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健康食品広告で睡眠改善は訴求できる?休息・眠り・リラックス表現の注意点

健康食品広告で睡眠改善・休息・眠り・リラックスを訴求する際の確認フローを整理した図。まず商品区分を確認し、一般健康食品では睡眠機能への作用を直接・間接に訴求せず、原材料、味、形状、利用シーンなどの商品事実へ軸を移す。一方、睡眠に関する機能性を届け出た機能性表示食品では、届出表示と科学的根拠の範囲に広告表現を合わせ、機能を強めたり別の作用へ広げたりしないことが重要となる。さらに、コピーで『休息』『眠り』『リラックス』と言い換えるだけでなく、月・枕・眠る人物などのビジュアルによって睡眠改善を暗示していないか、研究資料や届出内容が広告表現と対応しているかを確認し、最終的にコピー・画像・根拠資料を含む広告全体の印象から判断することを示している。

一般的な健康食品で、「不眠を改善する」「睡眠薬に頼らず眠れる」など、疾病の治療や医薬品からの離脱を想起させる表示は使えません。また、「寝つきをよくする」「熟睡できる」など、商品によって睡眠機能が改善するように見せる表現にも注意が必要です。

「休息」「眠り」「リラックス」という言葉自体が、一律に使えないわけではありません。ただし、商品を摂取することで睡眠機能が改善する、緊張が緩和する、ストレスが軽減するといった具体的な生理・精神機能への作用を広告全体から認識させる場合は、商品区分に応じた確認が必要です。

一方、睡眠やストレスに関する機能性を届け出た機能性表示食品では、届出表示と科学的根拠の範囲内で表示できる場合があります。

本記事では、健康食品広告で睡眠改善や休息、眠り、リラックスを訴求するときの注意点を、薬機法、健康増進法、景品表示法、機能性表示食品の届出表示の観点から解説します。

目次

一般的な健康食品の「睡眠改善」「不眠改善」は使えない

一般的なサプリメント等で、「不眠を改善する」「睡眠薬に頼らず眠れる」など、疾病の治療や医薬品からの離脱を想起させる表示は使えません。

また、「寝つきをよくする」「夜中に目が覚めにくくなる」など、商品による睡眠機能への作用を訴求する表示にも注意が必要です。具体的な評価は、一般健康食品、機能性表示食品などの商品区分や、広告全体の印象から判断します。

この表現でまず確認したいのは、薬機法上の医薬品的効能効果に当たらないかという点です。厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」では、疾病の治療・予防や身体の組織機能の一般的増強・増進を目的とする効能効果を、医薬品的効能効果として扱っています。名称、成分説明、キャッチコピー、経験談等によって同じ効能効果を暗示する場合も判断対象です。 

ただし、薬機法は「睡眠改善」という単語自体を禁止語として定める方式ではありません。食品と医薬品の区分は、成分本質、形状、表示された使用目的・効能効果、用法用量、販売方法等を総合して判断されます。

一方、食品表示基準に基づいて届け出た内容を表示する機能性表示食品は、原則として医薬品としての目的を有するものとは認識しない扱いが示されています。そのため、「睡眠」というテーマでは、不眠改善のような疾病治療表現と、睡眠の質などの生理機能に関する表示を分けたうえで、商品区分と広告全体を確認することが重要です。

「改善」という表現そのものの考え方は、薬機法で「改善」は使える?症状・肌・睡眠・使用感で判断が変わる理由でも整理しています。

「休息」「眠り」「リラックス」は単語ではなく意味で判断する

「睡眠改善」を避けるために、「休息サポート」「眠りを応援」「リラックス習慣」と書けばよいわけではありません。

たとえば「深い休息へ」「朝まで心地よい眠りをサポート」「緊張をほぐして自然な眠りへ」というコピーを、ベッドで眠る人物や月・枕の画像と組み合わせれば、商品が睡眠の深さ、寝つき、精神状態へ作用する印象を作ります。一般的な健康食品では使えません。薬機法では明示だけでなく効能効果の暗示も対象となり、健康増進法・景品表示法でも文言だけではなく表示全体から判断します。

