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医療機器広告で「安全」「副作用なし」は使える?安全性保証表現の薬機法上の注意点

医療機器広告における「安全」「副作用なし」表現に関する解説図。左側にタイトル「医療機器広告で『安全』『副作用なし』は使える?」と、「安全性の保証ではなく、確認できる事実を伝える」という指針が記載されている。中央の「保証する表現」欄には、「安全です」「副作用なし」「誰でも安心」といった避けるべき表現が例示され、「危害が起こらない印象につながる」という注意が記されている。右側の「具体的な事実」欄には、「設定時間で自動停止」「出力上限を設定」「薬剤を使用しない方式」「確認資料と表現範囲を合わせる」という推奨される事実ベースの表現が挙げられている。下部には「“安全”を結論にせず、機能・条件・根拠へ分解」という要約メッセージと「薬機法ライティング」のロゴが配置されている。

医療機器広告で「安全です」「副作用の心配はありません」「誰でも安心して使えます」など、安全性が確実であると保証する表現は認められません。医薬品等適正広告基準は、医療機器を含む医薬品等について、安全性が確実であると保証する表現を禁止しています。

医療機器として承認・認証・届出されていることや、安全性試験を実施していることも、「事故や健康被害が起こらない」と広告できる理由にはなりません。

一方、「過電流を検知すると自動停止する」「皮膚に接触しない非接触式」など、確認できる構造や安全機能を具体的に説明することは可能です。ただし、その事実から「だから絶対安全」と結論づけることはできません。

目次

「安全」「副作用なし」による安全性の断定はNG

医療機器広告では、次の表現は使えません。

「安全です」
「副作用はありません」
「安全性は確認済み」
「安心してお使いいただけます」
「身体への悪影響はありません」
「誰でも安全に使用できます」
「医師も認めた安全な医療機器」

厚生労働省の医薬品等適正広告基準の解説では、「安全性は確認済み」「副作用の心配はない」など、安全性を保証する表現は認められないと明記されています。

医療機器についても、家庭用電気治療器などに「安全です、安心してお使いください」「安全性が高い」と漠然と記載することは、同基準に抵触するという考えです。

また「安心してお使いいただけます」は、安全性の根拠や適用条件を示さず、危害や不具合が起こらないと受け取らせる使い方は認められません。 

ただし注意したいのは「安全」という単語が常に禁止されるわけではないところです。「安全機構」「安全装置」「安全に関する注意事項」のように、具体的な構造や情報の名称として使われるケースはあります。

NGになるのは、製品を使用しても危害や不具合が起こらないと広告全体で「保証をする表現」です。

医療機器の安全性の保証が薬機法上NGになる理由

「安全」「副作用なし」などの表現は、安全性を保証する表現に当たるため、広告で使用することはできません。

薬機法第66条では、医療機器の効能・効果・性能に関する虚偽・誇大広告を禁止しています。また、医薬品等適正広告基準では、効能効果だけでなく、安全性についても確実であると保証する表現を禁止しています。

医療機器には、使用できる対象者や使用部位、使用時間などの条件が定められています。また、正しく使用した場合でも、体質や症状、使用環境などによって、有害事象や不具合が生じる可能性を完全になくすことはできません。

とはいえ、承認・認証を受けていることや、安全性試験に適合していること、長年販売されている実績があることは、安全性を裏付ける事実にはなります。

しかし、それを理由に「安全」「副作用なし」など、安全性が確実であると受け取られる表現を広告で用いることはできません。

つまり、安全性に関する事実を伝えることと、安全性を保証することは別です。広告では、後者に当たる表現は認められていません。

医療機器以外の製品については「薬機法で「安全」「副作用なし」は使える?」をご覧ください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
制作会社から「安全試験済みなので、安全と書けますよね」と聞かれることがあります。しかし、安全性試験は、決められた条件で評価した結果です。あらゆる使用者、使用方法、使用環境において危害が起こらないことを証明するものではありません。
実務では、「安全」とまとめる前に、何を確認したのかを分解します。試験規格なのか、自動停止機能なのか、使用材料なのか。確認できた事実を残して、安全性の保証になっていない表現を広告に残していきます。

事例1:家庭用治療器の「誰でも安全に使用できます」

家庭用低周波治療器「WAVE MOTION」の広告表現NG事例。リビングで男女がデバイスを使用している様子と、製品画像、主な機能紹介アイコンが配置されている。メインコピーには「専門知識は不要。誰でも安全に使用できます」という安全性を保証する表現が記載されている。
※自社で作成したイメージ画像です

家庭用低周波治療器のLPに、次のコピーを掲載したとします。

「専門知識は不要。誰でも安全に使用できます」

この表現はNGです。

「誰でも」は、年齢、既往歴、身体状態を問わず使用できるとの印象を与えて「安全に使用できます」は、健康被害や誤操作が起こらないことを保証しているように見えます。

一方で実際には、家庭用医療機器でも、使用してはいけない人、使用を避ける部位、併用してはいけない医療機器などが定められている場合があります。「誰でも安全」は、これらの条件を広告上で消してしまうのです。

