「『改善します』という表現は使えますか?」
「医療機器として認証されていれば、効果を強く訴求しても大丈夫ですか?」
「ユーザー本人が書いた口コミなら、そのままLPに掲載できますか?」
医療機器広告の制作・審査では、このような疑問がたびたび生じます。
結論からいうと、医療機器広告のOK・NGは、「改善」「治療」「安全」といった単語だけで判断することはできません。同じ言葉でも、何を改善すると表示しているのか、個別製品について認められた使用目的または効果・性能の範囲と整合しているのか、画像、Before/After、口コミ、比較表、ランキング等と組み合わせることで、実際以上の効果を印象付けていないかを確認する必要があります。
薬機法第66条は、医療機器の名称、製造方法、効能、効果または性能について、明示的か暗示的かを問わず、虚偽または誇大な広告を禁止しています。また、医師その他の者が効能効果や性能を保証したものと誤解されるおそれのある広告も規制対象となります。
さらに、No.1表示や比較広告には景品表示法、医療機関が掲載する症例写真やBefore/Afterには医療広告規制が関係することがあります。医療機器に関する広告であっても、すべてを薬機法だけで判断できるわけではありません。
この記事では、「改善」「治る」「副作用なし」「医師が保証」といった表現をはじめ、Before/After、口コミ、体験談、No.1表示、比較広告、症例写真、エビデンス表現について、使える可能性がある表現、避けるべき表現、判断が分かれる表現に整理します。
- 医療機器広告のOK・NGは、単語だけでは判断できない:まず個別製品の使用目的または効果・性能、承認・認証等の情報を確認し、画像、口コミ、比較表、注釈、導線を含む広告全体が何を約束しているように見えるかを確認します。
- 効果・安全性・専門家による保証に見える表現:「必ず効く」「完全に安全」「副作用なし」「医師が保証」などは注意が必要な表現です。認められた効能効果の範囲内であっても、誰にでも同じ結果が出るように見せていないかを確認します。
- 口コミ、No.1、比較、エビデンスも広告表現の一部として確認する:文言が穏やかでも、写真や第三者の声、ランキング、グラフによって過度な効果期待を与えることがあります。薬機法だけでなく、景品表示法や、医療機関広告では医療広告ガイドラインとの関係も確認します。
医療機器広告で使える・使えない表現とは

医療機器広告で使える表現・使えない表現は、言い換えやOK/NGワード集だけで判断することはできません。なぜなら、個別製品について認められた使用目的または効果・性能を出発点に、根拠資料、対象者、媒体、画像、口コミ、比較表示を含む広告全体で確認するためです。そのため、
「改善という言葉はNGですか?」
こうした相談に、製品情報を見ずに「OKです」「NGです」と答えるのは難しいところです。
たとえば、ある医療機器について一定の症状の緩和が認められている場合でも、そのような効果を持たない別の医療機器では、広告できる内容が異なります。
広告制作では、まず個別製品を特定して何をどこまで表現することが可能な製品かを確認することが基本です。
たとえば、本文に「肩こりの緩解」と個別製品について認められた範囲の表現が記載されていたとします。
ところが、そのうえに「もう一生、肩こりに悩まない!」という大きなコピーがあり、
- 劇的なビフォーアフター
- 「1回で完全に治った」というレビュー
- 白衣を着た医師の写真
- 「専門家も効果を保証」という表示
まで並んでいたらどうでしょうか。
本文の一部分だけを見れば認められた範囲の言葉を使っていても、広告全体では「永久的な治療効果が保証されている」という、より強い意味に見える可能性があります。
薬機法第66条は、明示的な表現だけでなく、暗示的な虚偽・誇大広告等も禁止しています。
つまり「この単語は何か」だけでなく、「すべてを組み合わせると何を約束している広告になるのか」まで見る必要があるのです。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医療機器広告では、「この言葉は使えますか?」という相談をよく受けます。もちろん、頻出する高リスク表現を知っておくことは大切です。
ただ、実務では一つの単語だけを見て終わることはできません。
同じ表現でも、製品の使用目的または効果、対象者、画像、口コミ、比較表、注釈の組み合わせで受け手の印象は大きく変わります。
たとえば、コピーだけなら穏やかでも、劇的なビフォーアフターと「全員が改善」というレビューが並べば、広告全体としては強い効果保証に見えるかもしれません。
言葉の言い換えだけでなく、広告全体での表現を見ていく考え方が大切です。
承認・認証・届出情報を確認する
広告制作に入る前に、少なくとも次の資料は確認したいところです。
- 販売名
- 一般的名称
- JMDNコード(医療機器の「一般的名称」を分類・定義した8桁の数字 )
- 承認・認証・届出に関する情報
- 使用目的または効果
