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「期間限定」「本日限り」は景品表示法上使える?販売実態・セール延長・おとり広告の注意点

景品表示法に基づき「期間限定」と表示する際のチェックポイントを示すフローチャート。開始から終了後までの期間において、価格・特典、終了後の条件、在庫・数量を正確に把握する必要性を図解している。「有利誤認」や「おとり広告」のリスクを回避するため、「限定と書けるか」ではなく「終了後に何が変わるか」を確認することが重要であるというメッセージが記載されている。

「本日限り50%OFF」「期間限定キャンペーン」「今週末まで」など、こうした限定表現は、実際にその期間だけ有利な条件で販売するのであれば使えます。

一方、「本日限り」と表示しながら翌日も同じ条件で販売する、終了日を迎えるたびに同じセールを繰り返すなど、期限後には購入条件が変わると消費者に思わせながら実態が違う表示はNGです。

価格やポイント還元などの取引条件を、実際より著しく有利だと誤認させれば、景品表示法上の有利誤認に当たります。消費者庁も2025年3月には、期限後も同額以上の還元を受けられたにもかかわらず「期間限定」と表示していた事業者へ措置命令を行っています。

また、限定商品を広告しているのに実際には供給できない、数量や供給期間の限定条件が明瞭でない場合には、「おとり広告」の問題も別途生じるため注意が必要です。

この記事では、景品表示法上の販売実態・セール延長・おとり広告の注意点についてまとめていきます。

目次

「期間限定」「本日限り」は販売実態と一致していれば使える

期間限定や本日限りの表記は、販売実態と一致していれば使えます。たとえば、8月14日だけの特別価格なら「本日限り」と表示でき、8月31日までのキャンペーンなら「期間限定 8月31日まで」と表示できます。

景品表示法は「期間限定」という単語そのものを禁止しているわけではありません。

問題は、その表示を見た消費者が、

「今買わなければ、この価格・特典では買えなくなる」

と認識するのに、実際には期限後も同じ条件が続く場合です。

景品表示法第5条第2号では、価格その他の取引条件について、実際より著しく有利であると一般消費者に誤認させ、不当に顧客を誘引する表示を禁止しています。故意にだますつもりがなかった場合でも、表示が有利誤認に該当すれば規制対象になります。

限定表示を含む広告表現全体の基本は「景品表示法の広告表現ガイド|無料プレゼント・限定表現・No.1表示を実務向けに解説」をご覧ください。

事例1:「本日限り50%OFF」を毎日表示し直すのはNG

NG事例:『本日限り50%OFF』の表示を毎日繰り返す例。ECサイトの広告において、5月15日と5月16日の表示内容が同一であり、『本日23:59まで』という期限が販売実態を伴わずに毎日更新されている様子を図示している。実際には毎日同じ価格で購入できるにもかかわらず『今だけ』という印象を与える表示は、消費者の有利誤認を招くため景品表示法上の問題となることを説明する図。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえばECサイトで、

「本日23:59まで!50%OFF」

と表示していたとします。ところが日付が変わると、

「明日ではなく今日だけ」

という印象を維持したまま、再び当日の23:59を期限として表示します。実際には毎日同じ価格で購入できます。

この「本日限り」はNGです。

消費者は、期限を過ぎれば50%OFFでは買えなくなると受け取ります。しかし実際には翌日も同じ条件です。

問題の中心は「本日限り」という単語ではありません。「今購入しなければ不利になる」という取引条件を示して購買を急がせながら、その前提となる販売実態が存在しないことです。

