「毛穴改善」「開いた毛穴を改善」「使うほど毛穴が小さくなる」。一般化粧品の広告では、これらの表現は使えません。
一方で、「毛穴」という言葉そのものがNGなわけではありません。洗顔料やクレンジングで、毛穴にたまった汚れを洗い流す。メイクアップ効果によって毛穴を目立たなく見せる。このように、一般化粧品に認められた効能や物理的効果の範囲であれば表現できます。
黒ずみや角栓も同じです。「何を、どのような作用で変えるのか」を分けて考える必要があります。本記事では一般化粧品を中心に、「毛穴改善」「黒ずみ」「角栓」「引き締め」の広告表現を整理します。
「毛穴改善」「毛穴を小さくする」はNG
一般化粧品では、「毛穴改善」「開いた毛穴を改善」「毛穴を小さくする」といった表現はNGです。
薬機法第66条は、化粧品の効能・効果について虚偽・誇大な広告を禁止しています。さらに、一般化粧品で標ぼうできる効能は定められた範囲内で考える必要があります。日本化粧品工業会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」も踏まえ、一般化粧品について毛穴そのものの状態が改善・回復すると受け取られる表現は、化粧品の効能範囲を超えないか確認する必要があります。
したがって、「改善」を「ケア」に変えれば解決するわけではありません。
たとえば「開いた毛穴を集中ケア。使うほど目立たない毛穴へ」というコピーでも、ビジュアルで大きな毛穴が徐々に小さくなる様子を示していれば、広告全体として毛穴そのものの縮小・改善を訴求しています。
言葉だけではなく、画像、図解、Before/After、動画、体験談まで含めて判断します。化粧品では、56項目以外でも事実に基づくメーキャップ効果や使用感などを表現できる場合がありますが、薬理作用による効能へ広げることはできません。
化粧品で認められる効能範囲そのものは、化粧品で認められる56項目の効能効果とは?で確認できます。
黒ずみは「何による黒ずみか」で判断が変わる
「毛穴の黒ずみ」まで全部NGにすると、逆に表現できる範囲を狭めすぎます。
洗顔料やクレンジングで、皮脂、汚れ、古い角質などを洗浄によって取り除くのであれば、その事実を広告する余地があります。「毛穴に残った汚れを洗い流す」「汚れによる毛穴の黒ずみを落とす」といった方向です。日本化粧品工業会のガイドラインでも、洗浄等による物理的効果や、古い角質を取り除く表現には一定の範囲が認められています。
反対に、黒ずみの原因をメラニンや皮膚内部の変化として説明し、「黒ずみを薄くする」「色素沈着を改善する」と訴求するのであれば話が変わります。一般化粧品の洗浄効果から外れるため、そのままでは使えません。
シミやメラニンに関する表現との違いは、化粧品広告で「シミが消える」は使える?メーキャップ効果・日やけによるシミ予防との違いで確認してください。
事例1:洗顔料で「毛穴の黒ずみを改善」

洗顔料のLP(ランディングページ)で「毛穴の黒ずみを改善」と表示するケースです。
この表現はNGです。「改善」では、単に汚れを洗い落とす以上の変化まで受け取られます。
訴求したい商品事実が洗浄力であれば、「毛穴に残った汚れを洗い流す」「汚れによる毛穴の黒ずみを洗浄」と、洗浄の範囲へ戻します。
ここで「1回で黒ずみ90%減」「使用直後に毛穴汚れ95%除去」などの数値を付ける場合は、薬機法だけでは終わりません。景品表示法では、表示した効果・性能と適切に対応する客観的な根拠が必要です。測定方法、対象者、使用条件などを確認しなければなりません。
薬機法上表現できる範囲に収まっていても、数値や効果を実際以上に見せれば景品表示法上の問題は別に生じます。効果・性能表示と優良誤認の考え方は「優良誤認・有利誤認とは?景品表示法の不当表示を広告実務者向けに解説」で詳しくまとめています。
江良公宏薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
「黒ずみ」という単語を消すかどうかから考えると、修正が難しくなります。先に確認したいのは、「この広告は何が原因の黒ずみだと説明しているのか」です。汚れを落とす話なのか、メラニンや皮膚そのものを変える話なのか。ここが決まれば、使える表現の方向もかなり明確になります。広告表現はNGワード探しではなく、どの効果を消費者へ約束しているのかを整理する作業です。
事例2:「毛穴をキュッと引き締める」化粧水


一般化粧品では「肌をひきしめる」は認められた効能です。
では、「毛穴を引き締める」も同じでしょうか。
江良の実務判断では、一般化粧品で「毛穴を引き締める」は避けます。認められている「肌をひきしめる」から、毛穴そのもののサイズや構造が縮小する効能へ広がって受け取られるおそれがあるためです。「肌」を「毛穴」へ置き換えることで、毛穴のサイズや構造そのものが縮小する効能として受け取られやすくなるためです。
化粧水であれば「肌をひきしめる」「肌のキメを整える」など、認められた効能へ戻します。
一方、化粧下地などで実際に光学的・物理的に毛穴を隠すのであれば、「メーキャップ効果により毛穴を目立たなく見せる」という設計は可能です。事実に基づくメーキャップ効果は、通常の化粧品効能とは別に表示できる範囲があります。
事例3:「角栓を溶かして再発を防ぐ」毛穴ケア商品