- 性能
- 電子添文(電子化された添付文書)等
- 警告
- 禁忌・禁止
- 使用上の注意
医療機器の電子添文の記載要領では、承認または認証を受けた医療機器については、承認・認証された内容に基づく「使用目的または効果」を記載し、届出品についても、一般的名称の定義の範囲内で記載することが示されています。
ただし、電子添文に「使用目的または効果」が記載されているという事実だけで、広告で使用できる表現の範囲が自動的に決まるわけではありません。
広告で確認すべきなのは、単に効果の記載があるかどうかではなく、「その製品について、何が、どのような条件・対象・範囲で認められているのか」という点です。
承認書、認証書、届出内容、一般的名称の定義、電子添文等を照合したうえで、広告表現がその範囲を超えていないか、画像や口コミ、作用説明等を含む広告全体として実際以上の効果を印象付けていないかを確認する必要があります。
一般的名称やJMDN、クラス分類、承認・認証・届出の違いについては、「医療機器の薬機法分類ガイド」で詳しく解説しています。
薬機法66条・医薬品等適正広告基準を確認する
薬機法第66条では、医療機器を含む医薬品等について、名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽・誇大な広告等を禁止しています。また、医師その他の者が効能、効果または性能を保証したと誤解されるおそれがある広告も規制対象です。
医薬品等適正広告基準では、効能効果等、安全性、最大級表現、医薬関係者等の推薦、使用体験談等について、適正な広告のための基準・解説が示されています。広告制作では
- 個別製品の情報
- 医薬品等適正広告基準
- 広告媒体
- 広告全体の印象
をセットで確認することが必要です。
薬機法第66条については「薬機法(薬事法)66条/68条を基礎から解説 」をご覧ください。
医療機器広告のNG表現例
医療機器広告で特に高リスクになりやすいのは、個別製品について認められた範囲を超える表現と、効果・安全性・専門家による保証に見える表現です。ただし、以下の内容は単純なNGワード集ではなく、実際には製品情報と広告全体から判断します。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックでよくあるのが、
「必ず改善」は削除。
「完全に治る」も削除。
「副作用なし」も削除。
と、一つずつ消していった結果、何の商品なのか分からなくなるケースです。
もちろん、問題表現は修正する必要があります。ただ、大切なのは削除したあとです。
何を価値として伝えるのか。
使いやすさなのか。
管理のしやすさなのか。
使用時間なのか。
サポート体制なのか。
など個別製品について認められた範囲で、まだ伝えられる効果があるのかを考えていくことです。薬事チェックは「言えないものを消す作業」だけではありません。
根拠を持って言える価値を探し、広告として伝わる形に組み直すところまで考えたいところです。
効果保証に見えるNG・高リスク表現
たとえば、
- 必ず改善します
- 確実に効きます
- 誰でも効果を実感
- 1回で治ります
- 完全に治療できます
- 一生再発しません
などは効果を保証しているように見える一例の表現です。問題になるのは、「改善」「効果」という単語自体ではありません。
効果が必ず発生することや、すべての使用者に同じ結果が出ることを保証しているように見えるかがポイントです。
医薬品等適正広告基準の解説でも、効能効果等または安全性を保証するような表現を行わないことが示されています。
たとえば、
- 副作用なし
- 100%安全
- 絶対に安心
- 誰でも安全に使える
- 毎日何時間使っても問題なし
- リスクゼロ
などの表現は効能効果や安全性を保証するように見える一例です。
医療機器には、製品に応じて警告、禁忌・禁止、使用上の注意等があります。広告で安全性を説明するときは、これらの情報との整合性も確認する必要もあります。
広告表現については「医療機器広告で「安全」「副作用なし」は使える?」で詳しく解説しています。
承認・認証等の範囲を超える表現
たとえば、ある製品について確認できる使用目的または効果が「肩こりの緩解」までであるにもかかわらず、
- 腰痛を根本治療
- 関節炎を治す
- 自律神経を正常化
- 免疫力を上げる
- がんを予防
などへ広告表現を広げるケースは承認・認証等の範囲を超える表現のひとつです。
「同じ身体に関係する効果だから」
「理論上は期待できるから」
という理由だけで、別の効能効果を追加できるわけではありません。
広告制作ではまず、個別製品について確認できる使用目的または効果・性能と、広告の表現がかけ離れていないかを確認する必要があります。
また、薬機法第66条第2項は、医師その他の者が医療機器等の効能、効果または性能を保証したものと誤解されるおそれのある記事についても規制しています。
- 医師も絶対に効くと断言
- 専門家が安全性を完全保証
