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医薬部外品の効能効果と広告表現|美白・シミ・育毛・ニキビ・デオドラントの注意点

医薬部外品広告の実務ポイントを示したアイキャッチ画像。左側に「医薬部外品の効能効果と広告表現」「美白・育毛・ニキビ・デオドラントの判断ポイント」と表示。下部に「承認効能を確認」「表現を再設計」「広告全体で確認」の3項目を配置。右側には「商品ごとの承認効能」と書かれた書類カードを中心に、「美白・シミ」「育毛」「ニキビ」「デオドラント」の4カテゴリが線でつながる図解。

医薬部外品には、商品ごとに承認された効能効果があります。ただし、医薬部外品だからといって「シミが消える」「ニキビが治る」「毛が生える」「臭いを根本改善する」といった表現を自由に使えるわけではありません。

広告制作では、販売名、承認効能、有効成分、用法用量、パッケージ表示を確認し、その範囲を超えない形で訴求を設計します。

特に、美白・シミ、育毛、ニキビ、デオドラントは、消費者の期待値が高く、表現によっては医薬品的な効果保証や誇大な印象を与える可能性があるため、注意が必要です。また、「医薬部外品は効果ないのでは?」という検索意図も、承認された効能よりもオーバーな広告表現から生じることもあります。

この記事では、制作会社・広告代理店・商品メーカーの担当者さま向けに、医薬部外品の効能効果の考え方、広告で使いやすい表現・注意したい表現、商材別の判断ポイント、公開前に確認すべき資料を整理します。個別案件では、商材、承認内容、表示媒体、根拠資料、広告全体の印象により判断が変わるため、最終確認は公的資料や専門家確認とあわせて行うことが前提です。

この記事の要点(まとめ)
  • 医薬部外品の効能効果は、商品ごとの承認範囲から確認する:医薬部外品は、医薬品そのものではありません。広告で表現できる効能効果は、原則として商品ごとの承認内容を起点に考えます。
  • 「効く」「治る」「改善」「根本から」は文脈次第でリスクが高まる:承認効能があっても、効果保証、治療、既存症状の改善、発毛結果の保証、体質改善のように見える表現は慎重に扱う必要があります。 
  • 美白・育毛・ニキビ・デオドラントは、文言だけでなく広告全体で確認する:見出し、画像、口コミ、体験談、ビフォーアフター、注釈、比較表を含め、広告全体が何を約束しているように見えるかを確認することが実務上の判断軸です。
目次

医薬部外品の効能効果とは

医薬部外品の広告では、商品ごとに承認された効能効果が、表示・広告の起点となります。医薬部外品は医薬品そのものではないため、治療・改善効果を自由に表現できません。

医薬部外品は商品ごとに効能効果を確認する

広告制作の現場でまず意識したいのは、「この商品は医薬部外品である」という事実だけでは足りない、という点です。

医薬部外品であっても、商品ごとに承認された効能効果、有効成分、用法用量、販売名、パッケージ表示が異なります。そのため、同じ「薬用化粧品」や「薬用デオドラント」であっても、広告で訴求できる範囲は、商品ごとに確認する必要があります。

たとえば、ある薬用化粧品で「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という効能効果が承認されている場合、その範囲で美白表現を設計することがあります。一方で、「すでにあるシミが消える」「肌そのものが白く変わる」といった印象になると、承認効能を超える可能性が高く、広告上のリスクの高い表現となります。

医薬部外品の広告では「医薬部外品だから何でも言える」という考え方ではなく、「この商品の承認効能として何が認められているか」を確認することが重要です。

医薬部外品そのものの定義や、薬用化粧品・薬用歯みがき・育毛剤などの商品例から確認したい方は、「医薬部外品とは?」もご確認ください。 

医薬品の効能効果とは違う

医薬部外品は、薬機法上、医薬品・化粧品とは別の区分です。薬機法第66条では、医薬品・医薬部外品・化粧品などについて、名称、製造方法、効能、効果または性能に関する虚偽・誇大な広告が、明示・暗示を問わず禁止されています。

