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機能性表示食品の広告ルール|健康増進法・届出表示・SR・ヘルスクレーム・エビデンスの実務ポイント

機能性表示食品の広告ルールを解説した図解。「届出表示」「SR・エビデンス」「広告全体」という3つのポイントと、広告表現が届出範囲を超えて意味が強くなっていないかを判断するための「主体・対象者・程度・確実性・条件」という5つの視点が示されている。

機能性表示食品は、科学的根拠に基づく機能性を事業者の責任で届け出ることで、一定の機能性表示ができる食品です。しかし、「消費者庁へ届出済みだから、広告でも自由に効果を言える」と考えるのは適切ではありません。

広告で届出表示を短く言い換えた結果、効果の程度が強くなったり、機能性関与成分の研究結果を商品そのものの効果として見せたりすると、健康増進法や景品表示法上の問題につながる可能性があります。疾病の治療・予防や症状改善を想起させれば、薬機法上の検討も必要です。

また、SRや論文、グラフ、体験談、専門家コメントに根拠があっても、それだけで掲載できるとは限りません。対象者、摂取量、摂取期間、評価指標、商品の届出内容と広告表現が対応しているかを確認する必要があります。

この記事では、機能性表示食品の届出表示、SR、ヘルスクレーム、エビデンスを広告へ反映するときの判断軸を、LP・EC・記事広告・SNS広告の実務に沿って解説します。

この記事の要点(まとめ)
  • 届出済みでも広告表現は自由ではない:機能性表示食品は国が個別商品の機能性を審査・保証する制度ではありません。広告は届出表示、機能性関与成分、対象者、摂取条件、科学的根拠と整合させる必要があります。
  • 言い換えは「意味が強くなっていないか」で判断する:「維持を助ける」を「改善する」、「高めの方に適する」を「正常化する」と変えれば、似た言葉でも消費者が受ける意味は変わります。文言だけでなく画像や体験談を含む広告全体で確認します。
  • エビデンスと広告の対応関係を記録する:SRや論文を使う場合は、対象者、成分、摂取量、期間、評価指標、結果、限界を確認します。どの広告表現がどの資料に基づくかを一覧化すると、社内確認やクライアント説明がしやすくなります。
目次

機能性表示食品の広告ルールは「届出済みなら自由」ではない

「機能性表示食品広告に関係する5つの法令・ルール」を解説した図解。中央にWeb広告のイメージ図が配置され、その周囲に食品表示法・食品表示基準、健康増進法、景品表示法、薬機法、業界自主基準・媒体基準の5つがそれぞれの確認対象とともに記載されている。完成広告全体で判断することの重要性が示されている。

機能性表示食品の広告では、届出表示があるからといって、効果を自由に強めたり言い換えたりできるわけではありません。届出された機能性と広告によって消費者が受ける印象を一致させることが基本です。

機能性表示食品は事業者責任の表示制度

機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性に関する科学的根拠などを販売前に届け出ることで、機能性を表示できる制度です。

特定保健用食品、いわゆる特定保健用食品(トクホ)とは異なり、消費者庁が個々の商品について安全性や機能性を審査し、許可する制度ではありません。科学的根拠の確認、届出内容の作成、表示の適正性については、届出者が責任を負います。

したがって、広告で次のような印象を与える表現は避ける必要があります。

  • 「消費者庁が効果を認めた」
  • 「国が機能性を保証」
  • 「国の審査を通過した」
  • 公的な認証マークであるかのような独自マークの使用

「届出番号がある」という事実と、「国が効果を審査・保証した」という意味は異なります。

広告表現は届出表示の範囲内で設計する

広告制作では、届出表示をそのまま掲載するだけでなく、見出しやバナー向けに短くする場面があります。ここで起きやすいのが、「短くしただけ」のつもりで意味まで強めてしまうことです。

例えば、届出表示が次の内容だったとします。

本品には○○が含まれます。○○には、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える機能があることが報告されています。

これを広告で「中性脂肪を下げる」とだけ表現すると、次の情報が失われます。

  • 食後の上昇を対象としていること
  • 機能性関与成分について報告されていること
  • 商品そのものを用いた試験とは限らないこと
  • 継続的に数値を低下させる意味ではないこと

