「初回500円」「初回無料」「初回限定80%OFF」など、定期購入LPでは強い価格訴求になりますが、この表現自体が禁止されているわけではありません。
実際に初回500円・初回無料で購入でき、定期購入であること、2回目以降の価格、購入回数や解約条件などが消費者に分かる形で表示されていれば使えます。
一方、ファーストビューでは『500円』だけを大きく見せ、複数回購入の条件や2回目以降の価格を目立たない形で表示するなど、広告全体から『500円で1回だけ購入できる』と誤認される場合には、景品表示法上問題となるおそれがあります。
この記載がある広告では、景品表示法と特定商取引法を分けて確認する必要があります。
この記事では、景品表示法では価格・取引条件を実際より著しく有利に見せていないか、特商法では定期購入の契約条件や最終確認画面を適切に表示しているかを中心にして確認する方法についてまとめていきます。
「初回500円」「初回無料」は条件を正しく伝えれば使える
初回だけ500円、あるいは無料になる販売条件が実在するなら、その価格を広告で訴求すること自体は可能です。
問題になるのは、「初回500円」という一部分だけを強く見せることで、消費者が実際より有利な条件で購入できると誤認する広告です。
たとえば、
「初回500円!」
とファーストビューへ大きく表示しながら、実際には最低5回の購入が必要で、2回目以降は1回9,000円だったとします。
この場合、消費者が「500円で1回だけ試せる」と受け取る広告になっていれば、実際の取引条件より著しく有利であると誤認させる表示として、景品表示法上の有利誤認が問題になります。
実際に、
初回特別価格で購入できるように見せる
↓
2回目を購入せず解約する場合には通常価格との差額を支払う必要がある定期購入だった
という事例では、景品表示法上の有利誤認表示に当たるとして、適格消費者団体による差止請求が行われた事例があります。
景品表示法では「500円」より広告全体の取引条件を見る
景品表示法で見るべきなのは、「500円」という数字が事実かどうかだけではありません。
たとえば初回商品が本当に500円でも、
「今なら500円でお試し」
と大きく表示し、最低購入回数や2回目以降の価格をページ下部にしか記載していなければ、広告全体として「500円だけで試せる」と受け取られることがあります。
景品表示法では、商品・サービスの価格その他の取引条件について、実際より著しく有利であると一般消費者に誤認される表示が禁止されています。
つまり、
「初回価格そのものは本当だから問題ない」
では終わりません。
価格だけではなく、その価格を利用するために何を約束する必要があるのかまで含めて広告を見る必要があります。
また「通常価格9,800円→初回500円」のように通常価格を比較対照価格として表示する場合は、その「通常価格」の根拠も別途確認します。実際とは異なる価格や、あいまいな比較対照価格を使った二重価格表示は景品表示法上問題となるおそれがあります。
詳しくは「二重価格表示で問題になる8週間ルールや通常価格の考え方」 もご覧ください。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
定期購入LPを見るときに、「初回500円の横に定期購入と書いてあるからOK」と単語単位でチェックすると見落としが出ます。見るべきなのは、ファーストビューから申込ボタンまで見た人が何を契約すると思うかです。
500円だけが視覚的に圧倒的に大きく、継続条件が小さければ、形式的に文字が書いてあっても広告の印象は変わりません。法律に合わせて注釈を追加するというより、最初から価格と契約条件をセットでクリエイティブ設計した方が修正も少なくなります。
事例1:「初回500円」だが最低4回購入が必要なら条件を隠した広告はできない


たとえば健康食品の定期購入LPで、
「初回限定500円」
と大きく表示していたとします。
契約内容は、
初回500円
2回目以降7,980円
最低4回の受取りが必要
というものです。
「500円で1回試せる」と受け取られるLPはNGです。
最低4回購入することが契約条件なら、初回500円だけでは実際の取引条件を十分に表していません。
特定商取引法では、通信販売の広告について、販売価格のほか、契約を2回以上継続して締結する場合の販売条件などを表示することが求められています。消費者庁も、定期購入では消費者が支払う各回の代金や送料、支払総額、商品の引渡時期や回数などが特に問題になる事項と説明しています。
修正するなら、
「初回500円 ※4回の継続購入が条件です」
「2回目以降7,980円」
「4回受取り時の総額○○円」
など、実際の契約内容が理解できる設計にします。
ただし、価格訴求のすぐ近くには500円だけを表示し、継続条件をページ最下部へ追いやる修正では不十分です。
定期購入LPで確認すべき特商法上の表示項目については「定期購入LPの特商法チェック|初回価格・2回目以降価格・総額・解約条件の注意点」で詳しく解説しています。
事例2:「初回無料」でも送料や継続購入が必要なら“完全無料”の印象にしない


