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ステルスマーケティングとは?景品表示法のステマ規制を広告実務者向けにわかりやすく解説

ステルスマーケティング規制を解説する記事のヘッダー画像。SNSアイコンと法的コンプライアンスを示すチェックマークが描かれた概念図

「インフルエンサーに商品を提供しただけでもPR表記が必要なのか」
「口コミ投稿を条件にクーポンを渡すとステルスマーケティングになるのか」
「投稿に#PRを付ければ十分なのか」

SNSや口コミを使った施策では、このような判断に迷う場面が増えています。

ステマ、いわゆるステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、そのことを隠して第三者の感想や口コミのように見せる表示です。2023年10月1日からは、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示として、景品表示法上の不当表示に位置づけられています。

ただし、実務で確認すべきなのは「PRという文字を入れたか」だけではありません。事業者が投稿内容の決定にどの程度関与したのか、広告であることが表示全体から明瞭に分かるのか、投稿内容が薬機法や医療広告ガイドラインなど別の規制に触れないかを分けて考える必要があります。

この記事では、ステマ規制の基本から、SNS、インフルエンサー、口コミ、アフィリエイト広告での判断軸、違反時の措置、広告主が整えるべき管理体制までを広告実務者向けに整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • ステルスマーケティングの判断軸:事業者が投稿内容の決定に関与している表示でありながら、一般消費者が広告・宣伝であることを判別しにくい場合は、ステマ規制上の問題となる可能性があります。
  • PR表記は表示全体で判断する:「#PR」を付けることは対応の一つですが、ハッシュタグの中に埋もれている、別のリプライだけにある、動画の冒頭に一瞬しか出ないなど、消費者が認識しにくい表示では不十分となる場合があります。
  • 広告主側の管理が必要:投稿者や制作会社に任せるのではなく、契約、投稿指示、公開前確認、公開後のモニタリング、二次利用、証跡保存までを広告主側の管理フローに組み込むことが実務上の対策になります。
目次

ステマ規制とは?ステルスマーケティングをわかりやすく解説

ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず広告であることを隠し、一般消費者に第三者の自主的な感想や口コミであるかのように見せる表示です。問題になるのは、書かれている内容が虚偽かどうかだけではありません。広告主との関係が見えない状態で、消費者の商品選択に影響を与えることが問題になります。

ステマの意味

「ステマ」はステルスマーケティングの略称です。消費者庁は、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠す行為をステルスマーケティングと説明しています。消費者は企業の広告だと分かっていれば、一定の宣伝的な要素があることを踏まえて内容を受け取れます。一方、第三者の中立的な感想だと思えば、同じ内容でもより強く信用する可能性があります。

たとえば、企業がインフルエンサーに商品紹介を依頼し、投稿内容や掲載時期を調整しているにもかかわらず、その依頼関係を表示しなければ、消費者には自主的なおすすめ投稿に見える可能性があります。

広告と口コミの違い

通常の広告、通常の口コミ、ステルスマーケティングになり得る表示は、次のように整理できます。

区分投稿・表示への事業者の関与消費者からの見え方主な確認ポイント
通常の広告事業者が自ら作成している、または第三者の表示内容の決定に関与している 広告であることが明瞭表示内容の正確性、根拠、関連法令
通常の口コミ消費者が自発的に投稿している第三者の自主的な感想事業者の依頼・指示・選別の有無
ステルスマーケティングになり得る表示事業者が内容の決定に関与している自主的な口コミのように見える関与の程度と広告表示の明瞭性

ここで大事なのは、投稿者の名義ではなく、表示内容が誰の意思によって決められているかです。

インフルエンサー本人のアカウントから投稿されていても、企業が文章、画像、訴求内容、投稿タイミングなどを実質的に決めていれば、「事業者の表示」に当たる可能性があります。反対に、商品について第三者が自らの意思で投稿した内容は、通常、直ちに事業者の表示とは扱われません。

なぜステルスマーケティングが問題になるのか

ステルスマーケティングが問題になるのは、広告内容の真偽とは別に、消費者が情報の性質を誤認するためです。

たとえば、「使いやすかった」という内容自体が投稿者の本当の感想であっても、企業から報酬を受け、紹介を依頼された事実が隠れていれば、消費者は中立的な評価だと受け取るかもしれません。

したがって、実務では「本当の感想だから問題ない」と考えるのではなく、次の2点を確認します。

  1. 事業者が表示内容の決定に関与しているか
  2. 関与している場合、広告・宣伝であることが明瞭に表示されているか

ステマ規制は単なる炎上対策ではありません。広告と第三者評価の境界を明らかにし、消費者が情報の性質を理解したうえで商品やサービスを選択できるようにするための表示規制です。

ステマ規制とは?景品表示法との関係

ステルスマーケティング規制と景品表示法の関係性を解説するためのイメージ図

ステマ規制とは、事業者の広告であることを一般消費者が判別しにくい表示を、景品表示法上の不当表示として規制する仕組みです。2023年10月1日から、景品表示法第5条第3号に基づく指定告示として施行されています。