実務上よく起こるのが「医薬部外品=効果を強く言える商品」と捉えてしまう誤解です。

医薬部外品は化粧品よりも一定の効能効果を表示できる場合があります。しかし、医薬品のように病気や症状の治療・改善を自由に標ぼうできるわけではありません。

たとえば、薬用ニキビケアで「ニキビを防ぐ」と表現できる場合でも、「ニキビが治る」「炎症ニキビを改善する」といった表現は医薬品的な印象になりやすくなります。育毛剤でも、「育毛」「毛生促進」「発毛促進」など、個別の商品で承認された効能に基づく訴求と、「必ず毛が生える」「髪が増える」「薄毛が治る」といった結果保証・治療を想起させる訴求は分けて考える必要があります。 

なお、医薬部外品と医薬品では、広告表現の起点となる資料も異なります。医薬品広告では承認効能や添付文書を起点に確認します。 

化粧品の56効能とも違う

もう一つ混同されやすいのが、一般化粧品の効能効果との違いです。

一般化粧品は、原則として化粧品の効能効果の範囲内で表現を設計します。一方、薬用化粧品を含む医薬部外品は、商品ごとの承認効能効果を確認する必要があります。

化粧品の表現で言えること、医薬部外品だから言えること、医薬品でなければ言いにくいことを混ぜてしまうと、広告審査や薬事確認で大きな修正につながるため注意が必要です。

区分効能効果の確認軸広告制作での注意
医薬品承認効能、添付文書、用法用量治療効果、効果保証、安全性保証、用法用量の逸脱
医薬部外品商品ごとの承認効能効果承認範囲の逸脱、医薬品的表現、効能効果の保証
化粧品化粧品効能の範囲治療・改善表現、化粧品の効能範囲を超える表現、浸透・体験談表現

広告制作の場面では、商品の区分だけで判断しないことが大切です。広告制作前に、商品資料や承認内容を確認し、「この商品で言える効能効果」と「広告上見せたい訴求」を照合します。

具体的な56項目は「化粧品で認められる56項目の効能効果とは?」で整理しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医薬部外品の広告で最初に確認すべきなのは、「どんな効果を言いたいか」ではなく、「その商品にどの効能効果が承認されているか」です。制作現場では、競合広告や商品コンセプトを見て先にキャッチコピーを作ってしまうことがありますが、医薬部外品では承認効能から逆算して表現を設計しないと、後工程で大きな修正が発生しやすくなります。
重要なのは、承認された範囲を守ったうえで、誰に、どの使用シーンで、どのような価値として伝えるかを考えることです。薬機法対応は、表現を弱める作業ではなく、根拠に基づいて伝わる形へ再設計する作業です。

医薬部外品の効能効果は広告でどこまで表現できるか

医薬部外品の効果効能表現について、承認効能の範囲、強い動詞、短縮による意味の変化という3つの確認ポイントを整理した図解。下段では「ニキビを防ぐ」と「ニキビに」、「しみ・そばかすを防ぐ」と「シミが消える」、「育毛」と「毛が生える」、「汗臭を防ぐ」と「臭いを根本改善」を比較し、承認内容、コピー、広告全体の印象を順番に確認する流れを示している。

医薬部外品の効能効果は、原則として承認を受けた効能効果の範囲内で表現します。承認範囲内の文言であっても、見出し、画像、体験談、比較表などにより、広告全体として過度な効果保証に見える場合は注意が必要です。

原則は承認効能効果の範囲内

医薬品等適正広告基準では、承認を要する医薬品等の効能効果等の表現について、承認を受けた効能効果等の範囲を超えないこととされています。

たとえば、承認効能が「汗臭を防ぐ」であれば、その範囲で訴求を設計します。そこから「体臭を根本から改善」「ワキガ体質を治す」「一日中完全に臭わない」といった表現に広げると、承認効能の範囲を超えたり、効果保証に見えたりするので注意が必要です。

制作現場では、承認効能をそのまま使うだけでは広告として弱く感じることがあります。そのため、コピーを工夫したくなるのは自然です。ただし、工夫すべきなのは「効能を広げること」ではなく、「承認範囲の中で、生活者に伝わる表現に置き換えること」です。

「効く」「改善」「治る」は慎重に扱う

「効く」「改善」「治る」などの広告コピーは、医薬部外品広告では慎重に扱う必要があります。

特に「治る」は、病気や症状の治療を想起させやすい表現です。ニキビ、肌荒れ、薄毛、ワキガ、シミなど、消費者が悩みとして認識しているテーマでは、少しの言い回しで医薬品的な印象を与える可能性があります。

