MENU

化粧品広告の薬機法と景品表示法の違い|制作前の実務ポイント

化粧品広告における薬機法と景品表示法の違いを示した図解。薬機法では「効能効果の範囲」「虚偽・誇大表現」、景品表示法では「表示の合理的な根拠」「優良・有利誤認」を確認し、口コミやBefore/After、広告全体の印象は両法を横断して確認する必要があることを示している。下部には「商材区分を確認」「訴求と根拠を整理」「広告全体を確認」の3つの実務ポイントを掲載。

化粧品広告を制作するとき、「薬機法のチェックを通したので、これで公開できる」と考えていないでしょうか。

化粧品広告では、薬機法だけでなく、景品表示法を含む複数の法令を横断して確認する必要があります。

薬機法では、一般化粧品として標ぼうできる効能効果の範囲や、薬用化粧品における承認効能の範囲、虚偽・誇大広告、医薬品的な効果を暗示する表現などを確認します。

一方、景品表示法では、No.1表示、満足度表示、比較表現、口コミ、ビフォーアフター、価格訴求などが、実際よりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されないか、表示の裏付けとなる合理的な根拠があるかを確認します。

ただし、両者は完全に分かれているわけではありません。口コミや体験談、ビフォーアフター画像などによって、化粧品の効能効果を保証したり、認められた範囲を超える効果を暗示したりする場合には、薬機法と景品表示法の両方が問題になる可能性があります。文言だけでなく、画像、見出し、注釈、導線を含めた広告全体の印象で判断することが重要です。

サプリメントや健康食品、いわゆる「飲む美容」を化粧品と一体で訴求する場合には、食品側の表示について健康増進法や景品表示法を確認する必要があります。疾病の治療・予防や身体機能への強い効果を暗示する表現では、薬機法上の無承認無許可医薬品の問題も別途検討します。

さらに、通信販売に該当するECサイトや定期購入では、販売条件、解約条件、最終確認画面などについて、特定商取引法上の表示も切り離せません。

この記事では、Web制作会社・広告代理店・販売メーカーの担当者さま向けに、薬機法・景品表示法・健康増進法の違いと、化粧品LP(ランディングページ)を制作する前に確認したい実務上のチェックポイントを整理します。

この記事の要点(まとめ)
  • 薬機法チェックだけでは広告全体を確認できない:薬機法は主に効能効果や虚偽・誇大広告を確認しますが、No.1表示、満足度、比較、価格、口コミ、PR投稿についても、景品表示法の観点から横断的に確認する必要があります。
  • 景表法は「単語」ではなく広告全体の印象と根拠を見る:個々のコピーが事実であっても、画像、グラフ、注釈、口コミを組み合わせた結果、実際より著しく優良・有利に見えれば問題となる可能性があります。
  • 制作開始前に商材・訴求・根拠を整理する:化粧品、薬用化粧品、サプリメントを区別し、効能効果、調査データ、価格条件、PR表記を企画段階で確認することが、手戻りを減らす基本です。
目次

化粧品広告では薬機法だけでなく景品表示法も確認する必要がある

化粧品広告の確認ポイントを、薬機法と景品表示法の2つの軸で比較した図解。薬機法では商材区分や効能範囲、医薬品的な表現、虚偽・誇大表現を確認し、景品表示法ではNo.1・満足度、価格・比較表示、口コミ・PR表示、Before/Afterの見せ方や根拠を確認する。下部には、コピー、画像、調査データ、価格、口コミ、申込み条件など、LP全体を横断して確認する項目を示している。
MOMO FU
MOMO FU
22:31 7月26日
化粧品広告で確認したい7つの表示を整理した図解。No.1表示、満足度表示、比較表現、Before/After、口コミ、価格・定期購入、PR投稿について、比較対象や調査条件、撮影・加工、広告転載、総額・解約条件、広告表示の明瞭性などの確認ポイントを示している。下部には、共通する判断軸として「合理的な根拠」「広告全体の印象」「申込導線まで確認」を掲載し、根拠と表示の対応を確認しながら必要な法規を横断して検討することを伝えている。

化粧品広告では、薬機法と景品表示法の両方を確認する必要があります。薬機法の確認を終えていても、景品表示法上の根拠不足や誤認表示が残っている場合があるためです。

薬機法では、化粧品の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示・暗示を問わず、虚偽または誇大な広告を行うことが規制されています。一般化粧品では、厚生労働省が定める56項目の範囲を基準に表現を確認し、医薬部外品では表現を個別に承認された効能効果の範囲にとどめます。