- 医学博士のお墨付きだから必ず改善
などは医療機器であっても表現の範囲を超えています。
一方で、医師が開発に協力した事実、監修した事実、特定の調査に回答した事実などを、常に一切表示できないという意味ではありません。
実務では、
- 誰が
- 何をしたのか
- どの範囲について述べているのか
- その表示によって製品の効果・安全性を保証したように見えないか
を確認します。ただし、医療関係者や医療機関、大学等による推薦・公認・選用と受け取られる広告は、効果保証とは別に、医薬品等適正広告基準や医機連の自主基準による制限を確認する必要があります。事実であることだけでは使用根拠になりません。
詳しくは「医療機器広告で医師推薦・専門家コメントは使える?」をご覧ください。
NG・高リスク表現と修正方向
| NG・高リスク表現例 | 主なリスク | 修正を考える方向 |
|---|---|---|
| 必ず改善します | 効果保証 | 個別製品の使用目的または効果の範囲で正確に説明 |
| 完全に治ります | 治療結果の保証 | 認められた範囲から表現を再設計 |
| 副作用なし | 安全性保証 | 警告・注意事項等と整合させる |
| 誰でも同じ結果 | 効果の一般化・保証 | 対象者、条件、結果の範囲を整理 |
| 医師が効果を保証 | 専門家による保証 | 実際の関与内容を正確に説明 |
| 業界最高性能 | 最大級・優良誤認 | 比較対象・条件・客観的根拠を確認 |
| 未承認でも効果実証済み | 薬機法68条等 | まず承認前広告への該当性を確認 |
なお、承認または認証を必要とする医療機器について、まだ承認・認証を受けていないものの名称、製造方法、効能、効果または性能を広告することは、薬機法第68条との関係で問題になります。
ここまで見てきたように医療機器広告に、すべての製品で無条件に使える「魔法のOKワード」はありません。使える可能性のある表現は、製品ごとの使用目的または効果・性能、対象者、使用条件、媒体によって変わります。
「では、何なら書けるのでしょうか?」
ここが、広告制作の現場で一番困るところだと思います。
法令チェックを外部に依頼して、「これは削除」「これもNG」と消された結果、商品の魅力が何も残らない広告になってしまったという相談は実際多くいただきます。
B&H Promoter’sが考える広告表現をチェックする目的は、できるだけ何も言わない広告にすることではありません。根拠を持って伝えられる価値を見つけ、適切な表現に設計することを重要だと考えています。
適切な表現に再設計する方法を詳しく知りたい方は「![]()
![]()
OK表現は個別製品の範囲から判断する
たとえば、「肩こりの緩解」が個別製品について確認できる範囲であれば、その範囲との整合性を見ながら広告を検討します。
一方、その製品について確認できない、
- 腰痛治療
- 関節炎治療
- 神経痛完治
まで同じ表現として広げることはできません。
医療機器の販売名・一般的名称や使用目的または効果等を確認して、言える範囲を明確にすることが広告設計の出発点です。
なお、医療機器広告で訴求できる価値は、効能効果だけではありません。
製品を使用するユーザー目線に立つと実態と根拠に応じて、
- 操作性
- サイズ
- 重量
- 使用時間
- 記録機能
- データ管理
- 携帯性
- 導入方法
- 保守体制
- サポート
- 使用シーン
- 対応環境
なども検討できます。
たとえば、
必ず効果を実感!
と書く代わりに、
自宅で毎日の○○管理に
という使用シーンを示せる製品もあります。
これもすべての医療機器に自動的に使える表現ではありませんが、ルールを理解してユーザー目線に立つと表現の幅はむしろ増えていくこともあります。
詳しくは「![]()
![]()
「弱い言葉に置き換える」だけでは解決しない
たとえば、
痛みを完全に治療
が難しいから、
痛みにアプローチ
と変えたとします。
言葉の表現自体は弱まりましたが、これだけで製品が売れるようになるとは限りません。
前後に、
- 痛みが消えるCG
- 「1回で治った」という口コミ
- 医師の推薦
- 劇的なビフォーアフター
があれば、広告全体の意味は強いままに見えることもあります。
ここで必要なのは、単なる単語の交換ではなく、訴求の中心をどこに置くかという広告全体の再設計です。
高リスク表現からの見直し方向
| 高リスク表現 | 見直しの方向 |
|---|---|
| 必ず症状が改善 | 個別製品について確認できる使用目的または効果を正確に説明 |
| 誰でも効果を実感 | 対象者・使用条件・結果の範囲を整理 |
| 業界最高性能 | 比較対象・期間・条件・根拠を明確にする |
| 治療レベルの効果 | 個別製品の法的位置づけと認められた範囲を確認 |
| 痛みがなくなる | 個別製品の使用目的または効果と広告全体を照合 |
訴求力を落とさない表現設計の考え方は「薬機法を守ると広告は売れなくなる?」で詳しく解説しています。
ビフォーアフターは医療機器広告で使える?


