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医薬品広告と薬機法|66条・68条、薬事法との違いを実務目線で解説

医薬品広告を制作・確認する際、「この効能効果はどこまで表現できるのか」「薬機法66条や68条に抵触しないか」「薬事法と薬機法は何が違うのか」と迷う場面は少なくありません。

薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質・有効性・安全性を確保し、保健衛生上の危害を防ぐための法律です。

特に医薬品広告では、虚偽・誇大広告を禁じる66条、承認前広告を禁じる68条、承認された効能効果の範囲が重要な判断軸になります。

この記事では、広告代理店・制作会社・メーカー担当者向けに、薬機法の基礎、薬事法との違い、薬機法違反になりやすい表現、広告制作前に確認すべき一次情報を実務目線で整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • 薬機法は医薬品広告の土台になる法律:薬機法は、医薬品等の品質・有効性・安全性を確保し、保健衛生上の危害を防ぐための法律です。医薬品広告では、承認範囲を超えた効能効果や安全性の保証表現に注意が必要です。
  • 66条と68条は広告実務で特に重要:66条は虚偽・誇大広告、68条は承認前広告を規制する条文です。文言だけでなく、画像、体験談、注釈、専門家コメント、購入導線を含めた広告全体の印象で確認します。
  • 広告チェックは承認内容と一次情報から始める:医薬品広告では、添付文書、承認内容、医薬品等適正広告基準、厚生労働省の通知・Q&Aなどを確認し、必要に応じて薬事・法務・専門家に相談する体制が必要です。
目次

薬機法とは|医薬品広告に関わる人が最初に理解すべき法律

薬機法とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質・有効性・安全性を確保し、保健衛生上の危害の発生や拡大を防ぐための法律です。

広告実務では、商品が何に分類され、どの範囲の効能効果を表示できるのかを確認する土台になります。薬機法第1条は、医薬品等の品質・有効性・安全性の確保と、保健衛生上の危害の発生・拡大防止などを目的として定めています。

薬機法の正式名称

薬機法の正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。条文上もこの名称が使われており、平成25年改正で現在の名称に改められています。広告実務では「薬機法」「医薬品医療機器等法」と略されることが多いですが、社内資料やクライアント向け資料では、初出時に正式名称を併記しておくと誤解を避けやすくなります。

薬機法が対象とする商品

薬機法の主な対象は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品です。医薬品広告の記事であっても、健康食品、化粧品、医薬部外品、医療機器と混同すると、使える表現の範囲を誤る原因になります。

区分広告実務での主な確認ポイント
医薬品承認された効能効果・用法用量・対象者の範囲
医薬部外品承認された効能効果、薬用化粧品としての範囲
化粧品化粧品の効能の範囲として通知で示された56項目、作用が緩和な範囲 
医療機器承認・認証・届出の範囲、性能表現
再生医療等製品承認内容、一般向け広告の可否、専門性の高い説明

薬機法第2条では、医薬品について、日本薬局方に収められている物、疾病の診断・治療・予防に使用されることを目的とする物、身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする物などが定義されています。

医薬品と薬機法の関係については「医薬品は薬機法の遵守を!分類から注意点まで徹底解説」もご覧ください。

医薬品広告で薬機法が重要になる理由

医薬品広告では、表現に事実や根拠があることだけでなく、承認された効能効果等の範囲内で、正確かつ誇大にならない形で伝えているかが問われます。独自の試験や論文が存在していても、それだけで承認範囲を超える広告が認められるわけではありません。 

たとえば、承認された効能効果が「頭痛・発熱の緩和」であるにもかかわらず、広告全体で「慢性的な体質改善」まで期待させるような構成にすると、承認範囲を超える印象を与えるおそれがあります。

ここで大事なのは、薬機法を「NGワードを暗記する法律」と捉えないことです。広告全体が消費者に何を約束しているように見えるか。その見え方を、承認内容や公的資料と照らして確認することが、医薬品広告における薬機法対応の出発点です。

薬機法と薬事法の違い|現在は「薬機法」が正式な呼び方

薬機法と薬事法は、まったく別の法律というより、旧称である薬事法が改正され、現在の法律名に改められたものです。広告実務では、現在の正式名称である薬機法を使い、必要に応じて「旧薬事法」と補足すると伝わりやすくなります。

薬事法は薬機法の旧名称

現在の法律名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。厚生労働省の法令ページでも、もともと「薬事法」として公布され、その後、平成25年改正により現在の名称に改称されたことが確認できます。

