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健康食品広告で血糖値・血圧・中性脂肪は訴求できる?数値改善表現の注意点

健康食品広告における血糖値・血圧・中性脂肪の表現範囲を示す図。商品区分を確認し、一般健康食品は商品事実へ訴求軸を変え、機能性表示食品・トクホは届出・許可表示と照合する流れを示している。

「このサプリで血糖値が下がる」「高めの血圧を正常値へ」「中性脂肪が20%減少」といった表現は、一般的な健康食品では慎重な確認が必要です。食品の摂取によって検査値を下げる、正常化する、疾病を改善すると受け取られる場合、医薬品的効能効果に当たる可能性があります。

一方、機能性表示食品や特定保健用食品では、届出表示または許可表示の範囲内で一定の機能を訴求できる場合があります。ただし、「20%減少」「3か月で正常値へ」などの具体的な改善量や期間を自由に追加できるわけではありません。

数値を表示する場合は、対象者、摂取量、摂取期間、測定条件、対照群との差などが、根拠資料と広告表示に対応しているかを確認します。限定的な試験結果を、誰にでも同じ効果が出るかのように見せないことが重要です。

目次

一般健康食品では数値改善を訴求できない

一般的な健康食品、サプリメント、栄養機能食品について、商品自体の効果として「血糖値を下げる」「血圧を改善する」「中性脂肪を減らす」「健康診断の数値を正常化する」といった数値改善を訴求する表現は避ける必要があります。

血糖値、血圧、中性脂肪という単語を掲載しただけで、直ちにすべてNGになるわけではありません。問題は、商品を摂取することで数値が変化するという因果関係を、広告全体で標ぼう・暗示しているかです。

一般的な健康食品では、「血糖値が気になる方へ」「健診結果に自信を」といった表現でも、商品画像、成分説明、グラフ、CTA(行動の指示)などと組み合わさり、商品の摂取による数値改善を認識させる広告ならNGです。

一方、機能性表示食品は届出表示、特定保健用食品は許可表示の範囲内で一定の機能を訴求できます。ただし、「血圧が高めの方に適した食品」などの表示が認められている商品でも、「血圧低下作用」「高血圧改善」など、届出表示・許可表示を超える表現へ広げていないかを確認します。

栄養機能食品は、国が定めた栄養成分の機能を表示する制度です。血糖値・血圧・中性脂肪への独自の作用を追加して表示することはできません。

健康食品広告の基本は、健康食品広告のルール完全ガイドでも整理しています。

一般健康食品の数値改善表現が薬機法上NGになる理由

薬機法第68条は、承認前の医薬品等について、効能・効果等の広告を禁止する規定です。食品として販売している商品でも、成分、形状、表示する効能効果、用法用量、販売方法等から医薬品に該当すると判断される場合があります。そのため、一般健康食品について、商品の摂取による血糖値・血圧・中性脂肪等の改善を医薬品的な効能効果として標ぼう・暗示する広告には注意が必要です。

厚生労働省の「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」では、食品であっても、疾病の治療・予防や身体機能への作用を標ぼうするものは、原則として医薬品とみなす考え方が示されています。名称、成分説明、医師や学者の談話、経験談による暗示も判断対象です。

血糖値、血圧、中性脂肪は、身体状態を示す測定値です。一般健康食品で「下げる」「正常化する」「改善する」と表示すると、食品の摂取によって身体機能に作用するように受け取られるおそれがあります。そのため、一般健康食品ではこうした数値改善の訴求は避ける必要があります。

また、「糖をブロック」「血管から健康に」「脂質をサラサラに」と言い換えた場合でも、LP(ランディングページ)全体から同じ作用を認識させる場合は注意が必要です。研究論文がある場合でも、一般健康食品で医薬品的効能効果に当たる表現を広告できるようになるわけではありません。

健康食品以外を含む数値表現の判断は、薬機法で「数値改善」は使える?で解説しています。

健康増進法と景品表示法は薬機法と分けて判断する

健康増進法は、健康効果を書いた時点で直ちに違反となる法律ではありません。食品の健康保持増進効果等について、著しく事実と異なる表示、または著しく人を誤認させる表示を禁止する法律です。