医療機器広告のビフォーアフターは、一律に「使える」「禁止」と判断するのではなく、誰を対象とした広告なのか、何を示す写真なのか、個別製品の範囲を超えていないか、一般的な結果と誤認させないかを確認します。医療機関による広告では、さらに医療広告ガイドライン上の規制を確認する必要があります。
ここでは、医療機器の製品広告と医療機関の広告を混同しないことも重要です。
ビフォーアフターがリスクになりやすい理由
ビフォーアフターは、文章よりも直感的に変化が伝わります。
そのため、ユーザーに「この製品を使えば、これだけ変わる」という強い印象を与えることから、広告の表現に使われています。
そのため、
- 誰でも同じ結果になるように見える
- 個別製品について認められた範囲以上の効果に見える
- 撮影条件の違いによって変化が大きく見える
- 他の施術や製品の影響が隠れている
- 代表的でない好結果だけを掲載している
といった安全性の保証をするような表現や誤認させる問題などが生じやすくなります。
医療機器メーカー等の広告で確認すべきこと
医療機器メーカー等の商品広告では、少なくとも、
- 写真が何を示しているか
- 個別製品について確認できる使用目的または効果・性能と整合するか
- 一般的な結果のように見せていないか
- 撮影条件は同一か
- 加工・補正はないか
などを確認します。
また、薬機法だけでなく、一般消費者に実際より著しく優良であると誤認させる表示になっていないかという景品表示法上の観点も必要です。
医療機器のビフォーアフターについては「医療機器広告でビフォーアフター画像は使える?」で詳しく解説しています。
医療広告ガイドラインとの関係
医療機関が治療内容や術前・術後写真を広告する場合は、医療広告ガイドライン等の確認が別途必要です。
厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」では、ビフォーアフター写真について、通常必要とされる治療内容、費用、主なリスク・副作用等の詳細情報との関係が具体的に示されています。
メーカー広告に写真を載せる場合と、クリニックが治療症例として写真を載せる場合は、同じルールで判断しないよう注意が必要です。
ビフォーアフター掲載前チェック
- 個別製品について確認できる範囲の結果か
- 使用者全員に同じ結果が出るように見えないか
- 撮影条件はそろっているか
- 加工・補正の有無を確認したか
- 使用期間・使用回数を確認したか
- 併用施術・併用製品等はないか
- 一般消費者に誤認を与えないか
- 医療機関広告なら医療広告規制を確認したか
なお、医療機関の広告を制作する場合は「医療広告の実務ガイド」をご覧ください。
効果保証・安全性保証に見える表現
医療機器広告では、「必ず効く」「確実に改善」「完全に安全」「副作用なし」のように、結果や安全性を保証する表現は特に高リスクです。承認・認証等の範囲内の効果であっても、誰にでも必ず同じ結果が出ると保証できるとは限りません。
効果保証に見える表現
たとえば、
- 100%効果を実感
- 確実に改善
- 誰でも治る
- 必ず効く
- 1回で完治
- 再発しない
などは効果保証に見える表現の一例です。
広告では、言葉だけでなく、
- 大きな「100%」
- 全員が成功したようなグラフ
- 成功例だけを並べたレビュー
- 医師の写真
によっても、効果保証の印象が強くなります。
安全性保証に見える表現
たとえば、
- 完全に安全
- 絶対安心
- 副作用ゼロ
- どなたでも安全
- リスクなし
などは安全性を保証しているように見える表現の例です。
広告で安全性を説明するときは、個別製品の警告、禁忌・禁止、使用上の注意等との整合性も確認します。
また薬機法第66条第2項は、医師その他の者が医療機器の効能、効果または性能を保証したと誤解されるおそれがある広告を規制しています。そのため、医療従事者や専門家が安全性を保証するような表現や表示は問題になり得ます。
一方で、
- 医師が開発に協力
- 専門家が操作性についてコメント
- 特定の調査で医師が回答
などの事実がある場合は、その事実関係と広告上の見せ方を個別に確認します。
ランキング表現・No.1表示の注意点
医療機器広告でNo.1表示やランキング表現を使うこと自体が、一律に禁止されているわけではありません。ただし、何についてのNo.1なのか、調査対象・方法・期間・比較対象等が客観的かつ合理的で、実際の表示内容と根拠に対応している必要があります。
消費者庁は2024年9月、「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、No.1表示に関する景品表示法上の考え方を整理しています。
たとえば、
医師が選ぶNo.1
と表示するなら、
- 何を基準に選んだのか
- 調査対象となった医師は誰か
- その製品を実際に使用・評価したのか
- 比較対象は何社・何製品か
- 調査期間はいつか
- 調査方法は何か
を確認し、適切に注釈を記載する必要があります。
Webサイトの印象だけで「効果満足度No.1」のように見せるイメージ表示をすれば、調査内容と広告表示が対応しないことから指摘の可能性は高まります。
No.1表示については「景品表示法の広告表現ガイド|無料プレゼント・限定表現・No.1表示を実務向けに解説」で詳しくまとめています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
No.1表示は、広告で非常に強い訴求になります。だからこそ、「調査会社からNo.1の結果をもらったので載せました」だけで終わらせないことが大切です。
実際に何を調査したのか。
誰に聞いたのか。
比較対象は適切か。
広告の大きな「No.1」という表示と、調査結果が本当に対応しているか。
こうした点を確認していきます。
特に、「Webサイトの印象調査」なのに「製品満足度No.1」に見せるなど、調査したことと広告で主張することがズレると問題になりやすくなります。
No.1は使うか使わないかだけではなく、何についてのNo.1なのかを正確に伝えることが重要です。
ランキング表示で注意すべき条件
「ランキング1位」という表示も同様です。
たとえば、
家庭用医療機器ランキング第1位
だけでは、何のランキングかは分かりません。
- 売上金額
- 売上数量
- 満足度
- 認知度
- 医師の評価
- Webサイトの印象
では、意味がまったく異なります。
広告では、No.1の大きな文字だけでなく、一般消費者が何についての第1位だと理解するのかを確認することが重要です。
医療機器広告でNo.1表示が特に危険になるケース
たとえば、
治療効果No.1
医師が最も効果を認めた医療機器
安全性No.1
といった表示があったとします。
これらは、景品表示法上の根拠だけでなく、医療機器の効能効果・性能や専門家による保証との関係も確認する必要がある表現です。薬機法第66条は医療機器の効能、効果または性能に関する虚偽・誇大広告等や、医師等による保証と誤解されるおそれがある広告を規制しています。
- No.1の対象は何か
- 調査対象者は誰か
- 実際の利用者・使用経験者か
- 調査期間はいつか
- 調査方法は何か
- 比較対象は適切か
- 表示内容と調査結果が正確に対応しているか
- 効果・性能・安全性を保証する表示に見えないか
- 注釈は認識できる大きさ・位置か
No.1表示を行う際は、こうした点をあらかじめチェックしていきます。
口コミ掲載・体験談は使える?
