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化粧品と医薬部外品の違いとは?薬用化粧品・56効能・広告表現の基礎を解説

化粧品と医薬部外品の広告表現の違いを比較した図解。一般化粧品は化粧品の56効能、医薬部外品は商品ごとの承認効能を基準に確認し、薬用化粧品は医薬部外品として扱うことを示している。

「この商品は薬用化粧品なので、一般化粧品より効果を強く書けますよね?」

広告制作の現場では、このような質問がよく出てきます。しかし、結論からいうと、薬用化粧品だからといって効果を自由に表現できるわけではありません。

化粧品と医薬部外品は、薬機法上の分類が異なり、広告で表現できる効能効果の考え方も異なります。一般化粧品では、「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」など、厚生労働省が示す化粧品の効能の範囲、いわゆる56効能を基本に広告表現を設計します。なお、事実に基づくメーキャップ効果等の物理的効果や使用感については、56効能とは別に表現できる場合があります。一方、薬用化粧品を含む医薬部外品では、その商品について承認された効能効果の確認が必要です。

また、確認する対象はキャッチコピーだけではありません。画像、比較表、体験談、成分説明、ファーストビューを含め、広告全体で何を約束しているように見えるかを確認します。

この記事では、制作会社・広告代理店・販売メーカーの担当者さま向けに、化粧品と医薬部外品の違い、薬用化粧品の位置づけ、56効能と承認効能の使い分け、LP(ランディングページ)・EC・SNS広告を制作するときの注意点を整理します。個別商品の掲載可否については、承認書、関連通知、最新のガイドライン、社内薬事・法務や専門家による確認を前提としてください。

この記事の要点(まとめ)
  • 分類と広告表現の基準が異なる:一般化粧品と医薬部外品は薬機法上の別分類です。一般化粧品は化粧品の効能の範囲、医薬部外品は商品ごとの承認効能効果を起点に広告表現を考えます。
  • 「薬用」だけで判断しない:薬用化粧品は、化粧品に似た名称でも実務上は医薬部外品として確認します。「薬用」「有効成分配合」という表示だけを根拠に、治療・改善・効果保証へ広げると広告上のリスクが高まります。
  • 制作前の資料確認が手戻りを防ぐ:販売名、商品区分、承認効能、有効成分、パッケージ、根拠資料を構成・ワイヤーフレーム段階で確認します。文言だけでなく、画像や体験談を含む広告全体の印象も確認対象です。
目次

化粧品と医薬部外品の違いとは

化粧品と医薬部外品は、見た目や使用方法が似ていても、薬機法上は異なる分類です。広告制作では、商品名やパッケージの雰囲気ではなく、法的な商品区分と確認資料を起点に考える必要があります。

薬機法上、化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、皮膚や毛髪を健やかに保つことなどを目的とし、人体に対する作用が緩和なものと定義されています。

一方、医薬部外品は、吐き気その他の不快感、口臭・体臭の防止、あせも・ただれ等の防止、脱毛の防止・育毛・除毛など、薬機法で定められた目的に使用されるもので、人体に対する作用が緩和なものなどをいいます。薬用化粧品などの医薬部外品では、品目ごとに効能効果や成分等の承認内容を確認する必要があります。化粧品と医薬部外品は「人体への作用が緩和」という点では共通する部分がありますが、薬機法上の定義や承認・届出の仕組みが異なります。

医薬部外品そのものの定義や、薬用歯みがき・育毛剤・制汗剤などの具体例から確認したい方は、「医薬部外品とは?」もご覧ください。 

薬機法上、化粧品と医薬部外品は別の分類

広告実務でまず押さえたいのは、「化粧品の中に医薬部外品が含まれる」と考えないことです。

一般化粧品は化粧品として製造販売の届出が行われます。医薬部外品は、原則として品目ごとに承認を受け、その承認内容に基づいて製造販売されます。

そのため、制作前に「スキンケア商品だから化粧品だろう」「薬用と書いてあるから効果を強く言えるだろう」と推測してはいけません。依頼主から商品区分が確認できる資料を受け取り、一般化粧品なのか、医薬部外品なのかを確定させます。