「薬に頼らず糖尿病を改善」「飲むだけで血圧が正常値になる」のように、容易な改善を示し、適切な診療機会を失わせるおそれがある広告は問題になります。消費者庁の留意事項でも、医師の診断や治療によらず糖尿病、高血圧などを治癒できるように見せる表示が問題例として示されています。

景品表示法では、数値改善を実際より著しく優良に見せていないかを確認します。原料試験、別商品の試験、対象者や摂取量が異なる試験は、そのまま最終商品の「血圧が20下がる」という表示の根拠として十分とは限りません。表示内容と提出資料が適切に対応しているかを確認する必要があります。

3つの法令を商品区分や広告表現ごとに確認する基本は「健康食品広告のルール完全ガイド|薬機法・健康増進法・景品表示法と商材別注意点を解説」でまとめています。

事例1|一般サプリの「血圧145から125へ」はNG

血圧サプリメントのNG広告事例。高齢の男女と商品パッケージを掲載し、「3か月で血圧145から125へ」と大きく表示して、利用者の体験談や血圧が右肩下がりに低下するグラフを示している。初回980円の割引価格や申込ボタン、「個人の感想です」などの注記も掲載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、一般サプリのLPに「3か月で血圧145から125へ」と掲載し、利用者の体験談と右肩下がりのグラフを見せるケースです。この広告は、一般健康食品の表示としてNGです。

最も直接的に確認すべきなのは、薬機法の観点です。食品による血圧低下作用を具体的な数値で標ぼうしているためです。本人の実測値であっても、商品との因果関係を示す文脈で販売ページに掲載すれば、広告全体を構成する商品効果の表示として評価される可能性があります。

「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注記だけで、その印象を打ち消せるとは限りません。広告全体から血圧が下がると認識される場合、体験談やグラフも判断材料になります。消費者庁も、注記だけで結論が変わるものではなく、表示全体から判断する考え方を示しています。

修正する場合は、数値だけを削って「血圧が気になる方へ」に変えるだけでは不十分です。原材料、含有量、形状、味、個包装など、確認できる商品事実へ訴求軸を移す必要があります。

ファーストビュー、体験談、グラフ、CTAまで含めた健康食品LPの確認方法は「健康食品LPの広告チェック|ファーストビュー・CTA・体験談・グラフの注意点」で整理しています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
数値訴求では、コピーより先にグラフやLPのストーリーが作られていることがあります。しかし、見出しだけを弱めても、下降線そのものが効果を伝えます。企画段階で商品区分と表示可能な機能を決め、コピー、図版、体験談、CTAを同じ基準で設計する方が、公開直前の全面修正を防げます。

事例2|機能性表示食品でも「血糖値を正常化」はNG

機能性表示食品のNG広告事例。高齢の男女と商品パッケージを掲載し、「血糖値を正常化」「糖尿病対策に」「飲むだけで正常範囲に」と大きく訴求している。血糖値が196から98まで低下する右肩下がりのグラフ、利用者満足度、初回980円の割引価格、申込ボタンも表示されている。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に届出表示が「食後の血糖値の上昇を抑える機能が報告されています」である場合、広告でもその範囲を超えていないかを確認します。

たとえば、「血糖値を下げる」「血糖値を正常化」「糖尿病対策」などへ広げると、届出表示の範囲を超えるおそれがあります。

「食後」を削ると、空腹時を含めて継続的に血糖値へ作用する印象になります。また、「上昇を抑える」を「下げる」に変えると、作用の方向が変わるため注意が必要です。

研究レビューによる届出の場合、機能性関与成分に関する研究報告であることを明確にしないまま、最終商品自体に確実な効果があるように見せる表示は避ける必要があります。届出表示を超えた印象を与えるだけでなく、景品表示法や健康増進法の観点からも問題になり得ます。

業界自主基準でも、機能性関与成分とその機能、研究報告であることが視認できる表示が求められています。機能性表示食品は、国が機能性や安全性を個別審査して許可する制度ではなく、事業者の責任で科学的根拠を届け出る制度である点も押さえておく必要があります。

届出表示の言い換えは、機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?で解説しています。

事例3|トクホの「食後の中性脂肪」を省略してはいけない

特定保健用食品のNG広告事例。茶飲料の商品ボトルと「中性脂肪を減らす」との大きな見出しを掲載し、4週間で中性脂肪が207から146mg/dLへ低下したとするグラフや利用者の声を表示している。初回980円の割引価格と申込ボタンも掲載され、許可表示である「食後の中性脂肪の上昇を抑える」の範囲を超えて、蓄積した中性脂肪自体を減らすかのように訴求している。
※自社で作成したイメージ画像です