一方、景品表示法が見るのは、商品の品質や内容が実際より著しく優れて見えないか、価格や購入条件が実際より著しく有利に見えないか、広告であることを隠して個人の感想のように見せていないか、といった点です。

薬機法チェック済みでも景表法上問題がないとは限らない

たとえば、化粧水のコピーを「肌にうるおいを与える」とし、薬機法上の効能範囲に収めていたとします。

それでも、LP内に次のような表示があれば、景品表示法上の確認が必要です。

表示例景品表示法上の確認ポイント
顧客満足度98%調査対象者、回答者数、質問内容、調査時期などが明確でなく、表示された数値と根拠資料との対応を確認できない。
化粧水部門No.1比較対象となる商品や事業者、調査期間、調査方法、調査実施者などが明確でない。
ビフォーアフター画像照明、撮影角度、距離、表情、メイク、画像補正など、撮影条件が異なるビフォーアフター画像によって、商品の効果が実際より大きく見える表示になっている
通常価格1万円実際にその価格で販売していた実績や販売期間を確認できない
口コミの表示景品表示法上の「事業者の表示」に当たるにもかかわらず、一般消費者が広告であることを判別しにくい(ステルスマーケティング規制)

このような表示は、化粧品の効能効果を直接うたっていなくても、商品を実際以上に良く見せたり、購入条件を実際以上に有利に見せたりする可能性があります。

また、広告であることが分かりにくい表示については、優良誤認・有利誤認とは別に、ステルスマーケティング規制の要件を確認する必要があります。

比較対象、調査対象者、質問内容、集計方法と広告表示が対応しているかは、「化粧品広告でNo.1・満足度表示は使える?景品表示法と根拠資料の注意点」で詳しく解説しています。 

景品表示法は表示全体の誤認リスクを見る

広告審査では、コピーだけを切り出して確認しても十分ではありません。

ファーストビューのコピーが穏当でも、直下に強いビフォーアフター画像があり、その下に「満足度98%」「もう手放せません」という口コミが並んでいれば、広告全体として高い改善効果を約束しているように見えることがあります。

小さな注釈を入れれば、強い表示を自由に使えるわけでもありません。消費者庁は、強調表示と打消し表示の内容を一般消費者が一体として認識できない場合、景品表示法上問題となるおそれがあるとの考え方を示しています。

優良誤認・有利誤認の基本的な考え方は、「優良誤認・有利誤認とは?」で詳しく整理しています。 

化粧品LPではコピー・画像・根拠資料を横断確認する

化粧品LPを確認するときは、次のように法律ごとの役割を分けると整理しやすくなります。

法律主な確認観点化粧品広告で問題になりやすい例
薬機法効能効果、虚偽・誇大広告、医薬品的表現「シミが消える」「ニキビが治る」「肌細胞を再生する」
景品表示法優良誤認、有利誤認、比較、ステマ規制No.1、満足度、比較表、口コミ、ビフォーアフター、PR投稿
健康増進法食品の健康保持増進効果等に関する虚偽誇大表示サプリメント、ドリンク、化粧品と健康食品の一体訴求
特定商取引法通信販売の価格、契約内容、申込み条件初回価格、支払総額、定期購入、解約条件、最終確認画面

つまり、薬機法チェックは広告チェックの一部です。公開前には、コピー、画像、口コミ、調査データ、価格、申込み画面、PR表示まで含めて確認する必要があります。

薬機法と景品表示法の違い

実務的に整理すると、薬機法は「その商材でどこまで効能効果を表現できるか」、景品表示法は「表示に対応する根拠があり、広告全体が実際以上に見えないか」を確認する法律です。

両者は重なる部分もありますが、同じ確認作業ではありません。

薬機法は化粧品として標ぼうできる範囲を確認する

薬機法では、化粧品を含む医薬品等の効能効果などに関する虚偽・誇大広告が規制されています。

一般化粧品では、厚生労働省通知で示された効能の範囲を基準にします。たとえば、「肌にうるおいを与える」「肌を滑らかにする」「皮膚をすこやかに保つ」などです。「乾燥による小ジワを目立たなくする」については、所定の効能評価試験を踏まえるなど、表現条件も含めて確認する必要があります。

