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美容機器広告で「たるみ改善」「脂肪分解」「小顔」は使える?医療機器該当性と薬機法上の注意点

美容機器広告における表現チェックのフローチャート。上部に「1. たるみ改善」「2. 脂肪分解」「3. 小顔」という3つの訴求項目があり、それぞれ「身体状態の変化」「組織への作用」「何が変化する訴求か」を確認する矢印が伸びている。その下に「医療機器該当性を確認」という判断プロセスがあり、左側の「非医療機器」には仕様・使用感・操作性へ、右側の「医療機器」には使用目的・訴求範囲の確認へと分岐する。最終的に「広告表現を設計」へと至る流れを示した図。

「たるみ改善」「脂肪分解」「小顔」などの表現は、美容機器で使いたくなる訴求ではないでしょうか。

しかし、一般的な非医療機器の美容機器で、身体作用を効能効果として標ぼうすると、医療機器該当性が問題になります 

特に「脂肪を分解する」「たるみそのものを改善する」「顔を小さくする」という表現は、単なる使用感ではなく、身体の構造や機能への作用を示します。

たとえ美容機器という名称で販売していても、疾病の診断・治療・予防や身体の構造・機能への影響を目的とする機器は、薬機法上の医療機器に該当し、規制対象となる可能性があります。厚生労働省の輸入手続Q&Aでも、美容機器について同じ判断基準が示されています。

一方、承認・認証された医療機器だから自由にこれらの表現が使えるわけでもありません。個別製品の「使用目的または効果」の範囲を確認する必要があります。

目次

一般的な美容機器で「たるみ改善」「脂肪分解」「小顔」はそのまま使えない

医療機器として承認・認証されていない一般的な美容機器は、特定の部位への訴求をそのまま使えません。

たとえば、「たるみ改善」はNG表現のひとつです。
皮膚や皮下組織等へ働きかけ、たるみという身体状態を改善する意味で訴求すれば、身体の構造・機能への作用を標ぼうすることになります。

また「脂肪分解」もNGです。
脂肪細胞や脂肪組織へ作用して脂肪を分解するという訴求は、明確に身体への作用を示しています。「脂肪を溶かす」「脂肪細胞を破壊」「脂肪燃焼を促進」などへ言い換えても、訴求している作用が同じなら解決しません。

「小顔」も、機器の使用によって顔そのものが小さくなる意味ならNGと考えられています。

「小顔」という単語だけを見るのではなく、

「顔の脂肪にアプローチして小顔へ」
「筋肉を引き締めてフェイスラインを小さく」
「むくみを流して顔のサイズダウン」

といった前後の説明、図解、ビフォーアフターまで確認します。

厚生労働省は、美容機器という名称であっても、製品説明等から身体の構造または機能へ影響を及ぼす目的があると判断されるものは医療機器に該当するとしています。

つまり、「雑貨として販売しているから薬機法は関係ない」という順番ではありません。何を目的とする機器として販売・広告しているかから医療機器該当性を確認します。

医療機器該当性そのものの判断手順は、「医療機器該当性で迷ったら|薬機法上の定義・販売規制・広告表現チェックの実務ガイド」で詳しくまとめています。

事例1:家庭用美顔器で「たるみを改善してリフトアップ」

「NG広告事例:医療機器ではない家庭用美顔器で、効果を断定する表現例」と題された広告画像のスクリーンショット。製品名「Lunelle Beaute(ルネル ボーテ)」の美顔器を使い、女性が顔に当てている写真とともに、「たるみを改善してリフトアップ」「EMSで表情筋にアプローチ」といった、身体への作用や効果を断定するキャッチコピーが記載されている。上部には「医療機器ではない家庭用美顔器で、効果を断定する表現例」という警告メッセージが添えられている。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、医療機器として承認・認証されていない家庭用美顔器のLPで、

「EMSで表情筋にアプローチ」
「気になるたるみを改善」
「フェイスラインをリフトアップ」

と訴求したとします。

このうち、特に問題になるのが「たるみを改善」と、それを裏付ける身体作用の説明です。

単に機器を肌へ当てる使用方法を説明するのではなく「筋肉へ作用してたるみという身体状態を改善する」と広告しているからです。

「たるみ改善」を「たるみにアプローチ」へ変えても、直後に「表情筋を刺激して引き上げる」と説明していれば、広告全体として同じ作用を伝えています。

修正するなら、NGワードの言い換えではなく、製品として実際に表現できる事実へ訴求軸を戻します。

たとえば、機器の形状、モード、使用時間、操作性、肌に当てた際の使用感などです。「フェイスラインをすっきり見せる」という表現も、機器によって顔の構造が変わることを意味する見せ方なら使えません。