ステマ規制はいつから始まったのか

日本では2023年10月1日から、ステルスマーケティングが景品表示法上の規制対象になりました。

対象となるのは、施行日以降に新たに公開された投稿だけではありません。施行日前に掲載された表示であっても、それが「事業者の表示」に当たり、施行日以降も継続して閲覧可能な状態にある場合には、広告・宣伝であることが一般消費者に明瞭となっているかを確認する必要があります。

消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q20でも、施行前の投稿が施行後も継続して表示されている場合、表示の仕方によっては行政処分の対象となる可能性が示されています。 

そのため、企業の公式サイト、過去のLP、SNSの固定投稿、インフルエンサー投稿の二次利用なども、現在公開されているものは確認対象に含めるのが実務的です。

景品表示法第5条第3号との関係

景品表示法第5条では、不当表示を大きく次のように整理しています。

  • 商品・サービスの品質や内容を著しく優良に見せる優良誤認表示
  • 価格や取引条件を著しく有利に見せる有利誤認表示
  • その他、一般消費者に誤認されるおそれがあるとして指定された表示

ステルスマーケティング告示は、3つ目の「指定された表示」に位置づけられます。正式には、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が対象です。

つまり、ステマ規制では商品の品質や価格が事実と違うかどうかよりも、事業者の表示であることが分かりにくいかどうかが中心的な論点になります。

ただし、一つの広告がステルスマーケティング告示だけでなく、優良誤認表示や有利誤認表示にも同時に該当することはあります。PR表示の確認と、広告内容の根拠確認は分けて行う必要があります。

景品表示法の概要は「景品表示法とは」「優良誤認・有利誤認とは」で詳しく解説しています。

規制対象は原則として広告主

ステルスマーケティング告示の規制対象は、自己の商品・サービスに関する表示内容の決定に関与した事業者、いわゆる広告主です。

広告主から依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは、原則としてステルスマーケティング告示の直接の規制対象ではありません。ただし、広告主と共同して商品やサービスを供給しているなど、例外的な関係では扱いが変わる可能性があります。

ここを「インフルエンサーが処分されないなら、投稿者に任せればよい」と捉えるのは適切ではありません。広告主は、外部の投稿者が作成する表示についても、依頼内容、表示ルール、確認方法を管理する必要があります。

広告代理店や制作会社についても、直接の処分対象になるかという問題とは別に、委託業務、契約責任、クライアントへの説明責任、媒体審査への対応が生じます。実務では、広告主だけの問題として切り離さず、関係者全体で管理フローを作ることが重要です。

ステルスマーケティングになる表示・ならない表示の判断基準

ステマ規制の確認は、「事業者の表示に当たるか」と「広告であることが明瞭か」の二段階で考えると整理しやすくなります。特定の謝礼やキーワードだけで一律に決めるのではなく、事業者と投稿者の関係、依頼内容、表示全体を総合して確認します。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
広告実務で最初に確認したいのは、「#PRが入っているか」より前の段階です。
誰が投稿を企画し、誰が内容を決め、どのような対価や関係性があったのか。ここを整理しないまま、最後にPR表記だけを足しても、判断を誤りやすくなります。
ここで大事なのは、「広告であることを隠す設計になっていないか」という視点です。投稿者の名義だけでなく、依頼から公開、二次利用までの流れを一つの広告施策として確認することが必要です。

判断1:事業者が表示内容の決定に関与しているか

最初に確認するのは、第三者の投稿が実質的に「事業者の表示」といえるかです。

次の事情を踏まえ、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるかを総合的に判断します。

  • 表示内容、評価、訴求表現等を具体的に依頼・指示しているか
  • 事業者と投稿者との間で、どのようなやり取りが行われたか
  • 金銭、商品提供、招待等の対価があり、その主な目的が宣伝であるか
  • 過去および今後の取引関係が、投稿内容に影響する関係であるか
  • 投稿者が自主的に内容を決めたと客観的に認められるか

事前確認については、客観的な誤記等の訂正と、自社に都合のよい評価への変更指示を区別します。

一方、第三者が自ら商品を購入し、自主的な意思で投稿した場合は、通常、事業者の表示には当たりにくいと考えられます。

商品を無償提供しただけの場合は、それだけで結論が決まるわけではありません。提供の経緯、投稿の依頼、過去や今後の取引関係、投稿内容への指示などを含めて判断します。消費者庁の運用基準でも、報酬の有無だけではなく、事業者が第三者の表示内容を決定できる関係にあったかを総合的に確認する考え方が示されています。

判断2:広告であることが明瞭に分かるか

事業者の表示に当たる場合は、一般消費者が広告・宣伝であることを認識できるように表示します。

表示例としては、次のような文言が考えられます。

  • 広告
  • 宣伝
  • PR
  • プロモーション
  • ○○社から商品の提供を受けて投稿しています
  • ○○社から依頼を受けて紹介しています

ただし、特定の文言を入れれば自動的に十分となるわけではありません。

文字が極端に小さい、背景と同化している、多数のハッシュタグの中に埋もれている、投稿本文から離れた場所にだけあるなど、一般消費者が気付きにくい表示は、広告であることが明瞭とはいえない可能性があります。

