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薬機法で「改善」は使える?症状・肌・睡眠・使用感で判断が変わる理由

薬機法上、「改善」という表現が使えるかを対象別に整理した図解。中央の「改善—何が改善する?」から、症状、睡眠、肌・毛穴、使用感の4項目へ分岐している。症状の改善は一般的な健康食品では原則使用できず、治療・緩和を示す表現に注意。睡眠は商品区分と届出内容、肌・毛穴は一般化粧品の効能範囲、使用感は商品事実や比較根拠を確認する必要があると説明している。下段では「目的語→商品区分→根拠→広告全体」の順で審査し、単語を置き換えるのではなく、表現できる商品事実に訴求を組み替えるようまとめている。

「改善という言葉は薬機法でNGですか?」

広告チェックをしていると、このような質問が出てきます。結論から言うと、「改善」という単語が一律でNGなわけではありません。何を改善すると伝えているかで判断が変わります。 

「便秘を改善する」「肌荒れを改善する」「睡眠を改善する」「使用感を改善した」。同じ「改善」でも、広告が伝えている内容はまったく違います。

特に健康食品や一般化粧品では、疾病や身体機能への作用を「改善」と表現すれば、薬機法上使えないケースがあります。一方、医薬部外品の承認効能や機能性表示食品の届出表示の範囲であれば、改善に近い訴求が認められる場合があります。

この記事では、症状、肌、睡眠、使用感の4つに分けて判断します。

目次

「改善」がNGになる理由は法令ごとに違う

薬機法では、何が改善するのか、商品に承認・届出があるかを見ます。

医薬品、医薬部外品、医療機器は、認められた効能効果の範囲を超えて広告できません。一般化粧品では化粧品として認められる効能範囲を確認します。 健康食品や雑貨が医薬品的な改善効果を示せば、未承認医薬品の広告禁止が問題になります。

判断対象はコピーだけではありません。画像、グラフ、体験談、専門家コメント、注釈、CTAを含む広告全体です。

健康増進法は、食品に健康効果を書いた時点で直ちに違反とする法律ではありません。健康保持増進効果について、著しく事実に相違し、または著しく人を誤認させる表示を規制します。

景品表示法では、改善率、比較画像、アンケートなどで効果を実際より著しく優良に見せていないか、合理的根拠があるかが問われます。

事例1:健康食品の「膝の痛みを改善」は使えない

健康食品で膝の痛みの改善をうたった広告表現のNG事例。大きく「軟骨成分が膝の痛みを改善」「階段も、歩くのも、もう怖くない」と表示し、グルコサミン、コンドロイチン、Ⅱ型コラーゲンを訴求している。中央に屋外を歩く高齢の男女、右側に架空の健康補助食品「ひざ軽やか習慣」のパッケージを配置。下段では、膝を押さえる女性の写真、階段昇降のビフォー・アフター、利用者の「もう痛くない」という声を掲載し、健康食品で痛みの改善や身体機能の回復を直接示している不適切な広告例である。
※自社で作成したイメージ画像です

一般的なサプリメントのLPで「軟骨成分が膝の痛みを改善」はNGです。「痛みの改善」は症状の治療・緩和を標ぼうします。

成分に関する論文があっても、その研究結果をそのまま商品自体の効能にはできません。

「歩く毎日をサポート」と変えても、膝を押さえる画像、階段のビフォーアフター、「もう痛くない」という体験談が残れば修正になりません。

訴求を残すなら、配合成分、粒の大きさ、品質管理、摂取しやすさなどの商品事実へ軸を移します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「改善」だけを削っても、LP全体が症状改善のストーリーなら審査は通りません。
私がチェックで以前関わった事例でも、一般化粧品のLPを「シワ改善」で組み立てた結果、単語の置換では訴求構造が崩れ、全体を書き直すことになったことがありました。薬事確認は公開直前ではなく、企画・構成の段階で行います。

事例2:一般化粧品の「毛穴・肌質を改善」は使えない

化粧品で毛穴や肌質の改善をうたった広告表現のNG事例。大きく「開いた毛穴を改善」「使うほど肌質改善」と表示し、「毛穴の目立たない、なめらかな素肌へ」と訴求している。下段では、毛穴の断面イメージやビフォー・アフター写真を使って「開いた毛穴に集中アプローチ」「毛穴の奥まで浸透」「キメを根本から整える」「肌質そのものをアップデート」と説明し、利用者の声として「使うたび、肌が変わっていくのを実感」と掲載。右側に架空の美容液「PORE RENEW SERUM」と頬に触れる女性を配置し、化粧品の範囲を超えて毛穴や肌質の恒常的な改善を示す不適切な広告例である。
※自社で作成したイメージ画像です

一般化粧品の美容液で「開いた毛穴を改善」「使うほど肌質改善」はNGです。一般化粧品に認められた効能の範囲を超えます。

商品の事実に合わせて、「肌をひきしめる」「肌のキメを整える」「皮膚にうるおいを与える」などへ組み直します。単に弱い言葉へ置き換えるのではなく、保湿、整肌、使用感のどこを訴求するのかを選び直すことが必要です。