そのため、古い社内資料、広告審査マニュアル、クライアント資料では、今でも「薬事法」という表記が残っていることがあります。実務上は、相手がどちらの言葉を使っていても、同じ規制領域を指していることが多いですが、記事や公式資料では「薬機法」で統一するのが基本です。

なぜ名称が変わったのか

名称変更の背景には、医薬品だけでなく、医療機器や再生医療等製品などを含む制度設計がより明確になったことがあります。平成25年の薬事法改正に関する厚生労働省ページでは、薬事法等の一部改正法が平成25年11月27日に公布されたことが案内されています。

医薬品広告の記事では、「薬事法」という検索語を使う読者も少なくありません。しかし、この記事では「現在は薬機法が通例」であることから、以降も「薬機法」と記載します。

広告実務での表記はどうすべきか

実務資料では、次のように整理すると説明しやすくなります。

表記実務上の扱い
薬事法旧名称。古い資料や会話で使われることがある
薬機法現在一般的に使われる略称
医薬品医療機器等法行政資料で使われることがある略称
正式名称医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

社内やクライアントに説明する際は、「旧薬事法、現在の薬機法」と一言添えるだけで、認識のズレを防ぎやすくなります。

薬機法66条とは|虚偽・誇大広告を禁止する条文

薬機法66条は、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示・暗示を問わず虚偽または誇大な広告等を禁止する条文です。医薬品広告では、承認範囲を超える効能効果、医師等が効能を保証したように見える表現、過度な安全性訴求に注意が必要です。厚生労働省は、66条について「明示的であると暗示的であるとを問わず」虚偽・誇大な記事の広告等を禁じる条文として掲載しています。

66条で問題になりやすい表現

66条の確認では、「嘘を書いていないか」だけでは足りません。事実をもとにしていても、広告全体として実際より優れた効能効果を期待させる場合には、誇大と評価される可能性があります。

たとえば、次のような表現は慎重に確認する必要があります。

表現類型実務上の確認ポイント
最大級表現「最高」「最強」「完全」などが根拠・承認範囲と整合しているか
効果保証表現「必ず効く」「もう悩まない」など、効果を保証していないか
安全性保証「副作用なし」「誰でも安心」など、安全性を断定していないか
医師・医薬関係者等による推薦・保証表現基本的にNG
体験談個人の感想が一般的効果の保証に見えないか
比較表・グラフ優良性や効果を過度に印象づけていないか

医薬品等適正広告基準でも、承認等を要する医薬品等の効能効果等の表現は、明示的・暗示的を問わず、承認等を受けた範囲を超えてはならないとされています。

医師・専門家コメントの使い方に注意する

医師、薬剤師、専門家のコメントは、広告上の信頼感を高める要素になりやすい一方で、効能効果や性能を保証しているように見えると66条上の問題になり得ます。薬機法66条2項は、医師その他の者が効能、効果または性能を保証したものと誤解されるおそれがある記事についても、66条1項に該当するものとしています。

「医師監修」「薬剤師が解説」といった表示自体を検討する場合でも、その監修者が何を確認したのか、効能効果の保証に見えないか、消費者が広告全体からどのような印象を受けるかを確認する必要があります。

また、医薬品等適正広告基準では、医薬関係者等が医薬品等を指定・公認・推薦・指導・選用している旨の広告は、限定的な例外を除き、原則として行わないものとされています。 詳しくは「医薬品等適正広告基準について」、もしくは「医薬品・化粧品や健康食品に医師の推薦はNG?」の記事をご覧ください。

66条はNGワード規制ではない

広告審査の現場では、「この単語を削れば大丈夫ですか」と聞かれることがあります。もちろん、リスクの高い単語を避けることは有効な場合があります。しかし、66条の実務判断は、単語の置き換えだけでは完結しません。

本文で「症状を和らげる」と控えめに書いていても、ファーストビューの画像、利用者の声、比較表、CTA(行動の指示)の文言によって「病気が治る」「根本改善する」と受け取られることがあります。66条では、広告全体がどのような効能効果を約束しているように見えるかを確認することが重要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医薬品広告でよくある誤解は、「特定のNGワードを避ければ薬機法上問題ない」と考えてしまうことです。
しかし実務では、文言単体ではなく、広告全体が消費者に何を約束しているように見えるかを確認する必要があります。
たとえば、本文では控えめな表現にしていても、画像、体験談、専門家コメント、比較表、注釈の組み合わせによって、承認範囲を超える効果を暗示しているように見える場合があります。
66条の確認では、単語の置き換えだけでなく、「その広告を見た人が、どのような効能効果を期待するか」まで踏み込んで見ることが重要です。