「改善」も同様です。承認効能として「しわ改善」などが認められている医薬部外品であれば別途検討余地がありますが、一般的に「肌質改善」「体臭改善」「薄毛改善」などと広く使うと、承認効能を超えた印象になりやすくなります。

また、「効く薬用成分」「確かな効果を実感」などの表現も、単独で強調すると効果保証につながる可能性があるため、注意が必要です。

薬機法上の判断については「薬機法で「改善」は使える?」で具体的にまとめています。また、薬用化粧品で「シワ改善」を使えるかは、一般化粧品の乾燥小ジワとは別に、商品ごとの承認効能を確認します。詳しくは「薬用化粧品で『シワ改善』は使える?承認効能と広告表現の薬機法上の注意点」をご確認ください。 

「防ぐ」を「〇〇に」と短縮しない

医薬部外品広告では、「〇〇を防ぐ」と「〇〇に」は同じ意味にならないことがあります。

たとえば、「ニキビを防ぐ」という承認効能がある場合に、広告見出しで「ニキビに」と短縮すると、ニキビの予防ではなく、すでにできたニキビへの治療・改善を想起させる可能性があります。

同じように、「しみ・そばかすを防ぐ」を「シミに」と短縮すると、すでにあるシミに作用する印象が強くなる場合があります。

広告の見出しでは、文字数を短くしたい場面もあるでしょう。しかし、医薬部外品の広告では、短縮によって意味が変わることがあります。特にバナー、SNS広告、ファーストビュー、サムネイルでは、文脈が少ない分、強い誤認につながりやすいため注意が必要です。

表現パターン実務上の見方注意点
ニキビを防ぐ承認効能に基づき検討しやすい商品ごとの承認内容確認が前提
ニキビに治療・改善の印象が出やすい短縮で意味が変わる可能性
しみ・そばかすを防ぐ美白系の承認効能に基づき検討しやすい「メラニンの生成を抑え」等の条件確認が必要
シミが消える既存シミの消失を想起承認範囲・保証表現に見える可能性
育毛承認内容により検討発毛との混同に注意
毛が生える発毛を想起医薬品的な印象に注意
汗臭を防ぐ承認内容により検討「完全に臭わない」は保証表現になりやすい
臭いを根本改善体質改善・治療の印象が出やすい承認範囲・保証表現に見える可能性

広告で使う言葉は、一語だけで判断するものではありません。とはいえ、短い見出しほど誤認されやすいことは、制作現場で共有しておきたいポイントです。

「医薬部外品は効果ない」と言われる理由

「医薬部外品は効果がないのでは?」という疑問は、消費者の期待と実際の承認効能との違いから生じることがあります。多くの場合、消費者の期待値、広告表現、実際の承認効能のズレから生まれる疑問です。

医薬部外品には、商品ごとに承認された効能効果があります。ただし、その効能効果は医薬品のような治療効果とは異なります。

たとえば、美白系の医薬部外品で認められることがあるのは、一般に「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」といった予防的な効能です。これを消費者が「できてしまったシミが消える」と期待してしまうと、実際の使用感との間にギャップが生まれます。

育毛剤では、個別の商品によって「育毛」「脱毛の予防」「毛生促進」「発毛促進」などが承認効能に含まれる場合があります。一方、「必ず毛が生える」「使用すれば髪が増える」といった結果保証まで承認されているわけではありません。広告では、実際の承認効能と、消費者に与える発毛結果の印象を区別して確認する必要があります。 汗臭を防ぐためのデオドラントの広告で「体質的な臭いを根本から治す」と表現すると薬理的な効果を保証する印象を与える可能性があるため、慎重な確認が必要です。