薬用化粧品は医薬部外品です。一般化粧品にはない特定の効能効果を表現できることがありますが、何でも自由に表現できるわけではありません。「美白」「シワ改善」「ニキビを防ぐ」などを使う場合も、商品の承認された効能効果と一致しているかを個別に確認します。

ここでよくある誤りが、商材区分を確認せずに競合商品のコピーを参考にすることです。競合商品が医薬部外品、自社商品が一般化粧品であれば、同じコピーを使えるとは限りません。

景品表示法は実際より良く・有利に見えないかを確認する

景品表示法の優良誤認表示は、商品・サービスの品質、規格その他の内容について、実際より著しく優良であると示す表示などを規制します。有利誤認表示は、価格やその他の取引条件について、実際より著しく有利であると誤認される表示などを規制します。

また、広告であることが分かりにくい表示については、優良誤認・有利誤認とは別に、ステルスマーケティング規制の確認が必要です。

化粧品広告では、次のように分けると理解しやすくなります。

  • 「この美容液でシミが消える」
    →まず薬機法上の効能効果を確認する(シミが消えるはNG)
  • 「利用者満足度98%」
    →景品表示法上、調査対象や質問方法、集計方法を確認する
  • 「他社の2倍の保湿力」
    →比較対象、試験条件、数値の意味、広告文との対応を確認する(ただし、他社との比較は医薬品等適正広告基準によってNG)
  • 「通常価格1万円のところ初回500円」
    →比較対象価格の根拠、定期条件、支払総額などを確認する
  • 「愛用者の投稿」と見せた企業依頼のSNS投稿
    →広告であることが一般消費者に明瞭かを確認する(ステルスマーケティング告示)

景品表示法全体の目的、対象、薬機法との違いから確認したい場合は、「景品表示法とは?」もご確認ください。 

依頼主への説明では「効能の範囲」と「見え方・根拠」を分ける

制作会社さまが依頼主へ説明するときは、次の表が使えます。

比較項目薬機法景品表示法
主な対象医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器など幅広い商品・サービスの表示
化粧品広告で見る点効能効果、医薬品的表現、虚偽・誇大広告優良誤認、有利誤認、比較、ステマ
代表的な確認資料化粧品の効能範囲、医薬部外品の承認内容、広告基準試験資料、調査票、集計表、価格資料、投稿依頼内容
判断の問い化粧品として、その効果を言えるかその見せ方に根拠があり、実際以上に見えないか
代表例「シミが消える」「ニキビが治る」「売上No.1」「満足度98%」「今だけ半額」

「薬機法はチェックしました」という回答は、「景品表示法も確認済み」という意味にはなりません。制作段階では、それぞれの確認担当者と、確認に用いる根拠資料を明確にすることが大切です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
薬機法と景品表示法の違いを説明するとき、B&HPromoter’sは「薬機法は効能表現の範囲、景品表示法は見え方と根拠を見る」と整理しています。
ここで大事なのは、単語ごとにOK・NGを付けて終わらせないことです。コピーが穏当でも、ビフォーアフター、口コミ、No.1表示を組み合わせれば、広告全体では強い改善効果を約束しているように見えることがあります。逆に、根拠資料があっても、その資料で断定的な広告表現まで裏付けられるとは限りません。
制作現場では、薬事担当者にコピーだけを渡すのではなく、画像、調査データ、注釈、購入条件を含む完成イメージで確認することが、手戻りを減らすポイントです。

化粧品広告で景品表示法上問題になりやすい表示

化粧品広告で確認したい7つの表示を整理した図解。No.1表示、満足度表示、比較表現、Before/After、口コミ、価格・定期購入、PR投稿について、比較対象や調査条件、撮影・加工、広告転載、総額・解約条件、広告表示の明瞭性などの確認ポイントを示している。下部には、共通する判断軸として「合理的な根拠」「広告全体の印象」「申込導線まで確認」を掲載し、根拠と表示の対応を確認しながら必要な法規を横断して検討することを伝えている。

化粧品広告で景品表示法上問題になりやすいのは、No.1表示、満足度表示、比較表現、ビフォーアフター、口コミ、価格表示、広告であることが分かりにくいPR投稿です。

これらの表示が一律に禁止されているわけではありません。表示に対応する合理的な根拠があるか、広告全体から一般消費者が受ける印象と事実が一致しているかを確認する必要があります。

