MENU

薬機法で「予防」は使える?疾病予防・美容予防・生活習慣訴求の注意点

薬機法における「予防」表現の可否を整理した図解。左側に「薬機法で『予防』は使える?」と問いかけ、「商品区分・予防対象・広告全体で判断」と示している。右側では、「疾病予防」は一般食品では訴求できない、「美容上の予防」は認められた効能範囲を確認する、「生活習慣訴求」は商品作用と啓発を分ける、という3つの観点をイラスト付きで整理。最下部に「言い換えではなく、広告全体の印象を確認」とまとめている。

「予防」は、一律のNGワードではありませんが、一般的な健康食品で「風邪予防」「生活習慣病予防」と訴求するのはNGです。一方、一般化粧品では「肌荒れを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」など、認められた効能の範囲なら使えます。

医薬品、医薬部外品、医療機器は、承認・認証内容が基準となります。本記事では、疾病予防、美容上の予防、生活習慣訴求を分け、実務上の修正方法まで解説します。

目次

「予防」は商品区分と予防対象で結論が変わる

一般健康食品・サプリメントで「糖尿病予防」「高血圧対策」「感染症から守る」「認知症を防ぐ」は使えません。「予防」を「対策」「備え」「守る」に替えても、商品が疾病の発症を防ぐと受け取られる広告ならNGです。

機能性表示食品も疾病予防を表示できません。届け出た機能性の範囲を超え、「食後血糖値の上昇をおだやかにする」から「糖尿病を予防する」へ広げることはできません。

特定保健用食品も、許可表示を超えた疾病予防表現はNGです。ただし、疾病リスク低減表示の許可を受けた品目は、その許可文言の範囲が例外となります。

一般化粧品は、効能の範囲に「洗浄によりニキビを防ぐ(洗顔料)」「肌荒れを防ぐ」「皮膚の乾燥を防ぐ」「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」が含まれます。しかし、「老化予防」「シワ予防」「たるみ予防」は範囲外です。

医薬品、薬用化粧品を含む医薬部外品、医療機器では、承認・認証内容の範囲内で予防表現を使用します。論文や成分データがあっても、認められていない予防効果を広告へ追加することはできません。

一般健康食品の「疾病予防」が薬機法上NGになる理由

食品について疾病の治療・予防を目的とする効能効果を標ぼうすると、医薬品的効能効果をうたうものとして扱われます。

判断対象は、キャッチコピーだけではありません。商品名、成分説明、画像、動画、グラフ、体験談、専門家コメント、販売方法、購入ボタンまで含む広告全体です。

健康増進法は、健康効果を書いた時点で直ちに違反とする法律ではありません。健康保持増進効果等について、著しく事実に相違し、または著しく人を誤認させる表示を規制します。

景品表示法では、効果を実際より著しく優良に見せていないか、表示を裏付ける合理的根拠があるかが問われます。ただし、合理的根拠があっても、一般食品の疾病予防表現が薬機法上使えるようになるわけではありません。

健康食品と各法令の関係については、健康食品広告のルール完全ガイドをご覧ください。

事例1:サプリメントの「病気になる前に、毎日1粒」

健康補助食品「IMMUNITY GUARD(イミュニティガード)」の広告。青と白を基調に、商品パッケージとウイルスを連想させるイラスト、白衣姿の医師を配置し、「病気になる前の新習慣」「毎日1粒で感染症対策」「ウイルスに負けない毎日へ」と大きく訴求している。植物由来成分を含む6種の厳選成分を配合し、「体の防御力をサポート」「免疫機能の維持を助ける」「続けやすい1日1粒」の特徴を紹介。右側には研究所所長・医学博士のコメントとして、日々の習慣を続けることが感染対策になるとの説明を掲載している。下部では、累計販売数250万袋、顧客満足度93.2%、リピート率87.1%を示し、初回限定約62%オフで「お得に試してみる」と購入を促している。最下部には、感染症の予防を保証する商品ではないことや、免疫機能の維持には食事・睡眠・運動が必要である旨を注記している。
※自社で作成したイメージ画像です