広告の現場では、消費者の期待をあおらないことが大切です。「効果ないのでは?」という不安に対しては、次のように整理すると説明しやすくなります。

読者の疑問実務上の説明
医薬部外品は効果がないのか効能効果がないという意味ではなく、商品ごとの承認効能の範囲で考える必要がある
美白なら肌が白くなるのか一般に「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」など、予防的な意味で理解する必要がある
育毛剤なら毛が生えるのか「育毛」と「発毛」は分けて考える。発毛を想起させる表現は慎重に確認する
ニキビケアならニキビが治るのか「ニキビを防ぐ」と「ニキビが治る」は異なる。治療・改善の印象に注意する
デオドラントなら臭いを完全に消せるのか「汗臭を防ぐ」等の承認範囲と、完全保証・体質改善の印象を分ける

つまり、広告では「期待させすぎないが、伝えるべき効能は正しく伝える」ことが重要です。効能効果を弱めるのではなく、誤認を避けながら適正に情報提供するという考え方が、医薬部外品広告では求められます。

美白・シミの医薬部外品広告で注意すべき表現

美白・シミ訴求では、「シミを防ぐ」と「シミが消える」を明確に分ける必要があります。医薬部外品で美白表現を使う場合でも、承認効能、注釈、画像、ビフォーアフターの見せ方によって広告全体の印象が変わります。

「美白」は肌を白くする意味ではない

広告制作でよく起きる誤解が、「美白=肌が白くなる」という受け取り方です。

薬用化粧品の美白表現では、一般的に「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」などの承認効能を前提に表現設計を行います。したがって、「肌そのものが白くなる」「色黒が白肌になる」「すでにあるシミが消える」といった印象になる表現は注意が必要です。

たとえば、次のような表現は慎重に確認します。

注意したい表現リスクの理由調整の考え方
シミが消える既存シミの消失を想起しみ・そばかすを防ぐ方向に調整
白肌に生まれ変わる肌色変化・改善の印象透明感、うるおい、メーキャップ効果等との切り分け
長年のシミに効く治療・改善の印象承認効能の範囲で予防表現にする
美白効果を実感効能効果の保証に見えやすい使用感や仕上がり感と効能を分ける
ビフォーアフターでシミが薄くなる効能効果の保証に見えやすい表現可否、注釈、画像意図を個別確認

ここで大事なのは、注釈を入れれば何でも言えるわけではないということです。たとえば、メインビジュアルで「シミが消える」と強く見せ、下部に小さく「※メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」と書いても、広告全体として既存シミの消失を約束しているように見える場合があります。

美白広告では、メインコピー、画像、注釈、体験談、使用前後の印象をセットで確認することが必要です。

美白の承認効能と、「シミが消える」「肌そのものが白くなる」といった表現の境界は、「医薬部外品広告で『美白』は使える?シミ予防・肌が白くなる表現の薬機法上の注意点」で詳しく解説しています。 

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
美白広告で特に見落とされやすいのは、消費者が「美白」をどう受け取るかです。制作側は「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という意味で使っていても、見出しや画像の見せ方によっては「今あるシミが消える」と受け取られることがあります。
広告審査で見られるのは、単語だけではありません。ファーストビュー、ビフォーアフター、体験談、注釈を含めて、広告全体が何を約束しているように見えるかです。美白訴求では、この視点を制作初期から入れておくことが重要です。

育毛剤・養毛剤の医薬部外品広告で注意すべき表現

育毛剤・養毛剤の広告では、「育毛」「発毛促進」といった承認された効能と、「毛が生える」「薄毛が治る」といった結果・治療を示す表現を区別して考える必要があります。

医薬部外品の育毛剤(養毛剤)では、効能効果として「育毛」「脱毛の予防」「毛生促進」「発毛促進」などが品目ごとに承認されています。そのため、個別の商品において「発毛促進」が承認効能に含まれる場合、「発毛促進」という表現自体を医薬品専用のものとして扱う必要はありません。

一方で、「毛が生える」「必ず発毛する」「生え際が復活する」「薄毛が治る」といった表現は、承認された「発毛促進」等の効能を超えて、発毛の結果や治療効果を保証する印象を与えるおそれがあるため注意が必要です。

広告制作では、まず当該商品の承認効能を正確に確認し、「育毛」「発毛促進」などの承認範囲内の表現と、結果保証・治療・回復を想起させる表現を明確に区別して設計することが重要です。