単なる見た目について説明する場合でも、画像や前後の説明を含めて身体変化の訴求になっていないか確認します。

詳しくは「医療機器広告で「改善」は使える?」もご覧ください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
美容機器の広告では、LP完成後に「この表現はNG」と修正するだけでは不十分です。
企画の段階から「たるみを治す」「顔を小さくする」ことを商品の魅力として設計していると、「たるみ改善」という表現を直しても、「リフトアップ」「小顔効果」など、同じ方向性の訴求に置き換わるだけです。
つまりこの場合は、言葉ではなく、広告の前提そのものを見直す必要があります。
重要なのは、制作前に「この機器を何として販売するのか」「どこまでの作用・効果を訴求できるのか」を整理することです。
実際、一般化粧品のLPでも、メイン訴求が薬機法上使えず、ストーリー全体から作り直したケースがあります。
薬機法対応は、完成後にNGワードを削る作業ではありません。広告できる範囲を先に決め、その中で製品の訴求を設計することが重要です。

事例2:「脂肪を分解して部分痩せ」は美容機器では使えない

NG広告事例:医療機器ではない美容機器で、脂肪の分解やサイズダウンを断定する表現例」と題された広告画像のスクリーンショット。製品を用いて腹部をケアする女性の画像とともに、「脂肪細胞へ直接アプローチ」「頑固な脂肪を分解」「気になる部分だけサイズダウン」といった、身体への作用や効果を断定するキャッチコピーが記載されている。この広告は、薬機法上で問題となる不適切な表現事例として提示されている。
※自社で作成したイメージ画像です

次はボディ用美容機器です。

たとえば、

「脂肪細胞へ直接アプローチ」
「頑固な脂肪を分解」
「気になる部分だけサイズダウン」

と広告したとします。

医療機器ではない美容機器で「脂肪分解」を機器の作用として標ぼうする場合、非医療機器のまま扱えるのかという医療機器該当性の問題が先に生じてきます 。

また、薬機法だけを避ければよいわけでもありません。美容機器を使うことで実際に痩身効果やサイズ減少が得られると表示する場合、景品表示法上、その効果・性能を実際より著しく優良に見せていないかが問題になります。

消費者庁は、効果・性能表示について合理的根拠資料を求めることができ、資料は客観的に実証された内容であり、広告で表示した効果・性能と対応している必要があるとしています。

ここでも、

「脂肪分解」→「ボディメイクをサポート」

と曖昧に変えるだけでは不十分です。その「サポート」が何を意味するのかを確認します。広告全体で脂肪減少やサイズダウンを伝えているなら、言葉だけ弱めても訴求内容は変わっていないのです。

事例3:「小顔美顔器」は商品名なら問題ない?

NG広告事例:医療機器ではない美容機器で、顔の脂肪減少・小顔化・サイズ変化を断定する表現例」と題された広告画像のスクリーンショット。製品「LUNEA FACE(ルネアフェイス)」を使用する女性の画像とともに、「1日5分の小顔ケア」「顔の余分な脂肪を落として小顔へ」「使うだけで顔周り -3cm」といった、効果を断定するキャッチコピーが記載されている。右側には「使用前・使用後」の比較画像や「断定的な効果表現はNG!」という注釈があり、薬機法や景品表示法において不適切な広告事例として提示されている。
※自社で作成したイメージ画像です

「小顔」は、美容機器の広告で特に判断を誤りやすい表現です。

たとえば、

「1日5分の小顔ケア」
「顔の余分な脂肪を落として小顔へ」
「使うだけで顔周り-3cm」

といった表現を、機器の作用を示す画像やビフォーアフターなどと組み合わせれば、単なる美容イメージではなく、機器の使用によって脂肪や筋肉、むくみなどに作用し、顔の大きさそのものを変化させるという効果を伝える広告になり得ます。

非医療機器の美容機器で、このような身体への作用・変化を効能効果として訴求することは避ける必要があります。

重要なのは、「小顔」という一語だけを切り取って判断しないことです。

商品名やバナーに「小顔」とだけ書けば安全になるわけでも、反対に「小顔」と書いた瞬間に一律NGになるわけでもありません。

広告は、言葉だけでなく、画像、作用の説明、数値、ビフォーアフターなどを含めた広告全体の構成と文脈から、消費者にどのような効果を伝えているかで判断します。

つまり、「どの単語を使ったか」ではなく、その広告全体で何を効能効果として伝えているのかを見ることが重要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「小顔なら美容用語だから大丈夫」という発想は避けた方がよいです。
広告チェックでは、単語のカテゴリーではなく「消費者に何が起こると伝えているか」を読みます。
「小顔」の下に脂肪の図解があり、その横に「脂肪へ直接作用」と書かれていれば、答えはかなり明確です。画像や図解もコピーです。
薬機法ライティングでは、NGワードを検索するのではなく、表現したい内容を根拠と商品区分から整理し、広告として出せる形へ変換することが重要です。

