MENU

医療機器広告でJMDN・一般的名称をどう確認する?制作前に見るべき資料と広告表現の関係

医療機器広告制作におけるJMDNコード確認フローチャート。以下の5つのステップが示されています:1. 販売名の確認、2. 一般的名称・JMDNの確認(確認の入口)、3. 承認・認証・届出情報の確認、4. 使用目的または効果の確認、5. 広告表現との照合。全体として『一般的名称だけでなく、個別製品の資料まで確認し、認められた範囲を確認する』ことが重要であると解説されています。

医療機器の広告制作で、「JMDNコードが分かれば、広告で言える効果も分かりますか?」と聞かれることがあります。

結論からいうと、JMDNコードや一般的名称だけでは、個別製品の広告表現を確定できません。

JMDN・一般的名称は、その製品がどのような医療機器に分類されるのかを確認する重要な入口です。

しかし、実際に広告で表現できる使用目的・効果・性能を確認するには、その製品の承認書、認証書、届出内容、添付文書などまで確認する必要があります。

制作においては商品名や見た目、JMDNだけを見てコピーを作り始めると、後からメイン訴求そのものを作り直すことがあるため注意が必要です。

この記事では、JMDNと一般的名称の意味、PMDAでの確認方法、広告表現へ落とし込む際の確認順序を、実務目線で解説します。

目次

JMDN・一般的名称だけで広告表現を決めるのはNG

JMDNは「Japanese Medical Device Nomenclature」の略称として使われる医療機器の一般的名称体系です。JMDNはPMDAの「医療機器基準データベースシステム」で確認できます。

ここで重要なのが、

「一般的名称の定義に○○と書いてある」

「自社製品の広告で○○と言える」

ではないことです。

承認・認証品では、JMDNの一般的名称・定義だけで個別製品の広告可能範囲を確定できません。 

そのため、広告で表現できる効能効果・性能については、今回広告する個別製品について認められた範囲と照合する必要があります。

医療機器の分類そのものを確認したい場合は、まず「医療機器の薬機法分類ガイド」で一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の違いを整理しておくと、その後の確認がしやすくなります。

制作前は「販売名→一般的名称→個別資料」の順で確認する

広告制作を受けたら、商品サイトや営業資料だけを見て制作を始めるのは避けたほうが安全です。 

まずクライアントに、少なくとも販売名、一般的名称、承認番号・認証番号・届出番号を確認します。

そのうえで、PMDAの「医療機器 添付文書等情報検索」などを使って個別製品を確認します。 PMDAでは、販売名や一般的名称などから医療機器の添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)等の検索が可能です。

PMDAでは広告制作に直結する「使用目的または効果」「使用方法等」などの情報も確認できます。

厚生労働省の記載要領でも、一般的名称についてはクラス分類告示で示される一般的名称、JMDNコード、クラス分類を記載し、原則として承認書、認証書または届出書の一般的名称欄に記載されたものを主たる一般的名称とする仕組みが示されています。

つまり、制作現場では、

JMDNを調べる → 個別製品を特定する → 使用目的または効果を確認する → 広告表現と照合する

という順番で確認することが重要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
広告制作の実務で一番避けたいのは、LPや動画を作り終えてから「そもそも、この効果は言えません」となることです。
実際過去には、広告表現の確認を制作後に行ったため、LPのメインストーリーから作り直すことになった事例もあります。
医療機器の場合は特に、企画開始時に「販売名」「一般的名称」「承認・認証・届出」「使用目的または効果」を1枚にまとめて制作メンバーへ共有する。これだけでも後工程の修正はかなり減らせます。

事例1:家庭用低周波治療器なら何でも「腰痛改善」と言える?

誇大広告の禁止違反となる可能性のあるNG広告事例のイメージ図。家庭用低周波治療器のランディングページ例として、『必ず腰痛が改善する』『1回で痛みを解消』『これさえあれば病院不要』といった、認められた効能効果を保証したり、承認範囲を超えたりする過剰な訴求表現が大きく表示されています。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、クライアントから家庭用の電気治療器についてLP制作を依頼されたとします。

担当者から、

「医療機器です。低周波治療器なので『腰痛を改善』で作ってください」

と言われたとしても、そのまま制作を始めるのはNGです。

まず販売名を確認し、PMDAで個別製品を検索します。そのうえで、一般的名称、認証等の情報、使用目的または効果を照合します。

仮に似た外観の商品が複数あっても、商品名や「低周波」という仕組みだけから広告可能な効果と判断はできません。

また、使用目的または効果の範囲を確認した後も、

「必ず腰痛が改善する」
「1回で痛みを解消」
「これさえあれば病院不要」

のように、認められた効能効果を保証したり、承認等の範囲を超えたりする表現は使えません。

医薬品等適正広告基準では、承認等を要する医療機器の効能効果・性能について、承認等を受けた範囲を超える表現を認めていません。

つまり、一般的名称は表現の上限を直接教えてくれる資料ではなく、個別製品の承認・認証情報へたどるための重要な手掛かりと考える方が実務的です。

広告表現については「医療機器広告で「改善」は使える?」で詳しくまとめています。

事例2:JMDNに「患部を治療する」とあれば、商品LPにも使える?