たとえば美容液のLPで、
「初回無料!0円でお試し」
という広告で、実際には初回商品代は0円でも送料800円がかかり、さらに2回目以降の商品購入が必要だったとします。
この場合、「費用が一切かからず1回だけ試せる」と受け取られる表示はNGです。
商品代だけが0円であっても、送料や必須の継続購入があるなら、消費者が負担する条件があります。
特商法では販売価格に加えて、送料その他購入者が負担する金銭がある場合、その内容を表示する必要があります。また定期購入であれば継続条件も表示対象です。
景品表示法でも、「無料」という表示によって実際より有利な取引条件だと受け取らせれば有利誤認の問題になります。
有利誤認については「優良誤認・有利誤認とは?」で詳しくまとめています。無料の訴求については「無料」「実質無料」は景品表示法上使える?条件表示と有利誤認の注意点」もご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「無料」は強い言葉なので、制作側ではどうしても大きく見せたくなります。ただ、強いコピーほど、そのコピーを成立させる条件も同じ画面で確認することが望まれます。
無料という言葉を小さくする必要はありません。訴求を弱めるのではなく、「何が無料なのか」「その後どんな契約が続くのか」を一緒に伝える設計にする。規制対応は、強いコピーを削ることではなく、消費者に誤解させず強く見せる方法を考える工程です。
事例3:LPに条件を書いていても最終確認画面で抜ければ特商法上NG


定期購入では、LPだけを直せば終わりではありません。
たとえばサプリメントの定期購入について、LPには、
「定期コース・初回500円」
「2回目以降7,980円」
「いつでも解約可能」
と書かれていたとします。
ところが注文確定直前の最終確認画面では、
「商品価格500円」
としか表示されず、2回目以降の価格や定期購入であることが分からない状態だったとします。この表示は、最終確認画面として不十分です。
特定商取引法では、事業者が用意した最終確認画面などで申込みを受ける場合、分量、販売価格・対価、支払時期・方法、引渡し・提供時期、申込みの撤回・解除に関する事項、申込期間がある場合の内容など、一定の事項を表示する必要があります。また、申込み内容について誤認させる表示も禁止です。
消費者庁の最終確認画面に関する資料でも、定期購入の場合は2回目以降の代金を表示し、契約内容を確認できるようにする例が示されています。
さらに、誤認させる表示によって申込みをした場合には、消費者が契約を取り消せる場合があります。
最終確認画面については「最終確認画面に表示すべき項目とは?2022年改正特商法に対応する通販LP・ECの実務ポイント」で具体的にまとめています。
「初回限定○%OFF」は通常価格の根拠も確認する
価格訴求ではもう一つ確認があります。
たとえば、
「通常価格10,000円
初回限定500円
95%OFF!」
と表示する場合です。
初回500円という販売条件が正しくても、「通常価格10,000円」という比較対照価格に根拠がなければ、二重価格表示として別の問題が生じます。
消費者庁は、同一商品について実際とは異なる価格を比較対照価格に使ったり、比較対照価格をあいまいに表示したりする場合、不当表示に該当するおそれがあると示しています。
そのため、
「初回価格は本当に500円か」
「定期条件は明示されているか」
「通常価格は実在する価格か」
「割引率の計算は正しいか」
を分けて確認します。
「500円が本当だから95%OFFも使える」という判断にはなりません。
実務ではLP・CTA・カート・最終確認画面を一本の導線として確認する
定期購入広告は、LPだけを見ると判断を誤りやすい領域です。
確認したいのは、
LPのファーストビュー
価格表示周辺
申込ボタン周辺
カート画面
最終確認画面
解約条件
返品・キャンセル条件
までの購入導線全体です。
特に「LPでは説明してあるから、カートでは省略してよい」という整理はできません。特商法では最終確認画面そのものに求められる表示があります。
LPとカートで価格や条件が違う場合については「LPとカートで価格・送料・条件が違う場合の特商法リスク」をご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
実務では「LPは制作会社、カートはEC担当、法務確認は公開直前」というように担当が分かれていることがあります。
この体制だと、それぞれの画面は正しくても、購入導線としてつながらないことがあります。
広告は画面単体ではなく、消費者がどの順番で見て申込みに進むかまで含めて設計することが必要です。過去には制作後に法規対応を始めることでLP全体の書き直しにつながった例があります。
価格や定期条件は、コピー完成後にチェックするのではなく、企画時に決める項目と考えておくとスムーズです。
まとめ
「初回500円」「初回無料」は、景品表示法や特定商取引法で一律禁止されている表現ではありません。