一方、「夜のリラックスタイムのお供に」「ほっと一息つく時間に」のように、味や利用シーンを表現するだけで、商品による鎮静、ストレス軽減、睡眠改善まで示していないのであれば意味が違います。

広告チェックでは「リラックス」という単語があるかではなく、商品が何をしてくれると伝えているのかを確認します。

健康食品で使えない表現全体については、健康食品広告のNG表現一覧も確認してください。

健康増進法と景品表示法では表示全体と根拠を見る

健康増進法は、「睡眠」と書いた時点で直ちに違反になる法律ではありません。健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示を禁止する法律です。消費者庁の留意事項でも、特定の用語・文言を一律に禁止するのではなく、表示全体から個別具体的に判断する考え方が示されています。

景品表示法では、「睡眠の質が上がる」「中途覚醒が減る」「起床時の眠気が軽くなる」といった広告上の効果について、表示内容に対応する根拠があるかを確認します。

原料について睡眠に関する論文があるだけで、広告商品の睡眠効果を自由に表示できるわけではありません。まず、研究対象が最終製品なのか、原料・機能性関与成分なのかを区別します。そのうえで、原料規格、摂取量、対象者、試験期間、評価指標などが、広告で示す内容と適切に対応しているかを見ることが重要です。

機能性表示食品では、最終製品を用いた臨床試験だけでなく、機能性関与成分に関する研究レビューが科学的根拠として用いられる場合もあります。ただし、その場合も、届出表示、科学的根拠の種類、対象者、摂取量、アウトカム指標と広告表現が対応しているかが確認ポイントです。

原料研究を広告へ使う場合は、健康食品広告で論文・研究データは使える?も併せて確認します。

事例1:「朝までぐっすり。もう夜中に目が覚めない」

一般的な健康食品・サプリメントのLPで、睡眠改善や中途覚醒の減少を直接・間接に訴求するNG広告事例。休息サポートサプリメント「スリープナイト」について、「朝までぐっすり」「もう夜中に目が覚めない」「深い休息で、すっきりとした毎日へ」と表示し、眠っている女性のビジュアルや「夜中に目が覚める方に」「寝つきの悩みをサポート」「毎朝の目覚めをスッキリ」といった表現を組み合わせている。さらにラフマ葉エキス、GABA、カモミールエキス末などの配合成分や、「いつも夜中に目が覚めてしまっていましたが、朝までぐっすり眠れるようになりました」「夜中に目が覚めることが減って、朝の目覚めが全然違います」といった利用者の体験談を掲載し、商品摂取によって中途覚醒が減り、睡眠状態が改善するような印象を与えている。一般健康食品では、直接「睡眠改善」と書いていなくても、コピー、画像、成分説明、口コミ、CTAを含む広告全体から睡眠機能への作用を暗示している場合は薬機法上の問題となるため、単に「ぐっすり」を「休息」へ言い換えるだけでは不十分であることを示した不適切事例である。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば一般的なサプリメントのLP(ランディングページ)で、

「朝までぐっすり」
「夜中に目が覚めなくなった」

と掲載するケースです。

これはNGです。直接「睡眠改善」と書いていなくても、商品によって中途覚醒が減り、睡眠状態が改善すると標ぼうしています。

購入者の体験談として掲載しても結論は変わりません。厚生労働省の基準では、経験談等を引用・掲載することで医薬品的効能効果を暗示する場合も判断対象です。

修正するときに「ぐっすり」を「休息」に置き換えるだけでは足りません。一般的な健康食品なら、配合成分、味、形状、飲みやすさ、個包装などの商品事実へ訴求を移します。

健康食品の口コミ・体験談と「個人の感想です」の限界は「健康食品広告で口コミ・体験談は使える? 」で具体的にまとめています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
睡眠改善をメインストーリーにしたLPを完成させてから「この商品区分では言えない」と分かると、ファーストビューだけでなく成分説明、体験談、画像、CTA(行動の指示)まで作り直すことになります。商品区分と使える訴求を企画段階で決めておく方が、広告チェックを単なるNGワード探しにせず、制作の手戻りも減らせます。