広告で表現できる効能効果の考え方が違う

一般化粧品では、厚生労働省が示す化粧品の効能の範囲を起点に広告表現を考えます。現在実務上「56効能」と呼ばれている範囲には、「肌を整える」「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」「毛髪にはり、こしを与える」などが含まれます。

医薬部外品では、商品ごとに承認された効能効果が出発点です。同じ有効成分を配合した別商品に特定の効能が承認されていても、自社商品に同じ効能が承認されているとは限りません。

つまり、一般化粧品は、まず当該商品の訴求が化粧品の56効能のうち該当する範囲に収まっているかを確認し、物理的効果や使用感を訴求する場合は、その内容が事実に基づき、化粧品の範囲を逸脱しないかを確認します。医薬部外品は、まず「この商品に何が承認されているか」を確認することが基本です。

項目一般化粧品医薬部外品
薬機法上の分類化粧品医薬部外品
主な目的清潔、美化、魅力増進、皮膚・毛髪を健やかに保つなど防止、衛生、育毛など、法令上定められた目的
効能効果の起点化粧品の効能の範囲、いわゆる56効能商品ごとに承認された効能効果
主な例化粧水、乳液、クリーム、シャンプーなど薬用化粧品、薬用歯みがき、育毛剤、制汗剤など
制作上の注意医薬品的な治療・改善表現に広げない承認範囲を超える効果や保証表現に広げない

一般化粧品で認められる効能の範囲は、「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?」で詳しくまとめています。 

薬機法・景品表示法・医療広告に精通した江良公宏の見解

薬機法の相談では、「この単語は使えますか」と聞かれることが多いのですが、実務では単語だけを見ても結論が出ないことがあります。大事なのは、広告全体で何を約束しているように見えるかです。「肌を整える」という言葉自体は化粧品の範囲でも、画像や体験談でシワが消える印象を与えていれば、広告全体の判断は変わります。まず商品区分と効能の範囲を確認し、そのうえでファーストビューからCTA(行動の指示)まで一つの広告として見る必要があります。

化粧品は医薬部外品に含まれるのか

一般化粧品は、医薬部外品には含まれません。「薬用化粧品」は名称に化粧品と入っているため、混同されやすい商品です。

薬用化粧品は、化粧品と同様の使用目的を持つ医薬部外品です。そのため、制作現場では「化粧品という名前が付いた医薬部外品」と理解すると整理しやすくなります。

ただし、名称だけで判断するのではなく、パッケージの「医薬部外品」表示、販売名、承認内容が分かる資料を確認してください。

薬用化粧品とは?化粧品ではなく医薬部外品として確認する

薬用化粧品は医薬部外品として、商品ごとの承認効能を起点に広告設計する考え方を示した図解。商品区分、販売名、効能効果、有効成分、容器・外箱表示、用法・注意事項、根拠資料、媒体審査基準の8項目を確認し、承認目的と広告内容の整合性を重視することを説明している。

薬用化粧品は、一般的な化粧品と名称や使用感が似ていますが、薬機法上は医薬部外品として扱われる商品です。広告では、化粧品の56効能だけを見るのではなく、その商品に承認された効能効果を確認する必要があります。

日本化粧品工業会のガイドラインでも、薬用化粧品を「化粧品の使用目的を有する医薬部外品」と整理し、品目ごとに承認された効能効果の範囲内で広告することを原則としています。

薬用化粧品は医薬部外品に該当する

薬用化粧水、薬用乳液、薬用クリームなどは、一般化粧品と同じように日常的なスキンケアに使用されます。そのため、制作担当者が一般化粧品と同じ感覚で原稿を作ってしまうケースがあります。

しかし、薬用化粧品では、承認された効能効果、有効成分、販売名、用法・用量などの確認が必要です。

たとえば、パッケージに「薬用」と書かれていても、広告で「美白」「肌荒れ防止」「ニキビ予防」「シワ改善」のすべてを使えるとは限りません。どの効能が承認されているかは商品ごとに異なります。