優良誤認になりやすい表示

優良誤認の確認では、化粧品の品質、性能、効果、評価などが、実際よりも著しく優れているように見えていないかを確認します。

たとえば、次のような表示には注意が必要です。

  • 限られた年代のモニター調査をもとに「女性が選ぶ美容液No.1」と表示する
  • 商品を無料提供した参加者の回答を含めて「満足度96%」と表示する
  • 使用量や測定時間が異なる試験をもとに「従来品よりうるおい2倍」と表示する
  • わずかな数値差を、縦軸を省略したグラフで大きな差があるように見せる
  • 照明、撮影角度、表情、メイクの有無が異なるビフォーアフターを掲載する
  • 一部の利用者の「翌朝からハリを感じた」という感想を、誰にでも得られる効果のように紹介する
  • 「香りや使い心地に満足した」というアンケート結果を、「肌への効果に満足した」と受け取られる形で表示する

「第三者機関調べ」「モニター試験実施済み」「専門家監修」と記載しても、それだけで表示の根拠が十分になるわけではありません。

試験対象、試験条件、評価項目、商品との同一性などを確認し、得られた結果と広告コピーが適切に対応しているかを検討します。

なお、景品表示法上の合理的な根拠が確認できても、その表現を化粧品広告で使用できるとは限りません。一般化粧品では化粧品の効能範囲、薬用化粧品では承認された効能効果の範囲を確認し、試験結果、グラフ、口コミ、使用前後写真などによって、効能効果や安全性を保証する印象になっていないかを薬機法上も別途確認する必要があります。

有利誤認になりやすい価格・キャンペーン表示

有利誤認では、価格、割引率、購入回数、送料、解約条件などが実際より有利に見えていないかを確認します。

特に注意したいのが、次の表示です。

  • 販売実績や価格の性質を裏付けられない「通常価格」
  • 実際には継続している「今だけ」「本日限定」
  • 初回価格のみを過度に強調し、2回目以降の代金や総額を認識しにくくしている
  • 「いつでも解約可能」と強調しながら、解約期限や方法が分かりにくい
  • 広告や申込み導線で定期購入であることが明確に示されておらず、最終確認画面でも容易に確認できない
  • 割引率の計算基準が明確でない

インターネット通販の最終確認画面では、支払総額や各回の代金、契約期間(購入回数・期間・総量)、解約条件など、申込み内容を消費者が確認できる表示が求められます。LP本体だけでなく、カートや申込み画面も確認対象です。

No.1表示・満足度表示・比較表現の注意点

No.1表示や高評価%表示では、「調査会社が実施したから問題ない」とは限りません。

消費者庁のNo.1表示に関する実態調査報告書では、主観的評価に基づくNo.1表示の合理的根拠について、少なくとも次の観点が示されています。

  1. 比較する商品・サービスが適切に選ばれているか
  2. 調査対象者が適切に選ばれているか
  3. 調査が公平な方法で実施されているか
  4. 表示内容と調査結果が適切に対応しているか

たとえば、商品を使ったことがない人にパッケージ画像だけを見せた「イメージ調査」の結果を「利用者満足度No.1」と表示するのは、表示内容と調査内容が対応していません。第三者へ調査を委託していても、広告主が調査内容と表示の対応を確認する必要があります。

景品表示法では比較広告そのものが禁止されているわけではありません。比較広告では、主張する内容が客観的に実証されていること、調査結果などが正確かつ適正に引用されていること、公正な比較方法が用いられていることが前提です。ただし、化粧品においては医薬品等適正広告基準によって他社との比較は制限されているため注意が必要です。

表示主なリスク確認すべき資料・条件
No.1表示優良誤認・有利誤認比較対象、調査対象者、期間、質問票、集計方法
満足度表示優良誤認母数、対象者、質問文、選択肢、除外データ
比較表優良誤認・有利誤認比較商品の選定理由、比較時点、試験条件
ビフォーアフター優良誤認・薬機法上の保証的印象撮影条件、使用期間、個人差、画像加工の有無
口コミ優良誤認・薬機法・ステマ収集方法、選定方法、広告利用の範囲、投稿依頼
初回価格・定期購入表示(通信販売・定期購入の場合)有利誤認・特商法通常価格、2回目以降の価格、支払総額、解約条件
PR投稿ステマ規制商品提供・報酬、投稿指示、PR表示の位置と明瞭性

