MENU

健康食品・化粧品・医薬部外品で「病名」は広告に使える?薬機法上の注意点

病名表現の可否を商品区分ごとに判断する流れを示した図解。一般的な健康食品は疾病の治療・予防と結び付けず、届出・許可表示を超えないこと、一般化粧品は56項目の効能範囲や剤型・使用方法による限定表現を確認すること、医薬部外品は承認された効能を確認し、「防ぐ」と「治す」を区別することを説明している。下段では「商品区分を確定→承認・届出を確認→コピー・画像を確認→広告全体と媒体を審査」の4段階を示し、病名を言い換えるのではなく、表現可能な商品事実へ再設計するようまとめている。

「病名を書いたら薬機法違反になる」と思われがちですが、実際はそうではありません。

病名や症状に関する表現が使えるかどうかは、何を販売する商品なのか(商品区分)によって判断が変わります。

たとえば、いわゆる健康食品では「糖尿病」「がん」「高血圧」などの病名と商品を結び付ける表現は認められません。化粧品や医薬部外品も同様です。

ただし、洗顔料の「(洗浄により)ニキビを防ぐ」のように症状の記載が認められているケースもあります。

この記事では、健康食品・化粧品・医薬部外品ごとに病名や症状をどこまで表現できるのかを整理するとともに、商品区分ごとの違いや、薬機法上の判断ポイントについて分かりやすく解説します。

目次

病名が使えるかは商品区分と効能効果で決まる

病名や症状を広告で表現できるかどうかは、商品区分と認められた効能効果によって決まります。同じ病名であっても、健康食品・化粧品・医薬部外品では扱いが異なります。 

一般的な健康食品で「糖尿病を予防する」「がんに効く」「高血圧の人に」はNGです。疾病の治療・予防を目的とする医薬品的効能効果を標ぼうするためです。機能性表示食品では疾病の治療・予防表示や疾病リスク低減表示はできません。特定保健用食品には、許可された範囲で疾病リスク低減表示が認められる区分があります。 

一般化粧品で「アトピーを改善する」「ニキビを治す」はNGです。一方、洗顔料で「(洗浄により)ニキビを防ぐ」は化粧品の効能範囲に含まれます。病名らしい単語だけで判断せず、剤型、使用方法、限定表現まで確認します。化粧品の基本的な範囲は、化粧品で認められる56項目の効能効果とは?もご覧ください。

医薬部外品は、承認範囲内であれば、「ニキビを防ぐ」「歯周炎(歯槽膿漏)の予防」「脱毛の予防」などを表示できる品目があります。ただし、承認が「ニキビを防ぐ」なら「ニキビを治す」へ表現は広げられません。

「ニキビに」とだけ書くことも原則としてNGです。厚生労働省の解説では、「○○を防ぐ」という効能効果で承認を受けた製品について、単に「○○に」と表現することは認められないとされています。

ただし、承認された効能効果が明瞭に別記されている場合は、この限りではありません。

健康食品の病名訴求が薬機法上NGになる理由

健康食品で病名を使った広告が認められない理由は、疾病の治療・予防を目的とする医薬品的な効能効果を標ぼうしたと判断されるためです。 

健康食品は医薬品ではありません。しかし、「糖尿病を予防する」「高血圧の人に」「がんに効く」といった表現を用いると、医薬品としての効能効果をうたっていると評価され、無承認無許可医薬品の問題となります。

厚生労働省も、「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に」「がんがよくなる」などを医薬品的な効能効果の例として示しています。これは文章だけでなく、画像、医師コメント、研究紹介、体験談などによって暗示する場合も同様です。

さらに、広告では薬機法だけでなく、健康増進法や景品表示法にも注意が必要です。健康増進法は健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示や、著しく誤認させる表示を規制しています。

また、景品表示法では、表示した効果に合理的な根拠があるか、実際より著しく優良に見せていないかが問題となります。

ただし、論文や研究結果が存在していても、それだけで一般的な健康食品に疾病予防や治療効果を表示できるわけではありません。薬機法で認められる表現の範囲と、景品表示法で求められる合理的根拠は、それぞれ別の基準として判断されます。

