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景品表示法でNo.1表示は使える?調査条件・比較対象・根拠資料の注意点

「No.1表示、何を確認する?」をメインテーマにしたインフォグラフィック。景品表示法におけるNo.1表示の際、調査会社の証明だけでなく、根拠資料として以下の4点を確認する必要があることを示している。 比較対象:主要サービスを含んでいるか、選定基準が合理的か。 調査対象者:誰を対象とした調査か、利用実態と合っているか。 調査方法:公平な設計か、結論ありきではないか。 表示との対応:調査結果と広告コピーが一致しているか。 最下部には「No.1の結果より、根拠資料の中身を確認」という重要なメッセージが記載されている。

「顧客満足度No.1」「売上No.1」「おすすめしたいサービスNo.1」などは、広告ではよく見かける表現であり、No.1表示そのものが景品表示法で禁止されているわけではありません。

No.1表示は合理的な根拠があり、その調査結果と広告表示が一致していれば使えます。

しかし、調査会社から「No.1が取れました」と報告書を受け取っただけでは合理的な根拠とは言えません。

比較対象が偏っている
利用者ではない人に「満足度」を聞いている
自社が1位になるまで調査している

という客観性を欠いたものや、イメージが先行する調査を根拠に、No.1を表示するのはNGです。

消費者庁も2024年9月に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、主観的評価によるNo.1表示について具体的な判断軸を示しています。

この記事では、広告制作・媒体審査で何を確認すればよいのかをまとめています。

目次

No.1表示は使える。ただし「調査会社が調べたからOK」ではない

結論からいうと、客観的な裏付けがあり、表示内容と根拠が対応しているNo.1表示は使えます。

景品表示法では、比較広告そのものを禁止していません。比較広告についても、

・主張内容が客観的に実証されている
・実証された数値や事実を正確に引用されている
・比較方法が公正である

などの根拠が求められます。

反対に、「顧客満足度No.1」と表示しているのに、その裏付けとなる調査が合理的ではなく、実際にはNo.1といえない場合、その表示は商品・サービスを競合より著しく優良または有利であると誤認させる表示として景品表示法上問題になります。

また、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器等では、医薬品等適正広告基準により他社製品を誹謗するような広告が制限されているため、比較の根拠があるだけで自由に比較広告ができるわけではない点も注意が必要です。

景品表示法の優良誤認・有利誤認の基本については、優良誤認・有利誤認とは?景品表示法の不当表示を広告実務者向けに解説もあわせて確認してください。

「顧客満足度No.1」で確認すべき4つの調査条件

消費者庁は、第三者の主観的評価を指標とする「顧客満足度No.1」などについて、調査結果が合理的な根拠と認められるためには、少なくとも次の4点を満たす必要があると整理しています。

  1. 比較する商品・サービスが適切に選定されている
  2. 調査対象者が適切に選定されている
  3. 調査が公平な方法で実施されている
  4. 表示内容と調査結果が適切に対応している

ここで重要なのは、「第三者機関による調査」という肩書だけを見ないことです。

利用経験のない人に商品名やウェブサイトなどを見せ、実際の利用に基づかないイメージだけで回答させた調査結果を、顧客満足度や品質などのNo.1表示の根拠にすることは問題となり得ます。

誰と比較したのか、誰に聞いたのか、質問文や選択肢はどうなっていたのか、何をもって1位としたのかまで確認する必要があります。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
No.1表示のチェックで最初に見るべきなのは、調査報告書そのものです。広告に入っている小さな「調査会社調べ」という注釈ではありません。
広告制作では「第三者調査なので大丈夫ですよ」と資料を渡され、そのままコピー制作が始まることがあります。しかし、広告に書きたい「No.1」と、実際に調査した内容がズレていれば意味がありません。企画段階で根拠資料まで受け取り、訴求と調査設計をセットで確認したほうが手戻りを減らせます。