ステルスマーケティング判断の実務フロー

確認段階質問対応の方向性
1事業者から投稿の依頼や誘導があるか依頼内容と証跡を確認する
2投稿内容、評価、画像、日時などを指定しているか事業者の表示となる可能性を確認する
3報酬、商品提供、割引、今後の取引があるか関係性を総合的に確認する
4広告・PRであることが投稿内で明瞭か位置、色、文字サイズ、表示時間を確認する
5投稿内容自体に別法令上の問題がないか景表法、薬機法、健康増進法等を確認する
6自社サイトや広告へ二次利用するか二次利用後の広告全体を改めて確認する

特に見落としやすいのが二次利用です。

第三者が自主的に投稿した内容であっても、広告主が自社LPに転載し、良い口コミだけを選んで配置すれば、そのLP上の表示は広告主が構成した表示として確認する必要があります。

消費者庁Q&Aでは、第三者の投稿を無作為に抽出し、内容を変更せず掲載する場合などには、ステルスマーケティング告示上の「事業者の表示」に当たらないケースも示されています。一方、事業者に都合のよい内容だけを選び、編集・強調する場合は、事業者の表示となる可能性があります。

なお、ステルスマーケティング告示上の整理と、薬機法や医療広告ガイドラインにおける広告該当性は同じではありません。自社LPへ口コミを掲載する場合は、ステルスマーケティング告示だけでなく、広告内容全体を別途確認してください。

SNS・インフルエンサー投稿で注意すべきPR表記

SNSのステルスマーケティング対策では、PR表記の文言だけでなく、スマートフォン画面で実際にどのように見えるかを確認します。投稿本文、画像、動画、音声、字幕、ハッシュタグ、コメント欄を一体として見る必要があります。

「#PR」を入れれば十分とは限らない

「#PR」は広告であることを示す方法の一つです。ただし、次のような入れ方では、消費者が認識しにくい可能性があります。

  • 数十個のハッシュタグの最後にだけ付ける
  • 投稿本文ではなくリプライやツリーにだけ表示する
  • プロフィール欄に「PR案件を投稿します」とだけ書く
  • 動画冒頭に短時間だけ表示する
  • 背景と同系色の小さな文字で表示する
  • 「コラボ」「サポート」「アンバサダー」など、広告関係が明確でない表現だけを使う

消費者庁Q&Aでは、投稿本文ではなくツリーやリプライに広告表示を置く方法について、一般消費者が気付かないおそれがあるとされています。また、動画では、冒頭の表示だけでは、途中から視聴した消費者が広告表示を見逃す場合があります。事案によっては冒頭表示だけでは不十分となるため、動画全体を通じて広告であることが明瞭になるようにしておくことが望ましいとされています。 

媒体別に見るPR表記の実務上の配置例

次の表は法令上の一律ルールではなく、媒体の仕様を踏まえた実務上の確認例です。媒体の表示仕様や広告ポリシーは変更されることがあるため、公開時点の仕様も確認してください。

媒体PR表示の配置例追加で確認すること
X投稿本文の冒頭または認識しやすい位置リプライだけに表示していないか
Instagramキャプションの冒頭付近、タイアップ投稿ラベル「続きを読む」の後に隠れないか
YouTube動画内表示、口頭説明、概要欄の組合せ冒頭の一瞬だけになっていないか
TikTok・ショート動画画面内で十分に認識できる時間表示字幕や背景に埋もれていないか
ライブ配信配信中の定期的な説明、画面表示途中参加者にも広告だと分かるか
ストーリーズ各投稿画面で認識できる表示次の画面へ移る前に読めるか

動画やストーリーズでは、ユーザーが途中から見る、音声を出さずに見る、切り抜きだけを見るといった利用状況も想定します。

「概要欄を見れば分かる」「最初から見れば分かる」という設計ではなく、消費者が実際に接触する表示面だけを見ても広告であると認識できるかを確認することがポイントです。

投稿内容自体の確認も必要

PR表記が適切でも、投稿内容が自由になるわけではありません。

たとえば、健康食品について「病気が治った」、一般化粧品について「シワを改善した」、美容医療について「必ず理想の顔になれる」などと表示すれば、ステマ規制とは別に薬機法、健康増進法、景品表示法の優良誤認などの問題が生じる可能性があります。

SNS施策では、少なくとも次の項目を投稿者へ共有します。

  • 商品区分と広告で言える範囲
  • 使用を避ける表現や演出
  • PR表記の文言と位置
  • 投稿前確認の有無
  • 修正が必要な場合の連絡方法
  • コメントへの回答方針
  • 公式アカウントでの転載・二次利用条件