家庭用温熱治療器『サンヒートプロ』の広告イメージ図。大きな見出しとして『温熱の力で患部を治療する』が掲げられ、腰痛、肩の痛み、関節痛の治療を訴求している。また、『医療機器認証取得済み』『医師も推奨』『30日間全額返金保証』などの文言が含まれる。本文では、JMDN(一般的名称)の定義にある『患部を治療する』という表現を、個別製品の広告表現としてそのまま使用してよいかを判断する際の注意喚起事例として提示されている。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、「家庭用温熱治療器」という一般的名称をPMDAのJMDN情報で確認すると、定義欄には「電熱を利用して熱刺激を与え、患部を治療する」という趣旨の記載があります。

この記載だけを見ると、

「PMDAのデータベースに“患部を治療する”と書かれているのだから、同じ家庭用温熱治療器であれば、商品LPでも“○○を治療する”と表現できるのでは?」

と考えてしまうかもしれません。

しかし、ここで注意が必要です。

JMDNの定義欄に書かれている内容を、そのまま個別製品の広告表現として使えるとは限りません。

JMDNの定義は、「家庭用温熱治療器」という一般的名称に該当する医療機器が、どのような機器であるかを示すための情報です。

一方、商品LPなどの広告で個別製品についてどこまで効能効果・性能を表現できるかを判断するには、その製品について認められている承認・認証・届出内容などを確認する必要があります。

ここで「家庭用温熱治療器」の認証基準情報まで確認してみます。一般的名称の定義には「患部を治療する」という趣旨の記載がありますが、「使用目的または効果」については、「電熱による温熱効果。一般家庭で使用すること。」と整理されています。

つまり、
「家庭用温熱治療器という医療機器の定義」と、「その医療機器について認められている使用目的または効果」は、同じではないということです。

したがって、

JMDNの定義に「患部を治療する」と書かれている
= 個別製品について、任意の疾病や症状を挙げて「○○を治療する」と広告できるとは判断しきれません。

そのため、JMDNの定義だけを根拠として、

「腰痛を治療する」
「肩の痛みを治療する」
「関節痛を治療する」

といった具体的な疾病・症状に結びつけた表現へ広げるのは危険です。

広告を作成するときは、JMDNで一般的名称とその定義を確認して終わりにしないことが重要です。

そこからもう一段深く入り「今回販売するこの製品について、具体的に何が認められているのか」まで確認する必要があります。

「一般的名称として何が書かれているか」と「個別製品として何を広告できるか」を分けて考える。この判断軸を持つことが、JMDN情報を広告制作に利用するときの重要なポイントです。

詳しくは「医療機器広告で「治る」「治療できる」は使える?」もご覧ください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
薬機法の資料は、「何か使える言葉を探すため」に読むより、「今回の商品でどこまで言えるのかを切り分けるため」に読むほうが失敗しません。
行政資料に強い表現が書かれていると、どうしても広告へ持っていきたくなります。
しかし、資料に書いてあることと、自社商品の広告で標ぼうできることは別です。根拠を探す仕事では、見つけた情報をそのまま採用するのではなく、「今回の製品に使える根拠か」を切り分けることが必要です。

事例3:「医療機器」と聞いていたが、PMDAで製品を確認できない

医療機器ではない美容機器の『NG広告事例』イメージ図。ランディングページ内で『気になる肌悩みを根本から治療する!』というキャッチコピーとともに、『しつこいニキビを治療する!』『気になるたるみを治療する!』といった、治療効果を謳う表現と、そのビフォーアフター写真が掲載されている。薬機法違反となるリスクを説明するための教育用事例として提示されている。
※自社で作成したイメージ画像です