薬機法68条とは|承認前の医薬品広告を禁止する条文

薬機法68条は、承認または認証を受けていない医薬品、医療機器、再生医療等製品について、その名称、製造方法、効能、効果または性能に関する広告を禁止する条文です。66条が虚偽・誇大広告を規制するのに対し、68条は「まだ承認等を受けていないものを広告していないか」を見る条文です。厚生労働省は、承認前の医薬品、医療機器、再生医療等製品の名称・製造方法・効能・効果・性能に関する広告を禁じる条文として68条を掲載しています。

68条が禁止する承認前広告

68条で注意すべきなのは、開発中の医薬品や承認前の製品だけではありません。健康食品や雑貨であっても、成分本質、形状、効能効果の標ぼう、用法用量などを総合して、医薬品としての目的性が認められる場合には、無承認無許可医薬品として扱われ、その広告が薬機法68条の問題となる可能性があります。 

たとえば、健康食品や雑貨について「高血圧を治す」「不眠を改善する」「感染症を予防する」といった疾病の治療・予防を示す表現を行うと、商品分類と広告表現の整合性が問題になります。これは「食品だから薬機法は関係ない」という話ではありません。広告が医薬品的効能効果を示していれば、薬機法上の確認が必要になります。

66条と68条の違い

条文主な規制内容実務上の確認ポイント
薬機法66条虚偽・誇大広告の禁止表示内容が事実に反していないか、実際以上の効能効果・性能を印象付けていないか
薬機法68条承認前広告の禁止承認・認証が必要な医薬品等について、承認・認証前に名称・効能効果等を広告していないか
共通する視点広告全体の印象文言、画像、体験談、注釈、導線を含めて見る

66条は「承認済みの商品であっても表現が誇大でないか」を見る場面で問題になりやすく、68条は「そもそも広告できる状態の商品・効能効果なのか」を見る場面で重要になります。

「開発中」「近日発売予定」も文脈で確認する

医薬品や医療機器の開発情報を発信する場合、「開発中」「近日発売予定」「臨床試験で期待される」といった表現が、広告に該当しないか確認が必要です。特に、商品名、効能効果、購入・使用を促す導線が組み合わさると、広告性が強くなります。

研究情報、IR情報、採用広報、学会発表などは目的が異なりますが、一般消費者が閲覧できる状態で、購入・使用意欲を高めるランディングページのような内容になっている場合は、広告規制の観点から確認しておくべきです。

医薬品広告とは|薬機法で確認される広告の考え方

医薬品広告では、商品名や効能効果を示し、購入・使用・受診などの行動につながる表示がある場合、媒体を問わず薬機法上の確認対象になり得ます。LP、記事広告、SNS投稿、動画、ECページなどでも、承認範囲を超える効能効果や虚偽・誇大な印象を与える表現には注意が必要です。

広告該当性を見る3つの視点

厚生労働省の通知では、医薬品等の広告該当性について、顧客を誘引する意図が明確であること、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること、一般人が認知できる状態であること、という3要件が示されています。

実務では、次の3つで整理すると説明しやすくなります。

視点確認する内容
誘引性購入・使用・問い合わせにつなげる意図があるか
特定性商品名、ブランド名、製品画像などで対象商品が特定できるか
認知性一般消費者が閲覧できる状態にあるか

原則として、この3要件をすべて満たす場合は、SEO記事、SNS投稿、動画、ECページ、店頭POP、パンフレット、メルマガ等も薬機法上の広告に該当すると判断されます。個別媒体の名称ではなく、表示内容と商品への誘導関係を確認する必要があります。 

医薬品広告に該当し得る媒体

新聞、雑誌、テレビ、ウェブサイト、SNS等、媒体を問わず、医薬品等の広告として評価される表示が対象になります。 

3つの視点の詳細は「薬機法( 薬事法 )が適用される広告の3要件とは」で解説しています。

媒体確認ポイント
LP・記事LPファーストビュー、体験談、CTA、注釈
SEO記事情報提供と商品誘導の境界、内部リンク
SNS投稿投稿者、依頼関係、PR表記、商品導線
動画広告ナレーション、字幕、映像表現、ビフォーアフター
ECページ商品説明、レビュー引用、ランキング、比較表
店頭POP短いコピーによる効能効果の強調
メルマガ既存顧客向けでも広告性があるか