消費者庁の留意点でも、届出表示の一部を省略し、商品自体に機能があるかのように見せる広告は、景品表示法・健康増進法上問題となるおそれがあるとされています。

具体的な言い換え例については、「機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?LP・バナー・SNSでの注意点」で詳しく解説しています。

健康増進法・景品表示法・食品表示法・薬機法も関係する

機能性表示食品の広告は、一つの法律だけでは判断できません。

法令・ルール主な確認対象実務上の確認ポイント
食品表示法・食品表示基準主に容器包装の表示届出表示、届出番号、機能性関与成分、必要表示、国の許可と誤認させる表現
健康増進法食品の健康保持増進効果等著しく事実に相違する表示、著しく誤認させる表示
景品表示法商品の品質・効果・性能の表示優良誤認、表示を裏付ける合理的根拠、広告と根拠資料の対応
薬機法医薬品的効能効果を標ぼうする表示疾病の治療・予防、身体機能への強い作用、医薬品と誤認させる表現
業界自主基準・媒体基準広告掲載・媒体審査法令より細かい表記、体験談、グラフ、注釈、視認性

ここで大事なのは、「届出表示と同じ言葉が入っているか」だけで審査しないことです。

広告全体を一文で要約し、「この広告は消費者に何を約束しているように見えるか」を確認します。

健康食品広告における健康増進法の規制構造については、「健康食品広告に関わる人のための健康増進法」もあわせて確認ください。健康増進法と薬機法の違いやどのような広告表現が問題になるのかは、「健康増進法で禁止される広告表現とは?」にてまとめています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
機能性表示食品の広告審査では、「届出表示と同じ言葉が入っているから大丈夫」と判断しないことが大切です。本文が届出どおりでも、キャッチコピー、悩み画像、体験談、グラフを組み合わせることで、広告全体の意味が強くなることがあります。
実務では、各パーツを個別に確認したあと、広告全体を一文で要約します。その一文が届出表示より強くなっていれば、コピーだけでなく構成やビジュアルも含めた調整が必要です。広告が何を約束しているように見えるか。この視点が、単なるNGワードチェックとの違いです。

健康増進法と機能性表示食品広告の関係

機能性表示食品であっても、健康増進法上の虚偽誇大表示規制に注意が必要です。届出表示を超えて健康効果を強めたり、摂取すれば誰にでも明確な効果が出るように見せたりすると、問題になる可能性があります。

機能性表示食品も健康増進法の対象になり得る

健康増進法第65条第1項は、食品として販売に供する物について、健康保持増進効果等に関して、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示を禁止しています。

対象は錠剤やカプセルだけではありません。飲料、菓子、一般の加工食品、生鮮食品など、食品として販売される幅広い物が含まれます。機能性表示食品も食品である以上、この規制との関係を確認しなければなりません。

健康増進法上の「健康保持増進効果等」には、次のような表現が含まれます。

  • 疾病の治療・予防に関する効果
  • 身体機能の増強・増進
  • 体調や数値の維持・改善
  • 特定の保健の用途に適する旨
  • 間接的に健康効果を想起させる表現

そのため、「薬機法に抵触する病名を書いていないから問題ない」とは限りません。

健康増進法の詳細については、「健康食品広告に関わる人のための健康増進法」「健康増進法で禁止される広告表現とは」もご覧ください。

届出表示を超えると虚偽誇大表示リスクがある

健康増進法では、特定の単語が一律に禁止されているわけではありません。

「改善」という言葉が常に禁止されるのではなく、何を、誰について、どの程度改善すると示しているかが問題になります。反対に、「サポート」「応援」といった柔らかい言葉でも、画像や前後の文章を含めて強い効果を約束しているように見えれば、問題がなくなるわけではありません。

消費者庁の留意事項では、一般消費者が受ける認識、印象、期待は、一部の文言だけでなく、写真、イラスト、強調表示、前後の表現などを含む表示全体から判断すると整理されています。

例えば、本文に「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」と記載していても、ファーストビューに次の要素があれば、広告全体の意味は強くなります。

