医薬部外品のLP(ランディングページ)では、「薬用だから効果を強く言える」と考えると判断を誤ります。表現できるのは、その商品が承認を受けた効能・効果の範囲までです。
ファーストビューだけでなく、CTA(行動の指示)、体験談、成分説明、画像を含むLP全体で、承認外の効果や効果保証を暗示してはいけません。本記事では、薬用美白化粧品と薬用ニキビケア商品を例に、制作・審査での修正方法を解説します。
医薬部外品LPは承認範囲を超えて訴求できない
ファーストビューの承認外表現は使えません。CTAも広告の一部であるため、「シミを消す」「ニキビを治す」と書くのはNGです。また効能・効果を保証する体験談も原則NGとなります。成分研究を、そのまま商品の効果へ置き換えることもできません。
薬機法第66条は、医薬部外品の名称、製造方法、効能・効果等について、明示・暗示を問わず虚偽・誇大な広告を禁止しています。医薬品等適正広告基準でも、承認を要する医薬品等の効能・効果は承認範囲を超えてはならないとされています。
LPを含むWeb広告では、コピー、写真、図、注釈、購入ボタンを含む全体の印象で判断されます。
景品表示法の判断も必要です。「満足度98%」「最も選ばれている」「圧倒的な効果」など、品質や効果を実際より著しく優良に見せる表示は、合理的な根拠との対応が問われます。
LPを確認する前提となる基本的な範囲は「医薬部外品広告で「美白」は使える?」で詳しくまとめています。
事例1:ファーストビューの「できたシミを消す」

薬用美白美容液で、次のコピーを大きく掲載したとします。
「できてしまった濃いシミを消す。薬用美白美容液」
この表現はNGです。
一般的な薬用美白化粧品の「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」は予防表現であり、既にあるシミを消す、薄くする、排出するという意味ではありません。
実際の承認内容を確認し、たとえば次のように修正します。
「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ。毎日の薬用美白ケア」
そのうえで、容器の使いやすさ、使用感、香り、朝晩のケアへの取り入れやすさといった商品事実で訴求を補います。
顔のシミが消えていく画像や「7日後」の表示が残っていれば、コピーだけ直しても修正になりません。図や写真で承認外の効果、発現時間、持続時間を保証する表現も認められていません。
コピーを承認範囲内に直しても、画像で改善結果を見せれば同じ効果を暗示することがあります。判断方法については「医薬部外品広告でビフォーアフター画像は使える?」をご覧ください。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
完成後にメインコピーだけ差し替えると、LP全体のストーリーが崩れます。「シミを消す」を軸にしていたページを「シミを防ぐ」へ変えるなら、悩みの提示、成分説明、画像、CTAまで組み直す必要があります。薬事確認は、デザイン完成後ではなく企画とワイヤーの段階で入れることで、手戻りを防げます。
事例2:CTAの「ニキビを治すなら今すぐ購入」


薬用洗顔料の本文が承認範囲内でも、購入ボタンに「ニキビを治すなら今すぐ購入」と表示すればNGです。CTAだけが薬機法の対象外になることはありません。
商品の承認効能が「ニキビを防ぐ」であれば、次のように修正できます。
「ニキビを防ぐ薬用洗顔を始める」
「商品情報と購入条件を確認する」
「最短で改善」「今すぐ治す」は残せません。
価格表示は別途確認します。定期購入なのに「初回980円」だけを強調し、2回目以降の価格、購入回数、支払総額、解約条件を認識しにくくしてはいけません。
LPから申込みを受ける通信販売では、特定商取引法上の表示事項と最終確認画面の表示が必要です。
なお、定期購入LPでは薬機法だけでなく、価格、支払総額、解約条件、最終確認画面も確認します。通販・EC・LPにおける特定商取引法のチェックポイントは「通販・EC・LP運営で注意すべき特定商取引法」で詳しくまとめています。
事例3:「2週間でシミが消えた」という体験談


「個人の感想です」と注記しても、次の体験談は使えません。
「2週間でシミが消えました」
「もうニキビができません」
使用経験は客観的な裏付けにならず、効能・効果や安全性を誤認させるため、医薬品等適正広告基準では例外を除き認められていません。注記を付けても、体験談が伝える効果は消えないからです。
外皮用剤や化粧品等では、香り、のび、べたつきにくさなどの使用感を説明する余地があります。ただし、「浸透して効いている感じ」のように、使用感を身体作用へ結び付けるのはNGです。
次のように、確認できる商品事実へ訴求を移します。
「みずみずしく広がる使用感」
「朝のスキンケアにも使いやすいポンプ容器」
体験談を残す場合も、効能・安全性・速効性の証明にしてはいけません。
医薬部外品広告で口コミ・体験談をどこまで掲載できるかは「医薬部外品広告で口コミ・体験談は使える?」で詳しくまとめています。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上説明できる表現でも、媒体考査で通らないことがあります。媒体ごとに、体験談、ビフォーアフター、最上級表現、注釈の見せ方について独自基準があるためです。「薬機法上使える」と「出稿先で通る」を分け、媒体規定まで企画時に確認すると手戻りを減らせます。
事例4:有効成分の研究結果を商品効果として見せる