実際にその価格で購入でき、定期購入であること、2回目以降の価格、購入回数、総額、解約条件など、契約判断に必要な条件が正しく伝わる広告であれば使えます。
一方で、
「500円で1回だけ試せる」
「完全に無料で試せる」
「いつでも何の負担もなくやめられる」
と受け取られる広告なのに、実際の契約条件が異なる場合はNGです。
景品表示法では、価格や契約条件を実際より著しく有利に見せていないかを確認します。
特定商取引法では、通信販売広告に必要な事項に加え、最終確認画面で定期購入の内容を消費者が明確に確認できるかを確認します。広告制作では、この二つは同じ規制ではない点を理解しておくとスムーズです。
定期購入LPの広告審査では、「初回価格が本当か」だけで終わらず、LPから最終確認画面まで見た消費者が、最終的に支払う金額と契約条件を正しく理解できるかを見ることが実務上の基本です。
景品表示法違反になりやすい価格表示については「二重価格表示とは?景品表示法違反になりやすい通常価格・セール価格・割引率の注意点」をご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、以下の法令、消費者庁・特定商取引法ガイド等の公的資料を参考に、「初回500円」「初回無料」「初回限定○%OFF」等の定期購入広告について、景品表示法上の有利誤認・二重価格表示、特定商取引法上の通信販売広告、定期購入条件および最終確認画面の表示義務を整理しています。
個別の表示の適否は、初回価格、2回目以降の価格、送料、購入回数、支払総額、解約・返品条件、比較対照価格、LP・カート・最終確認画面を含む購入導線全体の表示などにより判断が異なるため、必要に応じて最新の公的資料や専門家への確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134(参照日:2026年08月14日)
- e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057(参照日:2026年08月14日)
- 消費者庁「景品表示法」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「表示規制の概要」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「有利誤認とは」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/advantageous_misidentification/(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「表示に関するQ&A」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「二重価格表示」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/(参照日:2026年08月14日)
- 公正取引委員会「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方(価格表示ガイドライン)」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/(参照日:2026年08月14日)
- 消費者庁「通信販売広告Q&A」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「ガイドライン|通信販売」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/guidelines.html(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20220601la02_07.pdf(参照日:2026年08月14日)
- 消費者庁「通信販売における“最終確認画面”について」特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230628ac01.pdf(参照日:2026年08月14日)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」消費者庁. https://www.no-trouble.caa.go.jp/(参照日:2026年08月31日)
- 消費者庁「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」消費者庁. https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/violation/(参照日:2026年08月31日)
免責事項
本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
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