  • 「血糖値の悩みから卒業」と大きく表示
  • 医療機関の検査結果を想起させる画像
  • 「正常値になりました」という体験談
  • 「もう通院に悩まない」といった生活シーン
  • 小さな文字でのみ届出表示を掲載

小さな注釈を付けても、強調された主要表示による印象を十分に修正できるとは限りません。

「改善」という表現そのものの薬機法上の判断については、「薬機法で「改善」は使える?症状・肌・睡眠・使用感で判断が変わる理由」で詳しく解説しています。 

広告代理店・制作会社も表示内容に注意する

健康増進法第65条第1項の条文は、表示主体を「何人も」としています。

広告主だけを見ればよいのではなく、広告代理店、制作会社、媒体社、インフルエンサーなど、表示の作成や拡散に関わる事業者も、少なくとも自社の関与範囲で確認体制を持つことが望まれます。

実務では、次のように役割を決めておくと確認漏れを減らせます。

担当確認内容
メーカー・届出者届出内容、商品仕様、根拠資料、最新の変更情報
薬事・品質保証届出表示との整合性、対象者、摂取条件、安全性情報
広告代理店・制作会社コピー、画像、グラフ、導線を含む広告全体の印象
法務・広告審査景品表示法、健康増進法、薬機法、契約・媒体基準
媒体担当媒体独自の掲載基準、注釈、リンク先との整合性

責任分担は必要ですが、「メーカーが確認すると思っていた」「制作会社が調整すると思っていた」という状態は避けるべきです。

届出表示を広告で言い換えるときの判断ポイント

「同じ届出表示でも、広告全体の印象は変わる」と題された図解。機能性表示食品の広告において、届出表示が同じであっても、コピー、画像、グラフ、注釈などの周辺要素により消費者が受ける印象が異なることを、広告A(適切に情報を整理した例)と広告B(周辺要素で意味が強調された例)を比較して示している。完成広告を一文で要約し、届出表示の範囲を超えていないかを確認することの重要性を伝えている。

届出表示の言い換えは、語句が似ているかではなく、対象者、作用の程度、確実性、機能の主体が変わっていないかで判断します。

機能の主体を変えない

研究レビューを根拠とする届出では、機能性関与成分について「機能があることが報告されています」と記載されることがあります。

この表現を「この商品が○○する」と変えると、成分に関する研究結果を最終製品そのものの試験結果であるかのように見せる可能性があります。

届出表示の要素言い換え時の確認
「○○には機能があることが報告されています」商品自体の臨床試験結果のように断定していないか
「維持する機能」「改善」「回復」「正常化」へ強めていないか
「高めの方に適する」疾病者や治療中の人を対象にしていないか
「食後の上昇を抑える」恒常的に数値を下げる意味へ変えていないか
「一時的な疲労感を軽減」慢性的な疲労や疾病症状の改善へ広げていないか

健康食品固有の表現例は「健康食品広告で血糖値・血圧・中性脂肪は訴求できる?」、商品区分を横断した「数値改善」という表現の判断は「薬機法で「数値改善」は使える?」で詳しく解説しています。 

対象者を広げない

SR(システマティックレビュー)や最終製品試験の対象者が健康な成人である場合、広告もその範囲を前提に設計します。

例えば、届出が「血圧が高めの健康な方」を対象としているにもかかわらず、「高血圧で通院している方へ」「降圧薬が気になる方へ」と表示すれば、対象者の意味が変わります。

年齢、性別、BMI、健康状態などに限定がある場合も同様です。

広告に研究対象者をすべて記載する必要があるとは限りませんが、少なくとも、根拠の対象外に向けた訴求にならないようにします。

効果の程度と確実性を強めない

広告コピーでは、届出表示よりも短く、強い言葉が好まれます。しかし、次のような変換は慎重に検討する必要があります。

届出表示に近い表現意味が強くなりやすい表現
維持を助ける改善する、回復する
上昇を抑える下げる、正常化する
軽減する機能が報告されている解消する、なくなる
適する効く、治す
サポートする必ず変わる、結果を保証
健康な方を対象疾病者・患者向け