「薬用」と書けることと、効果を自由に言えることは別

「薬用」という文字は、効果を自由に強調できるマークではありません。

たとえば、承認効能が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」であれば、その予防的な範囲を起点に広告を設計します。「できてしまったシミを消す」「濃いシミが薄くなる」と広げれば、承認効能とのずれが生じます。

また、「ニキビを防ぐ」と承認された医薬部外品であっても、その承認だけを根拠に「ニキビが治る」「炎症を鎮める」「ニキビ跡を消す」など、治療・消炎・痕跡の除去まで訴求することはできません。実際に使用できる表現を判断するには、商品ごとの承認効能・効果を確認する必要があります。

ここで大事なのは、表現の強さではなく、承認された目的と広告が約束する内容が一致しているかどうかです。

なお、化粧品広告で「シミ」「シワ」「ニキビ」などをどこまで表現できるかは、「化粧品広告の薬機法チェック入門」で具体例をまとめています。 

広告制作では承認効能を確認する

薬用化粧品の制作前には、最低限、次の項目を確認します。

  • 商品区分が医薬部外品であること
  • 承認を受けた販売名
  • 承認された効能効果
  • 有効成分
  • パッケージや外箱の表示
  • 用法・用量や使用上の注意
  • 成分や作用機序を説明するための根拠資料
  • 掲載予定媒体の審査基準

承認番号だけを受け取っても、制作に必要な情報が分からないことがあります。依頼主には、承認書そのもの、または承認効能・販売名・有効成分等が確認できる社内資料を共有してもらいましょう。

なお薬用化粧品だけでなく、薬用歯みがき・育毛剤など医薬部外品全体を商品カテゴリ別に確認したい場合は、「医薬部外品広告はカテゴリ別にどう違う?」もご覧ください。 

化粧品の56効能とは

化粧品の56効能とは、一般化粧品が効能効果として広告などで標ぼうする際の基本的な範囲です。ただし、一般化粧品の広告表現が56効能だけに限られるという意味ではなく、事実に基づくメーキャップ効果等の物理的効果や使用感を表現できる場合もあります。また、56個の文言であればそのまま自由に使えるという意味でもありません。当該商品の種類、使用目的、使用方法、根拠等と整合しているか、広告全体で医薬品的な効能効果を印象づけていないかを確認する必要があります。

厚生労働省の通知では、毛髪・頭皮、皮膚、爪、口唇、歯みがき類などに関する効能が示されています。2011年の改正により「乾燥による小ジワを目立たなくする」が加わり、現在の56項目となっています。

56効能は一般化粧品広告の土台

56効能には、次のような表現が含まれます。

カテゴリ主な効能の例
毛髪・頭皮頭皮、毛髪を清浄にする/毛髪にはり、こしを与える/フケ、カユミを抑える
皮膚・肌肌を整える/肌荒れを防ぐ/皮膚にうるおいを与える/皮膚の乾燥を防ぐ
爪を保護する/爪をすこやかに保つ/爪にうるおいを与える
口唇口唇の荒れを防ぐ/口唇にうるおいを与える/口唇を保護する
歯みがき類ムシ歯を防ぐ/歯を白くする/歯垢を除去する
小ジワ乾燥による小ジワを目立たなくする

ただし、効能によっては使用形態の限定があるので注意が必要です。

「洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ」は洗顔料に限られます。「歯を白くする」などの歯みがき類の効能は、使用時にブラッシングを行うことが前提です。通知の括弧内は効能そのものではありませんが、使用形態を限定する条件です。

一般化粧品でも「肌荒れを防ぐ」は検討できる

「肌荒れを防ぐ」は薬用化粧品だけの表現だと思われがちですが、化粧品の56効能にも含まれています。

そのため、一般化粧品であっても、商品特性や使用目的と整合していれば、「肌荒れを防ぐ」という方向で表現を検討できます。

ただし、「肌荒れを防ぐ」と「炎症を治す」「荒れた肌を改善する」は同じではありません。後者は、疾病の治療や身体への薬理的作用を思わせる可能性があります。

訴求したい内容一般化粧品で検討しやすい方向注意が必要な方向
乾燥皮膚にうるおいを与える乾燥肌を治す
肌荒れ肌荒れを防ぐ炎症を改善する
ハリ肌にはりを与えるたるみを治す
毛髪毛髪にはり、こしを与える発毛する
シワ乾燥による小ジワを目立たなくするシワを消す
歯を白くする、ブラッシングによる歯の変色を根本改善する