表現実務上の注意
育毛承認効能に基づき検討しやすいが、商品ごとの確認が必要
発毛促進医薬部外品の育毛剤で認められる効能の一つ。個別商品の承認効能に含まれていることが前提 
毛が生える発毛保証に見えやすい
薄毛が治る治療表現に見えやすい
生え際が復活改善・若返り・発毛保証の印象に注意
使えば変わる効果保証、体験談、ビフォーアフターとの組み合わせに注意

育毛広告では、写真やイラストにも注意しましょう。髪が明らかに増えたように見えるビフォーアフター、頭頂部の変化を強調する画像、体験談による「生えた」訴求は、文言以上に強い印象を与える場合があります。

コピーだけを直しても、画像が発毛を約束しているように見えると、広告全体として問題になる可能性があります。

詳しくは「医薬部外品広告はカテゴリ別にどう違う?育毛・忌避剤・整腸剤・オーラルケアの薬機法ポイント」もご覧ください。

ニキビ・肌荒れ防止系の医薬部外品広告で注意すべき表現

ニキビ訴求では、「ニキビを防ぐ」と「ニキビが治る」を分けて考える必要があります。予防の効能効果を、治療・改善のように見せないことが実務上のポイントです。

「ニキビを防ぐ」を治療表現にしない

薬用化粧品では、商品によって「ニキビを防ぐ」「肌荒れを防ぐ」などの効能効果が承認されている場合があります。しかし、それを広告上で「ニキビに効く」「赤ニキビが治る」「繰り返すニキビを根本改善」と表現すると、治療や改善の印象が強くなります。

特に注意したいのは、見出し表現での短縮です。

「ニキビを防ぐ薬用化粧水」と書くのと、「ニキビに薬用化粧水」と書くのでは、消費者が受け取る印象が変わります。後者は、すでにあるニキビに作用するように見えやすいため、広告全体で慎重に確認したい表現です。

薬用化粧品のニキビ・肌荒れ表現は、「医薬部外品で『ニキビを治す』は使える?」で具体的にまとめています。 

体験談で「治った」と言わせない

ニキビ広告では、口コミや体験談との相性がよいため、LP(ランディングページ)やSNS広告に利用者の声を入れたくなることがあります。

しかし、「この商品でニキビが治りました」「赤みが引きました」「皮膚科に行かなくてよくなりました」といった体験談は、効能効果の保証や医薬品的な印象につながりやすい表現です。体験談であっても、広告に掲載する以上、広告全体の一部として確認する必要があります。

実務では、効能効果を体験談で語らせるのではなく、使用感、香り、テクスチャー、使いやすさ、継続しやすさなどに寄せて表現することが大切です。

デオドラント・制汗剤の医薬部外品広告で注意すべき表現

デオドラント・制汗剤広告では、「汗臭を防ぐ」「制汗」といった承認効能の範囲と、「臭いを根本改善」「ワキガが治る」「汗を完全に止める」といった表現を分ける必要があります。

デオドラント系の商品は、日常生活の悩みに直結するため、広告上は強い悩み訴求になりがちです。

たとえば、次のようなコピーです。

  • もう一日中臭わない
  • ワキガを根本から改善
  • 汗を完全ブロック
  • 体質から変えるデオドラント
  • どんな汗臭もゼロへ

これらは、効果保証、体質改善、治療、完全性を想起させる可能性があります。商品ごとの承認効能を確認したうえで、どの範囲で「防ぐ」「抑える」「清潔に保つ」などの表現が可能かを設計する必要があります。

また、デオドラント広告では、使用シーンの見せ方にも注意が必要です。満員電車や職場、恋愛などの場面を用いて、必要以上に不快感、不安や恐怖を与える表現になっていないかを確認します。医薬品等適正広告基準上の広告表現の適正性に加え、表示内容が商品の効果・性能を実際より著しく優良に見せる場合には景品表示法上の優良誤認の問題も別途検討します。媒体独自の審査基準についても分けて確認することが重要です。 

口コミ・体験談・ビフォーアフターで効能効果を伝えるときの注意点

医薬部外品広告における口コミ・体験談・ビフォーアフターの確認ポイントをまとめた5ステップの日本語図解。上段に「メインコピー単体」「画像単体の印象」「注釈の見え方」、下段に「口コミ・体験談」「広告全体の印象」の順でカードが並び、矢印で確認フローを示している。全体の要旨は「事実でも、効能効果を保証する印象には注意」「注釈で直すより、メイン表現から整える」。