No.1、限定、無料、比較など、広告表現全般の景品表示法上の確認は、「景品表示法の広告表現ガイド」も参考になります。

口コミ・ビフォーアフターは広告に組み込んだ時点で再確認する

消費者が自発的に投稿した口コミと、企業さまが選んでLPへ掲載した口コミは、実務上の扱いが同じとは限りません。

企業さまが口コミを選び、見出しを付け、画像や商品リンクと組み合わせてLPに掲載すれば、その口コミは広告全体の一部として受け取られます。そのため、元の投稿者が自主的に書いた内容であっても、広告へ転載する際には、効能効果や安全性に関する体験談になっていないか、使用感などに関する内容にとどまっているかを確認することが重要です。

ビフォーアフター画像もすべてが禁止されるわけではありませんが、一般化粧品の効能範囲外の変化や、薬用化粧品の承認効能外の変化を示す画像、効果発現までの時間・持続時間・安全性を保証する画像は認められません。照明、角度、表情、メイク、画像補正などが異なると、商品の効果以上の変化を示す可能性があります。注釈だけに頼らず、画像そのものが与える印象を確認することが必要です。

化粧品広告に口コミやインスタPR投稿、ビフォーアフター画像を使う際の薬機法上の注意点は、「化粧品の口コミは薬機法違反になる?」で詳しく解説しています。 

ステマ規制とPR投稿の注意点

2023年10月1日から、広告であるにもかかわらず、一般消費者が広告であることを判別することが困難な表示は、景品表示法上の不当表示として規制されています。規制対象となるのは広告主である事業者です。

化粧品では、次のケースで企業さまの関与を確認します。これらはいずれも判断要素であり、一つの事情だけで一律に決まるものではありません。依頼内容、利益提供の目的、投稿者との関係、内容決定の経緯を総合して判断します。

  • 商品を無償提供し、投稿を依頼した
  • 投稿内容やハッシュタグを具体的に指示した
  • 報酬やポイント、クーポンを提供した
  • 良い評価を付けることを条件にした
  • 投稿内容を企業さまが事前確認・修正した
  • 投稿を自社LPや広告へ二次利用した

「#PR」を付ければ、それだけで常に十分とは限りません。投稿の冒頭や画像、動画の表示方法を含め、一般消費者が広告であることを容易に認識できるかを確認します。投稿を展開しなければ見えない位置、リプライやリンク先だけに表示されている場合は、広告性が十分に伝わらない可能性があります。

事業者の表示への該当性や「PR」表示の明瞭性については、「ステルスマーケティング規制」で詳しく解説しています。 

健康増進法は化粧品広告にも関係するのか

健康増進法第65条第1項は、食品の健康保持増進効果等に関する虚偽誇大表示を規制しています。一般的な化粧品広告では薬機法・景品表示法が中心ですが、サプリメントや健康食品と一体で訴求する場合には健康増進法も確認します。

化粧品単体の記事で、健康増進法を中心的な法律として扱う必要は通常ありません。ただし、美容・健康領域では商材が混在しやすいため、対象商品を分けて整理することが大切です。

より詳しく知りたい場合は「健康食品広告のルール完全ガイド」もあわせてご確認ください。 

健康増進法は主に食品の健康保持増進効果を規制する

健康増進法第65条第1項の対象は、「食品として販売に供する物」に関する健康保持増進効果等の表示です。

錠剤やカプセル型のサプリメントだけでなく、飲料、菓子、一般的な食品なども対象になり得ます。広告を行う者についても「何人も」とされているため、製造・販売事業者に限らず、広告媒体事業者や広告代理店等も、広告その他の表示をする者に当たる場合には規制対象となり得ます。

健康食品広告における健康増進法の対象や虚偽誇大表示については、「健康食品広告に関わる人のための健康増進法」で詳しく解説しています。 

化粧品広告では薬機法・景表法が中心になる

肌へ塗布する一般化粧品の効能効果は、主に薬機法で確認します。表示に対応する根拠や広告全体の誤認可能性は、景品表示法で確認します。

したがって、一般化粧品だけを販売するLPであれば、基本的な確認順は次のとおりです。

  1. 一般化粧品か医薬部外品かを確認する
  2. 効能効果が、一般化粧品の効能範囲または医薬部外品の承認範囲と整合しているか確認する
  3. 試験データ、No.1、満足度、口コミ、比較、価格の根拠を確認する
  4. 広告全体が実際以上の効果を約束していないか確認する

