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有効成分が入っていれば効能を強く言える?医薬部外品広告で成分名からコピーを作るときの注意点

医薬部外品広告で、有効成分名だけを根拠に効能表現を強めてよいかを解説する図。『有効成分配合なら効能を強く言える?』という問いに対し、広告表現の基準はその製品ごとの承認効能であることを示している。確認項目として、①商品ごとの承認効能を確認する、②成分説明が承認範囲と整合しているか確認する、③原料データや成分研究と最終製品の根拠を区別する、の3点を整理。成分名や原料研究だけから『シミを消す』『髪が生える』など承認範囲を超えるコピーへ広げず、商品ごとの承認内容と根拠資料を起点に広告を設計する重要性を示した図。

「有効成分トラネキサム酸配合なら、“シミを消す”まで言えるのでは」「育毛成分が入っているなら、“髪が生える”でもよいのでは」。医薬部外品の制作では、成分名を起点にコピーを強くしたくなる場面があります。

しかし、有効成分が入っているだけで効能を強く言うことはできません。広告できる上限は、その製品が承認を受けた効能効果です。成分の作用機序を説明するときも、医学・薬学上認められ、承認範囲を超えないことが条件になります。

目次

有効成分は「強い効能を書く許可証」ではない

医薬部外品で、承認書どおりの成分を「有効成分○○配合」と表示すること自体はできます。ただし、そこから自由に効能コピーを作ることはできません。

医薬品等適正広告基準は、承認を要する医薬品等の効能効果について、明示・暗示を問わず承認範囲を超える表現を認めていません。成分の不正確な説明によって、効能や安全性について事実と異なる認識を与える広告も禁止しています。薬機法66条の虚偽・誇大広告規制が土台です。

有効成分とその他の成分の違い、濃度表示の考え方は、医薬部外品の有効成分とは?効能効果・濃度・広告表現の注意点で整理しています。

成分データがあっても商品の効能へそのまま移せない

広告基準の解説では、個々の成分の効能効果や作用機序を説明できるのは、医学・薬学上認められ、かつ「その医薬品等」の承認効能の範囲を超えない場合に限るとされています。

成分の論文、原料会社の資料、同じ成分を使った別製品の承認内容だけでは、目の前の商品の強い効能を裏付けたことにはなりません。二次的、三次的な効果へ広げる表現も使えません。

景品表示法では、効果・性能を実際より著しく優良に見せる表示が問題になります。原料データを根拠に商品の効果を表示するなら、資料が客観的であるだけでなく、表示した効果と資料の内容が対応していなければなりません。原料単体の試験結果を、そのまま最終製品の使用効果として一般化することは避ける必要があります。最終製品との同等性や配合量、試験条件などを確認し、広告表示と根拠資料が適切に対応しているかを確認します。

健康増進法65条の虚偽・誇大表示規制は、「食品として販売に供する物」が対象です。この医薬部外品広告の論点では、薬機法と景品表示法が中心になります。

事例1:薬用美白美容液で「シミを消す」はNG

薬用美白美容液のNG広告事例。医薬部外品の美容液について『有効成分トラネキサム酸がメラニンを排出』『できてしまったシミまで消去』と訴求し、既にあるシミを除去できるかのように見せている。承認効能が『メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ』である場合、『排出』『消去』は予防の範囲を超えた表現となる。有効成分名や『美白』表示を添えても承認範囲は広がらず、シミ消失のビジュアルや即効性を示す表現を組み合わせれば、広告全体として既存シミへの改善・除去効果をさらに強く暗示するため注意が必要であることを示したLP風広告。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に、薬用美白美容液のLP(ランディングページ)で次のように表示したとします。

「有効成分トラネキサム酸がメラニンを排出。できてしまったシミまで消去」

この表現はNGです。

当該製品の承認効能が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」であれば、「排出」「消去」は既にあるシミを除去する作用へ広げています。有効成分名を添えても、承認範囲を超えた効能は言えません。