医療機器広告に口コミや体験談を掲載する場合、広告主が選択して自社LP等に掲載した内容は、ステルスマーケティングの規制を確認する必要があります。第三者が書いた言葉だから、承認範囲を超える効果や効果保証を自由に掲載できるわけではありません。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
口コミは、広告の反応を高めやすい一方で、表現が一気に強くなりやすい要素です。
「病気が治った」
「痛みが完全に消えた」
「もう病院へ行かなくて済む」
本人が本当にそう感じたとしても、それを事業者が選んでLPへ掲載すれば、広告全体の一部として確認する必要があります。
だからといって、レビューを全部削除すればよいわけでもありません。操作性、使いやすさ、管理のしやすさ、サポート対応など、製品の実態に即した別のレビュー軸も考えられます。
「どの口コミを載せるか」も、広告設計の一部です。
口コミも広告表現の一部になる
たとえば、Amazon等の外部レビュー欄にユーザーが自発的に書いた投稿と、事業者がそのレビューを選んで自社LPに転載する行為は分けて考える必要があります。
外部レビューにある場合は問題にならない口コミも、事業者が、
このレビューは売れそうだから載せよう
と選択し、LPの効果訴求として掲載すれば、その口コミは広告全体のメッセージの一部になります。
一般消費者向け医療機器広告の体験談・愛用者コメントは、薬機法・景品表示法に加え、医機連の自主基準上、使用感・操作感等の限定的な場合を除き、原則として避ける取扱いが示されているため表現には十分に注意が必要です。
体験談が効能効果を超えるケース
たとえば、
- この機器で病気が治りました
- 痛みが完全に消えました
- もう病院へ行く必要がありません
- 薬をやめられました
- 誰にでもおすすめできます
といった口コミがあったとします。これらがユーザーにとって事実であり自主的に書いた口コミであったとしても、その内容を事業者が広告に掲載すると、効果保証や承認・認証範囲を超える表現と見られます。
また、「個人の感想です」という小さな注釈だけで、強い効能効果や保証の印象が消えるとは限りません。
そのため、口コミを掲載する場合は、承認・認証された使用目的または効果の範囲を超えていないか、誰にでも同じ結果が得られるような印象を与えていないか、安全性を保証していないかを確認します。
医療機器のレビュー掲載については「医療機器広告で口コミ・体験談は使える?」をご覧ください。
ECレビュー・SNS投稿・インフルエンサー投稿の注意点
景品表示法では、表示内容の決定に事業者がどのように関与したかが問題となります。媒体ごとに整理すると、次のようになります。
| ケース | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 外部ECの自発的レビュー | 事業者の関与・管理状況等を確認 |
| 自社LPへのレビュー転載 | 広告内容として効能効果の範囲を確認 |
| 自社ECでレビューを選択・強調 | 選択・編集・表示方法を確認 |
| SNSの自発的投稿 | 事業者の依頼・関与等を確認 |
| インフルエンサーへの依頼投稿 | 薬機法・景表法・ステマ規制を確認 |
| 動画レビュー | 発言内容、演出、編集を含めて確認 |
たとえば、次のような口コミがあった場合、主なリスクを考慮しながら対応の方向性を決めていくことが重要です。
| 口コミ例 | 主なリスク | 対応方向 |
|---|---|---|
| 使ったら病気が治った | 承認範囲超え等 | 原則として掲載を避ける方向で検討 |
| すぐに痛みが消えた | 効果保証 | 個別製品の範囲・広告全体を確認 |
| もう通院しなくて済む | 受診抑制等 | 掲載を避ける方向で検討 |
| 操作が分かりやすかった | 使用感・操作性 | 事実関係を確認 |
| 毎日の管理に役立っています | 使用目的との整合 | 個別製品の範囲を確認 |
比較広告の注意点
医療機器広告で比較表現を行う場合は、比較内容が客観的に実証され、数値・事実を正確かつ適正に引用し、比較方法が公正であることが基本です。医療機器ではさらに、性能や効果の比較が個別製品について認められた範囲を超えていないかも確認します。
消費者庁の比較広告に関する考え方では、適正な比較広告のための基本的なポイントとして、①比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること、②実証された数値や事実を正確・適正に引用すること、③比較方法が公正であることが示されています。
たとえば、
従来品より性能2倍
と表示する場合、「何の性能が2倍なのか」の記載が必要です。
- 出力
- 測定時間
- バッテリー持続時間
- 測定精度
- 治療効果
では、まったく意味が異なります。
また、
- 同じ条件で比較したか
- 比較対象は現行品か
- 特殊な設定だけを使っていないか
- 一部の数値だけを切り取っていないか
