保管します。

したがって、保湿成分を配合しているという理由だけで、自動的に「乾燥による小ジワを目立たなくする」と表現できるわけではありません。

制作側では、少なくとも次の点を確認します。

  1. 該当製品について効能評価が行われているか
  2. 製造販売業者が当該効能の標ぼうを認めているか
  3. 正式な表示文言と注釈ルールが共有されているか
  4. LP、バナー、SNS、同梱物で表現が統一されているか

「シワ改善」と同じ意味ではない

「乾燥による小ジワを目立たなくする」と、医薬部外品で用いられる「シワ改善」は区別が必要です。

表現基本的な位置づけ
乾燥による小ジワを目立たなくする乾燥に起因する小ジワを、うるおいによって目立ちにくくする
シワ改善医薬部外品で承認された効能効果の範囲を前提に使用する
メイクで小ジワを目立たなく見せるメーキャップ等の物理的効果。事実であることと、効果の種類を明確にする

「乾燥小ジワケア」という言葉を使っていても、LP全体が深いシワや加齢ジワを改善するストーリーになっていれば、表現範囲を超える可能性があります。

乾燥条件を小さな注釈だけに置かない

平成23年7月21日薬食発0721第1号通知では、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という効能と、その効能を標ぼうするための製品評価の考え方が示されています。

また、日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」および関連する広告チェックポイントでは、加齢によるシワを含むシワ全般への効果、小ジワの解消・予防、若返り・老化防止などを示す表現が、認められない具体例として整理されています。 

また、メインで「小ジワを目立たなくします」と表示し、「乾燥によるもの」と注釈だけで補う方法も認められない具体例として挙げられています。

したがって、次のような設計は避けたほうがよいでしょう。

シワを目立たなくする美容液
※乾燥による小ジワ

この場合、「シワ」という強い表示が先に認識され、注釈による限定が十分に伝わらない可能性があります。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」という条件を、消費者が一体として認識できる表示にすることが基本です。

一般化粧品と医薬部外品の効能効果はどう違うのか

一般化粧品は56項目を基準に効能範囲を確認し、医薬部外品は製品ごとの承認内容を基準に広告表現を確認します。

項目一般化粧品医薬部外品(薬用化粧品)
効能確認の基本化粧品の56項目製品ごとの承認された効能効果
有効成分配合成分だけを効能効果の根拠として訴求しない承認された有効成分を配合
シワ表現乾燥による小ジワを目立たなくする等承認内容にシワ改善がある場合は、その範囲で表現
美白表現メーキャップによる効果であることを明示「日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ」を「美白」と言い換えない 承認された効能効果の範囲で表現
ニキビ表現洗浄による予防など、56項目の条件内承認された効能効果の範囲で表現
広告確認資料商品情報、使用方法、効能評価資料等承認書、申請資料、製品情報等

ここで起きやすいのが、同じシリーズに一般化粧品と医薬部外品が混在しているケースです。

薬用美容液で使用できる「シワ改善」「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」といった訴求を、シリーズ共通の世界観として一般化粧品にも広げてしまうと、商品ごとの区分が曖昧になります。

ブランドサイトやシリーズLPでは、どの説明がどの商品に対応しているのかを明確にする必要があります。

薬用化粧品では、一般化粧品の56項目ではなく、商品ごとに承認された効能効果を確認します。一般化粧品との違いや広告表現の基本は、「薬用化粧品とは?」で詳しく解説しています。 

化粧品広告で注意したい表現とリライトの方向

化粧品広告のリライトでは、強い効能語を別の単語に置き換えるだけでは不十分です。消費者に伝える価値を、56項目、使用感、物理的効果、メーキャップ効果などの範囲で再設計します。