文言・画像・導線を含めた全体確認が必要

医薬品広告の確認では、キャッチコピーだけを見ても十分ではありません。広告は、ファーストビュー、本文、画像、体験談、注釈、CTA、遷移先ページまで含めて一つの訴求として受け取られます。

たとえば、本文では承認範囲内の効能効果だけを書いていても、画像で症状が劇的に消える印象を与えたり、体験談で「長年の悩みが解決した」と見せたりすると、広告全体として承認範囲を超える期待を持たせる可能性があります。医薬品広告では、「どの媒体か」よりも、「広告全体が何を伝えているか」を見ます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医薬品広告の確認では、LPのキャッチコピーだけを見ても十分ではありません。広告は、ファーストビュー、本文、画像、体験談、注釈、CTA、遷移先ページまで含めて一つの訴求として受け取られます。
制作現場では「この一文は言えますか」と相談されることが多いのですが、実際には、その一文がどの画像の横に置かれ、どの体験談につながり、最後にどの行動を促しているかで印象が変わります。
薬機法チェックは、表現の赤入れ作業ではなく、広告全体の設計を確認する作業だと捉えるべきです。

薬機法違反とは|医薬品広告で問題になりやすい表現

薬機法違反は、特定の禁止語を使った場合だけに起こるものではありません。承認範囲、効能効果、根拠資料、広告全体の印象、媒体文脈がずれている場合に、医薬品広告上のリスクが生じます。

医薬品広告で違反リスクが高くなりやすい例

表現例注意すべき理由
承認外の効能効果を示す承認された範囲を超える効果を期待させる
疾病の治癒・予防を強く示す商品分類によっては医薬品的効能効果になる
「絶対」「必ず」「完全」などの断定効果保証・安全性保証に見える
医師が効能を保証するような表現66条2項の観点で確認が必要医薬品等適正広告基準では原則NG
体験談で効果を一般化する個人の感想が一般的効果の保証に見える
ビフォーアフターで劇的改善を見せる画像による暗示表現になりやすい
注釈で強い表現を打ち消そうとする注釈が小さい、近接していない、実質的に打ち消せていない場合がある

「注釈を入れればよい」という考え方も危険です。強いメインコピーに対して、注釈が小さく、離れた場所にあり、消費者が通常認識しにくい場合、広告全体としての印象は修正されないことがあります。

違反時に問題となるリスク

薬機法66条1項または68条に違反した場合、厚生労働大臣または都道府県知事は、違反行為の中止、再発防止に必要な事項、公示その他必要な措置を命じることができます。

また、薬機法66条1項の違反については、課徴金制度の対象となる場合があります。厚生労働省の広告規制ページでは、課徴金対象行為に係る医薬品等の対価合計額に4.5%を乗じた額に相当する課徴金を納付する仕組みが掲載されています。

広告代理店・制作会社も「広告主だけの問題」と考えない

薬機法の責任主体は個別案件で判断されますが、広告代理店や制作会社にとっても、薬機法対応を広告主任せにするのは実務上リスクがあります。薬事確認を後工程に回すと、LPのメイン訴求、記事構成、動画シナリオ、SNS企画そのものを作り直すことがあります。

制作現場では、初稿作成前に「商材カテゴリ」「承認範囲」「使える効能効果」「使えない訴求」「必要な根拠資料」を整理してから進める方が、結果的に修正コストを抑えやすくなります。

薬機法改正のポイント|広告実務で押さえるべき変更点

薬機法は改正や通知の更新があるため、広告実務では常に最新情報を確認する必要があります。特に広告領域では、虚偽・誇大広告への対応強化、課徴金制度、販売情報提供活動の監視、治験等の情報提供ルールなどが実務に影響します。

広告実務で特に重要な改正ポイント

広告実務で特に重要なのは、66条違反に対する課徴金制度です。厚生労働省は、令和元年12月4日に公布された改正により、虚偽・誇大広告違反に対して課徴金制度を導入したと説明しています。

これは、医薬品広告における虚偽・誇大表示が、単なる表現修正の問題ではなく、経済的なリスクにもつながることを意味します。売上に直結する広告ほど、表現の強さと法令リスクをセットで確認する必要があります。