薬用美白美容液で、次のように表示したとします。
「高濃度トラネキサム酸がシミの根源を攻撃。メラニンを排出する」
この表現はNGです。
成分に関する研究があっても、その研究結果をそのまま完成品の効能・効果として一般化できるわけではありません。商品の承認効能と、研究内容・試験条件が広告表示に対応しているかを確認する必要があります。「排出」「根源を攻撃」が商品の承認範囲を超えれば使えません。
一般向け広告で臨床データや実験例を示すことも、効能・効果や安全性を誤解させるおそれがあるため、原則として認められていません。
承認内容が対応している場合は、次のように配合事実と承認効能を分けます。
「有効成分トラネキサム酸配合。メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」
「高濃度」という表現については、何と比べて高いのか、実際の配合量を説明できるか、強い効果まで暗示していないかを確認します。単に配合量が多いという事実だけで、効果の強さまで訴求することはできません。
有効成分以外の特定成分を強調する場合は、配合目的も必要です。2025年の厚生労働省通知では、医薬部外品の承認を受けた有効成分以外の特定成分は、化粧品に準じて扱えるとされています。
たとえば「○○エキス(保湿成分)」のように、成分名と配合目的を分かりやすく表示します。
有効成分名から広告コピーを作る際の判断方法は「有効成分が入っていれば効能を強く言える?」で詳しくまとめています。
医薬部外品LPは承認書からストーリーを組み直す
最初に確認する資料は、販売名、商品区分、承認された効能・効果、有効成分、用法・用量が分かる承認関係資料です。競合LP、原料メーカー資料、成分論文だけでコピーを決めてはいけません。
次に、LP内の表現を次の4つへ分けます。
- 承認効能
- 商品事実
- 使用感
- 販売条件
「承認効能」は承認文言との対応を確認します。「商品事実」は仕様書や試験資料で裏付けます。「使用感」は効能・効果へ飛躍させません。「販売条件」は特定商取引法と景品表示法に照らします。
最後に、ファーストビューからCTAまで通して読みます。単語が承認範囲内でも、画像、グラフ、体験談、注釈の組合せによって「確実に治る」「短期間で消える」と受け取られるならNGです。
基本的な表現範囲は医薬部外品の効能効果と広告表現、体験談の判断は医薬部外品広告の口コミ・体験談、成分訴求は有効成分からコピーを作るときの注意点も確認してください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法チェックは、NGワードを赤字にする作業ではありません。伝えたいことを分解し、承認効能で残せる訴求と、使用感、容器、利用場面へ移す訴求を決める仕事です。成分研究や試験資料も、LPの表示に対応して初めて根拠になります。
まとめ
医薬部外品LPでは、承認された効能・効果を超える表現は使えません。
ファーストビューだけを直しても、CTA、体験談、成分説明、画像が承認外の効果や効果保証を示していれば、LP全体としてNGです。
公開前には、承認関係資料を起点に、ファーストビュー、画像・図、体験談、成分訴求、CTAと販売条件を順番に確認してください。
訴求を残すには、曖昧な言葉へ置き換えるのではなく、承認効能と商品事実からページ全体のストーリーを組み直します。
医薬部外品広告について体系的に理解したい方は「医薬部外品の効能効果と広告表現|美白・シミ・育毛・ニキビ・デオドラントの注意点」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、関係法令や公的機関、ガイドライン等の公式資料に基づき、医薬部外品LPにおけるファーストビュー、CTA、体験談、有効成分および配合成分の訴求、画像・図表の取り扱いについて、薬機法が定める承認効能の範囲や医薬品等適正広告基準、景品表示法上の不当表示(優良誤認・不実証広告)防止、さらに通信販売における特定商取引法の表示規制の観点から解説しています。
個別の広告表現の妥当性は、製品ごとの承認内容や成分の配合目的、効能効果、用法用量のほか、体験談やビジュアル、エビデンスの内容、販売条件、LP全体の印象によって判断が分かれます。そのため、実際の運用にあたっては、承認書の内容や最新の公的文献の確認、専門家への照会を適宜行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月05日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局長「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日薬生発0929第4号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf(参照日:2026年08月05日)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月05日)
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