「飲むだけで」「最短○日」「劇的に」「根本から」といった周辺コピーも、効果の程度や確実性を強めます。

文言だけでなく広告全体を比較する

次の二つの広告は、本文中の届出表示が同じでも、消費者が受ける印象は異なります。

広告A

  • 届出表示を読みやすく整理
  • 対象者と摂取目安を近くに表示
  • 食生活や生活習慣との組み合わせを説明
  • グラフに対象者、期間、摂取量、出典を表示

広告B

  • 「もう数値に悩まない」と大きく表示
  • 白衣の人物と検査数値の画像
  • 「1週間で変化」と強調
  • 届出表示はページ下部に小さく掲載

広告Bでは、届出表示そのものを変更していなくても、周辺要素によって届出範囲を超えた印象が生じる可能性があります。

機能性表示食品の表現については「機能性表示食品の届出表示はどこまで言い換えられる?LP・バナー・SNSでの注意点」で詳しくまとめています。

SR・エビデンスを広告に使うときの注意点

SRや論文は、広告表現を自由に強くするための材料ではありません。広告で示す効果と、資料によって実証された内容が適切に対応していることが必要です。

SRとは何か

SRは、システマティックレビュー、または研究レビューと呼ばれます。一定の手順で関連研究を収集・評価し、機能性関与成分の機能性について総合的に検討する方法です。

機能性表示食品では、主に次の方法で科学的根拠が示されます。

  1. 最終製品を用いた臨床試験
  2. 最終製品または機能性関与成分に関する研究レビュー

広告制作時には、どちらの根拠で届け出ているかを確認します。

成分の研究レビューを根拠としているのに、「この商品を飲んだ結果」と表現すれば、根拠と広告の主体がずれるからです。

論文、研究データ、原料データと商品広告の対応関係については、「健康食品広告で論文・研究データは使える?原料データと商品広告の注意点」で詳しく解説しています。 

広告利用前に確認する7項目

SRや論文を広告に使用する場合は、最低限、次の項目を確認します。

確認項目広告実務での問い
対象者広告の想定顧客と研究対象者は一致しているか
機能性関与成分商品に含まれる成分・規格と研究対象は同じか
摂取量商品の一日摂取目安量と研究量は対応しているか
摂取期間短期間で効果が出るように見せていないか
評価指標広告で訴求する結果を直接評価しているか
結果統計的有意差、効果量、個人差を適切に扱っているか
限界対象者数、除外条件、研究上の限界を無視していないか

「査読付き論文がある」「有意差がある」という事実だけでは、広告表現との対応までは説明できません。

景品表示法の不実証広告規制において合理的な根拠と認められるためには、資料が客観的に実証されたものであることに加え、表示された効果・性能と実証内容が適切に対応していることが求められます。

グラフを掲載するときの注意点

グラフは文章より強い印象を与えることがあります。そのため、数値が正しくても、見せ方によって誤認を生じさせないようにします。

確認したいのは次の点です。

  • 縦軸を途中から始めて差を大きく見せていないか
  • 特定時点の都合のよいデータだけを切り取っていないか
  • 対照群との比較を省略していないか
  • 平均値を全員の結果のように見せていないか
  • 対象者数、摂取期間、摂取量が表示されているか
  • 「機能性関与成分の研究」か「最終製品の試験」かが分かるか
  • 出典が確認できるか
  • 届出資料と異なる加工をしていないか

一般的な統計データや資料を広告に使用する場合も、出典を示し、内容を誇大解釈せず、個々の商品の機能と安易に結び付けないことが実務上の基本です。業界の適正広告自主基準でも同様の考え方が示されています。

健康食品LP全体のチェック方法については、「健康食品LPの広告チェック|ファーストビュー・CTA・体験談・グラフの注意点」もあわせてご覧ください。 

他商品の届出や論文を流用しない

同じ成分が入っているからといって、別の商品で届け出られた機能性を自社商品の広告に使えるわけではありません。

機能性表示食品は、商品ごとに機能性関与成分や表示内容が届け出られます。届出対象ではない配合成分について、他商品の届出表示を引用し、その商品の機能であるかのように訴求することは避ける必要があります。