課徴金制度の詳細については「薬機法( 薬事法 )における課徴金制度とはなにか?徹底解説」もご覧ください。

令和7年改正など、最新情報の確認も必要

令和7年薬機法等改正法は2025年5月21日に公布され、2025年11月20日以降、内容ごとに段階的に施行されています。医薬品販売制度に関する改正の一部は2026年5月1日に施行されました。改正の中心は品質・安全性の確保、安定供給、薬局機能、医薬品販売制度等であり、すべてが広告表現を直接変更するものではありません。 

すべての改正が広告表現に直接影響するわけではありません。しかし、医薬品広告の制作・審査に関わる担当者は、厚生労働省、e-Gov、通知、Q&A、各自治体資料、業界ガイドラインを定期的に確認する体制を整えておくべきです。

制作会社・代理店が整えるべき確認体制

薬機法対応は、最後に薬事担当者へ回すだけでは不十分です。特にLPや動画広告では、メイン訴求が薬機法上使えない場合、構成全体をやり直すことになります。

制作前に最低限確認したいのは、次の5点です。

確認項目確認内容
1. 商材カテゴリ医薬品、医薬部外品、化粧品、健康食品、医療機器などの区分
2. 承認・届出内容効能効果、用法用量、対象者、注意事項
3. 表現根拠添付文書、承認書、試験資料、届出表示など
4. 媒体特性LP、SNS、動画、記事広告、ECなど
5. 全体印象文言、画像、体験談、注釈、CTAの組み合わせ

この確認を初期段階で行うだけで、薬事チェック後の大幅修正を減らしやすくなります。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法対応で制作現場が苦しくなるのは、多くの場合、最後の広告審査で初めて薬機法を確認するからです。メイン訴求が承認範囲と合っていなければ、単語を置き換えるだけでは済まず、LPや動画のストーリーそのものを組み直すことになります。
医薬品広告では、企画段階で商材カテゴリ、承認範囲、使える効能効果、媒体ごとの審査基準を整理しておくことが大切です。
チェックリスト化して制作前に共有できれば、薬事対応は「止める作業」ではなく、適正な情報伝達を前提に訴求を組み立てるプロセスになります。

医薬品広告を制作する前に確認すべき一次情報

医薬品広告の薬機法対応では、最初に一次情報を確認することが重要です。ネット上の解説記事や過去の広告事例だけで判断すると、商材カテゴリや承認内容の違いを見落とす可能性があります。

確認すべき主な資料

資料確認するポイント
e-Gov・法令本文薬機法の目的、定義、66条、68条、罰則
厚生労働省「医薬品等の広告規制について」広告規制の全体像、通知、Q&A、課徴金制度
医薬品等適正広告基準承認範囲、効能効果、安全性、媒体全般の考え方
添付文書効能効果、用法用量、使用上の注意
承認書・審査資料表現可能な範囲の基礎情報
インタビューフォーム医療用医薬品等で補足情報を確認する場合
自社薬事・法務ルール社内審査基準、媒体ごとの運用ルール

厚生労働省の広告規制ページには、医薬品等適正広告基準、広告該当性通知、インターネット広告Q&A、販売情報提供活動に関するガイドラインなど、実務上参照すべき通知等が掲載されています。

法令や通知だけでは判断しにくい論点については、行政機関が開催する広告講習会の質疑応答も参考になります。実務で問題になりやすい事例については、「令和5年度 医薬品等広告講習会のQ&Aまとめ」「令和3年度 医薬品等広告講習会(東京都福祉保健局)のQ&Aまとめ」で整理しています。

実務では「一次情報+広告全体の印象」で見る

一次情報を確認しても、広告表現の適否が自動的に決まるわけではありません。承認範囲内の表現であっても、過度な強調、体験談との組み合わせ、専門家コメント、グラフ、ランキング、比較表によって誇大な印象になることがあります。

したがって、医薬品広告の確認では、次の順番で見ると整理しやすくなります。

  1. 商材カテゴリを確認する
  2. 承認内容・添付文書を確認する
  3. 使える効能効果の範囲を整理する
  4. 広告全体のストーリーを確認する
  5. 画像・体験談・注釈・CTAを含めて再確認する
  6. 必要に応じて薬事・法務・専門家確認を行う

この流れを社内チェックリストにしておくと、制作担当者、広告審査担当者、薬事担当者の認識を合わせやすくなります。

よくあるご相談(FAQ)

薬機法とは何ですか?