の確認も必要です。なお上記は景品表示法上の基本要件です。医療機器では、医機連の自主基準において、特定可能な他社製品との比較等について、より厳しい取扱いが示されているため、別途確認が必要です。
医療機器の性能比較で注意すべきこと
たとえば、「他社製品より2倍効く」という広告があったとします。
この広告では何をもって「効く」としているのでしょうか。
どの対象者に、何回使用し、何を評価したのか。
個別製品について認められた使用目的または効果・性能と一致するのか。
こうした点を整理する必要があります。
「試験で数字が出たから広告できる」と即断するのではなく、試験結果と広告で主張する内容が本当に対応しているかを確認していくことが必要です。
自社従来品比較・他社比較
自社の旧製品との比較でも、自由に表示できるわけではありません。
たとえば、
従来品比200%
だけでは、
- 何が200%なのか
- どの従来品か
- いつ販売していた製品か
- どの条件で測定したか
が分かりません。
比較広告では「根拠が存在するか」だけでなく、「消費者が何との比較だと理解するか」まで確認します。
症例写真・症例紹介の注意点
症例写真は説得力が高い一方で、特定の好結果を一般的な効果として受け取られやすい表現です。医療機器メーカー広告、医家向け資料、医療機関広告では適用されるルールや確認事項が異なるため、同じ「症例写真」として一括りにしないことが重要です。
症例写真がリスクになりやすい理由
たとえば、10例のうち最も結果が大きかった1例だけを、
驚きの治療効果!
として大きく掲載したらどうでしょうか。
写真自体が実在する症例でも、
- 代表的な結果か
- 特殊な症例ではないか
- 併用治療はないか
- 撮影条件は同じか
- 使用期間はどうか
によって、受け手の印象は変わります。受け手に誤認を与える症例写真の使い方はリスクになりやすいため注意が必要です。
医療機器メーカー広告と医療機関広告の違い
医療機器メーカー等が自社製品の効果・性能を広告する場合には、薬機法や医薬品等適正広告基準、景品表示法等を確認します。
一方、医療機関が治療症例を広告する場合は、医療広告ガイドライン等による確認が必要になります。
厚生労働省の医療広告規制事例解説書では、ビフォーアフター写真について、治療内容、費用、主なリスク・副作用等に関する詳細情報の示し方が具体的に取り上げられています。 そのためクリニックが症例写真をあげているからといって、医療機器メーカー広告にも同じ症例写真を載せようという考え方は避けるべきです。
それぞれに適用されるルールが異なるため、あらかじめ違いを把握しておきましょう。
医療機関の広告における症例写真については「医療広告の実務ガイド 」で詳しく解説しています。
エビデンス・論文・臨床データの書き方
医療機器広告では、「エビデンスがあること」と「その内容を自由に広告できること」は別です。論文や臨床データを使う場合は、対象者、試験条件、使用方法、評価項目、統計結果、製品との同一性、個別製品について認められた範囲との整合性を確認します。
「論文があるので、この効果は言えますよね?」
これも実務では非常に多い質問です。論文や臨床データがあっても、それだけで広告可能な効能効果の範囲が広がるわけではありません。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
論文がある。臨床データがある。だから、このコピーは使える。実務では、ここを一段慎重に考える必要があります。
対象者は誰なのか。
製品は同じなのか。
出力や使用条件は同じなのか。
何を評価した研究なのか。
統計的な差があることと、広告で「誰にでも必ず効く」と言えることは同じではありません。
また、研究全体を見ずに、都合のよい数字だけを切り取れば、根拠があるように見えても広告全体では過度な印象になることがあります。
エビデンスは、広告を強く見せるための飾りではありません。何が分かっているのかを、できるだけ正確に伝えるために使うものだと考えています。
エビデンスがあっても広告で使えるとは限らない
たとえば、論文が、
- 海外の別製品を使っている
- 出力が違う
- 使用方法が違う
- 医療機関でのみ使用している
- 広告対象とは異なる患者群を対象にしている
場合があります。それを一般消費者向けの自社製品広告へそのまま転用できるかは、別途確認が必要です。
まず、その研究結果は、本当に広告対象の製品と広告で主張したい内容を裏付けているのかを確認します。
論文・臨床データで確認すべき項目
- 研究対象製品は広告対象製品と同一か
- 仕様・出力等は同じか
- 対象者は誰か
- 被験者数は何人か(統計学的に有意差が出せる人数か)
- 使用期間・回数は何か
- 対照群はあるか
- 評価項目は何か
- 統計解析はどう行われたか
- 結果の大きさはどの程度か
- 広告で主張したい内容と研究結果が一致するか
- 個別製品について認められた範囲との整合性はあるか
たとえば、主要評価項目では有意差がなかったものの、副次評価項目の一つだけで差が出た研究を、
臨床試験で効果を実証!