「乾燥による小ジワを目立たなくする」には条件がある

一般化粧品では「シワ改善」と同じ意味で自由に表現できるわけではありません。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、乾燥を原因とする小ジワについての表現です。日本化粧品工業会のガイドラインでは、所定の効能評価試験により効果が確認された製品であることや、「乾燥による」という条件を外さないことなどが示されています。

たとえば、次のように意味が変わります。

  • 「乾燥による小ジワを目立たなくする」:所定の条件を満たす場合に検討
  • 「小ジワを予防する」:乾燥による小ジワの効能から外れる可能性
  • 「シワを改善する」:一般化粧品の範囲としては扱わない
  • 「シワが消える」:効果保証や治療的な印象を与える

詳しくは「化粧品広告で『シワ改善』は使える?」「薬用化粧品で「シワ改善」は使える?」でまとめています。 

56効能内の言葉でも広告全体で判断する

56効能の文言を使っているからといって、広告全体が問題ないとは限りません。

日本化粧品工業会のガイドラインは、表現の適否について、個々の字句だけではなく、広告全体のニュアンス、説明文、画像、音声、文字の大きさなどを総合的に見る考え方を示しています。

たとえば、本文に「肌を整える」と書いていても、ファーストビューで深いシワが消えるようなビフォーアフター画像を見せていれば、広告全体では化粧品の効能効果を超えるリスクがあります。

56効能は、コピーの答えではなく、表現設計の出発点として使うことが大切です。

医薬部外品の化粧品効能効果とは

医薬部外品の効能効果は、一般化粧品の56効能とは異なり、商品ごとの承認内容を確認します。薬用化粧品では、美白、肌荒れ防止、ニキビ予防などを表現できる場合がありますが、どの商品でも同じ効能を表現できるわけではありません。

医薬部外品はまず承認効能を確認する

医薬部外品の広告で最初に確認するのは、配合成分の一般的な研究結果ではなく、その商品について承認された効能効果です。

日本化粧品工業会のガイドラインでも、薬用化粧品の効能効果は品目ごとに成分・分量を審査したうえで承認されたものであり、承認範囲内で広告することを原則としています。

同じ有効成分が配合されていても、製品の処方、成分量、剤形、承認内容が異なれば、広告に使える効能も同じとは限りません。

薬用化粧品でよく確認される効能効果

薬用化粧品では、承認内容に応じて、次のような効能を扱うことがあります。

  • あれ性
  • ニキビを防ぐ
  • 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ
  • メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ
  • 皮膚を清浄にする
  • 肌を殺菌する
  • シワを改善する

たとえば「肌を殺菌する」は、殺菌剤を主材とした薬用石鹸に認められる効能です。広告原稿へ使う際には、対象商品の承認効能を原文で確認します。

「美白」は承認内容に対応させる

医薬部外品で「美白」「ホワイトニング」と表現する場合は、承認を受けた効能効果に対応させる必要があります。

一般に、承認効能が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」である場合、その説明を明示したうえで美白表現を検討できます。しかし、肌そのものの色を白く変える、できてしまったシミを消すなど、承認範囲を超える表現にならないように注意が必要です。

一般化粧品で「美白」という言葉を使う場合は、メーキャップ効果により白く見せるなど、物理的な仕上がりであることを表現します。

一般化粧品のメーキャップ効果、日やけによるシミ予防、薬用化粧品の美白効能の違いは、「化粧品広告で『シミが消える』は使える?」で詳しく解説しています。 

承認効能を超える表現に注意

医薬部外品であっても、次のような表現は承認効能とのずれや効果保証につながるリスクがあります。

  • シミが消える
  • ニキビが治る
  • 炎症を鎮める
  • 肌を再生する
  • 使えば必ず改善する
  • 根本から治す
  • 即効で効果を実感する