許可表示が「食後の中性脂肪の上昇を抑える」である特定保健用食品について、「中性脂肪を減らす」「蓄積した中性脂肪を排出する」と広告するのはNGです。

「食後の上昇を抑える」と「既にある中性脂肪を減らす」は別の作用です。「食後」を省略し、継続的に中性脂肪を抑えるように見せることもできません。消費者庁の留意事項にも、この省略が問題例として掲載されています。

試験結果やグラフを掲載すること自体が、直ちに問題になるわけではありません。ただし、縦軸を調整して差を大きく見せる、効果が大きく見える結果だけを選択的に掲載する、対象者や摂取期間を分かりにくく示すといった見せ方には注意が必要です。

また、有意差が認められた試験だけを抜き出して掲載する場合も、広告全体として効果を実際より大きく見せていないかを確認します。 

LP全体の確認は、健康食品LPの広告チェックも参照してください。

数値訴求を残すために制作前に確認すること

数値に関する訴求を検討する場合、最初に確認するのは商品区分です。一般健康食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品のいずれに該当するかを確定します。

次に、届出表示または許可表示がある場合は、その内容を「対象者」「指標」「測定場面」「作用」「程度」「期間」に分解します。「食後」を削っていないか、「高めの方」が治療中の患者まで広がっていないか、「上昇を抑える」が「下げる」に変わっていないかを確認します。

グラフを使う場合は、最終商品を用いた試験なのか、機能性関与成分に関する研究なのかを区別する必要があります。そのうえで、対象者、人数、摂取量、期間、比較対象、評価項目、縦軸・横軸などを確認します。

一般健康食品では、数値作用を弱い言葉へ言い換えるのではなく、訴求軸そのものを変えることが基本です。一方、機能性表示食品と特定保健用食品では、届出表示・許可表示の範囲を削らず、強めず、別の作用へ変えないように設計します。

研究データを商品広告の根拠として使える範囲は「健康食品広告で論文・研究データは使える?原料データと商品広告の注意点」で具体的にまとめています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上説明できる表現と、媒体考査で通る表現は同じではありません。短いバナーでは重要な条件が落ちやすく、LPでは画像や体験談によって届出範囲を超えやすくなります。媒体の文字数と審査基準を企画時点で確認し、通る形から設計します。

まとめ

一般健康食品や栄養機能食品の広告では、「血糖値を下げる」「血圧を改善する」「中性脂肪を減らす」といった数値改善の訴求は避ける必要があります。体験談、医師コメント、研究データ、下降グラフなどを組み合わせ、商品の摂取による同様の作用を暗示する場合も注意が必要です。

機能性表示食品と特定保健用食品は、届出表示または許可表示の範囲内で一定の機能を訴求できます。ただし、「食後」を省略する、「上昇を抑える」を「下げる」に変える、疾病の治療・予防へ広げる、試験結果以上の変化を印象づけるといった表現は避ける必要があります。

公開前には、商品区分、届出表示・許可表示、根拠資料、コピー、グラフ、体験談、注記、CTAを分けて確認します。そのうえで、広告全体として商品の摂取による数値改善を約束しているように見えないかを確認することが重要です。

健康食品広告について体系的に理解したい方は「健康食品広告のNG表現一覧|ダイエット・疾病・美容・疲労系の使えない表現とリライト例」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的な指針・公式資料を参考に、健康食品広告における血糖値・血圧・中性脂肪等の数値に関する訴求について、薬機法上の医薬品該当性、健康増進法における虚偽・誇大広告規制、景品表示法上の優良誤認および不実証広告規制、ならびに特定保健用食品や機能性表示食品等の表示範囲との関係を整理しています。
個別の広告表現の適否は、製品区分、表示指標、対象者、摂取シーン、期間、届出・許可内容、科学的根拠、ならびにビジュアルや体験談を含む広告全体の印象等により判断が異なるため、実務にあたっては最新の公的資料を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

健康食品広告における血糖値・血圧・中性脂肪の表現範囲を示す図。商品区分を確認し、一般健康食品は商品事実へ訴求軸を変え、機能性表示食品・トクホは届出・許可表示と照合する流れを示している。

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