一般化粧品の表現範囲は、化粧品で認められる56項目の効能効果で確認できます。

一方、承認効能に「シワを改善する」を持つ薬用化粧品なら、その範囲内で使えます。ただし、毛穴、たるみ、ほうれい線まで改善すると広げることはできません。薬用化粧品の「シワ改善」と承認効能もあわせて確認してください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上言える表現でも、媒体の独自基準で止まることがあります。
最初から訴求を捨てるのではなく、承認書、商品区分、法令上の基準、媒体基準を分けて確認します。その上で、「法令上言える表現」を「その媒体で通る表現」へ設計することが実務です。

事例3:健康食品の「睡眠を改善」は区分で結論が変わる

一般的な健康食品で睡眠の改善をうたった広告表現のNG事例。大きく「睡眠の質を改善」「寝つきを改善」「朝まで必ず眠れる」と表示し、眠りのビフォー・アフター図や「睡眠リズムに直接アプローチ」といった説明で効果を訴求している。右側に眠る女性と架空の健康補助食品「ぐっすりナイト習慣」のパッケージを配置し、利用者の声として「不眠症が改善しました」、さらに「眠りを根本から改善」と掲載。GABAなどの成分を含む健康食品で、不眠症の改善や睡眠効果の保証を示している不適切な広告例である。
※自社で作成したイメージ画像です

一般的な健康食品で「睡眠の質を改善」「寝つきを改善」は使えません。睡眠機能への具体的な作用を標ぼうするためです。

「不眠症を改善」「中途覚醒を治す」は疾病の治療表現であり、さらに明確にNGです。

機能性表示食品は、当該商品の届出表示に睡眠機能が含まれる場合に限り、その範囲内で表示できます。

ただし、「一時的な睡眠の質を高める」という届出を「不眠を改善する」「朝まで必ず眠れる」と拡張してはいけません。届出表示に近い言葉を使っていても、画像や体験談によって治療効果を暗示すれば広告全体で範囲を超えます。

詳しくは、機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられるか健康食品広告で睡眠改善は訴求できるかも参照してください。

事例4:「使用感を改善した」は事実なら使える

「リニューアルによって使用感を改善」「容器を改良し、使いやすさを改善」のように、処方、感触、容器性能を示す表現は使えます。

ここで示しているのは、人体への効能ではなく商品事実だからです。

ただし、「使用感を改善」の直後に「毛穴が消える」「肌質まで変わる」と続ければ、広告全体では肌改善の訴求になります。使用感という言葉を置けば、効能表現を回避できるわけではありません。

「従来品より使用感が30%改善」「満足度98%」と数値化するなら、比較対象、調査方法、質問文、対象者数を説明できる資料も必要です。根拠のない優位性表示は景品表示法の問題になります。

景品表示法について体系的に知りたい方は、景品表示法の広告実務ガイドをご覧ください。

実務では「目的語、区分、根拠、広告全体」を確認する

審査では、まず「何が改善するのか」を一文で書き出します。

次に、商品区分と承認・届出内容を確認します。その上で、画像、数値、グラフ、体験談、注釈、導線まで見ます。最後に、改善前後の比較や調査結果を支える資料を保存します。

この順番なら、「改善」を機械的に別の言葉へ変える作業から抜け出せます。

効能を表現できない商品は、成分、形状、香り、味、感触、携帯性、利用場面など、確認できる商品事実へ訴求軸を移します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「改善」が使えるかは、コピー会議だけでは決まりません。商品区分、製造販売業者、承認・届出、根拠資料を企画段階でそろえます。
江良公宏は「混ぜる化粧品」の事例でも、表現以前の製品条件が商品化を左右すると説明しています。感覚で見つけた訴求を、根拠で説明できる形へ変えるのが実務です。

まとめ

一般的な健康食品による症状・睡眠の改善、一般化粧品による肌・毛穴・シワの改善は使えません。

承認された医薬品・医薬部外品、届出表示を持つ機能性表示食品は、その内容の範囲内に限って使えます。処方、容器、感触などの商品事実としての「使用感改善」は表現できます。

「改善」の一語を置き換えるのではなく、何が改善するのか、どの商品区分か、承認・届出は何か、広告全体でどの効果を暗示するかを確認してください。

言えない効能を曖昧に残さず、言える商品事実へ訴求を組み替えることが、手戻りを減らしながら販売力を残す修正です。

薬機法と添付文書の関係について体系的に理解したい方は「薬機法のNGワード一覧|広告で避けるべき表現と実務上の判断基準 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

薬機法上、「改善」という表現が使えるかを対象別に整理した図解。中央の「改善—何が改善する?」から、症状、睡眠、肌・毛穴、使用感の4項目へ分岐している。症状の改善は一般的な健康食品では原則使用できず、治療・緩和を示す表現に注意。睡眠は商品区分と届出内容、肌・毛穴は一般化粧品の効能範囲、使用感は商品事実や比較根拠を確認する必要があると説明している。下段では「目的語→商品区分→根拠→広告全体」の順で審査し、単語を置き換えるのではなく、表現できる商品事実に訴求を組み替えるようまとめている。

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