広告制作を始める前に、届出データベースから自社商品の資料を取得し、制作チームが共通資料として参照できる状態にしておきましょう。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告制作では、「論文があります」「有意差が出ています」という説明を受けることがあります。ただ、実務で確認すべきなのは論文の有無だけではありません。
対象者、摂取量、摂取期間、評価指標、商品との同等性まで見て、初めて広告表現との距離を判断できます。研究では特定の指標だけに差があったのに、広告では悩み全体が解消するように見せているケースもあります。
根拠を強いコピーの材料として探すのではなく、「この広告案をどこまで説明できるか」という順番で確認することがポイントです

ヘルスクレームを広告で扱うときの注意点

ヘルスクレームは届出表示の範囲内で使用し、広告上の魅力付けは効果を強めるのではなく、生活シーンや商品の選びやすさなどの周辺情報で設計します。

ヘルスクレームとは

ヘルスクレームは、食品と健康との関係を示す表示の総称として実務上使われる言葉です。

機能性表示食品では、届け出た機能性に関する表示が中心となります。ただし、「ヘルスクレーム」という言葉自体が、広告で自由に健康効果を表現できる権利を意味するわけではありません。

広告では、次の要素を切り分けて確認します。

  • どの成分が機能性に関与するのか
  • どの対象者に対する機能か
  • どの指標についての機能か
  • どの程度の作用か
  • 最終製品試験か成分研究か
  • どの摂取量・期間を前提にしているか

魅力付けは周辺コピーで行う

届出表示をそのまま掲載すると、広告として硬い文章になることがあります。

そこで「改善」「解消」「正常化」などへ強めるのではなく、次の情報で商品の選ばれる理由を設計します。

  • 一日摂取目安量
  • 飲みやすさ、味、形状
  • 続けやすい包装
  • 原材料や製造管理
  • 利用を想定する生活シーン
  • 届出表示の分かりやすい解説
  • 食事・運動・睡眠など生活習慣との関係
  • 商品選択時に確認すべき情報

例えば、睡眠に関する商品であれば、「不眠を治す」「朝まで熟睡」と強めるのではなく、夕方以降の過ごし方や、継続しやすい摂取方法を説明する方向が考えられます。

健康食品における睡眠、休息、リラックス表現については、「健康食品広告で睡眠改善は訴求できる?休息・眠り・リラックス表現の注意点」で具体例を紹介しています。 

広告コピー化の前に比較表を作る

制作前に次の表を作ると、社内確認が進めやすくなります。

項目届出内容広告案差分・確認事項
対象者健康な成人数値が気になる方疾病者を含む表現になっていないか
機能維持を助ける改善する効果の程度が強くなっている
主体成分の研究報告商品が作用商品自体の試験に見えないか
条件12週間摂取すぐに実感期間が整合していない
指標特定の評価指標悩み全体効果の範囲を広げていないか

この差分表は、クライアントへ修正理由を説明する資料としても使えます。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
届出表示をそのまま掲載すると、広告として硬く感じることがあります。そこで効果を「改善」「解消」「正常化」へ強めたくなるのですが、この方法では届出範囲から離れやすくなります。
広告の魅力は、効果表現の強さだけで作るものではありません。どのような人が商品を選びやすいのか、毎日の生活にどう取り入れるのか、なぜ続けやすいのかといった周辺情報も、十分に広告価値になります。
届出表示を無理に変えるのではなく、商品の選ばれる理由を周辺で設計する。これが機能性表示食品広告では特に有効です。

機能性表示食品広告で問題になりやすい表現例

機能性表示食品広告では、「改善」「治る」「予防」「飲むだけで解消」など、届出表示より効果の程度、対象者、確実性を強める表現に注意が必要です。

届出表示を強める表現

表現例問題になりやすい理由修正時の考え方
数値を正常化正常値まで変化させる意味が加わる届出された指標と作用の範囲へ戻す
悩みを解消効果の確実性や程度が強い「気になる方に」など対象者の説明を検討
根本改善原因へ作用する印象届出資料に原因・作用機序の根拠があるか確認
必ず実感効果保証となる個人差を含め、保証的な構成を避ける
最短○日で変化研究期間と不整合になりやすい根拠資料の測定時点と対応させる

