「医薬部外品なら『ニキビを治す』まで言えるのでは?」。薬用化粧品のLP(ランディングページ)やSNS広告で、よく出る疑問です。結論からいうと、一般的なニキビ予防の薬用化粧品で「ニキビを治す」は使えません。通常認められるのは「にきびを防ぐ」などであり、「治す」は治療効果まで標ぼうする表現だからです。本記事では、ニキビと肌荒れの表現を、一般化粧品との違いも含めて整理します。
「ニキビを治す」はNG、「ニキビを防ぐ」は承認確認が必要
一般的な薬用化粧品で「ニキビを治す」「できたニキビを改善する」「ニキビを根本治療する」はNGです。「薬用」「医薬部外品」と表示できても、医薬品のような治療効果まで自由に表現できるわけではありません。
一方、「ニキビを防ぐ」は、その製品が当該効能で承認されていれば使えます。薬用化粧品の効能範囲には、化粧水やクリーム等の「にきびを防ぐ」、薬用石けんの「体臭・汗臭及びにきびを防ぐ」等が示されています。ただし、効能は品目ごとに承認されます。商品名に「薬用」とあるだけで、ニキビ予防を広告できるとは限りません。
肌荒れも同じです。「肌荒れを治す」「炎症を改善する」「赤みを鎮める」は通常使えません。「肌荒れを防ぐ」「肌を整える」などは、承認効能や化粧品の効能範囲と一致する場合に表現できます。
なお、一般化粧品ではどこまでニキビ表現が使えるのかは、「化粧品広告で『ニキビを治す』は使える?洗浄によるニキビ予防・薬用化粧品との違い」で詳しくまとめています。
薬用化粧品の「治す」が薬機法上NGになる理由
薬機法第66条は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の効能効果について、明示・暗示を問わず虚偽または誇大な広告を禁止しています。医薬品等適正広告基準も、承認を要する医薬部外品の効能効果表現を承認範囲内に限定しています。
「防ぐ」は発生予防ですが、「治す」は、すでに生じた症状の治療です。承認効能が予防にとどまる製品で治療まで標ぼうすれば、承認範囲を超えます。日本化粧品工業会のガイドラインでも、「治癒、回復、改善、治る、治療」等は原則として化粧品等に使わず、医薬部外品で個別承認を得た場合だけ承認範囲内で使えると整理されています。
「ニキビに」「ニキビケア」へ言い換えても解決しません。承認効能が「○○を防ぐ」の製品について、単に「○○に」と表示しないよう業界ガイドラインは示しています。「ニキビケア」の周囲に、ニキビが消える画像や「治った」という体験談があれば、広告全体として治療効果を暗示します。
薬用化粧品との違いを整理するには「化粧品で認められる56項目の効能効果とは? 」もあわせて確認しておくと判断しやすくなります。
事例1|薬用美容液の「今ある大人ニキビを治す」はNG

たとえば、医薬部外品の美容液LPで「今ある大人ニキビを治す」「繰り返すニキビを根本改善」と表示したケースです。承認効能が「にきびを防ぐ」であれば、今ある症状の治療や根本改善までは表現できません。
修正は「治す」を「ケアする」に替えるだけでは足りません。企画の中心を治療から予防へ変更し、承認が確認できる場合は「ニキビを防ぐ薬用美容液」とします。そのうえで、保湿、使用感、日常の手入れへの取り入れやすさなど、商品事実へ訴求を広げます。
見出しだけでなく、ファーストビュー、本文、体験談、成分説明、CTAまで確認する方法は「医薬部外品LPの薬機法チェック」で詳しくまとめています。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
制作現場で起きやすいのは、見出しの「治す」だけを直し、LP全体には治療のストーリーが残る状態です。一般化粧品の「シワ改善」を主軸にしたLPが、単語修正ではストーリーを保てず、全面的な組み直しになった事例と同じです。企画の主語が「症状を治す」のままなら、末端コピーの置換では通りません。
事例2|「ニキビを防ぐ」と書いても、治癒画像があればNG


承認効能に「にきびを防ぐ」がある薬用洗顔料で、「洗顔でニキビを防ぐ」と表示することは可能です。薬用石けんの効能範囲には、主剤に応じて「皮膚の清浄・殺菌・消毒。体臭・汗臭及びにきびを防ぐ」または「皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ」が示されています。
ただし、横に「7日でニキビが消えた」というビフォーアフター画像を置けばNGです。文字より画像が「治った」と強く伝えるからです。景品表示法上も、具体的な効果や期間を示す表示には、その表示と対応する合理的根拠が求められます。
修正するなら治癒画像を外し、使用方法、泡立ち、洗浄後の使用感などへ置き換えます。効能は承認どおり「ニキビを防ぐ」と明示します。
ニキビが消えたように見せる写真を含め、「医薬部外品広告でビフォーアフター画像をどこまで使える?」もあわせて確認してください。
事例3|薬用クリームの「肌荒れ改善・赤み鎮静」はNG