事例2:「GABAでストレスを和らげ、自然な眠りへ」

一般的な健康食品・GABA配合サプリメントのLPで、ストレス緩和から睡眠改善へつなげる表現を訴求するNG広告事例。健康食品「NEMURIA GABA NIGHT」について、「GABAでストレスを和らげて、自然な眠りへ」「1日の終わりに、心ほどけるリラックスタイム」「GABA配合で、すこやかな夜をサポート」と表示し、ストレスを和らげる、リラックスする、自然な眠りへ導くという3段階のビジュアルストーリーや、ベッドで穏やかに眠る女性の画像を組み合わせている。一般健康食品では、GABAを配合しているという成分事実や研究報告があっても、そのまま特定商品のストレス軽減や睡眠改善の機能として広告できるわけではない。『自然な眠り』『リラックス』など柔らかい表現でも、コピー、成分説明、画像、導線を組み合わせて精神機能や睡眠機能への作用を暗示していないかを広告全体で確認する必要があることを示した不適切事例である。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば一般的なGABA配合サプリについて、

「ストレスを和らげてリラックス」
「自然な眠りへ導く」

と表示するケースです。

一般的な健康食品として販売しているなら使えません。成分研究でストレスや睡眠に関する報告があっても、その研究内容をそのまま特定商品の機能として広告できるわけではありません。

「自然な眠り」という柔らかいコピーでも、ストレスを和らげる→リラックスする→眠れる、というストーリーで見せれば、商品による精神機能・睡眠への作用を訴求しています。

「GABA配合」という成分事実と、「この商品が睡眠を改善する」という商品機能は分けて考えてください。

事例3:機能性表示食品の「睡眠の質の向上」を「不眠解消」にしない

機能性表示食品の睡眠訴求で、届出表示の範囲を超えて不眠解消や睡眠障害改善、睡眠薬不要まで強めて表現するNG広告事例。機能性表示食品「SLEEP RESTORE」について、届出表示として想定される「睡眠の質の向上に役立つ」という範囲から、「つらい不眠を解消」「朝までぐっすり快眠へ」「睡眠障害を改善」「睡眠薬が不要に」といった疾病改善や医薬品からの離脱を想起させる表現へ拡大している。さらに、「眠りの深さを向上」「起床時の眠気を軽減」「自律神経を整えリラックス」と複数の機能を並べ、届出内容を超えて別の作用まで訴求している。機能性表示食品は国が個別商品の効果を審査・認定する制度ではなく、事業者の責任で科学的根拠に基づく機能性を届け出る制度であるため、広告では届出表示、対象者、機能、作用の程度、科学的根拠の範囲に沿って表現し、不眠解消や睡眠障害の改善など疾病の治療・予防に当たる表現へ強めないことが重要であると示した不適切事例である。
※自社で作成したイメージ画像です

機能性表示食品には、「睡眠の質の向上に役立つ」など、睡眠に関する機能性を届け出て公表されている商品があります。ただし、機能性表示食品は、国が商品ごとの機能性を個別に審査・許可する制度ではありません。食品関連事業者の責任で、科学的根拠に基づく機能性を消費者庁長官へ届け出る制度です。

そのため、広告では届出表示と科学的根拠の範囲に沿って表現を設計します。

たとえば、

「睡眠の質の向上」→「不眠解消」
「眠りの深さの向上」→「睡眠障害を改善」
「起床時の眠気を軽減」→「睡眠薬が不要」

と表現を強めることはできません。

機能性表示食品であっても、疾病の治療・予防を標ぼうすることはできません。また、消費者庁のQ&Aでも、科学的根拠情報の範囲を超えた表示や広告・宣伝については、景品表示法上の不当表示や健康増進法上の虚偽誇大表示に当たらないよう注意する考え方が示されています。 