単語だけを弱くしても、広告全体が同じ意味を示していれば十分ではありません。

疾病・症状改善に見える表現

次のような表現は、疾病の治療・予防や医薬品的な作用を想起させやすいため、薬機法を含めた確認が必要です。

  • 高血圧を改善
  • 糖尿病対策
  • 認知症予防
  • 花粉症に
  • 不眠を治す
  • 薬に頼らない生活へ
  • 通院から卒業
  • 医師も驚いた数値改善

「血圧が高めの方に適する」という届出と、「高血圧を治療する」は同じ意味ではありません。

商品区分ごとの病名表現の判断については、「薬機法で「病名」は広告に使える?」で詳しく解説しています。 また、「高血圧を予防」「認知症予防」などの「予防」表現については、「薬機法で「予防」は使える?」もご覧ください。 

摂取だけで効果が出るように見せる表現

次の表現は、生活習慣や摂取条件にかかわらず、商品だけで結果が出る印象を与えやすくなります。

  • 飲むだけで
  • 食事制限なし
  • 運動不要
  • 何もしなくても
  • 一粒ですべて解決
  • 好きなだけ食べても安心

商品だけで効果が完結するように見せると、届出内容を超えるだけでなく、景品表示法上の合理的根拠との対応も問題になります。

景品表示法の詳細については、「景品表示法の広告実務ガイド」もご確認ください。

グラフ・体験談・専門家推薦の注意点

体験談については、内容が事実であっても、そのまま広告に使用できるとは限りません。

一部の都合のよい体験談だけを選び、誰にでも同様の効果が期待できるように見せる表示は、虚偽誇大表示等に該当する可能性があります。「個人の感想です」と注記しても、本文の強い効果表現を打ち消せるとは限りません。

専門家推薦では、次の点を確認します。

  • 実際に商品や根拠資料を確認しているか
  • 専門分野が商品評価と関係しているか(例えば、血圧に良い機能性表示食品で、「血液内科専門」などと表示するとNGとなる可能性がある)
  • 推薦の条件や調査方法が明確か
  • 国や医療機関による認証に見えないか
  • 白衣、診察室、検査画像によって治療効果を想起させないか

「医師推奨」という言葉だけを見るのではなく、広告全体でどの程度の信頼性や効果保証を付加しているかを確認します。

LP(ランディングページ)・記事広告・SNS広告をチェックする実務手順

機能性表示食品広告の確認は、完成原稿の単語チェックだけでなく、企画段階で届出表示と根拠資料を共有し、広告全体の印象を最後に確認する流れにすると効率的です。

手順1:商品区分と届出情報を確認する

最初に、次の情報を確定します。

  • 機能性表示食品であること
  • 商品名、届出番号
  • 届出表示
  • 機能性関与成分
  • 根拠の種類
  • 対象者
  • 一日摂取目安量
  • 摂取期間に関する研究条件
  • 安全性情報
  • 届出内容の変更・撤回の有無

商品名や成分名だけで判断せず、対象商品の届出資料を確認します。

手順2:訴求の中心を一文で定義する

企画段階で、広告が消費者に何を伝えるかを一文にします。

例:

食後の血糖値が気になる健康な成人に対し、届出された機能性関与成分と機能を、食生活の情報とともに伝える広告。

この一文を超えるコピーが出てきた場合は、根拠との整合を再確認します。

手順3:広告要素ごとに根拠をひも付ける

広告要素根拠資料確認担当判定・修正内容
メインコピー届出表示薬事効果の強度を確認
グラフ届出資料・論文品質保証軸・対象者・期間を確認
作用機序届出資料研究・薬事届出範囲内か確認
体験談アンケート原票法務・広告審査効果保証にならないか確認
専門家コメント契約・評価記録法務実態と表示の対応を確認
注釈各根拠資料制作・審査視認性と主要表示との対応を確認