と大きく見せれば、研究全体の結論以上の効果を印象づける可能性があります。
また、
- 都合のよい期間だけ切り取る
- 特定のサブグループだけ強調する
- 不都合な結果を表示しない
- グラフの縦軸を調整して差を大きく見せる
といった表示にも注意が必要です。
グラフ・図表の見せ方
グラフを使う場合は、
- 軸
- 単位
- 対象者数
- 試験条件
- 測定時点
- 出典
- 統計的な情報
などを確認します。
ただし、細かな注釈を大量に入れれば何でも表示できるという意味ではありません。
メイン表示が、
効果2倍!
と大きく、重要条件が極端に小さければ、広告全体の印象として十分な情報提供になっているかを確認する必要があります。
医家向け・一般向けで書き分ける
同じ臨床データでも、医療従事者向け資料と一般消費者向けLPでは、受け手の専門知識が異なります。
一般消費者向け医療機器広告では、医機連の自主基準上、臨床データや実験例の例示は原則として行わない取扱いが示されています。以下は、医療従事者向け資材等でデータを扱う際にも必要となる確認事項です。
- 専門的なグラフを誤解しないか
- 相関関係を因果関係のように見せていないか
- 限定的な結果を一般化していないか
- 統計的有意差を「必ず効く」と誤解させないか
エビデンスは、広告を強く見せるための装飾ではありません。何が分かり、何がまだ分からないのかを正確に伝えるための根拠として扱うことが重要です。
エビデンスについては「健康食品広告で論文・研究データは使える?」で詳しく解説しています。
医療機器広告の表現チェックリスト
医療機器広告を公開する前には、コピーだけでなく、個別製品の情報、ビフォーアフター、口コミ、No.1表示、比較、症例写真、エビデンス、画像、動画まで一式で確認します。また、広告主体によって景品表示法や医療広告ガイドラインの確認も必要です。
製品資料の確認
- 正式な販売名を確認したか
- 一般的名称を確認したか
- JMDNを確認したか
- 承認・認証・届出に関する情報を確認したか
- 使用目的または効果を確認したか
- 性能を確認したか
- 電子添文等を確認したか
- 警告、禁忌・禁止、使用上の注意を確認したか
広告表現の確認
- 認められた範囲を超えていないか
- 「必ず」「確実」「完全」等で効果を保証していないか
- 「100%安全」「副作用なし」等で安全性を保証していないか
- 医師・専門家が効果を保証したように見えないか
- 最大級・最高級表現の根拠を示せるか
- 未承認・未認証医療機器の広告になっていないか
画像・口コミ・ランキングの確認
- ビフォーアフターが一般的な結果と誤認されないか
- 撮影条件を確認したか
- 口コミが認められた範囲を超えていないか
- 「個人の感想です」だけで処理していないか
- No.1表示の調査対象・方法・期間等を確認したか
- ランキングと実際の調査内容が対応しているか
- 比較対象・条件・測定方法は公正か
- 症例写真の適用ルールを確認したか
- エビデンスを正確に引用しているか
- ステルスマーケティング規制に違反していないか
リライト・専門家確認を検討したいケース
特に次の場合は、個別確認を検討します。
- 認証・承認等の情報が確認できない
- 競合他社の表現をそのまま参考にしている
- ビフォーアフターをメイン訴求に使う
- 治療結果に関する口コミを大量掲載する
- 医師推薦・専門家推奨を使う
- No.1・ランキングを強調する
- 他社製品と効果・性能を比較する
- 論文や臨床試験をメインの広告根拠にする
- 海外データを日本向け広告に使う
- 医療機器メーカー広告と医療機関広告が混在している
- 薬事チェック後、商品の魅力がほとんど残らなくなった
薬事チェック後に商品の魅力がほとんど残らなくなったケースでは、問題表現を一つずつ削るよりも、「そもそも何を価値として訴求する広告にするのか」から再設計した方がよい場合があります。
よくある相談(FAQ)
- 医療機器広告で使えないNG表現にはどのようなものがありますか?
-
「必ず改善」「完全に治る」「副作用なし」「100%安全」「誰でも同じ効果」「医師が効果を保証」など、効果・安全性・専門家による保証に見える表現は特に高リスクです。また、個別製品について認められた使用目的または効果・性能を超える表示にも注意が必要です。ただし、最終判断は単語だけでなく、画像、口コミ、注釈、広告全体から行います。
- 医療機器広告に使えるOK表現はありますか?
-
すべての医療機器で無条件に使える固定のOK表現があるわけではありません。個別製品の使用目的または効果・性能、承認・認証等の情報、対象者、使用条件、媒体によって判断が変わります。まずPMDAの医療機器情報検索や個別製品資料等を確認し、根拠を持って伝えられる範囲を整理することが重要です。
- 医療機器広告でビフォーアフター画像は使えますか?