「防ぐ」という承認を「改善する」「治す」に変更すれば、消費者が治療や薬理的な印象を受ける可能性があります。語尾を少し調整するだけで対応できると考えるのは危険です。

成分訴求と商品効能を区別する

有効成分の研究結果を、そのまま商品の効果として書くことも注意が必要です。

日本化粧品工業会のガイドラインでは、個々の有効成分の効能効果や作用機序を説明する場合、医学・薬学上認められ、その医薬部外品の承認効能効果の範囲を超えないことが示されています。

たとえば、成分単体の論文に特定の作用が示されていても、広告対象となる完成品で同じ作用を約束できるとは限りません。

確認すべき順番は、次のとおりです。

  1. 商品として承認されている効能効果
  2. 承認内容と成分説明の整合性
  3. 作用機序を説明できる根拠資料
  4. 完成品として表示内容を裏付ける合理的な根拠
  5. 広告全体で承認から逸脱した効果保証になっていないか
江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医薬部外品で制作会社さまが迷いやすいのは、有効成分の研究結果をどこまで商品訴求に使えるかという点です。ここで確認したいのは、「その成分にどのような研究があるか」より先に、「その商品として何が承認されているか」です。
成分単体の研究が強くても、完成品の承認効能を超えて商品効果を説明することはできません。承認効能、作用機序、根拠資料の三つをつなげて説明できる状態にしてから原稿へ落とし込みます。

化粧品と医薬部外品を同じ広告で比較するときの注意点

化粧品と医薬部外品を同じ広告で扱う際の確認ポイントを示した図解。一般化粧品と医薬部外品を同一ページで比較する場合に、比較項目、評価軸、口コミ、ランキング、シリーズ訴求の5項目を確認し、薬用効能の対象を文字・画像・配置・背景を含む広告全体の印象で明確にする重要性を説明している。

化粧品と医薬部外品を同じLPやECページで紹介する場合、それぞれの分類と効能効果を明確に区分し、一般化粧品に医薬部外品の効能があるかのように見せない設計が必要です。

日本化粧品工業会のガイドラインでも、同一の紙面・画面で広告する場合は、共通する効能効果を使うか、それぞれの個別効能を明確に区分して誤認を防ぐこと、相乗効果が得られるような誤解を招かないこと、医薬部外品であることを明記することなどが示されています。

同じページで扱う場合は効能効果を区分する

たとえば、一般化粧品の化粧水と薬用美容液を同じページで紹介する場合、薬用美容液の「美白」効能が化粧水にも及んで見えないようにします。

次のような表示は、区分が曖昧になりやすい例です。

シリーズ共通の美白ケアで、クリアな肌へ

シリーズの一部だけが美白効能を承認された医薬部外品である場合、一般化粧品まで美白効能を持つように見える可能性があります。

商品ごとに次の情報を分けて表示します。

  • 一般化粧品か医薬部外品か
  • 商品ごとの効能効果
  • 薬用効能の対象商品
  • 必要な注釈
  • 一般化粧品に使用する説明

シリーズ全体に薬用効能があるように見せない

制作現場で見落としやすいのが、シリーズ全体の訴求です。

各商品説明では区分できていても、ファーストビューやセクション見出しで「薬用美白シリーズ」とまとめることにより、一般化粧品を含む全商品が医薬部外品であるように見える可能性があります。

「薬用」「美白」「シワ改善」などの訴求は、対象商品との距離、文字の大きさ、背景色、商品画像の配置も含めて確認します。

強いメイン表示による印象は、小さな注釈ですべて解消されるわけではありません。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
個別の商品説明では区分できていても、ファーストビューでシリーズ全体を「薬用美白」と見せてしまうケースがあります。制作側は商品ごとの文章を確認して安心しがちですが、消費者はページをそのように分解して見ません。見出し、背景、商品配置、共通コピーをまとめて受け取ります。
一般化粧品と医薬部外品が混在するページでは、薬用効能がどの商品にかかっているのかを、数秒で判断できる設計にすることが実務上のポイントです。