インフルエンサーの自然な言葉を尊重することと、広告主が広告管理を行わないことは同じではありません。投稿者の個性を残しつつ、広告表示と法令上の範囲を共有する必要があります。

化粧品の口コミについては「化粧品の口コミは薬機法違反になる?インスタPR投稿・Before/After画像の注意点 」で詳しく解説しています。

アフィリエイト広告・ランキングサイト・比較記事とステマ規制

アフィリエイト広告でも、サイト冒頭に「広告を含みます」と表示しただけで、常に対応が完了するわけではありません。一般消費者が記事全体を見たときに、どこまでが広告主の関与した表示なのかを明瞭に理解できる必要があります。

アフィリエイト広告も確認対象になる

アフィリエイト広告では、成果報酬の有無だけでなく、広告主が商品説明、訴求表現、順位、使用キーワード、原稿修正等を通じて、表示内容の決定に関与しているかを確認します。 

広告主が原稿を直接作成していなくても、商品説明資料や訴求文を渡す、使用するキーワードを指定する、掲載内容を修正するなどの関与があれば、広告主側の表示管理が求められます。

規制対象となる主体は原則として広告主ですが、だからこそ「外部サイトなので把握していなかった」という状態を避けるための管理が必要です。消費者庁の管理指針でも、アフィリエイターへ表示方針や根拠情報を共有し、ASPなどを通じた相談・確認体制を構築する例が示されています。

冒頭の広告表示だけで足りない場合

記事の冒頭に広告表示があっても、次のような場合は全体として分かりにくくなる可能性があります。

  • 広告表示の文字が小さく、本文と比べて目立たない
  • 広告表示とランキング部分が大きく離れている
  • 一部だけが広告で、他の比較は中立的な調査であるように見える
  • 「専門家のおすすめ」と表示しながら、依頼関係を説明していない
  • 広告主が順位を指定しているのに、独自調査のランキングに見せている

ランキング、比較表、専門家コメントなど、第三者の客観的評価に見えやすい部分では、その付近で広告主との関係を明確にする設計が有効です。消費者庁Q&Aでも、冒頭の表示だけで足りるかは、文字サイズ、色、表示内容全体などを踏まえて判断するとされています。

ランキング・比較・専門家コメントの注意点

アフィリエイト記事では、ステマ規制と同時に、表示内容の根拠も確認します。

たとえば、広告主からの報酬額が高い順に並べたランキングを「利用者満足度ランキング」と見せれば、ランキングの作成方法と表示内容が整合していない可能性があります。

専門家コメントについても、報酬を支払って依頼したコメントであれば、第三者の中立的評価と誤認されないようにします。また、専門家の資格や専門分野が、評価対象の商品やサービスと関係しているかも確認が必要です。

アフィリエイト広告で広告主が整えるべき項目は、次のとおりです。

  • ASP・アフィリエイターとの契約上の広告表示義務
  • 禁止表現と使用可能表現
  • 商品説明・根拠資料の最新版
  • ランキングや比較表の作成ルール
  • 専門家・利用者コメントの表示ルール
  • 違反表示を発見した場合の修正・停止手続
  • 定期的なモニタリング方法

アフィリエイトは外部サイト任せにするのではなく、広告主の広告管理範囲として設計することがポイントです。

口コミ投稿・レビュー依頼・キャンペーンで注意すべきこと

口コミの投稿を依頼すること自体が、すべてステルスマーケティングになるわけではありません。ただし、高評価、星5、推奨コメントなどを条件にすると、事業者が表示内容を決定したと判断される可能性が高まります。

口コミ投稿を促すだけでステルスマーケティングになるのか

「サービスを利用した感想を投稿してください」と案内し、評価内容を指定しない場合は、通常、投稿者が自ら内容を決める余地があります。

一方、次のような条件を付けると、事業者が表示内容の決定に関与していると判断される可能性があります。

  • 星5を付けること
  • 高評価を付けること
  • 「おすすめ」「効果を実感した」などの文言を入れること
  • 否定的な内容を書かないこと
  • 指定した文章をそのまま投稿すること
  • 良い口コミだけに謝礼を渡すこと

口コミキャンペーンを企画する際は、「投稿したかどうか」を条件にするのか、「肯定的な内容を書いたか」を条件にするのかを明確に分けます。

星5評価や高評価を条件にするリスク

2025年3月、歯科医院がGoogleマップの口コミ投稿欄に星5の評価と感想を投稿することなどを条件として、5,000円分のQUOカードまたは治療費の値引きを提供していた事案について、消費者庁はステルスマーケティング告示違反として措置命令を行いました。投稿内容の決定に事業者が関与しながら、その関係が一般消費者に明瞭になっていなかったことが問題とされています。