有利誤認の判断では、価格その他の取引条件を実際より著しく有利に見せていないかを確認します。

修正するなら「本日限り」を「好評販売中」に弱めるだけではなく、まずキャンペーンの終了日と実際の価格変更を一致させます。

過去価格を比較対照価格にする場合の具体的な判断方法は「『通常価格9,800円のところ4,980円』は使える?二重価格表示と8週間ルールの実務ポイント」で解説しています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
限定表示のチェックでは、広告原稿だけ見ても判断できないことがあります。「8月31日まで」と書かれていること自体は問題ありません。確認したいのは、9月1日に本当に条件が変わるのかです。
制作会社側では販売システムの設定まで見えないこともあります。その場合は、広告主へ「終了後の価格・特典はどうなる予定ですか」と確認し、回答を残しておく。コピーの審査ではなく、販売運用まで確認する仕事だと考えると見落としが減ります。

事例2:「期間限定」を終了後も同条件で延長すると有利誤認になり得る

NG事例:『期間限定 6月30日まで』と表示しながら、実際には期限後も同条件で10,000円分のポイント還元を継続している例。消費者は『今買わないとポイントがもらえない』と急かされるが、実態は期限後も同じ特典が受けられるため、景品表示法上の有利誤認を招く可能性が高いことを説明する図。
※自社で作成したイメージ画像です

実際に期限を決めてキャンペーンを始めたものの、売上が好調だったため延長した場合はどうでしょうか。

セール延長が一度でもあれば直ちに違反、というルールではありません。

ただし、当初から延長する予定だった、終了する意思がないのに期限を設定した、終了と延長を繰り返して事実上いつでも同じ条件で買える状態になっている場合は、「期間限定」という表示と販売実態が一致しません。

2025年3月の措置命令では、「期間限定」「○月○日まで」と表示して、期限内に購入した場合だけ有利な還元が受けられるかのように示していました。しかし実際には、期限後も同一条件を満たせば同額またはそれ以上のポイント・商品券等が提供されていました。

消費者庁は、この表示を景品表示法第5条第2号の有利誤認に該当すると判断しています。

この事例から分かるのは、「期間限定」と書く以上、期限前と期限後で実際の取引条件がどう変わるのかを説明できなければならないということです。

価格や条件を実際より有利に見せる表示の基本的な考え方は「優良誤認・有利誤認とは?」でも整理しています。 

事例3:「期間限定商品」が実際には買えないなら、おとり広告も確認する

NG事例:『3日間限定!人気商品を特別価格で販売』と大きく広告しながら、販売初日から在庫をほとんど用意せず、実質的に購入できない状態だったケースを図解。また、『数量限定』とだけ表示し、販売可能な数が極めて少ないにもかかわらず具体的な数量を明かさないケースも、消費者におとり広告としての誤認を与えるため不適切であると説明している。対照的に、望ましい表示例として『数量限定 100個』と具体的な限定数を明記する方法を併記している
※自社で作成したイメージ画像です

「期間限定」と聞くと有利誤認だけを確認しがちですが、別の規制もあります。

たとえば広告で、

「3日間限定!人気商品を特別価格で販売」

と大きく告知したものの、販売初日から商品をほとんど用意していなかったとします。

あるいは、実際の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定内容を一般消費者が分かるように明瞭に表示していない場合です。

この場合、おとり広告の規制を確認します。

消費者庁の「おとり広告に関する表示」では、商品・サービスが実際には購入できないにもかかわらず購入できるかのような表示のほか、供給量が著しく限定されているのに限定内容を明瞭に記載していない表示、供給期間等が限定されているのにその内容を明瞭にしていない表示などが不当表示として規定されています。

つまり、

「期限後も同条件だった」
→主に有利誤認を確認

「広告した商品が実際には買えない・供給条件が明瞭でない」
→おとり広告も確認

と、規制理由を分けて考えます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
制作現場では「限定」と一括りにすると、この二つを混同しやすくなります。
セール期間が本当かを見る話と、広告した商品を実際に供給できるかを見る話は別です。
企画段階で「期間」「価格」「特典」「在庫・数量」を別項目にして確認すると整理しやすくなります。これらの法規対応をチェックリスト化しておくと、制作途中の指摘を減らすことにつながります。