広告制作の実務では「これは医療機器です」とだけ伝えられ、承認番号や認証番号、届出情報が共有されていないケースもあります。

この状態で、「医療機器なら治療効果を書けるだろう」とクリエイティブを作るのはNGです。

まず製品を特定できる資料をクライアントへ求めます。

特に美容機器や健康機器は、見た目だけでは医療機器か非医療機器か判断できません。医療機器として広告するのであれば、その根拠となる承認・認証・届出関係の情報を確認します。

確認できないまま疾病の治療・予防や身体機能への作用を強く訴求すると、製品が未承認医療機器であった場合には薬機法68条の未承認医療機器広告の問題まで生じます。

医療機器か美容・健康機器か判断できない案件では、「医療機器該当性で迷ったら」もあわせて確認してください。

広告表現は「JMDN」ではなく「個別製品の資料」まで見て決める

制作前の確認資料には優先順位があります。

最初に商品名や営業資料を見る。次に一般的名称・JMDN・クラス分類を確認する。そして、そこで終わらず、承認書・認証書・届出内容、添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)など、個別製品の資料へ進みます。

そこで確認した「使用目的または効果」を広告案と照合します。

さらに、使用目的または効果の言葉をそのままコピーしたからといって、広告全体が自動的にOKになるわけでもありません。

たとえば、本文の表現が承認範囲内でも、画像、ビフォーアフター、口コミ、グラフ、見出しを組み合わせて「必ず治る」「短期間で結果が出る」と見せれば別の広告上の問題が生じます。

つまり、JMDNや承認情報を確認する作業は、広告チェックのスタート地点であり、最終的にはLPや広告全体で何を伝えているかまで確認する必要があります。

具体的なコピー表現まで確認したい方は「医療機器広告で使える・使えない表現集」もご覧ください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
制作担当者にJMDNコードだけを渡して「調べて作ってください」とする運用はおすすめしません。
広告チームが本当に必要なのはコードそのものではなく、「この製品について、今回の広告でどの訴求まで使うか」という翻訳された情報です。
薬事担当が資料を確認し、制作担当が広告へ落とす。この間に「今回使える訴求」を共有する工程を一つ入れる。それだけで、薬事チェックが単なるNG出しではなく、制作を前へ進める工程になります。

まとめ

医療機器広告でJMDN・一般的名称を確認することは重要です。

ただし、JMDNコードが分かっただけで広告表現を決めることはできません。

制作前は、販売名を確認し、一般的名称・JMDN・クラス分類を確認する。その後、承認書、認証書、届出内容、PMDAの電子化された添付文書等から、個別製品の「使用目的または効果」を確認します。

一般的名称の定義から広告コピーを作るのではなく、個別製品に認められた範囲へ戻って判断する。

この順番を制作フローに組み込んでおくと、「完成後にメイン訴求が使えない」と判明する手戻りを減らせます。

医療機器の広告規制全体を確認したい場合は、「医療機器広告の薬機法完全ガイド」もあわせて確認してください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」

広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。

【無料】「使える・使えない」を覚えるだけでなく、自分で判断できるようになる(薬機法かけこみ寺®メールマガジン)

薬機法・景品表示法・医療広告について、実際の相談事例から「なぜそう考えるのか」「訴求を残すにはどう考えるか」をお届けする無料メルマガです。
目指すのは、表現を直すだけでなく、その理由を社内やクライアントにも説明できるようになること。
ご登録者には、初回限定の無料メールコンサルティングもご用意しています。
今、判断に迷っていることがあれば、登録後のご案内メールに返信してご相談ください。

形態 必須
業種 必須

登録後、配信されるメールからいつでも解除できます。

薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につけ、売れる表現に落とし込む講座

クリエイティブの幅が広がる。 ギリギリを攻めても、手戻りしない。 300件以上の事例で判断力を鍛え、 もう実務で迷わない薬機法・景品表示法講座のイメージ画像

「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料・業界資料を参考に、医療機器広告におけるJMDN・一般的名称の確認方法、承認・認証・届出情報との関係、電子添文の確認、使用目的又は効果、および広告表現へ落とし込む際の考え方を整理しています。
個別製品で広告可能な表現は、JMDNコードや一般的名称だけでは確定できず、販売名、承認・認証・届出内容、使用目的又は効果、使用方法、電子添文その他の個別資料を確認したうえで判断する必要があります。必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医療機器広告制作におけるJMDNコード確認フローチャート。以下の5つのステップが示されています:1. 販売名の確認、2. 一般的名称・JMDNの確認(確認の入口)、3. 承認・認証・届出情報の確認、4. 使用目的または効果の確認、5. 広告表現との照合。全体として『一般的名称だけでなく、個別製品の資料まで確認し、認められた範囲を確認する』ことが重要であると解説されています。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次