この事例から分かるのは、謝礼を渡したことだけが問題なのではないという点です。

星5という具体的な評価を条件にし、その投稿が自主的な利用者評価に見える状態を作ったことが、ステマ規制上の判断につながっています。

口コミ施策は次のように整理できます。

施策内容リスクの目安主な確認事項
利用後に任意で感想投稿を案内する比較的低い内容を指定していないか
投稿した人全員に同じ特典を渡す要確認高評価を条件にしていないか
商品提供後に自由な感想を求める要確認投稿依頼、取引関係、表示方法
星5や推奨コメントを条件にする高い事業者の表示への該当とPR表示
良い口コミだけを選んで自社LPへ掲載する高い選別、編集、広告内容、別法令
指定文をコピーして投稿させる高い広告主の関与と広告表示

良い口コミだけを掲載する場合の注意点

第三者から自主的に寄せられた口コミでも、企業が良い内容だけを選び、見出しを付け、強調して掲載すれば、その表示は企業の広告として機能します。

特に健康食品、化粧品、医療機器、美容医療では、「効果があった」「治った」「シミが消えた」などの口コミを自社広告に転載すると、薬機法や医療広告ガイドライン上の問題が生じる可能性があります。

自発的な口コミが外部サイトに存在することと、その口コミを企業が広告素材として使えることは別問題です。

口コミを二次利用する場合は、次の項目を確認します。

  • 投稿者から利用許諾を得ているか
  • 媒体の利用規約に反していないか
  • 都合のよい部分だけを切り取っていないか
  • 効能効果や安全性を保証する内容になっていないか
  • 広告主との関係が必要に応じて表示されているか
  • 通常の個人差注釈だけで問題が解消すると誤解していないか

R製薬に対する2025年3月の措置命令では、モニターへ依頼してInstagramに投稿された内容の一部を自社ウェブサイトに掲載しながら、投稿が依頼によるものであることが表示全体から明瞭ではなかった点が問題とされました。投稿者側のSNSにPR表示があったとしても、広告主が別の媒体へ抜粋・転載する際には、その掲載面で改めて広告であることが分かる設計が必要です。

ステマ規制に違反した場合の措置命令・罰則・課徴金

ステルスマーケティング告示違反が認められた場合、広告主は消費者庁から措置命令を受ける可能性があります。ステルスマーケティング告示違反そのものは課徴金納付命令の対象ではありませんが、同じ表示に優良誤認表示や有利誤認表示が含まれる場合は、別途課徴金の対象となる可能性があります。

ステマ規制違反で行われる措置

措置命令では、主に次のような対応が求められます。

  • 表示が景品表示法に違反することを一般消費者へ周知する
  • 再発防止策を講じる
  • 役員や従業員へ再発防止策を周知する
  • 今後、同様の表示を行わない

措置命令が行われた場合、消費者庁の報道発表により、事業者名や違反内容が公表されるのが通常です。 実務上は広告の修正だけでなく、取引先、代理店、媒体、顧客への説明や、社内管理体制の見直しも必要になります。

消費者庁Q&Aでは、措置命令のほか、違反のおそれがある場合に指導が行われることも説明されています。

2026年6月29日にも、食品に関する表示がステルスマーケティング告示に該当するとして、消費者庁から措置命令が公表されています。ステマ規制は施行時だけの一時的な対応ではなく、継続して執行されている規制として管理する必要があります。

課徴金や刑事罰はあるのか

ステルスマーケティング告示違反そのものは、課徴金納付命令の対象ではありません。また、景品表示法第48条の直罰規定の対象でもありません。 

ただし、広告であることを隠した表示の中に、商品の品質を実際より著しく良く見せる表示や、価格を実際より著しく有利に見せる表示が含まれていれば、優良誤認表示・有利誤認表示として課徴金の検討対象となる場合があります。

また、2024年10月1日に施行された改正景品表示法では、故意に優良誤認表示または有利誤認表示を行う行為について、100万円以下の罰金を科す直罰規定が設けられました。この直罰規定は優良誤認表示・有利誤認表示を対象としており、ステルスマーケティング告示違反だけを直接処罰する規定ではありません。

なお、ステマ告示違反に対する措置命令に違反した場合の罰則は別途存在します。 

対応ステルスマーケティング告示違反との関係主な影響
措置命令対象になり得る違反の周知、再発防止、同様行為の禁止
行政指導違反のおそれがある場合に行われることがある表示修正、運用見直し
課徴金納付命令ステルスマーケティング告示違反そのものは対象外優良誤認・有利誤認を伴う場合は別途検討
直罰ステルスマーケティング告示違反のみは対象外故意の優良誤認・有利誤認は罰金対象になり得る
社名・事案の公表措置命令時に行われる信用、取引、広報対応への影響

違反時に企業が受ける実務上の影響

広告実務で重いのは、法令上の処分だけではありません。

  • SNS投稿やLPの緊急停止
  • 過去投稿の洗い出し
  • インフルエンサーやアフィリエイターへの修正依頼
  • 広告素材、バナー、動画の差替え
  • 媒体や取引先への報告
  • 顧客や一般消費者への周知
  • 社内研修やチェックフローの再構築
  • ブランドイメージや採用、営業活動への影響

