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医薬部外品広告で「高濃度」「最大濃度」は使える?有効成分訴求と景品表示法の注意点

医薬部外品広告で「高濃度」「最大濃度」は使えるのかを解説。比較対象のない高濃度表示、市場全体との最大表示、自社従来品比○倍配合の違いと、有効成分訴求を確認する際の薬機法・景品表示法上のポイントを整理します。

医薬部外品のLPで、「有効成分を高濃度配合」「承認上の最大濃度」と打ち出したい。よくある相談ですが、言葉だけを先に決めると制作中に止まりやすい訴求です。

結論からいうと、「高濃度」は一律の禁止語ではありませんが、何と比べて高いのか、実際の配合量に根拠があるか、高濃度であることを効能の強さへ結び付けていないかを確認する必要があります。一方、市場全体を対象にした「最大濃度」は、医薬品等適正広告基準上の他社製品との比較広告に当たるため避ける必要があります。

自社従来品との配合量差を承認書等で確認し、比較対象と数値を明示する表現には使用余地があります。ただし、配合量が多いことを「より効く」「最も効く」へ結び付けることはできません。

本記事では、薬用化粧品などの医薬部外品を前提に、薬機法と景品表示法を分けて整理します。

目次

「高濃度」は具体化が必要、「最大濃度」の市場比較はNG

「有効成分Xを高濃度配合」という表現は、比較対象や配合量の根拠が不明なまま使用すると、成分量について誤認を与えたり、効能がより強いとの印象につながったりするため注意が必要です。何と比べて高いのか分からず、成分量について不正確な印象を与え、濃度が高いほど効能も強いと受け取られるためです。

「国内承認品で最大濃度」「業界最高濃度」も使えません。市場全体の比較となり、医薬品等適正広告基準の解説で認められていない他社製品との比較広告に当たります。景品表示法上も、商品群、調査時点、調査方法を含めて客観的に実証できなければ、優良誤認表示の問題が生じます。

一方、「当社従来品A比、有効成分Xを1.5倍配合」のように、自社品同士で比較対象を明示し、承認書等で配合量差を確認できる表現には使用余地があります。単位と基準量をそろえ、効果が1.5倍になるような見せ方をしないことが前提です。

「当社医薬部外品中、最大濃度」とする場合も、対象となる自社商品群と調査時点を明示し、その全商品を確認できる場合に限られます。新商品の発売や処方変更で事実が変わるため、実務では「従来品A比○倍」の方が管理しやすい表現です。

「最大」「最高」などの商品優位性を示す表現は、薬機法だけでなく景品表示法上の根拠も確認します。優良誤認・有利誤認の違いと広告上の判断軸はこちらで詳しく解説しています。 

医薬部外品の「高濃度」が薬機法上NGになる理由

薬機法66条は、医薬部外品の効能、効果、性能について、明示か暗示かを問わず虚偽・誇大な広告を禁止しています。厚生労働省の「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」でも、成分や分量について虚偽・不正確な表現を用い、効能効果や安全性について事実に反する認識を得させる広告を認めていません。特定成分を取り出して訴求する場合も、その成分が有効成分で、承認効能と関連することが求められます。

また、医薬品等適正広告基準は、効能効果や安全性についての最大級表現を禁止しています。「最大濃度」が単なる配合量の説明を超え、「最も効く医薬部外品」という印象につながれば、この最大級表現の問題も生じます。

問題は単語だけではありません。大きな文字で「高濃度」、その直下に「シミを徹底ブロック」「従来の美白では満足できない方へ」と置けば、濃度の高さを理由に承認効能以上の強さを暗示します。注釈に承認効能を記載しても、ファーストビューの印象は消えません。

有効成分や承認効能の基礎は、医薬部外品の有効成分と広告表現の考え方もあわせて確認してください。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作現場では、「高濃度」というコピーを決めてから根拠を探しがちです。しかし、先に確認すべきなのは承認書、比較対象、配合量の単位、訴求したい効能です。ここが固まっていなければ、広告審査でコピーだけでなくLP全体を作り直すことになります。薬事確認は完成後の赤入れではなく、企画条件として最初に入れるべきです。