医薬部外品広告では、口コミ・体験談・ビフォーアフターも広告全体の一部として確認します。事実に基づく内容であっても、効能効果を保証する印象を与える場合は、注意が必要です。

自社LPに掲載した時点で広告の一部になる

SNSやECモール上のレビューを見て、「利用者が勝手に書いたものだから大丈夫」と考えてしまうことがあります。

しかし、自社LPや広告クリエイティブが薬機法上の広告に該当する場合、そこに事業者が選択して掲載した口コミや体験談も、広告全体を構成する表示として確認する必要があります。元の投稿が利用者の自発的な感想であったとしても、事業者が広告に採用し、掲載内容や見せ方を決定した場合には、その表示が承認効能の範囲を超えていないか、効能効果を保証する印象になっていないかを確認します。 つまり、事業者がその表現を選び、見せ方を決めている以上、効能効果の保証や承認範囲を超えていないかを確認する必要があります。

たとえば、利用者の声として「シミが薄くなりました」「ニキビが治りました」「髪が生えてきました」「臭いが完全になくなりました」と掲載すると、本文で慎重な表現をしていても、体験談側で強い効果を約束しているように見える場合があります。

詳しくは「医薬部外品広告で口コミ・体験談は使える?」で解説しています。 

ビフォーアフターは画像の印象が強い

使用前後写真・ビフォーアフターは、一律に使用できないわけではありません。行政Q&Aでも、商品区分、承認効能、写真が何を表現しているかによって判断が分かれています。たとえば、「制汗」の効能が認められた腋臭防止剤について、無塗布時と使用時の状態を示す写真は原則差し支えないとされた事例があります。一方、「しみ・そばかすを防ぐ」などの予防効能を使用前後写真等で表現することは認められないとされた事例があります。

したがって、ビフォーアフターは「写真だからNG」「承認効能だからOK」と一律に判断せず、承認効能の内容と、画像が実際に何を示しているかを個別に確認する必要があります。

効能効果の保証と受け取られやすい画像は以下の通りです。

  • 美白広告でシミが消えたように見える
  • 育毛広告で髪が増えたように見える
  • ニキビ広告で炎症が治ったように見える

注釈を入れても画像の印象が強い場合は、誇大な広告と評価されるリスクが残ります。制作段階では、画像単体で見たときに、何を約束しているように見えるかを確認することが必要です。

詳しくは「医薬部外品広告でビフォーアフター画像は使える?」で商材別に整理しています。 

注釈は免罪符ではない

医薬部外品広告では、注釈の使い方も重要です。

注釈は、表現の条件や意味を補足するためのものです。しかし、メインコピーで承認範囲を超える印象を与え、注釈で小さく修正するような使い方は避けたいところです。

実務では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. メインコピー単体で誤認がないか
  2. 画像単体で過度な効果を約束していないか
  3. 注釈が近接・明瞭・分かりやすいか
  4. 体験談や口コミが効能効果を保証していないか
  5. 広告全体として承認効能を超えた印象になっていないか

注釈で直すのではなく、メインコピーの表現を承認効能に沿わせることが大切です。

制作会社・広告代理店が医薬部外品広告を作る前に確認すべき資料

医薬部外品広告は、制作の後工程から薬事チェックを入れると、コピーだけでなくLP全体のストーリーを作り直すことになる可能性があります。

事前に確認したい資料は、少なくとも次のとおりです。

確認資料確認する内容
販売名・商品区分医薬部外品か、化粧品か、医薬品か
承認効能効果広告表現の起点となる効能効果
有効成分訴求する成分と承認効能の関係
用法用量・使用方法誤った使い方を促していないか
パッケージ表示LPや広告との整合性
既存の薬事確認資料過去に確認済みの表現範囲
エビデンス資料成分データを商品全体の効能に飛躍させていないか
媒体審査基準Google、Yahoo!、Meta、テレビCM考査、モール審査など
公的資料薬機法、医薬品等適正広告基準、関連通知、業界ガイドライン

厚生労働省は医薬品等の広告規制に関する情報を公開しており、日本化粧品工業会も化粧品等の適正広告ガイドラインを自主基準として掲載しています。制作実務では、法令・通知だけでなく、業界ガイドラインや媒体審査の運用もあわせて確認することが現実的です。