一件の表示ミスでも、同じ運用ルールで作られた他の商品や他媒体まで確認が必要になることがあります。

そのため、措置命令を受けた表示だけを削除して終わらせるのではなく、原因となった依頼方法、承認フロー、担当者の権限、外部委託先の管理方法まで見直すことが再発防止につながります。

詳しくは「景品表示法違反とは?措置命令・課徴金・違反事例を広告実務者向けに解説 」もご覧ください。

健康食品・化粧品・美容医療広告でステマ規制と一緒に見るべき法律

ステマ規制と薬機法、医療広告ガイドラインなど、複数の広告規制が重なり合う関係性を示す概念図

健康食品、化粧品、美容医療の広告では、PR表記を入れてステマ規制へ対応しても、広告内容そのものが別の規制に触れる場合があります。「広告であることの明示」と「広告で言える内容」は、別々に確認しなければなりません。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解 
40,000件以上の広告表現支援を行う中でも、「PRと書けば口コミの内容は自由ですか」という相談は少なくありません。
結論からいうと、PR表示は広告であることを明らかにする対応であり、効能効果や体験談まで許容するものではありません。健康食品、化粧品、医療広告では、投稿者の言葉でも広告主が依頼・確認・転載すれば、広告全体の一部として見られます。
制作段階では、ステルスマーケティング表示と商品カテゴリごとの表現範囲を、別のチェック項目として管理することが実務的です。

商材別に見る主な確認法令

商材カテゴリ主に確認する規制・資料口コミ・SNSで特に見る点
いわゆる健康食品景品表示法、健康増進法
※医薬品的な効能効果、成分、形状、用法用量等がある場合は、無承認無許可医薬品として薬機法上の確認も必要 
疾病治療、身体機能の改善、効果保証
機能性表示食品景品表示法、食品表示法、健康増進法、届出内容届出表示を超える効果、医薬品的表現
化粧品景品表示法、薬機法、化粧品広告の自主基準56効能を超える表現、効果保証
医薬部外品景品表示法、薬機法、個別の承認内容承認効能を超える表現、治療表現
医療機器景品表示法、薬機法、承認・認証内容性能・効果の誇張、使用体験の保証
美容医療・クリニック景品表示法、医療法、医療広告ガイドライン体験談、ビフォーアフター、治療効果、安全性

健康食品広告で注意すべきこと

健康食品のインフルエンサー投稿では、「体調が良くなった」「眠れるようになった」「血圧が下がった」など、疾病や身体機能への作用を示す表現が問題になりやすくなります。

PR表記が明瞭でも、健康食品で医薬品のような効能効果を標榜できるようになるわけではありません。

広告主から具体的な表現を指示していなくても、公開前に投稿内容を確認し、問題となる効能効果を把握しながら掲載を認めれば、広告主側の管理上の問題になる可能性があります。

健康食品広告の注意点は「健康増進法で禁止される広告表現とは?健康食品広告の違反事例・対象者・薬機法との違いを解説 」でも詳しく解説しています。

化粧品・医薬部外品広告で注意すべきこと

化粧品では、効能効果を保証する体験談や、認められた効能範囲を超える表現を避けます。

たとえば、一般化粧品について「シワが消えた」「シミが治った」と投稿すれば、PR表示とは別に薬機法上の確認が必要です。

医薬部外品では、承認された効能効果の範囲を確認します。同じ「薬用化粧品」でも、承認内容は製品ごとに異なるため、他社商品や別製品で使われている表現をそのまま流用できるとは限りません。

化粧品・医薬部外品広告の注意点は「化粧品広告」「医薬部外品広告」もご覧ください。

美容医療・クリニックの口コミ広告で注意すべきこと

医療広告では、患者の主観や伝聞に基づく治療内容・効果に関する体験談は、広告可能事項の限定解除とは別に禁止対象とされています。厚生労働省の事例解説書でも、治療内容や効果に関する患者の体験談を広告に掲載する事例が禁止例として示されています。

そのため、クリニックが患者へ口コミ投稿を依頼する場合は、次の2つを分けて確認します。

  1. 投稿内容への関与と広告表示がステマ規制上問題ないか
  2. 投稿内容そのものが医療広告として掲載可能か

PRと表示した体験談であっても、治療効果に関する体験談の掲載が許容されるわけではありません。

また、医療機関が外部の口コミを自社サイト等へ転載する場合は、その掲載が医療広告に当たるかを改めて確認します。

広告に当たる場合、患者の主観または伝聞に基づく治療内容・効果の体験談は掲載できません。特に、医療機関に都合のよい感想を選別・強調する表示は、虚偽・誇大広告となる可能性もあります。 

医療広告の詳細は「医療広告の実務ガイド」もご覧ください。

ステマ規制と薬機法ライティング®の接点

ステルスマーケティング対策では、PR表記を追加した結果、投稿の自然さや訴求内容が崩れることがあります。

しかし、そこで広告表示を目立たなくする方向へ進むのではなく、商品やサービスについて確認できる事実から、伝える内容を再設計することが必要です。

たとえば、効能効果を強く断定するのではなく、B&H Promoter’sが独自で開発している薬機法ライティング®では、次のような事実へ訴求軸を移しながら表現を検討していきます。