事例1:サプリメントLPの「糖尿病対策」は使えない

健康食品による糖尿病対策をうたった広告表現のNG事例。大きく「糖尿病対策に。食後血糖値を下げて発症を防ぐ」と表示し、血糖値の変化を示すグラフや膵臓の図を使って、「食後の血糖値上昇をゆるやかにする」「膵臓の働きを助け、インスリンの分泌をサポート」などと訴求している。利用者の声として「食後の数値が気にならなくなりました」と掲載し、右側に植物由来成分を配合した架空のサプリメント「グルコノアサポート」のパッケージを配置。健康食品で疾病の予防や身体機能への作用を直接示している不適切な広告例である。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、一般的なサプリメントのLPで「糖尿病対策に。食後血糖値を下げて発症を防ぐ」と表示した広告があった場合、この表現はNGとなります。商品を糖尿病の予防に用いるものとして示しているためです。

「糖尿病対策」を「生活習慣が気になる方へ」に変えるだけでは不十分です。直後に血糖値のグラフ、膵臓の図、患者を想起させる体験談を置けば、広告全体では同じ疾病予防を暗示します。

一般的な健康食品なら、原材料、含有量、味、形状、携帯性などの商品事実へ訴求を移します。機能性表示食品なら、届出表示、対象者、摂取上の注意を確認し、届出範囲内で構成し直します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
病名表現の修正で、制作側が最初に探しがちなのは「病名の言い換え」です。しかし、LP全体が疾病の不安喚起から購入へ流れる設計なら、単語を削っても解決しません。先に商品区分と機能性表示食品や特定保健用食品の場合は届出・承認内容をもとに訴求の方向性を確定し、その範囲で販売ストーリーへ戻す方が、手戻りを減らせます。

事例2:一般化粧品の「アトピー肌を改善」は使えない

化粧品によるアトピー肌の改善をうたった広告表現のNG事例。大きく「アトピー肌を根本改善。炎症を鎮める美容液」と表示し、皮膚断面図や成分イメージを使って「肌の炎症にアプローチ」「肌荒れの原因に働きかける」と訴求している。利用者の声として「長年悩んだ肌が、落ち着きました」と掲載し、右側に架空の美容液「DERMA CALM SERUM」と肌に触れる女性を配置。化粧品で疾病の改善や炎症への作用を直接示している不適切な広告例である。
※自社で作成したイメージ画像です

一般化粧品の広告で「アトピー肌を根本改善。炎症を鎮める美容液」はNGです。疾病の改善と抗炎症作用を標ぼうしており、一般化粧品の効能範囲を超えています。

修正では、「敏感な肌へ」と置き換えるだけで終わらせず、商品の事実を確認します。表現できる商品であれば、「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」「皮膚を保護する」へ整理します。無香料、テクスチャー、容器の使いやすさも訴求候補です。

ニキビ表現は、化粧品広告で「ニキビを治す」は使える?で、洗顔料に認められる表現を含めて確認できます。

事例3:薬用化粧品でも「ニキビを治す」は使ない

薬用化粧水で繰り返すニキビの治療をうたった広告表現のNG事例。「もう、同じ場所に悩まない。繰り返すニキビを治療する」と大きく表示し、「殺菌・抗炎症のWケア」「毛穴の奥まで浸透」「ニキビを繰り返さない肌へ」と訴求している。下段では、皮膚断面図や植物由来成分のイメージを使って「ニキビの原因に直接アプローチ」「有効成分が炎症を抑える」と説明し、利用者の声として「繰り返していたニキビが、気にならなくなりました」と掲載。右側に架空の薬用化粧水「CLEAR RESET LOTION」と肌に触れる女性を配置し、承認範囲を超えて治療や再発防止を保証する不適切な広告例を示している。
※自社で作成したイメージ画像です

「ニキビを防ぐ」の承認を受けた薬用化粧水で、「繰り返すニキビを治療する」と広告する表現はNGです。承認された予防表現を、治療表現へ拡大しているためです。

修正する場合は、「ニキビを防ぐ」のように、対象商品の承認された効能効果の範囲内で表現します。

ただし、「ニキビを防ぐ」という表現が使えるかどうかは、ブランド単位ではなく商品ごとに確認する必要があります。同じブランドの別商品で「ニキビを防ぐ」という効能効果が認められていても、その承認内容を他の商品にそのまま流用することはできません。