一般サプリメントのLPで、次のように表示するケースです。

「病気になる前の新習慣」
「毎日1粒で感染症対策」

さらに、ウイルスの画像や白衣を着た専門家のコメントを掲載しています。

この広告はNGです。最も直接的な理由は、サプリメントによる疾病予防を広告全体で標ぼう・暗示していることです。「予防」という単語を使っていなくても結論は変わりません。

修正するときは、予防の類語を探さないことが大切です。

「ビタミンC○mg配合」
「不足しがちな栄養素を補給」
「1日○粒を目安に続けやすい」
「個包装で携帯しやすい」

このように、成分量、形状、携帯性、利用場面へ訴求軸を移します。栄養機能食品であれば、基準に沿った栄養成分の機能表示を使用します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
最初に聞くべきことは、「予防を何に言い換えるか」ではありません。「何を予防させたい企画なのか」「その作用を、この商品区分で言えるのか」です。
言えない作用を「対策」「ケア」に薄めても、LP全体のストーリーが疾病予防のままなら修正になりません。完成後に単語を直すより、企画段階で商品区分と訴求軸を決める方が、全面改稿や媒体審査の手戻りを防げます。

事例2:一般化粧品の「未来のシワ・たるみ予防」

美容液「LUMIERE PREMIUM SERUM(ルミエール プレミアムセラム)」の広告。ピンクと白を基調に、頬に手を添える女性と美容液のボトルを大きく配置し、「今から始める シワ・たるみ予防」「未来の肌に、差がつくエイジングケア」と訴求している。乾燥による小ジワを目立たなくする、ハリ・弾力を与えて引き締まった印象へ導く、保湿成分で透明感のある肌を目指すという3つの特徴を紹介。右側には美肌ケア満足度93.6%の表示と、美容皮膚科専門医による「将来の肌悩みを防ぐことが、美肌への一番の近道」との推薦コメントを掲載している。下部では、シリーズ累計販売本数150万本突破、無香料・無着色・鉱物油フリー・パラベンフリー・アルコールフリーを示し、初回限定約62%オフで「今すぐお得に試してみる」と購入を促している。
※自社で作成したイメージ画像です

一般化粧品の美容液で「今から始めるシワ・たるみ予防」は使えません。

一般化粧品では「肌にはりを与える」「肌にうるおいを与える」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などの表現があります。しかし、シワやたるみの発生そのものを予防する効能は認められていません。

修正案は、商品の事実に応じて「うるおいを与え、乾燥を防ぐ」「肌にはりを与える」などとします。

「乾燥による小ジワを目立たなくする」を採用する場合は、実際の商品について表示を裏付ける根拠を確認します。薬用化粧品の場合は、承認書に記載された効能効果へ戻り、その品目に認められた範囲で表現してください。

一般化粧品の基準は、化粧品で認められる56項目の効能効果でも確認できます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上説明できる表現でも、媒体考査では修正を求められることがあります。
「予防」は強く見えやすく、年齢訴求、ビフォーアフター、悩みを強調する画像、購入を迫るCTAが重なると、コピー単体より広い効果を受け取られます。「正しいこと」と「通ること」を分け、出稿先の基準まで企画へ入れておく必要があります。

事例3:機能性表示食品の「糖尿病になる前に」

生活習慣病や将来の健康が気になる人向けの機能性表示食品「メタバランス サポートEX」の広告。緑と白を基調に、商品パッケージと笑顔の中高年男女を配置し、「糖尿病になる前に、新しい習慣」「生活習慣病を予防する」「毎日の1粒で、未来の自分を守る」と大きく訴求している。機能性関与成分としてサラシア由来サラシノールを1.0mg配合し、食後血糖値の上昇を緩やかにする機能を表示。あわせて、脂肪の代謝や毎日の生活習慣、将来の健康リスクを支えると説明している。右側には医師の推薦コメントとして、生活習慣の見直しとサポート食品の活用が将来の健康リスク低減につながるとの内容を掲載。下部では、累計販売個数80万個、顧客満足度92.1%、続けやすさ実感度89.4%を示し、定期初回約60%オフで「今すぐ始めてみる」と購入を促している。疾病の診断・治療・予防を目的とした商品ではない旨も注記している。
※自社で作成したイメージ画像です