シミが消えるアニメーション、ビフォーアフター画像、「14日で実感」といった表現が加われば、広告全体から受ける暗示はさらに強くなります。

修正は、承認書を確認したうえで、「有効成分トラネキサム酸配合。メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」のように、承認された予防表現へ戻します。訴求が弱くなる部分は、みずみずしい使用感、べたつきにくさ、朝晩使いやすい容器などの製品事実で補います。

美白表現の線引きは、医薬部外品広告で「美白」は使える?も参照してください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
成分名から企画を始めると、「この成分にはこんな研究がある」という説明が先行し、最後に承認効能へ合わせようとしてストーリーが崩れます。先に承認書から広告可能な効能を一枚に整理し、その枠内で成分を登場させる方が手戻りは減ります。LP完成後の全面改稿を避けるには、企画段階で訴求軸を決めることです。

事例2:薬用育毛剤で「毛根を再生し、髪を生やす」はNG

薬用育毛剤のNG広告事例。有効成分センブリエキスについて『弱った毛根を再生』『新しい髪を生やす』と訴求し、毛根のビフォーアフター図でも再生・発毛の結果を強く印象づけている。医薬部外品の育毛剤では、商品ごとの承認内容に応じて『育毛』『脱毛の予防』『毛生促進』『発毛促進』などを表示できる場合があるが、『毛根を再生する』『髪を生やす』は、組織の再生や発毛結果そのものを示すため承認範囲を超えるおそれがある。有効成分の作用説明や模式図を用いる場合も、医学・薬学上認められた範囲かつ当該製品の承認効能を超えないことが必要であり、成分名や研究情報だけで商品効能を拡張できないことを示したLP風広告。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に、薬用育毛剤の動画広告で「有効成分センブリエキスが弱った毛根を再生。新しい髪を生やす」と表現した場合もNGです。

医薬部外品の育毛剤では、「育毛」「脱毛の予防」「毛生促進」「発毛促進」などが効能効果の範囲として示されています。しかし、「毛根を再生する」は組織の再生作用を示し、「髪を生やす」は発毛を確約するように受け取られます。「発毛促進」と「発毛させる」は同じではありません。

当該製品が実際に承認を受けた文言に合わせて、「有効成分○○配合。発毛を促進し、脱毛を予防する」などへ修正します。承認効能にない文言は足しません。

訴求は、頭皮に塗布しやすいノズル、液だれしにくい使用感、毎日のケアに取り入れやすい設計へ移せます。詳しくは、医薬部外品育毛剤で「発毛」「育毛」「薄毛改善」は使える?で解説します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法令上説明できる表現でも、媒体の独自基準では止まることがあります。「正しいこと」と「通ること」は同じではありません。承認範囲の確認と媒体考査は、チェック表の別の欄で管理してください。法律上の修正理由と媒体ルールを混ぜると、次の案件で判断を再利用できません。

事例3:薬用デオドラントで「99.9%殺菌、一日中ニオわない」はNG

薬用デオドラントのNG広告事例。有効成分○○について『ニオイ菌を99.99%殺菌』『一日中ニオわない』と大きく訴求し、『24時間』『徹底殺菌』『汗をかいてもサラサラ』などの表示を組み合わせている。医薬部外品のデオドラントで『皮膚汗臭を防ぐ』などの承認効能があっても、99.99%という殺菌率や24時間・一日中といった持続性まで当然に広告できるわけではない。数値や持続時間を表示する場合は、最終製品による試験条件、対象菌、使用量、測定時間などと広告表示が対応しているかを確認する必要があり、根拠が不十分な場合は景品表示法上の問題となる可能性がある。また『一日中ニオわない』『徹底殺菌』は効果の確実性や持続性を保証する印象にもつながるため、薬機法上も広告全体の表現に注意が必要であることを示したLP風広告。
※自社で作成したイメージ画像です