事例1|薬用美白美容液の「高濃度だからシミに強い」はNG

医薬部外品の薬用美白美容液で「高濃度だからシミに強い」と訴求するNG広告事例。LPのメインコピーに「美白有効成分Xを高濃度配合。だからシミに強い」と大きく表示し、「メラニンの生成を徹底ブロック」「透明感のある肌へ」などの訴求を組み合わせている。『高濃度』の比較対象が明確でないうえ、配合量の多さを理由に美白効果が強くなるような印象を与えており、承認された効能効果の範囲を超えるおそれがある事例として示している。画像内には『当社従来品比』との注記もあるが、配合量の比較事実と効能の強さは別に判断する必要がある。
※自社で作成したイメージ画像です

たとえば、薬用美白美容液のLPで「美白有効成分Xを高濃度配合。だからシミに強い」と表示するケースです。

この表現はNGです。承認書どおりの量でも、「高濃度」の比較対象が不明です。さらに「だからシミに強い」が、配合量による効能の上乗せを伝えています。表現できるのは、その製品が承認を受けた美白効能の範囲までです。医薬部外品で使える美白・シミ表現に沿って、承認効能を正確に表示します。

「高濃度」を「しっかり配合」に変えても修正になりません。「しっかり」も配合量の多さを暗示します。訴求を残すなら、「有効成分X配合」「朝晩使いやすい美容液設計」「べたつきにくい使用感」など、承認事実と製品事実へ軸を移します。

事例2|「国内承認品で最大濃度」は調査資料があっても使えない

医薬部外品の薬用育毛剤で「有効成分Yを高濃度配合」と訴求する広告事例。広告には「発毛を促進し、抜けにくい髪へ」「国内承認の有効成分配合」などの表現と、発毛促進・頭皮環境・抜け毛予防の訴求が配置されている。本事例では、仮に『国内承認品で最大濃度』『業界最大濃度』など市場全体との比較へ広げた場合、医薬部外品広告で認められる自社製品内の比較を超えるおそれがある点を解説する。調査資料や『当社調べ』の注記があっても、競合商品との最大・最高表示を自由に使用できるわけではなく、配合量の多さを育毛効果の優越性と結び付けないことも重要である。
※自社で作成したイメージ画像です

仮に、薬用育毛剤のECページで「有効成分Y、国内承認品で最大濃度※」と表示し、注釈に「2026年7月、当社調べ」と記載したとします。

この表現は使えません。国内の競合医薬部外品との比較であり、医薬品等適正広告基準の解説が認める自社製品内の比較を超えています。

景品表示法上の「最大」も、調査対象、終売品・新商品の扱い、カテゴリの定義、濃度単位の換算まで説明できて初めて成立します。「当社調べ」という注釈だけでは足りません。比較広告には、客観的実証、数値の正確な引用、公正な比較方法が必要です。

また、配合量が最大であることと、育毛効果が最も高いことは別です。承認書は自社製品の成分量と効能を確認する資料であり、市場最大や効果の優越性まで証明する資料ではありません。

「最大」「No.1」などの優位性表示では、注釈を付けるだけでなく、調査対象や根拠と主表示が対応しているかを確認します。 景品表示法上のNo.1・優位性表示の考え方は「景品表示法の広告表現ガイド」もあわせて確認してください。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
根拠資料があることと、そのまま広告に書けることは同じではありません。調査表で最大値を確認できても、医薬部外品広告には他社比較を避ける基準があり、媒体独自の考査もあります。「正しい数字か」だけでなく、「誰との比較か」「何を暗示するか」「掲載媒体が受け入れるか」を分けて確認します。

