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化粧品広告で口コミ・体験談は使える?「個人の感想です」だけでは足りない理由

化粧品広告の口コミ・体験談で使える表現と使えない表現を整理した図解。使用方法・使用感・香りなどの感想は掲載できる一方、「毛穴が目立たなくなった」「シワが薄くなった」など効能効果を体験談として示す表現は避ける必要があり、「個人の感想です」という注釈だけでは薬機法上の問題は解消しない。

化粧品広告で口コミ・体験談は使えます。ただし、使えるのは原則として「使用方法」「使用感」「香りのイメージ」などの範囲です。「毛穴が目立たなくなった」「シワが薄くなった」「肌が明るくなった」など、効能効果や安全性を体験談として語らせる表現はNGです。

末尾に「個人の感想です」「効果には個人差があります」と入れても薬機法対応にはなりません。一般化粧品と薬用化粧品で商品説明として表現できる効能は異なりますが、口コミで効能効果を保証するように見せてはいけない点は共通します。

本記事では、この線引きと実務上の修正方法に絞って解説します。

目次

口コミは使えるが、効能効果・安全性の体験談には使えない

化粧品広告で口コミそのものが禁止されているわけではありません。

一般化粧品でも薬用化粧品でも、使用方法、テクスチャー、香り、使いやすさなどの使用感に関する事実ベースの感想は使えます。たとえば「しっとりした使い心地が好み」「さっぱりした感触で使いやすい」「この香りが好き」といった表現です。

一方、「使ったら毛穴が目立たなくなった」「目元のシワが薄くなった」「刺激がまったくなかった」のように、商品の効能効果や安全性を利用者の体験として示す表現は使えません。

ここで間違えやすいのが、「化粧品として言える効能なら、口コミでも言える」という考え方です。商品説明として認められる効能効果の範囲と、使用者の体験談として認められる範囲は別です。

薬機法上の体験談規制とは別に、景品表示法では、口コミの選び方や見せ方によって実際以上に優良だと誤認させていないかを確認します。口コミを景品表示法側から判断する基準は「口コミ・体験談は景品表示法上使える?優良誤認・ステマ規制・広告利用の注意点」で詳しく整理しています。 

「個人の感想です」を付けてもNG表現が救済されない理由

最も直接的な判断軸は、薬機法第66条と医薬品等適正広告基準です。薬機法第66条は、化粧品の効能・効果等について虚偽・誇大な広告を禁止し、他者が効能効果を保証したと誤解されるおそれのある広告も規制しています。

厚生労働省の「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」では、愛用者の感謝の言葉や使用経験・体験談は客観的な裏付けにならず、効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあるため、原則として行わないとされています。例外として示されているのが、化粧品等で使用感を説明する場合などです。

さらに、日本化粧品工業会が2026年7月24日に公開した「化粧品等の適正広告ガイドライン改訂α版」では、使用方法・使用感・香りのイメージ等の体験談は認められる一方、効能効果や安全性についての体験談は認められないと整理されています。「眼の下の小ジワにうれしい変化が!」に「個人の感想です。一定の効果を保証するものではありません」と付けても、NG表現を救済できない例として明示されています。

景品表示法でも、注釈だけで強い効果印象を消せるわけではありません。消費者庁の調査では、効果があったという体験談を見た消費者は「大体の人にも効果がある」と認識しやすく、「個人の感想です。効果には個人差があります」といった打消し表示を見ても、その認識はほとんど変わらないと整理されています。表示全体が実際より著しく優良だと誤認させる場合、明瞭な注釈があっても景品表示法上の問題は解消しません。

事例1:一般化粧品のLPで「毛穴が目立たなくなった」

化粧品LPの購入者口コミで「1週間使ったら毛穴が目立たなくなりました」と効能効果を体験談として掲載し、「個人の感想です」と注記しているNG広告例。一般化粧品の美容液で毛穴の変化や効果発現までの期間を口コミで示す場合の薬機法上の注意点を解説したイメージ。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば美容液のLP(ランディングページ)に、購入者の声として「1週間使ったら毛穴が目立たなくなりました。もう手放せません」と掲載し、その下に「※個人の感想です」と入れるケースです。