手順4:媒体ごとの差を確認する

同じ広告でも、媒体によって見え方が変わります。

LP

  • ファーストビューの強調表示
  • スクロール後にしか見えない注釈
  • 体験談、比較画像、グラフとの組み合わせ

記事広告

  • 編集記事と広告の区別
  • 一般情報から商品効果へ接続する流れ
  • 専門家解説が商品推薦に見えないか

SNS広告

  • 短い文言だけで意味が強くならないか
  • 画像内の文字と投稿本文の整合
  • リンク先LPとの一体的な印象
  • インフルエンサー投稿の広告明示

EC商品ページ

  • 商品説明だけでなく、画像、レビュー、Q&A、店舗内バナー
  • プラットフォーム上の表示と自社が編集した表示の切り分け
  • 口コミを画像化・転載した場合の広告責任

手順5:広告全体を一文で要約する

最後に、制作に関わっていない担当者が広告を見て、次の問いに答えます。

この広告は、商品を摂取すると、誰に、どのような結果が、どの程度の確実性で起こると伝えているか。

この要約が届出表示より強くなっている場合、単語単位では問題が見つからなくても、構成を修正する必要があります。

機能性表示食品広告のチェックリスト

以下は、LP、EC、記事広告、SNS広告の初稿確認に使用できるチェックリストです。

届出表示・商品情報

  • 対象商品の届出資料を確認している
  • 届出番号と届出状況を確認している
  • 機能性関与成分を正しく特定している
  • 届出対象ではない成分へ機能を付与していない
  • 最終製品試験か研究レビューかを把握している
  • 届出表示の対象者を広告で広げていない
  • 一日摂取目安量や摂取条件と矛盾していない

コピー・画像

  • 「維持」を「改善」「回復」へ強めていない
  • 「上昇を抑える」を「下げる」「正常化」としていない
  • 疾病の治療・予防を想起させていない
  • 「必ず」「劇的」「最短」などの保証的表現がない
  • 画像やイラストが文言以上の効果を示していない
  • 白衣、診察、検査値等で医薬品的な印象を強めていない

エビデンス・グラフ

  • 広告表現と根拠資料が対応している
  • 対象者、成分、摂取量、期間、評価指標を確認している
  • グラフの軸や範囲を恣意的に変更していない
  • 都合のよい結果だけを抜き出していない
  • 出典と試験条件が確認できる
  • 成分の研究を商品自体の試験結果に見せていない

体験談・推薦・注釈

  • 効果を保証する体験談になっていない
  • 都合のよい体験談だけを選択していない
  • 「個人の感想です」で強い表示を打ち消そうとしていない
  • 専門家の専門分野と推薦内容が対応している
  • 推薦や調査の実態を記録している
  • 注釈が主要表示の近くにあり、読める大きさになっている

制作・管理体制

  • 企画段階で薬事・法務担当が確認している
  • 修正履歴と判断根拠を保存している
  • LP、バナー、記事、SNS、動画の表現が矛盾していない
  • 媒体基準を確認している
  • 公開後の届出変更や行政情報を確認する担当者を決めている

広告チェックを完成直前だけに行うと、コピーだけでなくページ全体のストーリーを作り直すことがあります。企画段階から確認項目をチェックリスト化することは、修正の手戻りを減らす実務上の方法です。

よくあるご相談(FAQ)

機能性表示食品は、消費者庁が効果を認めた商品ですか?

いいえ。機能性表示食品は、事業者が安全性や機能性に関する科学的根拠などを消費者庁長官へ届け出る制度です。特定保健用食品とは異なり、国が個々の商品について機能性を審査し、許可する制度ではありません。

したがって、広告で「消費者庁認定」「国が効果を保証」などと表示することは避ける必要があります。届出番号の表示も、公的な効果認証であるかのように見せないことがポイントです。

届出表示は広告で言い換えてもよいですか?

分かりやすく整理するための省略や言い換えが、すべて問題になるわけではありません。ただし、機能の主体、対象者、作用の程度、確実性を変えないことが必要です。

例えば、「食後の上昇を抑える」を「数値を下げる」、「維持を助ける」を「改善する」と変更すると、消費者が受ける意味が強くなります。元の文章との言葉の近さではなく、広告によって期待される結果が同じかを確認してください。

機能性表示食品の広告で「改善」は使えますか?