薬機法とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などの品質・有効性・安全性を確保し、保健衛生上の危害を防ぐための法律です。医薬品広告では、承認された効能効果を超えた表現や、虚偽・誇大な広告、承認前広告に該当しないかを確認する必要があります。広告制作では、まず商材カテゴリと承認範囲を確認することが基本です。

薬機法と薬事法は何が違いますか?

薬事法は旧名称で、現在は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、一般に薬機法と呼ばれます。実務では、古い資料や会話で「薬事法」という言葉が使われることがありますが、記事や公式資料では「薬機法」または「医薬品医療機器等法」と表記するのが自然です。読者向けには「旧薬事法」と補足すると誤解を避けやすくなります。

薬機法66条とは何ですか?

薬機法66条は、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示・暗示を問わず虚偽または誇大な広告等を禁止する条文です。医薬品広告では、承認範囲を超えた効能効果、医師等が効果を保証したように見える表現、過度な安全性訴求、体験談による効果保証などが問題になりやすいポイントです。

薬機法68条とは何ですか?

薬機法68条は、承認または認証を受けていない医薬品、医療機器、再生医療等製品について、名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を禁止する条文です。開発中の製品や承認前の製品について、一般消費者向けに効能効果を期待させる情報発信をする場合は、広告該当性や情報提供の範囲を慎重に確認する必要があります。

医薬品広告とはどのような表示を指しますか?

医薬品広告に該当するかは、顧客を誘引する意図、特定商品の明示、一般人が認知できる状態という視点で確認されます。LPやバナー広告だけでなく、SEO記事、SNS投稿、動画、ECページ、店頭POP、メルマガなども広告に該当する場合があります。媒体名ではなく、商品名・効能効果・購入導線がどう組み合わされているかを見ることが重要です。

医薬品広告で薬機法違反になりやすい表現は何ですか?

承認範囲を超える効能効果、疾病の治癒・予防を強く示す表現、効果や安全性を保証する表現、医師や専門家が効果を保証したように見える表現、体験談で効果を一般化する表現などは注意が必要です。ただし、薬機法は単なるNGワード規制ではありません。文言、画像、注釈、体験談、CTAを含めた広告全体の印象で確認します。

健康食品やサプリメントでも薬機法68条が問題になりますか?

健康食品やサプリメントそのものは医薬品ではありませんが、広告で疾病の治療・予防や身体機能への作用を医薬品のように標ぼうすると、商品が未承認無許可医薬品に該当し、その広告が薬機法68条に抵触する可能性があります。 機能性表示食品や栄養機能食品の場合も、届出表示や制度上認められた範囲を超えない確認が必要です。食品だから薬機法を見なくてよい、とは整理できません。

薬機法チェックでは文言だけを見ればよいですか?

文言だけでは不十分です。薬機法チェックでは、画像、グラフ、体験談、医師コメント、ランキング、注釈、購入導線を含む広告全体を確認する必要があります。本文では控えめな表現を使っていても、画像やビフォーアフター、体験談が強い効果を暗示していれば、広告全体として問題視される可能性があります。消費者が広告全体からどのような効能効果を受け取るかを基準に確認します。

まとめ

医薬品広告に関わる実務者にとって、薬機法は避けて通れない基礎知識です。特に、虚偽・誇大広告を規制する66条、承認前広告を規制する68条、承認された効能効果の範囲は、広告制作・広告審査で必ず確認すべきポイントです。

ただし、薬機法対応は「NGワードを削る作業」ではありません。広告全体が消費者に何を約束しているように見えるか、承認内容や一次情報と整合しているか、画像・体験談・注釈・CTAまで含めて確認することが重要です。

個別案件では、商材カテゴリ、承認内容、媒体、根拠資料、広告全体の印象によって判断が変わります。医薬品広告を制作する際は、企画段階で薬事・法務・広告審査の確認ポイントを整理し、必要に応じて専門家による広告チェックや社内研修を活用することをおすすめします。

医薬品広告では、薬機法第66条・第68条だけでなく、承認された効能効果、医薬品等適正広告基準、広告該当性、体験談・推薦表現、景品表示法などを横断して確認する必要があります。

医薬品広告の薬機法ルールや、制作時に確認すべきポイントを体系的に整理したい方は、 「医薬品広告の薬機法ガイド」もあわせてご覧ください。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

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