この表現はNGです。「毛穴が目立たなくなった」は単なる使用感ではなく、商品の使用によって肌状態が変化したことを体験談として示しています。「1週間」という期間まで付けば、効果が現れるまでの時間についても具体的な印象を与えます。

修正するなら、「伸びがよく使いやすい」「ベタつきにくい使用感が好み」など、事実として確認できる使用感へ訴求軸を移します。毛穴を訴求したいのであれば、口コミに言わせるのではなく、その商品区分で表現できる内容を確認したうえで商品説明として設計します。LP全体の確認方法は化粧品LPで口コミ・CTA・画像まで確認する方法で整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
口コミ欄は「実際のお客様が言ったことだから、そのまま載せてもよい」と扱われやすい部分です。しかし、広告主がその口コミを選び、LPの見出しや商品画像、購入導線と組み合わせれば、広告全体の訴求になります。
ここで見るべきなのはNGワードではありません。「この口コミを載せることで、何を証明しようとしているのか」です。効果の証明に使っているなら、語尾を弱めるより口コミのテーマ自体を変えた方が、訴求を残した修正になります。江良の過去の発信でも、単なるOK・NGではなく、規制の中で伝わるコピーへ設計し直すことを重視しています。

事例2:薬用化粧品で「シワ改善を実感しました」

シワ改善の効能を承認された薬用化粧品の広告で、「2週間で目元のシワが薄くなったのを実感しました」と利用者の口コミを掲載しているNG例。医薬部外品では承認効能としてシワ改善を表示できても、利用者の体験談で効果を実証・保証するように見せる口コミ表現は薬機法上注意が必要。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に、シワ改善の効能を承認された薬用化粧品で「2週間で目元のシワが薄くなったのを実感しました」と利用者の声を掲載したとします。

この体験談はNGです。

商品が承認された効能として「シワを改善する」と表示できることと、利用者の体験を使って「実際にこの人に効いた」と示すことは別だからです。承認範囲内なら口コミも自由になるわけではありません。

修正するなら、承認された「シワ改善」の効能は商品説明として正確に示します。口コミは「毎日のスキンケアに取り入れやすい」「なめらかなテクスチャーが好み」などの使用感へ分けます。効能と利用者の感想を同じ吹き出しの中で混ぜないことが実務上のポイントです。

薬用化粧品では承認効能を商品説明として表示できても、その効能を利用者の体験談で保証するように見せることは別問題です。医薬部外品における口コミ・レビューの扱いは「医薬部外品広告で口コミ・体験談は使える?LP・ECレビュー掲載時の薬機法上の注意点」で詳しく確認できます。 

事例3:「香りが好き」はOKでも、レビューの選び方で景品表示法の問題が出る

化粧品ECで「香りが好き」「容器が使いやすい」など好意的な口コミだけを選び「利用者の声」として強調掲載しているNG例。使用感の口コミ自体は掲載できても、一部の高評価レビューだけを抜粋して多数の利用者が高く評価しているように見せると、景品表示法上の優良誤認につながるおそれがある。口コミの選び方、評価分布、ランキングや実績表示の根拠まで広告全体で確認が必要。
※自社で作成したイメージ画像です

自社ECで「香りが好き」「容器が使いやすい」といったレビューを紹介すること自体はできます。薬機法上も、事実に基づく使用感や使用方法の範囲であれば使えるからです。

ただし、100件のレビューのうち絶賛する数件だけを選び、「利用者の声」として大きく掲載し、あたかも利用者一般の評価であるように見せれば、別の問題が生じます。景品表示法では、口コミ単体ではなく、広告全体から一般消費者がどのような品質・効果を認識するかが問われます。口コミをねつ造したり、都合のよい体験談だけを不適切に使ったりする表示も問題になります。