-
一律に可否を判断するのではなく、広告主体、写真が示す内容、個別製品の範囲、撮影条件、使用期間、併用施術等を確認します。誰でも同じ結果になる印象や、実際以上の効果を与えないかにも注意が必要です。医療機関による広告に該当する場合は、医療広告ガイドライン等の症例写真・術前術後写真に関する規制も別途確認します。
- 医療機器広告で口コミや体験談は掲載できますか?
-
口コミや体験談も、事業者が選択して自社広告に掲載する場合は、広告全体の一部として確認する必要があります。「病気が治った」「痛みが完全に消えた」「通院不要になった」など、個別製品について認められた範囲を超える表示や、効果保証につながる内容には注意が必要です。「個人の感想です」という注釈だけで問題が当然に解消するとは限りません。
- No.1表示やランキング表現は使えますか?
-
一律禁止ではありませんが、何のNo.1か、調査対象、調査方法、期間、比較対象等を確認し、調査結果と広告表示が正確に対応している必要があります。特に「効果No.1」「安全性No.1」「医師が選ぶNo.1」などは、景品表示法に加え、医療機器の効能効果・性能や医師等による保証の印象も含めて確認します。
- 医療機器広告で比較広告を行う場合の注意点は何ですか?
-
消費者庁は、適正な比較広告の基本として、比較内容が客観的に実証されていること、数値や事実を正確かつ適正に引用すること、比較方法が公正であることを示しています。しかし、医療機器の場合、医薬品等適正広告基準によって比較広告は制限されているため注意が必要です。
- 医療機器広告で症例写真は掲載できますか?
-
症例写真は、医療機器メーカー等の商品広告、医家向け資料、医療機関広告で確認すべきルールが異なります。特定の好結果を一般的な効果として見せていないか、撮影条件、期間、併用治療等を確認します。医療機関広告の場合は、医療広告ガイドライン等の症例写真・ビフォーアフターに関する規制を別途確認する必要があります。
- 医療機器広告でエビデンスや論文を書くときの注意点は何ですか?
-
対象者、試験条件、使用方法、測定項目、統計結果、広告対象製品との同一性、個別製品について認められた範囲との整合性を確認します。論文が存在するだけで、どのような広告表現でも使えるわけではありません。一部データだけを切り取り、研究結果以上の効果を印象づけていないかも重要な確認ポイントです。
まとめ
医療機器広告の表現を確認するとき、
「改善はNGですか?」
「効果あり、は使えますか?」
と、どうしても一つの単語に目が向きがちです。しかし、実務で確認するべきなのは、その言葉だけではありません。まず、
- どの医療機器なのか
- 一般的名称は何か
- 個別製品について認められた使用目的または効果・性能は何か
- どのような根拠資料があるか
を確認します。
その上で、
- キャッチコピー
- ビフォーアフター
- 症例写真
- 口コミ
- 医師・専門家コメント
- No.1表示
- 比較表
- グラフ
- 論文
- 動画
- 注釈
を全部合わせたとき、広告が最終的に何を約束しているように見えるかを確認します。
特に注意したいのは、
効果を保証していないか。
安全性を保証していないか。
医師や専門家が保証したように見えないか。
個別製品について認められた範囲を超えていないか。
という点です。また、ビフォーアフターや症例写真では医療広告規制、No.1や比較表示では景品表示法といったように、広告主体や表示内容によって薬機法以外の確認も必要になります。
結論として、医療機器広告のOK・NGは、「この単語が使えるか」ではなく、「根拠・個別製品の範囲・見せ方が整合しているか」で考えることが実務上の基本です。
そして、問題表現が見つかったときも、単に削除して終わるのではありません。
商品の実態を確認し、何なら根拠を持って伝えられるのか。どの訴求軸なら、適正な情報伝達と広告としての分かりやすさを両立できるのか。ここまで再設計することが、広告制作の現場では重要です。
なお、医療機器広告について体系的に知りたい方は「医療機器広告の薬機法ガイド」をご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
![]()
【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」
広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。
【無料】薬機法・広告規制の実務をメールマガジンで学ぶ
薬機法・景品表示法の実際の相談事例や、広告チェックで迷いやすいポイントを、実務の視点から解説しています。広告制作や表現確認に関わる方が、日々の案件で使える判断軸をメールでお届けします。
薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につける


「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。
参考情報・引用元
本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料、所管行政機関、社内薬事・法務担当者または専門家への確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日、薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日、薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」(平成30年8月8日、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/001699174.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 一般社団法人日本医療機器産業連合会「医療機器適正広告ガイド」2024年2月改定(業界自主基準). 日本医療機器産業連合会. https://www.jfmda.gr.jp/activity/promotioncode/activities%E3%80%80%EF%BD%9E%E5%8C%BB%E6%A9%9F%E9%80%A3%E3%81%AE%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%80%AB%E7%90%86%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF%EF%BD%9E/(参照日:2026年08月11日)
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医療機器 添付文書等情報検索」PMDA. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「優良誤認表示」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月26日公表)消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「比較広告」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/comparative_advertising/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_37.pdf(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/(参照日:2026年08月11日)
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html(参照日:2026年08月11日)
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について」(令和8年3月30日、事務連絡)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/001683116.pdf(参照日:2026年08月11日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。