二重価格と組み合わせるなら「限定期間」と「通常価格」の両方に根拠が必要

「期間限定」表示は価格表示とセットになることも多くあります。

たとえば、

「8月31日まで限定
通常価格9,800円 → 4,980円」

と表示するケースです。

この場合、「8月31日まで」という期限が事実であるだけでは足りません。

「通常価格9,800円」という比較対照価格にも根拠が必要です。

消費者庁の価格表示ガイドラインでは、期間限定セールで過去の販売価格を比較対照価格として使う場合、その価格が最近相当期間にわたって販売されていた価格といえないときは、価格の内容を正確に表示しない限り不当表示となるおそれがあるとされています。

そのため広告審査では、

「本当に8月31日に終了するか」

と、

「9,800円を通常価格として使える販売実績があるか」

を別々に確認します。

実務ではセール開始前に「終了後」を決めておく

「期間限定」の事故を防ぐには、広告掲載時だけではなく終了時の運用まで決めておきます。

確認するのは、キャンペーン開始日と終了日時、対象商品、限定期間中の価格・特典、終了後の価格・特典、在庫・数量条件、LPやバナーの掲載終了日時です。

特に自動更新されるカウントダウン表示は、0になった後に何が起こるのかを確認します。

0になった瞬間に再び24時間へ戻り、同じセールが続くのであれば、「残り○時間」という表示と実態が一致しているとはいえません。

また、広告代理店が8月31日にバナーを停止しても、広告主サイトでは同じセールが継続していた、という分業上のズレも防ぐ必要があります。

申込ボタン周辺で表示すべき条件は「申込ボタン周辺に表示すべき契約条件とは?通販LP・定期購入LPのCTA設計と特商法の注意点」で解説しています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
限定表現はコピーライターだけでは管理できません。
マーケティング担当がセールを延長し、EC担当が価格を変更し、制作会社が広告を差し替える。それぞれ別の担当者なら、「広告上は終了したのに販売サイトでは継続」「販売は延長したのに広告表記が古い」といったズレが起きます。
限定訴求を使う案件では、終了日時だけでなく「終了後に誰が何を変更するか」まで進行表へ入れておく方が実務的です。

まとめ

「期間限定」「本日限り」は景品表示法上、一律禁止されている表現ではありません。

本当にその期間だけの販売条件であれば使えます。

一方で、「本日限り」と言いながら翌日も同じ条件で販売する、終了期限後も同等以上の特典を提供するなど、限定性がないのに「今だけ有利」と思わせる表示はNGです。取引条件について実際より著しく有利と誤認させれば、有利誤認として景品表示法上問題になります。

さらに、期間限定の商品を広告しているのに実際には供給できない、著しく少ない数量しかないのに限定内容を明瞭にしていない場合は、おとり広告の規制を別途確認します。

実務では、「限定と書いてよいか」ではなく、「期限前と期限後で何が変わるのか」「広告した条件で実際に商品を供給できるのか」を確認する。ここまで販売運用と広告を一致させることが、限定表示を使うための基本です。

限定表現についてより体系的に知りたい場合は「景品表示法の広告表現ガイド|無料プレゼント・限定表現・No.1表示を実務向けに解説」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の法令、公的機関・公式資料・関連資料を参考に、景品表示法における「期間限定」「本日限り」等の限定表示、有利誤認、セール延長、おとり広告、二重価格表示および販売実態との整合性について整理しています。
個別の広告表示の適否は、キャンペーン期間、終了後の販売価格・特典、在庫・供給量、比較対照価格、価格変更履歴、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

景品表示法に基づき「期間限定」と表示する際のチェックポイントを示すフローチャート。開始から終了後までの期間において、価格・特典、終了後の条件、在庫・数量を正確に把握する必要性を図解している。「有利誤認」や「おとり広告」のリスクを回避するため、「限定と書けるか」ではなく「終了後に何が変わるか」を確認することが重要であるというメッセージが記載されている。

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