そのため、広告表現を決める際は、対象商品の承認書、販売名、有効成分、効能効果を確認し、その商品に認められた範囲内で表現します。

ニキビに関する表現の判断軸は、医薬部外品の効能効果と広告表現医薬部外品で「ニキビを治す」は使える?でも解説しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「薬用だから強く言える」は危険な進め方です。医薬部外品で言える範囲は、対象品目の有効成分と承認内容で決まります。企画書の段階で承認書を受け取り、メインコピー、図解、口コミの方向を合わせてください。完成後の薬事チェックで主訴求が崩れる事態を避けられます。

実務では病名の使用目的と広告全体を確認する

病名が出てきたら、まず商品の区分を確認します。いわゆる健康食品ならNG、特定保健用食品・機能性表示食品であれば許可・届出表示、化粧品なら56項目の効能効果、医薬部外品なら承認された有効成分・効能効果、医療機器なら承認・認証された効能効果や使用目的を確認し、その範囲内で表現できるかを判断します。

次に、その病名が商品の効能効果として使われているのか、それとも一般的な啓発情報や使用上の注意として記載されているのかを区別します。

また、広告は文章だけで判断されるわけではありません。商品名、購入ボタン、症例写真、患部のイラスト、医師コメント、論文、口コミなどが近接して配置されていると、本文に「治る」と書かれていなくても、効能効果を暗示する広告と判断されることがあります。

広告全体の見方については、薬機法違反になる広告表現とは?で詳しく解説しています。

なお、薬機法上問題のない表現であっても、媒体独自の広告審査によって掲載できない場合があります。そのため、法令への適合とは別に、出稿先の広告審査基準も確認することが重要です。

まとめ

病名は、一律に禁止される言葉ではありません。健康食品では、疾病の治療・予防と商品を結び付ける表現は認められません。一般化粧品は56項目の範囲内でのみ表現でき、たとえば洗顔料では「(洗浄により)ニキビを防ぐ」のような限定的な表現が認められています。

医薬部外品は、対象品目ごとに承認された効能効果の範囲内でのみ表示できます。

広告を確認するときは、病名だけを見て判断するのではなく、商品の区分や承認・届出の内容に加え、コピー、画像、体験談、CTAまで含めて広告全体を確認することが重要です。

また、修正する際は、NG表現を曖昧な言葉へ置き換えるだけでは十分ではありません。商品の区分ごとに認められた表現の範囲を確認し、その商品の事実や利用価値を伝える内容へ訴求軸を移すことが、適切な広告表現につながります。

薬機法の判断については「薬機法違反になる広告表現とは?健康食品・化粧品・医薬部外品で注意すべき判断基準 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」

広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。

【無料】薬機法・広告規制の実務をメールマガジンで学ぶ

薬機法・景品表示法の実際の相談事例や、広告チェックで迷いやすいポイントを、実務の視点から解説しています。広告制作や表現確認に関わる方が、日々の案件で使える判断軸をメールでお届けします。

形態 必須
業種 必須

登録後、配信されるメールからいつでも解除できます。

薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につける

クリエイティブの幅が広がる。 ギリギリを攻めても、手戻りしない。 300件以上の事例で判断力を鍛え、 もう実務で迷わない薬機法・景品表示法講座のイメージ画像

「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

病名表現の可否を商品区分ごとに判断する流れを示した図解。一般的な健康食品は疾病の治療・予防と結び付けず、届出・許可表示を超えないこと、一般化粧品は56項目の効能範囲や剤型・使用方法による限定表現を確認すること、医薬部外品は承認された効能を確認し、「防ぐ」と「治す」を区別することを説明している。下段では「商品区分を確定→承認・届出を確認→コピー・画像を確認→広告全体と媒体を審査」の4段階を示し、病名を言い換えるのではなく、表現可能な商品事実へ再設計するようまとめている。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次