事例3|「当社従来品比1.5倍配合」は条件付きで使える

医薬部外品の薬用美白クリームで、自社従来品との有効成分配合量を比較した広告事例。従来品10mgに対し新製品15mgとして『有効成分1.5倍配合』と表示している。自社従来品との比較で、両製品の承認書等から配合量を確認でき、比較対象や数値を明示している場合は条件付きで表現できる。一方、『有効成分1.5倍、効果もアップ』『従来品より早く効く』のように、配合量の増加から効果の程度や速効性まで導く表現はNGであることを示す事例。
※自社で作成したイメージ画像です

※自社で作成したイメージ画像です

自社の旧製品Aとリニューアル品Bを比較し、「当社従来品A比、有効成分Xを1.5倍配合」と表示するケースです。

これは条件付きで使えます。両製品の承認書等から配合量を確認でき、同じ単位・基準量で1.5倍になること、比較対象の商品名を表示すること、比較時点を管理することが必要です。広告基準の解説でも、製品同士の比較は自社製品の範囲で、対照製品名を明示する形に限定されています。

ただし、「有効成分1.5倍、効果もアップ」「従来品より早く効く」はNGです。配合量の差から効果の程度や速さまで導くことはできません。

実務では承認書・比較表・広告全体をこの順で確認する

最初に商品区分と承認効能を確定し、承認書や製造販売業者の資料で有効成分名と分量を確認します。次に、「高い」「最大」「○倍」が何との比較かを決め、対象商品、比較時点、単位、算定方法を比較表に残します。

その後、コピーだけでなく、グラフ、成分画像、王冠マーク、No.1風デザイン、体験談、CTAまで確認します。「最大濃度」を削っても、棒グラフで競合品より突出して見せれば同じ比較訴求です。LP全体の確認項目は、医薬部外品LPの薬機法チェックで整理しています。

判断記録には、使用表現、根拠資料、比較対象、確認日、承認効能との関係、更新期限を残します。「最大」「最高」は新商品の発売で事実が変わるため、公開後の更新担当も必要です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
訴求を残す修正とは、「高濃度」を曖昧な形容詞へ置き換えることではありません。消費者に伝えたかった価値を分解し、配合事実、使用感、剤形、使いやすさ、利用場面へ移します。根拠を探し、意味を整理し、通る表現へ変換する工程が、広告制作の手戻りを減らします。

まとめ

比較対象のない「高濃度」は使えません。「国内最大濃度」「業界最高濃度」のような市場全体の比較もNGです。

自社従来品との比較で、対象商品と数値を明示し、承認書等で配合量差を確認できる場合は、「従来品比○倍配合」と表現できる余地があります。「当社品中最大濃度」とする場合も、対象商品群と調査時点を限定し、事実を継続的に管理しなければなりません。

いずれの場合も、配合量の多さを「より効く」「早く効く」「最も効く」へつなげることはできません。公開前には、承認内容、比較対象、算定方法、広告全体の暗示、景品表示法上の根拠、媒体基準を分けて確認してください。

医薬部外品広告について体系的に理解したい方は「医薬部外品の有効成分とは?効能効果・濃度・広告表現の注意点を解説」もご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、関連する法令や公的機関、ガイドライン等の公式資料に基づき、医薬部外品広告における「高濃度」「最大配合」「最高峰」「従来品との比較」といった成分・分量に関する訴求について、薬機法が定める成分表示のルールや効能効果の保証・最大級表現の禁止、医薬品等適正広告基準における比較広告の制限、さらに景品表示法上の不当表示(優良誤認・不実証広告)防止の観点から解説しています。
個別の広告表現の妥当性は、製品ごとの承認内容、有効成分の種類や含有量、比較の対象・手法、表示のタイミング、根拠となる資料のほか、キャッチコピーや図表、画像を含む広告全体の印象によって判断が分かれます。そのため、実際の運用にあたっては、承認書の内容や最新の公的文献の確認、専門家への照会を適宜行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医薬部外品広告で「高濃度」「最大濃度」は使えるのかを解説。比較対象のない高濃度表示、市場全体との最大表示、自社従来品比○倍配合の違いと、有効成分訴求を確認する際の薬機法・景品表示法上のポイントを整理します。

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