修正するときは、次のように操作性と安全機能を分けます。

「家庭で操作できるシンプルなボタン設計」
「設定時間が経過すると自動で停止」
「出力レベルを○段階から設定可能」
「使用前に取扱説明書の禁忌・禁止および使用上の注意をご確認ください」

自動停止機能があっても、「自動停止するから安全」と書くかは、機能の事実を見て判断する必要があります。

医療機器の広告表現設計については「薬機法を守ると広告は売れなくなる?訴求力を落とさない表現設計の考え方」で詳しくまとめています。

事例2:美容目的の医療機器で「薬を使わないから副作用なし」

美容目的の医療機器「LUMIÉ CLARTE」の広告表現NG事例。肌の美しい女性の顔写真とともに、製品本体とハンドピースが配置されている。メインコピーには「光で叶える、素肌美人」という文言と、「薬を使わないので副作用なし」「副作用の心配はありません」といった安全性保証表現が記載されている。また、シリーズ累計販売数、導入実績、サポート体制に関する情報も示されている。
※自社で作成したイメージ画像です

家庭用治療器や美容目的を含む医療機器で、次のような表現が使われることがあります。

「薬を使わないので副作用なし」
「身体に入れるものではないから副作用の心配はありません」

この表現は使えません。

薬剤を使用しないことと、健康への影響が起こらないことは別です。医療機器では、皮膚刺激、熱傷、痛み、誤使用による傷害、他の医療機器との相互干渉などが生じる場合があります。 

また、医療機器の資料では「副作用」だけでなく、「不具合」「有害事象」などの用語が使われることがあります。広告で「副作用なし」とだけ表示すると、薬剤由来の副作用がないという限定的な説明ではなく、製品による悪影響が一切ないとの印象を与えます。

修正する場合は、薬剤を使用しないという製品事実だけを記載します。

「薬剤を使用しない○○方式」
「電気刺激を利用した家庭用医療機器」
「肌へ光を照射する非接触式」

「薬剤不使用」と「安全」はつなげないことがポイントです。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
クライアントが「副作用なし」と言いたい背景には、「薬を飲まなくてよい」「身体を切らない」「自宅で使える」といった別の魅力が隠れていることがあります。
そこを確認せず、「副作用なし」を「やさしい」「安心」へ言い換えても、安全性の暗示は残ります。本来伝えたい価値を、薬剤不使用、非侵襲、使用方法、携帯性などの客観的な商品事実へ置き換える方が、訴求も残せます。

事例3:医療用絆創膏で「低刺激」は表示できるか 

医療用絆創膏「メディカルガード」の広告表現NG事例。絆創膏を貼った子どもとそれを見守る女性の親子が描かれ、製品パッケージ画像も配置されている。メインコピーには「肌トラブルの心配がない低刺激設計」という安全性を保証する表現が記載されている。また、「医療機器承認取得」「皮膚刺激性テスト済み」といった根拠表示とともに、製品の特徴や使用シーンが紹介されている。
※自社で作成したイメージ画像です

医療用絆創膏で「低刺激」と表示できるかは、製品全体についての試験内容、評価方法、表示の強調度などによって変わります。 

つまり、「低刺激」は無条件で使用できる表現ではありません。

医薬品等適正広告基準の解説では、「副作用が少ない」「比較的安心して使用できる」「刺激が少ない」などの表現は、安全性について誤認させるおそれがあるため、原則として使用しないとされています。

そのため、次のような広告は使用できません。

「低刺激だから敏感肌の方も安心」
「肌トラブルの心配がない低刺激設計」
「刺激ゼロで毎日安全に使える」

「低刺激だから敏感肌の方も安心」は、安全性を保証する印象に加え、敏感肌の使用者にも適することを示す表現です。試験対象者や製品の使用対象と一致しているかも確認する必要があります。 

一方、医薬品等適正広告基準の解説には、低刺激性が立証され、安全性を強調せず、保証につながらない場合の例外が示されています。ただし、これも個別の医療機器にそのまま適用できるとは限りません。

今回のように「低刺激」と表示する場合は、医療用絆創膏そのものについて実施された試験であることを確認し、試験条件や評価方法、評価対象を把握する必要があります。

また、必要に応じて試験条件を示し、「安心」「安全」など、安全性を保証する表現へ広げないことが重要です。

さらに、粘着剤だけの皮膚刺激性試験を根拠に、医療用絆創膏全体を「低刺激」と表示することも適切ではありません。試験対象が製品全体なのか、それとも粘着剤など一部の部材なのかを確認したうえで、広告表現を検討する必要があります。

