「デトックス成分で毒素を排出」「毛穴から老廃物を出す」。一般的な健康食品、一般化粧品、非医療機器の美容機器では、これらの表現は使えません。健康食品では解毒・排出という医薬品的効能効果、化粧品では効能範囲外、美容機器では医療機器該当性や未承認医療機器広告が問題になります。本記事では、いわゆる健康食品、一般化粧品、非医療機器の美容機器を対象に、区分ごとのNG理由と修正方法を整理します。
健康食品・化粧品・美容機器で「デトックス」は使えるのか
健康食品やサプリメントの「デトックスする」「毒素を排出する」はNGです。機能性表示食品でも、届出表示を超えて追加できません。
一般化粧品の「肌の毒素を排出する」「老廃物を流す」もNGです。皮膚を清浄にする、肌を整えるなど、定められた効能の範囲で表現します。
非医療機器の美容機器による「リンパに働きかけて老廃物を排出する」もNGです。身体の構造・機能への作用を目的とする機器は医療機器に該当し得るため、該当性を確認し、医療機器なら承認・認証された使用目的又は効果の範囲で表現します。
健康食品の「デトックス」が薬機法上NGになる理由
厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」は、「解毒機能を高める」「血液を浄化する」などを、身体の組織機能の一般的増強・増進を目的とする医薬品的効能効果の例に挙げています。「毒素排出」「体内浄化」も、通常は同じ解毒・排出作用を標ぼうする表現です。承認のない健康食品が広告すれば、薬機法第68条の承認前医薬品の広告禁止に抵触します。
健康増進法は、健康効果を書いただけで直ちに違反となる法律ではありません。健康保持増進効果について、著しく事実に相違し、または著しく人を誤認させる表示を禁止します。これは「デトックスと書けば健康増進法違反」という意味ではありません。第65条上、著しく事実に相違・著しく誤認させる表示かを別途判断します。現行の消費者庁ページには留意事項、2024年7月Q&A、2026年の監視状況が引き続き掲載されています。 広告全体が伝える効果と事実の対応を確認します。
景品表示法では、「毒素が排出される」という効果を実際より著しく優良に見せていないかが問題です。根拠資料を求められ、表示と対応する合理的根拠を提出できなければ、優良誤認表示とみなされ得ます。原材料の論文だけでは、最終商品の「毒素排出」を裏付けたことになりません。
以下は、広告制作で起こりやすい仮想事例です。
事例1:サプリメントの「腸デトックスで有害物質を排出」

たとえば、サプリのLPで「腸デトックス」「蓄積した有害物質を便と一緒に排出」と表示し、汚れた腸がきれいになるイラストを載せるケースです。この表現はNGです。
最も直接的な理由は薬機法です。食品が解毒・排出という身体作用を標ぼうしています。「個人の感想です」と注記しても、画像や体験談を含むページ全体で同じ作用を伝えていれば修正になりません。健康増進法と景品表示法の判断は別に行います。
本来の訴求が「毎日の食生活に取り入れやすい」ことであれば、原材料、含有量、味、形状、携帯性、摂取場面へ軸を移します。機能性表示食品なら届出表示を正確に使います。「スッキリ習慣」も、腸の汚れや毒素の画像と組み合わせれば排出作用の暗示になるため使えません。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
NGワードだけを消しても、広告全体が同じ効果を語っていれば審査は通りません。コピー、イラスト、ビフォーアフター、体験談、CTAまで一つの訴求として確認します。法律上説明できることと媒体考査を通過することは別です。掲載媒体まで先に設計し、根拠を表示と対応する形へ変換します。
事例2:クレイマスクの「毛穴から毒素を排出」