比較表・ランキング・口コミの注意点

比較表では、評価項目そのものが効能効果を示すことがあります。

たとえば、一般化粧品と医薬部外品を並べた表に「シミ改善力」「ニキビ治療力」「シワ解消度」という項目を設ければ、商品説明に直接書いていなくても、各商品がその効果を持つように見えます。

口コミも同様です。

一般消費者が外部の口コミサイトに自発的に投稿した内容と、口コミを広告主が選定してLPへ掲載することは、広告上の扱いが異なります。LPに取り込んだ口コミはページを構成する広告表現として確認し、効能効果を保証する内容になっていないかを見ます。

制作時には、次の点を確認しましょう。

  • 比較項目が承認された効能効果の範囲を超えていないか
  • 一般化粧品と医薬部外品を同じ効能軸で評価していないか
  • 口コミが「治った」「消えた」などの効果保証になっていないか
  • ランキングの調査対象、方法、期間、実施主体が説明できるか
  • 医薬部外品の効能をシリーズ全体に拡張していないか

比較表、No.1、満足度、ランキングは、薬機法とは別に景品表示法上の根拠確認が必要です。「化粧品広告の薬機法と景品表示法の違い」もあわせてご確認ください。 

画像やファーストビューで暗示しない

広告表現はテキストだけではありません。

シミが消えたようなビフォーアフター、皮膚内部を修復するようなCG、深いシワが平らになるアニメーションなどは、文章より強く効果を印象づけることがあります。

日本化粧品工業会のガイドラインでも、広告の適否は字句だけで一律に判断せず、説明文、画像、音声、文字の大きさなどを含む広告全体から判断する考え方が示されています。

広告チェックでは、「NGワードが入っているか」だけではなく、「この画面を見た消費者は、商品が何をしてくれると思うか」を確認することが重要です。

詳しくは「医薬品LPの薬機法チェック|ファーストビュー・CTA・口コミ・効能効果の注意点」でまとめています。

制作会社が化粧品・医薬部外品広告を作る前に確認すべき資料

広告制作では、原稿完成後に商品区分を確認するのではなく、企画・構成段階で資料を集めることが重要です。効能効果の起点がずれていると、キャッチコピーだけでなくLP全体のストーリーを作り直すことになります。

厚生労働省は、化粧品の効能の範囲、化粧品基準、医薬部外品の承認申請に関する通知などをまとめて公表しています。制作チームは、依頼主から得た資料に加え、対象商品に関係する最新通知も確認する必要があります。

制作前に依頼したい資料

資料確認する内容
商品区分が分かる資料一般化粧品か医薬部外品か
承認書または承認内容が分かる資料販売名、承認効能効果、用法・用量
製造販売届出内容が分かる資料一般化粧品の届出上の販売名
パッケージ・外箱医薬部外品表示、効能、注意事項、成分表示
有効成分・その他成分資料有効成分と添加物の区別、成分訴求の目的
作用機序・試験資料表現の根拠、完成品との関連性
既存LP・広告原稿過去表現の流用リスク、表現の不一致
ブランドガイドライン表現トーン、注釈、名称の統一
媒体審査基準広告媒体やECモール独自の制約

依頼主への確認文例

本商品の広告制作にあたり、商品区分、販売名、承認または届出内容を確認したく存じます。
医薬部外品の場合は、承認効能効果、有効成分、用法・用量が確認できる資料をご共有ください。
「薬用」「美白」「肌荒れを防ぐ」「シワ改善」等の表現は、承認内容との整合性を確認したうえで原稿へ反映します。

一般化粧品の場合は、次のように確認します。

本商品が一般化粧品として製造販売届出されていることと、届出上の販売名をご共有ください。
あわせて、訴求予定の効能、効能評価試験の有無、成分説明に使用できる根拠資料をご共有ください。