事例1:「検索上位5社との比較でNo.1」は、そのままでは使えない

NG事例:オンライン英会話サービス「GrowTalk」の「顧客満足度No.1」広告イメージ図。

大きく「オンライン英会話 顧客満足度No.1」と掲げ、その下に「『オンライン英会話』で検索し、上位に表示された5社だけを比較した結果、1位を獲得!」という注釈がある。また、右側には「満足度比較ランキング」として、1位のGrowTalkから5位のD社までの比較グラフが示されている。

この画像は、検索エンジンで上位に表示された5社のみという限定的な比較対象に基づいて「No.1」と謳っており、市場全体を反映した合理的な根拠とは見なされない可能性が高い、不適切な広告表示の具体例である。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、オンライン英会話サービスについて調査会社が検索エンジンで「オンライン英会話」と検索し、上位に表示された5社だけを比較したとします。

その結果、自社サービスが1位となった場合、

「オンライン英会話 顧客満足度No.1」

と大きく表示すると一般消費者が「オンライン英会話市場全体で顧客満足度がNo.1」と受け取る可能性があります。

しかし、実際には主要サービスが調査対象から外れているのであれば、その調査結果は市場全体でのNo.1表示を裏付ける合理的な根拠とは認められにくく、景品表示法上NGとなるおそれがあります。 

消費者庁は、市場における主要な同種商品等の一部または全部を比較対象に含めていない調査や、単にインターネット検索の上位商品だけを比較対象とした調査について、合理的な根拠とはいえない典型例として挙げています。

「比較対象企業選定条件:○○検索上位5社」と小さく注釈すれば必ず解決するわけでもありません。注釈が目立たず、広告全体として市場全体のNo.1と受け取られるなら、調査結果との対応が取れていません。

修正するなら、まず比較対象の選定方法を見直します。主要サービスを合理的な基準で選び直して再調査が求められるでしょう。

事例2:利用していない人へ聞いた「顧客満足度No.1」はNG

NG事例:美容液「Lumiéra モイストセラム」の「顧客満足度No.1」広告イメージ図。

大きく「顧客満足度No.1」と掲げ、その横に「一般モニター100名に『最も満足できそうな商品を選んでください』と質問した結果、ルミエラ モイストセラムが第1位」という調査結果のグラフが記載されている。

この画像は、実際の利用者ではなく商品ページ等の印象のみで回答させた調査結果を根拠に「顧客満足度No.1」と謳っており、消費者に利用満足度が高いと誤認させる恐れがある不適切な広告表示の具体例である。
※自社で作成したイメージ画像です

化粧品について商品ページだけを見せた一般モニターへ、

「最も満足できそうな商品を選んでください」

と質問し、その結果を根拠に、

「顧客満足度No.1」

と表示したとします。この調査を根拠に「顧客満足度No.1」と表示するのはNGです。

「顧客満足度」という表示からは、通常、その商品を実際に利用した顧客へ満足度を聞いた結果だと受け取られます。消費者庁も、対象商品を実際に利用したことがなければ、その商品に満足したかどうかを適切に判断することはできないとの考え方を示しています。

この場合、「満足度」を「使ってみたい商品No.1」に変えれば自動的にOKになるわけでもありません。「~したい」「~と思う」という表現でも、表示全体によっては実際の利用者への調査結果だと受け取られることがあります。

化粧品に絞った判断については、化粧品広告でNo.1・満足度表示は使える?景品表示法と根拠資料の注意点で商品特性も含めて確認できます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
広告制作の実務でよく見かける修正が、「満足度No.1が難しいなら、おすすめNo.1に変えましょう」です。
しかし、問題がコピーではなく調査設計にあるなら、単語の置き換えでは解決しません。まず「この調査で証明できた事実は何か」を確認し、その事実の範囲内で広告を設計する必要があります。
根拠をコピーに合わせるのではなく、根拠から言えるコピーを組み立てる順序にすると、訴求を残しながら説明できる広告を作りやすくなります。

事例3:自社が1位になるまで調査を繰り返す方法はNG

「VitaBalance」の「サプリメント満足度No.1」広告イメージ図。

上部には「サプリメント満足度No.1」という大きな見出しがあり、下部には「第1回~第4回調査」の結果を示す表が記載されている。表では、第1回から第3回までは自社(ビタバランス)が1位ではないため「不採用」とし、第4回調査で1位になった結果のみを「今回の結果を採用!」として強調している。