毛穴ケア商品で「角栓を溶かして再発を防ぐ」という表現は、そのままではNGです。
特に問題なのは「再発を防ぐ」です。一般化粧品に、将来の角栓形成を防止する効能は認められていません。「角栓ができにくい肌へ」「角栓を根本改善」と広げることもできません。
一方、「角栓を溶かす」は、単語だけで即NGとは言い切れません。洗浄時に角栓をほぐす、溶解させて除去するといった製品事実が客観的に確認でき、広告全体も洗浄による物理的効果にとどまるのであれば、表現を設計できる余地があります。
実務では「角栓を取り除く」「毛穴汚れを洗い流す」など、商品を使うことで何が起きるのかを洗浄行為に結び付けて示したほうが整理しやすくなります。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
NGコピーだけを言い換えても、広告のストーリーそのものがNG効能を前提に作られていれば解決しません。過去の事例でも、一般化粧品のLPを「シワ改善」を中心に組み立てた結果、部分的な言い換えでは全体の訴求が崩れ、LPを書き直す判断になったケースがあります。 毛穴広告でも同じです。企画時点で「洗浄」「使用感」「メーキャップ効果」のどこを主訴求にするのか決めたほうが、後工程の手戻りを減らせます。
景品表示法では「その効果を本当に示せるか」を別に確認する
薬機法上の表現範囲に収めても、景品表示法の確認は別に必要です。
たとえば「毛穴汚れを従来品の2倍除去」「使用者の98%が毛穴の目立ちにくさを実感」などと表示するなら、その表示内容に対応する合理的根拠が必要です。
消費者庁の不実証広告規制では、提出資料が客観的に実証された内容であることに加え、広告した効果・性能と資料によって実証された内容が適切に対応していることが求められます。
「試験をしたからOK」ではありません。測ったものと広告で言っているものが同じか確認します。
毛穴の「構造変化」ではなく商品事実へ訴求を戻す
毛穴広告を修正するときは、一般化粧品か薬用化粧品か、商品区分を確認します。薬用化粧品でも、承認された効能を超えて「毛穴改善」まで広げることはできません。
次に、洗顔料・クレンジングなのか、化粧水・美容液なのか、化粧下地なのかを確認します。
洗浄商品なら「何を落とすのか」。スキンケアなら「肌を整える」「肌をひきしめる」「キメを整える」など認められた効能へ戻せないか。メイク商品なら、実際のメーキャップ効果として毛穴を目立たなく見せられるか。ここから組み直します。
コピーだけでなく、毛穴が縮むCG、断面図、Before/After、口コミ、CTA(行動の指示)まで確認してください。LP全体の見方は「化粧品LPの薬機法チェック|ファーストビュー・CTA・口コミ・Before/Afterの注意点」、言い換えの設計は「薬機法対応の化粧品表現言い換え集|NGになりやすい効能効果表現とリライトの考え方」をご覧ください。



薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
法律上説明できる表現と、媒体審査で通る表現は同じとは限りません。過去のメルマガでも、法令上説明できる内容であっても、媒体独自の考査で止まることがあると整理しています。 毛穴表現はビジュアルとの組み合わせで印象が強くなりやすいため、商品区分、主訴求、根拠資料、出稿媒体を制作前に決めておくことが、攻める表現を残すうえでも有効です。
まとめ
一般化粧品で「毛穴改善」「毛穴を小さくする」は使えません。「肌をひきしめる」は認められていますが、「毛穴を引き締める」へ拡張するのも避けます。
一方、毛穴の汚れや汚れによる黒ずみを洗浄で落とす表現、事実に基づいて角栓を除去する表現、メーキャップ効果で毛穴を目立たなく見せる表現には設計の余地があります。
確認すべきなのは「毛穴」という単語ではありません。広告が消費者に、洗浄を伝えているのか、見た目の補整を伝えているのか、それとも毛穴そのものの構造変化を約束しているのかです。ここを分ければ、NGを避けながら商品の訴求も残しやすくなります。
化粧品広告について体系的に理解したい方は「薬機法対応の化粧品表現言い換え集|NGになりやすい効能効果表現とリライトの考え方」もご覧ください。
広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「![]()
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参考情報・引用元
本記事は、関連する法令や公的機関、業界団体等の公式資料に基づき、一般化粧品広告における「毛穴の黒ずみ」「角栓の除去」「引き締め」「毛穴を小さく見せる」といった訴求について、薬機法が定める化粧品の効能範囲や洗浄に伴う物理的効果、メーキャップ効果による変化、さらに景品表示法上の不当表示(優良誤認・不実証広告)防止の観点から解説しています。
個別の広告表現の妥当性は、製品の区分や剤型、具体的な作用機序、対象とする汚れの性質、実施された試験条件のほか、ビジュアルや比較画像、動画を含む広告全体の印象、根拠となるエビデンスの内容によって判断が分かれます。そのため、実際の運用にあたっては、最新の公的文献や専門家への照会、承認書の内容確認を適宜行ってください。
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)」e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145(参照日:2026年08月19日)
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- 厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(昭和55年10月9日薬監第123号)厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6994&dataType=1&pageNo=1(参照日:2026年09月07日)
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