美容サプリ・インナーケアと一体訴求する場合は注意する

次のようなLPでは、健康増進法を含む横断確認が必要になりやすくなります。

  • 化粧品とサプリメントをセット販売する
  • 「外側と内側から同時にケアする」と訴求する
  • ドリンクについて「飲むだけで肌が若返る」と表示する
  • 化粧品の記事LP内で、健康食品の摂取効果を説明する
  • インナーケア商品と化粧品の効果を区別せずにグラフ化する

食品について疾病の治療・予防のような効果を表示すれば、健康増進法や景品表示法だけでなく、薬機法上の医薬品的な効能効果の問題も生じる可能性があります。

商材・訴求主に確認する法律主な注意点
一般化粧品薬機法・景品表示法効能範囲、医薬品的表現、優良誤認
薬用化粧品薬機法・景品表示法承認範囲、作用機序、根拠表示
サプリメント薬機法・健康増進法・景品表示法医薬品的表現、健康保持増進効果、根拠
ドリンク健康増進法・景品表示法・薬機法体内機能や肌改善の訴求
化粧品+サプリLP複数法令を商材別に確認どの商品による効果かを明確に分ける

美容・健康を横断するLPでは、「ページ全体で一つの法律を見る」のではなく、「商品ごと、訴求ごとに適用関係を分ける」ことが実務上のポイントです。

制作会社・広告代理店が化粧品広告を作る前に確認すべきポイント

化粧品広告の法令確認は、完成後にNGワードを置き換える作業ではありません。商材区分、訴求軸、根拠資料、価格条件を企画段階で確認することが、手戻りを減らす実務的な方法です。

完成したLPのメインストーリーが、一般化粧品では表現できない「シワ改善」や「シミを消す」を前提としていた場合、単語を「ハリ」や「透明感」に置き換えるだけでは、ストーリー全体が崩れることがあります。

そのため、制作前、初稿、入稿前の3段階で確認する体制を作ります。

制作前に商材区分と訴求の上限を確認する

最初に確認するのは、商品の分類です。

  • 一般化粧品か
  • 医薬部外品か
  • 雑貨・美容機器ではないか
  • 食品やサプリメントを同時に扱うか
  • 医薬部外品の場合、承認された効能効果は何か
  • 一般化粧品の場合、どの効能範囲を訴求軸にするか

この確認をせずにデザインやコピーを進めると、ファーストビューから作り直すことになりかねません。

なお、美容機器や美顔器を化粧品と組み合わせて広告する場合は、機器側の医療機器該当性を別に確認します。「医療機器該当性で迷ったら」で判断軸を整理しています。 

コピーだけでなく画像・グラフ・体験談を確認する

初稿確認では、次の要素を一つの広告として見ます。

  • メインコピー、見出し、本文
  • 商品名、成分名、愛称
  • 肌断面図、浸透イメージ
  • ビフォーアフター画像
  • 試験グラフ、数値、模式図
  • No.1、満足度、ランキング
  • 口コミ、体験談、専門家コメント
  • 注釈、打消し表示
  • バナーからLPへの接続
  • SNS投稿から商品ページへの接続

本文には書いていない効能効果だったとしても、画像や図解が同じ効果を暗示していれば、広告全体として確認対象になります。

根拠資料は「あるか」ではなく「表示と対応するか」を見る

根拠資料が提出されていても、広告表現との対応が弱いケースがあります。

たとえば、原料単体の試験結果を最終商品全体の効果として表示したり、一定条件下で得られた機器測定値を、日常的に得られる肌改善効果として見せるケースです。

確認時には、次の点を整理します。

  • 試験対象は原料か、最終商品か
  • 試験品と販売品の処方は同じか
  • 被験者、期間、使用量は広告の想定と合っているか
  • 測定した指標と広告コピーが対応しているか
  • 一時的な測定結果か、持続的な結果か
  • 全員に同じ結果が出たように見せていないか
  • 数値の一部だけを恣意的に切り取っていないか

「根拠資料が1枚あるので掲載可能」と判断するのではなく、広告が消費者へ約束している内容と資料が一致しているかを見ます。

EC・定期購入では申込み画面まで確認する

LPの広告審査を終えても、購入導線に不備が残る場合があります。

  • 初回価格と2回目以降の価格
  • 定期購入であること
  • 各回および総額の表示
  • 最低購入回数
  • 送料、手数料
  • 解約申出の期限
  • 解約方法
  • 返品条件
  • 最終確認画面の表示