制作会社さまや広告代理店さまの場合、依頼主から「医薬部外品だからこのくらい言えるのでは?」と言われることがあります。そのときは、表現の可否を感覚で判断するのではなく、「承認効能」「根拠資料」「広告全体の印象」「媒体審査」の4点で説明すると、社内・依頼主との認識合わせがしやすくなります。

実務上のチェック方法は「医薬部外品LPの薬機法チェック」で詳しく解説しています。

江良公宏

薬機法・景品表示法・医療広告などの広告表現支援に15年間携わってきた江良公宏の実務見解
医薬部外品広告では「最後に薬事チェックを入れればよい」という進め方はおすすめしにくいです。なぜなら、承認効能と違う訴求でLP全体を組み立ててしまうと、後から言い換えだけでは整わないことがあるからです。
強いコピーを作ること自体が問題なのではありません。問題は、承認効能と広告ストーリーが最初からずれていることです。40,000件以上の広告表現支援の現場でも、うまく進む案件は、企画段階で「言えること」と「言いたいこと」を整理しています。薬事確認はブレーキではなく、訴求を決める際の前提として考えるのがポイントです。

よくあるご相談(FAQ)

医薬部外品の効能効果とは何ですか?

医薬部外品の広告では、商品ごとに承認された効能効果が、表示・広告の起点となります。医薬部外品であってもすべての商品が同じ効能効果を持つわけではありません。広告制作では、最初に販売名、承認効能、有効成分、用法用量、パッケージ表示を確認します。そのうえで、LPやSNS広告、バナー、動画広告などの表現が承認範囲を超えていないかを確認するのがポイントです。

医薬部外品なら「効果がある」と強く言ってもよいですか?

医薬部外品には承認された効能効果がありますが、「効果がある」「効く」「確実に実感」などを強く訴求すると、効果保証や誇大な印象につながる場合があります。特に、見出しやファーストビューで強調すると、広告全体の印象が強くなります。実務では、承認効能の範囲内で、消費者に誤解なく伝わる表現へ調整することが大切です。

医薬部外品広告で「シミが消える」と書けますか?

一般に、薬用美白化粧品では「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」などの承認効能を前提に表現を検討します。「シミが消える」は、すでにあるシミの消失や改善を想起させやすいため、承認範囲を超える可能性があります。注釈を入れても、画像や体験談を含む広告全体が、既存のシミが消えるような印象を与える場合は確認が必要です。

医薬部外品の育毛剤で「発毛する」と表現できますか?

医薬部外品の育毛剤(養毛剤)には、「育毛」「毛生促進」「発毛促進」などが効能効果の範囲として示されています。そのため、個別の商品で「発毛促進」が承認されている場合、「発毛促進」という効能そのものを医薬品にしか使えない表現と考えるのは適切ではありません。

ただし、「発毛促進」と「発毛する」「毛が生える」「必ず生える」は同じとは限りません。「発毛する」と断定したり、写真や体験談を組み合わせて実際に毛が生える結果を保証したりすると、承認効能の範囲を超える、または効能効果を保証する印象につながる可能性があります。

広告では、当該商品の承認効能を確認したうえで、その範囲を超えない表現になっているかを広告全体で判断します。

薬用ニキビケアで「ニキビが治る」と書けますか?

薬用ニキビケアで承認効能として「ニキビを防ぐ」が確認できる場合でも、「ニキビが治る」「赤みが引く」「炎症を改善する」などは治療・改善の印象が強くなります。特に「ニキビに」と短縮すると、すでにあるニキビへの作用に見えやすいため、見出しでは慎重な確認が必要です。

デオドラント医薬部外品で「臭いを根本改善」と表現できますか?

「臭いを根本改善」は、体質改善や原因治療のような印象につながる場合があります。デオドラントや制汗剤では、商品ごとの承認効能を確認したうえで、「汗臭を防ぐ」「制汗」などの範囲で表現を設計することが基本です。「完全に臭わない」「一日中ゼロ」「ワキガが治る」などの保証的・治療的な表現は、広告全体で慎重に確認したい表現です。

口コミや体験談で効能効果を伝えてもよいですか?