また、報酬や商品提供を伴う投稿で事業者が表示内容の決定に関与している場合は、ステルスマーケティング規制も別軸で確認します。広告であることを隠した第三者投稿は景品表示法第5条第3号の対象です。

景品表示法側の口コミ判断は口コミ・体験談を景品表示法から確認する方法、インフルエンサー施策は化粧品SNS広告・インフルエンサー投稿の薬機法とPR表示につなげて確認すると整理しやすくなります。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法令上の判断と媒体考査は分けて考えます。法令上説明できる口コミでも、出稿する媒体の独自基準で掲載できないことがあります。
制作後に口コミをまとめて削除するより、企画段階で「口コミは使用感」「効能は商品説明」「PR投稿は広告表示も確認」と役割を決めておく方が手戻りを減らせます。「法律上正しいこと」と「媒体で通ること」は同じではない、という視点は広告制作でも欠かせません。

実務では口コミを「効果の証明」ではなく「使用イメージ」に使う

口コミ原稿を受け取ったら、まず「効能効果」「安全性」「使用方法・使用感」「その他の商品事実」に分解します。

「肌が明るくなった」「乾燥が気にならなくなった」「刺激がなかった」は、個人の感想という形式でも効能効果・安全性へ踏み込んでいます。そのまま採用しません。一方、「しっとりした使い心地」「伸びがよい」「香りが好み」「容器が使いやすい」であれば、事実に基づく使用感や使用方法として設計できます。

そして、「個人の感想です」を付けてから考えるのではなく、注釈をすべて外した状態で、その口コミを広告に載せられるかを先に判断します。日本化粧品工業会の最新ガイドラインも、説明文がなくても認められる表現であることを前提としており、説明文でNG表現を救済する考え方を否定しています。

なおLPでは口コミだけを単独で確認するのではなく、No.1表示、価格、限定表示などと合わせ、表示全体がどのような印象を与えるかを確認します。景品表示法側からLP全体を見る方法は「LPの景品表示法チェック|No.1・口コミ・価格・限定表示の注意点」で確認できます。 

まとめ

化粧品広告で口コミ・体験談は使えます。ただし、基本は使用方法、使用感、香りなどの範囲です。効能効果や安全性を利用者に語らせる表現はNGで、「個人の感想です」「効果には個人差があります」と付記しても救済されません。

一般化粧品では、化粧品として表現できる効能であっても、体験談として自由に言えるわけではありません。薬用化粧品でも、承認効能を商品説明として表示できることと、利用者が「実際に効いた」と語ることは別問題です。

口コミを広告に使うなら、「何を言わせたいか」ではなく、「口コミに任せてよい役割は何か」から設計します。効果を証明する場所ではなく、使い心地や使用場面を具体化する場所として使う。これが、「個人の感想です」に頼らず訴求を残す基本です。

化粧品広告について体系的に理解したい方は「化粧品の口コミは薬機法違反になる?インスタPR投稿・Before/After画像の注意点」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、関連する法令や公的機関、ガイドライン等の公式資料に基づき、化粧品のSNS広告およびインフルエンサーによる投稿について、薬機法が定める広告該当性の判断基準や一般化粧品の効能効果の範囲、さらに景品表示法におけるステルスマーケティング規制、「事業者の表示」とされる要件、PR・広告表記の明確性、物品提供の扱い、動画・返信欄での表示方法、PR投稿の二次利用における留意点などの観点から解説しています。
個別の広告表現の妥当性は、製品の区分や投稿者と事業者との関係性、対価・サンプル提供の有無、投稿内容に対する指示・関与の度合いのほか、本文・画像・動画・ハッシュタグ・リンク等を含めた表示全体の印象、二次活用手法などによって判断が分かれます。そのため、実際の運用にあたっては、最新の公的文献や専門家への照会を適宜行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

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