医薬部外品のECページは、承認された効能効果を本文に書けば終わりではありません。商品名、商品画像、販売者が広告に利用する購入者レビュー、ランキングのバッジまで、ECページを構成する表示として確認が必要です。承認販売名と異なる効能訴求型の商品名、承認範囲を超えるビフォーアフター、効果を語るレビュー、効き目No.1表示は使えません。
一方、使用感レビューや客観的な売上順位は、条件を満たせば掲載できる余地があります。この記事では、薬用化粧品を中心に、育毛剤や指定医薬部外品にも共通する確認順序を整理します。
ECページは4つの要素を別々に判定する
商品名は、承認販売名または認められる範囲の略称・愛称で表示します。「シミ消し美容液」など、承認外の効果を商品名のように見せる表現はNGです。
画像は、文章が適法でも、シミが消える比較写真、毛髪が増える合成画像、炎症が短時間で消えるアニメーションを使えばNGです。
レビューは、「個人の感想です」と付けても、「3日でシミが消えた」「薄毛が改善した」といった効能体験を販売者が抜粋・強調して掲載できません。
ランキングは、「効き目No.1」「安全性No.1」がNGです。薬用化粧品など一部の医薬部外品では、客観的な売上No.1が直ちに薬機法違反になるわけではありません。しかし、調査範囲、期間、比較対象、出典が表示と一致しなければ、景品表示法上の問題になります。販売ルールは「医薬部外品はネット販売できる?」で詳しくまとめています。
医薬部外品ECページで最初に確認するのは承認書
薬機法66条は、医薬部外品の名称、効能、効果などについて、明示か暗示かを問わず虚偽・誇大な広告を禁止しています。医薬品等適正広告基準も、名称は原則として承認された名称等の範囲で表示し、効能効果は承認範囲を超えてはならないとしています。ECページはウェブ広告であり、画像、レビュー欄、バッジ、見出しを含む全体で判断されます。
制作開始時にそろえる資料は、承認書、販売名、効能効果、用法用量、有効成分、使用上の注意です。薬用化粧品では一般化粧品の効能表現を使える場合もありますが、医薬部外品本来の目的を隠してはいけません。
ECページと広告遷移先のLPでは、コピーだけでなく画像、体験談、CTAまで表現をそろえる必要があります。医薬部外品LPを広告全体で確認する方法は「医薬部外品LPの薬機法チェック」で詳しくまとめています。
事例1|「シミ消し薬用美容液」を商品名にするのはNG

仮に、承認販売名が「薬用美容液A」で、承認効能が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」だったとします。ECの商品名欄を「シミ消し薬用美容液」に変えることはできません。「消す」は予防ではなく、既にあるシミの除去を意味するからです。正式販売名を小さく併記しても解消しません。
商品名欄は承認販売名に戻し、検索対策用の説明文も承認効能を正確に表示します。愛称も、商品の同一性を誤認させず、販売名として認められない名称を逃がすために使ってはいけません。
「シミを防ぐ」と「シミを消す」では広告できる範囲が異なります。医薬部外品広告における美白・シミ表現の線引きは「医薬部外品広告で「美白」は使える?」で詳しくまとめています。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
EC担当者は、管理画面の「商品名」をSEO欄として扱いがちです。しかし、その文言は検索結果や広告フィードにも展開されます。本文だけ直しても、商品名や画像に強い効能が残れば審査は止まります。「正しいこと」と「媒体で通ること」は別です。公開先の仕様まで先に確認し、承認販売名と訴求コピーを分けます。
事例2|シミが消える画像と浸透イラストはNG


シミ予防の承認を受けた薬用化粧品に、使用後はシミが消えた写真を掲載するのはNGです。画像だけで既存のシミを除去する効果を想起させます。「イメージです」と注記しても、主表示の印象は変わりません。
有効成分が肌の奥へ進み、メラニンを破壊する断面図も使えません。適正広告基準の解説は、図面・写真で承認外効能、効果発現時間、持続時間または安全性の保証を想起させる表現を認めていません。
修正するなら、容器、テクスチャー、使用量、塗布方法などの商品事実へ画像の役割を移します。医薬部外品広告のビフォーアフター画像の判断も確認してください。
事例3|効果レビューの転載はNG、使用感は範囲を限定する


販売者が「シミが消えました」「1週間で髪が増えた」といった投稿を選び、画像や本文へ転載する行為はNGです。体験談は客観的な裏付けにならず、効能効果や安全性を誤認させるためです。「効果には個人差があります」という注記でも掲載可能にはなりません。
「伸びがよい」「香りが好み」「べたつきにくい」などの使用感は、事実に反せず、効能を保証する見せ方でなければ掲載余地があります。ただし、選別、見出し追加、並び替え、星評価との組合せまで確認します。詳しくは医薬部外品広告で口コミ・体験談は使える?で解説しています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「購入者が書いたから販売者の責任ではない」とは切り離せません。販売者が選び、編集し、画像化し、目立つ位置へ移せば広告素材です。レビューを全部削るのではなく、効能体験と使用感を分け、掲載ルールをチェックリスト化すると、担当者ごとの判断差と公開直前の手戻りを減らせます。
事例4|「美白効果実感No.1」はNG、売上順位は根拠を合わせる