口コミや体験談であっても、自社LPや広告に掲載する場合は広告全体の一部として確認する必要があります。利用者の声として「シミが薄くなった」「ニキビが治った」「髪が生えた」と掲載すると、効能効果の保証や承認範囲を超えた表現に見える場合があります。実務では、効能効果そのものではなく、使用感、香り、使いやすさ、続けやすさなどに寄せる設計が現実的です。

制作会社が医薬部外品広告を作る前に確認すべき資料は何ですか?

最低限確認したいのは、販売名、商品区分、承認効果、有効成分、用法用量、パッケージ表示、既存の薬事確認資料、媒体審査基準です。加えて、薬機法、医薬品等適正広告基準、関連通知、化粧品等の適正広告ガイドラインなどの一次情報も確認します。制作初期にこれらを確認しておくと、後からLP全体を作り直すリスクを下げやすくなります。

まとめ

医薬部外品の効能効果は、商品ごとの承認内容を起点に確認する必要があります。医薬部外品だからといって、治療、承認範囲を超える改善、発毛結果の保証、既存シミの消失、体質改善、完全な防臭などを自由に表現できるわけではありません。 

広告実務では、まず「この商品で承認されている効能効果は何か」を確認します。そのうえで、メインコピー、画像、口コミ、体験談、ビフォーアフター、注釈、比較表、媒体審査基準を含めて、広告全体が何を約束しているように見えるかを確認します。

特に、美白・シミ、育毛、ニキビ、デオドラントは、消費者の期待値が高く、表現の少しの差で承認範囲を超えた印象になりやすい分野です。「シミを防ぐ」と「シミが消える」、「発毛促進」と「必ず毛が生える」、「ニキビを防ぐ」と「ニキビが治る」、「皮膚汗臭・制汗」等の承認効能と「臭いを根本から治す」といった表現は、それぞれ区別して考える必要があります。 

医薬部外品広告では、承認効能の範囲を確認したうえで、誤認を避けながら、生活者に伝わる表現へ調整することが大切です。個別案件では、商品資料、根拠資料、媒体、広告全体の構成によって判断が変わるため、公開前には薬事・法務・専門家による確認を行うことが望ましいです。

「薬事チェックを入れると表現が弱くなりすぎる」「媒体審査で差し戻しが続いている」「承認効能の範囲内で伝わるコピーに整えたい」とお悩みの場合は、B&HPromoter’sの薬機法リライトの活用をご検討ください。

単なるNG出しではなく、法令対応と適正な情報伝達の両立を前提に、LPや広告クリエイティブの表現調整を支援します。

なお、医薬部外品について体系的に知りたい場合は「医薬部外品広告の薬機法ガイド」をご覧ください。

広告規制を守るだけでなく、商品の価値や訴求力を保ちながら表現を組み立てる考え方については、「薬機法ライティング®とは|薬機法対応と訴求力を両立する広告表現の考え方」で詳しく解説しています。

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参考情報・引用元

本記事は、以下の公的機関・公式資料・関連資料を参考に、広告実務の観点から整理しています。
個別の広告表現の適否は、商材、媒体、表示内容、根拠資料、広告全体の印象などにより判断が異なるため、必要に応じて公的資料や専門家への確認を行ってください。

免責事項

本記事は、法令、通知、ガイドラインその他の公的資料を、各資料の参照日時点で確認したうえで作成しています。
内容の正確性には十分配慮していますが、法令・行政運用の変更や個別事情により判断が異なる場合があります。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の広告表現の適法性を保証するものではありません。
実務への適用にあたっては、最新の公的資料をご確認のうえ、必要に応じて所管行政機関または専門家へご相談ください。誤り等が判明した場合は、確認のうえ訂正・更新します。

医薬部外品広告の実務ポイントを示したアイキャッチ画像。左側に「医薬部外品の効能効果と広告表現」「美白・育毛・ニキビ・デオドラントの判断ポイント」と表示。下部に「承認効能を確認」「表現を再設計」「広告全体で確認」の3項目を配置。右側には「商品ごとの承認効能」と書かれた書類カードを中心に、「美白・シミ」「育毛」「ニキビ」「デオドラント」の4カテゴリが線でつながる図解。

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