  • 使用方法や取り入れやすさ
  • テクスチャー、香り、味などの使用感
  • 容器や包装の使いやすさ
  • 配合目的や製品設計
  • 承認・届出された範囲の情報
  • 調査条件が明確な客観的データ
  • 利用者が購入前に知りたい具体的な商品情報

規制対応は、単に表現を削除する作業ではありません。広告で伝える約束を、商品事実や根拠に沿って組み直す作業です。

薬機法ライティング®について詳しく知りたい方は「薬機法ライティングとは?|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」をご覧ください。

ステルスマーケティングにならないために広告主が整えるべき管理体制

ステルスマーケティングを防ぐには、PR表記を投稿者任せにせず、契約、投稿依頼、公開前確認、公開後の管理までを一つの業務フローとして整えます。

消費者庁の表示管理指針では、表示管理担当者を定めること、表示の根拠情報を事後的に確認できるよう保存すること、不当表示が判明した場合に迅速かつ適切に対応することなどが求められています。

契約書・投稿依頼書で決めるべきこと

インフルエンサー、アフィリエイター、制作会社との契約書・投稿依頼書では、事業規模、媒体、依頼内容に応じ、たとえば次の事項を定めておくことが実務上有効です。 

  • 広告・PRであることを表示する義務
  • 使用する表示文言
  • 表示する位置、文字サイズ、表示時間
  • 商品提供や報酬の内容
  • 投稿内容の確認範囲
  • 禁止する効能効果や保証表現
  • 公開後の修正・削除への協力
  • 二次利用の範囲と期間
  • コメントへの対応方法
  • 法令・媒体ルールが変更された場合の対応

「適切にPR表示すること」の一文だけでは、投稿者によって表示方法がばらつきます。媒体別の具体例やテンプレートを用意する方が運用しやすくなります。

投稿前チェックと投稿後モニタリング

投稿前には、次の内容を確認します。

  • PR表示が認識しやすい位置にあるか
  • 画像や動画内にも必要な表示があるか
  • 商品区分と効能効果の範囲が合っているか
  • 体験談が効果保証になっていないか
  • 比較、ランキング、満足度表示に根拠があるか
  • 注釈を含めた表示全体で誤認を与えないか

投稿後も確認が必要です。

インフルエンサーが公開直前に文章を変更する、SNSの表示仕様によってPR表記が隠れる、コメント欄に強い効能効果が追加されるといったことがあります。

また、公式アカウントが投稿をリポストする場合や、広告配信へ転用する場合は、転用後の表示面で改めて確認します。

証跡を保存する

後から事実関係を確認できるように、次の資料を保存します。

  • 契約書
  • 投稿依頼書
  • 商品提供や報酬の記録
  • 投稿ガイドライン
  • 原稿・画像の確認履歴
  • 修正指示と回答
  • 公開時のスクリーンショット
  • 投稿URL、公開日、掲載期間
  • 二次利用の許諾
  • 問題発生時の対応履歴

保存期間を一律に決めるのではなく、商品やサービスが供給され、広告が消費者へ影響し得る期間を踏まえて社内ルールを定めます。

問題発生時の対応フロー

問題のある表示を発見した場合は、担当者ごとの判断に任せず、次の流れを決めておきます。

  1. 投稿・広告の一時停止が必要か判断する
  2. 依頼内容、報酬、修正履歴を確認する
  3. 同じ表現を使った他媒体を洗い出す
  4. 投稿者、代理店、ASPへ修正を依頼する
  5. 法務・薬事・広告審査担当者へ報告する
  6. 必要に応じて公的資料や専門家へ確認する
  7. 原因を整理し、契約や投稿ルールを改定する
  8. 関係者へ再発防止内容を共有する

ステルスマーケティング対策は、炎上後に投稿を削除するだけの対応ではありません。企画段階から広告主の管理責任を明確にすることが、継続的なリスク管理につながります。

ステルスマーケティング施策の公開前チェックリスト

  • 事業者が投稿内容の決定に関与しているか整理した
  • 商品提供、報酬、割引、将来の取引関係を記録した
  • PR表示の文言、位置、色、表示時間を確認した
  • 投稿本文だけでなく、画像、動画、音声、字幕も確認した
  • 高評価や推奨コメントを条件にしていない
  • 口コミの選別・編集・二次利用方法を確認した
  • 薬機法、健康増進法、医療広告ガイドライン等を確認した
  • 公開前の承認者と公開後の監視担当者を決めた
  • 修正・削除・報告の手順を決めた
  • 契約書、依頼書、確認履歴を保存した

よくあるご質問( FAQ)

ステルスマーケティングとは何ですか?