医療機器広告におけるデータの扱いは、「医療機器広告で臨床データ・論文・グラフは使える?」で詳しくまとめています。 

医師推薦や実績を付けても安全性は保証できない

次のような表現も使えません。

「医師が認めた安全性」
「医療機関採用だから安心」
「販売実績100万台、不具合や健康被害の心配なし 」
「○年間使用されている安全な機器」

医師のコメント、医療機関での採用実績、販売年数は、安全性が確実であることの証明にはなりません。

厚生労働省の解説でも、企業や製品の歴史を事実として示すこと自体は可能であるものの、長い歴史があることを安全性や優秀性の保証へ結びつける表現は認められないとされています。

同じく臨床データ、写真、体験談によって安全性を暗示的に保証する広告も認められないと考えます。

なお、法律上説明できる事実であっても、媒体独自の審査で表現の変更を求められる場合があるため、法律上の判断と媒体考査は分けて管理してください。

詳しくは「医療機器広告で医師推薦・専門家コメントは使える?」でもまとめています。

景品表示法では安全性表示の根拠も確認する

「安全性試験済み」「第三者機関で安全性を確認」などの表示には、景品表示法も関係します。

景品表示法は、商品の品質、規格その他の内容を実際より著しく優良に示す表示を禁止しています。また、効果・性能表示については、消費者庁から合理的根拠を示す資料の提出を求められる場合があります。

たとえば、「第三者機関で安全性を確認」と表示するなら、次の点を確認します。

広告対象製品そのものの試験か
どの安全性を評価した試験か
広告で想定する使用方法と試験条件が一致するか
規格への適合を、健康被害が起こらないとの意味へ広げていないか

なお、電気的安全性に関する試験へ適合していても、皮膚刺激、誤使用、長期間使用を含む安全性全般が保証されたことにはなりません。

景品表示法については「景品表示法とは?広告実務者向けに目的・対象・薬機法との違いをわかりやすく解説」でまとめています。

実務では「安全」を具体的な事実へ分解する

医療機器広告で安全性を伝えたい場合は、まず承認書、認証書または届出内容だけでなく、添付文書(電子化された添付文書は電子添文と呼ばれます)、取扱説明書、リスクマネジメント資料、試験報告書、製品仕様書を確認します。

そのうえで、抽象的な「安全」を次の事実へ分解します。

自動停止機能がある
過電流や過熱を検知する機能がある
出力の上限が設定されている
薬剤や針を使用しない
特定の規格に適合している
使用できない対象者や部位が明示されている

これらの中から、効果の保証にならないかを確認していきます。一方でこれらを並べて「だから安心」とまとめると、広告全体では安全性保証になるため分解して再構成することが重要です。

また、画像や動画も確認してください。子どもや高齢者が説明書を見ずに使用する場面、「寝ながらでも心配なし」というナレーション、危険を示すアイコンをすべて消した比較図などによって、安全性を暗示する場合があります。

こうした箇所は、広告や企画の最後に「安全」を削るだけでは、ページ全体に残る保証のストーリーを修正できません。広告制作の初期段階で確認資料と訴求を対応させることが、手戻りの削減につながります。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
安全性訴求では、「試験をした」という事実と、「安全である」という広告上の結論を分けなければなりません。
制作側が試験報告書の名称だけを受け取り、「安全性確認済み」とコピー化するのは危険です。何を、どの条件で、どの基準により確認した資料なのかまで読み込みます。根拠を探すだけでなく、根拠が説明できる範囲へ表現を調整することが実務では必要です。

まとめ

医療機器広告で、製品の安全性を断定する「安全」「副作用なし」「安心して使える」は使えません。

承認・認証・届出、安全性試験、医療機関での採用、長期間の販売実績があっても、その事実だけで安全とは言い切れないのです。「個人差があります」「正しく使用した場合」などの注釈を付けても、本文で安全性を断定している場合、その保証的な印象を解消できるとは限りません。 

安全性を伝えたい場合は、自動停止機能、出力制御、使用材料、薬剤不使用、試験規格への適合など、確認できる具体的な事実に分解します。さらに、その事実を「だから絶対安全」という結論へつなげないことが必要です。

医療機器広告について体系的に理解したい方は「医療機器広告で使える・使えない表現集|NG表現・OK表現・薬機法チェックの実務ガイド 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医療機器広告における「安全」「副作用なし」表現に関する解説図。左側にタイトル「医療機器広告で『安全』『副作用なし』は使える?」と、「安全性の保証ではなく、確認できる事実を伝える」という指針が記載されている。中央の「保証する表現」欄には、「安全です」「副作用なし」「誰でも安心」といった避けるべき表現が例示され、「危害が起こらない印象につながる」という注意が記されている。右側の「具体的な事実」欄には、「設定時間で自動停止」「出力上限を設定」「薬剤を使用しない方式」「確認資料と表現範囲を合わせる」という推奨される事実ベースの表現が挙げられている。下部には「“安全”を結論にせず、機能・条件・根拠へ分解」という要約メッセージと「薬機法ライティング」のロゴが配置されている。

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