注意表現とリライト方向の例

※商品類別、使用方法、効能評価、根拠資料との対応を確認したうえで検討

注意したい表現注意する理由リライトの方向
シミが消える既存のシミを改善・除去する印象日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ、明るい肌印象に見せるメーキャップ効果
ニキビが治る疾患の治療表現洗浄によりニキビを防ぐ、肌を清浄にする。商品区分・使用条件を確認
シワを改善する一般化粧品の56項目の範囲を超える対象製品について適切な効能評価が行われている場合は、「乾燥による小ジワを目立たなくする」と表現する
ほかは、うるおい、ハリ、乾燥防止など
たるみをリフトアップ顔や皮膚構造が変化する印象「肌をひきしめる」「肌にハリを与える」という効能と、メーキャップにより引き締まって見せる効果を区別
肌を再生する細胞・組織の再生を示す印象肌を整える、すこやかに保つ、うるおいを与える
毛根を活性化する発毛・育毛作用を示す印象頭皮をすこやかに保つ、毛髪にハリ・コシを与える
真皮まで浸透する一般化粧品の作用範囲を超える印象角質層まで浸透。商品区分、成分、根拠、承認内容を個別確認
使うほど若返る若返り・老化防止の保証年齢に応じたうるおいケア、ハリ・ツヤを与える

リライト時に大切なのは、「シワ改善」を「ハリ」に機械的に置き換えることではありません。

LPのメインストーリーが「深いシワを改善して若返る」である場合、単語を部分的に修正しても、画像、悩みの提示、成分ロジック、使用者の声が同じ方向を向いていれば、広告全体の印象は変わらないからです。

訴求軸そのものを「乾燥」「うるおい」「キメ」「ハリ・ツヤ」「使用感」などに組み直す必要があります。

薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方を知りたい方は「薬機法ライティングとは?」も参考にしてください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックで「この言葉は使えません」と伝えるだけでは、制作現場は止まってしまいます。現場が本当に必要としているのは、「では何を中心に伝えるのか」という次の設計です。
たとえば、一般化粧品で「シワ改善」が難しい場合でも、うるおい、乾燥防止、ハリ、ツヤ、キメ、使用感、塗布時の心地よさなど、確認できる訴求材料は複数あります。問題は、それらを単発の代替語として入れるのではなく、消費者が商品を選ぶ理由として組み直せるかどうかです。
40,000件以上の広告表現支援でも、修正量が大きくなる案件の多くは、コピーの問題というより、企画時点の訴求軸に原因があります。最終審査だけでなく、企画・構成段階で薬事担当者を入れる方が、結果として制作の手戻りを抑えやすくなります。

LP・SNS広告・記事広告で確認すべきポイント

化粧品広告の確認ポイントを、SNS投稿・バナー、広告本文、記事LP、商品LP、EC商品ページ、同梱物・パッケージの6工程で示した図。媒体ごとの文言だけでなく、表現の整合性、口コミ・写真・推薦などの素材の見せ方、数値・比較・価格・申込条件の根拠を、消費者がたどる導線全体で確認する必要性を説明している。下部には、薬機法・広告基準、景品表示法、特定商取引法、適正広告ガイドラインの4つの確認領域を掲載。

化粧品広告では、媒体ごとに文言を個別確認するだけでなく、消費者が接触する一連の広告導線によって、効能効果の範囲を超える印象になっていないかを確認します。

LPはファーストビューだけで判断しない

LPでは、次の要素をまとめて確認します。

  • ファーストビューのキャッチコピー
  • 悩みを示す画像やイラスト
  • 成分の説明
  • 浸透範囲や作用機序
  • 使用前後写真
  • 口コミ、モニターコメント
  • 権威者・専門家の推薦
  • 数値、満足度、ランキング
  • 注釈
  • 購入ボタン周辺の短いコピー