また、届出が「睡眠の質」に関するものだけであれば、「ストレス解消」「自律神経を整える」など、別の機能へ広告を広げることはできません。仮にストレス等に関する機能も届け出ている場合でも、実際の届出表示と科学的根拠に照らし、コピーの意味がその範囲を超えていないかを確認します。

届出表示の広告上の言い換えについては、機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?で詳しく解説しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
根拠があることと、広告でどこまで言えるかは別です。機能性表示食品でも、届出表示を強いコピーへ変換する途中で意味が変われば問題になります。さらに、法律上説明できる表現でも媒体独自の審査で止まる場合があります。届出表示、コピー、ビジュアル、出稿媒体まで一つの広告設計として確認します。

睡眠訴求は「何に言い換えるか」ではなく商品区分から修正する

一般的な健康食品で睡眠改善を訴求できない場合、「ぐっすり」「休息」「おやすみ」「リラックス」へ弱く言い換えるだけでは修正になりません。

まず、一般的な健康食品なのか、栄養機能食品なのか、睡眠に関する機能性を届け出た機能性表示食品なのかを確認します。

一般的な健康食品なら、商品による睡眠作用から離れ、原材料、含有量、味、香り、形状、携帯性などへ訴求軸を移します。

機能性表示食品なら、届出表示、対象者、機能性関与成分、科学的根拠を確認します。コピーだけでなく、ベッドや時計の画像、睡眠スコアのグラフ、体験談、CTAが届出範囲を超える印象を追加していないかも見ます。機能性表示食品の広告は届出内容に即して作成し、表示全体で消費者に過度な期待を与えないことが求められます。

LP全体の確認方法は、健康食品LPの広告チェック|ファーストビュー・CTA・体験談・グラフの注意点も参照してください。

まとめ

一般的な健康食品広告で「睡眠改善」「不眠改善」「寝つきをよくする」「朝まで熟睡できる」と、商品による睡眠機能への作用をうたうことはできません。「休息」「眠り」「リラックス」も、睡眠改善や精神機能への作用を暗示する文脈ならNGです。

一方、機能性表示食品で睡眠に関する機能性を届け出ている場合は、届出表示と科学的根拠の範囲内で広告を設計できます。「睡眠の質の向上」を「不眠解消」に強めたり、届出にないストレス改善や別の身体作用まで広げたりすることはできません。

広告チェックでは単語だけでなく、商品区分、届出内容、根拠資料、コピー、画像、体験談、グラフ、CTAまで確認してください。

健康食品広告について体系的に理解したい方は「健康食品広告のNG表現一覧|ダイエット・疾病・美容・疲労系の使えない表現とリライト例」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料・関連通知を参考に、健康食品広告における睡眠の質、寝つき、熟睡感、休息、リラックス等の表現について、薬機法上の医薬品該当性、健康増進法における虚偽・誇大表示規制、景品表示法上の優良誤認および不実証広告規制、ならびに機能性表示食品の届出表示や科学的根拠との関係を整理しています。
個別の広告表現の適否は、商品区分、成分、機能性の評価、対象者、届出内容、科学的根拠、ならびにキャッチコピー・画像・体験談・グラフを含む広告全体の印象等により判断が分かれるため、実務にあたっては最新の公的資料を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

健康食品広告で睡眠改善・休息・眠り・リラックスを訴求する際の確認フローを整理した図。まず商品区分を確認し、一般健康食品では睡眠機能への作用を直接・間接に訴求せず、原材料、味、形状、利用シーンなどの商品事実へ軸を移す。一方、睡眠に関する機能性を届け出た機能性表示食品では、届出表示と科学的根拠の範囲に広告表現を合わせ、機能を強めたり別の作用へ広げたりしないことが重要となる。さらに、コピーで『休息』『眠り』『リラックス』と言い換えるだけでなく、月・枕・眠る人物などのビジュアルによって睡眠改善を暗示していないか、研究資料や届出内容が広告表現と対応しているかを確認し、最終的にコピー・画像・根拠資料を含む広告全体の印象から判断することを示している。

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