薬用クリームについて、承認された効能効果を超えて「肌荒れ改善」「炎症を抑えて赤みを鎮静」と表示することは避ける必要があります。薬用化粧品の効能範囲には「肌あれ。あれ性。」や「にきびを防ぐ」等がありますが、炎症治療や赤みの改善まで一般化できません。
訴求したいのが日常的な肌の手入れであれば、「肌荒れを防ぐ」「肌を整える」「皮膚にうるおいを与える」など、承認内容と商品特性に沿って組み直します。
なお、一般化粧品でも「肌荒れを防ぐ」は効能範囲に含まれ、洗顔料では「洗浄によりニキビを防ぐ」と表現できます。一般化粧品だから予防表現を一切使えない、という整理も誤りです。
なお「薬用だから言える」「一般化粧品だから言えない」と単純には分けられません。化粧品と医薬部外品の違いについては「化粧品と医薬部外品の違いとは?」でまとめています。
実務では承認書から訴求の上限を決める
最初に確認するのは、容器の「医薬部外品」表示だけではありません。製造販売業者から、当該品目の承認書、承認された「効能又は効果」、有効成分、用法を入手します。
承認効能を抜き出し、治療・改善・鎮静・根治など承認を超える企画語を外したうえで、画像、グラフ、体験談、専門家コメント、注釈、CTA(行動の指示)まで確認します。
訴求を残すには、効能だけに頼らないことです。ニキビ予防の承認があるなら、その効能を明示し、泡、テクスチャー、香り、使用感、容器、朝晩の使用場面など、事実に基づく商品価値を組み合わせます。成分研究を見つけても、その結果を直ちに商品効果へ置き換えてはいけません。



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「法律上説明できること」と「媒体審査を通ること」は別です。出稿先が決まっているなら、承認効能と媒体基準を企画段階で確認します。また、根拠は集めて終わりではなく、表示内容と対応する形へ変換しなければなりません。商品設計や使用条件を先に確認する姿勢も、コピーの後工程だけで直さないために欠かせません。
医薬部外品の承認効能全体は医薬部外品の効能効果と広告表現で、区分の違いは化粧品と医薬部外品の違いで確認できます。
一般化粧品との境界は化粧品広告で「ニキビを治す」は使える?、LP全体の確認方法は医薬部外品LPの薬機法チェックへつなげます。
まとめ
一般的な薬用化粧品で「ニキビを治す」は使えません。「治す」は、通常の承認効能である「ニキビを防ぐ」を超える治療表現です。「肌荒れを改善する」「赤みを鎮める」も、個別承認がない限りNGです。
一方、「ニキビを防ぐ」「肌荒れを防ぐ」は、製品の承認効能や化粧品効能の範囲に合致すれば使えます。確認すべきものは商品名の「薬用」ではなく、品目ごとの承認内容です。承認書を起点に、コピー、画像、体験談、CTAまで同じ効能範囲にそろえてください。
医薬部外品広告について体系的に理解したい方は「医薬部外品の効能効果と広告表現|美白・シミ・育毛・ニキビ・デオドラントの注意点」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、関係法令や公的機関、業界ガイドライン等の公式資料に基づき、薬用化粧品および医薬部外品における「ニキビ予防」「ニキビ治療」「肌荒れ」「赤み」に関連する訴求について、薬機法が定める承認効能の範囲や医薬品等適正広告基準、一般化粧品との差異、薬用石けんの個別規制、さらに景品表示法上の不当表示(優良誤認・不実証広告)防止の観点から解説しています。
実際の広告表現については、各製品の承認情報や配合成分、具体的な効能、使用方法、商品分類のほか、コピーやビジュアル、体験談、エビデンス、全体的な印象によって適否の判断が分かれるため、必要に応じて最新の公的文献や専門家への照会、承認書の内容確認を行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月04日)
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- 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf(参照日:2026年08月04日)
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- 厚生労働省「薬用石けんの承認審査に係る留意事項について」(平成30年3月29日薬生薬審発0329第13号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3299&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年08月04日)
- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日薬食発0721第1号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7518&dataType=1(参照日:2026年09月03日)
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