一つひとつの表現が穏当でも、全体を読むと強い改善効果を約束する構成になっている場合は、注意が必要です。

SNS広告から遷移先まで整合させる

SNS広告では文字数が限られるため、強いキャッチコピーだけが切り出されやすくなります。

たとえば、LPでは「乾燥による小ジワを目立たなくする」と適切に表示していても、SNSバナーで「シワ消滅へ」と表示すれば、LP側の説明では補えません。

次の単位で表現をそろえる必要があります。

  1. SNS投稿・バナー
  2. 広告本文
  3. 記事LP
  4. 商品LP
  5. ECの商品名・商品説明
  6. 同梱物、パッケージ、説明書

なお、インフルエンサー投稿や商品提供を行う場合は、薬機法だけでなくステルスマーケティング規制も確認します。 

口コミや体験談も広告表現として確認する

自社LPに掲載する口コミや、広告素材として採用するSNS投稿は、広告を構成する一部として確認する必要があります。

「シワが消えました」「ニキビが治りました」といった投稿をそのまま掲載すると、企業さま自身の説明文に同じ表現がなくても、効能効果を保証する印象につながります。

化粧品等の適正広告ガイドラインは、化粧品広告の規制・遵守事項を明確にするための業界の自主基準として位置づけられるものです。制作実務では、薬機法や医薬品等適正広告基準とあわせて確認する資料になります。

化粧品広告に口コミ、InstagramのPR投稿の注意点は、「化粧品の口コミは薬機法違反になる?」で詳しく解説しています。 

ビフォーアフターは、最初に「何の効果を示している写真か」を確認する 

使用前後写真は一律に同じ結論になるものではありません。ただし、撮影条件をそろえれば使用できるというものでもありません。

まず、写真が示す変化が、その商品の区分と広告可能な効能範囲に合っているかを確認します。シワ、シミ、ニキビ、たるみ、若返りなど、一般化粧品では認められない改善効果を示す写真や、効能効果が確実に得られると保証するような写真は、注釈や「個人の感想です」といった表示だけで適正化できるとは限りません。

一方、洗浄による汚れの除去、染毛による色の変化、メーキャップによるカバー効果など、使用による物理的な変化を事実の範囲で示す場合は、個別に検討します。

そのうえで、次の事項を確認します。

・写真が示す効果と商品区分・効能範囲が一致しているか
・同一人物、同一部位、同等の照明、角度、表情、撮影距離で比較しているか
・画像の加工、レタッチ、色調補正等が結果を誇張していないか
・使用期間、使用量、併用条件等が事実と対応しているか
・効果の大きい事例だけを選び、通常得られる効果であるように見せていないか
・注釈だけで、写真から受ける強い印象を打ち消そうとしていないか

薬機法上の効能範囲だけでなく、景品表示法上、写真が実際より著しく優良な効果を示していないかも確認します。

景品表示法については、「景品表示法とは?」で詳しくまとめています。 

薬機法だけでなく景品表示法も確認する

56項目の範囲内に収まっていても、広告として根拠が不十分だったり、実際より著しく優れているように見えたりすれば、景品表示法の問題が生じる可能性があります。

薬機法と景品表示法の確認観点

法規・基準主な確認事項
薬機法・医薬品等適正広告基準56項目の範囲、承認内容、医薬品的表現、保証表現
景品表示法優良誤認、有利誤認、効果・性能の根拠、比較表示
特定商取引法ECの申込画面、定期購入、価格、解約条件
化粧品等の適正広告ガイドライン体験談、写真、成分、実感表現等の実務的な確認

景品表示法は、商品の品質や内容について、実際より著しく優良であると一般消費者に示す表示などを禁止しています。効果・性能表示について合理的な根拠資料が提出されない場合、不当表示とみなされる制度もあります。

56項目内でも景品表示法上の確認が必要な表示

たとえば「肌にうるおいを与える」という表現を用いる場合でも、次のような数値・比較・実績表示には、景品表示法の観点から別途確認が必要です。

「保湿化粧水の売上No.1」
「利用者満足度98%」
「リピート率95%」
「累計販売100万本」
「美容成分を当社従来品比100倍配合」
「通常価格10,000円のところ、今だけ2,980円」

これらの表示は、数字が事実であれば直ちに使用できるわけではありません。広告を見た一般消費者がどのような意味に受け取るかと、その表示を裏付ける資料の内容が適切に対応している必要があります。