届出表示が「食後の血糖値の上昇をおだやかにする機能があることが報告されています」という商品でも、次の表現は使えません。

「糖尿病になる前に」
「生活習慣病を予防」
「将来、薬に頼りたくない方へ」

機能性表示食品は、疾病の診断、治療、予防を目的とした食品ではありません。届出表示に血糖値という言葉があっても、糖尿病の予防効果へ拡張することはできません。

修正では、実際の届出表示、対象者、摂取条件、科学的根拠の範囲へ戻します。

「血糖値が高めの方」と「糖尿病の方」は同じではありません。病名、通院場面、血糖測定画面、医師の推奨を思わせるコメントを組み合わせれば、届出表示を掲載していても、広告全体では疾病予防を暗示します。

届出表示と広告表現の関係は、機能性表示食品の広告ルールも併せて確認してください。

生活習慣訴求は商品作用と生活行動を分ける

「食事・運動・睡眠などの生活習慣を見直しましょう」という一般的な啓発は、それだけで直ちに商品の効能効果を示すものではありません。

「毎日の健康維持に」「不足しがちな栄養素を補給」といった表現も、疾病や具体的な身体作用へ結び付けなければ使用できる範囲があります。

ただし、商品写真の横に「生活習慣病を防ぐ食事術」を置き、その直後に購入ボタンを配置すれば、商品による疾病予防を暗示します。記事、動画、専門家コメントを別のパーツにしても、商品販売の導線として一体なら切り離せません。

実務では、「本品が病気を防ぐ」という構図を切り、「不足しがちな栄養素を補う」「忙しい日にも取り入れやすい個包装」「毎日の食生活に取り入れやすい味」といった商品事実や利用価値へ移します。

健康食品の修正軸は、健康食品広告のNG表現一覧で整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
成分研究があっても、そのまま商品全体の予防効果の根拠にはなりません。
誰を対象に、どの成分を、どの量で、どの期間使用し、何が確認された資料なのかを分ける必要があります。そのうえで、商品事実、利用価値、媒体上の見え方へ落とし込みます。薬機法ライティングはNGワードを探す作業ではなく、根拠を社会に出せる表現へ変換する作業です。

まとめ

一般健康食品の疾病予防表現はNGです。機能性表示食品も、届出表示から疾病予防へ広げることはできません。

一般化粧品では、56項目の範囲にある「肌荒れを防ぐ」「日やけを防ぐ」などの限定的な表現なら使用できます。「シワ予防」「たるみ予防」「老化予防」は使えません。

医薬品、医薬部外品、医療機器は、各商品の承認・認証内容が基準です。

「予防」を別の単語へ変える前に、商品区分、予防の対象、根拠資料、画像や体験談を含む広告全体の受け取られ方を確認してください。

薬機法で利用できるワードについて理解したい方は「薬機法のNGワード一覧|広告で避けるべき表現と実務上の判断基準 」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」

広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。

【無料】薬機法・広告規制の実務をメールマガジンで学ぶ

薬機法・景品表示法の実際の相談事例や、広告チェックで迷いやすいポイントを、実務の視点から解説しています。広告制作や表現確認に関わる方が、日々の案件で使える判断軸をメールでお届けします。

形態 必須
業種 必須

登録後、配信されるメールからいつでも解除できます。

薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につける

クリエイティブの幅が広がる。 ギリギリを攻めても、手戻りしない。 300件以上の事例で判断力を鍛え、 もう実務で迷わない薬機法・景品表示法講座のイメージ画像

「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

薬機法における「予防」表現の可否を整理した図解。左側に「薬機法で『予防』は使える?」と問いかけ、「商品区分・予防対象・広告全体で判断」と示している。右側では、「疾病予防」は一般食品では訴求できない、「美容上の予防」は認められた効能範囲を確認する、「生活習慣訴求」は商品作用と啓発を分ける、という3つの観点をイラスト付きで整理。最下部に「言い換えではなく、広告全体の印象を確認」とまとめている。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次