「たるみ改善」「脂肪分解」を訴求したい場合は、まず商品の位置づけを確認する 

家庭用美容機器の広告では、「たるみ改善」「脂肪分解」など、身体の構造や機能に作用する効果を安易に訴求することはできません。

まず確認すべきなのは、その商品が医療機器なのか、医療機器ではない美容・健康機器なのかです。

医療機器であれば、販売名、承認番号・認証番号・届出番号、電子添文等を確認し、その個別製品について認められている「使用目的または効果」等の範囲から広告表現を検討します。

一方、医療機器ではない家庭用美容機器について、医療機器のような疾病の治療・予防や身体の構造・機能への作用を効能効果として訴求することは避ける必要があります。

なお、美容クリニック等で医師が医療として行う施術の広告は、家庭用美容機器の商品広告とは分けて考える必要があります。医療機関が提供する施術の広告については、医療法・医療広告ガイドライン等を踏まえて別途確認します。

医療機器と美容機器の広告ルールの違いは、「美容機器・家庭用医療機器の広告ルール|医療機器との違いと薬機法上の注意点」も参照してください。

HIFUは「美容機器だからエステで使える」と判断してはいけない

美容機器の医療機器該当性を考えるうえで分かりやすい例がHIFUです。

厚生労働省は2024年6月7日、用いる機器が医療用か否かを問わず、HIFUを人体へ照射して熱凝固を起こさせ得る行為について、医師免許を有しない者が業として行えば医師法17条に違反するとの見解を示しました。その目的には顔・体の引き締めやシワ改善等も含まれています。

さらに、美容機器と称するHIFU機器でも、身体の構造・機能へ影響を及ぼす目的を持つものは医療機器に該当する可能性があると厚生労働省は示しています。

そのため「美容目的だから医療ではない」「エステ用機器だから医療機器ではない」という整理はできません。

また、医療機関が美容医療として施術を広告する場合は、医療機器の商品広告とは別に、医療広告ガイドライン等の確認も必要です。

美容機器広告はコピーを書く前に「何を変える機器なのか」を確認する

美容機器広告では、最初からNGワード一覧を開く必要はありません。先に確認したいのは、機器の作用と販売上の商品区分です。

「たるみを改善する」のであれば、何がどう変化するのか。「脂肪を分解する」のであれば、どの組織へ何をするのか。「小顔にする」のであれば、顔の何が変化して小さくなるのか。

ここを技術担当者やクライアントへ確認すると、身体の構造・機能への作用を前提とした商品なのかが見えてきます。

そのうえで医療機器該当性を確認し、医療機器なら承認・認証内容へ進む。非医療機器なら、身体作用を標ぼうせず、機器の仕様、操作性、使用感、デザイン、利用シーンなど、実際の商品事実から訴求を組み直します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
美容機器で訴求軸にこだわった広告を作りたい場合ほど、薬事チェックを最後に回さないことです。
法律だけを見て表現を削れば、広告の表現は弱くなります。一方、マーケティングだけで企画すると、商品区分そのものと矛盾する訴求を中心にLPを作ってしまうことがあります。
「何を言えないか」ではなく、「この商品事実から何を売りにできるか」を企画段階で探す。この順番なら、規制対応と訴求力を両立しやすくなります。

まとめ

一般的な非医療機器の美容機器で、「たるみ改善」「脂肪分解」「顔そのものを小さくする」という効能効果として標ぼうすると、医療機器該当性が問題になります。

身体の構造・機能への作用を訴求することで、その機器自体が医療機器に該当する問題も生じるためです。

医療機器として承認・認証されている場合は、個別製品の「使用目的または効果」を確認し、その範囲内で広告を設計します。「医療機器だから美容効果を自由に書ける」ということではありません。

そして、「小顔」「リフトアップ」「ボディメイク」のような言葉へ置き換えるときも、単語だけで判断しないことです。最終的に広告がどの身体変化を伝えているのか。ここから逆算して商品区分と表現を確認することが、美容機器広告の基本です。

なお、医療機器の該当性に迷う際は「医療機器該当性で迷ったら|薬機法上の定義・販売規制・広告表現チェックの実務ガイド」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料・業界資料を参考に、美容機器の医療機器該当性、「たるみ改善」「脂肪分解」「小顔」等の身体作用を伴う広告表現、医療機器の承認・認証範囲、HIFU施術および景品表示法上の効果・性能表示について整理しています。
個別の広告表現の適否や医療機器該当性は、製品の構造・原理、使用目的、製品説明、販売方法、承認・認証・届出の有無、使用目的又は効果、広告全体の表示内容などによって判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や所管行政機関、専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

美容機器広告における表現チェックのフローチャート。上部に「1. たるみ改善」「2. 脂肪分解」「3. 小顔」という3つの訴求項目があり、それぞれ「身体状態の変化」「組織への作用」「何が変化する訴求か」を確認する矢印が伸びている。その下に「医療機器該当性を確認」という判断プロセスがあり、左側の「非医療機器」には仕様・使用感・操作性へ、右側の「医療機器」には使用目的・訴求範囲の確認へと分岐する。最終的に「広告表現を設計」へと至る流れを示した図。

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