この画像は、自社が1位になるまで調査を繰り返したり、1位の結果だけを都合よく採用する「結論ありきの調査」を根拠としており、公平性を欠いた不適切な広告表示の具体例である。
※自社で作成したイメージ画像です

複数回アンケートを実施し、自社が2位だった回は採用せず、回答者や条件を変えながら調査を続け、自社が1位になった回だけを広告へ使用したとします。

このような結論ありきの調査を根拠とするNo.1表示はNGです。

消費者庁は、自社の商品が1位になるまで調査を繰り返したり、1位になったタイミングで調査を終了したりする方法を、公平な調査とはいえない例として明示しています。自社の商品を選択肢の最上位へ固定し、選ばれやすくするような回答誘導も同様です。

広告担当者が調査会社へ依頼するときに「何かNo.1を取ってください」と発注すること自体が、こうした調査設計につながりやすい点にも目を向ける必要があります。

調査会社から受け取るべき根拠資料は「証明書1枚」ではない

No.1表示を使う前に、最低でも、調査対象の商品・サービス、比較対象の選定基準、調査対象者の条件、サンプル数、調査期間、質問文、回答方法、集計方法、順位結果が分かる資料を確認します。

「No.1認定証」や調査結果のまとめだけでは、これらを判断できません。

さらに、広告で「20代顧客満足度No.1」と表示するなら20代の利用者を対象とした調査が必要です。「安さNo.1」であれば満足度調査ではなく、広告で主張する「安さ」を裏付ける比較になっていなければなりません。表示内容と調査対象・評価項目を一致させることが基本です。

アンケートを根拠にする表示全般については、「満足度98%」は景品表示法上使える?アンケート調査・回答者条件・表示範囲の注意点で詳しくまとめています。

そして、調査会社へ委託したから責任も調査会社へ移るわけではありません。消費者庁のQ&Aでも、第三者が調査を行っていてもNo.1表示について景品表示法上の責任を負うのは広告主であり、広告主自身が調査内容と表示内容の対応を確認する必要があるとされています。

なお、LP全体での確認方法は、LPの景品表示法チェック|No.1・口コミ・価格・限定表示の注意点でも整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
実務では「調査会社が適法と言っている」「有名企業も同じ会社を使っている」という説明が安心材料になりがちです。しかし、それだけで自社広告の根拠にはなりません。
これは媒体審査にも似ています。法律上説明できることと、媒体で通ることは別です。逆に、媒体審査を通ったから景品表示法上問題がないとも限りません。No.1表示では、法令上の根拠確認と媒体独自基準の確認を分けて進める必要があります。

まとめ

No.1表示は景品表示法上、一律に禁止されている表現ではありません。合理的な根拠があり、その根拠と広告表示が一致していれば使えます。

一方で、「第三者調査済み」「調査会社認定」という事実だけでは足りません。

確認すべきなのは、比較対象、回答者、調査方法、質問内容、集計方法、そして調査結果と実際の広告表現が対応しているかです。

特に「顧客満足度No.1」「おすすめNo.1」などの主観的評価は、調査設計次第で結論が大きく変わります。

制作会社や広告担当者は、コピー完成後に証明書だけを見るのではなく、企画段階で根拠資料一式を受け取り、「この調査から、広告で何が言えるのか」を確認する。これがNo.1表示の手戻りを減らす実務上の進め方です。

景品表示法のNo.1・限定・無料などの表現を横断的に確認したい場合は、景品表示法の広告表現ガイド|無料プレゼント・限定表現・No.1表示を実務向けに解説も参照ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、消費者庁の公式資料・実態調査・Q&A等を参考に、景品表示法におけるNo.1表示、比較広告、調査対象・比較対象の選定、調査方法、合理的根拠および広告主による根拠資料の確認について整理しています。
No.1表示の適否は、表示内容、比較対象、調査対象者、調査方法、質問内容、集計方法、調査時点、表示と調査結果の対応関係、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

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