広告チーム、ECチーム、カートシステム担当が分かれている場合は、誰が最終確認画面を確認するかを決めておくとスムーズです。

特商法に基づく表記そのものを確認したい場合は、「特定商取引法に基づく表記とは?」もご確認ください。 

公開前チェックリスト

確認項目制作担当薬事・法務担当根拠資料
商材区分を確認した届出・承認関連資料
メイン訴求が効能範囲内である効能範囲・承認書
商品名・成分名による暗示を確認した商品資料
No.1・満足度の調査条件を確認した調査票・集計表
比較表の対象と条件を確認した比較根拠
ビフォーアフターの撮影条件を確認した元画像・撮影記録
口コミを広告に利用できる内容に整えた収集・掲載同意
PR投稿の企業関与と表示を確認した依頼書・契約書
注釈が近接し、認識できる大きさであるデザインデータ
通常価格・割引率の根拠を確認した販売実績・計画
定期条件・支払総額を確認したカート画面
バナー・SNS・LPの訴求が一致している全クリエイティブ
媒体独自の審査基準を確認した媒体ガイドライン

チェックリストは、法令判断を自動化するものではありません。しかし、確認漏れを減らし、「誰が、どの資料を、どの段階で確認するか」を揃えるためには有効です。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
広告チェックで大幅な手戻りが起きるのは、表現の一部がNGだったときではありません。訴求軸そのものが、その商材では使えないと分かったときです。
一般化粧品なのに「シワ改善」を中心にLPを組み立てていた場合、単語を置き換えるだけではストーリーが成立しなくなります。デザイン完成後に薬事確認を入れるほど、コピー、画像、構成、広告出稿まで影響が広がります。
40,000件以上の広告表現支援を通じて見ても、うまく進む案件は、商品企画やワイヤーフレームの段階で「何を根拠に、どこまで言うか」を決めています。広告規制は最後のブレーキではなく、最初に進行ルートを決めるための設計条件として扱うことが大切です。

よくあるご相談(FAQ)

化粧品広告では薬機法と景品表示法のどちらを確認すべきですか?

両方を確認することが大切です。薬機法では、化粧品として標ぼうできる効能効果の範囲、医薬品的な表現、虚偽・誇大広告などを確認します。景品表示法では、商品が実際より著しく優良または有利に見えないか、No.1表示や比較、口コミ、価格、PR投稿に適切な根拠や表示があるかを確認します。

薬機法上穏当なコピーであっても、根拠のない満足度表示や不明瞭な定期購入条件がある場合は、注意が必要です。

薬機法と景品表示法の違いは何ですか?

薬機法は、化粧品、医薬部外品、医薬品などについて、効能効果や虚偽・誇大広告を確認する法律です。一般化粧品では化粧品の効能範囲、医薬部外品では承認された効能効果との整合性が判断の基礎になります。

景品表示法は、商品・サービスの内容や取引条件を実際より著しく優良・有利に見せる表示などを規制します。実務では、「薬機法は表現可能な効能の範囲」「景品表示法は見せ方と根拠」と分けて理解することが大切です。

化粧品広告で景表法上問題になりやすい表示は何ですか?

根拠のないNo.1表示、満足度表示、ランキング、比較表現、ビフォーアフター、口コミ、二重価格、初回価格、広告であることが分かりにくいPR投稿などです。

これらが一律に禁止されているのではなく、表示に対応する根拠があるか、調査や比較の条件が適切か、一般消費者が広告全体から受ける印象と事実が一致しているかが判断のポイントです。

薬機法チェック済みの化粧品LPでも、景品表示法の確認は必要ですか?

必要です。薬機法チェックでは、通常、化粧品として表現できる効能効果や医薬品的な表現を中心に確認します。しかし、No.1表示、満足度、価格、比較、口コミ、PR投稿などの根拠や表示方法は、景品表示法の観点で別に確認します。

薬事担当者へ確認を依頼するときも、確認範囲がコピーのみなのか、画像、根拠資料、価格表示まで含むのかを明確にしておくことが大切です。

化粧品広告でNo.1表示や満足度表示は使えますか?

客観的かつ合理的な根拠があり、表示内容と調査結果が適切に対応していれば、直ちに禁止されるものではありません。

ただし、実際の利用者を対象としているか、主要な比較対象が含まれているか、質問や選択肢が回答を誘導していないか、表示したNo.1の意味と調査内容が一致しているかを確認します。調査会社へ委託していても、最終的に広告主が調査内容を確認する必要があります。

化粧品の口コミやインフルエンサー投稿はステマ規制の対象になりますか?