薬用デオドラントで「有効成分○○がニオイ菌を99.9%殺菌。一日中ニオわない」と表示するケースです。この表現も、そのままでは使えません。

「皮膚汗臭を防ぐ」などの承認効能があっても、「99.9%」や「一日中」は別の表示です。試験条件、対象菌、使用量、測定時間が広告の受け取られ方と対応しなければ、景品表示法上の合理的根拠になりません。

「一日中ニオわない」は効果保証にもつながります。薬機法上も、確実性や持続性を強調しすぎる表現はNGです。

まず、「有効成分○○配合。皮膚汗臭を防ぐ」など、承認範囲へ戻します。数値を残すなら、最終製品による試験か、表示と試験条件が対応しているかを確認します。確認できない数値は削除し、乾きやすさ、香り、携帯性などへ訴求を移します。

「99.9%」「一日中」など具体的な効果・性能を表示する場合は「優良誤認・有利誤認とは?表示した内容と根拠資料が対応しているかという景品表示法上の判断も必要です。 

実務では承認書からコピーへ落とす

最初に確認するのは、原料パンフレットではありません。承認書、製造販売業者が承認内容を正確に転記した資料、容器・外箱です。販売名、有効成分、承認効能、効能に付された条件、用法用量を固定します。

次に、コピーを「製品の効能」「成分の説明」「使用感・仕様」「根拠が必要な数値」に分けます。

作用機序を書くなら、医学・薬学上の妥当性と承認効能とのつながりを確認します。論文の対象が成分単体、細胞、動物、他社製品であれば、最終製品の効果へ飛躍させません。感覚で見つけた訴求を、表示と対応する根拠へ変える作業が必要です。

LPでは、ファーストビューだけでなく、模式図、注釈、口コミ、CTA(行動の指示)まで見ます。「シミを消す」の直下に小さく予防効能を注記しても、主表示の承認範囲超過は直りません。

成分濃度を訴求するときは、医薬部外品広告で「高濃度」「最大濃度」は使える?で、比較条件と根拠を確認してください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
同じ成分名でも、商品区分、製造販売業者、承認内容、処方設計が違えば広告できる範囲は変わります。「混ぜる化粧品」の事例でも、製造販売業者と安定性の条件が結論を分けました。広告コピーも、成分の一般論から作るのではなく、先に商品側の事実を固定します。

まとめ

有効成分が入っていても、医薬部外品の効能を強く言うことはできません。広告の上限は、その製品が承認された効能効果です。個々の成分や作用機序を説明できるのは、医学・薬学上認められ、承認範囲を超えない場合に限られます。

成分名からコピーを膨らませず、承認書から「言える効能」を確定してください。強さが足りないときは、未承認の作用へ広げず、使用感、容器、利用場面、継続しやすさなどの商品事実へ訴求を移します。

医薬部外品広告について体系的に理解したい方は「医薬部外品の有効成分とは?効能効果・濃度・広告表現の注意点を解説」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料を参考に、医薬部外品広告における有効成分名・作用機序・研究データを用いた効能訴求について、薬機法上の承認効能の範囲、医薬品等適正広告基準、成分説明と作用機序の広告上の取扱い、景品表示法上の優良誤認・不実証広告規制の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、品目ごとの承認内容、有効成分、配合目的、効能効果、用法用量、作用機序に関する医学・薬学上の根拠、試験対象が成分・原料・最終製品のいずれか、コピー・画像・数値等を含む広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて承認書、最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医薬部外品広告で、有効成分名だけを根拠に効能表現を強めてよいかを解説する図。『有効成分配合なら効能を強く言える?』という問いに対し、広告表現の基準はその製品ごとの承認効能であることを示している。確認項目として、①商品ごとの承認効能を確認する、②成分説明が承認範囲と整合しているか確認する、③原料データや成分研究と最終製品の根拠を区別する、の3点を整理。成分名や原料研究だけから『シミを消す』『髪が生える』など承認範囲を超えるコピーへ広げず、商品ごとの承認内容と根拠資料を起点に広告を設計する重要性を示した図。

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