ワイヤーフレーム段階で薬事確認を入れる

薬事確認を初稿完成後に入れると、ファーストビュー、問題提起、商品ロジック、体験談、CTAなど、すべての修正につながる可能性があります。

たとえば、一般化粧品のLPを「シワ改善」を中心に設計した後で商品区分が判明しても、単に「シワ改善」を「ハリを与える」に置き換えるだけでは、ページ全体のストーリーが成立しない可能性があるからです。

制作フローは、次の順番が効率的です。

  1. 商品区分と資料を確認する
  2. 表現できる効能効果を整理する
  3. 主要訴求と避ける訴求を決める
  4. 構成案・ワイヤーフレームを作る
  5. 薬事・法務・広告審査担当者が確認する
  6. 原稿・デザインを制作する
  7. 画像、口コミ、注釈、CTAを含めて最終確認する

なお、広告表現の再設計の考え方は「薬機法ライティング®とは?」で詳しくまとめています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
40,000件以上の広告表現支援の現場で感じるのは、薬機法上の問題は、原稿の最後に発見されるほど修正コストが大きくなるということです。ファーストビューの訴求軸が商品区分や承認効能とずれていれば、単語の置き換えでは済みません。構成、ビジュアル、体験談、CTAまで組み直すことになります。初回ヒアリングで資料を集め、ワイヤーフレーム段階で確認することは、守りの作業ではなく、制作の手戻りを減らすためのプロジェクトマネジメントです。

化粧品と医薬部外品の違いを広告制作でどう使うか

化粧品と医薬部外品の違いは、用語を説明するためだけの知識ではありません。広告企画の最初に、何を訴求の中心にできるかを決めるための基礎情報です。

一般化粧品であれば、56効能、使用感、使用シーン、香り、テクスチャー、メーキャップ効果などから、消費者に伝える価値を組み立てます。

医薬部外品であれば、承認効能を中心にしつつ、使用感や化粧品的な効能(薬用化粧品の場合)、配合目的、生活場面などを組み合わせます。ただし、承認効能を強調するほど、効果保証や未承認の効能へ表現が広がっていないか確認することが大切です。

広告制作前の判断フロー

確認事項一般化粧品医薬部外品
最初に確認する資料製造販売届出上の販売名、商品資料承認効能、販売名、有効成分
効能の起点化粧品の56効能商品ごとの承認効能(薬用化粧品の場合は化粧品の56効能)
主なリスク医薬品的な治療・改善表現承認範囲の拡張、効果保証
成分訴求配合目的を明確にする有効成分・その他成分を区別する
ページ全体の確認56効能を超える印象がないか承認効能を超える印象がないか

最後に残る判断軸は、「使用した単語がNGワードリストにあるか」ではありません。

  • その商品は何として届け出、または承認されているのか
  • 広告は消費者に何を約束しているように見えるのか
  • その約束を裏付ける資料があるのか

この3点を、制作の各工程で確認することが重要です。

よくあるご相談(FAQ)

化粧品と医薬部外品の違いは何ですか?

化粧品と医薬部外品は、薬機法上の分類と効能効果の確認方法が異なります。一般化粧品は、清潔、美化、皮膚や毛髪を健やかに保つことなどを目的とし、広告では化粧品の効能の範囲を起点にします。医薬部外品は、法令上定められた特定の目的に使用されるものなどで、商品ごとの承認効能効果を確認してから広告を設計することが大切です。

薬用化粧品は化粧品ですか、医薬部外品ですか?

薬用化粧品は、一般化粧品と名称が似ていますが、薬機法上は医薬部外品として扱われる商品です。広告制作では、化粧品の56効能だけではなく、その商品について承認された効能効果、販売名、有効成分等を確認します。「薬用」と書かれていることだけを根拠に、効果を強くしたり、治療・改善表現へ広げたりすることはできません。

化粧品の56効能とは何ですか?

化粧品の56効能とは、一般化粧品が広告等で標ぼうできる効能効果の基本的な範囲です。たとえば「肌を整える」「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」「毛髪にはり、こしを与える」などです。ただし、使用形態が限定される効能や、試験による確認が必要な効能もあります。56効能内の言葉でも、広告全体で治療や効果保証を印象づけるケースがあるため慎重に確認します。

一般化粧品で「肌荒れを防ぐ」は使えますか?