「美白効果実感No.1」「育毛効果No.1」「最も安全な薬用化粧水」は使えません。効能効果や安全性について最大級・保証的な表現になるためです。
薬用化粧品など適正広告基準の注記上除外される医薬部外品では、客観的な「売上No.1」が一律NGではありません。ただし、景品表示法上の合理的根拠が必要です。
消費者庁は、主観的No.1表示では、比較商品、調査対象者、調査方法、表示と結果の対応を確認すべきとしています。「顧客満足度No.1」をサイトの印象調査だけで作ることはできません。売上順位なら、対象市場、集計期間、販売チャネル、データ提供者を近接表示し、更新期限も管理します。景品表示法でNo.1表示は使える?も参照してください。
実務ではECページをどの順番で修正するか
商品区分と承認書を固定し、商品名、検索結果のタイトル、商品画像、本文、レビュー、ランキング、CTA(行動の指示)の順で確認します。最後にスマートフォン表示とモール一覧画面を見ます。PCの商品詳細ページだけでは、画像内文字の縮小や商品名の省略を見落とすからです。
修正はNG語の言い換えではなく、訴求軸の組み替えです。承認効能で言えない効果は、剤型、香り、容器、使用方法、携帯性などの事実へ移します。医薬部外品LP(ランディングページ)の薬機法チェックも使い、ECと広告遷移先で表現をそろえます。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
審査で止まってから根拠を集めると、コピー、画像、商品登録、広告フィードまで作り直すことになります。企画段階で「何を根拠に、どこまで言えるか」を決め、判断資料を一か所に残す方が速いです。感覚で見つけた訴求を、説明できる事実へ変換する。それが攻める訴求を残す実務です。
まとめ
医薬部外品ECページでは、承認外効能を含む商品名、効果を保証する画像、効能体験レビュー、効き目や安全性のNo.1表示はNGです。売上順位や使用感は、商品区分、事実、根拠、見せ方をそろえた場合に限り検討できます。
公開前には、承認書と販売名を起点に、画像内文字、レビューの選別方法、ランキング根拠、スマートフォン表示まで記録を残してください。個別商品の承認内容やモール独自基準で結論が変わる場合は、不足資料を特定して判断します。
医薬部外品広告について体系的に理解したい方は「医薬部外品はネット販売できる?EC・モール出品前に確認すべき薬機法と販売ルール」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
![]()
【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」
広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。
【無料】「使える・使えない」を覚えるだけでなく、自分で判断できるようになる(薬機法かけこみ寺®メールマガジン)
薬機法・景品表示法・医療広告について、実際の相談事例から「なぜそう考えるのか」「訴求を残すにはどう考えるか」をお届けする無料メルマガです。
目指すのは、表現を直すだけでなく、その理由を社内やクライアントにも説明できるようになること。
ご登録者には、初回限定の無料メールコンサルティングもご用意しています。
今、判断に迷っていることがあれば、登録後のご案内メールに返信してご相談ください。
薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につけ、売れる表現に落とし込む講座


「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。
参考情報・引用元
本記事は、関係法令や公的機関、業界ガイドライン等の公式資料に基づき、医薬部外品のECサイトにおける商品名・画像、カスタマーレビュー、および「No.1」等のランキング表示について、薬機法上の承認名称や効能効果の範囲、医薬品等適正広告基準、体験談・図表の取扱い、さらに景品表示法が禁ずる不当表示(優良誤認・不実証広告)や比較広告の観点から解説しています。
実際の広告訴求の妥当性は、製品ごとの承認情報や販売名、具体的な効能、用法用量のほか、レビューやビジュアルの掲載実態、ランキング調査の客観的根拠(対象・期間・手法・出典)、各モールの独自基準、広告全体の印象によって判断が分かれます。そのため、運用にあたっては承認書や最新の公的文献を確認し、適宜専門家へ照会を行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年09月04日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局長「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年09月04日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年09月04日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年09月04日)
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン 改訂α版」(2026年7月24日公表)日本化粧品工業会. https://www.jcia.org/user/common/download/business/guideline/appropriateadvertising/20260724_AppropriateAdvertising_Guideline-2.pdf(参照日:2026年09月04日)
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「優良誤認とは」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「不実証広告規制」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針―」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_34.pdf(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「表示に関するQ&A」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation/(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「『No.1表示に関する実態調査報告書』の公表について」(2024年9月26日)消費者庁. https://www.caa.go.jp/notice/entry/039459/(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月26日)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/assets/representation_cms216_240926_02.pdf(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「比較広告」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/comparative_advertising/(参照日:2026年09月04日)
- 消費者庁「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_38.pdf(参照日:2026年09月04日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