ステルスマーケティングとは、企業などの広告であるにもかかわらず、その事実を隠して第三者の自主的な感想や口コミのように見せる表示です。投稿内容が事実であっても、企業からの依頼や報酬があることを消費者が認識できなければ、問題になる可能性があります。実務では、企業が表示内容の決定に関与しているか、広告であることが表示全体から明瞭に分かるかを確認します。

インフルエンサーに商品を無償提供しただけでもステルスマーケティングになりますか?

商品を無償提供しただけで、直ちにステルスマーケティングになるとは限りません。ただし、投稿を求めているか、紹介内容や掲載時期を指定しているか、今後の仕事を期待させているかなどを含めて判断します。投稿者が自主的に内容を決めたといえるかがポイントです。関与の程度を判断しにくい場合は、依頼関係を整理し、必要に応じて商品提供を受けたことが明瞭に分かる表示を行います。

SNS投稿に「#PR」を入れればステルスマーケティングになりませんか?

「#PR」は有効な表示方法の一つですが、それだけで常に十分とは限りません。多数のハッシュタグに埋もれている、リプライだけに表示している、動画の冒頭に一瞬だけ表示している場合などは、一般消費者が広告だと認識できない可能性があります。投稿本文、画像、動画、表示時間、文字サイズ、色などを含め、消費者が実際に見る状態で明瞭かを確認します。

口コミを書いた人へ割引やクーポンを渡すとステルスマーケティングになりますか?

口コミ投稿をしたことだけを条件に、評価内容にかかわらず同じ特典を渡す場合は、直ちに事業者が投稿内容を決定したとはいえないことがあります。一方、星5、高評価、推奨コメントなどを条件にすると、事業者が内容の決定に関与していると判断される可能性が高まります。特典の有無だけでなく、何を投稿条件としているかを確認してください。

自発的に投稿された口コミを自社LPに掲載しても問題ありませんか?

自発的な口コミであっても、自社LPへ選んで掲載した時点で、企業の広告として確認する必要があります。良い口コミだけを抜粋する、見出しを付けて強調する、効果を示す流れの中へ配置する場合は、企業が何を伝えているかが問題になります。著作権や媒体規約に加え、薬機法、景品表示法、医療広告ガイドラインなどに照らして内容を確認してください。

アフィリエイトサイトの冒頭に「広告を含みます」と書けば十分ですか?

冒頭の表示は重要ですが、それだけで常に十分とはいえません。文字が小さい、ランキングや専門家コメントと離れている、一部が中立的な評価に見えるといった場合は、記事全体として広告主の関与が分かりにくくなる可能性があります。ランキング、比較表、専門家コメントなど、客観的評価に見えやすい部分の近くでも、広告との関係が分かるように設計します。

ステマ規制に違反すると罰金や課徴金が科されますか?

ステルスマーケティング告示違反が認められた場合は、措置命令や行政指導の対象となる可能性があります。ステルスマーケティング告示違反そのものは課徴金納付命令の対象ではありません。ただし、同じ広告に優良誤認表示や有利誤認表示が含まれる場合は、課徴金や、要件によっては直罰の検討対象となる可能性があります。実務上は社名公表や広告停止、取引先対応も大きな影響になります。

規制開始前に投稿されたSNS広告も修正する必要がありますか?

2023年10月1日より前に公開された投稿でも、施行日以降も閲覧できる状態が続いていれば、ステマ規制の確認対象となる可能性があります。過去のインフルエンサー投稿、自社サイトに転載した投稿、固定表示している口コミなどを棚卸しし、広告主の関与とPR表示の明瞭性を確認することが実務的です。一律に削除するのではなく、個別の表示状況を確認して対応します。

まとめ

ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、そのことを隠して第三者の感想や口コミのように見せる表示です。

広告実務では、単に「PRという文字があるか」だけで判断するのではなく、次の順番で確認することが重要です。

  1. 事業者が投稿内容の決定に関与しているか
  2. 広告・宣伝であることが一般消費者に明瞭か
  3. 投稿内容そのものが景品表示法や薬機法等に適合しているか
  4. 二次利用後の媒体でも広告表示と内容が適切か
  5. 広告主側に契約、確認、保存、修正の管理体制があるか

口コミ投稿の依頼や商品提供がすべて禁止されるわけではありません。一方で、星5や高評価を条件にする、PR表示を目立たない場所へ置く、インフルエンサーの投稿を自社広告へ無条件に転載するといった運用は、問題につながる可能性があります。

個別案件の判断は、商品カテゴリ、投稿条件、対価、関係性、媒体の仕様、表示全体の印象によって変わります。企画後の最終チェックだけでなく、施策を設計する段階から法務・薬事・広告審査担当者を参加させることが、修正負担や公開後のリスクを抑えることにつながります。

景品表示法の全体像を整理したい方は「景品表示法の広告実務ガイド 」を、薬機法に関連する法令を確認したい方は「薬機法・景品表示法など広告規制の総合ガイド 」もご覧ください。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

ステルスマーケティング規制を解説する記事のヘッダー画像。SNSアイコンと法的コンプライアンスを示すチェックマークが描かれた概念図

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