景品表示法上の確認では、根拠資料の有無だけでなく、表示内容と、調査・試験・販売実績などによって確認できる事実が適切に対応しているかを見ることが重要です。

詳しくは「景品表示法の広告表現ガイド」「特定商取引法に基づく表記とは?」も ご覧ください。

注釈はメイン表示を修正する代わりにはならない

強いキャッチコピーを大きく表示し、限定条件を小さな注釈に入れる方法は、実務上よく見られます。

しかし、注釈を読まなければ正しい意味が分からない設計や、注釈を読んでもメイン表示との矛盾が解消されない設計は避けるべきです。

注釈は、主要な意味を反転させるためではなく、条件や補足を分かりやすく伝えるために使用します。

制作会社が使える化粧品56効能チェックリスト

56項目は、初稿完成後に確認するのではなく、企画・構成・コピー作成・デザインの各段階で使うと修正負担を減らせます。

企画・構成段階

  • 商品は一般化粧品か、医薬部外品か
  • 製造販売業者から商品区分と効能情報を受領したか
  • 訴求の中心が56項目または承認範囲に収まっているか
  • シミ、シワ、ニキビ、たるみ、発毛など、強い訴求を先に採用していないか
  • 商品の効能ではなく、配合成分だけを根拠にストーリーを作っていないか

ライティング段階

  • 各効能が対象商品に該当するか
  • 治療、改善、再生、若返りなどの印象がないか
  • 効果を保証する表現になっていないか
  • 「乾燥による小ジワ」の条件が一体として表示されているか
  • 使用感と効能効果を混同していないか
  • 一般化粧品と医薬部外品の説明が混在していないか

デザイン段階

  • 写真やイラストが承認外・範囲外の効能を示していないか
  • 皮膚断面図が真皮や細胞への作用を連想させていないか
  • ビフォーアフターの撮影条件と表現目的が適切か
  • メイン表示と注釈が矛盾していないか
  • 注釈の文字サイズ、位置、表示時間が十分か
  • 強調する言葉だけを読むと、別の効能に見えないか

入稿・公開前

  • バナー、SNS、LP、ECページの表現が整合しているか
  • 口コミや体験談に範囲外の効能が含まれていないか
  • No.1、満足度、比較数値の根拠資料が保管されているか
  • 媒体独自基準を確認したか
  • 商品情報や承認内容の最新版を確認したか
  • 薬事・法務確認後の修正が全媒体に反映されているか

チェックリスト化は、担当者の知識だけに依存せず、初稿段階で基本的な論点を共有するために有効です。江良公宏の実務解説でも、完成後に表現だけを修正するとLP全体のストーリーが崩れやすく、企画段階から薬機法対応を組み込む必要性が示されています。

よくあるご相談(FAQ)

化粧品で認められる56項目の効能効果とは何ですか?

一般化粧品が広告で標ぼうできる効能効果の基本的な範囲を、厚生労働省通知で示したものです。頭皮・毛髪、肌、爪、口唇、歯みがき類などに関する55項目に、平成23年の改正で「乾燥による小ジワを目立たなくする」が追加され、56項目となりました。

ただし、すべての商品に56項目すべてを使用できるわけではありません。対象商品に該当する効能か、商品実態や根拠と対応しているかを確認します。

56項目にある表現なら、LPやSNS広告でそのまま使えますか?

そのまま使えるとは限りません。56項目の範囲内であることに加えて、対象商品に該当する効能か、強調方法が適切か、画像や口コミを含む広告全体で範囲外の効果を示していないかを確認します。

たとえば「肌にハリを与える」が使用できる場合でも、顔のたるみが物理的に持ち上がる画像と組み合わせれば、別の効能を示しているように見える可能性があります。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、シワ改善と言い換えられますか?

一般化粧品について、同じ意味として言い換えるのは適切ではありません。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、乾燥に起因する小ジワをうるおいにより目立ちにくくする範囲です。製品ごとの適切な試験・評価も必要です。一方、「シワ改善」は医薬部外品の承認内容を前提に使用される表現です。

化粧品広告で「シミが消える」と表現できますか?

一般化粧品について、「シミが消える」「できたシミを薄くする」など、既に存在するシミの除去・改善を示す表現は、化粧品の56項目の効能範囲を超えます。

一方、ファンデーションやコンシーラー等によりシミを覆い、目立たなく見せる場合は、メーキャップによる一時的な色彩効果であることを明確にし、実際の仕上がりと対応する範囲で表現を検討します。 

化粧品広告で「ニキビが治る」と表現できますか?