一般化粧品のクレイマスクで「毛穴の奥の毒素を吸着・排出」「肌をデトックス」と表示するケースもNGです。皮膚の清浄、肌を整える、肌を滑らかにすることは表現できますが、毒素や老廃物を排出する効能は範囲外です。
洗い流す商品の事実を説明できるなら、「古い角質や皮脂汚れを洗い流す」「クレイが汚れを吸着する(物理的な効果)」「洗浄後の肌をなめらかに整える」などへ変更します。商品設計と物理的な効果、使用方法から説明できることが前提です。黒い粒子が毛穴から抜ける動画や「毒素」の字幕を残せば、コピーだけ直してもNGです。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
先に言いたい効果を決め、後から薬機法に合わせると、LPのストーリー全体を作り直すことになります。まず商品区分と表現範囲を確定し、その中で洗浄、使用感、香り、剤形、利用場面を組み立てます。「攻める」とは、認められない作用を弱く言い換えることではなく、規制内で別の価値を設計することです。
事例3:美容機器の「リンパを流して毒素排出」


非医療機器として販売するローラーのSNS動画で、「リンパを流して毒素を排出」「むくみの原因物質を体外へ」と表示するケースはNGです。材質、形状、使い方、肌に当てたときの感触は説明できます。しかし、身体機能へ働きかけ、原因物質を排出する性能は美容雑貨の範囲を超えます。
制作前に医療機器該当性を確認し、該当するなら承認・認証内容と使用目的又は効果を確認します。医療機器でないなら、形状や使い方といった商品事実へ戻します。「流す」「巡る」も、リンパ図や老廃物の矢印と組み合わせれば同じ作用の暗示です。
美容機器の表現については、美容機器広告の医療機器該当性と表現範囲もご覧ください。
「デトックス」を削り、商品価値を残す修正手順
最初に商品区分を確定します。特定保健用食品・機能性表示食品であれば許可・届出表示、化粧品は一般化粧品か薬用化粧品か、美容機器は医療機器該当性と承認・認証内容を確認します。次に、画像、動画、体験談、注釈まで含め、広告が伝える作用を一文にします。
その一文が「体内の有害物質を排出する」なら、単語の置換では解決しません。健康食品は原材料・味・摂取場面、化粧品は洗浄・保湿・使用感、美容機器は形状・操作性・利用場面へ軸を移します。
判断に迷う場合は、薬機法のNGワードを広告全体で判断する方法、健康食品広告の法令別ルール、化粧品で認められる56項目の効能、薬機法と健康増進法の違いも合わせてご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
公開直前に「デトックス」を削ると、LP全体の論理が崩れます。企画時に商品区分、主訴求、根拠、媒体を確認し、社内チェックリストへ落とし込む方が手戻りを減らせます。判断記録には、NG語だけでなく「何の作用を伝えていたか」と「どの事実訴求へ移したか」を残します。これで次の案件でも判断を再現できます。
まとめ
一般的な健康食品で「デトックス」「毒素排出」は使えません。解毒・排出という医薬品的効能効果を標ぼうするためです。一般化粧品でも効能範囲を超え、非医療機器の美容機器でも身体機能への作用をうたう表現として使えません。
「スッキリ」「内側からキレイ」への置換だけでは不十分です。商品区分と許可・届出・承認内容を確認し、広告全体が伝える作用を特定した上で、食品・化粧品・美容機器それぞれの事実と利用価値へ訴求を組み直してください。
薬機法上の表現について体系的に理解したい方は「薬機法のNGワード一覧|広告で避けるべき表現と実務上の判断基準 」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
![]()
【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」
広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。
【無料】薬機法・広告規制の実務をメールマガジンで学ぶ
薬機法・景品表示法の実際の相談事例や、広告チェックで迷いやすいポイントを、実務の視点から解説しています。広告制作や表現確認に関わる方が、日々の案件で使える判断軸をメールでお届けします。
薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につける


「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。
参考情報・引用元
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日、薬発第476号、後続改正あり)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品の範囲に関する基準の一部改正について」(令和2年3月31日、薬生発0331第33号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/000658257.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日、薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日、薬食発0721第1号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7518&dataType=1&pageNo=(参照日:2026年08月08日)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「Q1 医療機器にはどんなものがありますか。」PMDA. https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-devices/qa/0016.html(参照日:2026年08月08日)
- e-Gov法令検索「健康増進法」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103(参照日:2026年08月08日)
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms214_221205_01.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(冊子)」(令和5年1月作成)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_230131_01.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A」2024年7月作成. 消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_240722_01.pdf(参照日:2026年08月08日)
- 消費者庁「不実証広告規制」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad(参照日:2026年08月08日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