「肌荒れを防ぐ」は化粧品の56効能に含まれており、一般化粧品でも、商品特性や使用目的と整合する場合は検討できます。ただし、「炎症を改善する」「荒れた肌を治す」「皮膚炎に効く」などへ意味を広げると広告上のリスクが高まります。画像、体験談、前後の文章を含め、予防を超える薬理的な印象になっていないか確認しましょう。

一般化粧品で「美白」や「シワ改善」は表現できますか?

一般化粧品では、医薬部外品の承認効能としての「美白」や「シワ改善」を、そのまま商品効果として表現することは基本的に避けます。「美白」については、メーキャップ効果で肌を白く見せることを明確にする表現などが考えられます。シワについては、所定の効能評価試験を済ませた場合に「乾燥による小ジワを目立たなくする」と表現できますが、「シワ改善」と同じ意味ではありません。

医薬部外品なら、化粧品より強い効果を自由に表現できますか?

医薬部外品は、一般化粧品より特定の効能効果を表現できる場合がありますが、その範囲は商品ごとの承認内容に限られます。「防ぐ」という承認を「治す」「消す」「改善する」と言い換えれば、薬理的な印象を与える可能性があります。有効成分の研究結果を商品の効果として使う場合も、承認効能や根拠資料との整合性が重要です。

化粧品と医薬部外品を同じLPで紹介してもよいですか?

同じLPやECページで紹介すること自体は可能です。しかし、どの商品に「どんな効能があるか」が明確になっていることがポイントです。一般化粧品に医薬部外品の承認効能があるように見せたり、シリーズ全体に薬用効果があるように見せたりしないようにします。商品区分、効能、注釈、画像、比較表、共通見出しなどを含めた広告全体の印象を確認してください。

制作会社が最初に依頼主に確認すべき資料は何ですか?

一般化粧品か医薬部外品かの商品区分が分かる資料、販売名、承認または届出内容、パッケージ、成分資料、根拠資料を依頼します。医薬部外品の場合は、承認効能効果、有効成分、用法・用量が確認できる資料が必要です。初稿完成後ではなく、企画・構成・ワイヤーフレームの段階で確認すると、訴求軸のずれによる大幅な手戻りを減らせます。

まとめ

化粧品と医薬部外品は、見た目や使用方法が似ていても、薬機法上は別の分類です。

一般化粧品では、化粧品の56効能を起点に表現を設計します。医薬部外品では、商品ごとの承認効能効果、販売名、有効成分等を確認します。薬用化粧品は名称に化粧品と入っていますが、広告実務では医薬部外品として扱わなければなりません。

制作時に確認したいのは、言葉だけではありません。

  • 商品区分と販売名が確認できているか
  • 56効能または承認効能との整合性があるか
  • 成分説明を治療・薬理効果へ広げていないか
  • 1つの広告で一般化粧品と医薬部外品の効能が混在していないか
  • 画像、体験談、比較表を含めて効果保証になっていないか
  • 広告全体で治療・改善・再生を約束して見えないか

個別商品の表現可否は、商材、承認・届出内容、根拠資料、媒体、広告全体の構成によって変わります。公開前には、公的資料、最新の業界ガイドライン、社内薬事・法務、必要に応じて専門家へ確認してください。

なお、医薬部外品について体系的に知りたい場合は「医薬部外品広告の薬機法ガイド」をご覧ください。

薬事チェックで訴求軸が崩れることを避けたい場合は、原稿完成後ではなく、企画・構成・ワイヤーフレーム段階からB&H Promoter’sにご相談ください。商品区分と効能効果を起点に、法令対応と適正な情報伝達を両立できる構成を検討します。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

化粧品と医薬部外品の広告表現の違いを比較した図解。一般化粧品は化粧品の56効能、医薬部外品は商品ごとの承認効能を基準に確認し、薬用化粧品は医薬部外品として扱うことを示している。

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