一般化粧品について、「ニキビが治る」と治療効果を示す表現は、化粧品の56項目の効能範囲を超えます。

56項目にあるのは「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)」であり、洗顔料による洗浄を通じた予防表現です。「ニキビを防ぐ」という部分だけを、美容液やクリームなど別の製品に転用することはできません。 

一般化粧品でも「美白」と表現できますか?

「美白」が何を意味するかによって確認内容が異なります。

「美白」「ホワイトニング」は、それ自体が薬機法上の効能効果名ではありません。

一般化粧品で「美白」と表現する場合は、原則として、メーキャップの色彩効果によって肌を白く見せるなど、物理的な仕上がり効果であることを明確にする必要があります。継続使用によって肌本来の色が白くなる、既存のシミが薄くなると受け取られる表現はできません。

「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」は化粧品の56項目に含まれますが、その効能を標ぼうできることと、「美白」の一語を使用できることは同義ではありません。

薬用化粧品で「美白」と表現する場合は、製品ごとの承認効能を確認し、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」など、承認内容に対応する説明を併記します。 

「美白」の一語だけを強調すると、既存のシミが薄くなるなど、実際の範囲を超えた印象につながることがあるため、具体的な意味を明確にします。

口コミやビフォーアフターも56項目の範囲で確認しますか?

確認が必要です。

自社LPや広告に掲載する口コミは、広告を構成する表示として扱います。企業さま自身が強い効能を書いていなくても、掲載した口コミが「シワが消えた」「ニキビが治った」と述べていれば、広告全体として化粧品の効能効果を逸脱する可能性があるため注意が必要です。

ビフォーアフターも、何の効果を示しているのか、加工や撮影条件に問題がないか、承認外・範囲外の効能を保証する見せ方になっていないかを確認します。

56項目に収まっていれば、景品表示法の確認は不要ですか?

必要です。

薬機法上の効能範囲に収まっていても、「満足度99%」などの表示には、対象者、母数、質問内容、実施時期、集計方法等が、広告から受ける印象と対応する調査資料が必要です。

景品表示法では、商品を実際より著しく優良に見せる表示が禁止されており、効果・性能表示の裏付け資料が合理的な根拠と認められない場合、不当表示とみなされることがあります。

まとめ

化粧品で認められる56項目は、一般化粧品の広告表現を考えるうえでの基本資料です。

ただし、56項目は、掲載されている言葉を使えば広告全体が問題なくなる「OKワード集」ではありません。実務では、次の順番で確認する必要があります。

  1. 一般化粧品か医薬部外品かを確認する
  2. 商品に該当する効能効果を確認する
  3. 文言が56項目または承認内容の範囲を超えていないか確認する
  4. 画像、成分説明、口コミ、注釈を含む広告全体の印象を確認する
  5. 数値や比較表示について景品表示法上の根拠を確認する

特に「シミ」「シワ」「ニキビ」「たるみ」「発毛」などを中心にした広告では、制作後の単語修正だけでは全体のストーリーが成立しなくなることがあります。

企画やワイヤーフレームの段階で商品区分と使える効能を整理し、その範囲内で商品の価値を伝える設計にすることが、手戻りを抑えるポイントです。

化粧品の56項目を確認しても、「このLP全体がどのように見えるのか」「画像や口コミまで含めて問題がないか」を社内だけで判断するのが難しいことがあります。

なお、化粧品広告について体系的に知りたい方は「化粧品広告の薬機法ガイド」をご覧ください。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

白から薄いアイボリーの背景に、化粧品広告の「56項目」を解説する横長のアイキャッチ画像。左側に「制作会社向け」のタグと、大きく「化粧品広告の『56項目』」という見出し、下に「使える表現は、商品・用途・根拠で確認」というサブコピーを配置。右側には「56項目」と書かれた書類を中心に、化粧品ボトル、Web広告画面、チェックマーク、ペンなどの線画アイコンを配置し、下部の3つの確認カード「商品類別」「使用目的・方法」「表示根拠」へオレンジ色の線でつないでいる。右下に「薬機法ライティング」のロゴあり。

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