企業さまが投稿内容の決定に関与し、一般消費者が事業者の表示であることを判別しにくい場合は、ステマ規制の対象となる可能性があります。

報酬の支払いだけでなく、商品の無償提供、投稿内容の指示、評価の指定、事前確認なども含め、企業さまと投稿者の関係を確認します。また、自主的な口コミを自社LPへ転載する場合も、転載後は広告全体の一部として薬機法・景品表示法の確認が必要です。

健康増進法は化粧品広告にも関係しますか?

一般的な化粧品単体の広告では、薬機法と景品表示法が中心です。健康増進法は、食品として販売される物の健康保持増進効果等に関する虚偽誇大表示を主な対象とします。

ただし、サプリメント、健康食品、ドリンク、インナーケア商品を化粧品と同じLPで扱う場合には、食品側の表示について健康増進法を確認します。化粧品と食品の効果を一体化して見せず、どの商品について何を説明しているかを分けることが重要です。

まとめ|化粧品広告は薬機法・景表法・健康増進法を分けて横断確認する

化粧品広告では、薬機法チェックだけで広告全体の確認が完了するわけではありません。

薬機法では、一般化粧品として標ぼうできる効能効果の範囲や、医薬部外品の承認内容、虚偽・誇大広告などを確認します。景品表示法では、No.1表示、満足度、比較、ビフォーアフター、口コミ、価格、PR投稿が、実際より著しく優良または有利に見えないかを確認します。

美容サプリや健康食品を同じページで扱う場合は、健康増進法や食品に対する薬機法上の確認も必要です。EC・定期購入では、特定商取引法上の申込み条件や最終確認画面まで確認範囲に含めます。

ここで大切なのは、NGワードを探すことではありません。

  • 広告全体で何を約束しているように見えるか
  • その約束を根拠資料で支えられるか
  • 商材区分や承認内容と整合しているか
  • 消費者が価格、契約条件、広告性を正しく認識できるか

この4点を、コピー、画像、口コミ、調査データ、購入導線まで横断して確認します。

個別案件の判断は、商品区分、処方、承認内容、媒体、ターゲット、根拠資料、広告全体の構成によって変わります。判断が難しい場合は、公開直前ではなく、企画やワイヤーフレームの段階で薬事・法務・広告規制の担当者へ共有することが、修正コストを抑える実務的な対応です。

化粧品LPについて、「薬機法は確認したが、No.1表示や口コミ、ビフォーアフター、価格表示まで確認できているか不安」という場合は、広告全体を横断して判断軸を整理します。コピー、画像、根拠資料、購入条件を含めた広告チェックをご相談ください。

なお、化粧品広告について体系的に知りたい場合は「化粧品広告の薬機法ガイド」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

【無料】薬機法AIチェックツール「薬事ディフェンダー」

広告表現について、「どこに注意すべきか分からない」「公開前に確認ポイントを整理したい」という場合は、無料の薬機法チェックツール「薬事ディフェンダー」をご活用ください。

【無料】薬機法・広告規制の実務をメールマガジンで学ぶ

薬機法・景品表示法の実際の相談事例や、広告チェックで迷いやすいポイントを、実務の視点から解説しています。広告制作や表現確認に関わる方が、日々の案件で使える判断軸をメールでお届けします。

形態 必須
業種 必須

登録後、配信されるメールからいつでも解除できます。

薬機法・景品表示法を実務で使える判断力を身につける

クリエイティブの幅が広がる。 ギリギリを攻めても、手戻りしない。 300件以上の事例で判断力を鍛え、 もう実務で迷わない薬機法・景品表示法講座のイメージ画像

「薬機法マスター講座」では、300件以上の広告事例と約10時間の動画を通じて、薬機法・景品表示法を実務で使うための判断方法を学べます。NG表現の暗記ではなく、根拠をもって広告を制作・確認・修正する力を身につけたい方におすすめです。

参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

化粧品広告における薬機法と景品表示法の違いを示した図解。薬機法では「効能効果の範囲」「虚偽・誇大表現」、景品表示法では「表示の合理的な根拠」「優良・有利誤認」を確認し、口コミやBefore/After、広告全体の印象は両法を横断して確認する必要があることを示している。下部には「商材区分を確認」「訴求と根拠を整理」「広告全体を確認」の3つの実務ポイントを掲載。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次