「改善」という言葉だけで一律に判断することはできません。届出表示や根拠資料において、何について、誰を対象に、どの程度の改善が示されているかによります。

ただし、「維持」「上昇を抑える」「軽減を助ける」といった届出を「改善」へ変えると、意味が強くなる可能性があります。また、「症状改善」「体質改善」「根本改善」は、疾病や身体機能への強い作用を想起させやすいため、薬機法を含めて慎重な確認が必要です。

「治る」「予防」は使えますか?

食品の広告で「病気が治る」「高血圧を予防」「認知症予防」など、疾病の治療・予防を標ぼうする表現は、薬機法上の医薬品的効能効果に該当する可能性があります。

機能性表示食品であっても、疾病の診断、治療、予防を目的とするものではありません。届出表示に近い機能を説明する場合も、患者や治療中の人を対象とする広告になっていないかを確認します。

SRや論文があれば、論文に書かれた効果を広告できますか?

論文があるだけでは判断できません。

広告に使用するには、論文の対象者、成分、摂取量、期間、評価指標、商品との同等性、結論の範囲を確認する必要があります。また、その論文が自社商品の届出資料に含まれているか、成分の研究なのか最終製品の試験なのかも重要です。

景品表示法では、根拠資料が客観的に実証されたものであることに加え、広告表示と実証内容が適切に対応していることが求められます。

グラフに出典を書けば掲載できますか?

出典の記載は必要な確認項目の一つですが、出典を書くだけで十分とは限りません。

グラフの対象者、摂取量、期間、評価指標が広告内容と対応しているか、縦軸や表示範囲によって差を誇張していないか、都合のよい時点だけを抜き出していないかを確認します。

また、機能性関与成分の研究結果を、自社商品そのものの試験結果に見せないようにする必要があります。

口コミや体験談に届出範囲を超える効果が書かれている場合、掲載できますか?

自社LPや広告へ転載すると、その口コミや体験談も広告を構成する要素として評価されます。

「個人の感想です」と注記しても、「数値が正常になった」「薬が不要になった」などの内容を掲載すれば、広告全体として効果を保証する印象が残る可能性があります。

効果に関する体験談だけでなく、飲みやすさ、味、包装、継続のしやすさなど、機能性の保証になりにくい内容へ整理する方法も検討してください。

制作会社や広告代理店は、どこまで確認すべきですか?

少なくとも、メーカーから届出表示、届出番号、機能性関与成分、根拠の種類、対象者、摂取条件の共有を受ける必要があります。

制作会社が科学的根拠の最終評価を単独で行うのは現実的ではありませんが、「広告案のどの表現が、どの資料に基づくのか」が説明できない状態で制作を進めるのは避けるべきです。

判断が難しい箇所は、薬事・品質保証・法務担当者へ確認し、その回答を制作記録として残します。

まとめ

機能性表示食品の広告で最も大切なのは、届出表示の文言を形式的に守ることだけではありません。

確認すべきなのは、広告によって消費者が受ける意味が、届出された機能性、対象者、摂取条件、科学的根拠と一致しているかです。

特に注意したいのは、次のようなケースです。

  • 「維持」や「上昇を抑える」を「改善」「正常化」へ強める
  • 成分の研究結果を商品自体の試験結果として見せる
  • 健康な成人を対象とする届出を疾病者向け広告へ広げる
  • グラフや体験談によって効果の確実性を強調する
  • 小さな注釈で強い主要表示を打ち消そうとする
  • 「国が認めた商品」であるかのように表示する

実務では、届出表示、SR、広告コピー、画像、グラフ、体験談を別々に確認したあと、広告全体を一文で要約してください。その要約が届出内容より強くなっている場合は、コピーだけでなく、ページ構成やビジュアルも含めた調整が必要です。

健康食品に関わる薬機法・健康増進法などの広告ルールや、制作時に確認すべきポイントを体系的に整理したい方は、 「健康食品・機能性表示食品広告のルールガイド 」もあわせてご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

機能性表示食品の広告ルールを解説した図解。「届出表示」「SR・エビデンス」「広告全体」という3つのポイントと、広告表現が届出範囲を超えて意味が強くなっていないかを判断するための「主体・対象者・程度・確実性・条件」という5つの視点が示されている。

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